2/10 シュツットガルト・バレエ「I fratelli - Die Brüder(兄弟/若者のすべて)
I fratelli - Die Brüder
Ballett in zwei Akten von Mauro Bigonzetti
Besetzung:
Rosaria Marcia Haydée (a.G.)
Rocco Marijn Rademaker
Simone Jason Reilly
Vincenzo Evan McKie
Ciro Arman Zazyan
Nadia Katja Wünsche
Ginetta Rachele Buriassi
シュツットガルトに来ています。詳しい感想はまたのちほど!
シュツットガルト・バレエの「兄弟(若者のすべて)」は素晴らしい作品だった。もう丸一日くらい寝ていないのに眠くなる余裕はなくてヴィスコンティの映画の世界がそのままバレエに。正直、ビゴンゼッティが物語バレエなんか作れるの?と思っていたけど良い意味で裏切られた。パーカッションを多用したオリジナルのスコア、逆光気味の照明、シンプルながら効果的なセットと場面転換の妙、時代を忠実に再現した衣装と映画の世界観をうまくバレエの舞台に置き換えていて、1950年代のイタリアを舞台の上に見事に再現していた。
偉大なマリシア・ハイデが5人兄弟の母親役で出演。踊りまで見せるシーンがあった上、休憩時間にはサイン会まで!強い母を通しての兄弟の絆とその崩壊を、その強烈な存在感で体現していた。マライン・ラドマーカーのロッコ、ジェイソン・レイリーのシモーヌ、二人ともはまり役で踊りを通しての感情表現がすごい。ロッコの暗闇の中で光り輝く真っ白な美しさ。純粋すぎるあまりの悲しみ、やるせなさ。彼とは対照的なシモーヌのどうしようもなさとやり場のないどん詰まり感、激しい感情、やっぱりこの二人は踊りの中にエモーションをこめるのがうまい。7月の「ロミオとジュリエット」のジュリエット役ではもぎたての大根のようだったカーチャ・ヴュンシュも、娼婦ナディア役はよく似合っていて、とてもエロス、淫蕩さを感じさせながらもくらくらするほど魅力的だった。彼女に思いを募らせるあまり、最後にはシモーヌが彼女を殺してしまうほど愛憎を募らせる対象だったということに説得力があった。映画の中でも登場した十字架のモチーフを巧みに使った殺しのシーンには、心を切り刻まれる様な痛みがあった。ジェイソンもマラインもパートナーリングがうまいってこともあるけど、カーチャは身体能力がすごくて、この体勢からこんなところまで体を持ち上げられるんだ、と驚かされた。性愛の身体表現手法、パ・ド・ドゥへの移し変え方がビゴンゼッティはとても独創的だと思った。
エヴァン・マッキーが演じた長男ヴィンチェンゾの結婚式のシーンはとてもイタリア的で活気があって、靴が飛び交ったりするのが面白かった。末っ子ルーカ役を演じた子役がとっても可愛かった!
カーテンコールには、ビゴンゼッティ本人も登場。 素晴らしい作品をありがとう!
追記
ドイツのテレビ局で放送されたニュース映像を観ることができます。舞台の様子も少し。
http://swrmediathek.de/player.htm?show=dda94590-3842-11e0-841e-0026b975f2e6
« ナショナル・バレエ・オブ・カナダの2011/12シーズン National Ballet of Canada’s 2011-12 season | トップページ | シュツットガルト・バレエ50周年記念ガラのプログラム »
「バレエ公演感想」カテゴリの記事
- KARAS APPARATUS 勅使川原三郎x佐東利穂子「幻想交響曲」(2019.07.19)
- 英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』(2018.01.21)
- 勅使川原三郎 KARAS「イリュミナシオン-ランボーの瞬き- 」(2017.12.09)
コメント
« ナショナル・バレエ・オブ・カナダの2011/12シーズン National Ballet of Canada’s 2011-12 season | トップページ | シュツットガルト・バレエ50周年記念ガラのプログラム »
すごい! はやい! ブログ更新してますね~。 感想が待ち遠しいです(^^)/~~~
投稿: mukujara | 2011/02/11 09:51
レポありがとうございます!お身体気をつけて。
でもすごい!観たい~~~
投稿: ほみ | 2011/02/12 17:10
mukujaraさん、こんばんは。
結局現地ではなかなか余裕がなくて、ブログもちゃんと更新できなくてごめんなさい。感想も中途半端な形になってしまっていますが、もう少しできれば書き足せればいいな、と思います。作品自体はとても気に入りました。
投稿: naomi | 2011/02/18 00:16
ほみさん、こんばんは。
ビゴンゼッティの振付っていいですよね。「ロミオとジュリエット」もDVDで見て、これは物語性を取り去ってかなり奇抜な作品だったのに、この「兄弟」は、比較的映画のストーリーに忠実で、イタリアのネオリアリズモの世界を舞台の上に再現していてすごいって思いました。なかなかこういう作品は日本では観られないけど、また見られるといいなあ。
投稿: naomi | 2011/02/18 00:30
こちらで失礼します。
3satで23日放映のドキュメンタリー「マウロ・ビゴンゼッティ」と
xfs.jp/93ASx
アテルバレットのバーデン・バーデン祝祭劇場公演(4月8日)
"Come un Respiro"
xfs.jp/xkHGh
"Le Sacre du Printemps"
xfs.jp/q2ypM
投稿: rednal | 2011/04/29 12:06
rednalさん、こんにちは。
旅先なので遅くなってしまってごめんなさい。ビゴンゼッティの「春の祭典」を知人がバーデンバーデンで見ていてとても面白かったと言っていて、ぜひ観たかったのでありがとうございます!
投稿: naomi | 2011/05/01 07:03