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« 新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」のキャスト | トップページ | 韓国国立バレエ「ジゼル」にレティシア・プジョルとマチュー・ガニオ出演 »

2011/01/10

1/7 レニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)「ドン・キホーテ」 Mikhailovsky Ballet "Don Quixote"

12月28日のレニングラード国立バレエの「ジゼル」の感想を書こうと思っているうちに日々ばかりが過ぎてしまい、より記憶が鮮明な方の1月7日の「ドン・キホーテ」の方を先に書こうと思う。

「ジゼル」でのルジマトフは素晴らしかった。彼の演技には魂が感じられたし、上半身の動きやエカルテの絶妙な角度、アライメントの美しさは芸術品そのものだった。踊りのほうも(失礼なのは承知で)想像していたよりずっとたくさん踊ってくれて、2幕のヴァリエーションではしっかり跳躍していたしブリゼの足先も鼻血が出そうなくらい美しかった。ルジマトフ、まだまだ全然踊れるし彼の古典主役を観る機会はこれからもたくさんあるだろうなって思ったほどだった。

ところが、年明けの公演を観た方から、ルジマトフが怪我をした模様で「白鳥の湖」では3幕ヴァリエーションを別のダンサーが踊ったとの報告があった。さらに、前日(6日)の「ドン・キホーテ」でも、ルジマトフはルルヴェすらできず、ヴァリエーションはシヴァコフとプハチョフが代わりに踊ったという友達からの知らせがあった。

ルジマトフがこの日はあまり踊れないだろうという予備知識があったこと、キトリ役のヴィクトリア・テリョーシキナがめちゃめちゃ素晴らしかったこと、さらにカンパニーが一丸となって舞台を盛り立てていこうという気概が感じられたことから、結果的にこの日の「ドン・キホーテ」は大変楽しむことができた。

実はエフゲーニャ・オブラスツォーワが降板してテリョーシキナが代役としてキトリを踊ることになってから、私はこの日の公演のチケットを取ったのだった。オブラスツォーワも好きなバレリーナだし、彼女がルジマトフをパートナーにどのようなキトリを踊るか興味があって観たいと思っていたのだけど、テリョーシキナが代役として踊ると発表された時には、これは決して見逃してはならない公演だ、と思わずチケットを買ってしまった。


テリョーシキナのキトリは、期待以上、最高のパフォーマンスを見せてくれた。長い手脚から生み出されるワガノワ・ラインの美しさ。1幕のカスタネットのヴァリエーションは奔放で切れ味鋭くスピーディなのに優雅さも感じられる。気風の良さが持ち味の彼女はキトリ役にぴったりなのだが、ドゥルシネア役は気品に溢れて音楽に寄り添うようでこれまた素晴らしかった。その中でもコーダのジュッテで駆け抜けるところの、跳躍の高さと柔らかい背中が見せる爽快感。グラン・パ・ド・ドゥの最後を飾るグランフェッテでは、テリョーシキナはダブルで回る時に扇子を開閉し、しかも扇子を持った片腕はアンオーに上げてくるくるくと小気味良く回っていて余裕たっぷりなので、その女っぷりには惚れ惚れした。カーテンコールにおいてまでフェッテを披露してくれたヴィーカ姐さん、カッコいい!

テリョーシキナとルジマトフは演技の息がすごくよく合っていた。特に最高だったのは狂言自殺のシーンで、クールなイメージの強かったテリョーシキナのくるくると変わる表情がとっても可愛らしくて、テリョーシキナってこんなに可愛かったんだ、って思ったほど。ルジマトフのここでの演技もすごく面白くって、大袈裟にチュっと音を立ててキスしたり、周りをきょろきょろ見回したり、目を真ん丸く見開いておどけてみたり、こんなに楽しそうに笑っているルジマトフを見るのは初めてだった。怪我をして思い通りに踊れていなくても、テリョーシキナという素晴らしいパートナーを得て、そして彼を愛してくれる観客を前にして、心からの笑顔を見せてくれているんだな、と胸が熱くなった。

さて、ルジマトフである。全幕通しで踊れないコンディションのダンサーが降板せず、ヴァリエーションを他のダンサーに任せるということに対しては色々と意見があるだろう。両膝から下にぐるぐるとテーピングされている姿は見るからに痛々しいし、怪我をしている状態で治療に務めないでほぼ全幕を踊ってしまって大丈夫なの?と心配にもなった。だが、代役を立てるという選択肢もあった中で敢えて出演して、跳躍なしではあるが彼なりの素敵なバジルを見せてくれたルジマトフの、ファンを大切に思う心意気には拍手を送りたい。

ルジマトフは1幕でこそ、ほとんどルルヴェすることなく地面から足が離れることが少なかったけど、幕が進むにつれて少しずつドゥミ・ポワントでの踊りも見せてくれるようになった。つま先はすっきりと美しいし、腰のひねり具合やポール・ド・ブラのラインは絶妙だし、何より決めポーズでの悩殺されるような溜めと見得の切り方が色っぽ過ぎる。ピルエットの軸もしっかりしていて正確で、1幕のキトリの友達とのパ・ド・トロワもきちっとキメ、3幕のコーダでは美しいピルエット・ア・ラ・スゴンドも見せて、今の彼にできることは全部出し切ってくれているんだなと感じた。バジルという役はこうあるべきだというルジマトフのヴィジョンは全幕を通してしっかりと体現されていたと思うし、私としては満足できる素晴らしい舞台だった。

また拍手を送りたいのは、3幕のヴァリエーションとコーダの一部を踊ってくれたミハイル・シヴァコフとアルチョム・プハチョフ。ヴァリエーションの前半がシヴァコフで、後半がプハチョフという踊り分けだった。中でもプハチョフの美しいラインにはうっとりさせられた。また彼の主演が観たいって思った。(キャスト表に二人の名前が載っていなかったのはとても残念)

それから特筆すべきは、エスパーダのミハイル・ヴェンシコフの粋なイケメンぶり。マールイはルックスの良い男性ダンサー不足だと思っていたけど、ヴェンシコフは唸るほどのいい男。(でも、このカンパニーは男性ダンサーのメイクが下手なので、ハンサムかどうかが分かりづらいことが多いのよね)エスパーダかくあるべし、というスマートさとすかしっぷりが良かった。大道の踊り子と3幕のヴァリエーションと大活躍のオルガ・ステパノワも相変わらずのかっこよさとダイナミックで美しい踊り。テリョーシキナと一緒に踊ってしまうと少々分が悪いものの、イタリアンフェッテを美しく決めたタチアナ・ミリツェワも正統派で素敵だったし、キトリの友達のサイーナ・ヤパーロワはすごくキュート。闘牛士の片方のニキータ・クリギンは父アンドレイ・クリギン譲りの個性的な演技とアイドル系の容姿で今後がとても楽しみ。主役以外にも舞台上には楽しみがたっぷりあった。

何より、ルジマトフが主演する「ドン・キホーテ」をカンパニー一丸で盛り立ててやるぞ!って気合が満ち満ちていて、とっても気持ちの良い、暖かい気持ちにさせてくれる舞台だった。このバレエ団が長きに渡って日本で愛され続けている秘密が伝わってきた素敵な一夜だった。


キトリ:ヴィクトリア・テリョーシキナ Viktoria Tereshkina
バジル:ファルフ・ルジマトフ Farukh Ruzimatov

ドン・キホーテ:マラト・シェミウノフ
サンチョ・パンサ:デニス・トルマチョフ
ロレンツォ(キトリの父):パーヴェル・マスレンニコフ
ガマーシュ:アレクセイ・マラーホフ
エスパーダ:ミハイル・ヴェンシコフ
大道の踊り子:オリガ・ステパノワ
メルセデス:オリガ・セミョーノワ
森の女王:タチアナ・ミリツェワ
キューピット:ナタリア・クズメンコ
キトリの友達:サビーナ・ヤパーロワ、ユリア・チーカ

ファンダンゴ:アンナ・ノヴォショーロワ、ミハイル・ヴェンシコフ
ジプシー:ニーナ・オスマノワ、ニコライ・アルジャエフ
ヴァリエーション:オリガ・ステパノワ、ヴィクトリア・クテポワ
二人の闘牛士:アンドレイ・マスロボエフ、ニキータ・クリギン
酒場の主人:パーヴェル・シャルシャコフ
バジルの友人:アルチョム・プハチョフ、ミハイル・シヴァコフ


指揮:ヴァレンティン・ボグダーノフ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

ルジマトフ、そんな状態でも舞台に立つなんて・・・彼の年齢(失礼!)を考えると、心配でなりませんが、でも、その心意気、ファンを思う気持ちに胸が詰ります。
そして、出演者みなの心使いもすばらしいですね。観たかったなあ・・・。
大阪では代役が踊るのかしら…。
テリョーシキナ、実物はまだ観たことがなくて、うらやましい限りです。現在私がもっとも観たいダンサーのひとりです。
最後に、あけましておめでとうございます。今年もブログ、楽しみにしております。

ルジマートフのドンキホーテを見ました。ジャンプのできない状態なのは
悲しかったですが、演技には満足でした。まだまだ、踊ってほしいです。

ショコラ・ショーさん、こんばんは。

ルジマトフの脚のテーピングを見たときなんて痛々しいんだと思いましたが、でも彼自身は楽しそうに踊っていたので、プロ根性はすごいって思いました。
今日の「白鳥の湖」でもルジマトフは踊ったようなので、このまま最後まで出演するんじゃないかしら。
テリョーシキナは機会があればぜひ観てほしいダンサーの一人ですね!胸のすくようなテクニックと踊りの美しさがあって素敵です。
そして、今年もどうぞよろしくお願いいたします♪

YURIさん、こんばんは。

そう、ジャンプができないルジマトフは、彼自身が一番くやしいだろうなって思いましたが(「ジゼル」ではちゃんと美しく跳んでいたので)、でも本当に彼の演技は素晴らしくて、舞台人なんだなって思いました。まだまだその至芸を見せてほしいですよね。

 6日のドンキを観ました。怪我だったのですね。終わって翌日くらいにTwitterなどで知るまで怪我ということに気づかなかった情けない私。正直、ルジマトフの年齢を感じてしまって非常に複雑な気持ちで帰路についたのでした。怪我で部分的に代役を立てるならば、その旨、主催が会場の観客に告知することができなかったのでしょうか・・・それともどこかに貼り出されていたのでしょうか?いずれにせよボーっとしてた私は全然気づきませんでした・・・。
 ルジさま(と勝手に呼んでますcoldsweats01)の指先の隅々まではりつめたような身体のラインの美しさ、格好良さは健在ですね。往時を思い出し涙が出ました・・・。

ClaraSchさん、こんばんは。

おっしゃるとおり、ルジマトフの不調でグラン・パ・ド・ドゥに代役を立てるなら、会場で告知すべきだったと私も思います。2日目だったので、前日に観た方の感想を聞いて予備知識があったからいいものの、知らなかった人はびっくりですよね。それに、代役を務めた二人の名前をキャスト表に載せるべきだったと思います。マールイのファンなら彼らを顔で識別できるでしょうけど、知らない人にはこの人たち誰?って思いますものね。

ルジ様(この呼び方は彼にははまっていますよね)のかっこよさ、ラインの美しさは本当に健在でした。怪我が早く良くなりますように。

naomiさん、いつもながら丁寧なお返事ありがとうございます。
そうですね、怪我が早く治りますように、私も祈っています。
おっしゃるとおり、代役のお二人の名前は配布のキャスト表に載せておくべきだったと強く思います!大切なソロパートを踊ったアーティストに対する最低限の敬意ですよね。無知な私にとっては、突然踊りだした二人とも、素敵だしすごい!・・・と思うところまででしたし・・・(苦笑)
それにしてもマールイの若い男性ダンサーたちに比べると、ルジ様は身体の線が華奢なんだなあと思いました。それが鋭く空を切るから類稀な美しさになるのですよね。テリョーシキナとも、何気になかなか良いカップリングでしたね~。

はじめまして
毎日、毎日、naomiさんのブログを楽しく読ませていただいてます。
私は、ロシアバレエ、バレエ観賞が大好き、テリョーシキナのキトリを
観られなかったのは残念です。
グラン・パ・クラシックから、彼女のキトリはオーラ全開だと想像しました。
イケメンの御主人と一緒に踊る彼女も観たいです。

とても楽しい公演でした。私も2日目にいきました。
ルジ様のテーピングは見えなかったのですが、笑顔とポーズの美しさに彼ならでの華を感じて、永遠に舞台に出て欲しい人と思いました。
ニーナ同様、ファンからみて、会えてうれしいと思う存在だし、華があって年齢を重ねても色あせない天性のものがある人なので、バレエファンとしてはドンキのようなキメポーズが美しい、待っていました!というような演目には出て欲しいと思います。
若くて美しいのにちょっと地味という個性の人がいるなかで、彼は天性の華やかさがあるスターですよね。
元気になったら、また出てほしいです。若いころから絶好調と不調のときがある彼ですから、年をとっても絶好調の公演はあると思います。

ClaraSchさん、こんばんは。

ホントホント、代役の二人の名前はキャスト表に載せてほしかったです~。貴重なピンチヒッターとして舞台を救ってくれた二人ですものね。

ルジ様の肉体は本当に研ぎ澄まされていて美しいラインですよね。若い肉体の持つ美しさとは別次元の美がありますよね。立ち姿もほっそりとしたテリョーシキナと似合っていたし、彼女に早くから目をつけていたというから人を観る目も確かですよね。

キララさん、はじめまして!

ロシアバレエってやっぱり素晴らしいですよね~。舞台を観るたびに思います。テリョーシキナはさらにスターへの階段を駆け上がっていく人だと思うので、これから観る機会もいっぱいあると思います!本当に彼女はかっこよくて素敵なダンサーですよね。

確かに、いつかあの美形の旦那様アルチョムと踊る姿も観てみたいです。

buminekoさん、こんばんは。

この日の公演をご覧になっていたんですね!怪我で思うように踊れないもどかしさもあったでしょうに、それをおくびにも出さず素敵な笑顔でバジルを演じてくれて、幸せな気持ちにさせてくれましたよね。本当におっしゃるとおり彼には年をとっても色あせない天性の華がありますよね。(ニーナもそうでした)この前の「ジゼル」の時はかなり踊りも好調そうだったので、今後も、また素晴らしい踊りを見せてくれるものだと期待します。

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