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2010年11月

2010/11/28

11/27 新国立劇場バレエ団「シンデレラ」New National Theatre Ballet "Frederick Ashton's Cinderella"

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
監修・演出:ウェンディ・エリス・サムス
舞台美術・衣裳:デヴィッド・ウォーカー
装置・衣装製作:英国ロイヤルバレエ

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指揮:デヴィッド・ガルフォース
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

シンデレラ:さいとう美帆
王子   :マイレン・トレウバエフ
仙女   :川村真樹
義理の姉たち:保坂アントン慶/高木裕次
父親:石井四郎
春の精:西山裕子
夏の精:西川貴子
秋の精:高橋有里
冬の精:厚木三杏
道化:八幡顕光
ナポレオン :吉本泰久
ウェリントン:市川透
王子の友人:芳賀望、江本拓、菅野英男、古川和則

新国立劇場のクリスマスの時期といえば「くるみ割り人形」か「シンデレラ」とお馴染みになった演目。特に2008年の上演では、初日の2幕で怪我降板したラリッサ・レジュニナの代役として急遽出演したさいとう美帆さんの大活躍が記憶に新しい。すっかりカンパニーのレパートリーとして定着した感があり、アンサンブルもよく整っていて安心して観ていられる。この作品に対する出演者たちの愛が伝わってくるような舞台だった。

さいとう美帆さんは本当に素晴らしいバレリーナに成長したって改めて思った。不幸にめげない明るくて健気なシンデレラが舞踏会では美しく脱皮する。変身後の初々しい中にも自信が覗く佇まいから放たれるキラキラとした輝き。アシュトン特有の上半身のひねりがある難しい振りがしっかりと身についていてとても滑らかな動き。軸がしっかりしているし、音楽にもぴったりと合っていて観ていて気持ちよい。アシュトンの「シンデレラ」は心の優しい娘が幸せをつかみ妖精たちに見守られ、王子と手をとって歩いていくエンディングがしみじみとして心に暖かい灯りをともしてくれて好き。さいとうさんのキャラクター、自然で表情豊かな演技もこの作品に実に良く似合っている。

そしてマイレンの王子!堂々として王子らしい風格と気品があり、一つ一つの動作が脚先、指先まで行き届いていて端正で美しい。アシュトンの「シンデレラ」は王子が踊るシーンは2幕にしかないのだが、数少ない見せ場でのソロはこれぞクラシックバレエの美しさというべき折り目正しさと優雅さが満ち満ちており、至福の時だった。パーフェクトなアンドゥオール、柔らかく美しい着地、ふわっと浮かび上がるような跳躍。パ・ド・ドゥではしっかりとしたサポートが優しく包容力があり、頼もしさを感じさせてくれた。さいとうさんとのパートナーシップは完璧だったといえる。何で今シーズンはマイレンの主演が「シンデレラ」だけなのだろう、そのことだけが残念だ。

道化役の八幡さんの軽やかで弾むような愛嬌ある踊りも楽しいし、川村さんの仙女は柔らかくて暖かい光のようで優しげだ。四季の精ではなんといっても春を踊った西山さんが素晴らしい。星の精たちのコール・ドはよく訓練されており、星のキラッキラしたきらめきを再現するかのような動きがキュートだった。中でも、一番最初に登場する大和雅美さんの切れ味ある踊りが良い。

もうひとつの主役ともいえる義理の姉たちは、すごく可笑しいのだけどでしゃばり過ぎることがなくて、全体のバランスを崩さなくてちょうど良い塩梅。ちょっとシャイな妹役の高木さんが可愛かった。アントンさんは本当は美人なはずなのに、というのがわかって面白い。

ガルフォースさん指揮による東フィルの演奏もとても良くて、特にフィナーレの弦の響きが美しくて感動を倍増させてくれた。同じ主演でもう一度水曜日に再見できるのがとても楽しみ!そして最終日、長田さんと福岡さんの主演(andマイレンの義理の姉)も観られる予定で幸せ。


2010/11/26

9/30 ロイヤル・バレエ「オネーギン」The Royal Ballet "Onegin"

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アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーが「オネーギン」を踊ると聞いて、どうしても気になって、シーズンのオープニングだしチケットなんてないだろうな、と思ってサイトを見たら思いがけず良席が一枚だけ残っていて、ついにロンドンまで出かけることになったのが今回の旅の発端。

The Royal Ballet
Ballet in Three Acts
Music Kurt-Heinz Stolze after Peter Ilyich Tchaikovsky
Choreography John Cranko
Costume and Set Design Jurgen Rose after Original 1969 Designs for Stuttgart Ballet
Staging Reid Anderson, Jane Bourne
Conductor Valeriy Ovsyanikov

Thursday 30 September 2010

Eugine Onegin :Johan Kobborg
Lensky :Steven McRae
MadameLarina :Genesia Rosato
Tatiana: Alina Kojocaru
Olga: Akane Takada
Prince Gremin: Bennet Gartside

実は新装されてからロイヤル・オペラハウスでバレエを観るのは初めて。モダンでスタイリッシュな部分と古くてゴージャスな部分、そしてフローラル・ホールのレトロさがうまい具合に折衷されたオペラハウスの雰囲気は素敵。

舞台装置はユルゲン・ローズのオリジナル・デザインを踏襲したおなじみのもの。指揮は前回世界バレエフェスティバルの指揮をしたヴァレリー・オフシャニコフだったけれど、本家のジェームズ・タグルの音を聴きなれているとちょっと軽く感じられてしまった。

アリーナ・コジョカルのタチヤーナは1幕ではイノセントで奥ゆかしく、賢い少女だ。とーっても可憐で、だけど踊りはしなやかでとても強靭、小さな身体から生み出されるラインが美しい。鏡のパ・ド・ドゥで奔放に軽やかに舞う姿からは、奥手な外見の中に秘められた少女の情熱がほとばしり、高揚感がいつまでも持続しているかのようだった。踊りのテクニックと演技力のバランスが絶妙にとれているアリーナは、今が絶頂期だと言える。(それだけに、この公演の後怪我で「オネーギン」や「シンデレラ」などを降板しているのが気がかりである)2幕でオネーギンに傷つけられたタチヤーナ、動揺と諦めきれない想いが乱れるステップの中に込められていて、痛ましくて涙を誘われる。

一方で、3幕ではタチヤーナの美しく成熟した姿に目を瞠らされた。タチヤーナはグレーミンと結婚した後、幸福な日々を送りながらも強く賢く生きていて、1幕の鏡のパ・ド・ドゥで見せた情熱をそのまま持ち続けているのが見える。オネーギンからの手紙を読んで心を揺さぶられ、おやすみのキスをしにきた夫グレーミンを強く抱きしめ、激しいといってもいいほどの接吻を交わす。オネーギンの最後の求愛に理性を失いそうになり煩悶しながらも、ふと我に返る。手紙を突き返すところ、バレリーナによって演じ方がまるで違っていて、このシーンでその人の演技が好きになれるかどうかの分かれ道。アリーナが演じたタチヤーナは最後までオネーギンに対する態度の中に優しさがあり、ごめんなさい、あなたを受け入れるわけにはいかないの、と心の叫びを封じ込めていたようだった。本当にアリーナ・コジョカルはダンサーとしてだけでなく、演技者としても素晴らしい。

ヨハン・コボーのオネーギンって、きっと演技はうまいのだろうけど、1幕では超カッコいい都会の貴族であるこの役に合っているのかどうか観る前は疑問に感じていたところがあった。実際に観てみると、傲慢でいけ好かない男ではあるけれども、そのイケズ加減が、小娘にとっては都会の洗練された大人の男性に見えるんだろうなと感じられた。彼がうまいなあ、と改めて実感したのは鏡のパ・ド・ドゥのシーンで、サポートが達者でありアリーナとの息もぴったりと合っているのは予想の範囲内であったが、ちゃんと悪魔のようなダークな魅力を漂わせる素敵なオネーギンになっていたのである。手脚が長くないので、パ・ド・ドゥの最後に腕を大きく振りながら去っていくところのキメ加減は物足りないけれど、十分魅力的である。

2幕ではオネーギンはまとわりついてくるタチヤーナに苛立ち、プライドの高さとちょっとした不埒でよこしまな邪心が取り返しのつかない事態を引き起こしていく。雪だるまが転がり落ちていくかのように運命が加速度的に暗転していく様を目の当たりにしてもどうすることもできなくなった、そんな男の器の小ささと不幸をドラマティックに体現していた。

3幕のコボーは、いくら時間が経過しているとはいえ、ちょっと老け過ぎ。実はシュツットガルトで行われたガラで、コボーとコジョカルが「オネーギン」3幕手紙のパ・ド・ドゥを踊ったそうなのだが、とある人に言わせると「コボーのオネーギンは80歳に見えた」そうだ。80歳は大げさにしても、70歳近いといってもいいくらいで、放蕩と流浪の末にめっきりと老いさらばえてしまった無残な姿が、艶やかなアリーナのタチヤーナとは対照的であった。タチヤーナがグレーミンと踊っている間、物陰から二人を見つめるオネーギンは、狂気すれすれというかストーカー入っていて凄まじい。タチヤーナに対してものすごい執念というか執着を持っているオネーギン像というのは、彼の演技を観るとそれはそれで説得力はある。年月の間に彼を通り過ぎて行った女性たち、その間をふらふらと漂うコボーの常軌を逸した様子は、そのまま手紙のシーンになだれ込む。プライドも未来も何もかも投げ捨てて、最後の愛に生のすべてを注ぎ込んだその様子には心を揺さぶるものはあったが、個人的な好みとしては、オネーギンには最後まで魅力的な男性であったほしかったと思う。それでも、ヨハン・コボーは、ダンサーとしてはキャリアの終盤を迎えているのだろうけれどもまだまだ素晴らしく、また演技者として一流でありドラマティックなものを演じさせたら右に出る者はなかなかいないだろうと感じさせてくれた。

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スティーヴン・マックレーは、当初ファーストキャストに予定されていたイヴァン・プトロフの退団によって急遽レンスキー役にキャスティングされた。甘くて可愛いてワンコのようなレンスキーで、オルガといる姿は子犬がじゃれあっているようである。最初ちょっと硬さがあったけれども途中からはエンジンがかかって、軽やかな跳躍は隅々まで美しく、太陽のような明るさがかえってレンスキーという存在の儚さを感じさせる。ただ、演技としては物足りないところがあり、オネーギンにプライドを傷つけられての怒りの表現も、決闘を前にした自己憐憫あふれるソロでのナルシズムも薄かった。アラベスクなど本当に美しいんだけど、溜めが足りないのだ。初役の初日だったので、きっと3回目を踊る頃には演技の方もこなれてきているであろう。

やはり大抜擢の高田茜さんは、群舞と一緒の踊りだと、その柔らかくロシア的な美しい踊りが際立っていて、なるほどの才能の持ち主であることを感じさせる。小柄でしなやかなところが、いかにもコジョカルの妹だな、と思わせるし。ただ、すぐに眉間に皺を寄せたり、首をかしげたり、演技が大げさで特に表情を作りすぎなところが目に付いてしまって、クラシックでは彼女のテクニックは大きな武器になるだろうけど演技が大きな要素を占める「オネーギン」という作品のオルガ役としてはいかがなものだろう、と思ってしまった。もっと自然さを心がけてほしい。

グレーミン役はベネット・ガートサイド。落ち着いて渋くて素敵な大人の男性で、包容力を感じさせてくれて、こんな夫だからこそタチヤーナも美しく磨かれたのだろうと思わせてくれた。

今回一番不満だったのが群舞。「オネーギン」は3年前にもロイヤル・バレエで上演しているはずだから、それほど大きくメンバーが変わっていないはずなのだが。シーズンのオープニング作品ということもあったのだろうけど、もうボロボロの一言である。特に1幕で男女ペアがグランジュッテをしながら斜めに舞台を横切るシーンで、ジュッテの高さやタイミングがバラバラもいいところで、まったく高揚感というものを感じさせず、拍手もまばらであった。3幕の舞踏会では、距離感をつかめないのか、ダンサー同士がぶつかって転ぶというシーンに遭遇。容姿的には揃っているのに、目を覆わんばかりだった。「オネーギン」はコール・ドが主要人物の心境を物語ったり、その時の社会の情勢をあらわしたり、普通のバレエの群舞よりも重要な役割を果たしているのだから、もっと大事にしてほしいと思う。

「オネーギン」の上演として見るといくつかの不満点はあるものの、アリーナ・コジョカルとヨハン・コボーは当代一のパートナーシップを誇る黄金ペアであり、この二人の魂がこもった熱いパフォーマンスを現地で観ることができたのはまたとない幸せであった。ヨハン・コボーが現在38歳でダンサーとしての人生がそれほど長くないと思われるのと、アリーナ・コジョカルが怪我が多いことを考えると、この二人の舞台を観るチャンスがあれば決して見逃してはならないと改めて思うのであった。

Tchaikovsky: OneginTchaikovsky: Onegin
Emerson String Quartet

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2010/11/25

テディベアのふるさとギーンゲンへ

観に行ったバレエの感想を書く余裕がなかなかない(というか時間が経ちすぎてもはや記憶が怪しい)ので、まずは旅行記でお茶を濁しているこのごろです。

10月始めにシュツットガルトに行ったときに、半日を使ってギーンゲンという小さな町に行ってきました。ギーンゲンには、テディベアで有名なシュタイフ社の本社があり、本社にちょっとしたミュージアムがあるのです。場所的にはシュツットガルトとミュンヘンのちょうど中間くらいですが、アーレンもしくはウルムで乗り換えて片道1時間半~2時間くらいかかるちょっと不便なところです。前日にシュツットガルト中央駅に行って切符を先に買って来ました。DB(ドイツ鉄道)の窓口の人はとても親切で、希望の時間帯の電車時刻表と乗り換えホームを印刷した紙を渡してくれます。

乗り換え駅のアーレンで、乗り換える電車が来る予定の線路に別の目的地に向かう前の電車が遅れて到着した関係で、到着するプラットフォームが替わってしまい(ドイツ語のアナウンスを聞きそびれ)、乗換えそびれて1時間何もない駅で次の電車を待つ羽目になりました。

ギーンゲンはこんな可愛い町
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さて、ギーンゲンの駅は無人駅ですが、駅舎からすでにクマちゃんの絵が描いてあります。駅前にはシュタイフ本社までの案内板があり、ドイツ語、英語、そして日本語でも案内が書いてあります。しかもシュタイフまでの行き方は、クマの足跡マークで表示されているので誰でも簡単にたどり着けます。

シュタイフの本社
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ミュージアムでは8ユーロの入館料を払って、ちょっとしたアトラクションを見ることができます。たまたま私たちが来たときは空いていたので、なんと日本語の音声で貸切でやってくれました。シュタイフ社の生みの親マルガリーテ・シュタイフの部屋から始まって、テディベアがどうやって生まれてきたか、そして世界中に広がって行ったかを見せてくれます。一生の中でこんなにたくさんのクマちゃんを見たことがないってほどたくさん見られます。どれもとーっても可愛い!
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アトラクションの後には、すべてシュタイフのぬいぐるみでできた動物園のようなところになります。シュタイフではテディベアだけでなく、ほかのぬいぐるみもいろいろと作っています。これらの動物はとても大きくて、小さな子供は自由にその動物によじ登って遊ぶこともできます。

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シュタイフ社の歴史と、年代ごとに生産されたテディベアやぬいぐるみたちも年代順に見ることができます。
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それから実際にテディベアを作ってるところも見せてくれます。


最後にはもちろんショップがあり、市価より若干安く取り扱っていますが、もともとシュタイフのテディベアは高価です。
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その中でも一番安い部類のクマちゃんを一匹連れて帰りました。
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館内全体で、もう悶絶しそうなくらい可愛いディスプレイがされています。
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町の中もクマだらけ
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他にコレクターズアイテムを集めたお店やアウトレットショップもあるのですが、これ以上散財してはたまらないので、見ないで帰りました。ちょうど私たちが帰るくらいの時間に、観光バスが何台も乗り付けて館内は混雑して来ました。

帰りの電車に乗ると、途中の駅から次々と、民族衣装を着用した酔っ払った男女が乗り込んできます。そんな人たちが車両の多数派を占めるくらいに。ちょうどオクトーバーフェストの時期であり、本場ミュンヘンの近くまで来ていたことを忘れていました。女性が着るドイツの民族衣装は可愛いんですけど、男性のはとっても微妙・・・。

なお、シュタイフのミュージアムが2011年6月新千歳空港にできるそうです。いつかそちらにも行ってみたい!
http://www.tokyo.diplo.de/Vertretung/tokyo/ja/03__Bo_20Aktivitaet/Aktivit_C3_A4ten/2010/SteiffPK.html

2010/11/22

「World Classics @ CINEMA」2011年上映予定劇場情報

ソニー"Livespire"(ライブスパイア)で展開する「World Classics @ CINEMA」(オペラ、バレエ作品の劇場公開)の2011年上映作品については先日当ブログでお知らせをしました。本日ラインアップ説明会と試写会に参加し、そこで上映される劇場について教えていただいたので、お知らせします。

Livespire 「World Classics @ CINEMA」
http://www.livespire.jp/opera/

上映予定劇場
新宿バルト9 (1/29よりオペラ「カルメン」を上映)
109シネマズ川崎 (2/5よりオペラ「カルメン」を上映)
シネマイクスピアリ舞浜
横浜ブルク13
TOHOシネマズららぽーと磐田
109シネマズ名古屋
梅田ブルク9
TOHOシネマズ西宮OS
T・ジョイ新潟万代
広島バルト11
T・ジョイ出雲
T・ジョイリバーウォーク北九州
T・ジョイ博多
鹿児島ミッテ10

1回券(当日)3500円、(前売)3000円 学生券あり

ミラノ・スカラ座のオペラ「シモン・ボッカネグラ」の本編試写および、オペラ「カルメン」、ボリショイ・バレエの「白鳥の湖」、ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」の一部の映像を見せていただきました。ボリショイの「白鳥の湖」はマリーヤ・アレクサンドロワ、ルスラン・スクヴォルツォフ主演(今年9月26日に上演されたばかり)。ロイヤルの「ロメオとジュリエット」は先日NHKの芸術劇場で放映されたものと同じ映像です。

「シモン・ボッカネグラ」全編を鑑賞して感じたのは、デジタルシネマならではの映像の美しさと音響の素晴らしさでした。(もちろんプラシド・ドミンゴの心を揺り動かされる歌声と演技、バレンボイムの指揮も圧倒的でした)バレエ作品をこの画質、音質で大画面で観られたら本当に幸せな体験となることでしょう。


「World Classics @ CINEMA」のラインアップのうちバレエ作品は以下の通りです。

バレエ 「ロメオとジュリエット」 英国 ロイヤル・バレエ 日本公演(2010年6月29日上演)

優れた演劇性で世界的に名高い英国ロイヤル・バレエにとって、「ロメオとジュリエット」は代表的なレパートリーの一つ。シェイクスピアの名作をバレエ化した傑作。日本が世界に誇るプリマバレリーナ吉田都のロイヤル・バレエとの最後の共演となった、2010年6月のロイヤル・バレエ日本公演。

バレエ 「白鳥の湖」 ロシア ボリショイ・バレエ (2010年9月26日上演)

ロシアバレエの殿堂、ボリショイ・バレエ。 チャイコフスキーの三大バレエのひとつ「白鳥の湖」は、1877年にボリショイ劇場で初めて上演された。この伝統のレパートリーを現在のボリシショイを代表するスターバレリーナ、マリア・アレクサンドロワが主演で躍る。

バレエ 「クラスコンサート」 「ジゼル」 ロシア ボリショイ・バレエ (2011年1月23日上演予定)

ボリショイ劇場は2010年12月から2011年5月末までに、ボリショイ・バレエ作品を世界 22 カ国への映画館生中継する計画を発表。そのラインナップから1月23日上演される、バレエのクラスの様子を作品にしたボリショイ・バレエならではの超絶技巧が繰り広げられる「クラスコンサート」およびロマンティックバレエの名作「ジゼル」の2作品を日本で上映。(生中継ではありません)

バレエ 「コッペリア」 パリ・オペラ座バレエ(2011年3月28日上演予定)

フランス国王ルイ14世によって創設されてから350年あまりという最古の歴史を持ち、日本でも絶大な人気を誇るパリ・オペラ座バレエ。「コッペリア」は1870年にパリ・オペラ座で初演され、それ以来同バレエ団の重要なレパートリーの一つとなっている。今回上演が予定されているのは、パトリス・バール振付の1996年版。

シュツットガルト・バレエの新作「レオンスとレーナ」Stuttgart Ballet's "Leonce und Lena"

シュツットガルト・バレエの今シーズンの新作は、クリスチャン・シュプック振付の「レオンスとレーナ」Leonce und Lena。11月18日に初演されました。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/spielplan/a_z.php?id=156

「レオンスとレーナ」は、ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナーの戯曲で喜劇。宮廷の生活に退屈しきった王子が親の決めた結婚を嫌い南の国へ旅立つ。そこで、ある国の姫と恋仲になり自分の国に連れて帰る。と彼女こそ親の決めた結婚相手だと判明し、晴れて二人は結婚するというストーリー。上記サイトの写真を見ると、白塗りのメイクが奇妙ながらもとてもキュートなおとぎ話の雰囲気を出しています。ファーストキャストは、レーナ姫にカーチャ・ヴュンシュ、レオンス王子に今シーズンからプリンシパルに昇進したウィリアム・ムーア。ウィリアム・ムーアがとても可愛い感じで赤い頬も似合っています。

現在のカンパニーのトップページには、セカンドキャストのローラ・オマリーとマライン・ラドメイカーの写真も。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/start.htm

写真はシュツットガルトのFacebookにもいろいろアップされています。
http://www.facebook.com/photos.php?id=119596711426796

そして、ドイツのテレビ番組で放映されたリハーサルと舞台映像をこちらで見ることができます。
http://swrmediathek.de/player.htm?show=5c632390-f3b7-11df-83dc-0026b975f2e6

この作品の初演はエッセンのアールトバレエシアターですが、カナダのレ・グラン・バレエも上演しているとのことで、同バレエ団の公式チャンネルに舞台映像がありました。

なお、シュツットガルト・バレエのサイトにVideoのセクションができて、そこでヨルマ・エロ振付の「Red in 3」のリハーサルと舞台の映像を見ることができます。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/ballett/videos.php
ただし、こちらのサーバーが凄く重くて最初に読み込むのに時間がかかるかもしれません。やはり今年初演されたこの作品は7月に観ています。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲に振付けたもので、「白鳥の湖」のパロディやバランシンの作風にコミカルなテイストを加え、さらに超絶技巧をこれでもかと盛り込んだスピーディな作品。アリシア・アマトリアン、ジェイソン・レイリー、フィリップ・バランキエヴィッチ、アレクサンドル・ザイツェフらプリンシパルを大勢投入しています。衣装デザインは竹島由美子さんで、女性ダンサーの着る小ぶりのチュチュがとても愛らしいです。

2010/11/21

ABTの来日公演日程 ABT 2011 Japan Tour Schedule

ABTのカレンダーが更新されており、来年7月に予定されている来日公演の日程が明らかになっています。

http://www.abt.org/calendar.aspx?startdate=7/1/2011

7月21日(木)東京文化会館 レパートリー・プログラム(ガラ)
7月22日(金)、23日(土)マチネ・ソワレ、24日(日)マチネ・ソワレ 東京文化会館 「ドン・キホーテ」
7月26日(火)、27日(水)、28日(木)東京文化会館 「ロミオとジュリエット」
7月29日(金)東京文化会館 レパートリー・プログラム(ガラ)
7月30日(土)兵庫県立芸術文化センター「ドン・キホーテ」
7月31日(日)びわ湖ホール「ロミオとジュリエット」

東京公演の「ロミオとジュリエット」が平日のみなのがとても不満です。土日の上演の「ドン・キホーテ」は前々回の来日公演でも上演しているので、他の演目にしてほしかったのが正直なところです。
ジャパン・アーツの公演は、いつも移動日もほとんど設けていなくてアーティストにとって日程が非常に過酷なのが気になりますよね。

11/26追記
ジャパンアーツの公演予定カレンダーに日程のみ出ています。
http://www.japanarts.co.jp/html/calendar/2011/07.htm

ロイヤル・オペラハウスのバックステージツアー Backstage Tour of the Royal Opera House

ロンドンに行く機会があり、舞台に興味がある方はロイヤル・オペラハウスのバックステージツアーに参加してみると楽しいと思います。

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バックステージツアーは基本月曜日から金曜日までは1日3回開催(10時半、12時半と2時半)で、土曜日は10時半、11時半、12時半と1時半の4回。ロイヤルオペラハウスのオフィシャルサイト(VISITのところを選ぶ)または電話で予約していきます。かなり人気があって、満席になって取れない回も多いようです。毎日開催とは限らないのでご注意。お値段は大人10ポンド、子供、学生は7ポンド、シニアが9ポンド。当日半券を見せると、オペラハウスの売店での買い物が10%引きになります。

どこを回るかは案内する人次第だし、オペラハウス自体が毎日違った活動を行っているのですが、私の場合。前の日にサイトで予約して2時半の回しかあいていなかったのでこれに参加。とてもわかりやすい英語を話す、しゃべりの達者でソフトな感じの係員さん。基本的に撮影禁止(このエントリで使用している写真は、舞台上演時の休憩時間に撮影したものです)。まずは全体の説明があってから、オーケストラ席に案内されると、ちょうどオペラ「リゴレット」のリハーサルが終わった後とのことで、「リゴレット」から夜のバレエ「オネーギン」へと舞台装置を入れ替えているところで、リゴレットの大きな装置がズルズルと左へと水平移動するところが見られてけっこう面白かったです。舞台は幅15メートル、奥行き25メートルとのこと。舞台装置をそのままそっくり水平移動できるだけのスペースが横に用意されているということです。

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ロビーに飾られている過去の作品のアートワーク等

ちなみに音響が一番良いのは、案内してくれた人の意見ではアンフィテアトル(4階席)正面とのことです。実際夜の「オネーギン」でそこに座って、確かに音響は最高に良いなあと思いました。ついでに、アンフィテアトルの正面は舞台を見るにも大変見やすくて、良いお席だと思いました。一番安い席は「スリップ」というところで、かつてはチケットが発券されず、紙片に手書きされていたことからそういう名称となっているそうです。

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アンフィテアトル席からの舞台の眺め(「オネーギン」上演時に撮影)

ロイヤル・ボックスは上手一番舞台寄りのボックスで王室の冠マークがついていました。さぞ観にくいんじゃないかって席でしたが、王室の人なんてオペラやバレエを見に来るためにオペラハウスに来るわけではないんで、って説明で(笑) ロイヤルボックスのちょうど真下に小さな控え室があってそこに入ってみました、かつては王室専用の控え室であり、そこにある小さなベンチで昔の王様が舞台上演中にそこへ降りてきては女性を引っ張り込んでいろんないことをしていたそうです。

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照明器具も美しい

ロイヤル・オペラハウスの食堂もちらりと覗きました。それからオーケストラピットの奥から客席を覗きました。改装時にかなりオケピを深くしたようです。オケピのさらに奥には、舞台装置を動かすための大きな歯車が見えました。

エレベーターで最上階にあがると、そこでは大道具や小道具を作成していました。ガラス張りの天井から光が差し込んでとても明るいです。大道具の人が石膏を削って作っているのは、バーミンガム・ロイヤル・バレエの「シンデレラ」に登場するケーキとか、オペラ「アンナ・ニコル・スミス」(高齢の億万長者と結婚して遺産を相続し、その後謎の死を遂げた元プレイメイトの実話のオペラ化)、それから今度初演されるクリストファー・ウィールダンのバレエ「不思議の国のアリス」の大道具でした。過去のプロダクションの大道具なども、後日の上演の参考にするために一部ここに置いてありました。

ひとつ下の階に下りると、「オネーギン」の女性ダンサー用の衣装が移動式ハンガーにかけられて、ダンサーの名前を書いた紙が張ってあり、ダンサーごとに何枚も着替えることがわかります。タチヤーナのは見なかったけど、オルガや群舞の女性たちの衣装はたくさんありました。

さらにひとつ降りるとリハーサル室の廊下に出て、リハーサル室をガラス窓越しに覗きます。広いリハーサル室にダンサーたちが少しずつ入ってきてはウォーミングアップをしていました。貨物用のような大きなエレベーターでダンサーたちが出入りしています。見かけたのは、セルゲイ・ポルーニン、エドワード・ワトソン、エリック・アンダーウッド、高田茜さん、それからジョナサン・コープなど。これから「テーマとヴァリエーション」のリハーサルを行うところだったようです。

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アトリウムからアンフィテアトルのバーを望む

そこからアンフィテアトルの階のバーに移動。ロイヤル・オペラハウス内のバーやカフェはランチタイムは一般に開放されているので、ぜひご利用くださいって宣伝でした。(実際雰囲気も素敵なので公演がないときでも行ってみたいなって思いました)1999年にオペラハウスが改装されましたが、現在の建物のうち、50%はかつてあったオペラハウスの建物を生かしているとのことです。

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大体そんな感じで全部で1時間半くらいでした。想像以上に大勢の人が働いていて活気があり、それ自体が生き物のように絶えず動いているオペラハウスの舞台裏を覗けたのはとても面白い経験でした。

2010/11/19

ヴィクトリア&アルバート・ミュージアムでのDiaghilev and the Ballets Russes展に行ってきました

すっかり遅くなってしまったが、9月末から10月上旬までお休みをいただいて、ロンドンとドイツに旅行してきた。ロイヤル・オペラハウスで「オネーギン」、シュツットガルトで「ロミオとジュリエット」を観て来たのもひとつの目的だったが、最大の目的は、ヴィクトリア&アルバート・ミュージアムでのディアギレフとバレエ・リュス展。以前に当ブログのエントリでも紹介したが、500点ものバレエ・リュス関連衣装を所蔵するヴィクトリア&アルバートでの展覧会は、バレエ・リュス100周年のフィナーレを飾るにふさわしいものと確信し、これは足を運ばなければと思ったのだ。

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ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム
Diaghilev and the Golden Age of the Ballets Russes, 1909-1929

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「青列車」の舞台から、ブロニスラヴァ・ニジンスカ、アントン・ドーリンら

この展覧会は全部で6つのセクションに分かれており、
1.The First Seasons, 1909-14では、バレエ・リュスの初期、レオン・バクストによるデザインとミハイル・フォーキンの作品が代表的なもの。
2.Nijinsky: A Force of Natureでは言うまでもなくバレエが生んだ20世紀最大のスター、ニジンスキーについて。
3.Creating Balletでは、バレエ・リュスが新しいバレエの創造を中心としたカンパニーであったということで創作活動について。
4.The War Yearsでは、第一次世界大戦期の作品とレオニード・マシーンやピカソを中心とした活動。
5.Ballets Russes in the 1920sは、ベル・エポックの時代における、マティスやブラックらアヴァンギャルドのアーティストとのコラボレーション、ニジンスカ、マシーン、バランシンらの創作活動。
6.Legacyは、バレエ・リュスが20世紀の芸術に遺した遺産について。

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展覧会は撮影禁止だったので、入り口の様子だけ。深紅と鮮やかなブルー、エメラルド・グリーンの”バレエ・リュス・カラー"に彩られた会場自体に魔術的な魅惑が満ちていた。

会場の様子は、The Ballet Bagのエントリで見ることができる。
http://www.theballetbag.com/2010/09/24/diaghilev-the-golden-age-of-the-ballets-russes/

本展覧会に出展されたバレエ・リュスの衣装は、所蔵500点のうち71点のみ。とはいえ、厳選されたアイテムだけに一つ一つが宝石のように美しく、100年前にこれらの衣装をダンサーが着用してバレエが上演されたのだと思うと、思わずタイムマシーンに乗ったような気持ちになり、20世紀初頭の空気を全身で感じた。

衣装の中でも、最も強烈な体験だったのが、ニジンスキーが実際に着用した「ジゼル」アルブレヒト、「火の鳥」の王子の衣装。大粒のパールが縫い付けられ、また大きな薔薇が刺繍されたレオン・バクストのデザインによる「火の鳥」の衣装はシンプルながらも豪華だし、ニジンスキーが袖を通したものだと考えるだけで震えが来る。タマラ・カルサヴィナが着用したトウシューズも飾ってあったが、彼女の足が小さかったことに驚かされる。

「春の祭典」の3人の乙女の衣装の民族的で鮮やかな色使いも素敵だし、バレエ・リュス後期に巨額の赤字を生んでしまった「眠れる森の美女The Sleeping Princess」の贅を尽くした華麗な衣装の数々にはうっとりさせられる。バレエ作品を世に送り出す前にディアギレフが興行を行ったオペラ「ボリス・ゴドノフ」のタイトルロールの圧倒させられる豪華さにも目が眩む。一方で、ナタリヤ・ゴンチャロワが手がけた「結婚」のシンプルなモダンさ、シャネルがデザインした「青列車」のニットで編まれたコスチュームのシックさ、そしてピカソのデザインを基にした「パラード」の大胆で奇抜なことにも目を瞠らされる。マティスやブラックがバレエ・リュス作品のデザインのみならず衣装まで手がけていたとは知らなかった。バレエ・リュスを彩った芸術家たちの錚々たる面々には驚かされる。

もうひとつの圧倒的な体験が、ナタリヤ・ゴンチャロワのデザインによる「火の鳥」最終シーンの背景幕。実際の舞台で使用されているがごとく、巨大な幕の全体が展示されているのだ。新国立劇場バレエ団で上演された「火の鳥」と同じデザインのものだが、1926年製作のオリジナル。打ちのめされるような経験であった。展示方法のユニークな工夫として、「火の鳥」の幕の飾られている部屋ではストラヴィンスキーの曲に合わせ、イングリッシュ・ナショナル・バレエのプリマ、ベゴーニャ・ツァオが「火の鳥」を踊る映像が、「火の鳥」の初演当時の写真プログラム表紙などをコラージュ的に織り交ぜながら壁面に映し出されている。その映像は彼女のシルエットのみを捉えている。シルエットだけを映すことによって、火の鳥特有の鳥のような腕の動きや顔の向き、細かいパドブレがより強調されてドラマティックで鮮烈な体験を与えてくれた。また、ヴィクトリア&アルバートの全ての所蔵品の中で最も大きな「青列車」のピカソが手がけた幕も展示されていて、この作品がオークションで競り落とされる様子の映像も見ることができる。

スケッチやポスター、絵画など平面作品も、バレエ・リュスの足跡と息遣いを感じさせる貴重なものばかり。1909年の「ショピニアーナ」のポスター、アンナ・パヴロワの美しさ。ジョン・ノイマイヤーが自らのコレクションから貸し出したという、ジャン・コクトーによるニジンスキーのスケッチ。「シェヘラザード」の黄金の奴隷を踊るニジンスキーの鉛筆画からは、むせ返る官能が匂ってくる。「春の祭典」初演の舞台上の様子のスケッチからは、怒号飛び交う歴史的事件が想像できるし、「レ・シルフィード」のフォーメーションの変化のスケッチなども面白い。ボリス・エイフマンのバレエ「赤いジゼル」のモデルとなった伝説のバレリーナ、オリガ・スペシツェワが舞台袖でトウシューズのリボンを結んでいる様子を描いた絵画からは、当時の舞台がどのような感じで上演されていたのかをうかがい知ることができた。

バレエ・リュスの作品の創作時の映像は残っていないが、いくつものビデオ上映が会場では行われており、ジョフリー・バレエが上演した復元版の「春の祭典」のほか、ストラヴィンスキーとの音楽でのコラボレーションについてのドキュメンタリーや、バレエ・リュスでの方式を想定してのバレエ作品の振付を振付家のリチャード・アルストンがダンサーたちと行っていく映像など、興味深いものがたくさんあって、いくら時間があっても足りないほどのボリュームである。

そしてディアギレフその人。未払いのホテルの請求書の束。ストラヴィンスキー、ピカソ、マシーンらと写った写真の数々。故郷を失いホテルに暮らし、何も持たず、展示されていた愛用の山高帽やオペラグラスですら借り物だった。1929年に亡くなった時には借金の山をつくりあげ葬式の費用はシャネルが用立てたという。だが、彼の遺した遺産には計り知れないものがあり、バレエのみならず、音楽、美術、ファッションなど多分野に多大な影響を与えた。展覧会の最後を彩るのは、バレエ・リュスにインスパイアされたイヴ・サンローランによるモード・コレクション。サンローランのデザインしたモードを見ることで、逆にバレエ・リュスのデザインがいかに時代を先取りした画期的なものであったかが浮かび上がる。ディアギレフという奇才なしでは、バレエが現在のように発展したとは思えないばかりか、それ以外の芸術も今のような栄華を誇ることはなかったと思われる。彼は20世紀の芸術を築いた一大巨人であった。

すべての展示を観るのに4時間を要しただけでなく、一度観た後でもう一度、この圧倒的な体験をしたいと思って後日再びヴィクトリア&アルバートに足を運んだ。この展覧会は観るものではなく、まさに”体験”し、五感で感じるものだ。

ミュージアムショップで販売されていた、衣装のレプリカ
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また、本展覧会のカタログは240ページにわたるものであり、美しい図版に彩られたとても豪華なもので、カタログとしてだけではなく、読み物としても充実した内容だ。バレエ・リュスに関心のある人には必読の一冊となっている。(日本まで持って帰るのにはとても重かったけどー日本のアマゾンで買った方が安かったし!)

http://www.vandashop.com/product.php?xProd=5517&s=1

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さらに多くの写真をBallet.coのギャラリーで観ることができる。
http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_diaghilev_vanda-0910


「Diaghilev and the Golden Age of the Ballets Russes, 1909-1929」は来年1月9日まで開催されている。期間内にロンドンを訪れる予定の方には必見。

邦訳は出ていないが、このディアギレフの伝記はとても面白かった。感想はこちら

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2010/11/18

ウィーン国立バレエの新作「マリー・アントワネット」Marie Antoinette at Wiener Staatballett/追記

マニュエル・ルグリが芸術監督に就任したウィーン国立バレエは、新作として全幕作品「マリー・アントワネット」を上演します。振付はパトリック・ド・バナ。日本でも「マニュエル・ルグリの新しい世界」ガラで一部が上演されましたが、全幕としての上演は初めてとのことです。初日は11月20日。

ウィーン・フォルクスオーパーのサイトで情報が掲載されています。
http://www.volksoper.at/Content.Node2/home/spielplan/spielplan_detail.en.php?eventid=1020570

それによると、音楽は、マリー・アントワネットが生きた時代のものを使用しているとのこと。また、衣装をアニエス・ルテステュが手がけています。マリー・アントワネット役はオルガ・エシナ、夫のルイ16世をロマン・ラツィクが演じます。ロマン・ラツィクは今年6月の小林紀子バレエシアターの「眠れる森の美女」にゲスト出演し、ルグリが芸術監督に就任しての最初の作品「オネーギン」でプリンシパルに任命されたばかり。

振付のパトリック・ド・バナのYouTubeチャンネルに、メイキングの動画がアップされていると友達に教えてもらいました。これを観ると、とても雰囲気があって期待が高まりますね。

衣装がわかる写真がないかな、と探してみたのですがなかなか見つからず、以下のニュース記事に1枚オルガ・エシナの画像を見つけたのみでした。
http://www.mycentrope.com/de/home/616/marie-antoinette-erste-volksopern-ballett-premiere-in-der-amtszeit-legris

追記:初日を終え、好意的な批評がアップされていました。(写真つき)
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jfYHhwL1e2uWp9D02if97PKV4VDg?docId=CNG.00686f4ad896bf682a75eaefa3baeb5f.14e1

ド・バナにとっても、ウィーン国立バレエにとっても成功だったようであり、観客も6回のカーテンコールを迎えるなど、反応も良かったようです。

2010/11/16

新国立劇場バレエ団「シンデレラ」のキャスト

11月27日からの新国立劇場バレエ団「シンデレラ」(フレデリック・アシュトン振付)の詳細キャストが発表されました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001258.html

【シンデレラ】
 さいとう美帆(27日・1日)
 小野絢子(28日・3日)
 寺島まゆみ(4日)
 長田佳世(5日)

【王子】
 マイレン・トレウバエフ(27日・1日)
 山本隆之(28日・3日)
 貝川鐵夫(4日)
 福岡雄大(5日)

【義理の姉たち】
 保坂アントン慶(27日・28日・4日)
 高木裕次(27日・3日)
 井口裕之(28日・4日)
 マシモ・アクリ(1日・3日)
 堀 登(1日・5日)
 マイレン・トレウバエフ(5日)

【仙女】
 川村真樹(27日・1日)
 本島美和(28日・3日)
 湯川麻美子(4日・5日)

【道化】
 八幡顕光(27日・3日)
 福田圭吾(28日・4日)
 グリゴリー・バリノフ(1日・5日)

(他詳細キャストは上記リンク先をご覧ください)

なんといっても楽しみは、最終日にマイレンが義理の姉を演じることです。キャラクター役に定評のある彼がどれだけはじけてくれるか、今からわくわくしています。最終日は、「シンフォニー・イン・C」で素晴らしかった長田さんと福岡さんが主演する日ということもあり、チケットを買い足してしまいました。27日からの一週間はマイレンファンにとっては幸せな毎日になりそうです。

なお、「シンデレラ」の特設サイトが作られており、そちらでは、2006年の公演よりアリーナ・コジョカルとフェデリコ・ボネッリが踊った「シンデレラ」のダイジェスト映像を見ることができます。
http://www.atre.jp/10cinderella/index.html

黄金のマスク賞2009-2010シーズンのノミネート

11月12日に、ロシアで権威ある「黄金のマスク賞」のノミネートが発表されました。授賞式は2011年4月15日です。

http://www.goldenmask.ru/news.php?nid=1084&year=(ロシア語)

Nominated for Golden Mask. Season 2009-2010.

BALLET / PLAY
QUATRO, Theatre Centre in Kolomna, St. - Petersburg
Anna Karenina, Mariinsky Theater, St. Petersburg
SWAN LAKE, Mikhailovsky Theatre, St. Petersburg
In a Minor Key, Mikhailovsky Theatre, St. Petersburg
SIX DANCE. PETIT MORT, Musical Theatre. KS Stanislavsky and Vl.I. Nemirovich-Danchenko Moscow
Esmeralda, Musical Theatre. KS Stanislavsky and Vl.I. Nemirovich-Danchenko Moscow

BALLET-MODERN DANCE / CHOREOGRAPHY WORK Staged
Braim BUSHELAGEM, "Come on," Theatre «Top9», St. Petersburg
Martin ZHOSSEN and Abdenur Bellano, "Odyssey", the Company «Alexandra N'Possee», France and «Gust Life», Murmansk
Asier Zabaleta, "Next", Contemporary Dance Theatre, Chelyabinsk
Uri IVGI and Johan Grebe, "Song is not about love," Theatre "Provincial Dances, Yekaterinburg
Edward Clug, «Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
Mikhail Messerer, "Swan Lake", Mikhailovsky Theatre, St. Petersburg
Karin Ponte, "Mirliflor" Company "Dialogue Dance, Kostroma
Slava Samodurov, "In a Minor Key”, Mikhailovsky Theatre, St. Petersburg

BALLET-MODERN DANCE / ACTRESS
Ekaterina Borchenko, Odette-Odile - Swan Lake, Mikhailovsky Theatre, St. Petersburg
Ekaterina Kondaurova, Anna Karenina - Anna Karenina, the Mariinsky Theater, St. Petersburg
Natalya Ledovskaya, Esmeralda - Esmeralda, Musical Theatre. KS Stanislavsky and Vl.I. Nemirovich-Danchenko Moscow
Anastasia Matvienko, «Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
Valeria Mukhanov, "Six dances. Petit Mort, Musical Theatre. KS Stanislavsky and Vl.I. Nemirovich-Danchenko Moscow
Olesya Novikova, «Quatro», flax Theater Center in Kolomna, St. Petersburg
Anastasia PERSHENKOVA, "Six dances. Petit Mort, Musical Theatre. KS Stanislavsky and Vl.I. Nemirovich-Danchenko Moscow

BALLET-MODERN DANCE / ACTOR
Denis Matvienko, «Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
Leonid Sarafanov, «Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
Dmitry Khamzin, "Six dances. Petit Mort, Musical Theatre. KS Stanislavsky and Vl.I. Nemirovich-Danchenko Moscow

マリインスキー劇場からのプレスリリース
http://www.mariinsky.ru/en/news1/news1/12_november228_1/(英語)

ミハイロフスキー劇場からのプレスリリース
http://www.mikhailovsky.ru/en/events/the-mikhailovsky-theatre-productions-have-been-nominated-for-the-golden-mask-awards(英語)

主なものを拾っていきます。

最優秀バレエ作品
Theatre Centre in Kolomna, St -Petersburg「QUATRO」
マリインスキー劇場「アンナ・カレーニナ」
ミハイロフスキー劇場「白鳥の湖」
ミハイロフスキー劇場「In a Minor Key」
モスクワ音楽劇場「6つのドイツ舞曲/小さな死」
モスクワ音楽劇場「エスメラルダ」

バレエ・モダンダンス 最優秀振付作品
エドワード・クルーグ«Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
ミハイル・メッセレル(ミハイロフスキー劇場)「白鳥の湖」
ヴャチェスラフ・サモドゥーロフ(ミハイロフスキー劇場)「In a Minor Key」

最優秀バレエダンサー(女性)
エカテリーナ・ボルチェンコ(ミハイロフスキー劇場)「白鳥の湖」
エカテリーナ・コンダウローワ(マリインスキー劇場)「アンナ・カレーニナ」
ナタリヤ・レドフスカヤ(モスクワ音楽劇場)「エスメラルダ」
アナスタシア・マトヴィエンコ«Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
ヴァレリア・ムハーノフ(モスクワ音楽劇場)「6つのドイツ舞曲/小さな死」
オレシア・ノーヴィコワ«Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
アナスタシア・ペルシェンコワ(モスクワ音楽劇場)6つのドイツ舞曲/小さな死」

最優秀バレエダンサー(男性)
デニス・マトヴィエンコ«Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
レオニード・サラファーノフ«Quatro», Theatrical Centre in Kolomna, St. Petersburg
ドミトリー・ハムジン(モスクワ音楽劇場)「6つのドイツ舞曲/小さな死」

関連して、 2011年3月27日より4月14日まで「第17回黄金のマスクフェスティバル」が開催されるとのことです。


このノミネートを見て印象的なのは、現代作品がロシアでも中心となりつつあるということです。モスクワ音楽劇場がキリアン振付の「6つのドイツ舞曲/小さな死」でノミネートされていたり、ミハイロフスキーでは「白鳥の湖」のメッセレル新振付とともに、元ロイヤルのヴャチェスラフ・サモドゥーロフ振付の「In a Minor Key」がノミネート。マリインスキーのノミネートは、アレクセイ・ラトマンスキー振付の「アンナ・カレーニナ」関連。

そしてマトヴィエンコ夫妻とサラファーノフ、ノーヴィコワの夫妻が参加している「QUATRO」という作品は、マリボール劇場の芸術監督であるエドワード・クルーグ(「Radio & Juliet」で知られている)の振付によるものです。
オフィシャルの動画(デニス・マトヴィエンコとサラファーノフのデュエット)があったので、貼っておきます。

2010/11/14

11/12 日本バレエ協会 第49回 バレエ・フェスティバル

日本バレエ協会において、振付家に作品発表の場を提供して、その育成を図る事を趣旨とした公演事業なのが、この「バレエ・フェスティバル」。私が通っている教室の子が出演するというので観に行った。実は体調があまりよくなかったので楽しめるかどうか不安だったけれども、実際に舞台を観たら足を運んだ甲斐はあって楽しめた。

http://www.j-b-a.or.jp/49th-festival.html

なお、会場では、日本の国家予算に占める文化予算がわずか0.11%であり、それを0.5%に増やそうという芸団協の「もっと文化を」キャンペーンの署名集めをバレエ協会の方が行っていた。ちなみにフランスでは0.86%、韓国では0.79%なのだそうだ。バレエ教室にも署名用紙が送られてきたので、私はそちらで署名したのだけど。
http://www.motto-bunka.com/index.html

第一部 江藤 勝己作品
「ショスタコヴィチ・ピアノコンチェルト」

第1楽章  寺島ひろみ/Ligang Zou
第2楽章  津下 香織/河島 真之
第3楽章  平塚由紀子/冨川 祐樹

榎本 祥子/川口 直実 鈴木久美子/福泉 陽花
佐々木淳史/佐藤 琢哉 徳永 太一/横内 国弘

石橋 美々/小野まり子 岸 彩果/小峯 沙耶
清水美由紀/中村 彩子 相沢 明香/宇高 梨那
大森早希子/小田 知里 金海 汐美/神田 衣舞
菊池 裕香/佐々木麻梨絵 鈴木 淑子/須藤 里沙
土屋絵里子/中間 美妃 廣田 奈々/水上 千里
村田 己枝/山口ゆりあ

この作品で使われているショスタコーヴィッチのピアノコンチェルト2番は、マクミラン振付の「コンチェルト」でも使われている曲。特に第2楽章は振付の構成がちょっと「コンチェルト」に似ていたような感じで、そうなるとやはり「コンチェルト」の素晴らしさを改めて実感してしまう。第1楽章の溌剌とした感じは良かった。寺島ひろみさんの踊りが音楽に寄り添っていて、しなやかでとても美しい。彼女が今シーズンから新国立劇場バレエ団では登録ダンサーになってしまい、「シンフォニー・イン・C」で踊らなかったのがとても残念だ。その「シンフォニー・インC」にも出演していた冨川祐樹さんはサポートがとても上手い。

第二部 貞松正一郎作品
「アイ・ガット・リズム」
 
岩田唯起子/富村 京子
大久保真貴子/吉田真由美
法村 圭緒/藤野 暢央

壁谷まりえ/金海 怜香織 梢 朱里/小銭 香織
酒井香奈江/佐藤さやか 佐藤 真実/佐藤 未里
高橋 彩乃/田中 恵梨 野口 陽香/長谷川友実
森下 愛子/山口 麗子

周藤 壱/草場 有輝 山内 一

ガーシュインの曲に合わせ、カラフルなドレスに身を包んだダンサーたちが楽しげに踊るミュージカル的な作品。躍動感に溢れているキュートなダンスナンバーで、フォーメーションも次々と変化して上演時間の長さを感じさせない。香港バレエ団から日本に拠点を移した富村京子さんが生き生きとしており、また同じく元オーストラリア・バレエ、香港バレエ団の藤野暢央さんのダイナミックな踊りも印象に残った。

第三部 篠原 聖一作品
「カルメン」
 
カルメン :下村由理恵
ドン・ホセ :佐々木 大
スニーガ :森田健太郎
エスカミリオ :沖潮 隆之
篠原 聖一

荒井 英之/伊集院玲介 亀田 琢也/持田 耕史 山崎 健悟

大浦 妙子/小野田奈緒 粕谷 麻美/金子 優
川久保博子/呉 佳澄 齊藤 未歩/佐藤 友香
大長亜希子/中村 蓉子 西玉絵里奈/林 直美
林 麻衣子/平尾 麻実 穴井 宏実/大久保愛波
小山 裕子/小野 麗花 木立 有紀/熊崎 美奈
高津城里佳/古賀 和子 小山 彩未/越田 真生
坂本 瑞季/高橋 由佳 浜 里美/南部 美和
八木真梨子/山下友梨香 

栁澤 郁帆
アクリ土門/伊藤 充 奥田 祥智/加藤 静流
佐野朋太郎/西澤 優希

演技力に定評のある下村由理恵さんのカルメン像には説得力があった。誇り高く、火のような情熱を持つ一方で移り気で気まぐれなカルメンは、湿り気のかけらもなくまるで牝猫のよう。そしてそのカルメンにどうしようもなく魅せられていくドン・ホセを佐々木大さんが好演。大きな跳躍など鮮やかなテクニックも健在で、カルメンに絡めとられていく男ではあるけど、彼女に惚れられることも理解できる力強さと男の魅力、そして苦悩を体現していた。思わず息も止まりそうになるほどのふたりの感情の応酬。ドン・ホセの影として登場する篠原さん演じるキャラクターが、彼の宿命を操っているかのようでドラマ性を増幅させていた。篠原さんの演出は、「カルメン」の物語をわかりやすく1時間にまとめており、猥雑さを表現しながらもシンプルで洗練されたプロダクションデザインも秀逸。全幕作品を観たくらいの満足度があった。街の子供たち役で、今後有望な少年たちも多数出演し、衛兵の一人には、アメリカン・エクスプレスのCMに出演している元K-Balletの荒井さんがいた。

「情熱大陸」600回記念シリーズで熊川哲也さん(12/5放映予定)

MBS系の番組「情熱大陸」の製作会社テレビマンユニオンのサイトで、600回記念シリーズとして
「バレエダンサー  熊川哲也1998  ――→  2010」が12月5日に放送予定とありました。

http://www.tvu-seisaku.com/program/jounetsu.html

まだ番組のオフィシャルサイトの方には、予定は掲載されていません。
http://www.mbs.jp/jounetsu/

「情熱大陸」では今まで何回か熊川さんを取り上げているので、その集大成のようなものが見られそうで楽しみです。

■制作者から
 熊川哲也は、もっと個人主義でクールな男だと 思っていました。 8月のある日、Kバレエカンパニースタジオの玄関 先。その日はKバレエカンパニーにとっての新シー ズンの初日。壁には昇格した人や辞めたダンサーの 名前が張り出され、みんなで稽古場の大掃除とい う、新学期か正月明けのような日でした。なのに、 ダンサーたちはいつもと変わらず。新シーズンを迎 えての挨拶なんて誰一人しない。  そんな時、突然の説教タイムは始まりました。  挨拶は人としての基本だろ!日本人の美徳だろ! 何で誰もしないんだ!ソリストの君たちがしないか ら若手も誰もしないんだろ!ダンサーの前に大人だ ろ!ちゃんとしよーぜ!  経営者として先輩ダンサーとして、若手ダンサー やスタッフをちゃんと育てようとする、熊川哲也の 知られざる一面を見た気がしました。  ただ残念だったのは、その日カメラを持ってな かったことでした・・・。 (松葉直彦)

「情熱大陸」
TBS・MBS系 毎週日曜 23:00~23:30

2010/11/12

マラーホフ&フレンズのスライドショー Slideshow of Malakhov & Friends/追記

ドイツ・ベルリンで11月9日、ウラジーミル・マラーホフを筆頭とするバレエダンサーが競演する「Malakhov and Friends」の報道陣向けのパフォーマンスが公開されたそうで、AFPのサイトに美しいスライドショーがアップされています。公演は10日から。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2774861/6438373

出演は、マラーホフのほか、ジュリー・ケント、ヤナ・サレンコ、マリアン・ヴァルター、ナディア・サイダコワ、ナタリア・レドフスカヤ、セミョーン・チュージン、エフゲーニヤ・オブラスツォーワ、ディヌ・タマズラカル、ベアトリス・クノップ、ドミトリー・セミオノフ、ライナー・クレンシュテッター、セブネム・ギュルゼッカー、上野水香、高岸直樹。

上野さんと高岸さんはマラーホフ振付の「シンデレラ」を踊ったようですね。

追記:ベルリン国立バレエがブログを開始しました。早速いろいろと載っています。

http://staatsballettberlin.wordpress.com/

さらに追記:ここにもスライドショーがありました。
http://www.maerkischeallgemeine.de/cms/beitrag/11938002/1280932/Ballett-Gala-Malakhov-und-Friends.html?reihe=1&bildergalerie=J&blockid=14136304&picId=14136332_501373

シュツットガルト・バレエ エヴァン・マッキーのオフィシャルサイトとインタビュー Stuttgart Ballet Evan McKie's Official Site & Interview

シュツットガルト・バレエのプリンシパル、エヴァン・マッキーのオフィシャルサイトがこのほどオープンしました。インタビュー、写真、出演作品のダイジェスト映像など充実したコンテンツです。また、写真家としても活動する彼の撮影作品も掲載されています。

http://www.evanmckie.com/

このオフィシャルサイトのコンテンツのうち、インタビューのひとつについては私が協力しました。エヴァンの許可を得て、そのインタビューの日本語訳をこちらに掲載します。インタビュー掲載にあたり、エヴァン・マッキー本人より写真を提供していただきました。

エヴァンは日本では2008年の来日公演「眠れる森の美女」の岩国公演でデジレ王子、東京と兵庫公演で北の王子を踊っただけで、十分知られているとは言えません。が、今年1月には26歳という異例の若さで「オネーギン」のタイトルロールを踊り絶賛を浴びております。私も幸運にも彼の「オネーギン」デビューを観ることができ、役柄にこめられた複雑な感情の襞、情熱、そして夢見心地へと誘ってくれる鮮やかで端正な踊りに魅かれました。古典から「ハムレット」などのドラマティックな作品、フォーサイスやマクレガーなどコンテンポラリーまで幅広いレパートリーを持つ、長身でラインが美しくエレガントなダンサーです。オフィシャルサイト開設を機会に、彼のことを知ってもらえればと思います。

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ウィリアム・フォーサイス振付「精密の不安定なスリル」 The Vertiginous Thrill of Exactitude Stuttgart Ballet Archive© (写真はクリックで拡大します)

また、エヴァンはtwitterを通して積極的に情報発信を行い、ソーシャルメディアについても先進的な考えを持っています。バレエのソーシャルメディア化ではリーダー的な存在である英国のサイト、The Ballet Bagでも同時にエヴァンのインタビューを掲載しているので、こちらも併せてお読みいただければ。

Stages On Life’s Way: An Interview With Evan McKie
http://www.theballetbag.com/2010/10/30/interview-with-evan-mckie/

*******

Q.あなたにとって踊るのが楽しい役、そして今後踊りたい役は何ですか?

エヴァン:「オネーギン」は、魔法のような役だから、ずっと演じ続けたい役だ。(ケヴィン・オデイ振付の)「ハムレット」は気迫を持つことを必要とする役で、このような、人間性を表現しているコンテンポラリーな振付のある役を演じるのはとても面白いよ。「オネーギン」のレンスキーは、今までも何回も演じてきた素晴らしい役だ。僕が一番好きなのはドラマティックな役だ。もちろん、今後踊りたいと思っている役のリストはあるよ。「椿姫」のアルマン、マリシア・ハイデ版「眠れる森の美女」のカラボス、「マイヤリング(うたかたの恋)」のルドルフ皇太子、デヴィッド・ビントレー振付の「エドワード2世」など。でも、実際には、期待していなかった役に一番インスピレーションを与えられることもあるんだ。


Q.あなたのダンサーとしての長所はどこにあって、どの部分をより強化したいと思いますか?

エヴァン:僕はダンスは芸術だと思っているので、そのように分解しては考えたくない。時にはそのようなことを話すのは難しい。自分が何が得意であるかを決めるのは、僕の役割ではないと思う。僕が愛しているのは、僕と踊る人や観客の反応だからね。いつも僕ができる限りリスキーなことを好むことを、彼らはわかってくれている。僕自身、どのような役柄においても、あたりまえのところから外れることを楽しんでいるよ。

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ジョン・クランコ振付「オネーギン」Onegin オネーギン:エヴァン・マッキー、タチヤーナ:ミリアム・サイモン Stuttgart Ballet Archive©

Q.「オネーギン」役を踊るダンサーには、どのような資質が必要と思いますか?

エヴァン:オネーギン役を演じるにあたって、ダンサーは物語を良く知り、愛し、そしてクランコが作品の一つ一つの部分から何を求めていたのかを本当に理解しなければならない。(芸術監督の)リード・アンダーソンと(バレエミストレスの)ジョルジェット・ツィングリーデス(Georgette Tsinguirides)がこのことについて、本当にたくさんのことを教えてくれた。
この役を演じる人は、観客が同じように感じることができるためにはふたりの「パートナーシップ」が本物であり、また情熱的なあまり傷つきやすいものであるということを理解しなければならない。この役を最高のものとして演じるために、そしてバレエ全体を自身の肩に背負うという責任を負うためには、実際よりも堂々としたキャラクターでなければならないと思う。カンパニーのエネルギー、そして舞台上で起きる全てを感じ、それを観客へと伝える役割を担っているのがオネーギン役なんだ。僕は、この責任の重さを、キャラクターの重さに反映させたいと思った。とても重い責任だけど、魅力的なことだったよ。今までこの役は2度しか演じていないけれども、フルコースのディナーのようにゆっくりと観客の食欲を満たすのは楽しいと感じたんだ。「オネーギン」を10皿のコースのディナーに分けてみるのがね。僕のお気に入りのかつてのオネーギン・ダンサーたちは、みなこのようにこの役を演じてきたんだ。


Q.レンスキー役を演じてきたことが、オネーギンを演じるに当たってどのように影響を与えてきましたか?

エヴァン:レンスキーというのは、文字通りにとらえれば引き立て役だけど、二人のキャラクターの違いはお互いをうまく補完している。両方の役を演じるということは(そして、友人と、決闘相手の両方を演じるということは)、僕がそれぞれのキャラクターをよりはっきりと理解できるということだ。オネーギンのどんなところが、レンスキーにとってとがめるものがあって、それがレンスキーの激しい怒りへと結びつくのか。そしてレンスキーの何が、オネーギンが彼を危険なやり方で嘲るようなことに結びつき、すべての物事が行き過ぎた後に激しく後悔するようなことにさせてしまったのだろうか。二つの役を演じたことで、僕は二人の複雑な感情を両方理解できるのだと思う。


Q.あなたが仕事をしたい振付家やアーティストは誰ですか?

エヴァン:僕のところに来て僕をよく理解できて、そして僕が彼を理解できる、そんな人。僕はサプライズが好きなんだ。

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ケネス・マクミラン振付「レクイエム」リハーサルよりRequiem rehearsal Photo: Ulrich Beuttenmüller/ The Stuttgart Ballet©

Q.自分の振付作品を創ってみていかがでしたか?再び振付をやりたいと思いましたか?(エヴァンはアリシア・アマトリアンとジェイソン・レイリーに「Vapour Plains」という作品を振り付けた。同作品は2009年7月にシュツットガルトにて初演、そして今年4月の韓国でのスージン・カン・ガラではスージン・カンとジェイソン・レイリーにより踊られた)

エヴァン: 正直に言えば、僕は写真を撮っているときのほうが楽しい。その瞬間のファンタジーとともに駆けていくことができるから。それは僕がとても惹かれていることだ。振り付けは別の意味で楽しいのだけど、フラストレーションを感じることもたくさんあったよ。今では、僕は素晴らしい振付家たちをどんどん知っているからね。作品は観るたびに違ったものになっていく。常に生きていて呼吸をしているかのように。プロセスはとても楽しいんだ。コンセプトを作って観客に場の雰囲気を提示することはとても楽しかった。また、他では見ることのできないダンサーの側面を見ることができた。彼らは作品のコンセプトを信じてくれたから、どんなことにでも挑戦しようとしてくれて、とても素晴らしかった。アンソニーとジョンソンズによる音楽を使ったこともとても素晴らしいことだった。彼の声は、ピュアでシンプルだけど難しい動きに対して、とても多くのインスピレーションを与えてくれた。この作品「Vapour Plains」は、リフトと身体のねじれが多用されており、強靭さとバランスを必要としている、そのこと自体がこの作品の本質なんだ。間違いなく、僕は振り付けすることに再挑戦すると思う。僕は関係性の親密さが好きなので、またパ・ド・ドゥとなるだろう。自分のことを「振付家」と呼ぶのは実際にはちょっと違うと思っている。でも、機会があればまた振付はしたいよ。

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Photo:Elisabeth Günther©

Q.では、あなたの好きなダンサーは誰ですか?

エヴァン:僕が思わず震えを起こしてしまうような人なら誰でも。リスクを好んで冒す人。「僕はここにいて、そのことが大好きで、君もそれが大好きなことを知っているよ」と愛を分かち合ってくれる人。多くのものを与えてくれて、どうやってそれが与えられるかをわかっている人。僕は、特に物語バレエにおいて自分たちが何をしているのかどうでもいいという人のファンにはならない。もし、その人が本当に心をこめて演じているならば、どのように物語を語るか、どうやって人々の琴線に触れるか、そして最終的にインスピレーションを与えることができるのか、そのことに没頭しているはずだから。


Q.アーティストとしてのあなたにインスピレーションを与えるものは何ですか?

エヴァン:文字通り、どんなものでも僕にインスピレーションを与えることはできる。全てのものからインスピレーションを受けるという姿勢でいなければならない。日本にいる多くの人たちはそれを判っていると思う。僕は本をたくさん読んでいるし、単なる一観客として劇場に通うのも大好きなんだ。本当だよ。

エヴァン・マッキーの出演作品動画
オネーギン」1幕 鏡のパ・ド・ドゥ
オネーギン」3幕 手紙のパ・ド・ドゥ
椿姫」1幕 デ・グリュー役
椿姫」3幕 デ・グリュー役
眠れる森の美女」3幕 パ・ド・ドゥ
ジョン・クランコ版「白鳥の湖」2幕パ・ド・ドゥ
モスクワ音楽劇場 ペストフ・ガラより「HOLBERG SUITE(ジョン・クランコ振付)/FANFARE LX(ダグラス・リー振付)

2010/11/11

ナチョ・ドゥアトがミハイロフスキー・バレエに新作「眠れる森の美女」を振付 Nacho Duato will re-stage Sleeping Beauty at Milhailovsky in 2012

ロシア語の記事を英語に自動翻訳して読んだので、どこまで内容を正確に把握しているか自信はないのですが、ナチョ・ドゥアトのとても興味深いインタビュー記事を読みました。

http://www.fontanka.ru/2010/11/09/143/ (ロシア語)

2011年1月にミハイロフスキー・バレエの芸術監督に就任するナチョ・ドゥアトは、カンパニーを訪れてダンサーたちとリハーサルを行ったとのことです。そのリハーサルの模様は、ミハイロフスキー劇場のFacebookのアルバムで見ることができます。ナチョはやっぱりかっこいいですね。
http://www.facebook.com/album.php?aid=244323&id=42830764661&ref=mf

インタビューの中で、もともとドゥアトはクラシック・バレエを学びたかったものの、フランコ政権下の情勢ではそれを学ぶことができず、コンテンポラリーの世界に身を投じたと語っています。したがって、バレエの聖地であるサンクトペテルブルグにあるクラシック・バレエ・カンパニー、ミハイロフスキーの芸術監督になるということは長年の夢の現実化であったそうです。

彼が強調していることは、芸術監督に就任する前にミハイロフスキー劇場で創造された全てに敬意を払い、守りたいと考えていること。カンパニーをリセットすることは考えてないとのことです。過去において、新たにカンパニーに就任したプロデューサーの多くは、レパートリーを一から作り直して過去のものを破壊してきてしまったけど、そのようなことはしない考えだそう。自分の役割は、ミハイロフスキー劇場に新しい命を吹き込むことであり、劇場の総支配人であるウラジーミル・ケフマンも、就任要請を行ったときにそうしてほしいと語っていたそうです。

実は1920年代にはミハイロフスキー劇場は実験的なアヴァンギャルド作品も上演していたという歴史がありました。ドゥアトは、今後数年間の間に、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス、ハンス・ファン・マーネンらの作品を上演し、世界の重要な振付家たちと仕事をしていくことを考えています。

ドゥアトはミハイロフスキー劇場では大いなる意欲を感じているそうです。そして優れたクラシックダンサーは、コンテンポラリーにも優れている、たとえばマイヤ・プリセツカヤのキトリは、とても現代的だと彼は感じています。彼は過去にスヴェトラーナ・ザハロワと仕事をしたことがあり、その経験からも、クラシックダンサーかモダンダンサーかどうかということは大きな問題ではないと感じているそうです。まずは才能のあるプロフェッショナルなダンサーであることが先決であると。

インタビュアーの、「モダンダンスの経験がほとんどないクラシックダンサーの身体は、新しい舞踊言語を受け入れるのが困難なのではないか」という質問に対して、ドゥアトは、自身の作品を観てもらえばわかると思うけど、クラシックバレエの語彙に基づいているものであるし、ピナ・バウシュのようにヒップホップに合わせてダンスを創っているわけではないと答えています。最近では、モスクワ音楽劇場バレエが、彼の作品の中では比較的わかりやすい「ナ・フロレスタ」を上演していますが、この上演はたったの4日間で実現したとのことです。それに対し、ドゥアトのミハイロフスキーでの任期は少なくとも5,6年は予定されているので、時間はたっぷりあり、そのことが重要であると彼は強調していました。毎日アーティストたちと話し合い、指導を行い、彼らから学び、新しいプロダクションを制作するための時間があるということを。

なお、ナチョ・ドゥアトの今後の活動計画の中には、ワガノワ・アカデミーとのプロジェクトの可能性もあるとのこと。彼は世界中のカンパニーやバレエ学校で指導を行っており、ワガノワ・アカデミーに行った時には、彼の作品をYouTubeを通して知っていた生徒たちが「ドゥアトが来た!」とささやき合っていたそうです。ワガノワの生徒たちも、コンテンポラリー作品に大いに関心を持っていることを感じたそうです。

ドゥアトは、まだミハイロフスキーのダンサーたちとは今回初めてリハーサルを行ったばかりであるため、全員の名前は覚え切れておらず、注目したダンサーの名前を一人一人あげていくことはできない、ただし、プリマ・バレリーナであるイリーナ・ペレンとエカテリーナ・ボルチェンコについてはもちろん語らないわけにはいかないとのことです。

今回、ミハイロフスキー劇場の芸術監督に就任するに当たって、ドゥアトは相反した感情を持っていると語っています。振付家としては、一休みという意味あいが強いとのこと。なぜなら、芸術監督としての仕事、指導が中心となるため、新作を次から次へと生み出すことは難しく、振付家としての活動はむしろ後退するかもしれないからだそうです。しかしながら、ミハイロフスキー劇場においては、彼はクラシックの作品を制作する機会を与えられ、具体的にそれは2012年にプティパ振付に基づく「眠れる森の美女」の復刻であるとのことです。

今日、ドゥアトはダンサーたちのために美しいものを創り、人々へ送り出す強い思いを感じているとのことです。コンテンポラリーの振付は、ダンスが奇妙なものであるべきだと人々に語ってきた、現代において、ダンスは第一に美しいものであるべきであることを忘れてきたのではなかったかと彼は感じています。サンクトペテルブルグにやってきたことで、自身の振付のスタイルが変わっていくということに興奮を覚えているそうです。自身の作品において現代性は失われないけれども、よりはっきりとしたもの、そして詩的なものへと変わっていくことを期待していると彼は語っています。すでにサンクトペテルブルグの街が彼に多くの影響を与えており、この街とその人々を気に入っているのだそうです。

*******
正しくインタビューの意味を伝えられたか自信はないのですが、ナチョ・ドゥアトの考えている方向性が伝わってくるインタビュー記事です。クラシック・カンパニーとしての今までのミハイロフスキー劇場を尊重しつつも、現代作品も取り入れていくとのこと。そして、「眠れる森の美女」の新制作を彼が行うというのはビッグニュースですね。2012年とのことですが、とても楽しみです。日本でも観る機会があることを祈ります。レオニード・サラファーノフが、ナチョ・ドゥアトと仕事をすることを夢見てマリインスキーからミハイロフスキーに移籍するとのこと。きっと新作の「眠り」は彼が踊ることになるんでしょうね。


2010/11/10

K-Balletの「ピーター・ラビットと仲間たち」「真夏の夜の夢」

K-Ballet Companyは2011年3月10日(木)~3月21日(月・祝)に「真夏の夜の夢」「ピーター・ラビットと仲間たち」を上演するとのことです。

http://www.k-ballet.co.jp/topics/performance.html#101108

その出演キャストが発表されているのですが、熊川哲也さんが「真夏の夜の夢」全7公演のうち6公演でパック役を踊るのだそうですね。オベロン役は、やはり全7公演のうち6公演で遅沢佑介さんが踊り(残り一公演は浅田良和さん)、タイターニア役は松岡梨絵さんと荒井祐子さん。パックを1日だけ踊る酒匂麗さんは、まだアーティスト(コール・ド)です。

実は1992年のロイヤル・バレエの来日公演で、熊川哲也さんのパックを観たんですが、それから18年後もパックを踊ることができるとは、本当に熊川さんって凄い人です。


なお、以前にもちょっと触れましたが、K-Ballet Company に、元NBAバレエ団の秋元康臣さんが入団したことが11月1日付で正式に発表されていました。ファーストアーティストというランクでの入団です。

http://www.k-ballet.co.jp/topics/performance.html#101101

オーストラリア・バレエの昇進、移籍情報 Australian Ballet's Promotions & Leaving

先月の来日公演も大好評のうちに終わったオーストラリア・バレエですが、来日公演でも活躍したダンサーの昇進と移籍が発表されています。

まず昇進から。

3人の新プリンシパルが発表されました。
http://www.australianballet.com.au/news_and_reviews/news/three_new_principal_artists

Daniel Gaudiello, Kevin Jackson Lana Jones

この中で、まずケヴィン・ジャクソンは来日公演の「くるみ割り人形」で主役の将校/医師を演じて記憶に新しいところです。まだプリンシパルじゃないの?と思ってしまう実力とグッドルッキングの持ち主でしたね。ダニエル・ゴーディエロは来日公演の「白鳥の湖」で伯爵を踊っていました。また、ラナ・ジョーンズは、「白鳥の湖」で大きな白鳥の一人を踊っていました。
ダニエル・ゴーディエロとラナ・ジョーンズは夫婦であるとのことで、揃ってのプリンシパル昇進で何倍も嬉しいことでしょう。下の記事によると、現在28歳の二人は同期入団で、昨年の大晦日に結婚したばかりとのことです。
http://www.heraldsun.com.au/ipad-application/and-they-danced-happily-ever-after/story-fn6bn9st-1225949317930

http://www.australianballet.com.au/news_and_reviews/news/rising_through_the_ranks

Senior Artist への昇進
Juliet Burnett, Tzu-Chao Chou Ty King-Wall

Soloistへの昇進
Amy Harris, Robyn Hendricks, Ben Davis, Rudy Hawkes, Brett Simon, Jacob Sofer Andrew Wright

Corypheeへの昇進
Chengwu Guo, Halaina Hills, Jarryd Madden, Heidi Martin、 Garry Stocks

コリフェに昇進したチェングウ・グォは、映画「小さな村の小さなダンサー」で主人公リー・ツンシンの少年時代を演じていましたね。順調に昇進しているようです。

一方で、ちょっと残念な移籍のニュースです。来日公演の「白鳥の湖」、そして同作品のDVDでロットバルト男爵夫人を演じた美しいダニエル・ロウがオーストラリア・バレエを去り、2011年1月よりヒューストン・バレエにシニア・アーティストとして参加するとのことです。
http://www.australianballet.com.au/news_and_reviews/news/principal_artist_to_leave

ダニエル・ロウはオーストラリア・バレエに10年間在籍し、カンパニーでの最後の舞台は12月22日になるとのことです。新天地での活躍を祈ることにしましょう。

2010/11/08

ワールドクラシックス@シネマ2011の上映作品詳細

先日ご紹介した、ワールドクラシックス@シネマ2011(国内映画館でオペラ、バレエ作品を上映)について、プレスリリースを送っていただきましたので、上映作品情報詳細を追加します。

ロイヤル・バレエの「ロメオとジュリエット」は吉田都さんの日本での最後の公演とのことです。以下、上映作品の詳細をご紹介します。


バレエ 「ロメオとジュリエット」 英国 ロイヤル・バレエ 日本公演(2010年6月29日上演)

優れた演劇性で世界的に名高い英国ロイヤル・バレエにとって、「ロメオとジュリエット」は代表的なレパートリーの一つ。シェイクスピアの名作をバレエ化した傑作。日本が世界に誇るプリマバレリーナ吉田都のロイヤル・バレエとの最後の共演となった、2010年6月のロイヤル・バレエ日本公演。

バレエ 「白鳥の湖」 ロシア ボリショイ・バレエ (2010年9月26日上演)

ロシアバレエの殿堂、ボリショイ・バレエ。 チャイコフスキーの三大バレエのひとつ「白鳥の湖」は、1877年にボリショイ劇場で初めて上演された。この伝統のレパートリーを現在のボリシショイを代表するスターバレリーナ、マリア・アレクサンドロワが主演で躍る。

バレエ 「クラスコンサート」 「ジゼル」 ロシア ボリショイ・バレエ (2011年1月23日上演予定)

ボリショイ劇場は2010年12月から2011年5月末までに、ボリショイ・バレエ作品を世界 22 カ国への映画館生中継する計画を発表。そのラインナップから1月23日上演される、バレエのクラスの様子を作品にしたボリショイ・バレエならではの超絶技巧が繰り広げられる「クラスコンサート」およびロマンティックバレエの名作「ジゼル」の2作品を日本で上映。(生中継ではありません)

バレエ 「コッペリア」 パリ・オペラ座バレエ(2011年3月28日上演予定)

フランス国王ルイ14世によって創設されてから350年あまりという最古の歴史を持ち、日本でも絶大な人気を誇るパリ・オペラ座バレエ。「コッペリア」は1870年にパリ・オペラ座で初演され、それ以来同バレエ団の重要なレパートリーの一つとなっている。今回上演が予定されているのは、パトリス・バール振付の1996年版。

<上映予定劇場>
新宿バルト9ほか、全国の劇場で順次上映予定(詳細未定)

http://livespire.jp/news/2010.html#20101104035506

ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースの芸術監督辞任問題 Save Royal Ballet of Flanders

ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースはアントワープ市にあり、ベルギー唯一のクラシック・バレエカンパニーとして高い評価を得ているバレエ団です。現在の芸術監督であるキャスリン・ベネッツは、2005年に芸術監督に就任する前にはフランクフルト・バレエでバレエ・ミストレスを15年間務めており、そのためロイヤル・バレエ・オブ・フランダースはウィリアム・フォーサイス振付「インプレッシング・ザ・ツァー」(「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」の全幕版)の上演権を唯一持つなど、フォーサイス作品で知られています。プリンシパルには、斉藤亜紀さんがいます。

カンパニーのオフィシャルサイト
http://www.koninklijkballetvanvlaanderen.be/Site/rbf.htm

フォーサイス作品の他にも古典全幕作品の上演を行っているロイヤル・バレエ・オブ・フランダースは、ベネッツの芸術監督としての手腕が発揮され、世界有数のカンパニーとして評価されています。ところが、フランダースの文化長官は、2013年よりロイヤル・バレエ・オブ・フランダースとフランダース・オペラを同じ組織とし、それぞれの芸術監督が、予算と上演作品の編成の権限を持つ管理者の下に置くことにするとの計画を発表しました。実質的に二つの団体を合併する案です。この計画はバレエ団の独立性を損なうとして、ベネッツ芸術監督は契約が切れる2年後に辞任すると表明しました。

ベルギーの放送局で行われたインタビューの中で、涙ながらにベネッツ芸術監督が訴える様子はYouTubeやFacebookを通じて広がり、ダンス界に大きな反響を引き起こしました。

このインタビューで、ベネッツは、文化長官の決定を「傲慢で無知である」と非難し、自身は辞任するというより実質的に解任されたと語っています。
バレエ団には50名のダンサーが所属しており、ヨーロッパのみならず米国やアジアへのツアーも行っているけれども、予算不足によりダンサーへの待遇はヨーロッパのカンパニーの中でも非常に悪い中やってきた。現在バレエ団の予算は560万ユーロであるが、200万ユーロの増額を希望しているものの、現在の予算ですら減らされようとしている。同じ規模の平均的なヨーロッパのバレエ団は2000万ユーロの予算を確保されているのに、それではやっていけないとも訴えています。ルーベンスを生んだフランダース市であるのに、自分たちの活動を全く評価していないと。

世界中のメディアがこの問題を取り上げています。
New York Times
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2010/10/28/ballet-leader-to-leave-over-flemish-officials-plan/

オーストラリアの新聞記事(かなり詳しく書いてあります)
http://www.theaustralian.com.au/news/arts/aussie-trouper-engages-in-battle-over-flanders/story-e6frg8n6-1225949076118
(キャスリン・ベネッツはオーストラリア出身でオーストラリア・バレエ学校出身、オーストラリア・バレエの前芸術監督が交代するときには、次期芸術監督の有力候補者でもありました)

そしてFacebookにSave Royal Ballet Of Flandersというグループができ、現在5000人以上のメンバーが参加しています。
http://www.facebook.com/pages/Save-Royal-Ballet-Of-Flanders/106874442712339

Twitterでは、Ballet is no jokeという、この問題を扱う専用のアカウントができました
http://twitter.com/balletisnojoke

フレミッシュ・オペラと合併する案へ反対し、バレエ団の独立性を維持して予算の維持を要請する請願への署名サイト
http://www.royalballetofflanderssupportgroup.net/

ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースのオフィシャルサイトには、彼らの活動への支援を表明した世界中のバレエ・カンパニーやダンサーなどのアーティストの名前が記載されており、また、ベネッツ芸術監督への支持を表明したウィリアム・フォーサイスの公開書簡(PDF)もアップされています。
http://www.koninklijkballetvanvlaanderen.be/Site/news.htm#4

*****

事業仕分けで文化関係の予算が大幅に削減され、新国立劇場への予算も減額された日本においても、同じような状況が起きる可能性は高いものと考えられます。したがって、フランダースで起きていることは決して他人事ではありません。不況にあって、人々の心を支えるものが芸術であるということを理解している政治家は少ないようです。

2010/11/07

パリ・オペラ座の昇進コンクール結果(男性ダンサー編)/追記あり

6日のパリ・オペラ座の昇進コンクール、男性ダンサーの結果が出ました。

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4813&postdays=0&postorder=asc&start=90

(正式な結果は、後日発表されるオペラ座公式サイトのニュースをご覧ください)

プルミエには、フロリアン・マニュネが昇進したとのことです。最近では主役を踊る機会も出てきており、予想通りの結果ですね。

また、コリフェには、ダニエル・ストークス、ヤニック・ビッテンクール、マルク・モロー、シリル・ミティリアン、アリスター・マディンが昇格しました。

順位は以下の通りです。

Quadrilles : カドリーユ

1. Pierre Arthur Ravaud, promu 昇格
2. Hugo Vigliotti, promu  昇格
3. Alexandre Gasse, promu  昇格
4. Julien Cozette, promu  昇格

Les autres candidats ne sont pas classés


Coryphées : コリフェ

1. Daniel Stokes, promu  昇格
2. Yannick Bittencourt, promu  昇格
3. Marc Moreau, promu  昇格
4. Cyril Mitilian, promu  昇格
5. Allister Madin, promu  昇格
6. Grégory Dominiak


Sujets : スジェ

1. Florian Magnenet, promu  昇格
2. Audric Bezard
3. Mallory Gaudion
4. Yann Saïz
5. Aurélien Houette
6. Fabien Révillion


追記:パリ・オペラ座のオフィシャルサイトにも、結果が発表されています。
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/actualites/index.php?lang=fr

ARTISTES HOMMES
Premier Danseur
Monsieur Florian Magnenet

Sujets
Monsieur Daniel Stokes
Monsieur Marc Moreau
Monsieur Cyril Mitilian
Monsieur Allister Madin

Coryphées
Monsieur Pierre-Arthur Raveau
Monsieur Hugo Vigliotti
Monsieur Alexandre Gasse
Monsieur Julien Cozette

2010/11/06

ABTのラトマンスキー版「くるみ割り人形」ミニサイト

ABTは12月22日より1月2日まで、NYブルックリンのBAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)において、アレクセイ・ラトマンスキー振付の新作「くるみ割り人形」を上演します。そのラトマンスキー版「くるみ割り人形」を紹介するミニサイトがオープンしていました。

http://www.abt.org/nutcracker/index.html

絵本形式のサイトで、「くるみ割り人形」のあらすじ紹介から、プロダクションデザイン、日ごとのキャスト表、リハーサル、メイキングやインタビューの動画などに加え、ABTのダンサーによるお菓子のレシピ、ダンサーたちの初めてのくるみ割り人形の思い出、ぬり絵やジグソーパズルなどのゲームも用意されています。

インタビュー動画などを見るとわかるのが、今回のプロダクションの特徴として、クララ役がABTジャクリーン・ケネディ・オナシススクールの生徒が演じているなど、子供の役は子供が踊るということ。そして雪の王国のシーンでの雪の精たちは悪の存在であるということです。

加治屋百合子さんとダニール・シムキンが主役を務めるなど、フレッシュなダンサーの競演で飾られるこの「くるみ割り人形」。ラトマンスキーが初めてABTに振付ける全幕作品であるこの舞台を観られる人が羨ましいです。

パリ・オペラ座の昇進コンクール結果(女性ダンサー編)

11月5日にパリ・オペラ座の昇進コンクールの女性ダンサーの審査が行われました。枠はプルミエール、スジェ、コリフェ各1名です。

ダンソマニに審査の結果が掲載されたところですが、なんと女子のプルミエールへの昇進は該当者なしという結果に終わりました。審査員の意見が割れた結果、昇進が見送られてしまったようです。

(これはパリ・オペラ座の正式な発表ではありませんので、正しくはオペラ座のオフィシャルサイトの発表をお待ちください)

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4813&start=60

コリフェへの昇進はSylvia Cristel-Saint-Martin
スジェへの昇進はValentine Colasante

Quadrilles :

1. Sylvia Cristel Saint-Martin, promue Coryphée 昇進
2. Marion Barbeau
3. Leïla Dilhac
4. Léonore Baulac
5. Marine Ganio
6. Juliette Hilaire

Coryphées :

1. Valentine Colasante, promue Sujet 昇進
2. Eléonore Guérineau
3. Daphné Gestin
4. Charlotte Ranson
5. Laurène Lévy
6. Fanny Gorse

男子の昇進コンクールは明日11月6日に行われます。そちらでは、プルミエに昇進するダンサーが誕生することを祈りたいですね。

11/8追記 パリ・オペラ座のオフィシャルサイトにも結果がアップされました。

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/actualites/index.php?lang=fr

Sujet
Mademoiselle Valentine Colasante

Coryphée
Mademoiselle Sylvia-Cristel Saint Martin

Aucune majorité n’étant dégagée à l’issue du quatrième tour de scrutin pour la première place de la classe des Sujets, le poste de Première Danseuse n’est pas pourvu.

ダンソマニのフォーラムを読むと、コンクール見学者の間ではサラ・コラ・ダヤノヴァの評価が非常に高かったにもかかわらず、プルミエへの昇進が見送られたことに対しての困惑の声が多いようです。サラ・コラ・ダヤノヴァは2008年末の「ライモンダ」や今年の来日公演「シンデレラ」でもその美しさで際立っていたので、今回は残念ですね。来年こそは昇進できることを願っています。

2010/11/05

ABTの歴史的なキューバ公演

ABTは第22回ハヴァナ国際バレエフェスティバルに参加するためにキューバ訪れているところです。ABTが前回キューバで公演を行ったのは50年前のこと、まだフィデル・カステロが政権を掌握して1年しか経っていない時でした。90歳を迎える現在もキューバ国立バレエを率いているアリシア・アロンソが1940年代から50年代にABTで踊っていたという縁もあり、アロンソの招待によりABTの来訪が実現しました。また、NYCBからは8人のダンサーがハヴァナ国際バレエフェスティバルに参加しました。

バラク・オバマ政権になってから、米国とキューバの間の緊張は緩和しており、徐々に文化的な交流は行われつつあります。今年に入ってから、伝説的なジャズ・ミュージシャンのウィントン・マルサリスがキューバで公演を行いました。しかし今なお、キューバ系アメリカ人のキューバ訪問は許されているものの、一般の米国人は観光目的でキューバに入国することはできません。

ABTは11月3日と4日に公演を行い、5500席のカール・マルクス劇場のチケットはソールドアウトを記録したそうです。そして、多くのメディアでこの公演についてのレポートや写真が掲載されているので、ご紹介します。


ABTには、二人のキューバ人プリンシパル、ホセ・カレーニョとシオマラ・レイエスが所属しています。19歳のときにヨーロッパのカンパニーで踊るためにキューバを離れたシオマラ・レイエスにとっては、18年ぶりの帰郷となったとのことで、彼女のインタビューと、キューバでのスライドショーがWall Street Journalに掲載されています。キューバって本当に海が真っ青で太陽が眩しくて美しい場所なんですね。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703506904575592641769893782.html

New York Timesでは、NYCBのダンサーの公演写真とともに、現地の熱狂的な反応を伝えています。
http://www.nytimes.com/2010/11/03/arts/dance/03abt.html

New York Timesの続報では、ホセ・カレーニョの美しい「海賊」の舞台写真とともに、現地でバレエを学ぶ生徒の声を伝えています。
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2010/11/04/cuba-dance-notebook-a-thrill-for-young-fans/

AP通信の記事でも、NYCBの公演写真がたくさん掲載されています。
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=131009392
この記事によれば、ABTは「Seven Sonatas」「テーマとヴァリエーション」「ファンシー・フリー」を踊ったとのことです。

ABCニュースのサイトでは、舞台映像を含む現地からのニュース映像を見ることができます。
http://abcnews.go.com/Entertainment/wireStory?id=12054820

こっちのほうが大きな映像で見られると思います(CMの後に)
http://abcnews.go.com/International/video/american-ballet-theater-dances-cuba-12055261

この公演は米国だけでなく、世界的にも注目されているようで、BBCでも報じられています。
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-11694134

Guardianの記事によれば、
http://www.guardian.co.uk/world/2010/nov/04/us-ballet-troupe-cuba
チケットの価格は、観光客が25ペソ(外貨と交換可能な通貨=17英ポンド相当)なのに対して、キューバ人は20キューバペソ(=60英ペンス相当)という手ごろな値段だったとのことで、バレエがキューバでは人々の間に根付いていることが感じられます。

またGuardian紙では、美しいスライドショーも掲載
http://www.guardian.co.uk/stage/gallery/2010/nov/04/american-ballet-theatre-cuba-havana#/?picture=368362437&index=0

ABTの公演写真のスライドショーはInternational Herald Tribuneでも見ることができます。
http://tribune.com.pk/multimedia/slideshows/72376/

またABTの面白い試みとして、ABTオフィシャルサイト内で、コール・ド所属のダンサー、エリック・タムが現地からブログの投稿を行っています。
http://www.abt.org/insideabt/cuba.asp
このブログによれば、11月3日の公演当日、公演が行われるカール・マルクス劇場において3回もの停電が起きて、実際の公演時間に停電が起きるかどうか、関係者たちは気が気ではなかったとのこと。公演はテレビでも生中継されたとのことです。

これらの報道や記事を通して、バレエというものは国境や政治を越えるものなんだな、と改めてパフォーミングアーツの持つ力を感じました。

追記 Wall Street Journalでの続報です。実際にABTの舞台を目にした観客の反応を伝えています。キューバ出身のホセ・カレーニョの「海賊」パ・ド・ドゥが最も熱狂的な反響を得て、コミカルな「ファンシー・フリー」は意外とウケなかったとのことです。また、前日NYCBのミーガン・フェアチャイルドとアンドリュー・ヴェイエットによって踊られた「スターズ・アンド・ストライプス」も人気を呼んだというのが興味深いですね。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052748703805704575594742892331322.html

バレエ雑誌「Pointe」では、NYCBのアビー・スタッフォードがキューバ滞在記ブログを執筆しています。90歳を迎えようとしているアリシア・アロンソのつま先は今でもダンサーのように外を向いているとのことです。
http://pointemagazine.com/blogs/daily-dance/nycbs-abi-stafford-guest-blogs-cuba

追記11/8
さらに文化交流が行われ、ABTの芸術監督ケヴィン・マッケンジーがキューバ国立バレエ学校の生徒を対象にマスタークラスを開催しました。またABTのダンサーたちが、キューバ国立バレエのクラスに参加して、キューバ人ダンサーの素晴らしいテクニックの秘密を教わったとのことです。18年ぶりに故郷の地を踏んだシオマラ・レイエスは、バレエ学校の衣装担当や親戚との感動的な再会を実現したそうです。
http://www.nytimes.com/2010/11/08/arts/dance/08abt.html?src=twrhp
素晴らしいスライドショーも掲載されています。
http://www.nytimes.com/slideshow/2010/11/07/arts/dance/20101108-abt.html?ref=dance

追記11/9
CBSニュースでキューバ公演の様子の映像を見ることができます。「テーマとヴァリエーション」「ファンシー・フリー」などの舞台映像、ホセ・カレーニョやジュリー・ケントらのインタビューも。
http://www.cbsnews.com/video/watch/?id=7023664nABT

2010/11/04

国内映画館でボリショイ・バレエ「白鳥の湖」「ジゼル」パリ・オペラ座「コッペリア」ロイヤル「ロメオとジュリエット」上映/追記アリ

ソニー"Livespire"(ライブスパイア)では、世界中の良質なクラシック芸術を、デジタルシネマにより全国の映画館に向けて配給するシリーズプログラム「World Classics@CINEMA」(ワールドクラシック@シネマ)を、2009年末より展開しています。2010年には、ロイヤル・バレエの「くるみ割り人形」「オンディーヌ」、マリインスキー・バレエの「白鳥の湖」が全国の映画館で上映されました。

2011年も今年に引き続き、ヨーロッパの有名オペラハウスやバレエ団の公演を撮影収録した映像をもとに、日本国内の映画館で上映するためのデジタルシネマ・バージョンをLivespireが制作・配給することが発表されました。

http://www.moon-light.ne.jp/news/2010/11/world-classics2011.html

新たにパリ・オペラ座バレエ(フランス)、ボリショイ・バレエ(ロシア)の新作映像が映画館で公開されるとのことです。

●「ワールドクラシック@シネマ2011」(World Classics@CINEMA 2011)
2011年ラインナップ(全8作品)

【オペラ】
◆ミラノ・スカラ座(イタリア)
 「カルメン」(2009 年上演)
 「シモン・ボッカネグラ」(2010 年上演)
◆バーデンバーデン祝祭劇場(ドイツ)
 「ばらの騎士」(2009 年上演)
◆グラインドボーン音楽祭(イギリス)
 「ドン・ジョヴァンニ」(2010 年上演)

【バレエ】
◆ロイヤル・バレエ(イギリス)
 「ロメオとジュリエット」(2010 年上演)
◆ボリショイ・バレエ(ロシア)
 「白鳥の湖」(2010 年上演)
 「クラスコンサート」、「ジゼル」(2011 年上演予定)
◆パリ・オペラ座バレエ(フランス)
 「コッペリア」(2011 年上演予定)

《上映劇場/上映スケジュール》
新宿バルト9ほか、全国の映画館にて順次上映予定 (詳細未定)

まだLivespireのオフィシャルサイトには、2011年のラインアップはアップされていません。
http://www.livespire.jp/opera/

追記:プレスリリースが掲載されていました。
http://www.livespire.jp/news/2010.html#20101104035506

****
ダンソマニの情報によると、今シーズンのパリ・オペラ座のテレビ用収録予定としては、
『カリギュラ』(ニコラ・ル・リッシュ振付)
『コッペリア』(パトリス・バール振付)
『天井桟敷の人々』(ジョゼ・マルティネス振付)
の3本があるとのことなので、そのうちのバール版「コッペリア」が映画館で見ることができるというわけですね。

同じくダンソマニより、ボリショイ・バレエの今年 9月26日の「白鳥の湖」が収録されて来年6月にフランスでは公開されるとのこと。キャストは、オデット/オディールがマリーヤ・アレクサンドロワ、王子がルスラン・スクヴォルツォフ、ロットバルト(悪の天才)がニコライ・ツィスカリーゼ、スペインにナターリヤ・オシポワという豪華なものです。この映像が上映される可能性が高そうですね。

また、ボリショイ・バレエのシーズン開幕記者会見で、5つのプログラムが映画館での上映、あるいは生中継されることが発表されています。
・『くるみ割り人形』 12月19日
・「クラス・コンサート」/『ジゼル』 1月23日
・『ドン・キホーテ』 3月6日
・『コッペリア』 5月29日

このうちの「ジゼル」「クラス・コンサート」が日本でも映画館で上映されるということになりそうですね。

それから、ロイヤルの「ロミオとジュリエット」は2010年の上演映像ということなのですが、いつ収録されたものなのでしょうか?まだわかりませんが、もしかしたら今年6月の日本公演(吉田都さん主演)かもしれませんね。いずれ詳細は発表されることでしょう。


11/8 追記:プレスリリースを送っていただきましたので、上映作品情報詳細を追加します。
「ロミオとジュリエット」は吉田都さんの日本での最後の公演とのことです。

バレエ 「ロメオとジュリエット」 英国 ロイヤル・バレエ 日本公演(2010年6月29日上演)

優れた演劇性で世界的に名高い英国ロイヤル・バレエにとって、「ロメオとジュリエット」は代表的なレパートリーの一つ。シェイクスピアの名作をバレエ化した傑作。日本が世界に誇るプリマバレリーナ吉田都のロイヤル・バレエとの最後の共演となった、2010年6月のロイヤル・バレエ日本公演。

バレエ 「白鳥の湖」 ロシア ボリショイ・バレエ (2010年9月26日上演)

ロシアバレエの殿堂、ボリショイ・バレエ。 チャイコフスキーの三大バレエのひとつ「白鳥の湖」は、1877年にボリショイ劇場で初めて上演された。この伝統のレパートリーを現在のボリシショイを代表するスターバレリーナ、マリア・アレクサンドロワが主演で躍る。

バレエ 「クラスコンサート」 「ジゼル」 ロシア ボリショイ・バレエ (2011年1月23日上演予定)

ボリショイ劇場は2010年12月から2011年5月末までに、ボリショイ・バレエ作品を世界 22 カ国への映画館生中継する計画を発表。そのラインナップから1月23日上演される、バレエのクラスの様子を作品にしたボリショイ・バレエならではの超絶技巧が繰り広げられる「クラスコンサート」およびロマンティックバレエの名作「ジゼル」の2作品を日本で上映。(生中継ではありません)

バレエ 「コッペリア」 パリ・オペラ座バレエ(2011年3月28日上演予定)

フランス国王ルイ14世によって創設されてから350年あまりという最古の歴史を持ち、日本でも絶大な人気を誇るパリ・オペラ座バレエ。「コッペリア」は1870年にパリ・オペラ座で初演され、それ以来同バレエ団の重要なレパートリーの一つとなっている。今回上演が予定されているのは、パトリス・バール振付の1996年版。

2010/11/03

11/2 新国立劇場バレエ団「ビントレーのペンギン・カフェ」「火の鳥」「シンフォニー・イン・C」 New National Ballet Tokyo "Bintley's 'Still Life' at the Penguin Cafe""Firebird""Symphony in C"

チケット発売時「火の鳥」のキャストしか発表されていなかったので、それを頼りにチケットを購入。28日と「シンフォニー・イン・C」もキャスト違いで観ることができたのは良かった。でも、やはりキャストについてはなるべく早く発表してほしいと思う。それぞれのダンサーのファンもいるわけなのだから。

11月2日(火)19時~

火の鳥
 火の鳥:川村真樹/イワン王子:福岡雄大
 王女ツァレヴナ:湯川麻美子/魔王カスチェイ:古川和則

川村さんの火の鳥は、火の鳥にしてはたおやかで、動物っぽさというのは希薄だったけど動きは美しい。せっかくの福岡さんだけど、イワン王子役はサポートのみ。しかし福岡さんは同時上演の「シンフォニー・インC」の第一楽章のプリンシパル、「ペンギンカフェ」のブラジルのウーリーモンキーとこの日は大忙しなのだ。古川さんの魔王カスチェイはちょっとセクシーで妖しい雰囲気を漂わせていた。バレエ・リュスの息吹を伝える凝った美術とともに、東京フィルハーモニー管弦楽団の厚みのある演奏で「火の鳥」を聴けるのがとても気持ち良かった。


シンフォニー・イン・C
 第1楽章:長田佳世/福岡雄大 コリフェ:西山裕子、大和雅美、福田圭吾、小柴富久修
 第2楽章:小野絢子/冨川祐樹 コリフェ:細田千晶、川口藍、澤田展生、田中俊太朗
 第3楽章:酒井はな/芳賀望 コリフェ:寺島まゆみ、寺田亜沙子、グレゴリー・バリノフ、野崎哲也
 第4楽章:本島美和/マイレン・トレウバエフ コリフェ:さいとう美帆、高橋有里、アンダーシュ・ハンマル、原健太

第一楽章の長田さんが音楽性も豊かで気持ちよい動き、華もあって素晴らしかった。長田さんが新国立劇場に入ってくれて本当に良かったと思う。今日は3演目に出演して大活躍の福岡さんは、ひときわ高いジャンプが美しい。第2楽章の小野さんもキラキラと輝いていて、異国的な情緒のあるアダージオの動きを美しく魅せてくれ、いつのまにかプリマの風格を身につけていて素敵だった。第4楽章のマイレンは、これぞクラシックダンサー、という美しいつま先、しなやかな動きと完璧なアンドゥオールで至福の時間を与えてくれた。28日のキャストのように明らかにレベルの落ちるプリンシパルがいなくて、平均点が高かった。またコリフェも第一楽章の西山さん、大和さん、第3楽章の寺島まゆみさんなど皆レベルが高く、コール・ドも安定しており安心して観ていられて素晴らしい上演だったと思う。第2楽章のコール・ドにいた大湊由美さんの長く美しい腕が目を惹いた。日本にもマリインスキーのバレリーナのような体型のダンサーがいたとはっとさせられた。

「シンフォニー・イン・C」はまさに目で観る音楽。音の一つ一つの粒が正確にパに変換されていて流麗でリズミカル、変幻自在のフォーメーションが目に快く、バレエを観ることの幸せを感じさせてくれる作品だ。これからもカンパニーの大切なレパートリーとして2,3年に一度は上演してほしい。

ペンギン・カフェ
 ペンギン:さいとう美帆
 ペンギンウエイター:西山裕子、大和雅美
 ユタのオオツノヒツジ:湯川麻美子、マイレン・トレウバエフ
 テキサスのカンガルーネズミ:八幡顕光
 ケープヤマシマウマ:芳賀望
 熱帯雨林の家族:貝川鐵夫、本島美和、田中雛羽
 ブラジルのウーリーモンキー:福岡雄大

28日にペンギンを演じていた井倉さんも健闘していたと思うけど、この日のさいとうさんの軽妙で愛嬌のある芸達者ぶりには貫禄があった。大きなかぶりものをかぶりつつもドレス姿でセクシーに魅了してくれた湯川さんと巧みにリードをしたマイレン。サンバのリズムに乗ってダイナミックに、周囲を巻き込んで場内を盛り上げた福岡さん。新国立劇場にはたくさんの才能があるって思った。ケープヤマシマウマのシーンで、冷たい表情でポーズを取る女性ダンサーたちの姿は強烈に印象に残った。「ペンギン・カフェ」は音楽が独特なので、それに合わせて踊るのもかなり大変だったと思うけれども、ダンサーたちはサウンドによく乗っていてグルーヴを作り上げていた。バレエ的な動きがあるパートは熱帯雨林の家族のエピソードだけという異色の作品には賛否もあると思う。だけど、現代を生きるバレエ・カンパニーとしては、バレエをベースにしながらも多様なスタイルのダンスを取り入れていくことが正しい方向性であると思う。ビントレーがどのように新しい新国立劇場バレエ団を作っていくか、期待を込めて見守りたい。

なお、今年からプログラムに全部の役名が載っていないのは非常に不親切である。会場で配布されているキャスト表の方が詳しく、それでもどの役を誰が踊っているかはわかりにくい。これは昨年のプログラムからの明らかな改悪であるので、次回「シンデレラ」では全部の役名掲載を復活させてほしいと思う。

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