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2010/08/23

8/20 東京バレエ団「ドン・キホーテ」 Tokyo Ballet "Don Quixote" with Daniil Simkin

東京バレエ団
「ドン・キホーテ」(全2幕プロローグ付5場)

去年の世界バレエフェスティバル全幕プロ「ドン・キホーテ」での清清しく輝かしいダニール・しムキンのバジルを観ていたものの、同じ東京バレエ団での「ドン・キホーテ」だし一年でそんなに変化はないよね、って思ってしまって、実は直前までは行くかどうか迷っていてチケットも取っていなかった。東京バレエ団の「ドン・キホーテ」を今まで何回も観過ぎていてちょっと飽きていたということもあった。でも、やっぱりちょっとスカッとする舞台が観たいなと思って、なんとかチケットを入手。ところが平日公演しか手に入らなくて、仕事で6時半の開演には間に合わず。本当にちょっとの差で冒頭のドン・キホーテたちのシークエンスを見逃しちゃって、それからこの版での長い一幕の間ずっと立って観る羽目に。このワシリエフ版は、夢の場面までもが1幕に含まれていて、休憩まで80分もあるのだ!それでも、この舞台を見ることができて良かった、って心から思った。

ダニール・シムキンは、舞台上では天使のように輝いていて、ふんわりとすべてが軽やかだ。方向転換しながらの開脚ジャンプやグラン・テカール、540などの超絶技巧を挿入していても、それはごく自然に簡単にやってのけられており、クラシックのエレガンスを保っている。ピルエットの回転数は多いんだけど、軸がしっかりしているし余裕を持ってスピードを緩め、ぴたっとフィニッシュさせているので「いっぱい回っています~」とはならなくて美しい。跳躍は猫のようにしなやかで音がしないし、空中で浮かんでいるかのようなクペ・ジュテ・アン・トゥールナンは圧巻だった。何よりも彼の踊りを特徴付けているのが背中の驚異的な柔らかさで、1幕の、キトリの友人2人とのパ・ド・トロワでのランベルセの角度は、人間の身体とは思えないほどよく曲がっていて目を疑うほどだ。

ダニールの去年の世界バレエフェスティバルのときとの違いは、ピルエットの回転数などを抑え目にしていたり、これ見よがしにテクニックを見せ付けるようなところが減っているところ。彼が、超絶技巧派ではないパートナーとのバランスを考え、パートナーを立てることを意識しているというのがわかって好感度がさらに増した。去年共演したマリア・コチェトコワのようなハイ・テクニックなバレリーナとの火花散る舞台もまた観たいとも思うが。

華奢でやんちゃな少年そのもののダニールと、さすがにダニールと並ぶとしっかりもののお姉さんって感じはするけれども可愛らしいキトリの小出さん。二人の身長のバランスも良く、とっても微笑ましいカップルで見ていて思わず目尻が下がり、頬が緩む。パートナーシップでは、フィッシュ・ダイブや酒場のシーンなどでサポート系で苦労しているところも見られたけれども、ゲスト公演なのでいたし方ないところだろう。そんなことは気にならないほど、このペアの醸し出す幸福感は圧倒的だった。

出産後全幕の主役としては復帰公演となった小出さん。少しだけ踊りが重いところはあったものの、ブランクを感じさせない好調ぶり。1幕のカスタネットのソロも思い切り良く歯切れ良く踊っていたし、グランフェッテもオールシングルで、軸がしっかりとしていてきっちりと危なげなく決めていた。小出さんが素晴らしいバレリーナだなと思ったのは、夢の場面のドゥルシネア姫のシーン。夢の中のお姫様にふさわしく、鷹揚で柔らかく優雅で美しく、正統派のバレエを見ることの幸せを感じさせてくれた。

夢のシーンといえば、キューピッド役の高村さんが愛らしく、軽やかでお茶目でキューピッドそのもので最高だった。彼女以上のキューピッドは少なくとも日本にはいないだろうな、って思ってしまうほど。

キトリの友達役の西村さん、佐伯さんもすごく良かった。西村さんは3幕のヴァリエーションでちょっとだけ安定を欠いたけれども、上半身の動きが本当に美しくて惚れ惚れする。佐伯さんも正統派クラシックバレエの美しさを見せてくれた。一方キャラクターダンス系ではなんといっても吉岡さんのジプシー娘が激しくもすさまじくて、何かに取り付かれたような狂気すら感じさせる情念の踊りは鮮烈だった。

東京バレエ団は女性陣がこのようにとても優れているのに、男性陣がソリスト、群舞含め振るわないのがなんとも歯がゆいところである。男性の踊りで迫力を感じたのはジプシーの踊りくらいであったのが残念。キャラクター系は、サンチョ・パンサ役の高橋さんが身体能力の高さを感じさせながらもユーモラスだったし、平野さんのガマーシュのおとぼけぶりが楽しかった。フィナーレでのサンチョ・パンサとガマーシュの踊り対決は見ていてめちゃめちゃ楽しい。ドン・キホーテの森川さんやロレンツォの永田さんも良かった。エスパーダや闘牛士たちがもう少しピリッとした踊りを見せてくれれば、全体としても相当ハイレベルの舞台だっただろうに惜しい。

ダニール・シムキンが彗星のように現れあっという間にスターになったのが良くわかる舞台であった。次回日本で彼の全幕を観る時には、「ドン・キホーテ」以外の作品で観たい。「真夏の夜の夢」のパックはぜひ観てみたい。来年のABTの来日公演演目が「ドン・キホーテ」「ロミオとジュリエット」とガラ公演とのことであるが、「ロミオとジュリエット」のマキューシオで観られるといいな。

 演出・振付/ウラジーミル・ワシリーエフ
 音楽/ルートヴィッヒ・ミンクス

 <主な配役>
 キトリ/ドゥルシネア姫:小出領子
         バジル:ダニール・シムキン
     ドン・キホーテ:森川茉央
    サンチョ・パンサ:高橋竜太
       ガマーシュ:平野玲
       メルセデス:奈良春夏
       エスパーダ:後藤晴雄
       ロレンツォ:永田雄大

 【第1幕】
   2人のキトリの友人:西村真由美、佐伯知香
         闘牛士:松下裕次、梅澤紘貴、柄本弾、安田峻介、柄本武尊、岡崎隼也
    若いジプシーの娘:吉岡美佳
    ドリアードの女王:田中結子
    3人のドリアード:吉川留衣、渡辺理恵、川島麻実子
    4人のドリアード:森志織、村上美香、岸本夏未、阪井麻美
      キューピッド:高村順子

【第2幕】
   ヴァリエーション1:佐伯知香
   ヴァリエーション2:西村真由美

 指揮:ヴァレリー・オブジャニコフ
 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
 協力:チャイコフスキー記念 東京バレエ学校

会場で販売されていたダニール・シムキンの写真満載の本。パンフレットとどっちを買おうか迷って、結局値段があまり変わらなかったのでこの本を購入。子供時代の写真などもたくさんあるしインタビューも面白い。若いのに考え方はしっかりしているのね。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

本当に心が幸福感でいっぱいになるような舞台でしたね!
今もまだ幸せの余韻に浸っています。
ダニール・シムキンは、昨年の公演ももちろん素晴らしかったのですが、今年はほんのり大人の雰囲気が加わったような気がして嬉しい驚きでした。
きっとこれからもまだまだ進化し続けるのでしょうね。ダニールの舞台は今後も見逃せません!

cameliaさん、こんにちは。

この公演の幸せの余韻に浸るってわかります~。いろいろと大変だった毎日のことがちょっと忘れられました。ちょうど放送されたNHKの番組でも、ダニールが、僕たちの仕事は観客に日常のことを忘れさせることだって言っていましたが、その通り彼にはその力がありましたね。パートナーがちょっとお姉さんの小出さんだったこともあったと思うけど、去年よりは少しだけ大人っぽくなっていた感じはしていました。これからも、彼を観る機会はたくさんありそうなので、さらなる進化が楽しみですね。

naomiさん、こんにちは!
東京バレエ団「ドン・キホーテ」の感想を、ありがとうございます!
私はyoutubeとかの映像を見過ぎたせいか、シムキンもっといけるはずでしょーとか思ってしまったのですが、概ね好評だったようで、ファンとしては、ホッとしています。
でも、私ももうちょっと火花散るような舞台の方が見たかったというのも、本音だったり。
1幕目は立ち見だったとのことで、お疲れ様でした。
2幕構成だと、1幕目が長く感じられますよね。ドンキは3幕構成でバランスピタリという感じがします。それでも、naomiさんにとって一服の清涼剤となりえた様で、良かったです(^^)。
パンフレットとシムキンの新刊本で、シムキンの本を選んだのは、正解ですね!
シムキン自身は、自分でもかなりアウトプットしているので、目新しい話って何があるかな?と思ったのですが、ご両親から見た彼のことがかなり詳しく載っていて、それが一番興味深かったです。あと、写真が、今まで見たことのなかった子供時代の写真もたくさんあったし、最近のものは、どれもとても綺麗!イベントでサインを頂ける時に、どの写真に書いて貰おうか、真剣に悩みましたもの!
既に情報キャッチされているかと思いますが、この秋か冬に、ダニール・シムキンのDVDも新書館から出る予定だそうです。

きゃーどうしよう?!
Alexei Ratmanskyの新作「くるみ割り人形」@ABT にて、ダニール・シムキンの主演来ました~!相手役すべて加治屋百合子さんの様です。

お立ち見だったとのこと、お疲れさまでした…!

私は22日に観に行きました。シムキンくん初見だったのですが、物凄い身体能力ですね。緩急自在のピルエットに、背中がなす驚異的な鋭角に、naomiさまのおっしゃる通り猫のようなしなやかさに、会場中が息を呑んでいました。とても楽しそうに、しれっと超絶技巧をこなしてしまうので全く嫌味がないですし^^

平野ガマーシュは、ある意味でシムキンくんより凄かったですが(笑)

以前見たときより群舞がキビキビしていた印象です。華やかで明るくて爽快感のある作品でした~

YUIOTOさん、こんばんは。
確かに、YouTubeなどで映像を見すぎるとそれがデフォルトになってしまうっていうのってありますよね!ちょっと大人風味のダニールというのもレアで良かったかもしれません。

ダニール本は、彼の子供時代の写真がたくさんあったのが良かったですね!観たことのない写真がいっぱいあったし、ご両親についてや、ご両親からみた彼について書いてあったのもおっしゃるとおり面白かったです。サイン会いいな~私も行けば良かったです。DVDの情報もありがとうございます。どんな内容になるんでしょうね?

冬のくるみ割り人形も楽しみですね!いよいよダニールもABTで全幕主演ということで。

Elieさん、こんばんは。

この日の公演、ソールドアウトだったので当日立ち見券を売っていたみたいですね。立ち見ってゆうぽうとの公演だけはやっているみたいで。
ダニールは、おっしゃるとおり、しれっと軽く超絶技巧をこなしているので、本当にいやみがなくて爽やかですよね。何回見ても凄いなあって思います。

平野さんのガマーシュ、本当に面白かったですね。素顔は二枚目なのに・・・もし主役がダニールじゃなかったら、きっと私の目は平野さんにずっと釘付けだったんじゃないかって思います。

群舞はやっぱりジプシーのところが凄く迫力がありましたね。あの踊りをこなせるダンサーを揃えているのってやはり底力ですね。

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