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2010/06/27

アリーナ・コジョカルのジュリエットとルパート・ペネファーザーのロミオ

木曜日の「うたかたの恋」の感想もまだ書けていないですし、簡単に「ロミオとジュリエット」初日の第一報だけ。(エドワード・ワトソンのルドルフ、とても神経質そうでひ弱な感じで素晴らしかったです)

アリーナ・コジョカルはあの愛らしい容姿からしてもジュリエットにぴったりなのは予測はついていました。が、その予想を軽く上回る、ここまで心を深く打つ演技を見せてくれるとは。台詞が聞こえてきそうな、彼女の繊細で豊かな表現の数々。急遽パートナーがヨハン・コボーからルパート・ペネファーザーに変更になったのに、バルコニーのパ・ド・ドゥでは恐れを知らない少女のように、果敢にロミオの元へと飛び込んでいく。その一途な疾走感。ロミオとの愛に生きるという意志の誇り高い強さの輝き。ジュリエットがパリスとの結婚を拒んでから、決意を胸に刻み晴れやかな表情へ変化していくさま。ロレンス神父に渡された薬を手にしてからしばし恐怖に震え、その恐怖に打ち勝とうと祈りを全身で捧げ、薬を飲み込んでから倒れるまでの表現。そして眠りから覚め斃れているロミオを見つけたとき、最初に見せた喜びから一転して彼がこの世にいないことに気づいた時の、心からの叫び。

アリーナの一つ一つの動き、それどころか一つ一つの呼吸さえも意味があるように見えて、確かにジュリエットという一人の少女が舞台の上で息づいていたということを感じさせられました。同じマクミラン版のロミオとジュリエットのジュリエット役を演じていても、14歳の女の子が数日間で急に大人になってまるで母のようになっていくように演じる人もいます。でも、アリーナのジュリエットは最初から最後まで、14歳の少女のままで存在していました。素晴らしいジュリエットは今までに何人も観てきたけど、ここまで表現がこまやかで自然で膨らみがあるジュリエットを観るのは初めてだと思います。薬を飲む決意をしたところから、もう泣けてきて仕方ありませんでした。

降板したヨハン・コボーの代役として急遽出演したルパート・ペネファーザーは、小柄なアリーナのパートナーとしては長身でしたが、ごく普通の若者が恋に落ちた様子を自然に演じていたのが良かったです。ルパートは背が高くてスタイル良く、しかも金髪でハンサムだというのに、ロマンティックでもなければ王子様でもない、そこら辺のあんちゃんという感じのロミオでした。
そんな普通の青年であった彼が、キャピュレット家の宴でジュリエットを目が合ってしまったのが運のつき。ジュリエットの疾走する恋につい引き上げられて、バルコニーのパ・ド・ドゥを踊ることになってしまうのです。だけど、ここでアリーナの恋の魔法が見事に効いて、ルパートのロミオも甘く情熱的に変身していました。サポートのうちの一つで、肩の位置にいるアリーナをルパートが持ち上げることができなくて、彼女を肩に乗せたままのところがあったけれども、それは全体の流れには何の影響ももたらさず、問題なかったと思われます。ルパートが長い脚で見せるアラベスクやアティチュードを決めた時の形がすごく美しい。

マキューシオがティボルトとの決闘の末に斃れたとき、ロミオは最初は事態をつかみかねていて、マキューシオのところに駆け寄ってようやく彼の死を実感し、そしてティボルトへと猛然と襲い掛かります。これだけ勢い良く激しくティボルトを攻めていくロミオもいないのでは、というほど。クールに見えて、実は血の気の多い男の子なのです。彼が追放されることが決まった別れの朝、離れがたい感情をぶつけ合っているところから二人は本当に愛し合っているのだと伝わってきました。

ロミオが仮死状態で斃れているジュリエットのだらりとした身体と踊り、持ち上げ、引きずっていくところは、ネクロフィリア的で衝撃的なパ・ド・ドヴ。マクミランは伝記によれば、このシーンは若い二人が醜く惨めな死を迎えることを想定して演出したとのこと。だけどジュリエット役の高度な身体能力などもあり、死姦というよりは、それほどロミオがジュリエットのことを愛していて、彼女を生き返らせるためにはどんなことでもするという彼の決意の現われのシーンでもあると思うのです。

ルパートは強い個性を持ったダンサーではないけれど、その普通さ、どこにでもいる若い青年という持ち味がロミオ役では案外役に立ったんではないかと思いました。その普通さの中に、実は強い感情が眠っていて、さまざまな事件を通して、眠れる感情が目を覚まし、ジュリエットを愛する心、マキューシオの死に復習しようという心が生まれて着ているのです。時には、自分がこんなことまでやってしまったのかと恐れ戦くこともあったけど、それでも果敢に彼は運命に対して挑んでいく、それがルパートのロミオ像なのだと感じました。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

急なキャスト変更だったけれども、素晴らしい舞台になったと思います。
アリーナは長い怪我を乗り越えて一段と円熟したように感じました。
身体的というよりも、内面の描き方がメリハリがあって素敵でした。
ぺネファーザーの若さは、ロミオの疾走感にも繋がり、満足しました。

ご無沙汰しております、ice blueです。私も『うたかた』を3キャスト連日で見比べ、かなり疲れましたが、昨夜のコジョカル、良かったです。突然の変更でしたが、私も前述の方と同じく、ペネファーザー自身のもつ若々しさ溢れるロミオに満足でした。衣装、照明、どれをとっても隅々まで英国ロイヤルの香りを感じられます。私はあと1回なのですが、まだまだ最終公演まで、更新日々楽しみにさせて頂いています。ありがとうございます。

「うたかたの恋」はエドワード・ワトソンで見ました。内容的に続けてみると辛いかなあと思って一度だけです。結局、DVDを見るのはやめて、ダンザで予習だけしました。宝塚歌劇や映画とは異なった世界がとても面白かったですが、ある程度の内容を知っていないと、初見で理解するのは無理な作品ですね。
昨日は有楽町で宝塚歌劇の公演を友人と見て、お茶をしてから、コジョカルのジュリエットを見ました。コボーの降板を知らなかったのでアナウンスを聞いて、びっくり。暗くなってからキャストの変更があるので、詳しくは入り口で配布したキャスト表を見てくださいとしか言わないのにも驚きました。これが芝居でアボッブ・タイトルなら、払い戻しか、チケットの後日への振り替えがあるのが普通だけれど、バレエはあくまでもバレエ団の公演としてチケットを売っているということなんでしょうね。はじけるようなコジョカルのジュリエットと、若々しいペネファーザーのロミオで堪能しましたが。
芝居では何十回と見てる「ロミオとジュリエット」なのですが、バレエもいろいろな振付があって面白いですね。マクミラン版はロミオたちが群衆場面では三人組扱いで、それぞれのキャラクターが立っていないのが気になりました。マキューシオとベンヴォリーノが初めのうちどちらなのかわからなくて、ティボルトを殺す場面もなんかすっきりしない感じがしました。ロミオが押したから、マキューシオが刺されてしまったような感じで。いまのところ、サンフランシスコ・バレエ版がお気に入りかなあ。
今夜は都さんのジュリエットを見てきたのですが、最後はうるうるしてしまいました。カメラが入っていたので、そのうち放送があるのでしょうか。

くみさん、こんばんは。
素晴らしい公演でしたね!アリーナはもちろん身体能力に優れているしとてもしなやかなんだけど、それがいかにもすごいことをやっていますって感じじゃなくてさらりとやっているから、とても自然に演技が伝わってきて、すごく心が動かされるんですよね。怪我などで苦しんだ時期があったからこそ、表現にますます厚みが増して磨かれてきた気がします。
ルパート・ペネファーザーも派手さはないけれど、若々しくていかにもロミオらしい未熟さがあったのが良かったですよね。背はアリーナに対しては少々高すぎたところはあるけど、みた感じも釣り合いが取れていて、初々しいカップルになっていたと思います。

ice blueさん、こんばんは。

ice blueさんも「うたかた」3日連続でしたか!疲れますが、でもたっぷりと世界に浸ることができましたよね。

コボーのロミオだったらきっとまた違った舞台になっただろうと思いつつ、ルパート・ペネファーザーも見た目の雰囲気がロミオという感じで、演技も若々しくてよかったですよね!マクミラン版の「ロミオとジュリエット」はABTで10回くらい観ていて、あと新国立劇場でも観ていますが、ロイヤルだとやはり舞台の上に立っている人たちみんなの演技が見ごたえたっぷりだし、舞台装置も衣装も本当に素敵で、作品の中にどっぷりと漬かれますよね!連日の鑑賞になるので、短評くらいしか書けないかもしれませんが、頑張ります~

24601さん、こんばんは。

「うたかたの恋」は確かに登場人物が多く話も入り組んでいるので、一度は予習していった方が良い作品ですよね。ひとたび流れがわかれば俄然面白くなるわけですが・・

私も、昨日のキャスト変更のお知らせについて、配布したキャスト表をご覧くださいとしか言わないのはちょっと良くないと思いました。というのも、もう客電が落ちていたのでキャスト表を取り出して見ることは不可能だったわけで、アナウンスで交代したキャストの名前を言うべきだと思うんですよね。

私はロミオとジュリエットといえばマクミラン版とインプットされてしまっているのですが、特に踊る/演じるダンサーによっては、マキューシオとベンヴォーリオの演じ分けがよく判らないことはあると思います。

都さんのジュリエット、私も観てきました!素晴らしかったですね~アリーナ・コジョカルとはまた別の初々しさがあって。NHKの芸術劇場で放送予定のようですよ~。

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