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« シュツットガルト・バレエ2011年カレンダー "Stuttgarter Ballett 2011" | トップページ | The Ballet Bagの東京バレエ団リハーサルレポート The Tokyo Ballet In Rehearsal »

2010/06/14

6/12 ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踏団『私と踊って』 Pina Bausch Tanztheater Wupperthal "Komm tanz mit mir

ピナ・バウシュの作品にライヴで初めて接したのは、2006年の来日公演「カフェ・ミュラー/春の祭典」から。ピナが亡き人となってしまった今となっては、あまりにも遅すぎた出会いを悔やむばかり。カンパニーは今後も彼女の作品を世に送り出し続けてくれるというので、それに希望をつなぎたい。ピナ・バウシュの作品は、言葉とか理屈を超えて魂に切実に訴えて来る。

演出・振付:ピナ・バウシュ
舞台美術:ロルフ・ボルツィク
リュート演奏アンドリアス・リンベルク
音楽:古いドイツ歌謡より、リュート伴奏
1977年作品
出演:ジョセフィン=アン・エンディコット、ウルス・カウフマン

開演前から、舞台はもう始まっている。舞台前方にはデッキチェアに腰掛けた男。舞台上の壁に扉の開口部があり、その奥に手をつないで歌いながら輪になってまわる女性たちの姿がチラチラ見える。その壁が取り払われると、舞台奥には、客席に向けてスキー場のような白い急斜面があり、男たちがその急斜面を駆け下りてくる。床に転がるのは白樺の枝。舞台美術のスケールの大きさとシンプルさの中の超現実的な美にまずは打たれる。根っこと土のついた大きな枝が斜面の上から客席に向けて滑り降りたりするから、一瞬たりとも気は抜けない。

一人の男と、一人の女が踊る。女は白いキャミソールの上にドレスを重ね着し、この舞台の中で何度も着替えては違うドレスをまとう。帽子が舞台の脇からいくつもいくつも飛んで来て、男は帽子をキャッチしては女にかぶせる。斜面の上には、先に帽子のついた釣り糸を垂れた別の男。女は、「私と踊って!」と何回も、何回も。時には叫ぶように、時には甘えるように。ドイツ語の台詞と歌。女は男に懸命に訴えかけるが、その気持ちはすれ違うばかり。リュートの演奏に合わせて、哀感のあるメロディを女性ダンサーが一人ずつ歌う。美しい歌声は、まるで夢の中のである。女たちは一直線に並んで手をつないで、まるで連帯しているかのように声を出し合う。男たちからは容赦のない暴力が振るわれる。女たちはコートで叩かれて地面に倒れ、そして木の枝でばしばし叩かれて斜面の上まで追い立てられては滑り落ちる。だけど男の方から寄ってこられると、今度はするりと逃げる女。それでも、物悲しい歌声で彼女たちは歌い続ける。「私と踊って!」という台詞は、それでも心を通わせたい、つながりたいというあまりにも切実な思いの現われ。この世界の残酷さを生き抜くことの苛烈さと、厳かな美しさが描かれている。

一人の男性が斜面を駆け下りて、観客席に向かって「私と踊って!」と叫ぶ。すると他のダンサーたちも舞台前方に駆け寄って「私と踊って!」と呼びかける。この鮮やかな幕切れに、胸が震え、そして満たされる。自分たちも立ち上がって、舞台に向かって「私と踊って!」と答えたくなった。難しいものは何一つない。誰もがこの舞台から、ポジティブなメッセージを受け取ることができるはず。「私と踊って」は、この世界の現実に立ち向かい、苦悩を乗り越えてコミュニケーションし、つながりを求めようとし、そしてこの世界の美しさを表現し続けたピナからの贈り物。ピナ亡き後も、彼女が残したメッセージは普遍的で、不滅で、これからもずっと生き続けるんだと思った。

NHKのカメラが何台も入っていたので、放送される可能性がありそう。楽しみに待つとしよう。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

Naomi様
こんにちは!私も初日に観に行きました。
次は何が起こるか分からない・・というスリリングな演出に驚きの連続でした。直後は歌詞や台詞が分かったらもっと良かったな・・と思ったのですが、理解するのではなくて感じる舞台でいいのかな・・と時間がたつと思えてきました。
ダンサー達がビナの意思や思いを受け継いで、これからも作品を発表し続けてくれるのだなとカーテンコールで確信しました!

エミリーさん、こんばんは。

エミリーさんもピナご覧になったんですね!そうそう、最初はドイツ語の台詞が多くて、パンフレットもざっと見ただけだったので意味がわからないところもあったのですが、本当におっしゃるとおり、理解するんじゃなくて感じる舞台でいいんだと思います。
カーテンコールのダンサーたちの表情、素敵でしたね!これからも彼らには日本で公演を行ってほしいって心から思いました。

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