ジャンルー・シーフ写真展 Jeanloup Sieff UNSEEN and Best Works
東京都写真美術館で開催中のジャンルー・シーフ展に行ってきました。
http://www.jeanloupsieff-gip.com/news.htm
モード写真で一世を風靡した写真家のジャンルー・シーフが、キャリアの絶頂で急逝してから10年。遺族によって見直された未発表作品と、代表作を加えての展覧会。
モデルの身体の一部を切り取ったフェティッシュなアンダーウェアの写真が印象的なジャンルー・シーフだけど、ここでは初期の報道写真(彼はかつてマグナムフォトにも所属)、風景や静物の写真もあった。
すごく面白いと思ったのは、風景や静物の写真であっても、まるで有機物であるかのような独特の質感、生命感が感じられたこと。サド侯爵の城の廃墟は言うまでもなく、ノルマンディの海岸や、金属製の食器ですらもそうなのだ。真骨頂であるファッション写真の妖しい美しさはいうまでもなく、モデルの肌の手触りや質感、体温が伝わってきて独特の官能がある。徹底的にモノクロ写真にこだわり、写真が光と影のアートであることを改めて思わせる、陰影の使い方や広角を使ったダイナミックな構図が素敵。また、モード作品の中には、動物とモデルの絶妙な組み合わせなどもあって面白い。
また、未発表作品、代表作ともポートレート写真がたくさんあって、バレエファンにとって嬉しいのは、ニコラ・ル=リッシュとローラン・プティが並んだ素敵なポートレート(1999年)があったこと。若いニコラがとても素敵。それから、代表作の中には、モーリス・ベジャールのポートレートも。こちらは何度も見たことがあるおなじみの写真。ポートレートには、若き日の、ほっそりとしていてとても美形なイヴ・サンローランや、ジェーン・バーキン、ジェーン・フォンダ、シャーロット・ランプリングを捉えた作品もあった。約180点の作品で構成されており、圧倒される。本人のセルフ・ポートレートを見ると、すごく魅力的な人物であったことが感じられる。
■会 場
東京都写真美術館地下1階展示室
■会 期
2010年3月27日(土)〜5月16日(日)
■開館時間
10:00〜18:00(木・金は20:00まで)
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