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2010年5月

2010/05/31

小林紀子バレエシアタートリプル・ビル/東京バレエ団「ジゼル」/シディ・ラルビ・シェルカウイ×首藤康之

留守中に取りこぼしていた、国内バレエ公演の情報のおさらいをしておきます。


小林紀子バレエシアター
第97回公演
ケネス・マクミラン振付「コンチェルト」
ニネッタ・ド・ヴァロア振付「チェックメイト」
マリウス・プティパ振付「パキータ」

於:ゆうぽうとホール
開演時間:28日(土) 6:30PM
      29日(日) 3:00PM

ダンスマガジンの広告によれば、ABTのデヴィッド・ホールバーグがゲストとして出演する予定とのこと。
前回は、デヴィッドは「パキータ」に出演したのですよね。
http://www.nkbt-tokyo.com/schedule.html

東京バレエ団 コジョカル&コボー主演
『ジゼル』

公演日: 2010年9月8日(水) 7:00pm、9日(木) 7:00pm
会 場: ゆうぽうとホール (東京)
チケット: S=13,000円、A=11,000円、B=9,000円、C=7,000円、D=5,000円  *7月3日(土) 10:00amより一斉発売開始

http://www.nbs.or.jp/stages/1009_giselle/index.html

地方公演の予定ばかりがどんどんアップされていて、東京ではないのかと思ったら、東京はッコジョカル&コボーを迎えての公演があったのですね。
また、主役以外のキャストですが、9月8日のヒラリオンが後藤晴雄、9月9日は木村和夫。ミルタは8日が田中結子、9日が高木綾。バチルドが8日は吉岡美佳、9日が井脇幸江となっています。

また、首藤康之がシディ・ラルビ・シェルカウイと組んでヨーロッパで上演を行ってきた舞台が日本にやってきます。

シディ・ラルビ・シェルカウイ×首藤康之「アポクリフ」
2010年9月4日(土)・5日(日) Bunkamuraオーチャードホール
演出・振付  シディ・ラルビ・シェルカウイ
出演     シディ・ラルビ・シェルカウイ、首藤康之、ディミトリ・ジュルド
コーラス   ア・フィレッタ
衣装     ドリス・ヴァン・ノッテン 
初演     2007年9月5日ベルギー王立モネ劇場

チケット取扱いはローソンチケット、e+。チケット発売は6月27日とのことです。

首藤さんが、この作品について語った長いインタビューがDanceCubeに掲載されています。
http://www.chacott-jp.com/magazine/interview-report/interview/int0812a.html

2010/05/30

ダンスマガジン2010年7月号/映画「小さな村の小さなダンサー」今夏公開

しばらく更新をお休みしていて申し訳ありません。仕事で家を離れておりました。「マラーホフの贈り物」の感想すら書けていなくて・・・・。余裕ができた時に書こうと思います。しばらくの間にすっかりと浦島太郎になってしまっていましたので、新しい情報を提供できていなくて。

留守中にダンスマガジン最新号が届いていました。巻頭がサンクトペテルブルグのダンスガラ&コンクール「ダンスオープン」だったのが意外だったのですが、ダニール・シムキン、ウリヤーナ・ロパートキナなど今が旬の豪華なメンバーが出演していたこのフェスティバルについてのレポートを読むことができて良かったです。写真はFacebookなどで見ていたので興味があったのですよね。
http://www.danceopen.com/

このフェスティバルのYouTubeオフィシャルチャンネルは、錚々たる顔ぶれの動画がアップされていて必見です。
http://www.youtube.com/user/danceopenfestival

モスクワ音楽劇場バレエ来日公演の記事も充実していましたが、吉田都さんのコヴェント・ガーデンでの最後の舞台「シンデレラ」の詳細レポートがあったのが嬉しかったです。素敵な笑顔の都さんの写真。モニカ・メイソン芸術監督、ピーター・ライト、ジョナサン・コープ、スティーヴン・マックレーのコメント。連載「吉田都の東京ーロンドン日記」で、都さんが「ロイヤル・オペラハウスはつねに"戦いの場"でした」と語っていた言葉がとても重みがありました。

そしてヤンヤン・タンと三浦雅士氏との対談も読み応えがありました。ノイマイヤー振付の「人魚姫」について彼女が語っている言葉が興味深かったです。また、中国のバレエの現状についての話も、中国人でありながらサンフランシスコ・バレエで長く踊っている彼女ならではの見方があって面白かったです。

パリ・オペラ座学校公演や、YAGPのコンクール結果などの記事は、現地からの息吹が伝わってきて、若いダンサーたちが育っていくを知る上でも今後引き続き追ってほしい題材でした。

ニュースでは、このブログでも原作「毛沢東のバレエダンサー」などを紹介してきた映画「Mao's Last Dancer」が邦題「小さな村の小さなダンサー」として日本でも公開されるという嬉しい報せがありました。Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座にて今年の夏に公開されるそうです。

ちょっと検索してみたら、原作「毛沢東のバレエダンサー」は映画公開を機会に、映画の邦題「小さな村の小さなダンサー」と題を改めて、7月に文庫本化されるようです。

映画の監督は『ドライビング Miss デイジー』のブルース・ベレスフォード。主演(ヒューストン・バレエ、オーストラリア・バレエの元プリンシパル リー・ツンシン)は、バーミンガム・ロイヤル・バレエのプリンシパルで2007年の来日公演でも主演したツァオ・チー、後に彼の妻となるエリザベス役には『センターステージ』のヒロインで元サンフランシスコ・バレエのアマンダ・シュル。ツンシンの亡命を助ける弁護士役を、『ツイン・ピークス』のカイル・マクラクランが演じています。

実はこの映画ですが、すでに製作国オーストラリアでDVD化されており、DVDを入手して観ました。感想はまた改めて書きますが、とてもよい映画でした。北京舞踊学校時代からヒューストン・バレエ時代までバレエシーンがふんだんに盛り込まれています。今年の秋に来日するオーストラリア・バレエと同じプロダクション、グレアム・マーフィ版「白鳥の湖」のシーンも象徴的に登場します。また、「ドン・キホーテ」のパ・ド・ドゥや、マーフィ振付「春の祭典」も印象的で、ツァオ・チーのダンサーとして、そして俳優としての実力も伝わってきました。実話を元に映画化することの難しさも少し感じられましたが、貧しい村からバレエダンサーとして成功し、亡命するというリー・ツンシンの実話は本当にドラマティックで映画向きの題材なのですよね。

追記:日本公開の「小さな村の小さなダンサー」オフィシャルサイトができていました。(今のところはトップページのみ)
http://www.chiisanadancer.com/


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2010/05/23

5/18.19 マラーホフの贈り物[プログラムA] A Gift from Malakhov Program A (まだ途中)

すっかり感想が遅くなってしまいました。四日間観たのですが、連日の劇場通いですっかり疲れ切ってしまい、その間にも私事に忙殺されていて。観劇の感想ってすぐに書かないと本当に忘れてしまって困ったものです。

ボリショイ組が直前に出演キャンセルとなって、ガラならではのお祭り感やアクセントが薄れてしまったのはちょっと残念。その分、現在のドイツ・バレエを見せるというコンセプトで統一されたガラになっていました。この出演メンバーでプログラム組んだ以上、そして急なキャンセルがあったので致し方ないのですが、やはり打ち上げ花火のような演目があった方がより楽しかったと思います。

マラーホフの贈り物[プログラムA] 
2010年05月18日(火)6:30p.m.-
東京文化会館大ホール

ウラジーミル・マラーホフ,ポリーナ・セミオノワ Vladimir Malakhov Polina Semionova
ヤーナ・サレンコ,ディヌ・タマズラカル Iana Salenko Dinu Tamazlacaru
エリサ・カリッロ・カブレラ,ミハイル・カニスキン Elisa Carrillo Cabrera Mikhail Kaniskin
ベアトリス・クノップ,レオナルド・ヤコヴィーナ(ベルリン国立バレエ)Beatrice Knop Leonard Jakovina
マリア・アイシュヴァルト,マライン・ラドメイカー(シュツットガルトバレエ)Maria Eichwald Marijn Rademaker


‐第1部‐
「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」 The Grand Pas de Deux
振付:クリスティアン・シュプック、音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
エリサ・カリッロ・カブレラ ミハイル・カニスキン

初めて観た時には笑えてすごく面白かった演目だったのですが、最近観たガラでの上演頻度が非常に高いため、さすがに少々食傷気味になってきました。今回のガラで、ミハイル・カニスキンは唯一の白タイツの演目がこれ。ポールドブラがとても優雅で美しく、つま先もきれいで王子役もさぞかし似合うのではないかと思いました。エリサ・カリッロ・カブレラはすらりとしていながら筋肉質を感じさせる身体で、超絶技巧がふんだんに盛り込まれた振付も軽々とこなしています。おきゃんな表情も可愛らしい。ただ、このペアは若干華やかさが足りないのかしら、同じエリサ・カリッロ・カブレラがイーゴリ・コールプと踊った時の方が楽しかったと思ってしまいました。振り回されながらキャーってエリサが叫ぶのは、この演目では初めて経験するもので、ノッて踊ってくれているのはよく伝わってきました。

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド" Diamonds from Jewels
振付:ジョージ・バランシン、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ ウラジーミル・マラーホフ

マリインカのクリーム色がかったチュチュではなく、純白のチュチュに身を包んだポリーナ。貫禄が増したというか、ちょっとヴィシニョーワを思わせる肉食系というか強さ、意志を感じさせて、マラーホフを食ってしまっているような気がしました。クリスタルのように透明で輝くダイヤモンドというよりは、情念というかドラマを感じさせる彼女ですが、やはりドラマ性のあるマラーホフとの組み合わせは必ずしも成功していない気がします。「ダイヤモンド」のこのパートは男性はほぼサポートに徹していて、見せ場は少ないのです。その数少ないソロパートでのマラーホフの着地は相変わらず猫のようにしなやかで無音で、さすがにマラーホフの着地は美しい、と思いました。

「ボリショイに捧ぐ」 Homage a Bolshoi
振付:ジョン・クランコ、音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー

昔の世界バレエフェスティバルでマリシア・ハイデとリチャード・クラガンが踊った映像を観たはずなんだけど、こんなに短い作品だったんですね。アクロバティックな凄いリフトをいくつか見せてもらって、これからもっと凄いのが待っているのかしら、わくわく、と思っていたら終わっていました。ボリショイ・バレエの公演を観て感動したクランコが振付けたという少し古めかしいこの作品ですが、「スパルタクス」でのリフトを思わせるような片手で高々と女性をサポートするシーンもあります。今回イワン・ワシリエフの「スパルタクス」が観られなくて残念、と思ってしまいました。
一瞬空中に女性を浮かび上がらせるように回転させて持ち上げたり、さまざまなリフトを変幻自在に見せてくれるマライン・ラドメイカーもがんばっていたけど(もう少しスムーズだったら、と思うところもあり)、空中で美しいポーズをキープし続けるマリア・アイシュヴァルトの身体能力の高さを改めて実感しました。彼女は本当に背中が柔らかくて強靭なバレリーナです。

「アレクサンダー大王」 Alexander The Great
振付:ロナルド・ザコヴィッチ、音楽:ハンス・ジマー
エリサ・カリッロ・カブレラ レオナルド・ヤコヴィーナ

昨年の世界バレエフェスティバルでポリーナがフリーデマン・フォーゲルと踊ったパ・ド・ドゥ。振付のロナルド・ザコヴィッチはベルリンのプリンシパルですね。(ベルリンのオフィシャルサイトを見たら、ゲストプリンシパルになっていました)最初は暗い中、男性が一人佇んでいる姿から始まります。レオナルド・ヤコヴィーナは長身の堂々たる体躯でかっこいいし、そこへ大胆に飛び込んでくるのはエリサ・カリッロ・カブレラ。褐色の肌に伸びやかな肢体で、すごく色っぽい彼女です。こういう現代作品の方が似合っています。アレクサンドル大王と、愛妾の一人ロクサネとのシーンなのだそうですが、古代的なスケールの大きさを感じさせる二人でした。

「コッペリア」よりパ・ド・ドゥ Coppelia
振付:アルチュール・サン=レオン、音楽:レオ・ドリーブ
ヤーナ・サレンコ ディヌ・タマズラカル

ヤーナ・サレンコも昨年の世界バレエフェスティバルと同じ演目で登場。どうせなら、別の作品で観たかった気がします。バレエフェスの時ほど、ヤーナが必要以上に長く伸ばしたバランスを見せ付けるというところはないのは好印です。だけど、長いバランスをアダージオで取るのは全体の踊りの流れを阻害していて、せっかく高いテクニックを持っているのにもったいない気がします。サポートつきピルエットは6,7回回っているし、コーダのグランフェってではトリプルも余裕で入れていて、しっかりした踊りをしているだけに、見せる工夫がほしいところです。ディヌ・タマズラカルは、マラーホフ譲りなのか、着地が非常に柔らかくて音もさせずに美しく、気持ちよく五番に入ります。そして明るくて人懐っこい笑顔がとっても魅力的。良いダンサーですね。

‐第2部‐
「仮面舞踏会」より"四季"
振付:ウラジーミル・マラーホフ 音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
冬:上野水香
  長瀬直義、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾
春:吉岡美佳、柄本武尊
夏:ポリーナ・セミオノワ、ウラジーミル・マラーホフ
秋:田中結子、松下裕次     ほか東京バレエ団

上演時間が3時間に及んだガラは、平日に観るには正直言って少々長くて疲れてしまいました。特に真ん中に挿入されたこの作品は30分余にわたるもので、こんなに長いものを入れなくていいから早く帰りたい、と思ったのが正直なところでした。ロマンティックバレエ風味のクラシックな作品でしたが、振付には魅力が乏しかったです。上野さんは相変わらず音楽性に欠けるカクカクした踊りで機械仕掛けの人形のよう。大きな花冠をつけた吉岡さんが、妖精のようで軽やかで素敵でした。さすがにポリーナ&マラーホフペアが出てくると、存在感の大きさやスケールが別格という感じがしました。でも、ポリーナの出番がこの作品で終わりということはもったいなかったと思います。「オネーギン」の初演の直後に新作であるこの作品を上演するのは、東京バレエ団にとってちょっと負担が大きくて大変だったのではないかと思わされてしまいました。

‐第3部‐
「カラヴァッジオ」よりパ・ド・ドゥ(第2幕より)
振付:マウロ・ビゴンゼッティ、音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)
ウラジーミル・マラーホフ レオナルド・ヤコヴィーナ

もうガラから3週間近く経過してしまって細かいことを忘れてしまいましたが、「カラヴァッジオ」から今回のガラで上演された3つのパ・ド・ドゥの中でも一番インパクトがありました。ただ思うのは、DVDを観た時の「カラヴァッジオ」という作品は1つの全幕作品として観るのがとても刺激的で面白くて、パ・ド・ドゥをばらばらに上演しても作品としての面白さが十分伝わらずにもったいないということです。レオナルッド・ヤコヴィーナは魅力的なダンサーで、長身でしっかりと男らしい体つきをしており、色白で華奢なマラーホフと対比すると力強い悪魔のような存在感がありました。大スターであるマラーホフに決して食われていないといいますか。一人佇むマラーホフの背後に闇から浮かび上がって、最後にはまた暗闇の中に消えていく。取り残されたマラーホフの寂寥感が苦い後味を残します。

「ゼンツァーノの花祭り」 The Flower Festival in Genzano
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル、音楽:エドヴァルド・ヘルステッド
ヤーナ・サレンコ ディヌ・タマズラカル

ディヌ・タマズラカルはとっても良いダンサーですね。温かく明るい笑顔ときれいなつま先、柔らかい着地で、観る者をすうーっと癒してくれます。ブルノンヴィル特有の飛距離がある跳躍も気持ち良くて。ヤーナ・サレンコは「コッペリア」よりこちらの方が好印象だったけど、ちょっと印象に残っていません。彼女は「ラ・バヤデール」の影の第一ヴァリエーションでは圧倒的に良かったんですよね。

「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ Lady of the Camellias Act3
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメイカー

舞台の上手前方に俯き加減で佇むマラインのアルマン。マリア・アイシュヴァルト扮するマルグリットが入ってきてゆっくりと顔にかかるヴェールを外すと彼は立ち上がるけど、顔はそむけたまま。彼は年上の恋人に対して最初は怒りを隠せないでいて、白く立ち上る怒りをぶつけるかのように、マルグリットのコートを床に叩きつける。アルマンも深く傷ついていていて、その傷ついた思いをマルグリットに思わずぶつけているのだ。これ以上私を苦しめないで、と決意をこめたように最後の気力を振り絞って彼の部屋にやってきた彼女。去っていこうとするマルグリットの手を強引に取って、帰らせまいとするアルマン。やがて二人の情熱は再び燃え上がる・・。

マリアはマルグリットを演じるには持ち味が少々強すぎるかな、と観る前には思っていた。実際、芯の強さを感じさせるところが彼女にはある。だけど、芯が強いだけに脆さもあって、折れそうになって揺らぐ様とアルマンへの強い想いが彼女の上半身を大きく震わせる様子から伝わってくる。アルマンの若さゆえの未熟さ、向こう見ずさ、疾走感を湛えたマラインは生き急ぐように、先の短いマルグリットの命を留まらせようとするがごとく、気を失いそうになっている彼女に猛スピードで駆け寄ったかと思ったら、その先はいとおしむようにゆっくりと抱きしめる。一つ一つの動きに絶妙な緩急をつけていることで、あまりにも激しい感情が迸るのが彼の持ち味。マリアを高く掲げて腕の中で転がすようにリフトする。自在に、まるで魔術のように彼女を操っている様子にクラクラする。アルマンははやる気持ちを抑えられずにマルグリットの服を剥ぎ取り、魂をぶつけ合うように愛し合う二人は床の上を抱き合ったままごろごろと転がる。はあはあという荒い息遣いが聞こえてくる。座った姿勢で互いの顔を見つめあって、アルマンは手を差し出し、マルグリットはそこに顔を埋め頬を寄せて、もう傷つけないと約束を交わす。立ち上がりマルグリットを引き寄せたアルマンは燃えるような瞳でマルグリットを見つめ熱いキスをして、そして最後に高々とリフトをして回したかと思うと、二人は最後の感傷をかみ締めるように倒れこむ・・
今回が初めての「椿姫」での共演とは思えないほどのパートナーシップだった。ずっとペアを組んでいたスージン・カンとマラインとの「椿姫」ほどの一体感や儚さが呼び覚ましてくれた粟立つ感情は出てこなかったけれども、観客の誰もが思わず息を止めて舞台上の世界に見入ってしまったことだろう。

「トランスパレンテ」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ、音楽:アルシャク・ガルミヤン、マリーザ
ベアトリス・クノップ ミハイル・カニスキン

「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア、音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウラジーミル・マラーホフ

ミラノ・スカラ座バレエ 2010/2011シーズン

続いてはミラノ・スカラ座バレエの2010/2011シーズンです。

http://www.teatroallascala.org/en/stagioni/2010_2011/opera-e-balletto/index.html
(オペラの予定も一緒に載っています)

2010年12月16日初日 ルドルフ・ヌレエフ版「白鳥の湖」(出演:スヴェトラーナ・ザハロワ)

2011年3月27日初日 世界初演「L'altro Casanova」振付:Gianluca Schiavoni(出演:ポリーナ・セミオノワ)

2011年4月27日・29日 Gala des Étoiles(出演:ロベルト・ボッレ)

2011年5月12日初日 ジュエルズ
(ダイヤモンド:ザハロワ、ボッレ、アリーナ・ソーモワ、ギョーム・コテ、ルビー:レオニード・サラファーノフ)

2011年10月11日初日 ライモンダ セルゲイ・ヴィハレフ再振付(出演:マッシモ・ムッル、オレーシア・ノヴィコワ、ギョーム・コテ)

ほみさんの「バレエ一色」経由、ロベルト・ボッレ・ファンズ&フレンズサイトの情報によれば、これのほかに1月27日初日で「マノン」も予定されているということですが、おそらくはスカラ座のミスでサイトに掲載し忘れたのではとのことです。(出演はギエム&ムッル、ザハロワ&ボッレとのこと)

コンテンポラリーの演目が少なくて、マリインスキー系のゲストが多いのは、現芸術監督のワジーエフの人脈関係なのかなとちょっと思ったりして。ロベルト・ボッレの出番が今のところ少ないですね。

そのロベルト・ボッレですが、ABTのオープニング・ガラでジュリー・ケントと「椿姫」の3幕パ・ド・ドゥを踊ったものの、その後のABT「ラ・バヤデール」の公演2回を怪我のためにキャンセルしたとのことで、「椿姫」の全幕の出演は大丈夫なのか、気になるところです。

2010/05/22

シュツットガルト・バレエ2010/2011シーズン

Premieren der Spielzeit 2010/2011

新制作は3プログラム

28.9. „Neumeier / McGregor / Elo“: „Fratres“ – Choreografie: John Neumeier, Musik: Arvo Pärt; Choreografie von Wayne McGregor, Musik: Esa-Pekka Salonen; Choreografie von Jorma Elo, Musik: Peter Tschaikowsky (Übernahmen der Premieren vom Schauspielhaus im Juli 2010)
ノイマイヤー、マクレガー、エロ

18.11. „Leonce und Lena“ – Choreografie: Christian Spuck, Musik: Johann Strauss, Bernd Aolis Zimmernmann, Martin Donner, Alfred Schnittke u.a.
Opernhaus
シュプック新作

14.1. „Béjart / Cranko / van Manen“: „Bolero“ – Choreografie: Maurice Béjart, Musik. Maurice Ravel; „Initialen R.B.M.E.“ – Choreografie: John Cranko, Musik: Johannes Brahms; „“Frank Bridge Variations“ – Choreografie: Hans van Manen, Musik: Benjamin Britten
Opernhaus
ベジャール「ボレロ」、クランコ、ファン・マーネン

ゲストカンパニー

4. – 27.2. Festwochen
5./6.2 Gastspiel NDT 2 mit Kylián, Lightfoot León NDT2
12./13.2 Ballettgala (das gleiche Programm an beiden Tagen)
15./16.2 Gastspiel Hamburger Ballett mit „Nijinsky“ ハンブルク・バレエ 「ニジンスキー」
19./20.2 Gastspiel Königlich Flandrisches Ballett mit „Impressing the Czar“ ロイヤル・フランダース・バレエ 「インプレッシング・ザ・ツァー」
7./8. „Cranko Re-Flexions“ – Koproduktion mit dem Fitz Figurentheater, Wiederaufnahme

weitere Gastspiele
18.-20.12. Gastspiel Scapino-Ballett mit Marco Goeckes „Nussknacker“ im Kammertheater スカピノ・バレエ・ロッテルダム 「くるみ割り人形」
21.-23.7. Gastspiel Chinesisches Nationalballett mit „Die Rote Laterne“ im Opernhaus 中国国立バレエ「紅夢」

14./15.7. „Junge Choreografen“ der Noverre-Gesellschaft im Wilhelmatheater

Wiederaufnahmen
„I Fratelli“ (Bigonzetti) am 21.1. im Opernhaus 「兄弟(若者のすべて)」
„Die Kameliendame“ am 29.4. im Opernhaus 「椿姫」
„Romeo und Julia“ ab 2.10. 「ロミオとジュリエット」

Personelle Veränderungen:
Hyo-Jung Kang wird Solistin ソリストに昇格
Rachele Buriassi, Miriam Kacerova, David Moore werden Halbsolistin デミソリストに昇格
Linda Waasdorp beendet ihre Karriere und wird Physiotherapeutin 引退
Dimitri Magitov wird Ballettpädagoge an der John-Cranko-Schule ジョン・クランコスクールの教師に
Maria Alati und Attila Bako gehen ans Ballett der Wiener Staatsoper ウィーン国立バレエに移籍
Catherine Hamer kehrt nach USA zurück 米国に戻る
Annabell Fawcett kehrt nach Australien zurück オーストラリアに戻る

ソースはこちらから
http://www.tanznetz.de/forum.phtml?page=showthread&aid=90&tid=17465

オフィシャルにも出ています。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/spielplan/
から2010/2011のタブを選択

2010/05/18

新国立劇場の「シンデレラ」と「ラ・バヤデール」のキャスト一部決定

新国立劇場のサイトを見たら、11、12月公演「シンデレラ」と2011年1月「ラ・バヤデール」のキャストが一部決定していました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20001057.html

「シンデレラ」

【シンデレラ】
 さいとう美帆(11月27日・12月1日)
 小野絢子(28日・3日)
 寺島まゆみ(4日)
 長田佳世(5日)

【王子】
 マイレン・トレウバエフ(11月27日・12月1日)
 山本隆之(28日・3日)
 貝川鐵夫(4日)
 福岡雄大(5日)

【仙女】
 川村真樹(11月27日・12月1日)
 本島美和(28日・3日)
 湯川麻美子(4・日)
 

「ラ・バヤデール」

【ニキヤ】
スヴェトラーナ・ザハロワ(2011年1月15日・18日)
川村真樹(16日)
小野絢子(22日)
寺田亜沙子(23日)

【ソロル】
外国人ゲスト(2011年1月15日・18日)
芳賀 望(16日)
福岡雄大(22日)
山本隆之(23日)


【ガムザッティ】
厚木三杏(2011年1月15日・18日)
堀口 純(16日)
本島美和(22日)
長田佳世(23日)


長田さんが抜擢されていますね。彼女の実力を考えると、当然のことかもしれませんがちょっと嬉しいです。

まだザハロワのパートナーは発表されていないんですね。それから、寺田さんのニキヤはちょっと意外。山本さんがパートナーだから育成公演なのかしら。

2010/05/17

5/15 東京バレエ団「オネーギン」 The Tokyo Ballet "Onegin"

東京バレエ団創立45周年記念公演ファイナル
東京バレエ団初演
「オネーギン」(全3幕)

ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

http://www.nbs.or.jp/stages/1005_onegin/index.html

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディータ・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト


◆主な配役◆

オネーギン:木村和夫
レンスキー:井上良太
ラーリナ夫人:矢島まい
タチヤーナ:斎藤友佳理
オリガ:高村順子
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:平野玲

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団

指揮: ジェームズ・タグル
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

予想通り不完全燃焼で終わってしまったので、あまりちゃんとした感想が書けなくてごめんなさい。一言で言えば、バレエ団全体としては健闘していたというか、よくやったと思います。ただし、これは個人的な好き嫌いの問題もあってどうしようもないのですが、どうしてもタチヤーナ役の方が苦手でした。それでも木村さんのオネーギンが観たいと思ったので迷ってこの日にしたのですが、その苦手感は払拭できませんでした。主役の片方がとてもよい演技そして踊りをしていても、全幕のバレエは二人で作り上げるものなので、そのテンションが合っていないと、物語に入り込むことができません。

木村さんのオネーギンは、1幕の登場の時は感情表現が控えめで、クールなのですが、ニヒルというほどではなく、常識的な人物のように見えました。1幕を観ただけでは、彼のオネーギンをどういう風に表現していくのか見当もつかなかったのですが、最後まで観たところ、このクールでスマート、だけど決してカッコつけているわけではない演技をしていたことが効果的になったのではないかと思いました。タチヤーナの本を取り上げて笑うところも、決して嘲笑したり鼻で笑っているわけではなくて、ふーん、という感じで嫌味がない。鏡のパ・ド・ドゥも甘さ控えめで、クールだけど素敵な大人の男性として、最後に残り香を振りまいて去っていくところが格好よかったです。踊りはいつもながらに細部まで行き届いて美しくて、惚れ惚れとしました。

ところが、2幕でオリガにちょっかいを出しているオネーギンの笑顔は悪魔そのもので、本当に純粋にゲームを楽しんでいるみたいで、寒気がするほどでした。うわ~こんなに魅惑的な笑顔を見せちゃって、ひどい男だって(←褒めています)決闘でレンスキーを殺してしまった後は、慟哭するというよりは、しばし茫然として、それからゆっくりと後悔している様子で、それほど感情表現をあらわにするわけではない。抑えるところは抑えている演技には好感が持てました。

そして3幕で、木村節ともいうべきパッションが炸裂。幕前のオーバーチュアでの後悔に苛まれる痛々しい姿。グレーミンの邸宅に来た時には、オネーギンは少々くたびれた感じだったのに、回想シーンでは彼の中での後悔がどんどん増幅して、制御できないモンスターのように育って行くのです。手紙のパ・ド・ドゥで行き場のない情熱を闇雲ともいえるような勢いでぶつけている様子には心動かされずに入られませんでした。あまりに昂ぶった激情があふれ出てきているので、観ている側としてもどうしようと思ってしまうほど。嗚呼、これでタチヤーナが自分自身に向ける愛の何分の一でもオネーギンに向けていたら、感動的なシーンになっただろうにと残念に思いました。

斎藤さんのタチヤーナについては、極力触れないようにしますが、ひとつ思うのは、1幕2幕と3幕のタチヤーナの変化があまり見えなかったということです。1幕では、本の虫で晩生の少女という設定のはずですが、残念ながら斎藤タチヤーナは賢い女の子には見えませんでした。3幕では社交界の花形として、夫の愛情に包まれて幸せに暮らしているはずのタチヤーナのはずなのですが、幸せそうに見えずに暗い影を引きずっていたのがとても気になりました。とてもエゴイスティックで自己愛が強いタチヤーナで、夫への愛も、オネーギンへの愛も感じられなかったのです。"ロシアの大地に根を張る女性像"にこだわりすぎたのではないかと思います。
やはり、パートナーとのコミュニケーション、ケミストリーがこの役では特に重要だと思うのですが、残念ながら見えませんでした。それから、3幕では踊りの面ですっかり力尽きていたようで、一つ一つのポーズが雑で決まらなくて美しくなかったです。特にハイライトともいえる、座っているタチヤーナが引っ張りあげられて跳躍しているところの脚の開き方が・・・。

オリガ役の高村さんは非常に可愛らしくて、軽薄さはあまりないのですが、可愛い、可愛いと育てられたゆえの天真爛漫さ(と残酷さ)があって、それが悲劇に結びついたと演じていたと思います。これだけ愛らしいオリガも珍しく、貴重な個性だと思いました。大抜擢といえるレンスキー役の井上さんは、ナルシスティックなところがないところが良かったです。純真で朴訥な非常に若い青年で、いかにも人が好さそう。そんな彼が生まれて初めて愚弄されたと思って、怒りを爆発させて若い命を散らすところが痛ましかったです。パートナーリングがちょっと弱いところはあると思うし、月光のソロのところはもう少し"見せる"工夫も必要かと感じられましたが、でも全体的には好演だったと思います。オリガとレンスキーのパ・ド・ドゥも、ちょっと姉と弟のようですが可愛い若い二人がじゃれあっているようで好ましかったです。

ミュンヘン・バレエから借り受けた衣装は素敵なのですが、その衣装で身を包んでいても、日本人がこの世界観を演じているというのには違和感が出てしまうのは致し方ないところ。妖精を演じるのは難しくなくても、実際にその時代に生きていた、ロシアというよその国の貴族社会に生きているリアルな人間を演じるのって本当に難しいのだと思います。でも、2幕の"名の日"の宴の老人たちの演技などはみんな達者でした。3幕の将校たちがずらりとならんだ宴での踊りも、踊りそのものはよく踊られていたと思います。高い位置から見ていたのですが、整然とした群舞が隊形をさまざまに変化させる様子には迫力もありましたし、女性陣は華やかで美しかったです。

約1名を除けば、丁寧に作りこまれた立派な上演だったと思います。初日を観た友達みんなが、吉岡美佳さんのタチヤーナを絶賛していたので、再演があるとしたら、ぜひとも木村さんと吉岡さんのペアで観たいと思います。本当に、バレエは一人だけでは踊れない、主役ペアの心の通い合いこそが重要であると実感した公演でした。

2010/05/13

ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ合同ガラのチラシとキャスト変更/マラーホフの贈り物キャスト変更

ボリショイ・バレエ×マリインスキー・バレエ合同ガラのチラシがジャパン・アーツのバレエ・舞踊ブログにアップされていました。

Flyer_mb

http://ja-ballet.seesaa.net/article/149777696.html

PDFでチラシを見ることができます。

http://ja-ballet.up.seesaa.net/image/flyer_mb.pdf

友達に言われて気がついたのですが、いつのまにかディアナ・ヴィシニョーワの名前が消えてエフゲーニャ・オブラスツォーワが追加されています。(訂正:アリーナ・ソーモワは最初から入っていましたね)

発売日は、夢倶楽部会員のインターネット発売は5月29日(土)、電話発売は5月30日(日)。ジャパンアーツぴあ会員は5月31日(月)発売です。一般発売は6月6日(日)

追記:コメントで、この公演のオフィシャルサイトがオープンしたことをお知らせいただきました。
http://www.japanarts.co.jp/html/2010/ballet/bolshoi_mariinsky/index.htm#program

*******
キャスト変更ついでに、来週火曜日からの「マラーホフの贈り物」のキャストも変更になっています。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-211.html

ボリショイ・バレエのニーナ・カプツォーワとイワン・ワシーリエフは、所属カンパニーの都合により来日することができなくなり、代役としてベルリン国立バレエ団のベアトリス・クノップとレオナルド・ヤコヴィーナが出演することになったそうです。

ベアトリス・クノップはおなじみのベテランダンサーで、ヤコヴィーナは、ビゴンゼッティ振付のベルリン国立バレエ団DVD「カラヴァッジオ」でとても印象的だった、素敵なダンサーでした。演目は調整中とのことです。


2010/05/10

「エトワール・ガラ2010」の演目決定、シアラヴォラのキャンセル、オブラスツォーワ出演

Bunkamuraのサイトで「エトワール・ガラ2010」関連の以下のお知らせがありました。

怪我で3月のパリ・オペラ座の公演をキャンセルしたイザベル・シアラヴォラがエトワール・ガラ2010も降板し、代わりにマリインスキー・バレエのエフゲーニャ・オブラスツォーワが出演します。イザベルの降板は残念ですが、無理しないで完全に治っての復帰を期待したいですものね。

http://www.bunkamura.co.jp/shosai/org65_10_etoiles_8s.html

Aプログラム 
「カルメン」より寝室の中   エレオノラ・アバニャート

「三銃士」           エフゲーニヤ・オブラスツォーワ

Bプログラム 
「薔薇の精」          エフゲーニヤ・オブラスツォーワ

「ロミオとジュリエット」より エフゲーニヤ・オブラスツォーワ


また、「天井桟敷の人々」よりスカルラッティ・パ・ド・ドゥの出演者が、
マチアス・エイマンよりジョシュア・オファルトへ変更となりました。


プログラムも発表されました。「他」とありますので、追加演目もあるのかしら?

http://www.bunkamura.co.jp/shosai/org65_10_etoiles_9s.html

Aプログラム
シンデレラ物語」より(振付:ノイマイヤー、音楽:プロコフィエフ) アッツォーニ、リアブコ 
ディーヴァ」(振付:カールソン、音楽:ジョルダーノ) ジロ
天井桟敷の人々」よりスカルラッティ・パ・ド・ドゥ(振付:マルティネス、音楽:スカルラッティ) ジルベール、オファルト
カルメン」より寝室の中(振付:プティ、音楽:ビゼー) アバニャート、ガニオ
人魚姫」より(振付:ノイマイヤー、音楽:アウアーバッハ) アッツォーニ、リアブコ
プルースト~失われた時を求めて」より囚われの女(振付:プティ、音楽:サン=サーンス) アバニャート、ペッシュ
三銃士」≪世界初演≫(振付:ラコット、音楽:ルグラン)
ブベニチェク、リアブコ、オファルト、エイマン、ガニオ、ペッシュ、ジロ、ジルベール、オブラスツォーワ 
他 


Bプログラム
薔薇の精」(振付:フォーキン、音楽:ウェーバー) オブラスツォーワ、エイマン
瀕死の白鳥」(振付:ウォルシュ、音楽:サン=サーンス) ジロ
プレリュード」≪世界初演≫(振付:ボンバナ、音楽:ドビュッシー) アバニャート、ペッシュ
フラジル・ヴェッセル」(振付:ブベニチェク、音楽:ラフマニノフ) アッツォーニ、ブベニチェク、リアブコ
ロミオとジュリエット」よりバルコニーのシーン(振付:マクミラン、音楽:プロコフィエフ) オブラスツォーワ、ガニオ
ウートルノワール」(振付:J.ブベニチェク、音楽:O.ブベニチェク、ケージ) ジロ、ブベニチェク
コッペリア」(振付:バール、音楽:ドリーブ) ジルベール、オファルト
幻想~“白鳥の湖”のように」より(振付:ノイマイヤー、音楽:チャイコフスキー) アッツォーニ、リアブコ
アパルトマン」より(振付:エック、音楽:フレッシュ・カルテット) ジロ、ブベニチェク
プルースト~失われた時を求めて」よりモレルとサンルー(振付:プティ、音楽:フォーレ) ガニオ、オファルト
スターズ アンド ストライプス」(振付:バランシン、音楽:スーザ) ジルベール、エイマン  
他  

Diaghilev: A Life (セルゲイ・ディアギレフの伝記)

20世紀初頭にバレエ・リュスを率いて、バレエのみならず芸術の世界に一大革命をもたらしたセルゲイ・ディアギレフ。彼の伝記はすでに何冊か出ているのだけど、昨年10月に英国で発売されたSjeng Scheijen作のものを読んだ。Sjeng Scheijenはオランダ人で、この著作もオランダ語から英訳されたもの。したがって英文は比較的読みやすいものに仕上がっている。ただし、本文444ページ、注釈まで入れると552ページという長編であるため、結局読了するのに1ヵ月半かかってしまった。

ディアギレフの生涯やバレエ・リュスの作品については多くの書物ですでに広く知られているので、ここで改めて紹介するまでもない。そもそもこの本は、バレエ・リュスのバレエ作品そのものについてはさほど詳しく書いているわけではない。筆者は膨大な史料を読破して、主にセルゲイ・ディアギレフの人間関係にスポットライトを当てている。中でも、彼が友人や家族、そしてコラボレーターたちと交わした書簡の数々が紹介されていて、彼の人柄が仔細に伝わってくる。よくもここまで多くの書簡が100年経過した後も残っていたものだと思う。(電子メールの時代の今、こういうやり取りの記録が後世に残るものなのかどうか、ちょっと考えてしまった)

ディアギレフが、美術家バクスト、ブノワ、ピカソ、コクトー、作曲家ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、サティ、そしてシャネル・・・超一流の芸術家たち、そしてもちろんニジンスキー、フォーキン、マシーン、バランシンらダンサーや振付家たちとのクリエーションを通して、バレエが単なるダンスではなく、総合芸術であるという事実を確立させたことは知られている。この本を読むことによって、どういった経緯を経て彼がこれらのアーティストを発掘したり、出会ったりしたのかがよくわかる。その一連の流れを通して、アートの歴史の中でバレエ・リュスとそのアーティストたちがどのような位置づけや結びつきだったのか、クリエイションの瞬間が立体的に見えてくることにわくわくした。
敬愛するチャイコフスキーの葬儀に出席したことから、トルストイとの邂逅、作曲家を志してリムスキー・コルサコフに作品を見せたものの才能がないと言われたこと、そしてニジンスキーの彫刻を作ろうとしたロダンや、オスカー・ワイルドなど、綺羅星のごとくさまざまな芸術家たちが彼の人生の中には登場する。

ディアギレフが稀代のインプレサリオとして、舞台芸術の新たな地平を築くことができたのは、芸術に対して貪欲な姿勢と徹底的なこだわり、人と人とを結びつける抜群の才能そして人間的な魅力があったことにほかならない。まずは作曲家を志し、次に”新しい芸術”誌を発行し、パリでのロシア美術展を成功させ、それからオペラの興行、バレエ興行へと発展させていったディアギレフは芸術全般への造詣が非常に深く、先進性があった。それが吉と出ることもあれば凶となることもあった。

彼は抜群の嗅覚を発揮して、多くのアーティストを発掘できたのだが、舞台を作り上げる上でも常に過酷なまでに完璧を期し、そのために多くのアーティストと対立した。初期の成功を支えた振付家のフォーキンや、長年の友ブノワをはじめ、裏切られたと感じて彼の元を離れていった者は大勢いた。

さらに、常に彼に付きまとった財政上の問題があった。ウォッカ事業で成功して裕福なはずだった彼の父が破産して、ペルミに引越ししなければならなくなったことから始まり、ディアギレフの生涯は金銭的な困難に終始見舞われていた。ニジンスキーは、ギャラすら支払ってもらったことがなかったほどで、劇場やアーティストへの支払いに滞ったこともしょっちゅうであった。芸術に向ける情熱と完ぺき主義ゆえ、舞台の完成度のためには費用を惜しまなかったことが財政困難に拍車をかけた。

それでもなお、彼の周囲には才能溢れるアーティストたち、そしてパトロンたちがいた。彼らとともに革新的な芸術を生み出すことにできたのは、独特の人間的な魅力があったからだろう。彼を実の子供たち以上に愛情たっぷりに育ててくれた継母のエレーナ。それを望みながらもロシアに二度と帰ることのなかったセルゲイだったが、彼女のことを常に思い続けた。そしてロシア革命で捕らえられた義理の弟をなんとか助けようと奔走し、また子供が病気になった団員のためにカンパニーの最後に残されたわずかな資金を渡したりしたのだ。

また、ディアギレフを語る上で欠かせない話といえば、ホモセクシャリティのこと。同性愛者たちのコネクションによって人脈をロシアからパリへと拡大していき、インプレサリオとしての成功をつかんだともいえる。パリでの有名な遊び人同性愛者貴族ロベルト・ド・モンテスキューを通じて、彼は多くのスポンサーと知り合い、またチャンスをつかんでいった。そして若き日の恋人であったいとこのジーマから、ニジンスキー、マシーン、リファール、アントン・ドーリンなどの恋愛関係についても、事細かにエピソードが残されている。

ディアギレフにとって最高の女性は継母のエレーナであり、ミシア・セール、ココ・シャネルなど彼の人生に登場する女性の友人は、後援者でもあった。それ以外の女性は、ニジンスキーと結婚したロモラなど邪魔者に過ぎなかったというのは面白い。彼が見出して知識を授け、ダンサーとしてそして振付家として育てあげたマシーンも、バレエ・リュスの女性団員と恋愛関係に陥ったことから追放されてしまった。

ディアギレフと女性との、笑えてちょっとお気に入りのエピソードがある。「シェヘラザード」のゾベイダ役で名を上げ、初期のバレエ・リュスの成功に手を貸したイダ・ルビンシュタインは、バレリーナとしての正式な訓練を受けていなかったものの、演技力があった。彼女は莫大な資産を持っており、パリのアパートメントに虎やパンサーをはじめ多くの動物を飼っていて、全裸でこれらの動物たちと戯れていたという。ある日ディアギレフが彼女との新しい契約を話し合うために、彼女のアパートメントをたずねたとこれ、パンサーが彼に襲い掛かったためにディアギレフは恐怖の悲鳴を上げたという。イダは震え上がっている彼の姿に大爆笑して、パンサーの首根っこをつかんで他の部屋へと放り投げた。この一件で、ディアギレフは彼女と決別したという。

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(ジョルジュ・バルビエが描いた、「シェヘラザード」でのニジンスキーとイダ・ルビンシュタイン)


ディアギレフの晩年にイダは自分のカンパニーを立ち上げ、自分のためにラヴェルに「ボレロ」を作曲させてニジンスカに振付を依頼した。また、ストラヴィンスキーに「妖精のくちづけ」を書かせてバレエとして上演したが、ニジンスカ、ストラヴィンスキーというかつての同志を使ってバレエ・リュスに対抗したカンパニーを立ち上げたことに、ディアギレフは激怒したのだった。金銭的に困窮していたディアギレフは、もはやストラヴィンスキーという大物の作曲家に作品を依頼できなくなっていた。

水の上で死ぬと予言されていたために船旅を避けていたディアギレフが亡くなったのは、皮肉にも水の都ヴェニスであった。彼の死に哀悼の意を表し、彼への思いを綴ったブノワ、ストラヴィンスキー、プロコフィエフの手紙、そして長年の友人で秘書としての役割を果たしていたワルター・ヌーヴェルからストラヴィンスキーへの美しく感動的な手紙でこの本は結ばれている。金銭的な問題で何度も辛酸をなめながらも、彼らがディアギレフを心から敬愛していたことがわかって胸が熱くなった。

大長編ではあるけれども、ディアギレフの人となり、そして彼を取り巻く人間模様が生き生きと伝わってきた本だ。邦訳を期待したい一冊である。図版も豊富で、ピカソが描いたマシーン、バクストやディアギレフ、コクトーやマティスが描いたマシーン、そしてコクトーが描いたニジンスキーなど著名画家が描いた振付家やダンサーの肖像がたくさんある。「アルミードの館」のニジンスキーとパブロワのポスターなど、美しいカラーの図版も8ページにわたって掲載されている。

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2010/05/07

ポリーナ・セミオノワ主演チューリッヒ・バレエ「白鳥の湖」DVD

Bel Air ClassiquesのオフィシャルYouTubeチャンネルに、ポリーナ・セミオノワ主演チューリッヒ・バレエ「白鳥の湖」の抜粋がアップされていました。

そして現在 Bel Air Classiquesのサイトの方にも、このDVDの映像が流れていますね。恐ろしく重たいサイトですが。
http://www.belairclassiques.com/spip.php?page=intro&langue=1

2009年に収録されたもので、振付はハインツ・シュペルリ。130分でNTSC方式。Amazon.frからは5月21日に発売のようです。まだ他の国のアマゾンには出ていないようです。
http://www.amazon.fr/gp/product/B003CN97YW

Choreography: Heinz Spoerli,
Odette/Odile: Polina Semionova
Prince Siegfried: Stanislav Jermakov
Rothbart: Arsen Mehrabyan

ロットバルト役のアルセン・メグラビアンは、昨年までハンブルク・バレエのソリストだったダンサーですね。

チャイコフスキーの誕生日ということで「白鳥の湖」の映像の紹介でした。

今日のGoogleのロゴは「白鳥の湖」:チャイコフスキーの170回目の誕生日

検索エンジンにGoogleを使っている方は気がついたと思いますが、今日のGoogleのロゴは「白鳥の湖」です。とっても素敵なロゴだったので何回も見に行ってしまいました。

2010年5月7日はピョートル・イリイチ・チャイコフスキーの170歳のお誕生日だそうで、そのために「白鳥の湖」がGoogleのロゴになったんですね。(1840年生まれ)なお、「白鳥の湖」の初演は1877年3月4日だそうです。

Google.comのトップにアクセスしてロゴにマウスを持っていくと、このロゴ画像(doodleと呼ぶそうです)を提供したのはサンフランシスコ・バレエだと出ていました。

そして、5月7日は、サンフランシスコ・バレエのマリア・コチェトコワと、NYCBのウェンディ・ウェーランのお誕生日でもあるそうです。おめでとうございます!


Tchaikovsky10hp_2

追記:サンフランシスコ・バレエのサイトで、このDoodleの舞台裏についての動画がアップされています。この画像のためにわざわざ新しく撮影をしたのですね。現在バレエ・マスターを務めているブルース・サムソンのインタビューもあります。
http://www.sfballet.org/interact/watch/

2010/05/06

5/5「デヴィッド・ビントレーのカルミナ・ブラーナ」David Bintley´s Carmina Burana

2009/2010 Season Ballet
David Bintley´s Carmina Burana
Galanteries
http://www.atre.jp/10carmina/

ガラントゥリーズ Galanteries
【振 付】デヴィッド・ビントレー
【音 楽】W.A.モーツァルト

 湯川麻美子 さいとう美帆 西山裕子 本島美和
 マイレン・トレウバエフ 江本拓 福岡雄大 福田圭吾
 今村美由紀 細田千晶 加藤朋子 柴田知世

25分のアブストラクト(抽象的)作品。遠目からは一見上半身裸に見えるけど実際にはサーモンピンクの上半身、濃いグレーの下半身のジャンプスーツのような衣装を着用した男性陣。女性陣は同じくグレーからサーモンピンクへとグラデーションが美しいシフォンドレス。スピーディな振付で、アシュトンのような細かい脚捌きも入る。さいとうさんと、江本さん、福岡さんのパ・ド・トロワ。本島さんとマイレンのパ・ド・ドゥ。福田さんと、さいとうさん、湯川さん、西山さん、本島さんのパ・ド・カトル。

湯川さんが素晴らしかった!こういうシンフォニック・バレエが得意というイメージがあまり無かった彼女だけど、美しいアラベスクから回転に入ったり、シャープな動きをきれいに見せたり、素敵だった。西山さんも伸びやかできれいだし、さいとうさんは音楽的な動きできびきび軽やかに動いていて気持ち良い。マイレンは今回サポート担当って感じで、踊るところがないのがなんとももったいないけど、やっぱり男性陣の中では圧倒的に踊りがきれい。福田さんは、細かい脚捌きをきっちりとこなしていてテクニックの高さを印象付けたし、踊りの大きな福岡さんも好印象。パートナーリングの課題を残した人もいたけど、全体的なレベルは高かったと思う。特に新味のある振付ではないのだけど、ダンサーがそれぞれ見せるべきところを魅せてくれていたので、25分はあっという間に過ぎていった。


カルミナ・ブラーナ Carmina Burana
【振 付】デヴィッド・ビントレー
【作 曲】カール・オルフ
【指 揮】ポール・マーフィー
【舞台美術・衣裳】フィリップ・プロウズ
【照 明】ピーター・マンフォード
【合 唱】新国立劇場合唱団

 運命の女神フォルトゥナ:小野絢子
 神学生1:福岡雄大
 神学生2:古川和則
 神学生3:山本隆之
 恋する女:伊藤真央
 ローストスワン:川村真樹

<歌手>
 安井陽子(ソプラノ)
 高橋 淳(テノール)
 今尾 滋(バリトン)

管弦楽:東京フィルハーモニー管弦楽団


2005年のカンパニー初演の時にも観て、とても面白かった作品。今回は、フォルトゥナ役を小野絢子さんがどんなふうに踊るのかを観てみたいと思ってこの日のチケットを取った。いつもはとても可愛らしく軽やかに踊っている小野さんが、この役ではボディコンシャスなワンピースにハイヒール、目隠しで登場し、「おお運命の女神よ」の合唱が鳴り響く中をシャープに、ケレンミたっぷりに踊ってとてもカッコよかった。あの小柄な小野さんとは思えないほどで、色気は少し足りないかもしれないけれども、カリスマ性を感じさせ、抜群の音楽性が生きていて素敵だった。作品の後半では、今度は山本さん扮する神学生3に迫られ、白いブリーフ一丁の彼とからむという役なのだが、ここでも威厳があり、舞台に向けた背中で演技をしていた。この役できっと彼女は新境地を開いたことだろう。(フォルトゥナ役で絶賛を浴びた湯川さんも見たかった)

再演ということもあるし、ビントレーが振付指導を再び行ったということもあると思うのだが、ダンサーたちは全体的にこなれてきたというか、この作品の英国的悪ノリ悪趣味の世界観に臆することなく、楽しそうに踊っていたのが印象的。冒頭のフォルトゥナのソロと十字架が天井から降りてくるスペクタクルでスタイリッシュな冒頭はともかく。妊婦たちがよっこらしょとお腹を抱え、アロハシャツを着て髪を染めたヤンキー集団、ロースト・スワンに喰らいつくブタたち、陰毛やペニス、乳首を描いたお下品な衣装を着たダンサーたちが踊り狂うなど、ザ・バッドテイストを絵に描いている作品なのだが、ダンサーたちはそのインパクトの強い衣装にも決して負けていない。振付だけじゃなくて、作品の中身をよく理解して、思いっきり弾けてくれているのが伝わってきた。

聖職者の象徴であるカラーを外してバチ当たりな欲望に蕩尽する3人の神学生役はそれぞれ好演。神学生1の福岡さんは大きく切れ味のある踊りが気持ちよい。神学生2の古川さんは、ダイナミックで複雑な跳躍を見せてくれてすごいって思ったら、その後でブタさんたちと貪欲にロースト・スワンに襲い掛かり、持ち味を生かしたユーモラスな演技も見せてくれた。新国立に入ってから初の大きな役は大成功。神学生3の山本さんは、白いブリーフ姿が眩しい。フォルトゥナに魅せられ、翻弄され、じらされ、そして自滅していく演技も達者。その上、初演に続けてのこの役を演じている経験値が感じられるパートナーリングの巧みさもあり、決して出過ぎることなくフォルトゥナ役の小野さんを自然に上手く立てているところが感じられた。

それにしてもローストスワンの場面は何度観ても悪趣味だけど可笑しい。とても綺麗なショーガール姿の川村さんが、焼かれて食べられそうになって逃げようとしたりおびえたり、最後には自分の運命を恨みつつプクーっとふくれっつらをしているのが可愛くも笑えてしまう。この黒い笑いは、カウンターテノールのような高音で、このローストスワンの心境を歌い上げている「昔、私は湖に住んでいた」の奇妙な音楽ともマッチしている。

「カルミナ・ブラーナ」は音楽こそ荘厳でドラマティックだけど、世俗カンタータであるこの曲の歌詞は神学生たちが色欲や酒や食欲について歌った神をも恐れぬバチ当たりなもの。11世紀から13世紀の間に書かれたと推測された歌詞を基にした「カルミナ・ブラーナ」の世界を、現代的でキッチュで英国的バッド・テイストな衣をまとって再現させたビントレーの才人ぶりがうかがえる。ここまでグロテスクで悪乗りしてくれたのなら、観る方も深く考えないで楽しむが勝ちだ。

また、新国立劇場の誇る合唱団の分厚いコーラス、3人のソリストの歌も上質なもので、極上のエンターテインメントとして、総合芸術として楽しめる上演になっていた。5年の年月を経て、そしていよいよビントレーを次期芸術監督に迎えて一層パワーアップした新国立劇場バレエ団を観ると、感慨が湧いてくる。来シーズンがとても楽しみだ。

2010/05/05

新国立劇場バレエ団10・11月「火の鳥」「シンフォニー・イン・C」「ペンギン・カフェ」キャスト

今日は新国立劇場にて「カルミナ・ブラーナ」最終日を観てきました。やっぱりすっごく面白い作品でした。今回ゴールデンウィークという時期と宣伝ビジュアルに失敗していたみたいで若干観客動員に苦戦していたようですが、いい上演でした。このレベルの上演ができるカンパニーの成熟度は素晴らしいです!また後ほど感想を書く予定です。

来シーズンのオープニング「火の鳥」「シンフォニー・イン・C」「ペンギン・カフェ」のキャストが出ていました。「火の鳥」には、バーミンガム・ロイヤル・バレエからエリーシャ・ウィリスとイアン・マッケイが客演します。イアン・マッケイはコレーラ・バレエに移籍していましたが、最近BRBに復帰したのですよね。2005年の「カルミナ・ブラーナ」の客演や2007年のBRB来日公演への出演が記憶に新しいところです。

また「シンフォニー・インC」の久々の上演には、酒井はなさんが出演しますね。前回の上演でのはなさんが素晴らしかったので今回も楽しみです。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/20000347_2_ballet.html#cast

2010/2011シーズン・バレエ開幕公演(10/27~11/3) 「ペンギン・カフェ」ほかキャスト決定のお知らせ

2010/2011シーズン・バレエ開幕公演の「火の鳥」「シンフォニー・イン・C」「ペンギン・カフェ」のキャストが以下の通り決定しましたので、お知らせします。

「火の鳥」 Firebird (Mikhail Fokine)
■10月27日(水)、11月3日(水・祝)
<火の鳥>小野絢子
<イワン王子>山本隆之
■10月28日(木)、31日(日)
<火の鳥>エリーシャ・ウィリス
<イワン王子>イアン・マッケイ
■10月30日(土)、11月2日(火)
<火の鳥>川村真樹
<イワン王子>福岡雄大

「シンフォニー・イン・C」 Symphony in C (George Balanchine)
酒井はな、厚木三杏、小野絢子、川村真樹、長田佳世、堀口純、本島美和、米沢唯
山本隆之、江本拓、貝川鐵夫、マイレン・トレウバエフ、芳賀望、福岡雄大、古川和則、輪島拓也
ほか カンパニー出演 (一部ダブルキャスト)

「ペンギン・カフェ」 'Still Life' at the Penguin Cafe (David Bintley)
■10月27日(水)、11月2日(火)
<ペンギン>さいとう美帆
<テキサスのカンガルーネズミ>八幡顕光
<ユタのオオツノヒツジ>湯川麻美子・マイレン トレウバエフ
<ブラジルのウーリーモンキー>福岡雄大
<豚鼻スカンクにつくノミ>高橋有里
<ケープヤマシマウマ>芳賀望
<アボリジニの家族>貝川鐵夫・本島美和

■10月28日(木)、10月28日(木)
<ペンギン> 井倉真未
<テキサスのカンガルーネズミ> 福田圭吾
<ユタのオオツノヒツジ>遠藤睦子・江本拓
<ブラジルのウーリーモンキー>吉本泰久
<豚鼻スカンクにつくノミ>西山裕子
<ケープヤマシマウマ>古川和則
<アボリジニの家族>山本隆之・小野絢子

■10月30日(土)
<ペンギン>さいとう美帆
<テキサスのカンガルーネズミ>八幡顕光
<ユタのオオツノヒツジ>湯川麻美子・マイレン トレウバエフ
<ブラジルのウーリーモンキー>グレゴリー バリノフ
<豚鼻スカンクにつくノミ>高橋有里
<ケープヤマシマウマ>芳賀望
<アボリジニの家族>貝川鐵夫・本島美和

■11月3日(水・祝)
<ペンギン> 井倉真未
<テキサスのカンガルーネズミ> 福田圭吾
<ユタのオオツノヒツジ>遠藤睦子・江本拓
<ブラジルのウーリーモンキー>グレゴリー バリノフ
<豚鼻スカンクにつくノミ>西山裕子
<ケープヤマシマウマ>古川和則
<アボリジニの家族>山本隆之・小野絢子

2010/05/04

ボリショイのナタリア・オシポワとイワン・ワシリエフ、プリンシパルに Natalia Osipova & Ivan Vasiliev Named Principal

現在北京で公演中のボリショイ・バレエですが、5月3日の「ドン・キホーテ」の公演で、主演したナタリア・オシポワとイワン・ワシリエフがプリンシパルに昇進したそうです。

オフィシャルのソースがまだ無いのですが、ダンソマニにニュースが載っているのと、中国のDance MagazineのFacebookに昇進アナウンスをされた時の写真が載っていました。

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4691

ダンソマニ中国版
http://www.dansomanie.org/phpbb3zh/viewtopic.php?f=3&t=39&sid=363e3134653e415f5f9531af488899a4&start=10

おめでとうございます!オシポワはリーディング・ソリストから、そしてワシリエフはファースト・ソリストからの飛び級昇進になります。

昨日のエントリーで、ミラノ・スカラ座の公演をスヴェトラーナ・ザハロワが怪我により降板、というニュースをお知らせしたのですが、北京の5月5日の「ドン・キホーテ」にはザハロワがキャストされています。実際に踊ったかどうかは確認できるはず・・・。

追記:
ボリショイのオフィシャルにも出ました。
http://www.bolshoi.ru/ru/

モスクワ音楽劇場でのガラ公演Pestov Gala(5/31)/ザハロワ情報

大型連休皆様どのようにお過ごしでしょうか。私は今年は珍しくのんびりと過ごしています。映画を何本か観たり、家でたまったバレエDVDを観たり、ラ・フォル・ジュルネに出かけてはあまりの人の多さにぐったりしたり、本を読んだり。新国立劇場の「カルミナ・ブラーナ」は最終日に行くんですよね。デヴィッド・ビントレーのトークショーがあることを知っていたらもっと早い日程にしたのですが。せっかく5連休もあるのに遠出をしないのはもったいない気もしますが、たまにはゆっくりすごした方が良いのかもしれません。

先日の来日公演の記憶も新しいモスクワ音楽劇場バレエですが、その劇場で5月31日にとても豪華なガラがあるんですね。名教師ピョートル・ペストフに捧げられたガラなのです。

http://www.stanmus.com/event.html?did=1255

Vladimir Malakhov, Elisa Carrillo Cabrera, Elena Pris, Mikhail Kaniskin (Staatsballett Berlin)

Yuri Posokhov, Yuan Yuan Tan, Maria Kochetkova (San Francisco Ballet)

Evan McKie, Anna Osadchenko (Stuttgarter Ballett)

Gennadi Saveliev (American Ballet Theatre)

Karine Plantadit (Broadway star)

Svetlana Zakharova, Ivan Vasiliev, Mikhail Lobukhin, Anastasia Stashkevich, Vyacheslav Lopatin, Andrey Bolotin, Denis Savin (Bolshoi Theatre)

Evgenia Obraztsova, Yuri Smekalov (Mariinsky Theatre)

Natalia Somova, Maria Semenyachenko, Georgi Smilevski, Semen Chudin (Stanislvasky and Nemirovich-Danchenko Moscow Music Theatre)

Pyotr Pestov's pupils from John Cranco School (Stuttgart)

出演者の顔ぶれを見るとめまいがしそうな位ですね。マラーホフ、カニスキン、ポソホフ、マッカイ、サヴェリエフは皆ペストフの教え子です。5月18日から22日までの「マラーホフの贈り物」に出演するダンサーが4人いるのですね。また、先日のモスクワ音楽劇場バレエ団の来日公演でも活躍した、ソーモワ、セメニャチェンコ、スミレフスキー、チュージンの名前もあります。

モスクワ音楽劇場のサイトには、英語ページもあるのですが、個別のダンサープロフィールをクリックするとプロフィール記述はロシア語になってしまいます。ゲストプリンシパルの中には、やはり来日公演の「エスメラルダ」でフロロを演じたキリーロフをはじめ、ボリショイのニーナ・カプツォーワ、マリインスキーのエフゲーニャ・オブラスツォーワ、ハンブルク・バレエのアンナ・ポリカルポヴァの名前がありますね。
http://www.stanmus.com/people.html?grp=3

ところで、スヴェトラーナ・ザハロワは、5月27日、6月5日、7日、8日のミラノ・スカラ座での「バレエ・インペリアル」にゲストとして出演する予定だったのですが、こちらは怪我でキャンセルとなっていて、マッシモ・ムッルのパートナーとして代わりに出演するのはアリーナ・コジョカルになったとのことです。(ballet.coより)

ザハロワは4月12日のマリインスキー・フェスティバルでは「白鳥の湖」に出演していたので、その後で怪我をしたということなのでしょうか。まだ先になりますが、6月29日からの新国立劇場「椿姫」の出演の方もちょっと心配です。

2010/05/02

ジャンルー・シーフ写真展 Jeanloup Sieff UNSEEN and Best Works

東京都写真美術館で開催中のジャンルー・シーフ展に行ってきました。

http://www.jeanloupsieff-gip.com/news.htm

モード写真で一世を風靡した写真家のジャンルー・シーフが、キャリアの絶頂で急逝してから10年。遺族によって見直された未発表作品と、代表作を加えての展覧会。

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モデルの身体の一部を切り取ったフェティッシュなアンダーウェアの写真が印象的なジャンルー・シーフだけど、ここでは初期の報道写真(彼はかつてマグナムフォトにも所属)、風景や静物の写真もあった。

すごく面白いと思ったのは、風景や静物の写真であっても、まるで有機物であるかのような独特の質感、生命感が感じられたこと。サド侯爵の城の廃墟は言うまでもなく、ノルマンディの海岸や、金属製の食器ですらもそうなのだ。真骨頂であるファッション写真の妖しい美しさはいうまでもなく、モデルの肌の手触りや質感、体温が伝わってきて独特の官能がある。徹底的にモノクロ写真にこだわり、写真が光と影のアートであることを改めて思わせる、陰影の使い方や広角を使ったダイナミックな構図が素敵。また、モード作品の中には、動物とモデルの絶妙な組み合わせなどもあって面白い。

また、未発表作品、代表作ともポートレート写真がたくさんあって、バレエファンにとって嬉しいのは、ニコラ・ル=リッシュとローラン・プティが並んだ素敵なポートレート(1999年)があったこと。若いニコラがとても素敵。それから、代表作の中には、モーリス・ベジャールのポートレートも。こちらは何度も見たことがあるおなじみの写真。ポートレートには、若き日の、ほっそりとしていてとても美形なイヴ・サンローランや、ジェーン・バーキン、ジェーン・フォンダ、シャーロット・ランプリングを捉えた作品もあった。約180点の作品で構成されており、圧倒される。本人のセルフ・ポートレートを見ると、すごく魅力的な人物であったことが感じられる。

■会 場
東京都写真美術館地下1階展示室
■会 期
2010年3月27日(土)〜5月16日(日)
■開館時間
10:00〜18:00(木・金は20:00まで)

ニーナ・アナニアシヴィリの『ロメオとジュリエット』NHK芸術劇場で6/4放映

今年3月のニーナ・アナニアシヴィリ&アンドレイ・ウヴァーロフ、グルジア国立バレエ来日公演『ロメオとジュリエット』がNHK教育の「芸術劇場」で放映されるとのことです。

http://www.nhk.or.jp/art/current/music.html#music0604
(放映情報は上記サイトでご確認ください)

6月4日(金) 23時00分~25時22分(※放送時間を延長予定)

<演目>
バレエ「ロメオとジュリエット」[全3幕](プロコフィエフ)

<出演>
ジュリエット:ニーナ・アナニアシヴィリ
ロメオ:アンドレイ・ウヴァーロフ
ティボルト:ワシル・アフメテリ
マキューシオ:岩田守弘 ほか

<指揮>
ダヴィド・ムケリア

<管弦楽>
東京ニューシティ管弦楽団

<振付>
レオニード・ラヴロフスキー

<振付改訂>
ミハイル・ラヴロフスキー

<収録>
2010年3月12日、14日 ゆうぽうとホール(東京・五反田)

この「芸術劇場」サイトの解説にも"ニーナ自身が全幕物の主演をつとめるのはこれが最後とのふれこみで臨んだ「ロメオとジュリエット」"と記述があります。またダンスマガジンでこれが日本で踊るのが最後と語ったアンドレイ・ウヴァーロフが出演した公演なので、本当に貴重な映像です。

幸運にもこの公演は観ることができて、ニーナもウヴァーロフも(そして岩田守弘さんも)素晴らしかったので、これがもう一度舞台で観られるのは嬉しいことです。

2010/05/01

オランダ国立バレエ「ジゼル」DVD Giselle - Dutch National Ballet

買っておいたけどまだ観ていないDVDが山のようにたまっていくこの頃、連休もあるし少しずつ観なくちゃ、ということで。

オランダ国立バレエ「ジゼル」 Het Nationale Ballet "Giselle"
振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、改訂マリウス・プティパ
プロダクション・追加振付:Rachael Beaujeau, Ricardo Bustamente
音楽:アドルフ・アダン
セット、衣装:Toer van Schayk

ジゼル:アンナ・ツィガンコワ Anna Tsygankova
アルブレヒト:ヨゼフ・ヴァルガ Jozef Varga
ミルタ:Igone de Jongh
ヒラリオン:Jan Zerer
パ・ド・カトル:Michele Jimenez, Maia Makhateli, Mathieu Gremillet, Arther Shesterikov
ドゥ・ウィリ:Anu Viheriäranta, Emanouela Merdjanova

収録:2009年2月10日、アムステルダム・ミュージックシアター

まずこの舞台はプロダクション・デザインが非常に美しい。衣装は「ジゼル」で一般的な暖色系パステルトーンなのだけど背景が冷たく暗い山々で対照的であり、まるでフランドル派の絵画を見ているかのよう。「ジゼル」の物語の悲劇性を象徴しているようだ。母親ベルタが、踊りだそうとするジゼルに対して、心臓が弱いあなたが踊ると死んでしまってウィリになってしまうわと諭すところの演技が長く、空も真っ暗くなって一瞬にして不穏な空気が支配する。このベルタの説諭は、バチルド一行の前でまたもや踊ろうとするジゼルにも繰り返され、「そんなことをしたら死んでしまうわ」とくどいほど語っている。

ジゼルを演じるのはアンナ・ツィガンコワ。ノヴォシビルスクバレエ学校からボリショイ・バレエ、ウィーン国立バレエを経ているバレリーナで、色白で黒髪、とても繊細な雰囲気の持ち主。ジゼルは絶対農作業とかさせられていないだろうな、貴族の落胤なのかなと想像させてしまう、純真さとともに姫っぽさが感じられる。狂乱のシーンでもとても落ち着いていて、静かに壊れていくようだった。踊りもとてもこまやかで、長い腕の使い方がとてもきれいだ。

この演出の特徴なのかもしれないのだけど、2幕のジゼルが精霊というより、人間らしい温かみや感情を残しているようだった。ジゼルは死んでいなくて、アルブレヒトへの愛がウィリの形となりながらも、少女の姿をこの世にとどめて彼を守り抜くという演出意図が感じられた。ジゼルに限らずウィリたちも亡霊っぽくなくて、一人一人がかつて女の子として人を愛して死に、その悲劇ゆえに今の精霊姿になっているという人間性を感じさせる。花を編みこんだ髪型が可愛らしいということもあるのだが。

2幕のプロダクションデザインは見事の一言。2幕の最初の方で、ミルタを取り囲んだウィリたちが、円を描くように並んでいるというフォーメーションがとても美しい。ウィリたちが花嫁のようなヴェールを被って暗闇に浮かび上がる姿もぞっとするほど怖い美しさ。ここでも、ダークなプロダクションデザインが生きている。ウィリたちが舞台上に集まった最初の一曲は全員がヴェールを被ったまま踊るのが珍しいのだが、とても幽玄な効果をあげている。集団になると恐ろしいのに、姿かたちは愛らしいのがますますウィリたちの哀しさを浮かぶ上がらせる。ミルタ役のIgone de Jonghは目力が強くて美しく、威厳があるけど、後半少し踊りが弱くなってきているのが惜しい。ドゥ・ウィリの二人はそれぞれ素晴らしい。(そのうちのズルマ役のAnu Viheriärantaは今年のブノワ賞に別の作品でノミネートされている)群舞ではウィリたちの統制が取れているし、良く揃っていて古典バレエの美しさを感じることができる。

アルブレヒト役のヨゼフ・ヴァルガは、登場シーンからエレガントで高貴な人なのがとてもよくわかる。登場するところでは短いマントをつけていて、それをはずしてウィルフリードに手渡す。1幕から誠実なイメージのアルブレヒトで、ジゼルが腰掛けている長いすに強引に割り込むなど情熱的なところも少しあるけど、プレイボーイという描き方ではない。ジゼルの狂乱のシーンでも、ジゼルを何とかしてこちらの世界に取り戻そうと必死になっているし、ジゼルが息絶えた後もずっと彼女を抱きしめていて、真剣に彼女を愛していたのだというのが伝わってくる。

この版の「ジゼル」では、1幕のジゼルのヴァリエーションの前にアルブレヒトのソロがあって、このソロでの彼も素晴らしい。また2幕のヴァリエーションも柔らかい背中と美しい足先で貴公子を熱演してくれた。ミルタに操られるところはブリゼで最後にアントルシャ・シスを10回。この後の、ジゼルを低くリフトしながら進んでいくところ、二人の息が見事に合っていてため息モノだった。

ヒラリオン役のJan Zererはかなり若そうで、長身で金髪でルックス良く、ヒラリオン役には少々かっこよすぎるくらい。でも、やはりアルブレヒトと並ぶと、アルブレヒトが貴公子だから庶民の男の子だな、っていうのがわかる。2幕でウィリたちに取り殺されるところはすごくボロボロになっていて気の毒!

それからペザントの通常パ・ド・ドゥになっているところがここではパ・ド・カトル。そのうちの一人が、デヴィッド・マッカテリの妹で世界バレエフェスティバルにも出演したマイア・マッカテリ。相変わらずとても可愛い。派手さは無いけどソリストのテクニックは着実だ。オランダ国立バレエは個人的にはコンテンポラリーを上演しているイメージが強かったのだが、このパ・ド・カトル一つ観ても、カンパニーの水準が高いのがよくわかる。ボーナスとして、主演3人のインタビュー付。お勧めできる映像だ。

製作会社のYouTubeオフィシャルチャンネルで、2幕の一部とインタビュー動画が見られる。

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