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2010/05/06

5/5「デヴィッド・ビントレーのカルミナ・ブラーナ」David Bintley´s Carmina Burana

2009/2010 Season Ballet
David Bintley´s Carmina Burana
Galanteries
http://www.atre.jp/10carmina/

ガラントゥリーズ Galanteries
【振 付】デヴィッド・ビントレー
【音 楽】W.A.モーツァルト

 湯川麻美子 さいとう美帆 西山裕子 本島美和
 マイレン・トレウバエフ 江本拓 福岡雄大 福田圭吾
 今村美由紀 細田千晶 加藤朋子 柴田知世

25分のアブストラクト(抽象的)作品。遠目からは一見上半身裸に見えるけど実際にはサーモンピンクの上半身、濃いグレーの下半身のジャンプスーツのような衣装を着用した男性陣。女性陣は同じくグレーからサーモンピンクへとグラデーションが美しいシフォンドレス。スピーディな振付で、アシュトンのような細かい脚捌きも入る。さいとうさんと、江本さん、福岡さんのパ・ド・トロワ。本島さんとマイレンのパ・ド・ドゥ。福田さんと、さいとうさん、湯川さん、西山さん、本島さんのパ・ド・カトル。

湯川さんが素晴らしかった!こういうシンフォニック・バレエが得意というイメージがあまり無かった彼女だけど、美しいアラベスクから回転に入ったり、シャープな動きをきれいに見せたり、素敵だった。西山さんも伸びやかできれいだし、さいとうさんは音楽的な動きできびきび軽やかに動いていて気持ち良い。マイレンは今回サポート担当って感じで、踊るところがないのがなんとももったいないけど、やっぱり男性陣の中では圧倒的に踊りがきれい。福田さんは、細かい脚捌きをきっちりとこなしていてテクニックの高さを印象付けたし、踊りの大きな福岡さんも好印象。パートナーリングの課題を残した人もいたけど、全体的なレベルは高かったと思う。特に新味のある振付ではないのだけど、ダンサーがそれぞれ見せるべきところを魅せてくれていたので、25分はあっという間に過ぎていった。


カルミナ・ブラーナ Carmina Burana
【振 付】デヴィッド・ビントレー
【作 曲】カール・オルフ
【指 揮】ポール・マーフィー
【舞台美術・衣裳】フィリップ・プロウズ
【照 明】ピーター・マンフォード
【合 唱】新国立劇場合唱団

 運命の女神フォルトゥナ:小野絢子
 神学生1:福岡雄大
 神学生2:古川和則
 神学生3:山本隆之
 恋する女:伊藤真央
 ローストスワン:川村真樹

<歌手>
 安井陽子(ソプラノ)
 高橋 淳(テノール)
 今尾 滋(バリトン)

管弦楽:東京フィルハーモニー管弦楽団


2005年のカンパニー初演の時にも観て、とても面白かった作品。今回は、フォルトゥナ役を小野絢子さんがどんなふうに踊るのかを観てみたいと思ってこの日のチケットを取った。いつもはとても可愛らしく軽やかに踊っている小野さんが、この役ではボディコンシャスなワンピースにハイヒール、目隠しで登場し、「おお運命の女神よ」の合唱が鳴り響く中をシャープに、ケレンミたっぷりに踊ってとてもカッコよかった。あの小柄な小野さんとは思えないほどで、色気は少し足りないかもしれないけれども、カリスマ性を感じさせ、抜群の音楽性が生きていて素敵だった。作品の後半では、今度は山本さん扮する神学生3に迫られ、白いブリーフ一丁の彼とからむという役なのだが、ここでも威厳があり、舞台に向けた背中で演技をしていた。この役できっと彼女は新境地を開いたことだろう。(フォルトゥナ役で絶賛を浴びた湯川さんも見たかった)

再演ということもあるし、ビントレーが振付指導を再び行ったということもあると思うのだが、ダンサーたちは全体的にこなれてきたというか、この作品の英国的悪ノリ悪趣味の世界観に臆することなく、楽しそうに踊っていたのが印象的。冒頭のフォルトゥナのソロと十字架が天井から降りてくるスペクタクルでスタイリッシュな冒頭はともかく。妊婦たちがよっこらしょとお腹を抱え、アロハシャツを着て髪を染めたヤンキー集団、ロースト・スワンに喰らいつくブタたち、陰毛やペニス、乳首を描いたお下品な衣装を着たダンサーたちが踊り狂うなど、ザ・バッドテイストを絵に描いている作品なのだが、ダンサーたちはそのインパクトの強い衣装にも決して負けていない。振付だけじゃなくて、作品の中身をよく理解して、思いっきり弾けてくれているのが伝わってきた。

聖職者の象徴であるカラーを外してバチ当たりな欲望に蕩尽する3人の神学生役はそれぞれ好演。神学生1の福岡さんは大きく切れ味のある踊りが気持ちよい。神学生2の古川さんは、ダイナミックで複雑な跳躍を見せてくれてすごいって思ったら、その後でブタさんたちと貪欲にロースト・スワンに襲い掛かり、持ち味を生かしたユーモラスな演技も見せてくれた。新国立に入ってから初の大きな役は大成功。神学生3の山本さんは、白いブリーフ姿が眩しい。フォルトゥナに魅せられ、翻弄され、じらされ、そして自滅していく演技も達者。その上、初演に続けてのこの役を演じている経験値が感じられるパートナーリングの巧みさもあり、決して出過ぎることなくフォルトゥナ役の小野さんを自然に上手く立てているところが感じられた。

それにしてもローストスワンの場面は何度観ても悪趣味だけど可笑しい。とても綺麗なショーガール姿の川村さんが、焼かれて食べられそうになって逃げようとしたりおびえたり、最後には自分の運命を恨みつつプクーっとふくれっつらをしているのが可愛くも笑えてしまう。この黒い笑いは、カウンターテノールのような高音で、このローストスワンの心境を歌い上げている「昔、私は湖に住んでいた」の奇妙な音楽ともマッチしている。

「カルミナ・ブラーナ」は音楽こそ荘厳でドラマティックだけど、世俗カンタータであるこの曲の歌詞は神学生たちが色欲や酒や食欲について歌った神をも恐れぬバチ当たりなもの。11世紀から13世紀の間に書かれたと推測された歌詞を基にした「カルミナ・ブラーナ」の世界を、現代的でキッチュで英国的バッド・テイストな衣をまとって再現させたビントレーの才人ぶりがうかがえる。ここまでグロテスクで悪乗りしてくれたのなら、観る方も深く考えないで楽しむが勝ちだ。

また、新国立劇場の誇る合唱団の分厚いコーラス、3人のソリストの歌も上質なもので、極上のエンターテインメントとして、総合芸術として楽しめる上演になっていた。5年の年月を経て、そしていよいよビントレーを次期芸術監督に迎えて一層パワーアップした新国立劇場バレエ団を観ると、感慨が湧いてくる。来シーズンがとても楽しみだ。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、今晩は。
いやはや、ヤンキーの沢山出てくるバレエでしたね。他にも暴走族みたいのやらキャバクラの黒服みたいな人たちがいっぱい!後半は衣装(山本さんのではないですよ)にばかり目が行ってしまい、踊りに集中できなくて困りました。(^^;
日本人にキリスト教がらみのテーマはどうなんだろう?とも思いましたが、楽しい(?)作品なので5年と言わず2~3年に1度ぐらいのペースで再演して欲しいです。何しろ生の合唱が聞けるのが贅沢ですし。

peluさん、こんにちは。

はい、ヤンキーがたくさん出てきましたね(笑)マイレンまで明るい色のカツラを被っていたりしてかなり笑えましたね~。衣装もユニークだったので、気になりだすと踊りに集中できなくなっちゃいますよね。

罰当たりな人々の話なので、宗教のことはあまり考えないで楽しめる作品でした。新国立劇場の合唱団は本当にレベルが高いので、これを伴奏にダンスが観られるのも贅沢なことです。ホント、GWは暇だったのでもっと観にいけばよかったと思いました!

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