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2010/05/17

5/15 東京バレエ団「オネーギン」 The Tokyo Ballet "Onegin"

東京バレエ団創立45周年記念公演ファイナル
東京バレエ団初演
「オネーギン」(全3幕)

ジョン・クランコによる全3幕のバレエ
アレクサンドル・プーシキンの韻文小説に基づく

http://www.nbs.or.jp/stages/1005_onegin/index.html

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
編曲:クルト=ハインツ・シュトルツェ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
振付指導:リード・アンダーソン、ジェーン・ボーン
コピーライト:ディータ・グラーフェ
世界初演:1965年4月13日、シュツットガルト
改訂版初演:1967年10月27日、シュツットガルト


◆主な配役◆

オネーギン:木村和夫
レンスキー:井上良太
ラーリナ夫人:矢島まい
タチヤーナ:斎藤友佳理
オリガ:高村順子
乳母:坂井直子
グレーミン公爵:平野玲

親類、田舎の人々、サンクトペテルブルクの貴族たち:
チャイコフスキー記念東京バレエ団

指揮: ジェームズ・タグル
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

予想通り不完全燃焼で終わってしまったので、あまりちゃんとした感想が書けなくてごめんなさい。一言で言えば、バレエ団全体としては健闘していたというか、よくやったと思います。ただし、これは個人的な好き嫌いの問題もあってどうしようもないのですが、どうしてもタチヤーナ役の方が苦手でした。それでも木村さんのオネーギンが観たいと思ったので迷ってこの日にしたのですが、その苦手感は払拭できませんでした。主役の片方がとてもよい演技そして踊りをしていても、全幕のバレエは二人で作り上げるものなので、そのテンションが合っていないと、物語に入り込むことができません。

木村さんのオネーギンは、1幕の登場の時は感情表現が控えめで、クールなのですが、ニヒルというほどではなく、常識的な人物のように見えました。1幕を観ただけでは、彼のオネーギンをどういう風に表現していくのか見当もつかなかったのですが、最後まで観たところ、このクールでスマート、だけど決してカッコつけているわけではない演技をしていたことが効果的になったのではないかと思いました。タチヤーナの本を取り上げて笑うところも、決して嘲笑したり鼻で笑っているわけではなくて、ふーん、という感じで嫌味がない。鏡のパ・ド・ドゥも甘さ控えめで、クールだけど素敵な大人の男性として、最後に残り香を振りまいて去っていくところが格好よかったです。踊りはいつもながらに細部まで行き届いて美しくて、惚れ惚れとしました。

ところが、2幕でオリガにちょっかいを出しているオネーギンの笑顔は悪魔そのもので、本当に純粋にゲームを楽しんでいるみたいで、寒気がするほどでした。うわ~こんなに魅惑的な笑顔を見せちゃって、ひどい男だって(←褒めています)決闘でレンスキーを殺してしまった後は、慟哭するというよりは、しばし茫然として、それからゆっくりと後悔している様子で、それほど感情表現をあらわにするわけではない。抑えるところは抑えている演技には好感が持てました。

そして3幕で、木村節ともいうべきパッションが炸裂。幕前のオーバーチュアでの後悔に苛まれる痛々しい姿。グレーミンの邸宅に来た時には、オネーギンは少々くたびれた感じだったのに、回想シーンでは彼の中での後悔がどんどん増幅して、制御できないモンスターのように育って行くのです。手紙のパ・ド・ドゥで行き場のない情熱を闇雲ともいえるような勢いでぶつけている様子には心動かされずに入られませんでした。あまりに昂ぶった激情があふれ出てきているので、観ている側としてもどうしようと思ってしまうほど。嗚呼、これでタチヤーナが自分自身に向ける愛の何分の一でもオネーギンに向けていたら、感動的なシーンになっただろうにと残念に思いました。

斎藤さんのタチヤーナについては、極力触れないようにしますが、ひとつ思うのは、1幕2幕と3幕のタチヤーナの変化があまり見えなかったということです。1幕では、本の虫で晩生の少女という設定のはずですが、残念ながら斎藤タチヤーナは賢い女の子には見えませんでした。3幕では社交界の花形として、夫の愛情に包まれて幸せに暮らしているはずのタチヤーナのはずなのですが、幸せそうに見えずに暗い影を引きずっていたのがとても気になりました。とてもエゴイスティックで自己愛が強いタチヤーナで、夫への愛も、オネーギンへの愛も感じられなかったのです。"ロシアの大地に根を張る女性像"にこだわりすぎたのではないかと思います。
やはり、パートナーとのコミュニケーション、ケミストリーがこの役では特に重要だと思うのですが、残念ながら見えませんでした。それから、3幕では踊りの面ですっかり力尽きていたようで、一つ一つのポーズが雑で決まらなくて美しくなかったです。特にハイライトともいえる、座っているタチヤーナが引っ張りあげられて跳躍しているところの脚の開き方が・・・。

オリガ役の高村さんは非常に可愛らしくて、軽薄さはあまりないのですが、可愛い、可愛いと育てられたゆえの天真爛漫さ(と残酷さ)があって、それが悲劇に結びついたと演じていたと思います。これだけ愛らしいオリガも珍しく、貴重な個性だと思いました。大抜擢といえるレンスキー役の井上さんは、ナルシスティックなところがないところが良かったです。純真で朴訥な非常に若い青年で、いかにも人が好さそう。そんな彼が生まれて初めて愚弄されたと思って、怒りを爆発させて若い命を散らすところが痛ましかったです。パートナーリングがちょっと弱いところはあると思うし、月光のソロのところはもう少し"見せる"工夫も必要かと感じられましたが、でも全体的には好演だったと思います。オリガとレンスキーのパ・ド・ドゥも、ちょっと姉と弟のようですが可愛い若い二人がじゃれあっているようで好ましかったです。

ミュンヘン・バレエから借り受けた衣装は素敵なのですが、その衣装で身を包んでいても、日本人がこの世界観を演じているというのには違和感が出てしまうのは致し方ないところ。妖精を演じるのは難しくなくても、実際にその時代に生きていた、ロシアというよその国の貴族社会に生きているリアルな人間を演じるのって本当に難しいのだと思います。でも、2幕の"名の日"の宴の老人たちの演技などはみんな達者でした。3幕の将校たちがずらりとならんだ宴での踊りも、踊りそのものはよく踊られていたと思います。高い位置から見ていたのですが、整然とした群舞が隊形をさまざまに変化させる様子には迫力もありましたし、女性陣は華やかで美しかったです。

約1名を除けば、丁寧に作りこまれた立派な上演だったと思います。初日を観た友達みんなが、吉岡美佳さんのタチヤーナを絶賛していたので、再演があるとしたら、ぜひとも木村さんと吉岡さんのペアで観たいと思います。本当に、バレエは一人だけでは踊れない、主役ペアの心の通い合いこそが重要であると実感した公演でした。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさま

 お久しぶりです。私はこの「オネーギン」見なかったのですが・・・改めてオネーギンという役がどれほど難しいかを思い知った。。。という意見を聞きました。で、登場の後ろ姿がすでにオネーギン、本をタチアナに返す目がオネーギン(ホントにこの場面は難しいですね)鏡から去っていく時のためがオネーギン、カードを切る手がオネーギン、グレミンとのデュエットを見つめる目がオネーギン、
という、誰かを思い出してしまいました。彼のレベルのオネーギンを
東京バレエ団に求められるわけもなく・・・

>>整然とした群舞が隊形をさまざまに変化させる様子には迫力もありましたし、
 そうですね。ドラマ性の高さだけでなく、この場面を始めとする
フォーメーションの美しさも「オネーギン」の特徴の一つですよね?!上の階で見られたのも良い経験でしたでしょう?!

ゆいーちかさん、こんばんは。

オネーギン、難しい役だと思いました。パートナーシップの問題もありますが、やっぱりちょっと薄いというか、終盤になるまで木村さんのオネーギンもあまり心に響かなかったです、正直なところは。踊りが美しいだけじゃダメなんだな~って改めて思いました。"彼"のレベルのオネーギンはそうそういませんしね!

2005年にルグリがゲスト出演した時には、オネーギンは上階から見たのですが、今回久しぶりに同じような位置(4階)から観ました。そうそう、本当にフォーメーションが綺麗で、フォーメーションひとつとってもドラマティックなんだなって思いました。そういう意味では良かったです、別の視点から見ることが出来て。

naomiさん、こんばんは!

私は初日と3日目の公演を観ました。naomiさんから2日目の感想を伺えて良かったです。ありがとうございます。
私の初日と3日目の感想は「やはりオネーギン役はゲストで観たかったかな・・・」でした。
naomiさんのおっしゃるように木村さんと吉岡さんのペアならまた違ったかもしれませんね。
なかなかこちらが観てみたい組み合わせでは上演してくれないものですね・・・。
いろいろ思うところもありましたけど、それでも「オネーギン」を観ることができたのは幸せだなぁと思いました。
チャイコフスキーの音楽、ユルゲン・ローゼの美しい舞台装置、そして何より作品自体の持つ力や魅力には心を動かされずにはいられません。
「オネーギン」、やっぱりすごい作品ですね!

cameliaさん、こんばんは。

私が観なかった2回をご覧になったのですね。オネーギンを踊るのは、やっぱり特別の選ばれたダンサーじゃないとって思います。木村さんは良かったですし、吉岡さんと踊っていたら、もしかしたら感動できたかもって思いました。韓国のユニバーサルバレエや、中国国立バレエもオネーギンを初演した時にはげストを招いていたんですよね。

でも、本当におっしゃるとおり、オネーギンという作品は素晴らしいというか、魅力があるし心に残るものですよね・・・。オネーギンやタチヤーナの心情に自分を重ね合わせてしまう人も多いのでは、って思います。

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