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2010年4月

2010/04/30

服部有吉さんの記事とエルトン・ジョンのバレエLove Lies Bleeding/追記

カナダのアルバータ・バレエは、5月6日より、エルトン・ジョンの楽曲を使用したバレエ「Love Lies Bleeding」を上演します。バンクーバー・オリンピックの開会式で世界的に有名になった、芸術監督ジャン・グラン=メートルの振付作品です。

http://www.albertaballet.com/page/elton/1000552

この作品について、そして自分自身について、出演する服部有吉さんがカナダの新聞のインタビューに答えています。エルトン・ジョン自身を思わせる衣装を身につけた服部さんがカッコいいですね!彼がこんなに派手なコスチュームを身につけたのは初めてだそうです。

http://www.calgaryherald.com/entertainment/Alberta+Ballet+Dancer+Yukichi+Hattori/2968625/story.html

この作品Love Lies Bleedingは、エルトン・ジョンについての作品というよりは、ポップ・カルチャーを描いたものだそうで、セレブティとなったポップスターがマスメディアで拡大され、一人の人間として見られなくなってしまった悲劇についての作品だとのこと。

日本食が恋しくなると、照り焼きチキンなどを自分で料理するんだそうですね!


5/5追記
カナダの新聞Globe and Mail に、この「Love Lies Bleeding」の舞台裏のスライドショーがあります。
http://www.theglobeandmail.com/news/arts/theatre/love-lies-bleeding-in-rehearsal/article1556189/

写真のキャプションによると、服部有吉さんが演じるのは、エルトン・ジョン本人なんですね。カラフルでキッチュな衣装が楽しげな作品です。

さらにたくさんの写真がこの記事のスライドショーで見られます。
http://www.calgarysun.com/entertainment/2010/05/06/13856051.html

首藤康之&小野寺修二「空白に落ちた男」再演

2008年、(今は無き)ベニサンピットで驚異の53回公演を成功におさめた「空白に落ちた男」が、PARCO劇場にて上演決定したそうです。イープラスのサイトに、前回上演時の動画とともにお知らせが載っていました。

http://mv-theatrix.eplus2.jp/article/148310800.html

公演日・会場:2010/7/24(土)~8/3(火) PARCO劇場
作・演出:小野寺修二
音楽:coba
出演:首藤康之/安藤洋子/藤田善宏(コンドルズ)/藤田桃子 /小野寺修二

前回の「空白に落ちた男」は本当になんともいえず面白くって、台詞のない舞台の雄弁さや可笑しさ、人間の表現の奥深さにびっくりした舞台でした。今回は、前回のメンバーに加えて、なんと安藤洋子さん(フォーサイス・カンパニー)まで出演するというから凄いですね。時期がエトワールガラとちょっと被っていますが、観にいきたいな~って思います。

チケットの発売は2010/06/05(土) 10:00からとのことです。

ダンスマガジン2010年6月号・ウヴァーロフ引退/マリインスキー・フェスティバルの動画から

ダンスマガジンの最新号がちょっと前に届いていたのですが、掲載されていたアンドレイ・ウヴァーロフのインタビューで、近々引退する予定で、先日のニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエの来日公演への出演が、日本での最後の出演になるという衝撃的なコメントがあったのでした。

ニーナとウヴァーロフの共演は二人の温かい魂の交流が感じられて本当に感動的だったので、それが最後というのは(なんとなくそうなのかな、という気はしていたものの)残念です。ニーナはインタビューで「まだまだ彼には踊ってもらわなくては。私が何とか説得します」と言っているので、それに期待したいですね。個人的にも、2003年の世界バレエフェスティバル特別プログラムの「ドン・キホーテ」でウヴァーロフがガリーナ・ステパネンコと共演したのを観て、バレエってこんなに楽しいんだ、と実感した記憶があるので、彼には踊り続けてほしいって思います。

先日まで開催されていたマリインスキー・フェスティバルでは、4月12日にウヴァーロフはスヴェトラーナ・ザハロワと「白鳥の湖」で共演しました。その時の映像とインタビューがマリインスキー劇場のオフィシャルYouTubeチャンネルにアップされています(英語の字幕付)。ザハロワがここで、「白鳥の湖」を踊ってほしいといわれてアンドレイと踊りたい、彼が「白鳥」ではベストのパートナーと語っています。今後は彼女は誰をパートナーに踊るのでしょうか。

マリインスキー劇場のYouTubeチャンネルは、ラトマンスキー振付の「アンナ・カレーニナ」(新制作)マリインスキー初演や、ウリヤーナ・ロパートキナ出演の「カルメン組曲」など興味深い動画がたくさんアップされています。

ダンスマガジンの話に戻って、特集は上記ニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエと、パリ・オペラ座の来日公演。インタビューはアニエス・ルテステュ、ニコラ・ル=リッシュそしてジョゼ・マルティネス。やはり引退の話が出ていたジョゼは、このインタビューで42歳の定年を過ぎてもオペラ座で踊り続けると明言していますね。

面白かったのはベルリン国立バレエの「ラ・ペリ」の初演の記事。ほとんど振付の記録が残っていないこの作品を、マラーホフがほぼ一から振付けたというから凄いことです。いつか観る機会があるといいですね。

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2010/04/27

4/22 歌舞伎座さよなら公演 御名残四月大歌舞伎 第三部

今まで歌舞伎座で歌舞伎を観たのは7、8回程度とファンとは言えない程度しか観て来なかったのだけど(コクーン歌舞伎や演舞場でも観ているけど)、やはりこの風情溢れる劇場と別れるのは寂しくて。両親と観に行ってきました。

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チケットが超入手困難で、父に取ってもらったチケットは3階B席ですぐ後ろは幕見席。正面席だったので、花道以外はよく見えました。

一、実録先代萩(じつろくせんだいはぎ)

乳人浅岡  芝 翫            
松前鉄之助  橋之助              
局錦木  萬次郎              
局松島  孝太郎             
腰元梅香  児太郎              
亀千代  千之助              
千代松  宜 生              
局呉竹  扇 雀              
局沢田  芝 雀            
片倉小十郎  幸四郎

平日公演だったので、開始時刻には間に合わず途中から。したがって、話の筋を理解するのにちょっと時間がかかってしまった。主君への忠節を守るために、生き別れたわが子と再び別れなければならない「子別れ」の物語。抑制された演技の中に滋味溢れる悲しみ、引き裂かれる苦悩を表現した芝翫の至芸を堪能。亀千代も千代松もほんとうにかわいい。

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二、助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)

花川戸助六  團十郎            
三浦屋揚巻  玉三郎             
通人里暁  勘三郎          
福山かつぎ寿吉  三津五郎            
三浦屋白玉  福 助         
男伊達 山谷弥吉  権十郎         
同   田甫富松  松 江         
同   竹門虎蔵  男女蔵         
同  砂利場石造  亀三郎         
同   石浜浪七  亀 寿            
傾城八重衣  松 也            
同  浮橋  梅 枝            
同  胡蝶  巳之助            
同  愛染  新 悟              
金棒引  種太郎                
同  萬太郎                
同  廣太郎                
同  廣 松             
禿たより  玉太郎         
白玉付番新梅ヶ香  歌 江             
奴奈良平  亀 蔵            
国侍利金太  市 蔵             
遣手お辰  右之助           
番頭新造白菊  家 橘             
朝顔仙平  歌 六             
曽我満江  東 蔵          
三浦屋女房お松  秀太郎             
髭の意休  左團次         
くわんぺら門兵衛  仁左衛門           
白酒売新兵衛  菊五郎               
口上  海老蔵


歌舞伎座のさよなら公演を飾るにふさわしい華やかな演目。口上を海老蔵が務めるというのはほんの序の口でオールスターが揃い踏み。花魁たちのあまりにも豪華な衣装にため息。そしてその中でもひときわ艶やかに咲き誇る玉三郎扮する揚巻の美しさ。しかし意休に悪態をつきあしらうさまは堂々としているというか、女っぷりの良さを見せつけるというか。

一方、助六の團十郎は、病み上がりとは思えないほどの、朗々と通る声、立ち振る舞いの粋さ、スターぞろいの舞台の中でも飛びぬけてカッコ良い。それだけに、花道がほとんど見えなくて、スタイリッシュに見得を切る姿がちらちらとしか見えない席が残念だった。チケットが入手できただけでも幸運だと思うけど。

そしてお楽しみは、門兵衛に仁左衛門、かつぎ寿吉に三津五郎と、大きいとはいえない役に大物が出演して、それぞれに絶妙な芸の一端を見せてくれること。さらに新兵衛には菊五郎。さらに、通人里暁に勘三郎が登場して、場面をさらっていってしまう軽妙洒脱な話芸を披露。菊五郎の股をキュートにくぐって見せちゃう上に、最後には歌舞伎座への愛着と惜別をも語ってしんみりとさせてくれた。

たまにしか観ない歌舞伎だけど、美しいだけじゃなくって、くすくすと笑えるし、ほーんとうに楽しい!ザッツ・エンターテインメント!歌舞伎座がなくなってしまうのは寂しいけど、また時間を見つけて観にいかなくちゃと思ったのだった。

2010/04/25

マリカ・ベゾブラゾヴァ逝去

ダンソマニからの情報です。

モナコのプリンセス・グレース・アカデミーの名教師、マリカ・ベゾブラゾヴァMarika Besobrasovaが亡くなられたとのことです。享年89歳。
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4680

マリカ・ベゾブラゾヴァの教え子としては、森下洋子さん、ジル・ロマン、フリーデマン・フォーゲル、スージン・カンなど数え切れないほどおり、ヨーロッパでももっとも有名な教師の一人でした。ご冥福をお祈りします。

第23回バレエの祭典ラインナップ

お友達に教えてもらいました!まずは速報から

http://www.nbs.or.jp/saiten2010/index.html

2010年11月 モーリス・ベジャール・バレエ団  「80分世界一周」/「火の鳥」「3人のソナタ」「アリア」 Bejart Ballet Lausanne

2011年1月 ベルリン国立バレエ団 「シンデレラ」(マラーホフ版)、「チャイコフスキー」(ボリス・エイフマン振付) Berlin State Ballet

2011年5月 英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 「眠れる森の美女」(ピーター・ライト版)/「真夏の夜の夢」「ダフニスとクロエ」(フレデリック・アシュトン)Birmingham Royal Ballet
※アシュトン・プロには吉田都さんが、「眠れる森の美女」にはタマラ・ロホが客演予定

2011年7月 マニュエル・ルグリとウィーンの仲間たち Manuel Legris and Friends from Vienna

2011年8月 ニコラ・ル・リッシュと華麗なるスターたち Nicolas Le Riche and Stars

2011年10,11月 シルヴィ・ギエム<さよなら、トゥ・シューズ> 「田園の出来事」「マルグリットとアルマン」ほか  Sylvie Guillem

2012年1月 東京バレエ団 ノイマイヤー振付 「ロミオとジュリエット」 Tokyo Ballet John Neumeier's Romeo and Juliet

2012年3月 モナコ国立モンテカルロ・バレエ団 「バレエ・リュス・プロ」ほか Montecarlo Ballet
2012年4月 ウィーン国立バレエ団 Vienna State Ballet

2012年6月 シュツットガルト・バレエ団 「白鳥の湖」「じゃじゃ馬ならし」(ジョン・クランコ振付) Stuttgart Ballet

2012年7,8月 第13回世界バレエフェスティバル 13th World Ballet Festival

例年より期間が長く、上演本数も多い気がするのは気のせいでしょうか。ギエムとルグリが入ってきたのは予想通りでした。会費が高そうです。

と思ったら、会費も出ていました。

S会員 全19演目をS席で鑑賞 1口=320,000円
A会員 全19演目をA席で鑑賞 1口=280,000円
B会員 全19演目をB席で鑑賞 1口=240,000円


モンテカルロ・バレエが光藍社さんからNBSに移ったのですね。上記ラインナップサイトを見たら、マイヨー版の「シェヘラザード」を上演するようなので、これはすごく楽しみです。シュツットガルトは、やっぱり「オネーギン」がまた観たかったです。そして、もう世界バレエフェスティバルなんですね・・・早いもので。

2010/04/24

国立モスクワ音楽劇場バレエ ブルメイステル版「白鳥の湖」

スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念
国立モスクワ音楽劇場バレエ ブルメイステル版「白鳥の湖」
Stanislavski & Nemirovich-Danchenko Moscow Academic Music Theatre "Swan Lake"
(2010.4.18 オーチャードホール)

振付・演出:ウラジーミル・ブルメイステル[1953年]
美術:ウラジーミル・アレフイエフ

オデット/オディール:ナターリヤ・ソーモワ
ジークフリート王子:ミハイル・プーホフ
王妃:ガリーナ・イスチェンコ
悪魔ロットバルト:アントン・ドマショーフ
道化:デニス・アキンフェーエフ

2007年のモスクワ音楽劇場バレエのブルメイステル版「白鳥の湖」は素晴らしい公演だった。ブルメイステル版がストーリーがしっかりした演出であることもさることながら、主演のタチアナ・チェルノブロフキナとゲオルギー・スミレフスキーの圧倒的な存在感が印象深くて心に残る舞台だった。

今回の来日公演でも、またあのブルメイステル版「白鳥の湖」が観られると思って楽しみにしていて、チェルノブロフキナは残念ながら今回の来日メンバーには入っていないけれども、スミレフスキーの王子を期待してチケットを取った。彼のエレガントで行き届いた踊りに加えて、王子のひたむきさや純粋さを伝え、台詞が一つ一つ聞こえてきそうな演技に魅せられていたのだ。

ところが、スミレフスキー夫人であるナタリア・クラピーヴィナがおめでたのために降板。それに伴って、「白鳥の湖」のキャストが玉突きで変更となってしまい、スミレフスキーが観られなくなってしまった。これが痛かった。代役のミハイル・プーホフは前回の来日公演の「くるみ割り人形」の王子で観ているのだけど、どうも踊りが重くて好みではなかったのだ。

やはりプーホフの王子は物足りなかった。演劇性が重要なブルメイステル版「白鳥の湖」で、あまり演技をしていないのだ。彼の王子は、ある意味では面白かったといえるかもしれない。エレガントさがまったくなくて王子らしくないというか、やんちゃで傲慢な王子だったからだ。結婚相手を選びたくないのも、母親に対する反抗心ゆえのことであり、もっと遊びたかったからという風に見えた。ブルメイステル版だと、1幕で王子は一人の姫に目をつけて彼女とパ・ド・ドゥを踊るわけだけど、それが結婚前の王子のおイタのように見えたから、そういう意味では面白かった。遊ぶだけ遊んでみて、やっぱりやーめたって感じだったのだ。プーホフの、あのエフゲニー・イワンチェンコ張りのオールバックの髪型だったのが、ますますそんなゴーマンな雰囲気に拍車をかけていた。でも、イワンチェンコほどの迫力というか、ブランデーグラスの似合う重厚な行き遅れ王子ではなくて、もっと軽くてチンピラなんだよね。
(こんなことを書いていると、なんだかんだ言って楽しんだみたいに読める・・・実際やっぱり面白かったのかも)

ナターリヤ・ソーモワはプロポーションに恵まれていて、清潔感のあるバレリーナ。オデットはとても丁寧に踊っていて美しかったけど、インパクトは弱かった。オディールは愛らしく、迫力や色香はまったくないけれど魅力はあったしオデット=オディールなのがよく判るから王子も間違えるよね、って思わせた。彼女の楚々とした踊りは好感度は高かったから、これからに期待したいところ。白鳥のコール・ドは美しく、よく揃っていたけどオーチャードの舞台が狭いためか、24人しか舞台に乗っていなかった。ブルメイステル版のコール・ドのフォーメーションはちょっと変わっていて空間をうまく使っており、、自在に変化していく様子がとても面白い。群舞の中にも意思というものが感じられて、作品の演劇性を増幅しているようなのだ。

それにしても、ブルメイステル版の3幕の演出は魔術的。こんなにもドラマティックでわくわくさせ面白い白鳥の3幕も他にはないって改めて思った。民族舞踊のダンサー全員がロットバルトという設定はよくあるパターンではあるものの、彼らは単なる賑やかしとしてのディヴェルティスマンではなく、物語を進める上で不可欠の存在として登場しているし、それぞれが邪悪でセクシーで目が離せない。オディールはキャラクターダンスの間に、まるで魔法のように現れては消えて王子を幻惑する。魔術師ロットバルトがマントをさっと引くと、イリュージョンのごとくオディールが出てくるところの鮮やかでカッコいい演出といったら!ずらりと壁のように並んだロットバルトの手下一味の妖しくもスタイリッシュな姿にはもう~ぞくぞくする。また3幕の衣装がゴージャスで重厚で美しいのだ。今まで観た「白鳥の湖」の3幕の衣装の中でも最も華麗で、しかもドラマを盛り上げる重要な要素として活躍していた。スペインの赤、ナポリのイエローが黒やゴールドと絡み合ってバロックな雰囲気を作っていたけど、一番素敵だったのはマズルカの群青のような、夜のような深いブルーで、万華鏡のように照明をキラキラと映し出していて、美しい悪夢のようだった。このキャラクターダンスの間は至福の時間が流れていたといってもいい。

この版の3幕PDDのコーダの、畳み掛けるような展開がすごく好きなのだけど、ここやマズルカで、ティンパニーが暴走するがごとく鳴りまくっていたのが面白かった。席が2階バルコニーだったでオーケストラピットの中が見えたのだけど、意外と編成が小さくて、中でも弦楽器が少なかったような。2幕のアダージオでのソロなどは音の響きが素晴らしかったが、弦の音の薄さに対して、打楽器の爆音が強く出てしまってバランスが悪かった感じがした。それでも、やはり劇場付のオーケストラということで舞台との一体感があり、こういう演奏でバレエが観られるのは幸せなことだなあ、としみじみと思ったのであった。

[マラーホフの贈り物]マラーホフ初演のソロ「瀕死の白鳥」と豪華「ラ・バヤデール」

NBSのサイトで、来月の「マラーホフの贈り物」でウラジーミル・マラーホフが踊るソロ作品の演目が決定したとのお知らせが載っていました。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-204.html

当初、Aプロ5/18「ヴォヤージュ」、5/19「アリア」、Bプロ5/22「ラヴィータ・ヌォーヴァ」、5/23 「ヴォヤージュ」の予定だったのが、

【Aプロ】
「瀕死の白鳥」
振付:マウロ・デ・キャンディア/音楽:カミーユ・サンサーンス

【Bプロ】
「ラクリモーサ」
振付:エドワード・スターリー/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト

となったとのことで、「瀕死の白鳥」はマラーホフ初演とのこと。振付のマウロ・デ・キャンディアMauro de Candiaは、イタリアのカンパニー Arte&BallettOを設立し、他のカンパニーにも作品を提供している若手の振付家とのことです。


あと、Bプロの「ラ・バヤデール」影の王国ですが、主演のマラーホフとポリーナ・セミオノワのほか、3人の影のソリスト役で、マリア・アイシュバルト(シュツットガルト・バレエ団)、ヤーナ・サレンコ、エリッサ・カリッロ・カブレラ(ともにベルリン国立バレエ団)が出演するとのことです。なんて豪華な企画なのでしょう。楽しみですね!


マラーホフといえば、「ラ・バヤデール」のメイキングを収録したDVD 「ウラジーミル・マラーホフ~『ラ・バヤデール』の舞台裏~」が5/19(水)に発売されます。ベルリン国立バレエの前回の来日公演のときに会場で売っていたのと同じ映像の日本盤のようですね。なかなか面白かったです。

なお、このDVDのプレゼントつきの<DVD特典付>得チケが現在イープラスで発売中です。受付期間:4/15(木)10:00~4/28(水)18:00

http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002004429P0050002P006002P0030040P0030041P0491

ウラジーミル・マラーホフ~「ラ・バヤデール」の舞台裏 [DVD]ウラジーミル・マラーホフ~「ラ・バヤデール」の舞台裏 [DVD]

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2010/04/22

サンフランシスコ・バレエの2010-2011シーズン、ノイマイヤー「人魚姫」再演

いろいろなバレエカンパニーの来シーズンのラインアップが発表される時期になりました。

サンフランシスコ・バレエの2010-2011シーズンが発表になっています。

バレエ団のプレスリリースはこちら
http://www.sfballet.org/about/pressroom/pressreleases/view.asp?id=10193140

サンフランシスコ・クロニクル紙の記事
'Mermaid' to return to San Francisco Ballet
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2010/04/21/DD4M1D019E.DTL

上記記事の写真がジョン・ノイマイヤー振付の「人魚姫」の写真であることからも、この「人魚姫」再演が最大のニュースのようです。本当にサンフランシスコ・バレエでの上演は大成功だったんですね。

Opening Gala: 26 Jan 
オープニングガラ
Program 1: "Giselle" Jan. 29, 30*, Feb. 1, 2, 4, 10 and 12*.
「ジゼル」
Program 2: "Symphonic Variations" (Ashton), World Premiere (Possokhov), "Symphony in C" (Balanchine) Feb. 3, 5* and evening, 6*, 8, 9, 11.
アシュトン「シンフォニック・ヴァリエーションズ」、ポソホフ新作、バランシン「シンフォニー・インC」
Program 3: "Nana's Lied" (Tomasson), "Classical Symphony" (Possokhov), "Artifact Suite" (Forsythe) Feb. 24, 26* and eve., March 1, 4, 6*, 9 
トマソン"Nana's Lied"、ポソホフ"Classical Symphony"、フォーサイス「アーティファクト組曲」
Program 4: "Winter Dreams" (Macmillan), "Theme and Variations" (Balanchine), TBA Feb. 25, 27*, March 2, 3, 5* and eve., 8 
マクミラン「三人姉妹」、バランシン「テーマとヴァリエーション」、未定
Program 5: "Coppelia" (Balanchine) co-production with PNB March 19, 20*, 22, 23, 24, 25 and 26* 
パシフィック・ノースウェスト・バレエとの共同制作「コッペリア」
Program 6: "Ghosts" (Wheeldon), "Chroma" (McGregor), "7 for Eight" (Tomasson) April 7, 9* and eve., 12, 15, 17*and 20 
ウィールダン”Ghosts" 、マクレガー「クローマ」、トマソン"7 for Eight"
Program 7: World Premiere (Wheeldon), "Petrouchka" (Folkine), "Underskin" (Zanella)April 8, 10*, 13, 14, 16* and eve., 19 
ウィールダン世界初演作品、フォーキン「ペトルーシュカ」、ツァネラ"Underskin"
Program 8: "The Little Mermaid" (Neumeier) April 30, May 1*, 3, 4, 5, 6, 7* 
ノイマイヤー「人魚姫」

*印はマチネ公演

なお、フォーキンの「ペトルーシュカ」は初演100周年を迎えるそうです。(初演は1911年)

「人魚姫」のタイトルロールが絶賛を浴びたヤンヤン・タンのインタビューが、スペインのサイトDanza Balletに掲載されています。インタビュアーは吉田悠樹彦さんですが、英語の記事です。写真を見ると、本当にヤンヤン・タンの人魚姫は美しくて哀しい感じが出ています。
http://www.danzaballet.com/modules.php?name=News&file=article&sid=3474

2010/04/20

4/14 国立モスクワ音楽劇場バレエ「エスメラルダ」Stanislavski & Nemirovich-Danchenko Moscow Academic Music Theatre "Esmeralda"

ブルメイステル版「エスメラルダ」(全3幕)

音楽:チェーザレ・プーニ/レイゴリト・グリエール/セルゲイ・ワシレンコ
台本:ワシリー・チホミーロフ/ウラジーミル・ブルメイステル
原作:ヴィクトル・ユゴー「ノートルダム・ド・パリ」
振付・演出:ウラジーミル・ブルメイステル(1950年)
美術:アレクサンダー・ルーシン
リバイバル版演出:セルゲイ・フィーリン(2009年)

日本では初演となるブルメイステル版「エスメラルダ」。初めて全幕を観る作品で観る前は果たしてどうなのかな、と思っていたのだが、一人一人の出演者が作品の世界を生きており、中でもタイトルロールを演じたナターリヤ・レドフスカヤが素晴らしくてすぐに舞台の中に引き込まれた。

バレエ団の正式名称が「スタニフスラスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念モスクワ音楽劇場バレエ団」と、かのスタニフスラスキー・システムの名前を戴いていることからも、非常に演劇性を重視した舞台となっている。群舞にいたるまで、出演者一人一人がその役を生きるように演技していて、バレエと演劇がダンスを通じて(ここが大事)融合し、作品の世界を表現していた。

この群舞=民衆が、この作品のもうひとつの主役と言っていい。醜いせむし男のカジモドを自分たちの王として選ぶ祭りの熱気。ファビュスとフルール・ド・リスの婚約の宴への招かざる客としての魅惑的なジプシーたち。そして無実の罪を着せられたエスメラルダが処刑台へと送られようとしていることに抵抗する、虐げられてきた民。貴族たちが支配しどんなに理不尽なことも通ってしまう世界に反旗を翻し、エスメラルダを受難者として崇拝し守ろうとする彼らの悲しさが、これらの場面を単なるモブシーンとしてではなく、一人一人の息遣いを感じさせ、作品の生命線を担うものとして深みを与えていた。道化の姿をした男性ダンサーたちのダイナミックな踊りもとても楽しかった。

この「エスメラルダ」は1幕が民衆のエネルギッシュで躍動感ある踊りが中心、2幕が貴族たちのクラシックなバレエ中心、そして3幕がドラマ中心と3つの幕が明確に分けられている。その中で、貴族世界を描いた2幕が作品の中で一番弱いのも無理はないかな、と思った。

一人一人の登場人物が魅力的な中、やはり際立っていたのがレドフスカヤだった。登場したところから、視線を一気に吸い寄せる鮮烈さ。実際のレドフスカヤの年齢からは想像もできないほど初々しく愛らしく魅力的な上、くっきりとした輪郭の鮮やかな踊り、軽やかなジュッテ、柔軟さ、絶妙のアクセント。まさにテクニックと演技力が融合していて、踊りを通して生き生きと役を生きているのが伝わってくる。本当に彼女のエスメラルダは可愛くて、ファビュスに対する愛情表現も、はにかみながらで初々しくて。ファビュスが不実な男だというのがわかっているのだから、もう切なくて。

そんな可愛いエスメラルダが、破戒僧フロロの陰謀によって無実の罪を着せられて死刑に処せられることになるとはなんと過酷な運命だろう。フロロの強引な求愛をはねつけた彼女が、ついに処刑台に送られる時には、髪を下ろして粗末なガウン姿になっている。このときのエスメラルダはとてもさっきまでの初々しく一途な少女とは思えない、絶望した姿ではあるのだけど崇高さを感じさせて美しい。こんなにも美しく純真な女性が、自分には何一つ落ち度がないのに、こんな悲しい運命に翻弄されてしまうなんて・・・(それは、理不尽にもスターリンに粛清されていったロシアの民衆の姿とだぶるものがある)

罪を着せられて死刑になるだけではなく、愛した男ファビュスが婚約者フルールを連れ、表情ひとつ変えずに彼女の前を通り過ぎていってしまうとはなんという悲劇だろう。さらには生き別れた母が狂女と成り果てながらも死の直前に再会を果たし、そのまま永遠の別れまでくるとは、ここまで残酷な運命を背負わされたヒロインもほかにいないのではと思うほど。愛する男に裏切られた絶望と、母との再会の喜びが死別の悲しみへと変わり行く心情の襞を、決して大袈裟ではなく細やかに表現したレドフスカヤの演技力は心を打った。ひどく悲しく救いのかけらもない場面だというのに、悲しみに打ちひしがれ生きる希望を失っていくエスメラルダは、生の儚さとともに、輝きを感じさせたのだった。

カジモド役のアントン・ドマショーフの演技も光っていた。あまり踊りがある役ではないけれども、身体にたくさん詰め物をして顔もかなりメイクで作りこんでいてぞっとするような醜さのせむし男になりきっていた。(アントン・ドマショーフは18日の「白鳥の湖」ではロットバルト役を踊ったのだった)恩義のあるフロロには逆らえず卑屈になってしまう一方、美しいエスメラルダには恋心を抱き、物陰からそっと彼女のことを見つめている。意を決して不器用に愛を告白しても、その醜い姿に驚いたエスメラルダには拒絶されてしまう。己の醜さを嘆く彼の姿は悲しく、思わず胸を締め付けられてしまった。
エスメラルダの復讐を果たすべくノートルダム寺院の塔からフロロを突き落とすカジモド。エスメラルダを守りきれなかったことを悔やみながらさまざまな葛藤と戦い、支配的な存在を倒したカジモドの、最後の万感迫る表情にも心を揺り動かされた。

カジモドに対して圧倒的な支配力を持ちながらも、エスメラルダへの欲望も抑えられない怪僧フロロ。エスメラルダに拒絶されてからは、彼女を許すことができずに処刑台へと送ってしまう。フロロは憎むべき絶対悪の存在ではあるのだけど、自分の色欲に勝てない憐れな人物、人間の弱さを感じさせていたのは、名キャラクテールとして知られたウラジーミル・キリーロフの演技があってこそ。また、エスメラルダと生き別れ、狂女としてさすらうグドゥラを演じたインナ・ギシケーヴィチの、圧倒的な存在感も凄まじかった。

それにしても、このブルメイステル版「エスメラルダ」のファビュスって本当にひどい男。バレエの男性主人公は、アルブレヒトやソロルのように不実な男がたくさん登場するけれども、ひどい男ランキングでファビュスはナンバーワンになるかも。婚約者がいるのに純真なエスメラルダをだまし、そのことが婚約者にばれても平然としているし、何よりもエスメラルダが処刑台へと送られてしまうというのに、彼女の助命嘆願も無視して歩き去るとは・・・(したがって、カーテンコールではチュージンへの拍手が心なしか少なかったような)また、チュージンがこの卑劣な二枚目を巧みに演じていたのが素晴らしい。

そんなわけで、「エスメラルダ」の物語は圧倒的な悲劇で救いがほとんどないにもかかわらず、素晴らしい舞台を観た満足感一杯で終演を迎えることができた。


そして忘れてはならないのが、見事な舞台装置と美術。舞台の両脇の高い位置に、一対のガーゴイルが配置されていて、赤い照明を浴びて舞台を見下ろしている。このガーゴイルたちは人々の営みを見つめ続けているのだ。場面転換の際には、ノートルダム寺院の薔薇窓を模した幕が下がるのだが、このステンドグラスの絵柄が一つ一つ細かく美しく描かれていて、本物のステンドグラスを見ているようだし、ここに照らされた照明もとても美しくて効果的だった。

圧巻だったのが、ラストのノートルダム寺院のセット。まずは幕にノートルダムの塔屋からセーヌ川を見下ろした風景、そして欄干の両端にはやはりガーゴイルが描かれている。この幕が上がると、幕に描かれている様子がそのまま精巧なセットで再現されているのだ。醜い姿をしたガーゴイル像だが、長年にわたってパリの街と人々を見守ってきたのだということを感じさせる。恋しいエスメラルダの姿を物陰からじっと見つめていたカジモドを象徴する存在でもあった。塔から見下ろした教会までもが装置で再現されていて、思わず息を呑んだ。細部までこだわりぬかれた舞台であったということを改めて実感させられ、劇場つきのオーケストラも帯同して一流の舞台を見せてくれたバレエ団の心意気を堪能した。

またプログラムには、あらすじだけでなく登場人物の詳細な説明が載っており、予習できたことも幸いした。プログラムでは、ダンサーのプロフィールも、ソリストたちまで載せてくれてありがたい限りだった。


【キャスト】
エスメラルダ:ナターリヤ・レドフスカヤ
フェビュス:セミョーン・チュージン
クロード・フロロ:ウラジーミル・キリーロフ
カジモト:アントン・ドマショーフ
グドゥラ:インナ・ギンケーヴィチ
フルール・ド・リス:マリーヤ・セメニャチェンコ
ジプシー・イリーナ・ベラヴィナ
将校:セルゲイ・クジミン、ロマン・マレンコ
道化:デニス・アキンフェーエフ、デニス・ペルコフスキー、アレクセイ・ポポーフ
王:ドミトリー・ロマネンコ、セルゲイ・マヌイロフ、イリーヤ・ウルーソフ
シェンシェリ:アンナ・ヴォロンコーワ
ヴァリエーション:マリア・クラマレンコ、エリカ・ミキルチチェワ、アンナ・アルナウートワ

指揮:アントン・グリシャン
管弦楽:国立モスクワ音楽劇場管弦楽団

2010/04/18

4/17 バットシェバ舞踊団『MAX マックス』 Batsheva Dance Company ”MAX" Ohad Naharin

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
振付:オハッド・ナハリン
音楽:マキシム・ワラット
出演:バットシェバ舞踊団

NDTフェスティバルのオハッド・ナハリン振付「マイナス16」で注目し、前回の来日公演「テロファーザ」も楽しかったイスラエルのバットシェバ舞踊団の新作の上演とあって、今回も楽しみだった。そして、はるばる与野本町まで出かけて観にいった甲斐があった、最高に面白くて刺激的な公演だった。

出演は男女5組10人のダンサー。舞台装置はなく、女性はレオタード、男性はタンクトップに短パンというシンプルな衣装。しかし舞台を目一杯使った強靭で迫力ある群舞に思わず目は釘付けとなり、また陰影を生かした鮮烈な赤などの照明もとても美しく、途中からはずっとわくわくしっぱなしだった。

音楽の使い方がとても変わっていて、無音なのにダンサーたちが見事にシンクロしているところもあれば、歌や低い呪術的な音楽が流れる中、その音をまったく無視してしなやかに踊る場面もあって不思議なトリップ感を味わった。何よりも印象的だったのが、音楽のマキシム・ワラットが独特の言語で1,2,3と数えていくカウントにしたがってスピーディにソロ、そして群舞と伝播していくように踊られるシーン。音とは別に身体内部に刻まれているリズムにしたがって展開する、快感ともいえるメリハリのあるダンサーたちの動きにぐいぐいひきこまれてしまい、1時間の上演時間はあっという間に終わってしまった。

オハッド・ナハリンが生み出したGAGAというメソッドの賜物なのかもしれないが、ここのダンサーたちの動きは本当にすごい。力強い動きの中に、ふっと脱力するタイミングが絶妙だし、驚異的にしなやかな動きをしているし、音の合わせ方にはしびれた。男女のペアx5(ペアで踊っているけど、触れ合いそうで触れ合わないところがポイント)、トリオ、ソロ、デュオ、全員による群舞と自在に場面は変化するけれども、圧巻だったのは、全員が別々の動きで迫力あるダンスを踊っている中、ダンサーが一人ずつ真ん中でもう惚れ惚れするようにカッコいいソロを繰り広げていくシーン。今までに観たことがないようなユニークな振付になっていて、超かっこよくてしびれた~。引き込まれるあまり、舞台の上の世界に自分も思わず参加しているような気持ちになって、すごく楽しい。

うまく表現する言葉が見つからないけど、人間の動きってこんなにパワーがあるんだって嬉しくなってしまった。この舞台を観られて幸せだった。

GAGAのワークショップ、受けてみたい。

ほんのちょっとだけど動画(NYのブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック劇場のチャンネルより)

彩の国さいたま芸術劇場の公演サイト(オハッド・ナハリンのインタビュー、MAX動画つき)
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2010/d0415.html

2010/04/17

4/13 モスクワ音楽劇場バレエ「オープニング・ガラ」

ロシア文化フェスティバルのオープニングセレモニーの後にガラは始まった。

≪第一部≫
『パキータ』
音楽:ミンクス/振付プティパ
改訂振付:ミハイル・ラヴロフスキー/演出:S・フィーリン

マリーヤ・セメニャチェンコ セミョーン・チュージン
ドミトリー・ハムジン セルゲイ・クジミン
マリヤ・クラマレンコ アンナ・ヴォロンコーワ
アンナ・ハムジナ エリカ・ミキルチチェワ
モスクワ音楽劇場バレエ団コールドバレエ
指揮:アントン・グリシャニン

ロシア・バレエならではの演目ではあるけれども、せっかくならこのバレエ団ならではのレパートリーを観たかった気がするので、「パキータ」じゃなくても良かったのではないかしら。演奏が始まると、これが「パキータ」なのか、と思うくらいオーケストラが鳴っていたのにちょっとうけてしまった。

コール・ドは足音はあまりさせていなかったけど、マリインスキーの優雅さとはちょっと違っていて、元気が良い感じ。ものすごく揃っているわけではないけれども、きれいにまとまっており、さすがにみなさんプロポーションはきれい。

ヴァリエーションは、「ラ・バヤデール」のガムザッティのヴァリエーションや「ドン・キホーテ」のキューピッドのヴァリエーションの曲など。「パキータ」の中では気に入っている、エトワールが踊るハープの美しい曲をつかったものがないのがちょっと残念。ちょっとだけ顔がザハロワに似ている2番目のエリカ・ミキルチチェワ、そして3番目のヴァリエーションが良かったと思う。

男性ダンサーが3人キャスト表になっているのでどういうことなのかな、と思ったら、エトワールのほかに男性二人で踊るところがあって、二人ともすごく達者だった。

エトワールのマリーヤ・セメニャチェンコは長身で脚の長い美女。プロフィール写真も美しいけど、舞台姿も本当に美しい。この作品の真ん中を踊るにはもう少し求心力があったほうがいいかなとも思うけど、でも真ん中を踊るのにふさわしい華がある。男性エトワールのセミョーン・チュージンも背が高く、ふわふわの金髪がちょっとウヴァーロフのようなノーブルな若いダンサー。白いタイツが良く似合い、サポートも上手。他の作品でも見てみたいな、と思ったら翌日の「エスメラルダ」のファビュス役で見ることができた。

(休憩20分)

≪第二部≫
『石の花』より
音楽:S.プロコフィエフ/振付:ユーリー・グリゴローヴィチ
モスクワ音楽劇場バレエ団コールドバレエ
指揮:フェリックス:コロボフ

いかにもロシア的な、民族色豊かでカラフルな衣装を着けている群舞が舞台を埋め尽くすほど大勢登場して、踊りまくりで観る側としても血が騒ぐ。とっても楽しかった。こんなに大勢のダンサーをガラに投入してくれると思っていなかったので、嬉しい驚き。


『グラン・パ・クラシック』
音楽:ダニール・オベール/振付:ヴィクトル・グゾフスキー
金子扶生 ゲオルギー・スミレフスキー
指揮:アントン・グリシャニン

モスクワ国際コンクールジュニア部門で銀賞を受賞した、地主薫バレエ団の金子扶生さんが客演。まだ18歳だというのに、正確な技術はいうまでもなく、堂々とした演技で華もしっかりあって素晴らしかった。そしてスミレフスキー!今回奥様のクラピーヴィナがおめでたで降板し、それに伴うキャスト変更が玉突きとなってしまって「白鳥の湖」で観られなくなってしまったのが本当に残念。前回の来日公演での「白鳥の湖」の王子が素晴らしくて、もう一回観たいと思っていたのだけど。ダンスール・ノーブルのお手本のようなエレガントな踊りと優しさの感じられるサポート。土曜日にさいたまに行く予定がなければ「白鳥~」」は追加したかった。


『ジゼル』
音楽アダン/振付:プティパ
ナタリヤ・レドフスカヤ セミョーン・チュージン
指揮:アントン・グリシャニン

レドフスカヤは上半身の動きが美しく儚げで精霊らしかったのだけど、跳躍を繰り返すところではウィリにしては脚が元気が良すぎるというか、力が入っているように思えてしまった。チュージンはとても柔軟な肢体の持ち主で特に背中が柔らかくてアラベスクがすごく美しいし、ジゼルに体重がないように持ち上げるサポートも上手だった。


『ロマンス』
音楽:ゲオルギー・スヴィリードフ/振付:ドミトリー・ブリャンツェフ
イリーナ・ベラビナ/ロマン・マレンコ
指揮:フェリックス:コロボフ

もの悲しげな音楽(フィギュアスケートなどにもよく使われている音楽とのことで、確かに聴き覚えがある)の中、シンデレラの灰かぶり姫のような灰色の衣装の女性と、少し破れた服を着ている男性の恋人同士のパ・ド・ドゥ。最初は愛にあふれていた二人だったのだけど、男性が途中で何者かに連れ去られたかのように闇の中に消えてしまい、激しく嘆き悲しむ女性。プログラムの解説によれば、ロシア革命の中で愛する者が突然連れ去られてしまったという現実を見ることができるとある。短い作品だけども、ダンサーたちの演技力もあり、胸をかきむしられるような哀しみが鮮烈な印象として残った。


『ゼンツァーノの花祭り』
音楽:エドゥアード・ヘルステッド/振付オーギュスト・ブルノンヴィル
ガリーナ・イスマカーエワ 奥村康祐
指揮:アントン・グリシャニン

もう一人の日本人ゲスト、やはりモスクワ国際コンクールのシニア部門銀賞の奥村康祐さんも優れたダンサーで、ブルノンヴィル独特の脚捌きも鮮やかだった。ちょっと小柄なのがもったいない。ガリーナ・イスマカーエワは小気味の良い踊り。


『悲しみの鳥』
音楽:モーリス・ラヴェル/振付:カシヤン・ゴレイゾフスキー
マリーヤ・セメニャチェンコ
ピアノ:アンナ・マリシェワ

美しいセメニャチェンコが、長くて綺麗な肢体が際立つようなエメラルド・ブルーのユニタードのような衣装を着けてしなやかに踊る。本当に彼女は美しい~。


オペラ『ファウスト』より『ワルプルギスの夜』抜粋
音楽:シャルル・グノー/振付・演出:ミハイル・ラヴロフスキー
ナターリヤ・レドフスカヤ ミハイル・プーホフ
ドミトリー・ハムジン
モスクワ音楽劇場バレエ団コールドバレエ
指揮:フェリックス:コロボフ

これも群舞が多数登場して盛り上がること盛り上がること!大勢のバッカスたちやニンフたち、そして牧神などが勇壮に舞い踊る。ソリストの男性二人もダイナミックでたっぷりと見せてくれるし、先ほどのジゼルとは一転して、レドフスカヤがメリハリの効いたスパイシーな踊りで、視線を釘付けにさせてくれた。この手の役のほうが彼女には似合っているのかもしれないけど、本当に可愛らしくて魅惑的だった。オーケストラも、特にシンバルやティンパニがノリノリで鳴らしてくれた。音響の良くないオーチャードホールでこれほど響かせてくれたのはたいしたもの。


『ドン・キホーテ』
音楽:ミンクス/振付・演出:アレクサンドル・ゴルスキー
ナタリヤ・ソーモワ ゲオルギー・スミレフスキ
セミョーン・チュージン セルゲイ・クジミン
指揮:フェリックス:コロボフ

ガラならではのお遊びで、バジル役は3人のダンサーがパートを分担。スミレフスキーがアダージオ、セルゲイ・クジミンがヴァリエーション、チュージンがコーダ前半を踊ってくれた。チュージンだけが純白の結婚式仕様の衣装。この3人だとやはりスミレフスキーが圧倒的に素晴らしく、片手リフトも余裕で決まり、アダージオの最後にはキトリのソーモワを空中に放り投げてキャッチしてくれるという技も見せてくれた。コーダ後半のピルエット・ア・ラ・スゴンド合戦でも、スミレフスキーのつま先の伸び方がひときわ美しい。キトリのソーモワは派手さはないものの、しっかりとした安定した踊りで、グランフェッテは余裕たっぷりにきれいに回っていた。ヴァリエーションの二人が誰だったのか、キャスト表に出ていなかったけど、途中で滑って転んでしまったけど笑顔で続けた第一ヴァリエーション、そして第二ヴァリエーションとも非常に良かった。

終わってみれば、本当に盛りだくさんでサービス精神も旺盛、楽しいガラだった。当初「ドン・キホーテ」のバジルの一人に予定されていた芸術監督セルゲイ・フィーリンが直前に出演キャンセルとなってしまったのは残念だったけど、フィーリンのバジルは今までたくさん見せてもらったので。これからは、彼はこの素敵なカンパニーをますます活性化させるのに手腕を振るってくれればいいなって思った(でも、たまには踊ってくれると嬉しいけど!)

2010/04/15

国立モスクワ音楽劇場バレエ来日公演中/ナチョ・ドゥアト続報 Stanislavski & Nemirovich-Danchenko Moscow Academic Music Theatre

モスクワ音楽劇場バレエ(スタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念 国立モスクワ音楽劇場バレエ)の来日公演中ということで、私もオープニング・ガラと今日の「エスメラルダ」を観て来ました。すごく良かったので、きちんと感想を書きたいところですが、遅筆のため、とりあえずの速報です。

公演サイト
http://mamt2010.jp/

ガラも「エスメラルダ」もとても良い公演で、期待以上に楽しめました!

ガラはアンコがぎゅっとつまったタイヤキのように盛りだくさんで、バレエ団の多様な魅力が発揮されていました。「石の花」や「ワルプルギスの夜」抜粋では、コール・ドをたくさん入れて、ロシアらしいダイナミックな踊りがふんだんに盛り込まれていて、すごーく楽しかったです。

それから、帯同した劇場のオーケストラの演奏がすごく良くって。ロシア・オケらしくティンパニやシンバルなど打楽器中心に大きく鳴らしてくれつつも、「ロマンス」などのしっとりした曲ではしっかりと聴かせてくれて。音楽が良いと、公演がさらに盛り上がるということを実感しました。「ドン・キホーテ」のキトリのヴァリエーションのハープも美しかったです。

ダンサーはやっぱりゲオルギー・スミレフスキが素晴らしくって、サポートは万全でヴァリエーションは美しかったです。「グラン・パ・クラシック」でスミレフスキと組んだ客演の金子扶生サンが素晴らしいテクニックを見せてくれました。これで18歳とは凄い!

「ドン・キホーテ」では、スミレフスキがアダージオ、セルゲイ・クジミンがヴァリエーション、セミョーン・チュージンがコーダ前半と役割分担。そして、コーダ後半のピルエット・ア・ラ・スゴンドではスミレフスキが回転を始めようとしたら、他の二人も登場してのピルエット合戦で楽しかったです。


「エスメラルダ」はドラマティックで見ごたえがありました。タイトルロールを演じたナタリア・レドフスカヤの演技、アクセントの効いた鮮やかな踊りも本当に素晴らしくて、至芸そのもの。カジモド役のアントン・ドマショーフの演技がすごく切なくって胸に迫りました。彼らに限らず、ダンサーたちがみんな役に入りきっていて、圧倒的な悲劇を盛り上げていってくれて引き込まれました。舞台装置や幕も凝っていて美しく、ステンドグラスを模した幕や、ラストシーンでの、幕に描かれていたのと同じガーゴイルの像と欄干が現れたのには思わず目を瞠りました。

「エスメラルダ」は明日も公演があるので、迷っている方はぜひ行かれることをお勧めします。ちゃんとした感想は改めて書ければと思います。日曜日には「白鳥の湖」を観にいく予定です。

*******
以前にこのブログでお知らせしていた、スペイン政府がスペイン国立ダンスカンパニーに介入してクラシックのカンパニーにしようとしている動きの続報です。ナチョ・ドゥアトが芸術監督の任期を一年残してカンパニーを離れることが決定したとのことです。

Nacho Duato to leave the National Dance Company
http://www.typicallyspanish.com/news/publish/article_25756.shtml

20年もの間、ナチョ・ドゥアトの作品を中心に上演して高い評価を得てきたカンパニーが、急に古典バレエもやれと政府に言われてもどうしようもないと思うのです。が、このような結果になってしまって非常に残念ですね。5月18日まで、カンパニーは米国ツアー中とのことです。

2010/04/13

ハンブルク・バレエの2010/2011シーズン Hamburg Ballet 2010/11 Season

ハンブルク・バレエの2010/2011シーズンが発表になっています。

http://www.hamburgballett.de/e/spielplan_10_11.htm

新作は
Chopin Dances Triptych(仮題、ノイマイヤーによる新作) | Dances at the Gathering(ジェローム・ロビンス) | The Concert(ジェローム・ロビンス)
December 5 | 7 | 10 | 12 (2x), 2010
January 5 | 6 | 13 | 14; July 8, 2011

Tenth Symphony of Gustav Mahler (ノイマイヤーによる新作)
June 26 | 28; July 3, 2011

の2プログラム。

リバイバルとして、「真夏の夜の夢 A Midsummer Night's Dream」「パルシファル Parzival – Episodes and Echo」の2作品。

レパートリーとしては、
Illusions – like "Swan Lake" 幻想 白鳥の湖のように
A Streetcar Named Desire 欲望という名の列車
The Floating World 7 Haiku of the Moon | Seasons – The Colors of Time 「月に寄せる七つの俳句」「時節の色」
Christmas Oratorio クリスマス・オラトリオ
The Nutcracker くるみ割り人形
Nijinsky 二ジンスキー
Death in Venice ヴェニスに死す
Hommage aux Ballets Russes Le Pavillon | The Prodigal Son | Le Sacre 「アルミードの館」「放蕩息子」「春の祭典」
Saint Matthew Passion マタイ受難曲
Orpheus オルフェウス

ツアーは、バーデンバーデン、パリ(2010年11月)、ウィーン(2011年5月)が予定されており、パリは「パルシファル」、ウィーンは「オルフェウス」です。そして、「オルフェウス」(2011年5月5日、7日)では、この作品の昨年の初演に主演する予定だったのが降板したロベルト・ボッレが主演するとのことです。(ゲスト・プリンシパルとしては、ロベルトと、エルヴェ・モローの名前があります)

詳細なシーズン内容は以下のPDFファイルにて
http://www.hamburgballett.de/form/vorschau_10_11.pdf

SWAN MAGAZINE Vol.19(2010春号)

4月に入ってしばらく更新が滞ってしまい申し訳ありません。特に体調を崩していたというわけではなく、新年度に入って何かと忙しくなってしまい、また特に書くようなネタもなく、ブログを更新しなかったというわけなのです。更新しないとこんなに楽なんだ、と思ってしまったりして。ご心配してくださった皆様、ありがとうございます。これからは無理しないでゆっくりとマイペースで更新していければと思います。

SWAN MAGAZINEのVol.19(2010春号) が発売になっています。春らしいピンク色の表紙。
http://www.heibonsha.co.jp/swanmagazine/

特集は英国ロイヤル・バレエ団ということで、

英国ロイヤル・オペラ・ハウスで
「うたかたの恋(マイヤーリング)」を観る

ティアゴ・ソアレスとマーラ・ガレアッツィが主演した「うたかたの恋」のレビュー

日本公演〈珠玉の3作品〉を語る
アリーナ・コジョカル
 
アリーナ・コジョカルが「うたかたの恋」「ロミオとジュリエット」「リーズの結婚(ラ・フィユ・マル・ガルデ)」について語ってくれています。3作品とも主演している(来日公演は「ロミオとジュリエット」だけなのが残念ですよね)彼女ならではの視点が面白いです。

[ダンサー・インタビュー3] 
エドワード・ワトソン(プリンシパル)/
サラ・ラム(プリンシパル)/
セルゲイ・ポルーニン(ファースト・ソリスト)

エドワード・ワトソンとサラ・ラムは先日のプロモーション来日でのインタビューで他誌にも同様のことが載っていますが、新星セルゲイ・ポルーニンのインタビューがあるのが嬉しいところです。一時期ロイヤル・オペラハウスのサイトのトップを飾っていた、故国ウクライナの黒海沿岸で撮影された美しく飛翔するショットも掲載。彼はまだ19歳という若さなのですね。ローザンヌ・コンクールで金賞を受賞したのもついこの間のことのようですが。

トップを飾っているのは、
[連載]パリ・オペラ座エトワールに夢中!
Vol.4 カール・パケット

今回は新エトワールのカール・パケットのインタビューです。舞台以外での彼の姿を捉えた記事は少ないので貴重ですよね。もちろん、「くるみ割り人形」「ラ・バヤデール」「白鳥の湖」のロットバルトなど、彼の美しい舞台写真もたくさん載っていますが。楽屋(まだエトワール用の個室が用意されていないとのこと)に飾られた可愛らしい愛息の写真も微笑ましいです。怪我が少なく勤勉なカールは、本当に真面目ないい人のようですね。

来日20回の「レニングラード国立バレエの歩み」、ドレスデン国立歌劇場バレエ団の浅見紘子さんのインタビュー、「パリ・オペラ座バレエの四季」(バレエ・リュス・プロの写真をたくさん掲載)など、注目の記事がたくさん載っています。

有吉京子さんの「SWAN」モスクワ編は、ラリッサ、リリアナと懐かしいキャラクターが再登場して、これからのドラマが期待されます。ここから先が3ヵ月後なんて待ちきれませんね。

なお、巻末の広告では、「オックスフォード・バレエ ダンス事典」の発売予告がされています。バレエ事典として定評のあるオックスフォード・バレエ ダンス事典(私も持っています)新版の初の日本語訳ということで、楽しみにしています。5月に平凡社より発売とのことです。


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