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2010/03/20

3/19 パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」 Paris Opera Ballet Giselle(まだこれから)

明日も「ジゼル」のマチソワなので、まずは本当に一言だけ。

マチアスが凄かった~ドロテも大熱演!とてもドラマティックで素晴らしい公演でした。

マチアス・エイマンは若いダンサーだし、貴公子というよりはどちらかといえばテクニック優先の役にキャスティングされがちなキャラクターだと思う。ところが、出だしからマチアスはノーブルだった!特にウィルフリードと二人で出ているときには、はっきりと主従関係がわかって、やや傲慢なくらいの若殿様。そしてアルブレヒト像は、パリ・オペラ座伝統のプレイボーイパターン。若く情熱的な恋人で、マチアスの持ち味である愛嬌もあるけれども、ジゼルのことは遊びなのだというのがはっきりとわかる。

ところがジゼルの狂乱のところでは、彼女からはもう目が離せなくなっていて、自分の行ったことの愚かさに気がつき本当に彼女を愛していたことに気がついてしまう・・・そこからは純愛一直線。

それにしても、マチアスの踊りは本当に凄い!跳躍はびっくりするほど高いし、なんといっても2幕のミルタに踊らされているときのアントルシャ・シス!よくつま先が伸びていてきれいな上に、ものすごい高さがあって、多分28回くらいは続けたのではないだろうか。まさにミルタの強力な魔力に操られている様子が実感を伴って伝わってくる。それだけ全力で踊ったものだから、倒れこむところは本当に精根尽き果てて苦しそうだった。マチアスの素晴らしいところは、テクニックはピカピカなのに、踊りには気品があること。そして演技と華麗な技術がシームレスになっていて非常に自然であること。この若さでそれができるのは、見事なものだとしか言いようがない。

ドロテのジゼルは、1幕では踊りが大好きでたまらない明るく活発な女の子。だけど、時折苦しそうに胸を押さえたり、早いところですでにウィリたちに呼ばれているように虚空を見つめるところがあったり。圧巻だったのが狂乱の場面で、最初は穏やかな微笑を浮かべて、幸せだったときのことを思い浮かべている。その微笑が愛らしく幸せそうなだけに、痛ましい。そして、少しずつ、静かにジゼルは狂って行くのだ。もう何も彼女には見えていない。ウィリたちの呼ぶ姿だけ。微笑みの中に少しずつ狂気が顔をのぞかせて、やがてその笑いはヒステリックなものになっていく。完全に憑依したようなドロテの演技には、観る者の心をわしづかみにするような強力な磁場があった。

2幕の、ジゼルがウィリたちの仲間に迎え入れられるところ。ここでのジゼルは完全にミルタの繰り人形として生気を消して、足音も完璧に消えていて。あまりの繰り人形ぶりに周りを震撼させ、冷たい空気で場内を満たしたかのようだった。でも、アルブレヒトの存在に気がついてからのジゼルは、幽玄とか霊的というよりは、アルブレヒトに対する純粋な愛が満ち溢れているかのよう。冷たい身体になっても、生きているときと心だけは変わらない、死を経てアルブレヒトへの想いと彼を守ろうとする意志は純化され、強くなっている様子が伺えた。ドロテの腕の使い方が私はあまり好きじゃないというか、純クラシックでなければ全然気にならないんだけど、白いバレエだとあまり柔らかさがない。だけど、そこを補ってあまりある素晴らしい演技、体重を感じさせない凛とした踊りを彼女は見せてくれた。アルブレヒトの想い、ジゼルの想い、それが同じ方角を向いていて、若い二人による美しい純愛の物語として見事に成立していたと思う。

やはり2幕の照明はほの暗く、今日は近い席だったから良かったのだけど、席が遠いと見えづらいかもしれないと思った。暗い暗い森の底冷えする感じ、本当に幽霊が出てきそうな恐ろしさ、そして闇にぼんやりと浮かび上がるウィリたちの白いシルエットが幻想的で美しかったけど。正直、2幕のウィリたちはアラベスクで交差する場面も揃っていなかったし、足音もかなり大きかったのだが、それなのにウィリたちは非常に美しくも恐ろしかった。ウィリたちが乙女たちの死霊であるということが実感を伴っていたのだ。ミルタのエミリー・コゼットは、たまに踊りであれ?っと思ってしまうところもあったけど長身で威厳があり、怖かった。ゲネプロで見たマリ=アニエス・ジロもそうだったけど、舞台を滑るようなパドブレが美しい。でも主役の二人が素晴らしすぎて、あまりミルタには目が行かなかった。一瞬でも彼らから目を離すのが惜しかったのだ。

(続く)


パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「ジゼル」(全3幕)
テオフィル・ゴーティエ、ジュル=アンリ・ヴェルノワ・ド・サン=ジョルジュの台本による

1998年製作

音楽:アドルフ・アダン
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー(1841)
改訂振付:マリウス・プティパ(1887)
パトリス・バール、ユージン・ポリャコフ(1991)
装置:アレクサンドル・ブノワ
装置製作:シルヴァノ・マッティ
衣裳:アレクサンドル・ブノワ
衣裳製作:クローディ・ガスティーヌ

◆主な配役◆

ジゼル:ドロテ・ジルベール Dorothée Gilbert
アルブレヒト:マチアス・エイマン Mathias Heymann
ヒラリオン:ニコラ・ポール Nicolas Paul

ウィルフリード:ジャン=クリストフ・ゲリ Jean-Christophe Guerri,
ベルタ、ジゼルの母:カリーヌ・ヴィラグラッサ
クールランド大公:ヤン・サイズ Yann Saiz
バチルド姫:ベアトリス・マルテル Béatrice Martel

ペザント・パ・ド・ドゥ:リュドミラ・パリエロ、アレッシオ・カルボネ Ludmila Pagliero Alessio Carbone,

ミルタ:エミリー・コゼット Emilie Cozette
ドゥ・ウィリ:マチルド・フルステー、シャリーヌ・ジザンダネ Mathilde Froustey Charline Giezendanner


演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:コーエン・ケッセル

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさま
本当に昨日のジゼルはnaomiさまのおっしゃる通りでした。マチアスの美しい踊りと跳躍、(でも俺さまモードで無い品のある踊り)ドロテの狂気に向かう演技、ウイリになってからもふわふわと浮いてるような踊りに感動しました。やはりパリオペは凄い!!です。旅行なんて止めて今日も明日もジゼル見たかったです。

私も同感です!
すっごく感動的なジゼルでしたね~。
マチアスの若々しいちょっと傲慢な感じがよかったです。
ドロテちゃんも最初はちょっと硬いかなって思ったんですけど、
狂気に向かう場面は本当に目が遠くに行ってしまっていて…。
二人のシーンは、ドロテちゃんの初々しい感じにこちらが微笑ましくなるほど。
その一方で、マチアスのプレイボーイ風にちょっとむぅっときたり。

そして、2幕はオペラ座エトワールとしての本領発揮でしたね!
二人の足音が揃っているし、まるで体重がないような踊り。
エミリー・コゼットも登場のときのバドブレが、
一瞬何かに乗っているのかと思うほど美しかったです。
でも、あまりに主役の二人がすばらしかったので、
ミルタとしての存在感はなかったですね(汗)

ただ、ちょっと気になったのは舞台照明が全体に暗かったこと。
もう少し明るくても、あの二人の踊りなら
幽玄の世界が伝わってきたのではないかなと思いました。

いつも拝見しています。跳躍は私のカウントでは26回でした。完全に両足が動いていましたね。やってくれるだろうと期待はしていましたが。
ドロテは、最後に引っ込むところの演技がストレートで胸が締め付けられました。
1幕で、マチルデ・フルステーが目立っていたと思いました。

ハミーさん、こんばんは。

そういうわけで、オペラ座公演も終わってしまいました・・・マチアスの素晴らしいのは、本当にあんなにテクニックがあるのに、おっしゃる通り俺様モードがないところですよね。ドロテもいつのまにかものすごく表現力を増していてびっくりでしたね。
でも。この時期にご旅行もきっと素敵だったのでは、って思います!

nomuyukaさん、こんばんは。

パリ・オペラ座祭りも終わってしまいましたね。
若い二人の初々しいジゼル、すごく良かったですよね~これから先どんな風になっていくのかも楽しみです。
エミリー・コゼットのパ・ド・ブレもきれいでしたね。

確かに2幕の舞台はちょっと暗かったです。あの暗さで、より夜の深い森の怖さや浮かび上がるウィリたちの美しさが強調されたと思うけど、見慣れるまでは特に離れた席だと見づらかったですよね。

rakiaさん、こんばんは。

アントルシャ・シスの回数、私の数え方もあまり自信がないもので、友達に聞いても回数にばらつきがあります。それでも、あれだけやったのは凄いですよね。最後まできれいに打ち付けていて若いっていいな~って思いました。(まったく次元の違う話ですが、私は自分のへぼバレエでアントルシャ・カトルですらきちんと打ち付けられず・・)
ドロテの演技も、若いのに成熟していてすごいな~と思いました。思わずうるっときましたね。
マチルド・フルステーも今回とてもよかったと思います!ドゥ・ウィリの時のアラベスクのポーズもとてもきれいだし、1幕のパ・ド・ユイットの中でもやっぱり目を惹きましたね。

naomiさま
ご返信、わざわざありがとうございます。カウントの件は自信はありません。
3月20日マチネのレポートも拝見しました。私は18,20日と見ましたが、20のほうがよりインスパイアされていたような気がします。
マルチネスのアントルシャ・シスも心なしか20日のほうが回数が多かったような、特に最後の2,3回は両足が対称的に動いていて、マチアスの名演を意識したのかな?と思ったりもしました。
まだ発表されていない部分のレポート気長にお待ちしております。
シンデレラ(初日と最終日に行きました)では映画スター登場のソロの部分がマルチネスとガニオでは振付の内容が違っていたような?あと21日のオーレリ、リッシュ組は私はパスしたのでそのあたりを解説していただければありがたいです。
お体お大事になさってください。

rakiaさん、こんばんは。

やはり同じキャストで2回公演があると、2回目の方がより深みのある舞台になることが多いようですね。20日のジョゼのアントルシャ・シスは18回くらいだったと思いますが、やっぱり足先がきれいでしたね。マチアスを観て奮起したという可能性は高いかも!

シンデレラについては、もうすでに記憶がぽろぽろ抜け落ちているのですが、ジョゼとマチューが振付が違ってたといわれてみればそうだったかもしれません。シンデレラ登場のシーンのときの映画スターの位置がまず違っていて、ジョゼは下手、マチューは上手にいたと思います(これもうろ覚えです)
21日のジゼルの感想ももちろん書きます!気長に待っていてくださいね。

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