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« ジョゼ・マルティネス、パリ・オペラ座で現役を続行(?) | トップページ | ボリショイ・バレエ「パリの炎」、NHKハイビジョン&BS2で放映 »

2010/03/17

3/13 マチネ パリ・オペラ座バレエ団「シンデレラ」 Paris Opera Ballet Cendrillon (Cinderella)

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「シンデレラ」(全3幕)
2010年3月13日(土) 1:30 p.m. 東京文化会館
94回目の上演

前日の公演で演技が細かく、怪しくかつ優雅なダンス教師役を演じたバンジャマン・ペッシュが膝の痛みのため降板というアナウンスで、代役はマチアス・エイマン。

マリ=アニエス・ジロのシンデレラは、最初から彫像のように美しくて体格は逞しい。髪は下ろしていて可愛らしい雰囲気があるのだけど、何しろ長身の上すごくゴージャスな美人なので登場からとても華やか。生まれは高貴な女の子が何らかの事情があってこのような姿に身をやつしているような感じ。踊りはというと、最初のソロからしてマリ=アニエスの持ち味であるメリハリの利いたダイナミックで大きな動きが現代的で美しい。同じ振付でも、踊る人によってこうも違うのか、と驚かされたけど、自身の持つコンテンポラリーな個性を生かしていて素敵だな~って思った。その女王のような気品にもかかわらず、彼女自身はその美しさに気がついていなくて、逆に大柄であることにすらコンプレックスを持っていて「私なんか・・・」という控えめさが伝わってくるところがなんともいじらしい。プロデューサーの魔法により変身すると、彼女はもうまばゆいばかりの輝きというか、全身が光で包まれているかのように非現実的なほどキラキラしたオーラをまとう。

変身した後のマリ=アニエスがあまりにもダイヤモンドのような眩しさなので、やはり長身で金髪碧眼美形のカール・パケットでさえも、分が悪いというか地味に見えてしまったのが致し方ないところ。マリ=アニエスは決して押し出しが強いわけではないのに、生まれつき備わっているかのような絶対的な壮麗さがあるものだから、それに勝てる人はそうそういないように思われてしまった。また、カールが貪欲な感じがしないものだから、育ちのよい王子様には見えても、映画スターというには控えめで謙虚そうなのだ。ジョゼ・マルティネスの映画スターは、優しいもののやはり映画スターならではの傲慢さも少しはあって、シンデレラの義理の姉たちがこれでもかとアピールして近寄ってくると、「あっち行け」とやや露骨に嫌がっていたりした。カールの映画スターは、「申し訳ないけど、向こうに行ってくれる?」って言ってそうなイメージ。

でも、カールが体現する人柄の良さ、温かさには抗えない魅力があるのは確かだ。そして、その素直な温かさは、愛情あふれるたしかなサポートによってさらに好印象を与えることに成功している。シンデレラを見つめる映画スターのまなざしの甘く優しいことと言ったら!こんな目で見つめられるシンデレラは羨ましいな~と思ってしまう。

義理の母は、前日映画スターを演じたジョゼ・マルティネス。彼の女装姿は想像以上に美しかった。とても上品で優雅で、スノッブな感じでまさしくおフランスのマダーム(舞台はハリウッドだけど!)。ステファン・ファヴォランの義理の母が、非常に細かい演技でツボにハマる笑いを絶えず提供し続けていたのに対し、ジョゼのはとても鷹揚でデーンと構えているというか、エレガントで、だけど笑いの急所は決してはずさない感じ。定評のあるポアントワークはもちろんお見事なものだし、ピルエットやアティチュードターンもコントロールが効いていて素晴らしい。やや演技が抑え目だったとは思うけど、3幕最後のガラスの靴を試着するシーンでのものすごい表情が最高に笑えた。ステファンはポアントを脱いだ後タイツまでめくり上げていたのに対し、ジョゼはタイツのままで美しくつま先を伸ばして映画スターの膝の上に置いちゃう。当然ものすごく大きな足なんだけど、よーく伸びた甲が実にきれいだった。

義理の姉たちは、メラニー・ユレルと、DVDにも同じ役で出演していたステファニー・ロンベール。背の高いロンベールのほうが、前日のドロテと同じ青い衣装だった。二人ともすごく達者なんだけど、前日のリミッターが振り切れたようなドロテ&エミリーを見ているとちょっと抑え目。チャイナを踊ったユレルのおかっぱは、ドロテと違って後ろにお下げがついていたけど、あのボブヘアって魔法があるのか、すごく妖艶に見えてユレルじゃないみたい。

そしてペッシュの代役でダンス教師役を踊ったマチアス。大きな口ひげをつけていて濃い目の顔立ちの彼は、フレディ・マーキュリーを華奢にした感じ?ペッシュほどの怪しくクネクネした感じはなく、演技もそこまで細かくないんだけど、踊りがもーすんばらしい!羽が生えたかのように高く高く舞い上がり、鮮やかなバットゥリー。映画スターと一緒にい踊るところでは、重たく見えてしまったカールが気の毒になってしまうほどだったけど、それはカールが悪いんじゃなくって、マチアスが凄すぎるってこと。

マリ=アニエスの話に戻ると、3幕の終盤、姉たちや義理の母!のガラスの靴試着が終わった後のこと。シンデレラは、もう片方の靴を持って映画スターのところへと行く。そしてそこで靴を履いて見せようとするのだけど、映画スターはもう彼女こそがあの時のシンデレラだと判って、履かなくていいよ、と彼女の手をとる。その時のマリ=アニエスの幸せそうな表情を見ると、観客としても「本当に良かったね」と感情移入して嬉しくなってしまった。自分から映画スターのところへ行って、証拠の靴を見せるというのは一種の自己アピールなのに、そうやって幸せをつかみに行ったシンデレラがなぜだか健気に見えてしまって。さらに、映画スターの胸に小さく震えながら顔を埋め、大きな身体を小さく丸めるようにひしっと彼に抱きつくシンデレラの様子がまた可愛らしいというか、思わずもらい泣きしそうになってしまった。マリ=アニエスが大柄でゴージャスな美女なのに、その彼女が寄る辺ない小さな女の子のように見えたのだ。観客を味方につけるのが上手い素敵なバレリーナだ、彼女は。

ラストシーン、魔法使いのプロデューサーによってスターに変身したシンデレラは、契約書を渡されても「私なんか・・」と謙虚。でも映画スターに促されてサインをする。大きな音を立てる送風機から送り出される風で飛んできたシフォンのヴェールをキャッチしたまばゆいばかりのマリ=アニエスは、高々とカールにリフトされる。ヴェールが風にたなびくラストシーンはいつまでも残像が脳裏に残るほど美しく幸せな余韻を漂わせて、幕。


音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
装置:ペトリカ・イオネスコ
衣裳:森英恵
照明:グイード・レヴィ

1986年 パリ・オペラ座初演


◆主な配役◆

シンデレラ:マリ=アニエス・ジロー
映画スター:カール・パケット

二人の義姉:メラニー・ユレル、ステファニー・ロンベール
継母:ジョゼ・マルティネス

ダンス教師:マチアス・エイマン
プロデューサー:ヴァンサン・シャイエ
父:エリック・モナン


春:マチルド・フルステー
エロイーズ・ブルドン、フロリモン・ロリウー、
オバーヌ・フィルベール、フロリアン・マニュネ

夏:エヴ・グリンツテイン
サブリナ・マレム、ジョシュア・オファルト
ヴァネッサ・レガシー、ヤン・サイズ

秋:シャリーヌ・ジザンダネ
ヴァランティヌ・コラサント、ニコラ・ポール
カロリン・ロベール、ファビアン・レヴィヨン

冬:サラ・コーラ・ダヤノヴァ
エレオノール・ゲリノー、アクセル・イボ
ルシー・クレマン、シモン・ヴァラストロ

映画監督:アレクシス・ルノー
アシスタント:シモン・ヴァラストロ
囚人:アレクサンドル・ガス

演奏:東京ニューシティ管弦楽団
指揮:コーエン・ケッセル

http://www.nbs.or.jp/blog/1003_parisopera/contents/pdf/Cendrillon13matinee.pdf

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