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« ニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエ「ロミオとジュリエット」最終日 | トップページ | ジョゼ・マルティネス、パリ・オペラ座で現役を続行(?) »

2010/03/16

3/12 パリ・オペラ座バレエ団「シンデレラ」 Paris Opera Ballet Cendrillon (Cinderella)

オペラ座祭りの第一弾は「シンデレラ」の初日。シンデレラと映画スター、継母はDVDと同じキャスト。B席で19000円(S席は25000円)って考えてみたらとってもお高いけど、セットの豪華さと出演者の多さを考えれば、確かにお金はすごくかかっている舞台なんだと実感。

DVDは観ていたし、昔のシルヴィ・ギエムが主演していたビデオも観ていたので、一応分かっているつもりではあったけど、実際に舞台を観てみると、映像とは別物なのがよくわかる。イオネスコデザインによるゴージャスな舞台美術、エトワールを5人も投入したキャスト、加えて大量の群舞とソリストたち・・・。本当に贅沢な舞台だ。

実のところ、この初回はあまりの情報量の多さにお腹がいっぱいになってしまい、金曜日の夜だったということもあって非常に疲れた。同時進行でいろいろな演技や踊りが進んでいくので、どこを見ていいのか迷うほど。3階席でちょっと距離があったから、オペラグラスを使っていたのも疲れた要因だ。その代わり、翌日観た時には見るべきポイントや全体の流れがよく分かったので、結果的には最初にこの全体が見える席位置で見たのは正解だった。

アニエス・ルテステュはほっそりとした長身と美貌で、灰かぶり姫のときでも華があるし現代的で知的な雰囲気をまとっている。でも、映像よりも少しだけ老けており、それが薄幸感というか苦労している感じに結びついている。不幸にめげず健気でしっかりしている女の子が、映画への夢を持ち続けて強く生きた結果、幸せをつかむというコンセプトをよく体現していた。スタイル抜群の美女であるアニエスなのだけど、チャップリンの扮装をしてタップダンスを踊るところはとても芸達者で、すごくユーモラスで可愛らしい。夢を持ち続けているから、そして映画の魅力に魅せられているから、苦労をしていても明るく生きられているというメッセージが伝わってきて素敵なシーン。コート掛けをくるくる回したり、かなり難しいと思われることも難なくこなしていた。

アニエスがシンデレラに変身すると、ファッションモデルのようなスタイルの良さと、彼女の持ち味であるシックでクラッシィな雰囲気がハリウッドのスターとして違和感がない感じになる。そしてアニエスの輪郭がくっきりした、正確だけど少しだけ硬質な踊りがヌレエフの複雑な振付にとてもマッチしている。

映画スターのジョゼは、登場シーンでスターらしさを発揮。長身と美しいライン、冴えた踊り。プロポーションが抜群でハンサムそろいの若い男性群舞の中にあっても、ひときわ際立っているのはさすが。長い手足でふわっと浮かび上がるように軽やかに跳躍し、パ・ド・ドゥでは包容力があって温かい。心優しくエレガントな王子。シンデレラの映画スター役は、特に中身というか演技力は問われない役というわけで、存在感と純粋な踊りの上手さが非常に大事。だからこそ、安定していて美しいジョゼはこの役においては完璧だったといえる。このペアはファーストキャストを飾るにふさわしい風格があったので、平日公演で客席がかなり空いていたのはもったいなかった。

義理の母役のステファン・ファヴォランは、ポアントでの踊りがとても上手で、アティチュードにしたピルエットも軽々とこなすテクニックの持ち主。しかしそれよりも、はじけまくった演技がもう~最高!やはり長身で顔が小さく首の長い美しい体型の彼は、女装姿がすごくよく似合う。帽子に毛皮のショールを巻いた姿はマダムそのものなんだけど、笑いをかますタイミングが絶妙で。娘たちを立てているかと思いきや、彼女たちが映画スターのおめがねに適わないと知るや自分が取って代わろうとする図々しさ!それがなんとも可愛くて。ガラスの靴を履こうと足をどかっと投げ出すしぐさなんかも、超笑える~。

笑えるといえばもちろん忘れてはならないのが義理の姉たち。ドロテ・ジルベールも、エミリーコゼットも大熱演。ドロテはまるで顔全体がゴムでできているかのように表情豊かで、目を剥いたり唇を突き出したり歪めたり、大口開けたりと、美女が台無し!大きく広げたガニマタで闊歩したり、本当に楽しそうに演じてくれた。わざとヘンに踊るのはきっと難しいだろうし、特に3幕の終わりにガラスの靴の試し履きで片方ポアントの片方裸足で踊ったりするのはちょっとひやひやするところなんだけど、なんてことのないように踊っていたのがすごい。割とクールな印象の強かったエミリー・コゼットも大熱演で、壁に激突したり、ダイナミックに弾けていた。各国めぐりのシーンで、怪しげな阿片窟にてチャイナドレスをまとって踊っていたドロテはすごく色っぽくて、彼女は本当に引き出しの多い魅力的なダンサーになったなと感心した。

ダンス教師役は、バンジャマン・ペッシュ。この公演の後、膝の痛みにより次の公演をキャンセルしてしまったのが残念だったけど、この公演ではすごく面白かったし良かった。小指を立てて、オネエキャラ全開の怪しいダンス教師で、姉たちを指導するところなんか、くすくす笑ってしまった。踊りの方も、ダンス教師にふさわしい鮮やかさがあって冴えていたし。あとは映画監督のアシスタントのシモン・ヴァラストロの軽妙な踊りと可愛い演技が良かった。彼は四季の踊りの冬にも出演していたけど、音感が良くていいダンサー!映画プロデューサー役は、新プルミエのヴァンサン・シャイエ。まだ若くて若干貫禄は不足していたけど、映画会社のお坊ちゃま社長という感じの傲慢さが出ていて健闘していたと思う。長身でなかなかの二枚目。

四季の踊りにはプルミエとスジェが多数投入されていて、見ごたえがあった。新プルミエのリュドミラ・パリエロが特に良かったと思う。男性では、やはり新プルミエのジョシュア・オファルト、それから前述のヴァラストロとヤン・サイズ。なんて贅沢なキャスティングだろう。

天へと飛び立つ巨大キングコングや、かぼちゃからスポーツカーへの変身といったギミック、映画「メトロポリス」を思わせるようなレトロモダンの舞台美術。美女を取り囲むパパラッチたち。シンデレラの夢前案内人となるのは仙女ではなく、映画プロデューサー。一見薄っぺらいようではあるけれど、映画という夢がシンデレラの心に明かりを灯すところがポイント。単なるシンデレラストーリーではなく"夢"の持つ力を見せてくれるこの「シンデレラ」は、やっぱり力のある作品だと思った。シンデレラは映画スターと結ばれてめでたしめでたしではなく、スターへの切符という夢への一歩も手に入れたのだから!


パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「シンデレラ」(全3幕)
http://www.nbs.or.jp/stages/1003_parisopera/index.html

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ルドルフ・ヌレエフ
装置:ペトリカ・イオネスコ
衣裳:森英恵
照明:グイード・レヴィ
1986年 パリ・オペラ座初演
◆主な配役◆

シンデレラ:アニエス・ルテステュ
映画スター:ジョゼ・マルティネス

二人の義姉:エミリー・コゼット、ドロテ・ジルベール
継母:ステファン・ファヴォラン
ダンス教師:バンジャマン・ペッシュ
プロデューサー:ヴァンサン・シャイエ
父:ジャン=クリストフ・ゲリ

春:リュドミラ・パリエロ
アマンディヌ・アルビソン、フロリモン・ロリウー
サブリナ・マレム、フロリアン・マニュネ

夏:エヴ・グリンツテイン
マリ=ソレーヌ・ブレ、ジョシュア・オファルト
サラ・コーラ・ダヤノヴァ、ヤン・サイズ

秋:メラニー・ユレル
シャリーヌ・ジザンダネ、ニコラ・ポール
ロレーヌ・レヴィ、ファビアン・レヴィヨン

冬:ステファニー・ロンベール
マチルド・フルステー、アドリアン・ボデ
ミリアム・カミオンカ、シモン・ヴァラストロ

映画監督:アレクシス・ルノー
アシスタント:シモン・ヴァラストロ
囚人:アレクサンドル・ガス

詳細なキャスト表
http://www.nbs.or.jp/blog/1003_parisopera/contents/2010/03/post-34.html

演奏:東京ニューシティ管弦楽団
指揮:コーエン・ケッセル

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさま
パリオペの「シンデレラ」はゲネプロを入れて結局6回(全部)見ました。舞台がハリウッドで王子様は映画スターという多少現代風の設定なので、好きな演目か少し心配してましたが、蓋を開けたら、面白くて、面白くて!舞台装置もお洒落で迫力があり・ダンサー達もとても難しいステップをこなして素晴らしい舞台でしたね。まだ6回では足りず何回も見たいと思いました。主役も勿論ですが、他の出演者も美しくて、さすがパリオペと層の厚さに感服です。他のバレエ団ではこの演目は難しいかもしれませんね。次はジゼル、またまた楽しみ!

ハミーさん、こんばんは。

「シンデレラ」6回と皆勤賞とはすごいですね!私はとてもその体力はなく、ゲネプロはジゼルに行く予定です。私もチケットを買った当初は、DVDを観てもそこまで面白い作品とは思わず、この高いチケット3枚なんてお金使いすぎじゃないかしらと思っていたのですが、ふたを開けてみたら楽しくて、もっと観たいと思うほどでした。「ジゼル」はゲネプロを入れると5回です(苦笑)でも楽しみですね!

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