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2010/01/31

H・アール・カオス×大友直人×東京シティ・フィル「中国の不思議な役人」「瀕死の白鳥」「ボレロ」

H・アール・カオス×大友直人×東京シティ・フィル

2010年1月30日(土) 17:00 開演(16:30開場)
劇場:東京文化会館大ホール

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【演目】
「中国の不思議な役人」(新演出、新振付)、「ボレロ」、新作「瀕死の白鳥」
http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_a_1_09.html

2008年に同じH・アール・カオス×大友直人で「中国の不思議な役人」と「ボレロ」を,観てとても素晴らしかったので、再演を観に行くことに。細かい変更点はよくわからなかったのだけど、「中国の不思議な役人」は演出と振付をやや変えているとのこと。

それにしても、白河直子さんの踊りを見ていると、ダンスの持つ身体性を肌でダイレクトに感じさせられてひりひりする。パンフレットに振付の大島早紀子さんも書いていることだけど、身体性がどんどん希薄化してバーチャル化が進むこの世界の中で、自分が血と肉と骨でできている人間であり、切られれば血を流し痛みを感じる存在であるということを認識させてくれるのがダンスなのだと実感する。やがては老いて朽ちていく肉体の、一瞬の輝き。極限まで研ぎ澄まされた激しい動き、肉体の限界に挑むようなぎりぎりの世界を見せてくれる白河さんの美しさと激しさは、理屈ぬきで魂に響いてきて心を震わせてくれる。

「中国の不思議な役人」振付:大島早紀子 音楽:ベラ・バルトーク
中国の不思議な役人:白河直子
木戸紫乃、小林史佳、斉木香里、泉水利枝、池成愛、野村真弓

前回の上演との変更点がよくわからなかったのだけど、前回観た時よりもさらに面白く観ることができた。冗長に感じていたところがなくなって、構成も振付もすっきりとしたように思える。もともとのパントマイムドラマでは、老人、青年、そして中国の役人の3人が登場するのだけど、ここでは白河さんが一人3役を演じる。幕が開くとサーカスのブランコのように、宙吊りになったダンサーが左右に大きく揺れ動く。暗い照明の中に鋭く差し込む照明。光の檻の中に閉じ込められたように見える人々。天井からポールが何本も降ってきて舞台の上に突き刺さる。横たわっている白河さんの身体を封じ込めるかのように。役人の白河さんは、首を吊られるのだけど、その首吊り紐はやがて彼女の身体のほうに巻きつき、彼女の驚異的な身体能力によって吊られたまま、アクロバティックな動きを見せる。白河さんの踊りはいつもながら凄絶で、身を客席の方まで投げ出すような動き、超えてはいけない一線までも果敢に挑んでいて、誰も到達できない向こうの世界までも見せてくれている。何回殺されても死なない、そこまで人を生かせてしまうエロスへの欲求の強烈さを見せながら、最後には満たされて安堵の死を迎える。
東京シティフィルの演奏も、とても迫力と緊張感を漂わせていて、非常に雄弁で良かった。

「瀕死の白鳥」振付:大島早紀子 音楽:サン=サーンス
白河直子

舞台奥の幕までも取り去って舞台機構が剥き出しになった舞台。椅子が一つだけ置いてある。キャミソールとショートパンツだけのシンプルな姿の白河さんが、音楽が始まる前から踊り始める。フォーキンの「瀕死の白鳥」と違って水面を滑るような動きは無いけれども、しなやかな腕の形はたしかに白鳥を思わせる。激しさと強さを秘めた白鳥は生きようとしているのがよくわかる。そして、音楽が終わるのと同時に死んでいくのではなく、音楽が終わって、しばらく余韻があるうちに静かに命が消えていくのが見えた。しかも、地面に横たわるのではなく、立ったままで、腕の動きだけで死んだというのがわかるというのが新鮮な設定。

「ボレロ」振付:大島早紀子 音楽:ラヴェル
白河直子

ボレロという作品は、ベジャールの有名な作品と、そもそもイダ・ルビンシュタインが酒場のテーブルの上で踊る女性を見てヒントを得たという歴史があるため、どの作品もそれらの前提に創る方も観る方もとらわれがちである。
大島早紀子版ボレロは、円卓ではないけれど、深紅の花びらを輪のように並べ、その中心で白河さんが踊り、輪の外には四人のダンサーが。取り囲むようにやはり真っ赤な紙もしくは発泡スチロールのような素材でできた壁がある。輪の中心で白河さんは横たわっている。赤いパンツに上半身は裸。アンドロジェヌス的な白河さんの身体は、エロティックではないけれども、研ぎ澄まされていて一片の余分な肉もなく、輝くばかりの美しさ。大きくしなる強靭でしなやかな上半身、白河さんは全てのパッションを込めて身を投げ出し、四人のダンサーを従えながらも決して女王様でもなければ戦士でもなく、禁欲的でもない、ただ生きていく強い意志と魂のきらめきを見せる。花びらの輪はやがて踏みならされて線が消失し、吹雪のように舞い上がる。4人のダンサーたちが、赤い壁を削り取るように飛び散らせ、真っ赤な血飛沫のように飛び散った紙片が白河さんの白い身体に散っていく。この視覚的な鮮烈さ。生きていくこと、ライブで、今同じ場所で目の前で、がとてつもないものが行なわれている、同じ空気を吸っていることの幸せ、生きてこの舞台を観られることの幸福を感じる。白河さんと同じ時代に生きて、彼女を観ることができる幸せを。

「瀕死の白鳥」と「ボレロ」の間に行なわれた大友直人さんと乗越たかおさんのトークもとても面白かった!大友さんは指揮者なのにすごくトークが達者。

YoutubeにHアール・カオスのチャンネルがあるんですね。

「中国の不思議な役人」Der Wunderbare Mandarin

「ボレロ」Bolero

二期会オペラの演出を、大島さんが行なうそうです。これは必見!

大島早紀子演出、白河直子ほかH・アール・カオスのダンサーも出演
「ファウストの劫罰」
日時 2010年7月15日(木)~18日(日)
劇場 東京文化会館
指揮 ミシェル・プラッソン
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
合唱 二期会合唱団奏

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

このところ、週末に仕事をしているので、さいたま芸術劇場やこの公演も行けずに、あーあって思っていました。
すばらしい様子がよくわかるレポありがとうございました。
毎年毎年言ってるのですが、お願い、2月3月4月の公演はやめて。
また言ってしまいます。

よしのっちさん、こんにちは。

この公演はやはりバレエ公演とだいぶ客層が違っていて、入りは良かったのですが、バレエファンにも見て欲しいなって思いました。

しかし週末もお仕事だったんですね。やはり年度末は会社員は仕事が忙しいところが多いし予定が立ちづらいですよね。三月もオペラ座とニーナがありますが目論み通りみにいけるかしら?私もちょっと不安です。

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