Roberto Bolle 「An Athlete in Tights」 by Bruce Weber
かつてはカルヴァン・クラインの広告、最近ではアバクロンビー&フィッチの広告でも知られている写真家ブルース・ウェーバーがロベルト・ボッレを撮影した写真集。ブルース・ウェーバーは、オリンピック選手が白いブリーフ一枚だけを着用したカルヴァン・クラインのキャンペーン写真で有名になったということもあり、アスリートに特別な敬意を持った写真家として知られています。そして、それゆえ、この写真集の名前が「An Athlete in Tights」というタイトルになったのでしょう。
ウェーバーがアスリートへ抱く憧憬を表現するために、この写真集の最初の数ページは、様々なアスリートの写真が使われています。中には、日本の力士まで!元フットボールの名選手との出会いから始まり、やがて、リチャード・アヴェドンが撮影したルドルフ・ヌレエフの写真を贈られたことによってダンサーというものを知ります。公演直後のダンサーのバックステージは、フットボールのロッカールームとほぼ同じだと感じます。そしてヴォーグの撮影で、当時アレッサンドラ・フェリの引退公演のためにNYにいたロベルトと出会い、昨年のMETでの「ジゼル」で彼が踊るところを観て、彼を撮影しようと思うようになったとのことです。
一方、よく知られている逸話ですが、ヌレエフとロベルトの縁も浅からぬわけです。15歳のロベルトを見たヌレエフは、彼を「ヴェニスに死す」のタッジオ役にと選びます。結局この作品は実現しませんでしたが、ロベルトにとっては大きな出会いでした。それがロベルト自身の言葉として綴られています。
写真集は、ほとんどがモノクロで、ざらりとしたマットな紙質なのがシックな感じだし、持ちやすいサイズです。まずはロイヤル・バレエのフェデリコ・ボネッリをはじめ、マーラ・ガレアッツィ、サラ・ラムとのセッションで始まり、ABTのイリーナ・ドヴォロヴェンコ、ヴェロニカ・パルトとも。ここではバレエの衣装を着用しながらも、とても緊張感と官能的な空気が漂っています。
しばしギリシャ彫刻に例えられるロベルトの美しく、一片の贅肉もない鍛え上げられた肉体。実際に古代の彫刻と並べることで、アポロ像のような古典的で普遍的なロベルトの美しさを浮かび上がらせています。フロリダの海岸で太陽を浴び、波に洗われるロベルトの姿は、かつてのカルヴァン・クラインの広告を思わせるところもあり、眩しい美の賛歌となっています。ベルリンのスタジオで見せるロベルトの無防備な一瞬の表情も魅惑的。オールヌードもありますが、不思議にエロティックさはあまり感じさせずストイックな印象。かえって、ベルリンのスタジオでかつてのスーパーモデル、ヴェルーシュカとのセッションの方が退廃的なイメージでセクシーだったりします。
そしてフロリダの赤茶けた大地で、一糸まとわぬ姿でポーズをとるロベルトは、髭を伸ばしてワイルドな印象。工場の中や列車の中といった工業的で人工的な風景の中で、ロベルトの生身の肉体は、生命の鼓動と力強さを強調されています。くっきりと浮かび上がった筋は、まるで筋肉の標本を見るがごとくで、圧倒的な吸引力があります。イタリアの豪奢な劇場の内装にも、彼の存在感は決して負けることがありません。
でも、最後にタイツを穿いて、ロイヤル・オペラハウスのスタジオでストレッチをする真摯な表情のロベルトが一番素敵だと思いました。ちょっとだけ残念なのは、ダンサーやバレリーナとの絡みなどの写真はあるけれども、実演の写真は、ロベルトの少年時代の舞台写真数枚だけだということ。ロベルトの美少年次代の写真ももちろん眼福なのですが、1枚くらいは実際の舞台における、舞台の緊張感がきらめく、ダンサーならではの写真も観たかった気がします。
現在34歳のロベルトですが、彼の魅力の一つは、その年齢になっても少年神のような甘さと永遠のイノセンスを感じさせる表情にあると改めて思いました。グリーングレーの美しく澄んだ瞳と黒髪、完璧な美貌の彼が、ひとたび笑うと目じりが下がり、思いっきり人柄の良さが出るところも魅力的ですよね。ロベルトのマンマのパンプキン・リゾットのメニューが載っているところも、可愛いというかなんというか。
とにかく、今までのロベルトとはまた違った彼の姿を観られる写真集として、彼のファンは必見ですし、もちろんブルース・ウェーバーのアスリートを撮影したシリーズが好きな方も楽しめると思います。
写真集発売のサイン会の様子も少し。
http://www.lastampa.it/multimedia/multimedia.asp?p=1&pm=&IDmsezione=12&IDalbum=23005&tipo=#mpos
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追記:現在のABTのオフィシャルサイトのトップには、ロベルトとジュリー・ケントの「椿姫」の写真があります。とてもドラマティックな雰囲気が合って素敵です。
http://www.abt.org/default.asp
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なるほど。ボッレのことはまったく知らないし、美男アレルギーで彼の顔写真を見ても何も感じないわたしですが、ノイマイヤーさんの「オルフェウス」を見て、彼が純粋で、もろいところがある人間らしい人なんだなと感じました。『オルフェウス』踊るならターゲだろうと思ってたら、そうみたいですね。わたしは前半で帰るので、またしても彼の「オルフェウス」が見られず、縁がないんだなと思ってますが、プレミア4回踊る予定がパーになったんだから、1回じゃお務め果たせないだろう、ハンブルクで5回は踊らないと申し訳が立ちませんわよと、勝手に期待しています。彼自身も、おそらく、踊れば踊るほど、もっと踊りたくなる役だと思うしね。だって、彼のことなんだもの、あれは。今までで一番輝くはずです。
投稿: asuko | 2009/12/30 20:21
asukoさん、こんばんは。
asukoさんは美男アレルギーなんですね。意外です。「オルフェウス」はタイトルロールにロベルトを想定して振付けられているので、彼の内面も作品の中に反映されているのでしょうね。代役を務めたオットーはさぞかし大変だったのではないかと思います。
ドイツ語ですが、「オルフェウス」についての新しい記事が出ていますのでご紹介。フォトギャラリーつきです。
http://www.spiegel.de/kultur/musik/0,1518,669327,00.html
来年のバレットターゲ1回だけで済むはずはないと私も思います。ロベルト自身、ノイマイヤーに作品を振付らたことは人生においても最大のできごとの一つだと語っているので、きっと戻ってくることでしょう。
投稿: naomi | 2009/12/30 23:26
こんにちは、お邪魔します、
コメントさせていただきます、
以後お世話になります、
ありがとうございます~ヽ(*≧ε≦*)φ
投稿: クリスチャンルブタン ウェッジソール | 2011/04/15 16:16