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2009年12月

2009/12/31

マリ=アニエス・ジロ出演、ドミニク・ウォルシュ振付の「火の鳥」Dominic Walsh's "The Firebird"

2010年5月の新国立劇場「Dance to the Future」で作品を発表する振付家のドミニク・ウォルシュ。彼が率いるドミニク・ウォルシュ・ダンス・シアターに、パリ・オペラ座のマリ=アニエス・ジロが客演し、同カンパニーのドメニコ・ルチアーノと共演した「火の鳥」(ウォルシュ振付)が、同カンパニーのオフィシャルYouTubeチャンネルにアップされています。

http://www.youtube.com/watch?v=yHLkuSHJ8_8

http://www.youtube.com/watch?v=I_86ByAxHmo


マリ=アニエスがめちゃめちゃカッコいいですね。マシュー・ボーンの「白鳥の湖」のザ・スワンのパ・ド・ドゥを踊ったことがあるドメニコ・ルチアーノも長身で存在感があるし、男女二人で踊られる「火の鳥」、なかなか斬新で面白い作品です。

「Dance to the Future」は5月29日、30日に上演されます。

ドミニク・ウォルシュの作品はモーツァルトの音楽への敬意と驚き、喜びと哀しみなどから触発されて創作されたという「Wolfgang for Webb」で、ドメニコ・ルチアーノが客演するとのことで、酒井はなさんと踊るそうです。他に、酒井さんのダブルキャストとして丸尾孝子さん、小野絢子さんと山本隆之さん、さいとう美帆さん、湯川麻美子さんが出演するとのことです。ほかに、能美健志さんと井口裕之さんの新作が上演されます。
(新国立劇場会報誌ジ・アトレより)
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000222_dance.html

2009/12/30

へスス・パストールの近況/マシュー・ボーンの「白鳥の湖」日本公演

元ABTのへスス・パストール(ジーザス・パスター)が井上バレエ団の「くるみ割り人形」に客演して久しぶりに日本に姿を見せたのが一年前。そして、友達に教えてもらったのですが、最新号のDANCE EUROPEに、彼のインタビューと近況が載っています。

目次(PDF)
http://www.danceeurope.net/site/issues/136.pdf

日本語のサマリーにおいては、長野由紀さんがインタビューの内容について少し紹介してくれています。
http://www.danceeurope.net/site/japanese.pdf
2007年にヒューマン・ダンス・プロジェクトを設立して、精力的に活動をしているとのこと。もう古典は踊ろうと思っていないようですね。


このDANCE EUROPEの同じ号で、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」でザ・スワンを踊るジョナサン・オリヴィエのインタビューも載っています。元ノーザン・バレエ・シアター、アルバータ・バレエのプリンシパル。今回の「白鳥の湖」は群舞の数も増えて、さらにパワーアップしているとのこと。

来年の来日公演のチケットは先行発売中です。
http://l-tike.com/oc/classic/swanlake/

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」
■公演日程:'10/6/9[水]~27[日]
■会場:青山劇場
■料金(税込):S¥12,600 A¥10,500

追記:日本公演のオフィシャルサイトができていました。
http://www.swan2010.jp/index.html

Roberto Bolle 「An Athlete in Tights」 by Bruce Weber

かつてはカルヴァン・クラインの広告、最近ではアバクロンビー&フィッチの広告でも知られている写真家ブルース・ウェーバーがロベルト・ボッレを撮影した写真集。ブルース・ウェーバーは、オリンピック選手が白いブリーフ一枚だけを着用したカルヴァン・クラインのキャンペーン写真で有名になったということもあり、アスリートに特別な敬意を持った写真家として知られています。そして、それゆえ、この写真集の名前が「An Athlete in Tights」というタイトルになったのでしょう。

ウェーバーがアスリートへ抱く憧憬を表現するために、この写真集の最初の数ページは、様々なアスリートの写真が使われています。中には、日本の力士まで!元フットボールの名選手との出会いから始まり、やがて、リチャード・アヴェドンが撮影したルドルフ・ヌレエフの写真を贈られたことによってダンサーというものを知ります。公演直後のダンサーのバックステージは、フットボールのロッカールームとほぼ同じだと感じます。そしてヴォーグの撮影で、当時アレッサンドラ・フェリの引退公演のためにNYにいたロベルトと出会い、昨年のMETでの「ジゼル」で彼が踊るところを観て、彼を撮影しようと思うようになったとのことです。

一方、よく知られている逸話ですが、ヌレエフとロベルトの縁も浅からぬわけです。15歳のロベルトを見たヌレエフは、彼を「ヴェニスに死す」のタッジオ役にと選びます。結局この作品は実現しませんでしたが、ロベルトにとっては大きな出会いでした。それがロベルト自身の言葉として綴られています。

写真集は、ほとんどがモノクロで、ざらりとしたマットな紙質なのがシックな感じだし、持ちやすいサイズです。まずはロイヤル・バレエのフェデリコ・ボネッリをはじめ、マーラ・ガレアッツィ、サラ・ラムとのセッションで始まり、ABTのイリーナ・ドヴォロヴェンコ、ヴェロニカ・パルトとも。ここではバレエの衣装を着用しながらも、とても緊張感と官能的な空気が漂っています。

しばしギリシャ彫刻に例えられるロベルトの美しく、一片の贅肉もない鍛え上げられた肉体。実際に古代の彫刻と並べることで、アポロ像のような古典的で普遍的なロベルトの美しさを浮かび上がらせています。フロリダの海岸で太陽を浴び、波に洗われるロベルトの姿は、かつてのカルヴァン・クラインの広告を思わせるところもあり、眩しい美の賛歌となっています。ベルリンのスタジオで見せるロベルトの無防備な一瞬の表情も魅惑的。オールヌードもありますが、不思議にエロティックさはあまり感じさせずストイックな印象。かえって、ベルリンのスタジオでかつてのスーパーモデル、ヴェルーシュカとのセッションの方が退廃的なイメージでセクシーだったりします。

そしてフロリダの赤茶けた大地で、一糸まとわぬ姿でポーズをとるロベルトは、髭を伸ばしてワイルドな印象。工場の中や列車の中といった工業的で人工的な風景の中で、ロベルトの生身の肉体は、生命の鼓動と力強さを強調されています。くっきりと浮かび上がった筋は、まるで筋肉の標本を見るがごとくで、圧倒的な吸引力があります。イタリアの豪奢な劇場の内装にも、彼の存在感は決して負けることがありません。

でも、最後にタイツを穿いて、ロイヤル・オペラハウスのスタジオでストレッチをする真摯な表情のロベルトが一番素敵だと思いました。ちょっとだけ残念なのは、ダンサーやバレリーナとの絡みなどの写真はあるけれども、実演の写真は、ロベルトの少年時代の舞台写真数枚だけだということ。ロベルトの美少年次代の写真ももちろん眼福なのですが、1枚くらいは実際の舞台における、舞台の緊張感がきらめく、ダンサーならではの写真も観たかった気がします。

現在34歳のロベルトですが、彼の魅力の一つは、その年齢になっても少年神のような甘さと永遠のイノセンスを感じさせる表情にあると改めて思いました。グリーングレーの美しく澄んだ瞳と黒髪、完璧な美貌の彼が、ひとたび笑うと目じりが下がり、思いっきり人柄の良さが出るところも魅力的ですよね。ロベルトのマンマのパンプキン・リゾットのメニューが載っているところも、可愛いというかなんというか。

とにかく、今までのロベルトとはまた違った彼の姿を観られる写真集として、彼のファンは必見ですし、もちろんブルース・ウェーバーのアスリートを撮影したシリーズが好きな方も楽しめると思います。

写真集発売のサイン会の様子も少し。
http://www.lastampa.it/multimedia/multimedia.asp?p=1&pm=&IDmsezione=12&IDalbum=23005&tipo=#mpos

Roberto Bolle an Athlete in TightsRoberto Bolle an Athlete in Tights
Bruce Weber

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追記:現在のABTのオフィシャルサイトのトップには、ロベルトとジュリー・ケントの「椿姫」の写真があります。とてもドラマティックな雰囲気が合って素敵です。
http://www.abt.org/default.asp

2009/12/29

マリインスキー・バレエ&ボリショイ・バレエ合同公演日程 Bolshoi & Mariinsky Gala 2010/10 サラファーノフ動画他

ジャパンアーツから送られてきた情報紙「ビアチェーレ」に、2010年の同社主催公演のラインアップが出ていました。バレエは、ニーナ・アナニアシヴィリとグルジア国立バレエ、そしてマリインスキー・バレエ&ボリショイ・バレエ合同公演だけです。

マリインスキー・バレエ&ボリショイ・バレエ合同公演については、日程が発表されていました。

10/23(土)14:00
10/24(日)14:00
10/26(火)18:30
10/27(水)18:30

場所は全て東京文化会館です。今回は土日公演があったのでちょっとホッとしました。そして今度こそは合同ガラならではの楽しい趣向を期待したいですね。

****

今日になってやっと届いたダンスマガジン。発売日が12月26日なのに、家に届いたのが28日とはちょっとひどい・・・。そのニュース欄で、マリインスキーのミハイル・ロブーヒンがボリショイにリーディングソリストとして2010年1月に移籍すると書いてありました。2月のワシントンでの「スパルタクス」でタイトルロールを踊るそうです。

先日の来日公演では「イワンと仔馬」で好演していたロブーヒン。確かに、スパルタクス向きの男らしいダンサーなのですよね。ボリショイもスパルタクスが踊れるような人材がちょっと足りなかったということもあって、適材適所といえるかもしれません。が、せっかくのイワン役が踊れなくなってしまうのはちょっと残念。

****

そのボリショイ・バレエは12月25日にブーラカ芸術監督再振付の「エスメラルダ」が初演されたばかりです。
http://www.bolshoi.ru/en/season/ballet/premieres/detail.php?act26=info&id26=343

写真は、こちらで見ることができます。
http://www.for-ballet-lovers-only.com/bolshoi-esmeralda2009.html

****

マリインスキーつながりで、もう一つ。NBSのサイトに、サラファーノフが今年の世界バレエフェスティバルで踊った「ラ・シルフィード」の動画がアップされていました。来年の「ラ・シルフィード」の宣伝ですが、この踊りを観ると観たくなりますよね。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/movie/post-181.html


2009/12/27

12/26 新国立劇場バレエ 「くるみ割り人形」 

12月26日(土) 14:00~ 新国立劇場 オペラパレス
新国立劇場バレエ 「くるみ割り人形」 


金平糖の精:さいとう美帆 
王子   :マイレン・トレウバエフ 
クララ  :小野絢子 
雪の女王 :堀口純 
ドロッセルマイヤー:森田健太郎
シュタルバウム  :逸見智彦(全日)
シュタルバウム夫人:楠元郁子(全日)
フリッツ     :加地暢文 
ハレーキン  :江本拓
コロンビーヌ :伊東真央
トロル    :八幡顕光
ねずみの王様 :市川透
くるみ割り人形:八幡顕光
スペイン :西川貴子/古川和則
アラビア :寺島ひろみ/貝川鐵夫
      今井奈穂/大湊由美/中田実里/原田有希
中国   :寺島まゆみ/江本拓
トレパック:福岡雄大/八幡顕光/福田圭吾
葦の精  :高橋有里/長田佳世/大和雅美
花のワルツ:遠藤睦子/丸尾孝子/西山裕子/寺田亜沙子
      陳秀介/高木裕次/輪島拓也/芳賀望

52554892


一度チケットを取ったものの、諸般の事情で売りに出し、しかし結局観られることになって買い直した。1階席の一番後ろの端というのは新国立劇場では初体験だったけど(ほかの興行主だったらこの席はA席だと思う。ここがSというのはぼり過ぎ)、端でも比較的全体は観られた。チケットがソールドアウトだったらしく、当日券売り場にかなりの人が戻り席を求めて並んでいた。「くるみ」で土曜日マチネ公演というのは子供連れも行きやすいんでしょう。

もちろん大好きなマイレンの王子を観るというのが第一目的だったのだけど、牧阿佐美のインタビューや、初日や最初の方の公演を観た友人からの感想を聞いて、かなりネガティブな気分に。観終わった後感じたのは、プロローグとエピローグのどうしようもない薄っぺらい寒々しさ、花のワルツなどコール・ド振付がどうしたらこんなにつまらなくなるんだと思うほど面白くない、パ・ド・ドゥの振付が必要以上に難しいというか、テクニックを見せ付けるための振付になっている、衣装や装置が無駄に豪華、だけどダンサーたちは素晴らしいというものだった。

ジ・アトレに掲載された牧阿佐美のインタビューを読んで、新国立の素晴らしいソリストたちの踊りを堪能してもらうために、クララ、雪の女王、金平糖の精と分けて、他のソリストたちも見せ場を用意すると語っていて、なんという志の低さかとあきれたのだった。それでは発表会と何ら変わらないのではないかと思った。「くるみ割り人形」の観客は子供も多いし、楽しかったね~幸せな気分になったね、というところが大事なのに、それよりも、そして物語の整合性よりも、テクニック披露合戦を優先させるとは。

プロローグとエピローグを除けば、筋はオーソドックスなものだったと思うけど、とにかくこのプロローグとエピローグには殺意が起きるくらい、趣味のよろしくないものだった。同じ悪趣味でも、原作のホフマンの怪奇譚的なものや、バール版やヌレエフ版の心理描写があればまだ良かったのかもしれないけど。プロローグは現代の東京で、クララはクリスマスなのに鍵っ子でたった一人で家族の帰りを待っているという設定。そこに、現代人の風刺というか、携帯でメールを打っている女性とか、ヒップホップを踊る青年、会社員、ビニール傘を持った女性、ブランドの紙袋を持った女性、けんかしているカップルなどが登場。しかし、なんともこれがどうにもこうにも寒くて、しかも現代というよりバブルっぽいというか80年代っぽい(80年代には携帯はあまり普及していなかったけど)。現代人の孤独を描いたつもりなんだろうけど、どうにもこうにもセンスが悪くて。

クララ役の小野絢子さんは、とにかく愛らしくて素晴らしかった。容姿も可憐でクララ役がぴったりだし、この薄っぺらい脚本の中で、懸命にクララの寂しい気持ちやときめきを繊細に表現していて、魂を役の中に吹き込むのに成功していた。ラインもとても綺麗だし、音楽性も豊かで。クララの踊るシーンが少なく、特に2幕のディベルティスマンにおいて、クララは舞台の片隅に腰掛けてひとりぼっちで踊りを見ているだけで、ほとんどお仕置きで別に座らされているって感じで、寂しそうだし気の毒だったのが本当に残念。せっかくのおとぎの国に連れて行ってもらったはずなのに、そこでも一人ぼっちにさせてしまうとは、夢も希望も無いと思うのだけど。

エピローグでは、また冒頭と同じ現代の東京へとクララは戻り、そこではプロローグと同じような登場人物たちが、寒々しくスカスカの現代の風景で相変わらず孤独感を滲ませている。くるみ割り人形を手にしたクララはひとり眠りにつくと、ドロッセルマイヤーがサンタクロースに変身して橇に乗って飛んで行く。サンタを出せば夢らしくなると考えたのだろうけど、何一つ変わっていないし、幸福感のかけらも無い終わり方でがっかりした。せめて、戻っていったところには家族が待っていたとかママが起こしに来るとかあればいいのに・・・。前回の「くるみ割り人形」のワイノーネン版では、ピンクピンクの華やかな世界で、過剰感もあるものの、幸福感を感じさせてくれたのに・・。

新国立劇場のコール・ドはいつ観ても素晴らしい。先日のマリインスキーのコール・ドよりも良いくらいだ。雪の女王のソロをメーンにしている振付に不満はあるものの、群舞はとてもよく揃っていて美しく、足音も小さくてクオリティは高く、整列した時の一瞬の美に思わず息を呑んだ。雪の女王の堀口さんもプロポーションがきれいで、雰囲気はとてもよかったけど場を支配する何かがまだ足りない気がする。しかし、今が伸び盛りという感じは伝わってきた。

ディヴェルティスマンのメンバーは大変豪華で、一人一人が主役を踊ってもおかしくないメンバーぞろい。中でも、トロールとトレパックを踊った八幡さんは凄い!テクニックがあるダンサーという領域を突き抜けていて、踊る歓びを感じさせてくれるようになった。軽やかで、つま先もしっかり美しい。トレパックで共演した福岡さん、福田さんの二人も十分凄いんだけど、八幡さんはその仲でも頭一つ飛びぬけている。トロールは不気味なメイクで(ちょっと子供には恐いかも)、箱を飛び出しては舞台を所狭しと飛び回るのだけど、全身ばねのような中でも、クラシックバレエの美しさがある。

アラビアは、誰が見てもエジプトって感じのいでたちなのだけど、寺島ひろみさんの細くくびれた腰のラインのきれいさと、クレオパトラのようなメイクでの妖艶さ、柔らかい肢体が素敵だった。その次の中国は、ちょっと着物のような衣装に白塗りと、中国というよりなんちゃって日本って雰囲気なんだけど、その白塗りメイクもばっちり似合う寺島まゆみさんがとても可愛らしかった。トレパックの3人は前述の通り。スペインは、衣装とメイクがここだけ冴えなくて残念。古川さんの踊りはとてもよかったと思うんだけど。葦の精のトリオが、長田さん、高橋さん、大和さんという実力者3人を揃え、3人ともとても音感にすぐれて、よかったのだけど、真ん中にいた長田さんが、とても魅せる踊りで特に素晴らしかった。彼女のような特に上手な人がいると舞台が締まるなあ、としみじみ。ここの振付は、もうびっくりするくらいの難しいテクニックを盛り込んだものとなっていて、それをちゃんと踊れるこの3人は凄いことを実感させられた。ディベルティスマンに関して言えば、このバレエ団のソリストレベルの高さを感じられ、とても楽しめた。

花のワルツの振付は本当につまらなくて、衣装もクラシックチュチュじゃないのが残念。ソリストは西山さん、遠藤さん、輪島さんと芳賀さんの元K-Balletコンビなど素晴らしいメンバーをそろえているというのに、後方席から見ても群舞がきれいに見えない・・・。ワルツが並んで女性を軽くリフトする振付、どこかで見たことがあると思うんだけど、面白くないし。オーソドックスな振付にしておけば良かったのに。。

金平糖の精には、さいとう美帆さん。他の日にはクララも踊ったということで、キャラクター的にはどちらかといえばクララ向きの可愛らしい雰囲気。金平糖の精って、もうすこし夢のような存在というか、甘い中にも威厳があったほうがいいと思うし、ちょっと求心力が弱いと思えるところがあった。とはいえ、必要以上に難しくしてある振付をきちんとこなしていて、キラキラ感もあり堂々とした踊りだったと思う。マイレンは、今回も絶好調で美しく伸びたつま先、ふわりとしたマネージュ、完璧な5番で、その踊りの精緻さとエレガントさに惚れ惚れとした。ちょっとはにかんでシャイな雰囲気なのも、気品があって良い。(が、ヴァリエーションの時にはきっちりとキメ顔を作るところがポイント) さらに、サポートがもう素晴らしくって、さいとうさんと組むことが多いからということもあると思うけど、息がぴったり。金平糖の精が後ろ向きに跳んだところを王子が持ち上げて肩の上にリフトするというとっても難易度の高いリフトもスムーズに決まった。このアダージョの振付は、くるみというよりちょっと「眠れる森の美女」に似ていたと思う。コーダのさいとうさんの回転も素晴らしかった。そして本当の最後の最後になって、ようやくクララが一同の中に迎えられて、大団円。

主要キャスト・・さいとうさん、マイレン、小野さん、堀口さんをはじめ、八幡さんほかディベルティスマンのメンバーも非常に出来が良くて、女性コール・ドも素晴らしく、バレエ団の踊りの素晴らしさ、充実振りは実証されたので、ある意味においてはとても満足できた。それだけに、作品の出来が残念なのだ。せめて、プロローグとエピローグは改訂して欲しいなって思う。ああもったいない。

2009/12/26

<マラーホフの贈り物2010>公演日程・出演者決定!A Gift from Malakhov Gala 2010/5

NBS のサイトに来年五月のマラーホフの贈り物の日程と出演予定者が発表されていました。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/2010-2.html

そもそも五月にやるとは、予想していなかったです。

それから、出演者のなかにマライン・ラドメイカーの名前が!これまたびっくりしました。マリア・アイシュヴァルトと出演するようです。

【公演日程】

●Aプロ
2010年5月18日(火)6:30p.m.  
2010年5月19日(水)6:30p.m.  

●Bプロ
2010年5月21日(金)6:30p.m.  
2010年5月22日(土)3:00p.m.  

*NBSニュース1月号(vol.275)に掲載しております公演日程に変更が生じております。

【前売開始日】2010年2月20日(土)10:00a.m.~
入場料、プログラム、発売方法等の詳細につきましては、1月中旬に発表の予定

【会場】東京文化会館

【予定される出演者】
ウラジーミル・マラーホフ (ベルリン国立バレエ団) Vladimir Malakhov (Staatsballett Berlin)

ポリーナ・セミオノワ (ベルリン国立バレエ団)Polina Semionova (Staatsballett Berlin)
マリア・アイシュヴァルト (シュツットガルト・バレエ団)Maria Eichwald (Stuttgarter Ballett)
ニーナ・カプツォーワ (ボリショイ・バレエ団) Nina Kaptsova (Bolshoi Ballet)
ヤーナ・サレンコ (ベルリン国立バレエ団) Iana Salenko (Staatsballett Berlin)
エリサ・カリーヨ・カブレラ (ベルリン国立バレエ団) Elisa Carrillo Cabrera (Staatsballett Berlin)


マリイン・ラドメイカー (シュツットガルト・バレエ団) Marijn Rademaker (Stuttgarter Ballett)
イワン・ワシーリエフ (ボリショイ・バレエ団) Ivan Vasiliev (Bolshoi Ballet)
ディヌ・タマズラカル (ベルリン国立バレエ団) Dinu Tamazlacaru (Staatsballett Berlin)
ミハイル・カニスキン (ベルリン国立バレエ団) Mikhail Kaniskin (Staatsballett Berlin)

東京バレエ団

<演目>
【Aプロ】 「四季」(G.ヴェルディ作曲「仮面舞踏会」より)/他
【Bプロ】 「ラ・バヤデール」〈影の王国〉/他

なお、NBSのサイトで表記されている
エリサ・カミーヨ・カブレラではなく、エリサ・カリーヨ・カブレラです。あと、マリイン・ラドメーカーではなくマラインと読むのだそうで。

2009/12/25

英国ロイヤル・バレエ団 日本公演キャスト発表 Cast of The Royal Ballet Tokyo 2010 June

ロイヤル・バレエ来日公演のキャスト発表されました。

英国ロイヤル・バレエ団 日本公演 6月19日(土)~7月3日(土) The Royal Ballet Japan Tour

http://www.nbs.or.jp/blog/roh2010/contents/2009/12/2010-1.html

「リーズの結婚」全2幕 LA FILLE MAL GARDÉE

6月19日(土)1:00p.m. 
リーズ:ロベルタ・マルケス/コーラス:スティーヴン・マックレー
Lise: Roberta Marquez Colas: Steven McRae
6月19日(土)6:00p.m. 
リーズ:マリアネラ・ヌニェス/コーラス:ティアゴ・ソアレス
Lise: Marianela Nunez Colas: Thiago Soares
6月20日(日)3:00p.m. 
リーズ:サラ・ラム/コーラス:イヴァン・プトロフ
Lise: Sarah Lamb Colas: Ivan Putrov


「うたかたの恋」全3幕 MAYERLING

6月22日(火)6:30p.m. 
ルドルフ皇太子:カルロス・アコスタ/マリー・ヴェッツェラ:タマラ・ロホ/
Kronprinz Rudolf :Carlos Acosta, Baroness Mary Vetsera:Tamara Rojo
ラリッシュ伯爵夫人:マーラ・ガレアッツィ
Countess Marie Larisch:Mara Galeazzi

6月23日(水)6:30p.m.
ルドルフ皇太子:ヨハン・コボー/マリー・ヴェッツェラ:リャーン・ベンジャミン/
Kronprinz Rudolf :Johan Kobborg, Baroness Mary Vetsera:Leanne Benjamin 
ラリッシュ伯爵夫人:ラウラ・モレーラ
Countess Marie Larisch:Laura Morera

6月24日(木)6:30p.m. 
ルドルフ皇太子:エドワード・ワトソン/マリー・ヴェッツェラ:マーラ・ガレアッツィ/
Kronprinz Rudolf :Edward Watson Baroness Mary Vetsera:Mara Galeazzi
ラリッシュ伯爵夫人:サラ・ラム
Countess Marie Larisch:Sarah Lamb


「ロミオとジュリエット」全3幕 ROMEO AND JULIET

6月26日(土)6:00p.m. 
ジュリエット:アリーナ・コジョカル/ロミオ:ヨハン・コボー
Juliet: Alina Cojocaru Romeo:Johan Kobborg

6月27日(日)1:00p.m. 
ジュリエット:マリアネラ・ヌニェス/ロミオ:ティアゴ・ソアレス
Juliet: Marianela Nunez Romeo:Thiago Soares

6月27日(日)6:00p.m.
ジュリエット:吉田都/ロミオ:スティーヴン・マックレー
Juliet: Miyako Yoshida Romeo:Steven McRae

6月28日(月)6:30p.m. 
ジュリエット:リャーン・ベンジャミン/ロミオ:エドワード・ワトソン 
Juliet: Leanne Benjamin Romeo:Edward Watson

6月29日(火)6:30p.m. 
ジュリエット:吉田都/ロミオ:スティーヴン・マックレー
Juliet: Miyako Yoshida Romeo:Steven McRae


S=¥22,000 A=¥20,000 B=¥18,000 C=¥15,000 D=¥11,000 E=¥8,000
 
■チケット発売方法 Tickets

☆2演目・3演目セット券発売:2010年2月13日(土)10:00a.m.~
*NBSチケットセンター(電話予約03-3791-8888)のみで取り扱い。
*S.A.B券が対象。2演目セット券は1セットにつき2000円、3演目セット券は1セットにつき3000円割引きいたします。2演目、または3演目が同枚数であれば、日にちと券種は自由な組み合わせでお求めいただけます。

☆NBS WEBチケット先行抽選予約(S~B券)
受付期間:2月17日(水)10:00~2月21日(日)18:00

☆一斉前売開始:2009年3月6日(土)10:00a.m~
*NBSチケットセンター、NBS WEBチケットほか、下記プレイガイドで発売。

◇e+(イープラス) http://eplus.jp/ (PC&携帯) 
※プレオーダー:2月25日(木)~3月3日(水) 
◇電子チケットぴあ 0570-02-9999 http://pia.jp/t/ (PC&携帯)
(Pコード リーズの結婚:400-940 ロミオとジュリエット:400-942 うたかたの恋:400-941)
※プレリザーブ:2月25日(木)~3月3日(水) 
◇CNプレイガイド 0570-08-9990
◇東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
◇ローソンチケット 0570-000-407(10時~20時)(Lコード:33394)


チケット発売の詳細は上記NBSサイトをご確認ください。

Tickets Information in English
http://www.nbs.or.jp/english/contents/ticket/buy-tickets.html

キャストも大変豪華で嬉しい限りです。吉田都さんは、ジュリエットが2公演で共演はスティーブン・マックレー。また、「うたかたの恋(マイヤリング)」には、カルロス・アコスタも出るんですね。

ところで、バレエの祭典会員宛に、鑑賞日のお伺いと追加チケットの案内が来ていたのですが、追加では都さん2公演、そしてコジョカル&コボーの「ロミオとジュリエット」はS席は第二希望では選べなくなっています。この2つの公演に関しては、チケットがすぐに売り切れることが予想されますからね。

それから、ロイヤル・バレエとロイヤル・オペラの来日公演情報のために、Twitterのアカウントが開設されています。日本語です。
http://twitter.com/ROH_JAPAN2010

ロベルト・ボッレからのクリスマス・プレゼント動画

ロベルト・ボッレのオフィシャルサイトから送られてくるニュースレターにお知らせが載っていましたが、ファンへのクリスマスプレゼントということで、11月の「ジゼル」(ザハロワ共演)の舞台映像ダイジェストとバックステージ映像が掲載されています。

http://www.robertobolle.com
より、images→videoで動画に行き着くことができます。超素敵です~。

また、ヨーロッパでブルース・ウェーバー撮影の写真集「Roberto Bolle an Athlete in Tights」が発売になりましたが、講談社の雑誌HUGE最新号(今日発売の2月号)で、巻頭にブルース・ウェーバー特集が組まれ、8ページにわたってこの写真集の写真を紹介し、ポスターまでついています。思わずきゃーな写真まで!日本の雑誌でここまで取り上げられることは珍しいと思います。
http://www.hugemagazine.jp/index.html
ロベルト・ボッレ・ファンズ&フレンズサイトから情報をいただきました)

この写真集が発売されるにあたり、ミラノでサイン会が行われましたが、そのサイン会の模様を以下で見ることができます。
http://blog.panorama.it/foto/2009/12/21/fotografia-roberto-bolle-visto-da-bruce-weber/

怪我のためにノイマイヤーの新作「オルフェウス」を降板してしまったロベルトですが、サイン会では元気な顔を見せてくれています。早く回復して、彼のために振付けられた「オルフェウス」が無事踊れますように。

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2009/12/24

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートに、エレオノラ・アッバニャート、ニコラ・ル=リッシュ出演/POB「ジゼル」「シンデレラ」来日公演追加キャスト発表

以前、恒例のウィーンフィルニューイヤーコンサートにパリ・オペラ座のエレオノラ・アッバニャートが出演する(振付はレナート・ツァネラ)とお知らせしましたが、ダンソマニさん(フランス語版)によると、ニコラ・ル=リッシュも出演することになったようです。

このダンソマニのトピックには、ニコラとエレオノラの写真も載っています。
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=3598&start=15

このダンソマニさんのサイトからリンクしているソースのページですが、今回着用される衣装について載っています。ヴァレンティノがデザインしたものだそうです。ふんわりとしたピンクの薔薇がついていてとても素敵ですね。
http://www.artforart.at/Content.Node/content/news/news.en.php


それから、ちょっとお知らせするのが遅くなりましたが、パリ・オペラ座来日公演「ジゼル」と「シンデレラ」の詳細キャストが発表になっています。
(なぜかNBSのブログでは「メラニー・ユメル」となっていたので、ユレルに直しておきました)
「シンデレラ」のプロデューサー、二人の義姉、ダンス教師、「ジゼル」のヒラリオン、パ・ド・ドゥが発表されていますね。

http://www.nbs.or.jp/blog/1003_parisopera/contents/2009/12/2-1.html

「シンデレラ」 Cinderella
2010年
3/12(金)6:30p.m.

シンデレラ:アニエス・ルテステュ
映画スター:ジョゼ・マルティネス
継母:ステファン・ファヴォラン
プロデューサー:ヤン・ブリダール
二人の義姉:イザベル・シアラヴォラ、エミリー・コゼット
ダンス教師:バンジャマン・ペッシュ

3/13(土)1:30p.m.

シンデレラ:マリ=アニエス・ジロー
映画スター:カール・パケット
継母:ジョゼ・マルティネス
プロデューサー:ヤン・ブリダール
二人の義姉:ドロテ・ジルベール、ステファニー・ロンベール
ダンス教師:バンジャマン・ペッシュ

3/13(土)6:30p.m.

シンデレラ:デルフィーヌ・ムッサン
映画スター:マチュー・ガニオ
継母:ステファン・ファヴォラン
プロデューサー:アレッシオ・カルボネ
二人の義姉:イザベル・シアラヴォラ、エミリー・コゼット
ダンス教師:マチアス・エイマン

3/14(日)1:30p.m.

シンデレラ:マリ=アニエス・ジロー
映画スター:カール・パケット
継母:ジョゼ・マルティネス
プロデューサー:ヤン・ブリダール
二人の義姉:ドロテ・ジルベール、ステファニー・ロンベール
ダンス教師:バンジャマン・ペッシュ

3/15(月)6:30p.m.

シンデレラ:デルフィーヌ・ムッサン
映画スター:マチュー・ガニオ
継母:ステファン・ファヴォラン
プロデューサー:アレッシオ・カルボネ
二人の義姉:イザベル・シアラヴォラ、エミリー・コゼット
ダンス教師:マチアス・エイマン


「ジゼル」Giselle

2010年
3/18(木)7:00p.m.

ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー
ヒラリオン:ヤン・ブリダール
パ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド=ブラーム、エマニュエル・ティボー

3/19(金)7:00p.m.

ジゼル:ドロテ・ジルベール
アルブレヒト:マチアス・エイマン
ミルタ:エミリー・コゼット
ヒラリオン:ジョシュア・オファルト
パ・ド・ドゥ:メラニー・ユレル、アレッシオ・カルボネ

3/20(土)1:30p.m.

ジゼル:アニエス・ルテステュ
アルブレヒト:ジョゼ・マルティネス
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー
ヒラリオン:ヤン・ブリダール
パ・ド・ドゥ:リュドミラ・パリエロ、エマニュエル・ティボー

3/20(土)6:30p.m.

ジゼル:イザベル・シアラヴォラ
アルブレヒト:バンジャマン・ペッシュ
ミルタ:エミリー・コゼット
ヒラリオン:ニコラ・ポール
パ・ド・ドゥ:メラニー・ユレル、アレッシオ・カルボネ

3/21(日・祝)1:30p.m.

ジゼル:オレリー・デュポン
アルブレヒト:ニコラ・ル・リッシュ
ミルタ:マリ=アニエス・ジロー
ヒラリオン:ジョシュア・オファルト
パ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド=ブラーム、エマニュエル・ティボー


ダンソマニさんに、誰が出るかのプレキャストは出ていましたが、今回は日ごとのキャストも発表されています。
「シンデレラ」のプロデューサー役が、バンジャマン・ペッシュとマチアス・エイマン!豪華ですね。義理の姉役も、ドロテ・ジルベール、エミリー・コゼット、イザベル・シアラヴォラとエトワールが投入されています。
また、「ジゼル」ヒラリオン役のジョシュア・オファルトは9月のオペラ座「ジゼル」ではこの役を踊っていなくて初役なんですよね。

2009/12/23

12/22 YAGPガラ/シュツットガルト・バレエ「オネーギン」のキャスト変更 YAGP 2010 Japan Gala

今日はYAGP 2010 Japan Galaに行って来ました。

http://www.yagp.org/japan/2010gala.html

アシュレイ・ボーダーとゴンサロ・ガルシアの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」が音楽性があって素晴らしく、これが本物のバランシンだなって思いました。(マリインスキーのソーモワは相変わらず音痴で、前よりはよくなっていたけどやっぱりちょっと・・だったので)ゴンサロ・ガルシアも決して小柄ではないのに、軽やかで正確なポジションで、着地音のしないマネージュが凄かったです。コーダでの大胆なフィッシュダイブも鮮烈でした。
せっかくの音符が溢れるような素敵なパフォーマンスだったのに、なぜか途中で手拍子が客席から飛び出して唖然・・・YAGP出場者の関係者だと思いますが、こういうことは厳に謹んで欲しいものです。チャイコフスキー・パ・ド・ドゥで手拍子が出たなんて前代未聞です。 

酒井はなさんとジェイソン・レイリーの「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」も、この間のマリインスキーで観たロパートキナとコールプのと全然違っていて、踊る人による違いを楽しめました。はなさんのはじけたコミカルさも本当にキュートですよね。ジェイソンは愛嬌たっぷりな中に独特のしなやかさがあって素敵でした。

それから、やはりアリーナ・コジョカルの「海賊」でのキラキラ感は尋常じゃなくて、歌うように踊りつつも、コーダでは突き刺さるようなシャープなイタリアン・フェッテを見せてくれました。パートナーのセルゲイ・ポルーニンは、ずいぶん背が伸びて大人っぽくなりましたね。まだ荒削りな感じのところもありますが、ダイナミックさと優雅さを併せ持ち、非常に華があるダンサーです。

康村和恵さんと清水健太さんの「ロミオとジュリエット」、康村さんのはかなげな繊細さがとても美しくて。清水さんのロミオは、熊川さんよりロマンティックで情熱的で良かったと思います。YAGPの創始者であるABTのゲンナディ・サヴェリエフは、得意中の得意である「ゴパック」を踊ってみせて、ファイブフォーティを連発して場内を沸かせました。

今年のローザンヌ・コンクールに出場して現在ABTIIに所属しているテルモ・モレイラや、日本のYAGP予選入賞者の中にも、おーっというテクニックの持ち主がいました。「パリの炎」の木ノ内 周さんはなかなか凄かったです。

しかし現在北米の荒天により、クリストファー・ウィールダンのカンパニー、モルフォーセスのドリュー・ジャコビーが来日不可能となってしまい、また同じくモルフォーセスのルビナルド・プロンクはリハーサル中の怪我で出演できなくなってしまったとのことで、舞台で挨拶(そして上半身を中心とした動きを少し)してくれました。

第1 部
1. グラン・デフィレ Grand Defile
振付:カルロス・ドス・サントス・ジュニア ・Carlos dos Santos, Jr.
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー ・Peter Ilyitch Tchaikovsky
YAGP 2010 日本予選参加者 YAGP 2010 Japan Semi-Finals Participants

2. ワン・タンゴ One Tango
振付:レイモンド・レベック ・Raimondo Rebeck
音楽:アスター・ピアソラ ・Astor Piazzola
玉川 貴博 Takahiro Tamagawa (YAGP Alumnus)
シュツットガルト・バレエ ジョン・クランコ・スクール John Cranko School of Stuttgart Ballet

3. サタネラよりグラン・パ・ド・ドゥ "Satanella" Pas de Deux
振付:マリウス・プティパ ・Marius Petipa
音楽:チェザーレ・プーニ ・Cesare Pugni
毛利 実沙子 Misako Mori (YAGP Alumna)
末原 雅広 Masahiro Suehara (YAGP Alumnus)
ソウダバレエスクール Soda Ballet School

4. オラ Hora
振付:島﨑 徹 ・Toru Shimazaki
音楽:作者不詳 ・Unknown
淵上 礼奈 Reina Fuchigami (YAGP Alumna)
英国ロイヤルバレエスクール The Royal Ballet School

5. コッペリアよりスワニルダのバリエーション Variation from Swanilda
振付:アルテュール・サン・レオン ・Arthur Saint-Leon
音楽:レオ・ドリーブ ・Leo Delibes
左右木 茉琳 Marin Soki
左右木健一・くみバレエスクール Soki Ballet School
YAGP 2010 日本予選 プリコンペティティブ部門第1 位 YAGP 2010 Japan Semi-Finals
Pre-Competitive Age Division 1st Place

6. グラン・パ・クラシックよりバリエーション Variation from Grand Pas Classique
振付:ヴィクトル・グゾフスキー ・Victor Gsovsky
音楽:ダニエル=フランソワ=エスプリ・オベール ・Daniel-François-Esprit Auber
宮川 新大 Arata Miyagawa
坪田バレエ団附属坪田バレエスクール Tsubota Ballet School
YAGP 2010 日本予選 シニア部門男子第1 位 YAGP 2010 Japan Semi-Finals
Senior Age Division Men 1st Place

7. アワ・ソングズ Our Songs
振付:島﨑 徹 ・Toru Shimazaki
音楽:アルカンジェロ・コレリー ・Arcangelo Corelli
小池バレエスタジオ Koike Ballet Studio
YAGP 2010 日本予選 アンサンブル部門 YAGP 2010 Japan Semi-Finals Ensemble Category
8. パリの炎よりグラン・パ・ド・ドゥ "The Flames of Paris" Pas de Deux
振付:ワシリー・ワイノーネン ・Vasily Vainonen
音楽:ボリス・アサフィーエフ ・Boris Asafiev
涌田 美紀 Miki Wakuta (YAGP Alumna)
木ノ内 周 Shu Kinouchi (YAGP Alumnus)
ABT ジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクール American Ballet Theatre Jacqueline Kennedy Onassis School

9. シャドウ Shadow
振付:金田 あゆこ ・Ayuko Kaneta
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー、ダフト・パンク ・Peter Ilyitch Tchaikovsky, Daft Punk
金田こうのバレエアカデミー Kaneta Kono Ballet Academy
YAGP 2009 NYC ファイナル アンサンブル部門 金メダル YAGP 2009 NYC Finals Ensemble Category Gold Medal

10. グラン・パ・ド・ドゥ Le Grand Pas de Deux
振付:クリスチャン・シュプック ・Christian Spuck
音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ ・Gioachino Rossini
酒井 はな Hana Sakai
新国立劇場バレエ団 New National Theater Ballet, Tokyo
ジェイソン・レイリー Jason Reilly
シュツットガルト・バレエ団 Shututtgart Ballet

第2 部
1. デフィレ Defile
振付:クリスチャン・シュプック ・Christian Spuck
音楽:ジャン・シベリウス ・Jean Sibelius
YAGP 出身者 YAGP Alumni
YAGP 2010 日本予選参加者 YAGP 2010 Japan Semi-Finals Participants

2. ノット・エニー・モア Not Any More
振付:レイモンド・レベック ・Raimondo Rebeck
音楽:ラサ・デ・セラ ・Lhasa de Sela
スカイラー・ブラント Skylar Brandt (YAGP Alumna)
テルモ・モレイラ Telmo Moreira (YAGP Alumnus)
ABT II

3. ロミオとジュリエットよりパ・ド・ドゥ “Romeo and Juliet” Pas de Deux
振付:熊川 哲也 ・Tetsuya Kumakawa
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ ・Sergei Prokofiev
康村 和恵 Kazue Yasumura
清水 健太 Kenta Shimizu (YAGP Alumnus)
K バレエカンパニー K-Ballet Company

4. プシュケ Psyche
振付:島地 保武 ・Yasutake Shimaji
音楽:熊地 勇太 ・Yuta Kumachi
衣装:川口 知美(Costume80+) ・Tomomi Kawaguchi
酒井 はな Hana Sakai
新国立劇場バレエ団 New National Theater Ballet, Tokyo
島地 保武 Yasutake Shimaji
ザ・フォーサイス・カンパニー The Forsythe Company

5. コントラディクション Contradiction
振付:カルロス・ドス・サントス・ジュニア ・Carlos dos Santos, Jr.
音楽:セルゲイ・ゴルデイエフ ・Sergey Gordeev
ルビナルド・プロンク Rubinald Pronk
モルフォーセス/ザ・ウイールドン・カンパニー Morphoses/The Wheeldon Company

6. チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ Tchaikovsky Pas de Deux
振付:ジョージ・バランシン ・George Balanchine
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー ・Peter Ilyitch Tchaikovsky
アシュリー・ボーダー Ashley Bouder
ゴンザロ・ガルシア Gonzalo Garcia
ニューヨーク・シティ・バレエ New York City Ballet

7. ゴパック Gopak
振付:ロスチフラフ・ザハーロフ ・Rostislav Zakharov
音楽:ヴァシリー・ソロヴィヨフ=セドイ ・Vasily Solovyov-Sedoi
ゲナディ・サヴェリエフ Gennadi Saveliev
アメリカン・バレエ・シアター American Ballet Theatre

8. 海賊よりグラン・パ・ド・ドゥ "Le Corsaire" Pas de Deux
振付:マリウス・プティパ ・Marius Petipa
音楽:リッカルド・ドリゴ ・Richard Drigo
アリーナ・コジョカル Alina Cojocaru
セルゲイ・ポルーニン Sergei Polunin
英国ロイヤルバレエ団 The Royal Ballet

ところで、シュツットガルト・バレエの12月25日マチネの「オネーギン」のキャストが変更になり、オネーギン役が今日出演したジェイソン・レイリーになっています。(ヨーロッパも悪天候だというのに、大急ぎで帰ってこなくちゃいけなくて大変ですよね・・・)タチヤーナはアリシア・アマトリアン。当初予定されていたタチヤーナ役のミリアム・サイモンが怪我をしたようで、パートナーのエヴァン・マッキーも降板したとのことです。(というわけで、クリスマスはシュツットガルトの予定でしたが、私も予定をキャンセルしました・・・)さらに併せてグレーミン役も初役のアレクサンダー・ジョーンズからニコライ・ゴドノフに代わっています。

12/25 Onegin
Ballett in drei Akten nach Alexander Puschkin

Onegin Jason Reilly
Lenski William Moore
Tatjana Alicia Amatriain
Olga Hyo-Jung Kang
Fürst Gremin Nikolay Godunov

14.00-16.30

2009/12/22

新国立劇場「ドン・キホーテ」ザハロワ&ウヴァーロフDVD特典映像/プレルジョカージュの「白雪姫」

以前お知らせしたとおり、新国立劇場バレエ団の「ドン・キホーテ」(ザハロワ&ウヴァーロフ主演)のDVDが来年1月下旬に発売されます。

そのDVDに収められる特典映像の一部が、クラブ・ジ・アトレのサイトにアップされています。

http://www.atre.jp/news/detail148.html

ザハロワ&ウヴァーロフのコメント、本番前にポアントの調整をするザハロワ、ゲネプロでのウヴァーロフ、そして指揮者とカスタネットのソロのテンポを打ち合わせするザハロワなどの姿が見られて、短いながらもとても貴重な映像です。画質もとても綺麗です。今回はHDカメラで撮影されているとのことなので、本編も期待しましょう。

おそらくアマゾンからも買えるようになるとは思いますが、アトレ会員はWebショップから買うと割引や特典などが受けられますので、そちらで注文すると良いと思います。12月20日より予約が開始されています。

http://theatreshop.jp/?pid=17782416

【アトレ会員様限定キャンペーンのお知らせ】 *12月20日~1月15日までの間ご予約頂いたアトレ会員様につきましては  ①10%OFF!  ②送料無料サービス!  ③新国立劇場オリジナルミニクリアファイルをプレゼント!

****
DVD関係でいえば、ダンソマニのフランス語版の方に掲載されていましたが、アンジェラン・プレルジョカージュ振付でバレエ・プレルジョカージュが踊った「白雪姫」のDVDが発売されます。2010年1月21日発売予定

BLANCHE NEIGE LE DVD
Chorégraphie et réalisation Angelin Preljocaj

http://www.preljocaj.org/prestashop_1.0/product.php?id_product=45

この作品は、衣装デザインをジャン=ポール・ゴルチエが行っており、バレエ・プレルジョカージュで上演された後、ベルリン国立バレエのレパートリーにも入っているのですよね。中村祥子さんも主演しているはずです。

12月25日にARTEで放映されるようで、映像の一部をARTEのサイトで見ることができます。
http://www.arte.tv/fr/Echappees-culturelles/Noel/Danse-sur-ARTE/2966132,CmC=2957506.html

2009/12/21

12/20 シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー「聖なる怪物たち」Sacred Monsters Sylvie Guillem & Akram Khan

シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー
「聖なる怪物たち」
芸術監督・振付:アクラム・カーン

ダンサー:シルヴィ・ギエム、アクラム・カーン

振付(ギエムのソロ):林懐民
振付(カーンのソロ):ガウリ・シャルマ・トリパティ

音楽:フィリップ・シェパード
およびイヴァ・ビトヴァー、ナンド・アクアヴィヴァ、トニー・カサロンガの歌より

照明:ミッキ・クントゥ
装置:針生康
衣裳:伊藤景
構成:ギィ・クールズ

演奏:アリーズ・スルイター(ヴァイオリン)
ラウラ・アンスティ(チェロ)
コールド・リンケ(パーカッション)
ファヘーム・マザール(ヴォーカル)
ジュリエット・ファン・ペテゲム(ヴォーカル)

Direction artistique, chorégraphie, interprétation: Akram Khan
Interprétation: Sylvie Guillem

Chorégraphie du solo de Sylvie Guillem: Lin Hwai-Min
Chorégraphie du solo d'Akram Khan: Gauri Sharma Tripathi
Lumieres: Mikki Kunttu
Décors: Shizuka Hariu
Costumes: Kei Ito
Dramaturgie: Guy Cools

「聖なる怪物」というのは、19世紀フランスで使われ始めた大スターに対するニックネームだそうな。

クラシックバレエのダンサーとしてのシルヴィ・ギエムは、凄いとは思うものの実際のところは私の好みとはちょっと外れていた。マリファントの作品を踊るギエムを見ても、凄い、究極のダンサーだとは思うのだけど、琴線に触れる部分が無かった。ところが、この「聖なる怪物たち」のギエムは、もう~ものすごく魅力的で、チャーミングで、リラックスしながらもやっぱり凄くって。「大好き!」と言ってもいいくらい、素敵だった。

日本人の舞台芸術家、針生康さんによる、白く、シンプルでセンスの良い舞台芸術。和紙をしわくちゃにしたような、カーブした白壁が美しい。上手に、ヴァイオリン、チェロ、パーカッション奏者と、二人の歌手。まず、舞台上で演奏される音楽が素晴らしくて。東洋的な音楽と西洋音楽を融合させたような現代音楽なのだけど、スリリングで旋律がエキゾチックで美しい。シルヴィは長い鎖を持っているかのように見えたけど、実際にはそれは鈴を鎖状につなげたもの。

シルヴィのソロは、クラウド・ゲイト・ダンスシアターの林懐民(リン・ファンミン)が振付けたもので、シャープでスタイリッシュで強靭なのにしなやか、彼女の驚異的なエクステンションが盛り込まれている。天を突き刺すばかりのつま先、完璧なアティチュードターン、細長いのに雄弁で力強い腕。そしてアクラム・カーンが、シルヴィがバレエダンサーとなるまで、そしてなってからの彼女の足跡について語り始める。クリシュナになりたかったけど、髪が薄くなって、さてどうする?という独白も。この台詞の応酬については、予めダイアローグをNBSのサイトで予習しておいたのが役に立ったけど、シルヴィもアクラムも聞き取りやすい英語で話してくれたので、字幕を見る必要はほとんどなかった。
http://www.nbs.or.jp/stages/0912_sacredmonsters/movie.html

ダンスの中に会話があるのは、不思議な感じもしたけれども、とても親密な空気を創り上げることに成功していた。天才少女として出発し、異端児としてある種「怪物」扱いされてきたシルヴィ。自分の持っていたクリシュナ像との乖離を感じて、新しい世界を切り開いていったアクラム。異なるバックグラウンドを持つ二人が、お互いの持つ世界を尊重しつつ、さらに新しい地平を切り開いていく、それも肩肘張らず、伸びやかに、様々なくびきから解放された自由な姿で。やり取りにはユーモアがこめられていて、イタリア語を話すシルヴィに、「イタリア語はわからないよ」ってアクラムが返すところも可笑しいし、チャーリーブラウンに出てくるサリーの話をするシルヴィが、とてもキュートで生き生きしている表情を見せてくれた。「エマーヴェイユ」(驚嘆)の話を一生懸命するところの、まさにクリスマスツリーを目の前にした子供のようにキラキラした瞳をしたシルヴィを見て、なんて魅力的な人だろう、ってこちらも自然に笑顔になった。(そして、イスラム教徒として育てられたからクリスマスツリーのことを言われても、という絶妙なアクラムの返し技!)

二人がパ・ド・ドゥを踊る時、動きはシンクロしているしタイミングは見事に合っている。明らかにダンススタイルが違うのだけど、その異なったダンススタイルが融合はしていないけど共存していて、1+1が100になったような感じで、魂が共鳴しているように見えた。背が高くて細く、色が白くて赤い髪のシルヴィ。褐色の肌に小柄でがっしりしているアクラム。この二人の外見の組み合わせの妙。

アクラムのカタック(インド古典舞踊)に基づいた動きがまた凄い。足に無数の鈴をつけて、鈴の音をさせながら足を踏み鳴らす。目にも留まらぬ速さのステップ。重心を低くし、強靭で疾走感あふれるアクラムの回転。呼応するように、高速でアティチュードターンやシェネをするシルヴィ。異文化が交錯しながら、まだ見ぬ新しい地平を切り開いていく様子に、こちらが「エマーヴェイユ」する思いでワクワクした。

Sacred Monsters Recorded At Sadler's Wells [DVD] [2009]Sacred Monsters Recorded At Sadler's Wells [DVD] [2009]
Akram Khan

Select Music & Video Distribution 2009-04-27
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2009/12/20

「パールの夢、バレエの記憶」~舞踊芸術を彩ったパールの魅力~

銀座のミキモト本店の6階で、バレエ・リュス関連の展覧会があるというので、行ってきました。

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http://www.mikimoto.com/jp/events/events_059_2.html

「パールの夢、バレエの記憶」

~舞踊芸術を彩ったパールの魅力~
伝説のバレエ団バレエ・リュス誕生から100年を迎えて

とき12月4日(金)~12月25日(金)11:00~19:00
会期中の土曜日15:00~ 芳賀直子氏によるギャラリートークを開催。
場所 ミキモト本店・6Fミキモトホール =入場無料= 中央区銀座4-5-5 Tel 03-3535-4611
主催 ミキモト 協力 兵庫県立芸術文化センター 
監修 芳賀直子(舞踊研究家/兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクション キュレーター)

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(ミキモトの前のクリスマスツリーの下の雪だるまさんたちが可愛かった!)

主に兵庫県立芸術文化センター 薄井憲二バレエ・コレクションからの出品ということで観たことがあるものも多かったのですが、これが無料でゆっくりと観られるのは本当にラッキー。バルビエの銅版画やバクストによるデザイン画、ルードヴィヒ・カイナーによる絵、そしてニジンスキーやカルザヴィナを中心に、フォーキン、リファールなどの写真もありました。バレエ・リュスの公演パンフレットの数々は、100年近い時を経ても今でも美しく色鮮やか。

中でも貴重なものは、1922年のバレエ・リュスによる「眠れる森の美女The Sleeping Princess」の初演での「青い鳥」の衣装で、ロマン・ヤジンスキーが着用したものだそうです。(着用した時の写真もあります)ここには人造真珠が使われています。

パールとバレエ・リュスのつながりというのがテーマということもあり、特に「シェヘラザード」の黄金の奴隷の衣装やイヤリングにおびただしい真珠が使われていることを再確認。「青神」のタマラ・カルサヴィナも、幾重にも真珠を重ねた衣装を身に着けています。また、今年NBAバレエ団が国内初演をした「レ・ビッシュ 牝鹿」の衣装も展示されていて、女主人公は長い真珠のネックレスを身につけていました。

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この展覧会には、独自のパンフレットが作られており、500円という値段ですが、カラーの図版もかなりあり、中身は充実していました。出展作品の全部のタイトルと所蔵場所が日本語と英語で書かれているので、資料的な価値も大きいと思います。ニジンスキーとアンナ・パブロヴァの「アルミードの館」の彩色写真など、本当にすごく美しいのですよね。

25日までの開催なので、まだの方はぜひご覧になることをお勧めします。

2009/12/19

<マニュエル・ルグリの新しき世界>Bプロ追加公演/ジョージナ・パーキンソン逝去

NBSサイトの最新情報に、ほぼソールドアウトとなっていた<マニュエル・ルグリの新しき世界>Bプロ追加公演のお知らせが載っていました。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-176.html

<マニュエル・ルグリの新しき世界> 追加公演 ~Bプロ「ルグリと輝ける世界のスターたち」


■追加公演:2010年2月6日(土) 1:30 p.m.

■会場:ゆうぽうとホール

■入場料(税込み):S=¥19,000 A=¥16,000 B=¥13,000 C=¥10,000 D=¥7,000 

■前売開始日:2010年1月9日(土) 10:00a.m.より

■前売券(下記発売所で限定発売)

❑NBS WEBチケットサービス  
※先行抽選予約(S~D券) 受付期間:12月25日(金)10:00~1月6日(水)18:00

❑e+(イープラス) プレオーダーあり
❑電子チケットぴあ プレリザーブあり


■プログラム

「優しい嘘」シルヴィ・ギエム-マニュエル・ルグリ
振付:イリ・キリアン/音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ、カルロ・ジェズアルド、グレゴリオ聖歌

「三人姉妹」シルヴィ・ギエム-マニュエル・ルグリ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

「マリー・アントワネット」アニエス・ルテステュ-パトリック・ド・バナ
振付:パトリック・ド・バナ/音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ

「スリンガーランド」アニエス・ルテステュ-パトリック・ド・バナ
振付:ウィリアム・フォーサイス/音楽:ギャビン・ブライアーズ

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 ヘザー・オグデン-ギヨーム・コテ
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

「失われた時を求めて」ギヨーム・コテ-デヴィッド・ホールバーグ
振付:ローラン・プティ/音楽:ガブリエル・フォーレ

「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」上野水香-デヴィッド・ホールバーグ
振付:マニュエル・ルグリ/音楽:ガエターノ・ドニゼッティ

「アザー・ダンス」オレリー・デュポン-フリーデマン・フォーゲル
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン

「モペイ」 フリーデマン・フォーゲル
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:C.P.E.バッハ、クランプス

「ハロ」ヘレナ・マーティン
振付:ヘレナ・マーティン/音楽:アラ・マリキアン、ホセ・ルイス・モントン

*******
同じくNBSのサイトより、「エトワール 最後の60日~密着 マニュエル・ルグリのバレエ人生~」の再放送のお知らせです。

マニュエル・ルグリのパリ・オペラ座バレエ団引退公演までの60日間を追ったドキュメンタリー「エトワール 最後の60日~密着 マニュエル・ルグリのバレエ人生~」が、NHKハイビジョンで再放送されます。

□番組名:NHKハイビジョン特集 BS-hi

□放送日:12月19日 (土) 23:00 ~ 翌00:01

*******
元ロイヤル・バレエのプリンシパルで、現ABTのバレエミストレスのジョージナ・パーキンソンが、ガンのために12月18日に亡くなりました。ABTがプレスリリースを出しています。1938年生まれとのことですから、まだ71歳と若かったのですね。

パーキンソンはマクミラン振付の「ロミオとジュリエット」のロザライン役の初演キャストのほか、シュツットガルト・バレエのクランコ振付「ダフニスとクロエ」のクロエ初演、マクミランの「マイヤリング」のエリザベート皇妃役の初演など重要な役を演じてきました。

1978年にABTのバレエ・ミストレスとなってからも、キャラクターダンサーとして舞台に立ち続けました。「オネーギン」のマダム・ラリーナ、「ライモンダ」の伯爵夫人、「ロミオとジュリエット」のキャピュレット夫人、「眠れる森の美女」や「白鳥の湖」の女王などを演じてきており、2008年の来日公演でも舞台でのすらりとした美しい立ち姿が印象的でした。それだけに、亡くなってしまったということに驚いております。

ジョージナ・パーキンソンの夫君はABTなどの舞台写真を撮っていたロイ・ラウンドであり、また彼女の息子はロイヤル・バレエのリアン・ベンジャミンと結婚しているという舞台一家でした。ご冥福をお祈りします。

追記:New York Timesの訃報記事
http://www.nytimes.com/2009/12/19/arts/dance/19parkinson.html

今年の秋にも、映画「ブラック・スワン」に主演するナタリー・ポートマンの指導を行っていたということです。

ABTの追悼文
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=290

2009/12/18

バーミンガム・ロイヤル・バレエのクリスマスメッセージ/「毛沢東のバレエダンサー」ツァオ・チーのインタビュー

バーミンガム・ロイヤル・バレエのサイトで、芸術監督のデヴィッド・ビントレーはじめ、ダンサーたちからの素敵なクリスマスメッセージ動画が載っています。山本康介さんや、プリンシパルのツァオ・チーからのメッセージも。

http://www.brb.org.uk/christmas2009.html

Merry Christmas from David Bintley and dancers of Birmingham Royal Ballet from Rob Lindsay on Vimeo.

さて、そのバーミンガム・ロイヤル・バレエのツァオ・チーですが、ヒューストン・バレエの「くるみ割り人形」にゲスト出演します。12月18日、20日、22日、23日の4回に出演予定です。

ツァオ・チーは、いうまでもなく映画「毛沢東のバレエダンサー」で主人公リー・ツンシン役を演じており、そしてリー・ツンシンはかつてヒューストン・バレエのプリンシパルだったという縁があります。

http://houstonballet.wordpress.com/2009/12/16/chi-cao-of-maos-last-dancer-guest-starring-as-nutcracker-prince/

上記ヒューストン・バレエのブログによれば、来年「毛沢東のバレエダンサー」は全米でも公開されるとのことです。

映画はヒューストンが主要な舞台となっていますが、実際にはオーストラリアで撮影されました。ほとんどの振付はグレアム・マーフィによるものですが、ヒューストン・バレエの元芸術監督ベン・スティーブンソンのThree Preludesという作品も登場しています。

そしてこちらの記事では、ツァオ・チーのインタビューが掲載されています。
http://www.chron.com/disp/story.mpl/ent/6765231.html

現在31歳のツァオ・チーは1994年以来英国に住んでおり、現在は英国市民。11年前に彼のために振付を行った現芸術監督のスタントン・ウェルチは、彼が素晴らしいダンサーであり、特にカブリオールや跳躍が美しいと絶賛しています。

ツァオ・チーの父がリー・ツンシンをバレエ学校で教えた教師の一人で、また彼の母も音楽家でツンシンの素晴らしいピルエットをよく覚えているということもあり、ツンシンのことをよく知っていると、インタビューで語っています。

そして、映画を撮影することについての話が進んでいる時に、ツンシンの方からツァオに声がかかったそうです。同じ北京舞踊学校出身で、ツァオがヴァルナ国際コンクールで金賞を受賞したことも知っていました。イギリスまでツンシンはクラスレッスンを観に来て、そしてツァオに、演劇のレッスンを受けるようにと言ったのです。そして9ヵ月後、この映画の監督が彼の舞台を観に来ました。そしてスクリーンテストを受けたところ、役を得ることになったそうです。

「ツンシンは中国から亡命した最初のダンサーでしたが、彼が亡命して3年後には、もっと自由に西側に行き来できるようになりました。いつか中国の外に出ることになるだろう、そうすることが本当の挑戦でありチャンスであるということだから、と思っていました。中国でバレエダンサーをしていれば、他の国よりも良い待遇は受けられるかもしれません。しかし、中国でのレパートリーは古くなっています。私の父はヌレエフに招かれてパリ・オペラ座で一年間学んだため、西側のビデオ映像を観ることができました。他の中国の子供たちが「紅色娘子軍」を踊っていた時に、私はウィリアム・フォーサイスに夢中でした」

「好きな役は、「ジゼル」のアルブレヒトと、「ロミオとジュリエット」のロミオです。物語性がある古典が好きです」
「ツンシンと私は、同じような経験をしています。日記を書いてそれを燃やしてしまう人もいるけど、代わりに私は映画に出演しました。今までの過去をすべて映画の中で出し切って、新しい人生を始めることができたと思います。世界中の劇場で踊ってきて、行き止まりを感じてしまい、目標を失っていましたが、映画に出演したことで新しい自信を得ることができました。そしてダンサーとしての頂点が映画に残ったことを幸せに思いました。ダンサーとしての人生はそれほど長くないかもしれないので、今は一つ一つのパフォーマンスを楽しんでいます。そして、全てが始まったヒューストンで踊ることはとても楽しみです」

ということで、「毛沢東のバレエダンサー」の映画、ぜひ日本でも観たいものですね!

毛沢東のバレエダンサー毛沢東のバレエダンサー
井上実

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2009/12/17

「くるみ割り人形」の写真いろいろ/ガルニエのバレエ・リュス展 Nutcracker Pictures from the Royal Ballet & SFB

The Telegraphに、ロイヤル・バレエの「くるみ割り人形」のバックステージ写真のスライドショーが載っています。

http://www.telegraph.co.uk/culture/theatre/dance/6818011/The-Nutcracker-by-the-Royal-Ballet-backstage.html

マリアネラ・ヌニェス、エドワード・ワトソン、マーラ・ガレアッツィ、イヴァン・プトロフ、高田茜さんなど、ロイヤルのダンサーの「くるみ割り人形」でのバックステージの写真が見られます。ふとした素顔も見られるのが面白いですね。


サンフランシスコ・バレエのブログでは、バレエ学校の生徒たちが地元のスーパーでパフォーマンスを行った様子を写真で紹介しています。スーパーのかごに入ったバレリーナ、ねずみの王様など、とっても微笑ましく可愛い写真が載っています。

http://www.sfballetblog.org/2009/12/sfb-scene-12/

*******

ついでに、ですがフィガロ・ジャポンのブログで、大村真理子さんがオペラ・ガルニエで行われているバレエ・リュス展の紹介をしています。「春の祭典」「シェヘラザード」、そしてピカソがデザインした「パラード」の奇抜な衣装、さらにはディアギレフが愛用していたシルクハット、オペラグラスなど。ジャン・コクトーが描いたストラヴィンスキーとディアギレフの絵なども展示しているようです。

http://news.madamefigaro.jp/culture/100.html

LES BALLETS RUSSES レ・バレエ・リュス展

Bibliotheque-Musee de l'Opera
Palais Garnier, 75009 PARIS
(入口はスクリブ通りとオーベール通りの角)
5月23日まで開催
開) 10時~17時
会期中、1月1日を除き無休
料) 8ユーロ(オペラ座見学料金含む)

12月16日は、ザハロワ、ツィスカリーゼなどボリショイ・バレエのダンサーをパリ・オペラ座に招いてのバレエ・リュスガラがガルニエで開催されましたね。ガラのレポートを読むのが楽しみです。

→Financial Timesにバレエ・リュスプロのレビューが載っています。かなり辛口です。
http://www.ft.com/cms/s/2/e43b7d8c-e993-11de-9f1f-00144feab49a.html


また、ロイヤル・バレエといえば、今年1月のローザンヌ・コンクールでスカラシップを獲得したした高田樹さんが、ロイヤル・バレエの研修生となったそうです。おめでとうございます。(信濃毎日新聞より)

http://www.shinshu-liveon.jp/www/topics/node_138705

2009/12/16

新国立劇場バレエ団 2010/2011シーズン サイトで発表

すでにここでお知らせしていて、チラシも出回っていますが、ようやくオフィシャルサイトに新国立劇場バレエ団 2010/2011シーズンの情報が載りましたので、お知らせしておきます。デヴィッド・ビントレーが芸術監督に就任する最初のシーズンですね。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/updata/20000910.html

今回は、3演目のみの発表で、全ラインアップ発表は、2010年1月中旬発表予定とのことだそうです。

「ペンギン・カフェ」 "Still Life" at the Penguin Cafe

振付:デヴィッド・ビントレー
2010年10月


「アラジン」 Aladdin

振付:デヴィッド・ビントレー
2011年5月


「ロメオとジュリエット」 Romeo and Juliette

振付:ケネス・マクミラン
2011年6~7月

とりあえずこの3つが決まっています。おそらくあと2,3演目というところで、古典が入るのでしょうね。きっと「白鳥の湖」は外せないでしょうし。それと「ペンギン・カフェ」は1幕ものだと思うので、同時上演で何かあることでしょう。

新国立劇場オフィシャルサイトでは、「くるみ割り人形」「白鳥の湖」の特設サイトが開設されています。「くるみ割り人形」は、美術のオラフ・ツォンベックと、5人の主演バレリーナのインタビュー動画もアップされています。

12月20日から始まる「くるみ割り人形」は今回、私は残念ながらパスすることになりそうです。今年は12月に一度も「くるみ」を観ないで一年が終わりそう。

そして早くも来年5月の「カルミナ・ブラーナ」のチケットも今週末、土曜日から発売です。来年のゴールデンウィークの予定がわからないので、チケットが買えません・・・。

2009/12/15

シュツットガルト・バレエ エヴァン・マッキーの「オネーギン」/追記:「オルフェオとエウリディーチェ」キャスト

シュツットガルト・バレエ 12月25日のマチネ公演で「オネーギン」タイトルロールデビューするエヴァン・マッキー。彼の作成中のオフィシャルサイトに、「オネーギン」のリハーサル中の写真がアップされていました。

http://www.evanmckie.com/

ちょっとまぢで素敵過ぎるんですが・・・。タチヤーナ役は、やはり役デビューのミリアム・サイモン。

シュツットガルト・バレエの次の来日は2011年かしら?その時にはまた「オネーギン」を持ってきてくれるのでしょうか。

****
追記:シュツットガルト・バレエの12/22「オルフェオとエウリディーチェ」(クリスチャン・シュプック振付)キャストが発表されていました。

Tragédie Opéra in drei Akten von Christoph Willibald Gluck

Besetzung:(歌手)
Orphée Kenneth Tarver
Euridice Alla Kravchuk, Catriona Smith
L'Amour Yuko Kakuta

4 Solo-Paare:
Rachele Buriassi, Alicia Amatriain, Myriam Simon, Oihane Herrero
William Moore, Roland Havlica, Alexander Jones, Dimitri Magitov

Suite De L'Amour:
Brent Parolin, Arman Zazyan, Mikhail Soloviev, Laurent Guilbaud, Tomas Danhel


「オルフェウス」つながりで、ハンブルク・バレエの「オルフェウス」(ノイマイヤー振付)のレビューもご紹介します。
http://www.danceviewtimes.com/2009/12/neumeiers-new-orpheus.html

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マリインスキーのレポート、なかなか追いつかないのですが、ガラ1日目の感想は少し書き足しましたので、よろしかったらどうぞ。本当に遅筆ですみません。

2009/12/14

オーストラリア・バレエ「白鳥の湖」DVD/新国立劇場「ドン・キホーテ」DVD

2007年の来日公演では大評判を呼び、来年予定されている来日公演でも上演される予定のオーストラリア・バレエの「白鳥の湖」(グレアム・マーフィー振付)がDVD化され、すでに発売になっていました。

Graeme Murphy’s Swan Lake
http://www.australianballet.com.au/main.taf?p=8,1

キャストは、今年の世界バレエフェスティバルにも出演したロバート・カラン、前回の来日公演でオデットを踊ったマデリン・イーストー、そして若手プリンシパルのダニエル・ロウです。収録時にはルシンダ・ダンは産休中だったんでしょうね。

アマゾンでの扱いは今のところありませんが、日本のネットショップでも扱っているところがありますね。またオーストラリア・バレエのオフィシャルサイトからも購入できます。

英国王室のダイアナ妃とチャールズ皇太子の物語をモチーフにした「白鳥の湖」は、とても面白い読み替えでプロダクションデザインも面白かったので、ぜひ映像でも観てみたいと思っていました。また、この作品のメイキングと英国ツアーのドキュメンタリーである「On The Wings of a Swan」もオーストラリア・バレエのオフィシャルで扱っています。こちらのDVDは、オーストラリア・バレエのサイトから買って観たのですが、とても面白かったです。

******
また、新国立劇場バレエ団がザハロワとウヴァーロフを迎えて上演した「ドン・キホーテ」が既報の通りDVD化され、2010年1月下旬に発売されるとのことです。12月20日より新国立劇場のシアターショップにて予約開始されるとのこと。

http://www.theatreshop.jp/?pid=17782416

Vol.3『ドン・キホーテ』 2010年1月下旬発売! 『新国立劇場バレエ団』の夢の舞台第3弾!

*2009年今シーズンオープニング公演【ドン・キホーテ】の全幕ライブを完全収録・特典映像や解説BOOKも充実!

*待望のハイビジョンカメラで収録!
16:9画面でより迫力ある映像を楽しめます。

*ザハロワの舞台稽古を大公開!
肉声もたっぷり収録し、撮りおろしの貴重な特典映像が満載です。


■DVD■
本編 全3幕(約120分)2009年10月12・14日収録
DVD画面 16:9
振付:プティパ/ ゴルスキー
作曲:ミンクス
改訂振付:ファジェーチェフ
芸術監督:牧阿佐美
主演:スヴェトラーナ・ザハロワ
   アンドレイ・ウヴァーロフ
【特典映像】新国立バレエ団メイキング『ドン・キホーテ』(約28分)
●ドキュメント 舞台稽古
●ザハロワ&ウヴァーロフ 特別インタビュー
●バックステージ・ツアー:本島美和 マイレン・トレウバエフ 八幡顕光
 

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また、ご予約頂いたアトレ会員様の中から抽選で
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■ご予約に関して
こちらの商品は12月20日よりご予約開始となります。
いましばらくお待ちくださいませ。

ハイビジョンカメラで撮影したとのことで、前2作品の映像よりは画質が改善されていることを期待したいです。せっかくの素晴らしい公演が、ひどい画質で台無しになっていましたから。

でも、バックステージの案内がマイレンということなので、それはもちろん超楽しみです!

12/10 マリインスキー・バレエ「オールスター・ガラ」(まだ途中)

2009年12月10日(木) 19:00~21:55
オールスター・ガラ

≪シェエラザード≫ [45分] Scheherazade
音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ/振付:ミハイル・フォーキン
振付復元:イザベル・フォーキン,アンドリス・リエパ
装置・衣裳:アンナ・ネジナヤ,アナートリー・ネジニー
シャリヤール王 : ソスラン・クラーエフ
王の弟 : カレン・ヨアンニシアン
宦官長 : ロマン・スクリプキン
ゾベイダ : ウリヤーナ・ロパートキナ Uliana Lopatkina
黄金の奴隷 : ダニーラ・コルスンツェフ Danila Korsuntsev
オダリスク : アナスタシア・ペトゥシコーワ
       : エフゲーニヤ・ドルマトーワ
       : リュー・チヨン

19時開演は、職場から上野まで遠い私は本当に助かる。ある程度は余裕を持って劇場につけるので、最初からリラックスして見られるし。でも、今回のマリインスキー来日の東京公演は何でこんなに平日ばかりなのだろうか。絶対に動員に影響していると思うのだけど…。平日に18時半なり19時に上野に行ける人ばかりとは限らないし、子供連れにもきついと思うし、地方から来る人もいるんだし。

最初マリインスキーの今回の来日公演が発表された時には、「フォーキン・プロ」を上演するとのことで、大喜びしたものだった。「シェヘラザード」が大好きで、去年の4月のマリインスキーのNY公演でフォーキン・プロを上演したので、NYまで観に行って大満足したのだ。それが一転オールスターガラとなってがっかりしたのだが、「シェヘラザード」を上演してくれるというので、本当に嬉しかった。しかも、パ・ド・ドゥではなく、ちゃんと脇のダンサーもつけて、舞台装置も持ち込んで全部やってくれたというのが素晴らしい。が、最大の問題はオーケストラ。オーバーチュアも演奏してくれるのはいいのだが、いきなりここでの演奏がへたっていて萎える。

ロパートキナのゾベイダは、華奢な身体もしなやかでとても艶やか、美しくセクシーなのだけど、王に愛されていてもとても淋しそうで空虚感が漂い、籠の鳥のよう。宦官長を買収して奴隷の部屋の鍵を手に入れるときには、悲壮感というか、もう彼を出してもらわないと死んでしまうわ、という切迫感があるようだった。とても高貴でクールそうに見えても、その中には愛に飢えている小さな女の子がいるようだった。鍵を開け、鍵の束を宦官長に投げ返すところが本当に嬉しそうで。

解放されて飛び出してきたダニーラ・コルスンツェフの黄金の奴隷。今まで、王子などのノーブルな役での彼しか観てこなかったからだけど、上半身の逞しさと顔の小ささにびっくり。うわ~意外とセクシーじゃない?、と思ったのだけど、ゾベイダを見る目が子犬のようで・・・(この日観た友達がみんな、ダニーラはワンコのようだったと言っていて)。でも、その熱すぎる真摯なまなざしは、真剣にゾベイダを愛しているのが直球で伝わってきて、思わず胸が熱くなる。ゾベイダの足元に立派な体躯の奴隷が身を投げ出して、彼女の足にまとわりつく姿・・・うーん切ない。おずおずと女王様の身体に手を触れるときの遠慮がちな様子も切ない。

そんな純情一途な奴隷の姿を見て、ゾベイダの心が一気に燃え上がり、官能の青い炎が立ち上る。あくまでも女主人と奴隷という立場を踏まえてリードしつつも、時に自制心が崩れて思わず快楽に身をゆだねて身をくねらせるゾベイダの姿は、サディスティックでありながらも抑えきれない欲望が漏れて来て大変エロいことに。折り重なる二人の姿は、いけないことをしているという感じがよく出ていて、すごく妖しくてエロティックだった。

アダージオから一転アップテンポになって、二人がシンクロして踊る時の前アティチュードにした脚の角度がぴったりと揃っているところにゾクゾクした。二人の気持ちが一つになっているんだな、と。華奢なロパートキナを包み込むような大柄なダニーラには、包容力が感じられ、ここでも女王様でありながらも心の中に小さな女の子を抱えているゾベイダの心境、一瞬の刹那の幸せが見えてくるようだった。

ダニーラはあの長身と大きな体躯なのに、ジュッテの後ろ足も高くて美しいし、着地の音も見事に消していた。ランベルセをするときの柔らかさも素敵だし、長い腕と立派な上腕筋も美しい。難を言えば、奴隷役を演じていて、力強い踊りを見せていても、やっぱり彼は貴公子的であるということ。奴隷たちの群舞を引きつれて先頭で踊っても、若い彼らと比較してパワーでも劣っていないし大きいので迫力がある。だけど、ひときわ踊りが美しくエレガントなので、彼はもともとの出自は高貴なものだったのかしら、と思ってしまった。そういう被虐的な設定だとますますこちらとしては萌えるわけだけど。

狂乱の宴が最高潮となり、ゾベイダが階段の上から奴隷へと腕を差し出しもう一度、という最高にセクシャルな瞬間が到来しようととき。シャリアール王が弟と共に帰ってきて、ハーレムは一転して大殺戮が繰り広げられる。後宮の人々が無残にも皆殺しにされ、黄金の奴隷も斃れる。一人残されたゾベイダは、甘えるように命乞いをして、肢体を王に色っぽく絡ませる。が、それはただ命乞いをするふりをしただけのもの。隙を見て彼から短刀を奪い、一思いに突き刺して自害。その時の彼女の表情には、お気に入りの奴隷を失って再び籠の鳥として生きることには意味は無い、というため息と厭世感が、誇り高さと共に感じられた。ゾベイダは黄金の奴隷を本気で愛していたわけではない。だけど、彼は彼女の自由と矜持の象徴だったのではないか、それを失ってしまったからには、もう生きることには何の価値も無いと感じさせたロパートキナのアプローチだった。


≪ジゼル≫ 第2幕のパ・ド・ドゥ [9分] Giselle
音楽:アドルフ・アダン/振付:ジュール・ペロー,ジャン・コラーリ,マリウス・プティパ
アリーナ・ソーモワ  ミハイル・ロブーヒン Alina Somova Mikhail Lobukhin

コレゴワの代役でソーモワがジゼル役に。彼女はこの役を踊ったことがあるのかしら?ウィリの役なので、メイクも抑え目で、踊りの方も丁寧に踊ろうとしているのはよく伝わってきた。でも、長すぎる手脚をコントロールするのに苦労していた模様。それから、どうも彼女の首の動きが気になってしまった。ジゼル2幕なのに首を上げすぎていたと思う。ジゼルは首から背中へかけてのラインがとても大事なのに。ロブーヒンも普段アルブレヒトを踊っているのかなあ。当初は「タリスマン」に出演予定だったけどオスモルキナの降板で「ジゼル」出演となったわけで。彼はやっぱり、力強い役は似合うけど、貴公子キャラではないのだよね。テクニックはあるので、ヴァリエーションの時の跳躍の高さには目を見張ったけど、アルブレヒトではなかった。いずれにしても、珍しいものが観られたということで。

≪グラン・パ・クラシック≫ [11分] Grand Pas Classique
音楽:ダニエル・オーベール/振付:ヴィクトール・グゾフスキー
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ  マクシム・ジュージン Evgenia Obraztsova Maxim Zyuzin

叙情的で愛らしいオブラスツォーワが「グラン・パ・クラシック」を踊るというのも、珍しい機会。「グラン・パ・クラシック」といえばテリョーシキナの強靭なテクニックが印象的だったからだ。で、ジェーニャはあまり調子が良くなかったのか、ピルエットの軸はずれるし、バロネのところも鉄壁ではなかったけど、笑顔で乗り切ったところは良かった。マキシム・ジューシンもテクニックがすごく強い、ってわけではないと思うけど、爽やかな若者で、ビジュアル的にジェーニャとのバランスが良い。つま先もポール・ド・ブラもとても美しく、きちんと教育されたダンサーだなっていうのがよくわかる。アントルシャ・シスも綺麗だった。彼の将来はすごく期待できそう。

それから音楽のアレンジがとても妙で、これではダンサーは踊りにくかろう、と心底気の毒に思いました。

≪シンデレラ≫ 第2幕のパ・ド・ドゥ [8分] Cinderella
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/振付:アレクセイ・ラトマンスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ  イーゴリ・コールプ Diana Vishneva Igor Kolb

ラトマンスキーの「シンデレラ」はヴィシニョーワが初演キャストだったそうで、ここでようやく役に合ったダンサーの演目を観ることができたとしみじみ。このシーンは、舞踏会にやってきたシンデレラが王子と出会うところなのだけど、最初からヴィシニョーワがゴージャスで美しさで光り輝き、女王様の風格。チュチュではなくてドレスなので、ちょっとだけヌレエフ版の「シンデレラ」のようだった。そして彼女の驚異の身体能力!コンテンポラリー要素の強いエッジの効いたパをやすやすと軟体動物のように踊り、自由奔放なシンデレラを演じて見せた。かと思ったら、シンデレラが帰らなくてはならない時間を気にして、舞踏会の客人たちに「今何時?」とちょっと焦りながら聞いて回っているところはコケティッシュで可愛らしい。盛装した美男美女の中で一人白いタキシード姿のコールプ、立ち姿は美しいんだけどやっぱりちょっと異様さがある。でも、彼のサポートは本当に上手くって、あのサポートがあるから、ヴィシニョーワが自由自在にしなやかに動き回れるんだな、と思った。二人の交わす視線は甘く、会話が聞こえてきそう。ラストのマイムの意味はよくわからなかったけど、その中に込められた想いは伝わってきた。

≪瀕死の白鳥≫ [4分] Dying Swan
音楽:カミーユ・サン=サーンス/振付:ミハイル・フォーキン
ウリヤーナ・ロパートキナ Uliana Lopatkina

ロパートキナの「瀕死の白鳥」は、至高のもの。漣のように滑らかなパ・ド・ブレ、白い翼は傷つきながらも天に向かって羽ばたく。誇り高く孤独な白鳥は苦闘し、さまざまな感情を昇華させながら、やがて死を受け入れ、ため息をついて永遠の眠りにつく。4分間が永遠の時のように思えた。ロパートキナの顔と胸の角度が絶妙で、白鳥の化身である彼女の強い意志と高潔な魂を感じさせた。

≪タランテラ≫ [7分] Tarantella
音楽:ルイス・モロー・ガチョーク/編曲:ハーシー・ケイ/振付:ジョージ・バランシン
ヴィクトリア・テリョーシキナ  レオニード・サラファーノフ Viktoria Tereshikina Leonid Sarafanov
ピアノ・ソロ:リュドミラ・スヴェシニコワ

「タランテラ」は、身体能力と音楽性にすぐれた、どちらかといえば小柄なダンサーがきびきびと踊るイメージの強い演目。サラファーノフもテリョーシキナも大柄なわけではないけど、手足が長くて細くて、いかにもロシア的なダンサーなので、バランシンの「タランテラ」という感じはしなかった。でも、この二人はやっぱり凄いダンサーだ。ロシアン・アカデミックでしなやかで、こんなに身体が動くの?という凄いテクニックを見せてくれた。高く脚を蹴り上げて、頭上に掲げたタンバリンを足で打つサラファーノフ、得意のプレパレーションなしの連続トゥールザンレールもたっぷりと見せてくれた。テリョーシキナの長い脚でのエシャッペのきれいなこと。なによりも、二人ともとっても楽しそうで、客席とコミュニケーションを取りながらノリノリで踊ってくれたのが嬉しい。サラファーノフは客の乗せ方も上手くて、場内には手拍子が響き渡った。これを観て、この二人が好きになった人もたくさんいるのでは?

≪海賊≫ 組曲 [35分] Le Coisaire Suite
華やぎの国~メドーラのヴァリエーション~オダリスク~パ・ダクション~コーダ
音楽:アドルフ・アダン,ほか/振付:ピョートル・グーセフ
装置:テイムラス・ムルヴァニーゼ (補佐:ミハイル・シシリヤンニコフ)
衣裳:ガリーナ・ソロヴィヨーワ
メドーラ : アリーナ・ソーモワ Alina Somova
コンラッド : エフゲニー・イワンチェンコ Evgeny Ivanchenko
アリ : ウラジーミル・シクリャローフ Vladimir Shklyarov
ギュリナーラ : エフゲーニヤ・オブラスツォーワ Evgenia Obraztsova
オダリスク : マリーヤ・シリンキナ Maria Shrinkina
: ヤナ・セーリナ Yana Selina
: エリザヴェータ・チェプラソワ Elizaveta Cheprasova

指揮 : パーヴェル・ブベリニコフ 管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

2009/12/13

大晦日放映のマリインスキー「ラ・バヤデール」「パキータ」のキャスト

マリインスキー・バレエの今年の大晦日公演「プティパへのオマージュ」は、ARTEで生中継されます。

指揮はヴァレリー・ゲルギエフで、「ラ・バヤデール」の影の王国と、「パキータ」のグラン・パです。

マリインスキーのオフィシャルでキャストが発表されていました。

http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/12/31/1_1900/

The Kingdom of Shades scene from the ballet La Bayadère 「ラ・バヤデール」影の王国

Nikia: Viktoria Tereshkina ニキヤ ヴィクトリア・テリョーシキナ
Solor: Leonid Sarafanov ソロル レオニード・サラファーノフ
Shades: Irina Golub, Yana Selina, Oksana Skorik 影のヴァリエーション イリーナ・ゴルプ、ヤナ・セーリナ、オクサーナ・スコリク

Grand pas from the ballet Paquita 「パキータ」よりグラン・パ

Soloists: Alina Somova and Danila Korsuntsev アリーナ・ソーモワ、ダニーラ・コルスンツェフ
Variations: Yana Selina, Yekaterina Kondaurova, Valeria Martynyuk, Maria Shirinkina, Anastasia Matvienko ヤナ・セーリナ、エカテリーナ・コンダウーロワ、ヴァレリア・マルテュニュク、マリア・シリンキナ、アナスタシア・マトヴィエンコ

というわけで、今回の来日公演で活躍したメンバーが中心になっています。ヴィシニョーワやロパートキナというスーパースターではなく、その次の世代がメーンキャストなのですね。以前NYで観た時にイワンチェンコのソロルがすごくカッコよかったので、なんとなくソロルはサラファーノフより彼の方がいいかな、とも思いますが、サラファーノフはやっぱり今伸び盛りですからね。

影のヴァリエーションには、オクサーナ・スコリクが抜擢されています。彼女は近いうちに昇進するでしょうね。

2007年の大晦日のコンサートは「New Year's Eve in St. Petersburg 」と題してDVD化されましたが、今回もDVDになるといいなあ。(私の感想はこちら

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2009/12/12

黄金のマスク賞に「イワンと仔馬」ノミネート Little Humpbacked Horse nominated for the Golden Mask Prize

マリインスキー祭りが終わって、さすがに3日連続は疲れました。今日は一日中寝てしまって、天気も良かったのに洗濯くらいしかできませんでした。コメントへのお返事が遅れていて申し訳ありません・・・。これからお返事&感想の続きを書きます。

さて、早速ですが、マリインスキー劇場のオフィシャルサイトに、権威ある黄金のマスク賞のノミネートのお知らせが載っていました。バレエに関しては、すべて「イワンと仔馬」関連です。ボリショイ劇場のサイトには、まだ黄金のマスク関連のお知らせは載っていませんでした。

http://www.mariinsky.ru/en/news1/news1/11_december

The ballet The Little Humpbacked Horse to music by Rodion Shchedrin received five nominations: “Best work by a choreographer” (Alexei Ratmansky), “Best work by a designer for musical theatre” (Maxim Isaev), “Best female role in ballet” (Alina Somova as the Tsar Maiden), “Best male role in ballet” (Leonid Sarafanov as Ivan the Fool) and lastly the nomination for “Best ballet production”.

ノミネート 5部門
振付家賞 アレクセイ・ラトマンスキー
美術賞 マキシム・イサエフ
最優秀女性バレエダンサー アリーナ・ソーモワ
最優秀男性バレエダンサー レオニード・サラファーノフ
最優秀バレエプロダクション 「イワンと仔馬」

結果は2010年4月16日に発表されます。その前に黄金のマスクフェスティバルが開かれ、マリインスキー・バレエも出演します。3月2日、3日が「イワンと仔馬」、4日が「スコッチ・シンフォニー」「イン・ザ・ナイト」「テーマとヴァリーション」のトリプルビルです。

ハンブルク・バレエ「オルフェウス」/台湾ガラの「椿姫」シアラヴォラとリアブコ

ハンブルク・バレエのオフィシャルYouTubeチャンネルで、「オルフェウス」の映像が3分弱ですがアップされています。これはぜひ見てみたい!って思う映像ですね。

http://www.youtube.com/watch?v=aTLIrfZ33HA

それから、8月に開催された台湾でのガラ2009 3rd International Ballet Star Gala in Taipei のYouTubeチャンネルで、ガラの映像がいろいろアップされています。すべて、出演者の許可を得てアップされたものです。

イザベル・シアラヴォラとアレクサンドル・リアブコの「椿姫」黒のパ・ド・ドゥ

http://www.youtube.com/watch?v=bN5Vm0lXisM

ケネス・マクミラン生誕80周年を記念したマクミラン公式サイトKenneth MacMillan website

マリインスキー祭りもついに終わってしまって、本当に今日の公演はものすごく楽しかったのですが、同時に寂しい気持ちです。これでもう今年もほとんど終わってしまったな、と。年末も特にどこへも出かける予定もなく、バレエの予定も3回を残すのみです。(ギエム&アクラム・カーン、YAGPガラ、新国立くるみ@マイレン、もしかしたら小林のくるみも行くかも・・)

今日はカーテンコールに出演者全員が出てきてくれて、盛り上がりました。次の来日は2012年だそうです。3年後と考えるとずいぶん先という気もしますが、来年はボリショイ・マリインスキーの合同ガラがあるので、それを楽しみにするとします。。昨日と今日のガラの感想はこの週末に書く予定です。


さて、1929年12月11日に生まれたケネス・マクミランは、生きていれば11日が80歳の誕生日でした。ちょうどこの12月11日、シュツットガルト・バレエでは、マクミランの作品「大地の歌」「レクイエム」が上演されています。

そして、生誕80周年を記念して、マクミラン財団がマクミランの公式サイトを本格オープンさせました。

http://www.kennethmacmillan.com/

彼の全作品(90作品以上)の初演キャスト、写真、詳細な解説をはじめ、動画(「マイヤリング(うたかたの恋)」のメイキングを追った1978年の番組「サウス・バンク・ショー」、リン・シーモアらが「ロミオとジュリエット」の指導をタマラ・ロホとエドワード・ワトソンに行っている様子、「ジューダス・ツリー」や「グロリア」「マノン」の舞台映像など)や写真もたくさん掲載されています。また、クレメント・クリスプ氏によるマクミランのインタビューや49ページにもわたる作品評、ノーテーション(舞踊譜)や衣装、美術などの研究資料も。今後は、マクミランの肉声インタビューなども掲載される予定とのことです。

このサイトでは、最近出版された彼の伝記「Different Drummer」の抜粋も読むことができます。700ページという大長編のこの本、今読んでいる最中なのですが、非常に面白いです。極貧の家に生まれ、愛する母を早くに亡くし家に居場所のない少年。第二次世界大戦を潜り抜けた彼が、いかにしてバレエに出会い、バレエダンサーになり将来を嘱望されるも、やがて舞台恐怖症から振付家に転向していくところまで読んだところです。ニネット・ド・ヴァロワ、ジョン・クランコ、フレデリック・アシュトンらとの出会いや交流についても書かれていて、英国のバレエの歴史そのものを知る上でも興味深いです。また、少年時代のさまざまなトラウマや葛藤がいかに作品に反映されていったかもわかります。

Different Drummer: The Life of Kenneth MacmillanDifferent Drummer: The Life of Kenneth Macmillan

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シュツットガルト・バレエ「オネーギン」のキャスト Stuttgart Ballet Onegin Cast for Xmas and January

シュツットガルト・バレエ「オネーギン」の12月、1月のキャストがようやく出ました。

12月25日マチネにエヴァン・マッキー、1月14日にニコライ・ゴドノフがオネーギン役デビューです。ミリアム・サイモンがタチアナ・デビュー、そしてウィリアム・ムーアがレンスキー・デビュー、アレクサンダー・ジョーンズがグレーミン・デビューと若手キャストの抜擢が続きます。
エヴァンはオネーギンを踊ったすぐ後にレンスキー役もやるんですね~。

12/25 14.00-16.30
Onegin

Ballett in drei Akten nach Alexander Puschkin

Onegin Evan McKie
Lenski William Moore
Tatjana Myriam Simon
Olga Hyo-Jung Kang
Fürst Gremin Alexander Jones


12/25 19.00-21.30
Onegin

Onegin Filip Barankiewicz
Lenski Alexander Zaitsev
Tatjana Maria Eichwald
Olga Elizabeth Mason
Fürst Gremin Damiano Pettenella


1/12 19.00-21.30
Onegin

Onegin Evan McKie
Lenski William Moore
Tatjana Myriam Simon
Olga Hyo-Jung Kang
Fürst Gremin Alexander Jones


1/14 19.00-21.30
Onegin

Onegin Nikolay Godunov
Lenski Evan McKie
Tatjana Alicia Amatriain
Olga Laura O Malley
Fürst Gremin Roland Havlica


1/23 19.00-21.30
Onegin

Onegin Nikolay Godunov
Lenski Evan McKie
Tatjana Alicia Amatriain
Olga Laura O Malley
Fürst Gremin Roland Havlica

2009/12/11

12/10 マリインスキー・バレエ「オールスターガラ」(まだこれから)

色々とやることがたまってしまって、今日感想を書く余裕が無いので、取り急ぎキャストのみ。

今日もとっても楽しくて、豪華で最高でした。難を言えば、オーケストラが全然ダメ(特に「シェヘラザード」と「シンデレラ」は酷かった。。。特に「シェヘラザード」は金管の酷さに泣きたくなった)だったのと、上演順は「海賊」が先で「シェヘラザード」を最後に持っていったほうが盛り上がったのでは、というところでしょうか。あとはほとんど満足です。あ、「海賊」のラストで幕が下りるのが早すぎてせっかくの決めポーズが見られませんでした!ってことで、ダンサーはみんな素晴らしかったです。

ソーモワのジゼルはちょっと微妙でしたが(柔らかすぎるのと、首の使い方がちょっと変)、メドーラの方は今までの悪い癖がなくなっていてとても良かったと思います。メイクなども今までより落ち着いていて、可愛らしかったし。

「シェヘラザード」、ダニーラ・コルスンツェフの黄金の奴隷、セクシーさは低めだけれども、一途で忠実な奴隷で、女主人を見つめる熱いまなざしがとても素敵でした。ノーブルな役が多い人ですが、あの衣装を着ると、実は非常にたくましい上半身の持ち主で、顔がとても小さく腕が長く、非現実的なくらい素晴らしい体型だと惚れ惚れしました。大柄なのに着地音も少なく、ジュッテがものすごく綺麗でした。ロパートキナはとても色っぽかったけど、でも去年のNYでコズロフ相手に踊った時の方がエロエロ度は上で、今回はもう少し自制心があったような。

それから「タランテラ」のテリョーシキナとサラファーノフが凄かったです。これがバランシンか?と聞かれると違うような気もしますが、二人とも弾けていて、実に楽しそうに踊っていました。サラファーノフが頭上に掲げたタンバリンを、バットマンで足先で打ちつけいていたのに驚きました。エシャッペしてポアントのままプリエする独特の振付でのテリョーシキナの脚がまた凄かったです。この人たちの身体能力、しなやかさ、ありえないくらい凄すぎ!それから、「タランテラ」はリュドミラ・スヴェシニコワさんのピアノがすごくカッコよかったです。

明日がマリインスキー祭りの最終日。大変でしたが、楽しかったです。あと一日、頑張ります~


2009年12月10日(木) 19:00~21:55
オールスター・ガラ

≪シェエラザード≫ [45分]
音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ/振付:ミハイル・フォーキン
振付復元:イザベル・フォーキン,アンドリス・リエパ
装置・衣裳:アンナ・ネジナヤ,アナートリー・ネジニー
シャリヤール王 : ソスラン・クラーエフ
王の弟 : カレン・ヨアンニシアン
宦官長 : ロマン・スクリプキン
ゾベイダ : ウリヤーナ・ロパートキナ
黄金の奴隷 : ダニーラ・コルスンツェフ
オダリスク : アナスタシア・ペトゥシコーワ
       : エフゲーニヤ・ドルマトーワ
       : リュー・チヨン

≪ジゼル≫ 第2幕のパ・ド・ドゥ [9分]
音楽:アドルフ・アダン/振付:ジュール・ペロー,ジャン・コラーリ,マリウス・プティパ
アリーナ・ソーモワ  ミハイル・ロブーヒン

≪グラン・パ・クラシック≫ [11分]
音楽:ダニエル・オーベール/振付:ヴィクトール・グゾフスキー
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ  マクシム・ジュージン

≪シンデレラ≫ 第2幕のパ・ド・ドゥ [8分]
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ/振付:アレクセイ・ラトマンスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ  イーゴリ・コールプ

≪瀕死の白鳥≫ [4分]
音楽:カミーユ・サン=サーンス/振付:ミハイル・フォーキン
ウリヤーナ・ロパートキナ

≪タランテラ≫ [7分]
音楽:ルイス・モロー・ガチョーク/編曲:ハーシー・ケイ/振付:ジョージ・バランシン
ヴィクトリア・テリョーシキナ  レオニード・サラファーノフ
ピアノ・ソロ:リュドミラ・スヴェシニコワ

≪海賊≫ 組曲 [35分]
華やぎの国~メドーラのヴァリエーション~オダリスク~パ・ダクション~コーダ
音楽:アドルフ・アダン,ほか/振付:ピョートル・グーセフ
装置:テイムラス・ムルヴァニーゼ (補佐:ミハイル・シシリヤンニコフ)
衣裳:ガリーナ・ソロヴィヨーワ
メドーラ : アリーナ・ソーモワ
コンラッド : エフゲニー・イワンチェンコ
アリ : ウラジーミル・シクリャローフ
ギュリナーラ : エフゲーニヤ・オブラスツォーワ
オダリスク : マリーヤ・シリンキナ
: ヤナ・セーリナ
: エリザヴェータ・チェプラソワ

指揮 : パーヴェル・ブベリニコフ 管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

パリ・オペラ座2010年2月「椿姫」プレキャスト La Dame aux Camelias POB

パリ・オペラ座で来年2月に再演されるノイマイヤーの「椿姫」プレキャストがダンソマニさんに出ていました。

Pré-distributions, sans aucune garantie :

Marguerite : Ciaravola ou Dupont ou Letestu ou Moussin ou Osta

Armand Duval : Ganio ou Pech ou Bullion ou Paquette ou (Jiri?) Bubenicek

Duval père : Denard ou Klemm, remp. Saïz

Nanine : Villagrassa ou Reichert

Le Duc : Novis

Prudence : Gilbert ou Hurel ou Pagliero ou Zusperreguy, remp. Mallem

Olympie : Grinsztajn ou Ould-Braham ou Froustey ou Muret, remp. Gernez

Manon : Ciaravola ou Gilbert ou Moussin ou Grinsztajn, remp. Pagliero

Des Grieux : Bélingard ou Heymann ou Martinez ou Duquenne, remp. Magnenet

Gaston Rieux : Duquenne ou Chaillet ou Hoffalt ou Paul, remp. Saïz

アルマン役にゲストでイリ・ブベニチェク(ドレスデン・バレエ)が予定されています。(?マークなのは、姓のみ発表されていると言うことなのでしょうね。オットー・ブベニチェクということは無いと思いますが)
オペラ座で「椿姫」が初演された時も、イリは急遽代役でアルマン役として、アニエス・ルテステュと踊っていました。今回も、エルヴェ・モローの出演が予定されていないようなので、キャスティングされたのですね。

それ以外は前回とあまり変わりませんが(マルグリットからエレオノーラ・アッバニャ-トが抜けたくらい)、カール・パケットがアルマンデビュー、マノンの代役にリュドミラ・パリエロが入ったのが昇進効果、って感じですね。デ・グリューの代役にフロリアン・マニュネ。そしてアルマンの父とガストンの代役には、ヤン・サイズです。
ガストン役からカール・パケットが抜けて、ヴァンサン・シャイエ、ジョシュア・オファルトが入っているのも昇進効果ですね。

2009/12/10

12/9 マリインスキー・バレエ イワンと仔馬  Mariinsky Ballet Little Humpbacked Horse

ものすごーく面白かったし楽しかったです。でも、疲れた~。これでも、「眠り」は1回しか行かなかったし、昨日のゲルギエフ指揮のほうの「イワンと仔馬」は行かなかったのに、あと2日連続で上野通いがあるかと思うと、自分の体力の無さを思い知らされるというか。仕事しながら連日上野通いは辛い・・・上野から家が遠いというのもあるんだけど。ジャパンアーツのブログでは、連日サイン会のレポートもアップされていていいなあ、って思うんだけどとても並ぶ元気がありません。踊った後で遅くまでサイン会をやるダンサーたち、大変だわ。

「せむしの仔馬」の物語は、ロシア人なら誰でも知っているおとぎ話なのだそうです。もう今回で日本公演は終わりだけど、一応ストーリーはプログラムなどで予習して行ったほうがいいかもしれません。

追記:ジャパンアーツのブログで、写真入りのあらすじがあります。9日のキャストとほぼ同じダンサーによる写真も。
http://ja-ballet.seesaa.net/article/123612954.html

キッチュでロシア的な衣装や装置がキュートでなんとも和みます。王様の冠はサンタさんの帽子のようだし、馬たちの、馬を模したステップや手つきがかわいい。なんといっても、仔馬のキュートなことといったら!去年マリインスキーに入団したばかりのイリヤ・ペトロフは、幼さの残る顔立ちと素朴さが本当に仔馬みたいで、華奢で微笑ましいことといったら、もう!軽やかですばしっこくて愛らしくて、ペットにしたいくらい。イワンと仔馬が並んで一緒に跳躍しながら横切ったりマネージュするところは、さすがにペトロフはロブーヒンに負けているところもあったけど、でもこの二人が並んで跳ぶところには、胸がすくような爽快感とワクワク感がありました。

原色を多用してポップな中にも、ちょっとグロテスクだったりシュールだったりするデザインが紛れ込んでくるところが、子供向けの作品とは一線を画しています。大きな月に模様が浮かび上がったり、ジプシーたちがでっかく顔をプリントしたシャツを着ていたり、海の精たちが胸のところに自分の顔を逆さまにプリントした服を着ていたりと、考えてみると悪夢に出てきそうなくらい不気味だったりします。大体、海の底に住んでいる精たちは白塗りにスイムキャップをかぶっていて、まるで暗黒舞踏のようだったりするし。怪しい集団があちこちに出てきて笑えました。

ラトマンスキーの振付って、他の現代振付家とはちょっと違っていて、力強いところと軽やかなところが同居していたり、民族性が濃厚に出ていたり、でも音楽性も豊かで面白いんです。

前回の来日公演では「白鳥の湖」で道化を踊っていたアンドレイ・イワーノフが王様役。本当に絵本から抜け出たようなこれまたちっちゃくてバカで可愛い王様で、落書きしたようなメイクしているし。確かに姫君に言い寄ったり、ちょっとエロ爺な王様だけど憎めない感じで、熱湯の中で死んでしまうほど悪い人には見えなかったような。でもその死にっぷりも絵になっていました。死んでいる人を指して言うのも不謹慎ですが、その姿にはおなかを抱えて笑いそうになっちゃいました。イワーノフの演技がもう達者で、可愛くて助平で面白い!それからずる賢い侍従のバイムラードフは、あのカッコいいスペインとも、妖しいカラボスともまた違った、なんともクネクネしていて笑える小悪党を演じていて爆笑モノ!帽子を取られてあっけに取られる表情からは思わず台詞が聞こえてきそう。彼の表情の変化を見ているだけでも飽きないのに、身体の動きもすごいことになっていて、一つ一つの身体のパーツのあまりの雄弁さにあっけに取られるほどでした。

もちろんテリョーシキナが素晴らしかったのはいうまでもありません。お姫様だし、可愛いところもあるんだけど生まれ持った高貴さで輝いているし、王様のところに来てからのアンニュイぶりや、王様を拒絶してイワンと仲良くしようとするイタズラな表情はちょっと色っぽい。彼女はラインが美しいだけでなく、柳のようにしなやかな身体を持っていて、特にランベルセの綺麗なこと。しなやかなんだけど、くにゃっとしなくて凛としているのが彼女の素敵なところです。

イワン役のロブーヒンは、最初はちょっとおバカな感じで純朴なところが、キャラクターによく合っていました。豪快な持ち味の人だと思うんだけど、前回の来日や合同ガラのときよりも踊りが丁寧になっていました。1幕の(間に小さなプレパレーションが入るものの)6回連続トゥール・ザン・レールも決まっていたし、特に最後の方の鬼のような連続ブリゼ・ボレでもすごくよく身体が動いていて、つま先も綺麗でした。王子様に変身するところが面白くって、熱湯の中に入ったかと思ったら、めちゃめちゃわかりやすく堂々と着替えているんですよね~。水槽の前で踊ってごまかそうとする仔馬がまた可愛くって。ラストのソロの前に、イワンが「やるの?本当にやっていいの?」って姫君に確認してから「じゃあ、やっちゃうね」って踊りだすのが、なんともほほえましくて。そして二人のパ・ド・ドゥはとてもロマンティックでスウィートでした。

エカテリーナ・コンダウローワは、雌馬の時のエルフのような大きな耳もセクシーでキュートだったし、海の女王での、その場を支配するゴージャスでクールな美しさもさすが。大柄なのに、踊りは丁寧で柔らかくて、存在感たっぷり。

ジプシーの中に、「白鳥の湖」のスペインでラテン系の色男ぶりが印象的だったカレン・ヨアンニシアンがいました。あの奇抜な衣装を着ていても、エキゾチックな美しさは相変わらず。ジプシー軍団は女性ダンサーたちも、エレーナ・バジェノワヤポリーナ・ラッサーディナ、リュー・チヨンといったプリンシパル・キャラクター・アーティストを投入していて、みんなとっても艶やかで官能的でした。(なのに、あの顔プリントシャツ・・・)

他愛も無いストーリーと言えばそこまでなのですが、カラフルでおもちゃ箱をひっくり返したような多彩さが楽しくて、あっというまの2時間でした!マリインスキー管弦楽団の演奏も、厚みがあって色彩豊かで良かったです。ものすごくノッていました。大団円で楽しく終わった後、幕の中から出演者たちの歓声が聞こえてきたのも嬉しい余韻でした。

2009年12月9日(水) 19:00~21:20
イ ワ ン と 仔 馬 全2幕
音楽 : ロジオン・シチェドリン
振付 : アレクセイ・ラトマンスキー (2009年)
台本 : マクシム・イサーエフ
音楽監督 : ワレリー・ゲルギエフ
装置・衣裳 : マクシム・イサーエフ
照明 : ダミール・イスマギロフ
指揮 : アレクセイ・レプニコフ
管弦楽 : マリインスキー歌劇場管弦楽団

≪出演≫
姫君 : ヴィクトリア・テリョーシキナ
イワン / 皇子 : ミハイル・ロブーヒン
仔馬 : イリヤ・ペトロフ
侍従 : イスロム・バイムラードフ
皇帝 : アンドレイ・イワーノフ
父親 : ロマン・スクリプキン
雌馬 / 海の女王 : エカテリーナ・コンダウーロワ
大きな馬たち : アンドレイ・エルマコフ/ カミーリ・ヤングラゾフ
ダニーロ : ソスラン・クラーエフ
ガヴリーロ : マクシム・ジュージン
娘たち : ヤナ・セーリナ/エカテリーナ・イワンニコワ/クセーニャ・ロマショワ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エリザヴェータ・チェプラソワ/オリガ・ミーニナ
ジプシーたち : ラファエル・ムーシン/フョードル・ムラショーフ/カレン・ヨアンニシアン/エレーナ・バジェーノワ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/ポリーナ・ラッサーディナ/リュー・チヨン/アリサ・ソコロワ

2009/12/09

パリ・オペラ座 2010年来日公演「ジゼル」プレキャスト

ダンソマニさんに、パリ・オペラ座来日公演「ジゼル」のプレキャストがアップされていました

Giselle :Pre-Cast for Japan Tour 2010

Giselle : Ciaravola ou Dupont ou Gilbert ou Letestu, remp. Hurel
ジゼル 
シアラヴォラ/デュポン/ジルベール/ルテステュ 代役 ユレル

Albrecht : Heymann ou Le Riche ou Martinez ou Pech, remp. Paquette
アルブレヒト
エイマン/ル=リッシュ/マルティネス/ぺッシュ 代役 パケット

Myrtha : Cozette ou Gillot, remp. Romberg
ミルタ
コゼット/ジロ 代役 ロンベール

Bathilde : Béatrice Martel, remp. Legassy
バチルド
ベアトリス・マルテル

Hilarion : Bridard ou Hoffalt, remp. Paul
ヒラリオン
ブリダール/オファルト 代役 ニコラ・ポール

Wilfried : Ibot ou Stokes
ウィルフリード
アクセル・イボ/ダニエル・ストークス

Le Duc de Courlande : Saïz, remp. Monin
クーランド卿
ヤン・サイズ

La Mère : Villagrassa

Pas de deux des Paysans :
Hurel ou Ould-Braham ou Pagliero, remp. Froustey
Carbone ou Thibault, remp. Lorieux, Gaillard, Ibot
ペザント・パ・ド・ドゥ
ユレル/ウルド=ブラム/パリエロ 代役 フルステ
カルボーネ/ティボー 代役 ロルー、ガイヤール、イボ

ロイヤル・オペラハウスのiTunesで映像ポッドキャスト配信開始 Royal Opera House iTunesU channel launched

最近、メディアに関するさまざまな先進的な取り組みを見せているロイヤル・オペラハウスが、iTunesのチャンネルを開設し、さまざまな映像のポッドキャストの配信を開始しました。

Royal Opera House iTunesU
http://www.roh.org.uk/itunes/

「ロミオとジュリエット」のリハーサル(レスリー・コリア指導)、「ジゼル」「眠れる森の美女」(モニカ・メイソン指導)、「白鳥の湖」(アンソニー・ダウエルがティアゴ・ソアレスに指導)、「くるみ割り人形」「マイヤリング」(ジョナサン・コープがエドワード・ワトソンとマーラ・ガレアッツィを指導)などのリハーサル、さらにはマスタークラスや舞台映像、バックステージまで、オペラ、バレエの映像が100以上アップされています。これは本当にお宝の山ですね!

そしてもちろん、全部無料です。

シュツットガルト・バレエのマクミラン・プロ9日、11日のキャスト他いろいろ

12月9日、11日のシュツットガルト・バレエのマクミラン・プロのキャストは、前日になってようやく出ました。2日間とも同じキャストです。

KENNETH MACMILLAN: LIEDER VON LEBEN UND TOD
Das Lied von der Erde

Gesangs-Solisten:
Gea-Hwa Yang, Ki-Chun Park

Der Ewige Friedemann Vogel

1. Satz
Filip Barankiewicz
David Moore, William Moore, Dimitri Magitov, Alexander Jones, Roland Havlica

2. Satz
Maria Eichwald, Elizabeth Mason, Anna Osadcenko, Myriam Simon
Dimitri Magitov, Damiano Pettenella, Alexander Jones, William Moore

3. Satz
Elizabeth Mason
Julie Marquet, Christina Burnell, Magdalena Dziegielewska, Hyo-Jung Kang
Tomas Danhel, Arman Zazyan, Yaosheng Weng, Mikhail Soloviev

4. Satz
Anna Osadcenko, Roland Havlica
Myriam Simon, Oihane Herrero, Julie Marquet, Christina Burnell, Magdalena Dziegielewska, Hyo-Jung Kang
Alexander Jones, Attila Bako, Tomas Danhel, Arman Zazyan, Yaosheng Weng, Mikhail Soloviev

5. Satz
Friedemann Vogel
Filip Barankiewicz, Roland Havlica, William Moore

6. Satz
Friedemann Vogel
Maria Eichwald, Filip Barankiewicz
und Ensemble


Requiem

Gesangs-Solisten:
Olga Polyakova, Adam Kim

1. Satz Elizabeth Mason und Ensemble
2. Satz Elizabeth Mason, Jason Reilly und Ensemble
3. Satz Elizabeth Mason, Jiří Jelinek
4. Satz Elizabeth Mason
5. Satz Bridget Breiner und Ensemble
6. Satz Marijn Rademaker, Jiří Jelinek, Roland Havlica, Damiano Pettenella und Ensemble


12月25日の「オネーギン」のキャストはまだ発表されませんね。

*********

「オネーギン」といえば今月、中国国立バレエが上演予定です。国家大劇院ではなく、北京の天桥剧场(天橋劇場)Tianqiao Theaterというところでの上演です。12月26日、27日。
http://www.tqtheater.com/ticket.aspx?pid=T01811

同バレエ団の創立50周年記念ということで、現地のCCTVのニュース番組で取り上げられています。
http://english.cctv.com/program/cultureexpress/20091208/101205.shtml

http://english.cctv.com/program/cultureexpress/20091124/101540.shtml

中国のアナウンサーの英語の発音がきれいだな~と感心してしまいました。そしてここのダンサーはプロポーションがいいですね。でもやっぱり「オネーギン」の映像にはちょっと違和感があります。


そして来年2月に行われるハンブルク・バレエの北京公演は、当初「椿姫」と「ニジンスキー」の予定でしたが、いつの間にか「椿姫」だけになってしまったようです。
http://www.chncpa.org/n16/n1062/n8576/3274142.html

http://www.hamburgballett.de/e/gastspiel.htm
Beijing
CHNCPA – China National Center for Performing Arts
February 3, 4, 5, 6, 8 and 9, 2010 | Lady of the Camellias

2009/12/08

B・ミルピエ&コリー・スターンズがVOGUEに登場 Benjamin Millepied & Cory Stearns featured on Vogue by Annie Leibovitz

最新のアメリカ版VOGUEにて、NYCBのプリンシパルで振付家としてオペラ座等でも活躍中のベンジャミン・ミルピエと、ABTの期待の星コリー・スターンズが登場しています。写真2点をサイトで見ることができるのですが、撮影は、アニー・リーボヴィッツ。

http://www.vogue.com/feature/2009_December_On_The_Rise/

フランスのボルドー出身、現在32歳のミルピエは、子供時代にセネガルで生活したこともあり、ドラムに夢中になり、母親の元でモダンダンスを習っていたそうです。パリ・オペラ座学校には行かなかったのですが、今ではNYCBはじめオペラ座やABT、そしてミハイル・バリシニコフにも作品を提供する振付家として、そしてNYCBのプリンシパルとして活躍しています。

24歳のコリー・スターンズも元々はバレエダンサー志望ではなくスポーツに夢中でしたが、ジョックス(アメリカの学園ドラマに出てくるような運動が得意の学生)にさせたくなかった母親によってバレエ学校に入れられたのです。ピッツバーグでのサマースクールに参加するまでは、まだ本気ではなかったとのことですが、ダンサーたちが世界中を旅し、美しい劇場でオーケストラの生演奏で踊ること、そして美しいバレリーナたちに魅せられたとのことです。

ミルピエは、NYCBが来年の春に上演する新作を作る予定であるだけでなく、ナタリー・ポートマンが主演するバレエ界を舞台にしたスリラー映画「Black Swan」(ダレン・アロノフスキー監督)での振付も担当しています。「物語をどうやって作るのか知っている人と仕事をするのが、とても面白い」とのことです。

スターンズは、今までミルピエの5つの作品に出演してきて、とても貴重な経験だと語っています。ABTだけでなく、ミルピエのプロジェクトDanses Concertantesにも出演してきました。「彼は踊っている時にとても存在感があるし、ルックスに恵まれ、素晴らしい身体能力を持っているんだ。それにとてもいいやつだし」とは、ミルピエによるスターンズへの評価です。

******
ミハイル・バリシニコフの名前が出たついでに、New York Timesに出たミーシャの素敵な写真もご紹介します。

http://tmagazine.blogs.nytimes.com/2009/12/07/mikhail-baryshnikov-dancer/

バリシニコフは、マース・カニンガム・カンパニーなどを撮影した写真集“Dominican Moves,” を今月発売するとのことです。

パリ・オペラ座バレエ来日公演「シンデレラ」のプレキャスト Paris Opera Ballet distributions de Cendrillon au Japon

ダンソマニさんで、来年3月のパリ・オペラ座の来日公演「シンデレラ」の予定キャストをアップしてくださっています。

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4268&start=15&sid=1c3fa13af5f8fd13e6a461472bb90234

シンデレラ: ジロ or ルテステュ or ムッサン  代役) グランツタイン

スター俳優(王子): ガニオ or マルティネス or パケット  代役) デュケンヌ

意地悪な義姉たち: シァラヴォラ+コゼット or ジルベール+ロンベール  代役) ユレル、ウルド=ブラーム

継母: マルティネス or ファヴォラン  代役) ティボー

プロデューサー: ブリダール or カルボネ  代役) シャイエ

映画監督: ルノー  代役) シャイユー、サラミット

春: ウルド=ブラーム or フルステ  代役) ベレ

夏: グランツタイン or パリエロ  代役) ラフォン

秋: ユレル or ジザンダネ  代役) ゲリノー、レヴィ

冬: ロンベール or ダヤノヴァ  代役) マレム


Cendrillon : Gillot ou Letestu ou Moussin, remp. Grinsztajn

L'Acteur vedette (le Prince) : Ganio ou Martinez ou Paquette, remp. Duquenne

Les Deux soeurs : Ciaravola + Cozette ou Gilbert + Romberg, remp. Hurel, Ould-Braham

La Mère : Martinez ou Phavorin, remp. Thibault

Le Producteur : Bridard ou Carbone, remp. Chaillet

Le Metteur en scène : Renaud, remp. Chailloux, Saramite

Le Printemps : Ould-Braham ou Froustey, remp. Bellet

L'Eté : Grinsztajn ou Pagliero, remp. Laffon

L'Automne : Hurel ou Giezendanner, remp. Guérineau, Lévy

L'Hiver : Romberg ou Dayanova, remp. Mallem

ダンス教師役がないのですが、誰なのかしら?映像ではクリストフ・デュケンヌでしたが。
いずれにしても、非常に豪華なキャストで楽しみになってきました。

ハンブルク・バレエ「オルフェウス」初演 World Premire of "Orpheus" Hamburg Ballet by John Neumeier

12月6日、ハンブルク・バレエにて、ジョン・ノイマイヤー振付の「オルフェウス」の初演が行われました。
http://www.hamburgballett.de/e/rep/orpheus.htm

早速、テレビでのレポートと初演の評がアップされています。

テレビの方は、8分20秒過ぎから(右側に「Neumeier」と書いてある、直接行けるリンクあり)。ノイマイヤーやケヴィン・ヘイゲンのインタビュー、初演のカーテンコール、また過去のノイマイヤー作品の映像紹介も少し。
http://www.tagesschau.de/multimedia/sendung/tt1800.html

今後もまだテレビでのレポートがあるようですので、追ってお知らせします。
(12/8追加 http://www3.ndr.de/sendungen/kulturjournal/videos/kulturjournal688.html
こちらは本編映像がかなり見られます)

評の方も早速アップされています。新作があるとすぐにその批評が読める欧米は本当に羨ましい限りです。

http://www.abendblatt.de/kultur-live/article1298217/Einleuchtend-einfach-Otto-Bubenicek-als-Orpheus-umjubelt.html

15枚もの写真のスライドショーがあります。
オルフェウスは高名なヴァイオリニストという設定で、彼の演奏会が成功裏に終わったところ、妻エウリディーチェが交通事故で車から放り出されて死ぬというところから始まるようです。神に選ばれた天才的な音楽家としてのオルフェウスを描いており、妻を亡くすことで楽器を失ったも同然となるという比喩の仕方をしています。音楽は、ストラヴィンスイキーの「ミューズを導くアポロ」と「オルフェウス」で、ヴァイオリン奏者が歌手の代わりの役割を果たしているようです。(ドイツ語の機械翻訳で読んでいるので、かなり怪しい役ですみません)。

2週間前に怪我で降板したロベルト・ボッレの代役を、オットー・ブベニチェクが務め、大役を見事に果たしたようですが、しかしやはりロベルトが演じたらどんなことになっていたのだろう、とは評者も思っているようですね。


もう一つ評をご紹介
http://www.zeit.de/newsticker/2009/12/7/iptc-bdt-20091207-205-23219046xml

「アポロ」は音楽だけでなく、バランシンの「アポロ」が引用され、その後日談としてアポロが竪琴をヴァイオリンの形に変え、音楽の贈り物としてオルフェウスに手渡す場面があるようです。アポロを踊るのは、エドヴィン・レヴァツォフ。

また、バロック作曲家のHeinrich Ignaz Franz Biberによる「Rosary Sonatas」のパッサカリア、さらにはBlegvad and Andy Partridgeの"Orpheus: The Lowdown" という実験的なアルバムからの曲も使われているとのことです。

追記:オフィシャルサイトに、ギャラリーがアップされています。
http://www.hamburgballett.de/gallery/orpheus/1.htm

2009/12/07

マリインスキー・バレエのワシントンDC公演キャスト・Mariinsky Ballet at the Kennedy Center

今日は所沢ミューズでゲルギエフ指揮マリインスキー管弦楽団のコンサートに行ってきました。やっぱり片道2時間近くかかって遠かったです。演目はチャイコフスキーの「1812年」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」、チャイコフスキーの交響曲4番、アンコールにチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズでした。パワーと情熱が溢れる素晴らしい演奏でしたが、やっぱり片道2時間は疲れました・・・。しかし使っている音楽が違うというのに、オネーギンのポロネーズを聴くとやっぱりシュツットガルトで見た「オネーギン」の舞台が思い出されて困ってしまいました。


さて、来年の2月にワシントンDCのケネディセンターで行われるマリインスキー・バレエの「眠れる森の美女」のキャストがケネディセンターのサイトにアップされていました。

http://kennedy-center.org/calendar/index.cfm?fuseaction=showEvent&event=BKBSE

注目すべきは、アンドリアン・ファジェーエフの復活、オクサーナ・スコリクのリラの精への抜擢ですね。オクサーナは本当に今一押しなんですね。アナスタシア・コレゴワはオーロラとリラの両方に、またアナスタシア・マトヴィエンコもオーロラ役で出演するんですね。(デニスの方は出ないというのに)

日本公演には参加しなかったアントン・コルサコフのデジレ王子、観たかったです・・・。また、エフゲニー・イワンチェンコのデジレ王子も、かなり興味深いです。コールプがこのツアーには参加しないんですね。


PRINCIPAL CASTING
Tue., Feb. 9 at 7:30 p.m.
Aurora: Diana Vishneva
Prince Desire: Andrian Fadeyev
Lilac Fairy: Ekaterina Kondaurova

Wed., Feb. 10 at 7:30 p.m.
Aurora: Alina Somova
Prince Desire: Evgeny Ivanchenko
Lilac Fairy: Anastasia Kolegova

Thu., Feb. 11 & Sat., Feb. 13 at 7:30 p.m.
Aurora: Viktoria Tereshkina
Prince Desire: Vladimir Shklyarov
Lilac Fairy: Ekaterina Kondaurova

Fri., Feb. 12 at 7:30 p.m.
Aurora: Anastasia Matvienko
Prince Desire: Andrian Fadeyev
Lilac Fairy: Oksana Skoryk

Sat., Feb. 13 at 1:30 p.m.
Aurora: Alina Somova
Prince Desire: Evgeny Ivanchenko
Lilac Fairy: Alexandra Iosifidi

Sun., Feb. 14 at 7:30 p.m.
Aurora: Anastasia Kolegova
Prince Desire: Anton Korsakov
Lilac Fairy: Oksana Skoryk

2009/12/06

テリョーシキナのドキュメンタリー番組 Victoria Tereshkina -Feature Program

今回のマリインスキーの来日公演で、ヴィクトリア・テリョーシキナの素晴らしさに魅せられた方も多いかと思います。残念ながら「眠れる森の美女」は見逃してしまいましたが、「白鳥の湖」では3年間の成長振りに驚かされました。3年前だって十分凄かったのに。

さて、Twitterで教えていただいたのですが、ロシアで放送されたテリョーシキナのドキュメンタリー番組をYouTubeで見ることができます。もちろん全部ロシア語なのですが、舞台映像、そして師リューボフィ・クナコワとのリハーサルの映像をふんだんに観ることができます。正確なテクニックとラインの美しさは言うまでもありませんが、彼女の持つ引き出しの多さに驚かされます。顔立ちがちょっと大人っぽくて辛口の印象がありますが、インタビューで愛猫と戯れている彼女は可愛らしいし、声や話し方も可愛いです。今は、「ジゼル」のタイトルロールにも挑んでいるところなのですね。
「眠れる森の美女」のオーロラもとても良かったそうなので、こういったリリカルな役へも幅を広げられそうです。「ロミオとジュリエット」のジュリエットも可愛らしいし、「ラ・バヤデール」のニキヤはすごく良さそうです。

この番組はパート3まであるのですが、パート2には、アルチョム・シュプレフスキーとの結婚式の写真も登場しています。また、アンヘル・コレーラと踊ったマリインスキー・フェスティバルの「白鳥の湖」の映像なども。

http://www.youtube.com/watch?v=qGnqvaitYzc

これもやっぱり買おうかな。

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2009/12/05

New York Timesにパリ・オペラ座の昇進コンクールの記事

New York Timesにパリ・オペラ座についての記事が載るのは珍しいな~と思って目を通してみました。しかも、その結果が多くの議論を呼んだ、昇進コンクールについての記事だったから。

http://www.nytimes.com/2009/12/06/arts/dance/06concours.html

とはいっても、今年のコンクールそのものについては、軽く触れているだけだったのでちょっと拍子抜け。フランス人向けのメディアではないので、そもそもオペラ座の昇進コンクールとはどういうものかを紹介した記事でした。多くの皆様は、ここに書いてある内容についてはよくご存知かと思いますが、一応ご紹介します。


パリ・オペラ座では、才能を持っているだけでは十分ではありません。常にソリストや主役級の役を得られることや、外部から招かれた振付家に選ばれることも。また、観客に愛されたり、芸術監督やスタッフに特別に気に入られることですら、昇進の条件ではないのです。

オペラ座では、スパルタ的な厳格さによって作られたヒエラルキーと昇進の仕組みがあります。昇進するためには、毎年恒例のコンクールに参加し、審査員の前で二つのヴァリエーション、規定とフリーのひとつずつを躍らなければなりません。

審査員は11人で、内部の教師、現役のオペラ座ダンサーに加えて、イーゴリー・ゼレンスキーとピエール・ラコトが加わっています。(ラコットは内部の人みたいなものだけど) マリー・タリオーニがこれを始めた1860年代から、何らかの形でこのようなコンクールが行われており、1970年代になってようやく、コンクールに参加するのが義務ではなくなったとのこと。現在は154人の団員のおよそ半数のダンサーが参加しているそうです。

当日の怪我や病気、精神的な要素などによって1年、もしくはそれ以上のキャリアを台無しにすることもあるという厳しいシステムです。ダンサーたちは、近いうちに同じ舞台(場合によってはコンクールの当日にも!)に立つ、親しい同僚や友人によって審査されることになります。

オペラ座は42歳の定年まで雇用、そして定年後の年金が保証されています。しかし、ランクが上がると、給料がおよそ15%アップするのだそうで、また当然役につきやすくなります。コンクールに参加しなければ、昇進することができません。あっというまに昇進したダンサーもいれば、イザベル・シアラヴォラのように2003年にプルミエに昇進するまで11回も試験を受けた人もいます。

「私にとって、コンクールん参加することは、ダンスの歓びとは無縁でした」と電話インタビューでシアラヴォラは語りました。「4分間で、自分の人生、キャリアが決められてしまうのだから、鋼鉄のような神経を持たなくてはなりません」 とはいえ、彼女も、コンクールはコール・ドのダンサーが認識してもらえる良い機会であり、保障された仕事を持っているオペラ座のダンサーにとって、一生懸命ダンスに取り組むモチベーションになると肯定的に考えています。

芸術監督ブリジット・ルフェーブルは、ダンサーたちがオペラ座の多くのレパートリーに取り組みながらも、同時にコンクールのヴァリエーションを何ヶ月も練習しなければならないのが精神的にも大変辛いことであることは認識しているようです。
「コンクールの当日は、とても残酷な光景だわ。多くのダンサーが一瞬に賭けているの。いつも涙があり、ダンサーたちは私のところにやってきて話し合いをするわ。私は、キャリアの中で、自分の才能があるべきところに導いてくれるはずだと彼らには伝えているし、そうだと信じています。それに、強い心と試練は、ダンサーたちはステージ上の人生で直面しなければならないものだから」

パリ・オペラ座学校の最終学年で1年間学んだABTのデヴィッド・ホールバーグは、同級生が入団試験の準備をしているところを目の当たりにしてきました。「とてもストレスのたまるシステムだけど、彼らにとっては当然のことなのです。ダンサーたちはこの仕組みにたいして疑問を持たないばかりではなく、それを誇りに思っています。これが彼らの組織、そして伝統の一部です。フランスでは、それは大きな意味があるのです」

というわけで、実際のコンクールの結果については何も書いていないのですが、写真だけはリュドミラ・パリエロ、ジョシュア・オファルト、ヴァンサン・シャイエという3人のプルミエ昇進者のコンクールでの写真が使われています。

マリインスキー・バレエのオールスター・ガラキャスト変更

皆様ご存知かと思いますが、念のため。

ジャパン・アーツの舞踊・バレエブログで、12月10日、11日に行われるマリインスキー・バレエの「オールスターガラ」のキャスト変更が発表されていました。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/134663272.html


【12月10日】 ・第2幕 「ジゼル」 2幕のパ・ド・ドゥ Giselle Act2  アナスタシア・コレゴワ /ミハイル・ロブーヒン Anastasia Koregova / Mikhail Lobuhin  ⇒アリーナ・ソーモワ /ミハイル・ロブーヒン Alina Somova / Mikhail Lobuhin

・第3幕「海賊組曲」 Le Coisaire Suite
ギュリナーラ:アナスタシア・コレゴワ Gulnare: Anastasia Koregova
 ⇒ギュリナーラ:エフゲーニヤ・オブラスツォーワ Evgenia Obratsova
3人のオダリスク
 イリーナ・ゴールプ
 ⇒エリザヴェータ・チェプラソワ

【12月11日】
・第2幕 「ジゼル」 2幕のパ・ド・ドゥ Giselle
 アナスタシア・コレゴワ /ミハイル・ロブーヒン Anastasia Koregova / Mikhail Lobuhin
⇒「シンデレラ」パ・ド・ドゥ Cinderella Pas de deux
 エフゲーニヤ・オブラスツォーワ/ミハイル・ロブーヒン Evgenia Obratsova / Mikhail Lobuhin

・第3幕「海賊組曲」 Le Coisaire Suite
ギュリナーラ:アナスタシア・コレゴワ Gulnare: Anastasia Koregova
 ⇒ギュリナーラ:エフゲーニヤ・オブラスツォーワ Evgenia Obratsova
3人のオダリスク
 イリーナ・ゴールプ
 ⇒エリザヴェータ・チェプラソワ

キャスト全体については、上記リンク先をご覧ください。

以前、ひかりさんのコメントで教えていただいたように、ロシアでのネフスキー・エクスプレス爆破事件で、アナスタシア・コレゴワの旦那様が亡くなられて急遽コレゴワさんが帰国したことに伴うキャスト変更プラスαのようです。(ジャパンアーツでは降板自由については触れていませんが) 改めて、セルゲイ・タラソフ氏や事件で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

http://www.kp.ru/online/news/578532/

11日の第二部の、イワンチェンコ&テリョーシキナの「ロミオとジュリエット」、ロパートキナ&コールプの「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」は意外なキャスティングでとても楽しみです。


それにしても、ジャパンアーツのバレエ・舞踊ブログの担当の方は、本当にこまめな更新による情報提供をしてくださって、本当にありがたいことです。公演の舞台裏やリハーサル風景、ダンサーのインタビューまで、お忙しいでしょうに、ほぼリアルタイムでの情報提供は嬉しいですよね。

2009/12/04

12/3 マリインスキー・バレエ「眠れる森の美女」ヴィシニョーワ&コルプ 短評

マリインスキー・マラソン、今日は「眠れる森の美女」初日でした。さすがにもう資金も体力もないので、「眠り」は1回きりしか行きません。来週は「イワンと仔馬」の2日目とガラ2日間の予定です。「イワン~」のゲルギエフ指揮の日をパスする代わりに?日曜日に所沢ミューズでのゲルギエフ指揮マリインスキー管に行ってきます。

でも、改めて調べると所沢(というか航空公園)って今住んでいるところからめちゃめちゃ遠くて、片道2時間もかかることに気がついて相当後悔中・・・私実家が武蔵野市で、一度だけ実家にいる時に所沢ミューズに行ったことがあるので、その時の感覚でそんなに遠くないと思っていたら大間違いでした。基本的に中央線沿線より北にはできれば行きたくないんです。

そんなことはどうでもいいことなのですが、今日のマリインスキーの「眠れる森の美女」、これぞグローリアスというか、マリインカの伝統と栄光の力を見せ付けられた思いがしました。ヴィシニョーワの輝きの眩しいこと。「白鳥の湖」では、ヴィシニョーワは自分に似合わないとされている役を、強引に自分の解釈で一つのオリジナルな物語に仕立てていく力技を見せてくれて、そのものすごい根性と情熱を見た思いがしました。「眠れる森の美女」は、そこまで力を入れなくても似合っているわけで。

ヴィシニョーワって、「生命力」のバレリーナだと思います。「白鳥の湖」ではそれが裏返しになって「死」に転化していたわけですが。1幕の登場シーンのヴァリエーションでは、ピチピチ跳ねるようで元気いっぱい、好奇心旺盛でびっくりするほど可愛いお姫様だけど、初々しさ溢れる圧倒的なまばゆい輝きで、舞台を光で満たしていました。2幕の幻影のシーンでは、これが一転また妖気を漂わせていて、美しいんだけどちょっと怖いというべきか、怖いほど美しいというべきか、幻影ならではの幽玄さ。王子のキスで目覚めた後が、とても一幕の16歳の姫と同じと思えないほどの生命力とエロスに満ちていて、それなのに目覚めたら王子の下へ、ではなくママとパパのところへいくところがまた憎いというか焦らしているなって感じさせました。

3幕の登場はチュチュではなくローブデコルテに縦ロールヘアで登場して、ゴージャスで貫禄のあるお姫様。でも、グラン・パ・ド・ドゥでは輝きはそのままに、また初々しい(だけど確実に大人への階段を上っている)満開の薔薇の花のような姫に戻っていました。サポートつきピルエットで8回も回っていたのにはびっくり。

改めて言うまでもないことなのですが、ヴィシニョーワはその柔軟で強靭な肉体もさることながら、音楽性に非常にすぐれたバレリーナです。特に3幕グラン・パ・ド・ドゥでの、自分自身が楽器となって音楽を伝えていく様子が、オーロラ姫の満開に咲き誇った輝きをより一層際立たせていました。ともすれば濃厚になりがちな彼女の持ち味を、音の絶妙な取り方により軽やかに変えていっているところが凄いと思いました。

コールプのちょっと怪しいけど基本ノーブルで優雅、ちょっとシャイな王子ぶりもとても良かったです。いつも片頬でにやりと笑うのがたまりません。ヴィシニョーワとの並びはやっぱりすごく濃くて、一人ずつ踊っている時には普通なのに、合わせ技になると何倍にも濃さが増幅されます。絶世の美女でありかつ気品溢れるリラのコンダウーロワや愛らしいオブラスツォーワも、そして「白鳥の湖」からフル回転で大活躍のヤナ・セーリナ、群舞で常に重要な位置にいるオクサーナ・スコリク・・・コール・ドのダンサーの一人一人の美しいこと!魅力的なダンサーはいくらでもあげられるのですが、明日も仕事で朝から会議なので、また改めて書きます。コメントもまだつけられなくてすみません。

そうだ、イスロム・バイムラードフのカラボスは最高でした!王子にやっつけられるところがあまりはっきりしない演出がもったいないのですが、杖をつきつつもエポールマンがきれいで色っぽく妖しいカラボスは、アポテオーズとカーテンコールでかなり美味しいところを持っていきました。あのキメキメのスペインを踊っていた同一人物とは思えませんわ。


2009年12月3日(木) 18:30~22:10
眠 れ る 森 の 美 女
プロローグとアポテオーズ付き全3幕
※本日キャスト変更がございます。
<サファイアの精>ヤナ・セーリナ→マリーヤ・シリンキナ
<白い猫>クセーニャ・オストレイコーフスカヤ→ ヤナ・セーリナ

音楽 : ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付 : マリウス・プティパ (1890年)
改訂振付 : コンスタンチン・セルゲーエフ (1952年)
台本 : イワン・フセヴォロジスキー
マリウス・プティパ
装置・衣裳 : シモン・ヴィルサラーゼ
指揮 : ボリス・グルージン
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

≪出演≫
オーロラ姫 : ディアナ・ヴィシニョーワ
国王 : ウラジーミル・ポノマリョーフ
王妃 : エレーナ・バジェーノワ
デジレ王子 : イーゴリ・コールプ
求婚者たち : コンスタンチン・ズヴェレフ
        : マクシム・ジュージン
        : アレクセイ・チモフェーエフ
        : デニス・フィルソーフ
リラの精 : エカテリーナ・コンダウーロワ
優しさの精 : マリーヤ・シリンキナ
元気の精 : アンナ・ラヴリネンコ
鷹揚さの精 : エレーナ・ユシコーフスカヤ
勇気の精 : ヤナ・セーリナ
のんきの精 : ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク
ダイヤモンドの精 : ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク
サファイアの精 : マリーヤ・シリンキナ
金の精 : アンナ・ラヴリネンコ
銀の精 : エリザヴェータ・チェプラソワ
悪の精カラボス : イスロム・バイムラードフ
カタラビュット / ガリフロン : ソスラン・クラーエフ
家来 : アナトーリー・マルチェンコ
フロリナ王女 : エフゲーニヤ・オブラスツォーワ
青い鳥 : アレクセイ・チモフェーエフ
白い猫 : ヤナ・セーリナ
長靴をはいた猫 : フョードル・ムラショーフ
赤ずきん : エレーナ・ユシコーフスカヤ
狼 : アナトーリー・マルチェンコ
子供たち : バレエ シャンブルウエスト (指導:今村博明,川口ゆり子)

シュツットガルト・バレエ マクミラン・プロ またまたキャスト変更/「オネーギン」出演情報

ほとんど個人的な備忘録となってきたキャスティング情報ですが、昨日消えていたシュツットガルト・バレエのマクミラン・プロのキャストがアップされて、大幅な変更となっています。マライン・ラドメーカーが降板して、代わりに「大地の歌」の死と「レクイエム」の男性主役がエヴァン・マッキーになりました。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/spielplan/

マラインのオフィシャルサイトからも、マクミラン・プロの出演情報が消えています。12月1日には「大地の歌」の死を踊ったようですが、12月8日にイタリアでアリシア・アマトリアンとガラに出演するので、5,6日の出演は難しかったようですね


12月5日(土)19:00~、12月6日(日)19:00~(同一キャスト)

KENNETH MACMILLAN: LIEDER VON LEBEN UND TOD
Das Lied von der Erde「大地の歌」

Gesangs-Solisten:
Gea-Hwa Yang, Ki-Chun Park

Der Ewige Evan McKie

1. Satz
Alexander Jones
David Moore, Laurent Guilbaud, Dimitri Magitov, Brent Parolin, Attila Bako

2. Satz
Myriam Simon, Laura O Malley, Miriam Kacerova, Rachele Buriassi
Dimitri Magitov, David Moore, Brent Parolin, Laurent Guilbaud

3. Satz
Laura O Malley
Angelina Zuccarini, Elizabeth Wisenberg, Maria Alati, Francesca Berruto
Daniel Camargo, Demis Volpi, Özkan Ayik, Ludovico Pace

4. Satz
Miriam Kacerova, Damiano Pettenella
Rachele Buriassi, Alessandra Tognoloni, Angelina Zuccarini, Elizabeth Wisenberg, Maria Alati, Francesca Berruto
Matthew Crockard-Villa, Attila Bako, Daniel Camargo, Demis Volpi, Özkan Ayik, Ludovico Pace

5. Satz
Evan McKie
Alexander Jones, Damiano Pettenella, Laurent Guilbaud

6. Satz
Evan McKie
Myriam Simon, Alexander Jones
und Ensemble


Requiem「レクイエム」

Gesangs-Solisten:
Catriona Smith, Adam Kim

1. Satz Elizabeth Mason und Ensemble
2. Satz Elizabeth Mason, Evan McKie und Ensemble
3. Satz Elizabeth Mason, Jiří Jelinek
4. Satz Elizabeth Mason
5. Satz Alicia Amatriain und Ensemble
6. Satz Alexander Zaitsev, Jiří Jelinek, Roland Havlica, Laurent Guilbaud und Ensemble


まだオフィシャルには出ていませんが、エヴァン・マッキーの「オネーギン」タイトルロールのデビューは、12月25日のクリスマスとなる予定だそうです。この日のソワレ公演はチケットがソールドアウトになっています。クリスマスまでは流石にシュツットガルトには行けませんわ。

なお、12月21日は以前お知らせしたとおり、イリ・イェリネクのシュツットガルト最後のパフォーマンスとなります。

12/5追記:「オネーギン」は、18日と21日のキャストが出ました。

12/18 Onegin

Onegin Jason Reilly
Lenski Alexander Zaitsev
Tatjana Alicia Amatriain
Olga Elizabeth Mason
Fürst Gremin Roland Havlica

12/21 Onegin

Onegin Jiří Jelinek
Lenski Friedemann Vogel
Tatjana Sue Jin Kang
Olga Elizabeth Mason
Fürst Gremin Douglas Lee

もう一つついでに。Financial Timesに、シュツットガルト・バレエのマクミラン・プロの初日レビューが載っています。英語の記事は珍しいのでご紹介。(Financial Timesは後で記事が読めなくなる可能性が大ですが)
http://www.ft.com/cms/s/2/612efb54-dea2-11de-adff-00144feab49a.html

2009/12/03

ハンブルク・バレエ「オルフェウス」リハーサル映像/ロイヤル「くるみ割り人形」のカレンダー/ポアントの製作過程

今日はマリインスキー・マラソン休演日で、すっかり連日の劇場通いで疲れてしまい、バレエのクラスもお休みしてしまったのですが、感想の続きを書く余裕もなく。というわけで、ちょっとした情報をいくつかご紹介します。


まもなく初日を迎えるハンブルク・バレエの「オルフェウスOrpheus」。そして、12月1日に、ジョン・ノイマイヤーが芸術監督に就任してなんと40周年となったそうです。そのノイマイヤーをインタビューした番組を見ることができます。ドイツ語なので何を言っているかはわからないのですが(英語で話しているところもボイスオーバーされちゃって)、「オルフェウス」のリハーサル映像をかなり見ることができます。それも、残念ながら怪我で降板してしまったロベルト・ボッレと、エレーヌ・ブシェへの振付指導が。この作品をロベルトで観ることができないのが本当に残念ですね。

http://www.rtlregional.de/player.php?id=8810

DANCE EUROPE誌にも、ロベルトとノイマイヤーのインタビューが載っているようで、長野由紀さんによる抄訳を日本語版ダイジェストで読むことができます(PDF)
http://www.danceeurope.net/site/japanese.pdf

*****
映像といえば、ロイヤル・バレエの「くるみ割り人形」の吉田都さんが主演した日が収録されました。この映像を制作したOpus Arteで、Advent Calendarというのを作っています。収録された「くるみ割り人形」が世界各地(日本も!)の映画館で上映されるので、その上映情報をカレンダーで紹介しつつ、「くるみ割り人形」の映像を少しずつ見せてくれるという趣向です。12月1日から始まっているので、まだ3日までの分しか公開されていませんが、とても可愛いですね。

http://www.opusarte-adventcalendar.com/

*****

そして、BBCでは、ポアントがどうやって作られるかについてその過程を紹介した番組が放送され、サイトで見ることができます。

Straight to the pointe: How a ballet shoe is made
http://news.bbc.co.uk/2/hi/entertainment/8383900.stm

40年間もポアントを作り続けている職人さんのコメント(バーミンガム・ロイヤル・バレエのために毎日60足ものポアントを工房で手作りしているそうです)、そしてバーミンガム・ロイヤル・バレエで金平糖の精を踊るGaylene Cummerfieldのリハーサルとコメントを見ることができます。実際にこんな風に作っているという映像を見られるのは貴重!

*****
ところで、シュツットガルト・バレエのスケジュールを見たら、マクミラン・プロのキャストがいきなり消えてすべて未定になっています。どうやら大幅なキャスト変更がある模様。体調を崩しているダンサーもいると聞いているので、とても心配です・・。

http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/spielplan/

*****
最後に、2010年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートなのですが、恒例のバレエにはパリ・オペラ座のエレオノーラ・アッバニャートが出演するそうです。振付は、レナート・ツァネラ。
http://wien.orf.at/stories/397877/

"Ein Herz, ein Sinn" と "Morgenblätterwalzer"の2作品だそうです。

2009/12/02

新国立劇場バレエ団2010/2010ラインアップの一部速報

お友達に教えていただきました。新国立劇場で速報チラシが置いてあったとのことです。

2010年10月 「ペンギン・カフェ」(ビントレー振付) Still Life at the Penguin Cafe David Bintley
2011年5月 「アラジン」(ビントレー振付) Aladdin David Bintley
2011年6~7月 「ロミオとジュリエット」(マクミラン振付) Romeo and Juliet Kenneth Macmillan

ということで、「ペンギン・カフェ」のカンパニー初演も嬉しいですが、もう無理かと思われていたマクミラン版の「ロミオとジュリエット」がレパートリーに帰ってくるのは嬉しい限りです。きっと小野絢子さんはジュリエットにぴったりでしょうね!

12/1 マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」ロパートキナ&イワンチェンコに行ってきました

遅くなってしまったので、とりあえず一言感想です。

エフゲーニャ・オブラスツォーワがパ・ド・トロワを降板していました。今回、彼女は全然東京というか関東地方の公演に出演していないのですが、あさっての「眠れる森の美女」のフロリナ姫役は出てくれるのかしら?ジェーニャは人気があるのに、今回「眠り」オーロラ役はびわ湖だけだというのがそもそも間違っていると思います・・・

日曜日、昨日に続いて今日もエカテリーナ・コンダウーロワが大きな白鳥に入っていました。ひときわ大きくて美女で赤い髪なのですぐにわかります。「火の鳥」役を踊っていたことがあるせいか、動きがとても鳥っぽいです。


ゲルギエフのショスタコーヴィッチプロに当初行くつもりだったので(チケットを家人に取り上げられてしまったので・・爆演でこちらも素晴らしかったそうです)、チケットは会場で買ったのですが、ロパートキナ主演の日というのに上階はガラガラで、なんてもったいないこと!と思いました。私の友達はロシアバレエを観る人が少ないということもあって、あまり知り合いにも会わなかったし。今回、連日の上野通いでちゃんと感想を書く余裕がないのですが、マリインスキーって改めて恐ろしく平均レベルが高いと思いました。トロワを踊っているのが若手だったり、小粒感が否めないところはあるんですが、男女とも、ダンサーのプロポーションとビジュアルの美しさに息を呑みます。上階から見てもすごくよくわかります。その上、衣装がゴージャスなのに色使いがシックで気品があって美しいこと~。特に、2幕(黒鳥)の民族舞踊の衣装がセンス良くて素敵でした。

ロパートキナは、金曜日より調子は良さそうだけど、絶好調ではない感じ。それにしても、彼女の白鳥は本当に絶品で、息をする暇も惜しいほど。ただ、パートナーが違うとこれほどまでに演じ方も違うのかと思いました。ダニーラ・コルスンツェフは愛情たっぷりで包容力のある王子なので、彼の誠実な愛により、ロパートキナもいつもより温かい表現を見せていて、心が少しずつ溶けていくさまを見せてくれていました。イワンチェンコは王子というより王様なので(!)そうすると、ロパートキナも白鳥の女王としての気高さ、崇高さ、少し冷たいくらいの研ぎ澄まされた表現の中に、悲劇性が強められていました。3年前にゼレンスキーと観た時のロパートキナに近いような印象を受けました。そんな中、3幕の裏切りに悲しむオデットの姿は哀しく、一人の女性としての感情が現れていて、胸を強く締め付けられました。

なかなかジークフリートに心を開かない、氷のようなオデットでしたが、コーダで見つめ合うときの眼差しの澄み切った美しさには、彼を信じてみようという思いが見えていました。最後にロットバルトが転がっているのを見て、自分が人間に戻れたことを知った時の、花が開いたような愛らしい微笑みがとても美しく心を揺さぶるものでした。理知的でクールな印象の強いロパートキナですが、笑顔は本当にかわいらしいんですよね。

それにしても、ロパートキナのオデットを観ていると、本当に時が止まってしまったように思えます。磨き抜かれた芸術そのものと同じ空気を吸っている、同じ場所にいるという事実に、思わず身震いしてしまいます。

イワンチェンコの王子は、面白かったです。背が高くて脚が長くて、オールバックが似合う苦みばしった男前なんだけど、すっごくニヒルで王子というより王様。間違った選択をしそうにない感じです。というか、腹に一物ある感じで、実は最後にロットバルトを倒したところも、実はロットバルトと事前に段取りの打ち合わせをしていて、ロットバルトは死んだふりをしているだけなのかも、と思ったりして。乾杯の踊りで杯を持つ姿があまりにも似合いすぎていて。ガウンなんか着て安楽椅子でブランデーグラスを傾けていても可笑しくない。艶やかな美女エレーナ・バジェノーワの女王の方が、白鳥よりよほどお似合いなのではと思ってしまう。2幕でオディールに騙されて追いかけていくところ、あまり本気で追わないし、捌けていくところも、途中から歩いちゃっているし。ロットバルトの翼をべりっともぎ取ってポイって捨てるところのやっつけ感にも少々ウケてしまいました。

でも、イワンチェンコ、いいダンサーなんですよね。サポートは上手だし、ロパートキナと息はあっていてちゃんと愛もある。テクニックも巷で言われているほど弱くない。トゥールザンレールできちんと5番に降りられるし、ジュッテ・アントルラッセの後ろ脚はきれいに高く上がっているし。それに、何しろ男前でカッコいい。素敵なんだけど、でも王様なんですよね。

2009/12/01

11/30 マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」短評

2009年11月30日(月) 18:30~21:30
白 鳥 の 湖 3 幕 4 場
キャスト変更
<大きな白鳥>ユリアナ・チェレシケーヴィチ→エカテリーナ・コンダウーロワ

音楽 : ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付 : マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
改訂振付 : コンスタンチン・セルゲーエフ
台本 : ウラジーミル・ベーギチェフ,ワシーリー・ゲーリツェル
装置 : シモン・ヴィルサラーゼ
衣裳 : ガリーナ・ソロヴィヨーワ
指揮 : ボリス・グルージン
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

≪出演≫
オデット/オディール : ディアナ・ヴィシニョーワ
ジークフリート王子 : イーゴリ・コールプ
王妃 (王子の母) : エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師 : ソスラン・クラーエフ
道化 : ラファエル・ムーシン
悪魔ロットバルト : イワン・シートニコフ
王子の友人たち : ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/マクシム・ジュージン
小さな白鳥 : エリザヴェータ・チェプラソワ/ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エレーナ・ユシコーフスカヤ
大きな白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/ユリアナ・チェレシケーヴィチ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/リリヤ・リシューク
2羽の白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/オクサーナ・スコーリク
スペインの踊り : アナスタシア・ペトゥシコーワ/ヴァレーリヤ・イワーノワ/イスロム・バイムラードフ/カレン・ヨアンニシアン
ナポリの踊り : ヤナ・セーリナ/マクシム・フレプトフ
ハンガリーの踊り : ポリーナ・ラッサーディナ/ボリス・ジュリーロフ
マズルカ : アリサ・ソコロワ/オリガ・ベリク/ナターリア・ドゥゼヴリスカヤ/スヴェトラーナ・シプラトワ/ドミートリー・プィハチョーフ/カミーリ・ヤングラゾフ/ニコライ・ナウーモフ/セルゲイ・サリコフ

マリインスキー・バレエ耐久マラソンを続けて、もう全然感想が追いつかない状態です。上野から家まで遠くて、まっすぐ帰宅してもすでに遅いし、明日は仕事でしかもまた上野通い・・。「眠り」はヴィシニョーワの日しか観ない予定ですが、あの長大なセルゲイエフ版、終わったら10時過ぎなんですよね。というわけで、まだロパートキナの日もテリョーシキナの日もろくに感想を書いていないのですが、とりあえず今日気がついたことだけ書いておきます。


ヴィシニョーワとコールプの「白鳥の湖」は前回のマリインスキーの来日公演でも観て、その濃厚なドラマ性に圧倒されたのだった。オデット向きのダンサーではないとマリインスキーではされていて、初めてオデット/オディールを踊ったのは日本だったという彼女。それだけに、彼女の並々ならぬ役作りと思い入れが感じられ、他のダンサーでは決してなし得ない稀有な表現の白鳥を創り上げていた。

そして3年後の今年、彼女の白鳥はより進化して、さらに凄いことになっていた。ロパートキナ、テリョーシキナといかにもマリインスキー的な、抑制された表現の美を長い手足で表現していた白鳥を観ていただけに、オデットが登場するところで、なんだ、このナマっぽい白鳥は、と(3年前にも見ていたのに)驚いた。サイボーグのような筋肉が盛り上がった腕がしなやかに動く様子は、人間離れしているけど、白鳥のイメージではない。鍛え抜かれている肉肉しい体に、色っぽくまさしくファム・ファタル的な美しいお顔がついているのはとても不思議な感じ。吸い込まれそうな大きな黒い瞳に、半開きの口はなまめかしく魔性を感じさせ、男を死へと誘うサイレンのようでもあった。ヴィシニョーワが醸し出す魔術的な空気は、冥界にも通じるような異界を舞台上にもたらしており、「白鳥の湖」をギリシャ神話の世界へと転化させていたかのようだった。ヴィシニョーワは、想像上の神話の中でのみ生きている妖しげな半獣半人のようでもある。ロパートキナの抑制の効いた動きとは対照的に、溜めを効かせて音を目いっぱい使った彼女の腕使いは、強靭で動物的だけどエロいことこの上ない。切々と哀しい身の上を語る姿は悲劇的ではあるのだけど、同時に男を食い殺しそうな感じもする。こんな極端な、バロック真珠のようなオデットを踊る人は二人といないだろう。白鳥の表現としては異端であるけれども、ここまで極めてしまうとそれは一つの芸術となる。

そして王子役のイーゴリ・コールプの表現もまた独特。どこを見ているのかわからないような、薄いブルーの澄んだ瞳と、そのガラスの瞳を囲む黒々としたメイク。1幕から本を読みふけり、女王に贈られた弓を愛撫するように大事にしていた浮世離れした王子は、自分のなくした半身をどうやらオデットの中に見つけたらしい。オデットに魅入られ、柔軟な肢体をしならせて熱烈な恋に落ちる。そして濃厚で官能的な愛のドラマが繰り広げられるのだ。

(続く)

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