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« ラトマンスキーがABTのために新作「くるみ割り人形」を振り付け | トップページ | 12/1 マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」ロパートキナ&イワンチェンコに行ってきました »

2009/12/01

11/30 マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」短評

2009年11月30日(月) 18:30~21:30
白 鳥 の 湖 3 幕 4 場
キャスト変更
<大きな白鳥>ユリアナ・チェレシケーヴィチ→エカテリーナ・コンダウーロワ

音楽 : ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付 : マリウス・プティパ,レフ・イワノフ
改訂振付 : コンスタンチン・セルゲーエフ
台本 : ウラジーミル・ベーギチェフ,ワシーリー・ゲーリツェル
装置 : シモン・ヴィルサラーゼ
衣裳 : ガリーナ・ソロヴィヨーワ
指揮 : ボリス・グルージン
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

≪出演≫
オデット/オディール : ディアナ・ヴィシニョーワ
ジークフリート王子 : イーゴリ・コールプ
王妃 (王子の母) : エレーナ・バジェーノワ
王子の家庭教師 : ソスラン・クラーエフ
道化 : ラファエル・ムーシン
悪魔ロットバルト : イワン・シートニコフ
王子の友人たち : ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/マクシム・ジュージン
小さな白鳥 : エリザヴェータ・チェプラソワ/ヤナ・セーリナ/ヴァレーリヤ・マルトゥイニュク/エレーナ・ユシコーフスカヤ
大きな白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/ユリアナ・チェレシケーヴィチ/アナスタシア・ペトゥシコーワ/リリヤ・リシューク
2羽の白鳥 : ダリア・ヴァスネツォーワ/オクサーナ・スコーリク
スペインの踊り : アナスタシア・ペトゥシコーワ/ヴァレーリヤ・イワーノワ/イスロム・バイムラードフ/カレン・ヨアンニシアン
ナポリの踊り : ヤナ・セーリナ/マクシム・フレプトフ
ハンガリーの踊り : ポリーナ・ラッサーディナ/ボリス・ジュリーロフ
マズルカ : アリサ・ソコロワ/オリガ・ベリク/ナターリア・ドゥゼヴリスカヤ/スヴェトラーナ・シプラトワ/ドミートリー・プィハチョーフ/カミーリ・ヤングラゾフ/ニコライ・ナウーモフ/セルゲイ・サリコフ

マリインスキー・バレエ耐久マラソンを続けて、もう全然感想が追いつかない状態です。上野から家まで遠くて、まっすぐ帰宅してもすでに遅いし、明日は仕事でしかもまた上野通い・・。「眠り」はヴィシニョーワの日しか観ない予定ですが、あの長大なセルゲイエフ版、終わったら10時過ぎなんですよね。というわけで、まだロパートキナの日もテリョーシキナの日もろくに感想を書いていないのですが、とりあえず今日気がついたことだけ書いておきます。


ヴィシニョーワとコールプの「白鳥の湖」は前回のマリインスキーの来日公演でも観て、その濃厚なドラマ性に圧倒されたのだった。オデット向きのダンサーではないとマリインスキーではされていて、初めてオデット/オディールを踊ったのは日本だったという彼女。それだけに、彼女の並々ならぬ役作りと思い入れが感じられ、他のダンサーでは決してなし得ない稀有な表現の白鳥を創り上げていた。

そして3年後の今年、彼女の白鳥はより進化して、さらに凄いことになっていた。ロパートキナ、テリョーシキナといかにもマリインスキー的な、抑制された表現の美を長い手足で表現していた白鳥を観ていただけに、オデットが登場するところで、なんだ、このナマっぽい白鳥は、と(3年前にも見ていたのに)驚いた。サイボーグのような筋肉が盛り上がった腕がしなやかに動く様子は、人間離れしているけど、白鳥のイメージではない。鍛え抜かれている肉肉しい体に、色っぽくまさしくファム・ファタル的な美しいお顔がついているのはとても不思議な感じ。吸い込まれそうな大きな黒い瞳に、半開きの口はなまめかしく魔性を感じさせ、男を死へと誘うサイレンのようでもあった。ヴィシニョーワが醸し出す魔術的な空気は、冥界にも通じるような異界を舞台上にもたらしており、「白鳥の湖」をギリシャ神話の世界へと転化させていたかのようだった。ヴィシニョーワは、想像上の神話の中でのみ生きている妖しげな半獣半人のようでもある。ロパートキナの抑制の効いた動きとは対照的に、溜めを効かせて音を目いっぱい使った彼女の腕使いは、強靭で動物的だけどエロいことこの上ない。切々と哀しい身の上を語る姿は悲劇的ではあるのだけど、同時に男を食い殺しそうな感じもする。こんな極端な、バロック真珠のようなオデットを踊る人は二人といないだろう。白鳥の表現としては異端であるけれども、ここまで極めてしまうとそれは一つの芸術となる。

そして王子役のイーゴリ・コールプの表現もまた独特。どこを見ているのかわからないような、薄いブルーの澄んだ瞳と、そのガラスの瞳を囲む黒々としたメイク。1幕から本を読みふけり、女王に贈られた弓を愛撫するように大事にしていた浮世離れした王子は、自分のなくした半身をどうやらオデットの中に見つけたらしい。オデットに魅入られ、柔軟な肢体をしならせて熱烈な恋に落ちる。そして濃厚で官能的な愛のドラマが繰り広げられるのだ。

(続く)

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バレエ公演感想2009」カテゴリの記事

コメント

続き楽しみです(*^_^*)

そういえばヴィシニョーワの白鳥ってガラでも見たことなかったかも、、
凄いものを見ましたね〜
良かったですね♪

身体も気をつけてね。

私も昨日見てきました!ディアナはほんとに妖艶で美しかったですね。初めて彼女の白鳥を見ましたが、見たことのないような「白鳥」でした。
続きを読むの、楽しみにしています(o・v・o)

こんにちは。
色っぽかったですよね。オディールがオデットに化けてるのかしら、なんて、思ってしまいました。
仕事と鑑賞と楽しい大変とは思いますが、続き、楽しみにしています。

naomiさま

九州のKです。お久しぶりです。
いつも楽しく読ませていただいています。なかなかレスがつけられずすみません(汗)
連日の上野通い、まさしく耐久マラソン!!ですね(笑)
私も11/27行きました。深夜便で日帰りしたので帰宅したのはAM2時。
28日は仕事、また29日に上京し当日券でマチネを観て、30日の昨日お会いしたわけです。そしてまたも深夜に帰宅。体力との勝負です。
次は11日のガラを観る予定ですが、また日帰りのため「海賊」を観ることができません(泣)
こんな状態のため感想なんか吹っ飛びそうで、naomiさまのレポートがたよりです。
お時間ができましたら続きをお願いしますね!!!

こんにちわ。私も本文を読ませて頂き、この「鳥」の本性は<オディール>では?と思ったら、やっぱりnaomiさんも、そうお思いでしたか!それなら、いっそ、悲劇版が本望のような、、、あぁ、音に粘る、くねりの効いたエロい白鳥、観たかったです!!

ずずさん、こんばんは。

今回はイワンと仔馬とガラだけなんですよね?やっぱりマリインスキーの白鳥は観なくちゃダメですよ~。

ヴィシニョーワは確かに、なかなか白鳥を踊らせてもらえなかったはずなので、そんなにたくさんは日本でも踊っていないかもですね。新国立のゲストでと、前回のマリインスキーの来日くらい?特殊な白鳥ですが、解釈としては面白いです。

mimiさん、こんばんは。

ヴィシニョーワの白鳥は本当に独特というか、正統派ではないんですけど、思わず目が釘付けになるというか、強烈なんですよね。またコールプとの組み合わせが特濃だし。

続き、忘れないうちに、この週末にでも頑張って書きます!(なぜか今回の来日公演は土日が全然ないもので)

よしのっちさん、こんばんは。

そうそう、オディールがオデットに化けているような感じでしたね~。その割りに、意外とオディールが妖艶ではなかったというか、肉食系で強くて邪悪というのがまた面白かったです。連日見ているとすぐに前に観たものを忘れてしまいそうですが、なんとか忘れないうちに書ければと思います(で、明日は同じヴィシニョーワの眠りです)

Kさん、こんばんは。

会場でお会いできてよかったです~
九州から日帰りだなんて本当に凄いですね!(私もハンブルクは福岡日帰りをしましたが、ソワレの後に日帰りということが可能とは知りませんでした)
11日、もちろん私も行く予定です。最後の「海賊」が見られないのは残念ですね。でも、それまでも十分楽しめるんじゃないかと思います!

マーキーさん、こんばんは。

そういえば、ヴィシニョーワはマラーホフと白鳥を踊ったことはあるのかしら?きっとそれも凄いでしょうね。。。
確かに、彼女の役作りを見ると、ハッピーエンドにちょっと違和感がありました。といいつつ、人間に戻ったということをはっきりと見せる演技をしていて、最後は毒気が抜けて可愛らしくなっているところはさすがだと思いました。(しかしカーテンコールでは役から抜け切れていなくて放心状態)

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