2025年11月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 新国立劇場「ドン・キホーテ」のインタビュー動画/兵庫県での新国立劇場バレエ団公演 | トップページ | マラーホフ主演 韓国国立バレエ「チャイコフスキー」の写真 Malakhov in Boris Eifman's Tchaikovsky »

2009/10/04

「ウィーンミュージアム所蔵 クリムト、シーレ ウィーン世紀末展」 日本橋高島屋

観に行ったのは一週間前だったのだけど、ここしばらくの多忙から来る体調不良で、すっかり感想を書くのが遅くなってしまった。良い展覧会だったし、10月12日(月・祝)まで開催中なので。

http://info.yomiuri.co.jp/event/01001/200907099510-1.htm

第1章 装飾美術と風景画
第2章 グスタフ・クリムト
第3章 エゴン・シーレ
第4章 分離派とウィーン工房
第5章自然主義と表現主義

観に行ったのは一週間前だったのだけど、ここしばらくの多忙から来る体調不良で、すっかり感想を書くのが遅くなってしまった。良い展覧会だったし、10月12日(月・祝)まで開催中なので。

「クリムトとシーレ」という副題がついているけど、実際にはこの二人の作品は少なめ。クリムトに関しては、素描以外は6点で、カタログを見ると大阪と福岡のみ展示の作品に良いものがあったりしたのは残念だけ。だけど、彼の代表作の一つである「パラス・アテナ」があるのが素晴らしい。兜をかぶり黄金色の鱗のような甲冑を着た戦いの女神アテナが、色の薄い瞳でこちらをきりっと見据え、右手には腕を広げた裸の女性が配置されている。アテナの強い視線が鮮やかだ。また、初期の「寓話」や、左右に金色の帯を配置して中央には抱擁に陶酔する恋人たち、それを見下ろすさまざまな年齢の人々の不吉な影がいかにもクリムト的な「愛」。また、中央に平面的な聖母子像を丸い枠の中に配置し、両脇には筋肉隆々、彫刻のような美青年二人を置いて立体感を出した「牧歌」も印象的。早世したグスタフ・クリムトの弟エルンスト・クリムトの作品も2点あって、きらびやかな装飾性がグスタフに非常に良く似ている。

エゴン・シーレの作品も、数は多くないものの傑作が揃っていた。多くの自画像を残したシーレだけど、中でも「自画像」(1911)。この作品は、顔を左側に向けていて、その右側には死神のようなもう一つの自画像が寄り添っている。「アルトゥール・レスラー」は、彼の初期の重要な後援者の一人で、こちらは右側に顔を向けていて、スタイリッシュな中にモデルへの敬意が感じられる。シーレの当時16才の妹ゲルトルーデをモデルにした「意地悪女」は、少女が本当に意地の悪い表情をしたときの一瞬の動きを鮮やかに捉えたもので、面白い作品だ。「裸の少女<ゲルトルーデ>」もタイトルの通り、妹をモデルにしたもので、未成年の妹の裸体画を描くとはシーレもやるものだ。シーレの作品ではないが、シーレを描いたアントン・ペシュカの「エゴン・シーレの肖像」は、背景やスーツの柄などの渦巻く感じが不安感をかもし出していて、かなり強烈。

他の画家による作品も面白いものが多くて、フーゴー・シャルルモントの「ハンス・マカルトのアトリエの静物」は、エキゾチックで若干成金趣味の師匠のアトリエをブルーなどを効果的に使っていて印象的。シャルル・ヴィルダの「ランナーとシュトラウス」は舞踏会の躍動感と上流社会のスノッブさ、一段と高い位置で演奏する奏者たちをうまく配置している。ヴァイオリンを弾くヨーゼフ・ランナーの横にいるのは、ヨハン・シュトラウス(父)

メラ・ケーラーやマリア・リカルツの「ウィーン工房のハガキ」シリーズは、当時のモードをお洒落にキュートに伝えていて、モダンな印象。そして同じく「ウィーン工房のハガキ」を描いていたのがかのオットー・ココシュカ。不吉で不穏な印象の作風で知られる彼が、こんなリリカルな作品も残していたとは。そしてシーレの流れを感じさせるオッペンハイマーの作品がそれぞれ強烈。自らの展覧会のポスターに、自傷行為を思わせる血に染まった裸体像を描いてしまうのだから。親友であったエゴン・シーレの、自分の絵が二束三文でしか売れなかったときの失望と鬱屈を感じさせる表情を切り取った「エゴン・シーレ」は、胸に痛い。

風景画や人物画にも美しい作品、強い印象を残す作品などいろいろあって、クリムトやシーレのみならず、19世紀末のウィーン美術はとても充実していたことが伺える。作曲家のシューンベルクが、画家としても評価が高かったと知らなかったし、彼と親しく付き合っていた若い画家リヒアルト・ゲルストルが、シューンベルクの妻に失恋したために25歳で自らの命を絶ったというエピソードが衝撃的。そのゲルストルが描いた「母と娘」は大きく目を見開いた母娘の姿がちょっと異様で怖い。

美しさ(もしくは醜さ)の中に人間の魂を時には赤裸々に描き、また時にはひそやかに匂わせた19世紀末の雰囲気に浸ることができた。

東京での展示終了後、大阪と福岡での開催が予定されている。
【大阪会場】 10月24日(土)~12月23日(水・祝) サントリーミュージアム[天保山]
【福岡会場】2010年1月2日(土)~2月28日(日) 北九州市立美術館

東京では展示されなかった作品も大阪や福岡では展示されるようなので、ちょっと羨ましい。

でも、観終わった後は同じフロアで開催されていた北海道物産展で、ソフトクリームを食べたり椎茸や蕎麦などを買い込んで現実の欲望に打ち負かされたのだった(笑)

« 新国立劇場「ドン・キホーテ」のインタビュー動画/兵庫県での新国立劇場バレエ団公演 | トップページ | マラーホフ主演 韓国国立バレエ「チャイコフスキー」の写真 Malakhov in Boris Eifman's Tchaikovsky »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 新国立劇場「ドン・キホーテ」のインタビュー動画/兵庫県での新国立劇場バレエ団公演 | トップページ | マラーホフ主演 韓国国立バレエ「チャイコフスキー」の写真 Malakhov in Boris Eifman's Tchaikovsky »