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« 10/4 パルコ劇場「中国の不思議な役人」 | トップページ | 新国立劇場「ドン・キホーテ」キャスト »

2009/10/06

ABTの秋シーズン開幕/ラトマンスキーがMETオペラの「アイーダ」振付

ABTの今年の秋公演は、例年公演を行ってきたシティセンターが改装工事で使えなくなったために、10月7日よりリンカーンセンターのエイヴァリー・フィッシャー・ホールで行われます。その前に、10月2日より、ニューヨーク州のバード・カレッジにあるFisher Centerにて4回の公演が行われました。

http://fishercenter.bard.edu/calendar/event.php?eid=107956&year=2009&month=10&day=2

ニューヨーク州といえども、マンハッタンよりはかなり離れた場所にあるため、普段シティセンターでABTを観ている観客や批評家はそこまで足を運んでいないようで、Ballet Talkのフォーラムでも実際に観た人の感想は投稿されていません。おそらくエイヴァリー・フィッシャーホールでの公演の前には、New York Timesに評は載ると思われますが・・。
アズーレ・バートン、ベンジャミン・ピルピエ、そしてアレクセイ・ラトマンスキーの3人の振付家にインタビューし、リハーサルの写真を掲載した記事はNew York Timesに載っています。
http://www.nytimes.com/2009/10/04/arts/dance/04laro.html

普段はニューヨーク・フィルの本拠地として利用されているエイヴァリー・フィッシャーホールを会場として使うため、今回は古典の上演はなく、コンテンポラリーの新作3作品となったようです。このホールには舞台袖もオーケストラピットもなく、また背景も黒い幕ではなく音響を反射するための木製のパネルとなっています。コンサートホールであるため、客席から舞台を見下ろす構造となっていて、大きさの割には親密な空気が漂っています。(私も、リンカーンセンターのバックステージツアーではこのホールに入ったことがあります)踊り慣れている舞台ではないため、ダンサーにとっても一つの挑戦であり、また舞台装置を使えないということでは振付家としても挑戦となります。ミルピエの作品には24人のダンサーが出演するということで、狭い舞台にどうやってこれらのダンサーを配置するかも課題となったようです。

*****
エイヴァリー・フィッシャー・ホールの公演はさておき、そういうわけで、バード・カレッジでの公演のレビューは一つしか上がっていなくて、それも地元紙ということなので批評にどれほどの信憑性があるかはわからないところがあります。

Albany Times Unionのプレミアのレビュー
http://www.timesunion.com/AspStories/story.asp?storyID=849152&category=ARTS

この評では、ミルピエの"Everything Doesn't Happen at Once"は絶賛されています。マルセロ・ゴメスとステラ・アブレラの官能的なパ・ド・ドゥ(オフィシャルのキャスト表では、初日はマルセロ・ゴメスとイザベラ・ボイルストン、二日目がコリー・スターンズとステラ・アブレラとなっています)、そして最後のムーヴメントではダニール・シムキンが場の空気をさらったとのことです。

実のところ、去年ABTに入団したダニール・シムキンに関して今までは、New York Timesの批評やBallet Talkのフォーラムの投稿では、案外冷静な反応が目立っていました。一つには、やはりダニールがソリストとして入団したよそ者という意識がABTのファンや批評家の間では強いという気がします。観客の反応と、批評やフォーラムの投稿との温度差があるのではないかと、今年のMETシーズンの「ロミオとジュリエット」を観ても感じられました。彼にはスター性があるし本当に素晴らしい才能を持っていると思うけど、まだ若いのだし、パートナリングや演技など、乗り越えなくてはならない課題はあるようにも感じられました。でも、ABTの秋シーズンの良いところは、コンテンポラリー作品、それも新作が中心ということです。小品の中で思いがけないダンサーがキラリと光る瞬間が現れ、そこからスターが生まれたりするわけです。そうした中で、ダニール・シムキンが彼にしかない魅力を発揮できている可能性は大きいと思いました。

10月7日水曜日から始まるエイヴァリー・フィッシャー・ホールでのABT公演の批評や感想が楽しみです。

アレクセイ・ラトマンスキーの新作「Seven Sonatas」はスカルラッティの音楽に振付けられた3組のカップルによる作品とのこと。そして女性振付家アズーレ・バートンの「One of Three」はラヴェルのヴァイオリンソナタを使用し、女性ソリストと男性の群舞がかわるがわる登場する作品だそうです。

*******
ABTの常任振付家に今年から就任したラトマンスキーは、10月2日に初日を迎えた、メトロポリタン・オペラの「アイーダ」のバレエシーンの振付も行ったとのことです。
http://thefastertimes.com/dance/2009/10/04/ballet-in-opera-alexei-ratmansky%E2%80%99s-new-dances-for-aida-at-the-met/

この「アイーダ」のプロダクションは、Sonja Frisell演出によるもので、指揮はダニエレ・ガッティ。当初はゼッフレッリのスカラ座のプロダクションを使用するつもりが、あまりにも経費がかかりすぎたために、1988年初演のプロダクションとなったそうです。しかしながら、ガッティは容赦ないブーイングを浴びてしまったそうです。しかし、ラトマンスキーによって新たに振付けられたバレエシーンは大好評だったとのこと。「歌手の演出が踊りと同じくらい生き生きしていたらどんなに良かったことだろう」と評されていました。

http://www.nytimes.com/2009/10/05/arts/music/05opera.html?ref=music

METの支配人ピーター・ゲルプは、近年オペラの中のバレエシーンに力を入れており、「ラ・ジョコンダ」では「時の踊り」の振付にクリストファー・ウィールダンを起用。アンヘル・コレーラとレティシア・ジュリアーニがこのシーンを踊って大注目されました。そして今年の大晦日に初日を迎える「カルメン」の新演出では、再度ウィールダンがバレエシーンの振付を行うそうです。

いずれにしても、ラトマンスキー、ウィールダン、そしてミルピエの3人の振付家からは当分目が離せませんね。

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ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
いつも詳しい情報や感想を、どうもありがとうございます。
私も、ABTで新作ということで、公演評やどなたか見た人の感想を心待ちにしていたのですが、やっと今朝上記の公演評が引っ掛かったという感じですね。この評では、ダニール・シムキンも好評なようで嬉しかったのですが、そっか、一つの評だけではなんともかんとも、ですね。昨年来の評はそんな感じだったのですか。私はファンになって日が浅いので、またnaomiさんの過去ログに飛んで、いろいろ読み返しています。
話し変わって、先月のスカラ座の来日で「アイーダ」@バレンボイムも「ドン・カルロ」@ダニエレ・ガッティもすこぶる評判良かった(私は前者のみ観ましたが素人目?耳?にも神の域)ので、ガッティを見逃したのはとても後悔したのですが、METで率いる相手も演目・演出も違うとはいえ、Booingだったとは、なんかもったいない気がします。
今週は、その本拠地エイヴァリー・フィッシャーホール本拠地を留守にして来日するNYフィルとNYCBを東京で見に行くし、皆繋がっているな~と、面白い限りです。
今年のバレエフェスをみてのめりこんで、こちらのサイトも知り、海外のサイトも覗くようになり、世界がどんどん広がって、毎日楽しんでいます。
今後とも、よろしくお願いいたします。

こんにちは、ナオミさん
いよいよABTが始まりますね!! ガラには行きませんが木曜〜土曜と3日観に行きます。かなり楽しみです。 今回は3日間とも違う席を買ってみました。なので色々な角度から観れると思いので、それもまたたのし。。。。
オペラAIDAも興味があり行こうと思ってますが、tktが結構売れてて行けるか微妙です。

随分と盛沢山なエントリーですね^0^
ABTでの、ラトマンスキーの活躍とシムキンくんの様子をとても興味深く読ませていただきました。もちろん、2月に踊りにきてくれるゴメスさんのことも。シムキンくんは、前からここで紹介してもらっていたので、知ってはいましたが、フェスをみて本当にすごいと思いました。彼がどうやってこれから内面を表現してゆくのかみたいですが、今は、あのピルエットとジャンプと優雅なみのこなしだけでも充分です^^;;

ラトマンスキーの作品もみてみたいのですが、イワンと仔馬、明るい小川を大バレエ団で見れているだけもラッキーかな、と思ったりしています。それにしても、ABTはなかなか勢いがありますね。

もうすぐ中国でしょうか。レポ楽しみにしています!!

YUIOTOさん、こんにちは。

ようやくぼつぼつBallet Talkにも感想がアップされていますが、やはりダニール・シムキンは素晴らしかったようですね。水曜日からのエイヴァリー・フィッシャーホール公演を観に行く人は多いと思うので、またさらに色々と様子を伺えるんじゃないかと思います。楽しみです~。

スカラ座の来日公演は観にいけなかったのですが、「アイーダ」はNHKで放映されるようですよ。11月20日金曜日のNHK芸術劇場です。ロベルト・ボッレが踊っているスカラ座の「アイーダ」DVDは持っているんですけどね。やっぱりオペラは生で見た(聴いた)ほうがずっと良いでしょうね。スカラ座でも、「アイーダ」で天井桟敷からのブーイングにラダメス役のロベルト・アラーニャがキレて降板し、代役が急遽衣装なしで入ったという事件がありました。スカラ座やMETはオペラヘッドというマニアの方がたくさん生息していて、ブーイングするのが趣味みたいなところがあるので、ブーイングがあったからといって即出来が悪かったとはいえないみたいですが。(私もオペラに関しては全然詳しくないので、付け焼刃の知識です)

ホント、オペラもコンサートも行きたいところですが、そういうわけで経済的になかなか追いつかなくて・・NYCBは初日だけ行きますが、台風が心配ですよね。

私もホントまだまだ勉強中なので、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

Takakoさん、こんにちは。

いよいよABTの秋シーズンですね!Takakoさんのご報告を楽しみにしていますよん。コリーくんもミルピエ新作にキャストされていますしね。初めての会場というのもちょっと楽しみですよね。

METは東京で観ればめちゃめちゃ高いですが(スカラ座の来日公演はS席は6万円超!METも6万だったと思います)、リンカーンセンターで観ればお得ですよね~。

ショコラさん、こんばんは。

ラトマンスキーといえばマラーホフの同期ですよね!同じ先生にも習っていることですし。(と考えると、ラトマンスキーもまだ若いですよね)彼は今はABT常任ではあるけれども、世界中で引っ張りだこですね~。ABTはMETシーズンは古典ばかりでつまらないと良く批評家にいは批判されていますが、巨大なキャパシティのMETの席を埋めるのにはやはり古典じゃないと難しい、というのがあるみたいで、その分秋のシーズンでは色々と冒険をしていて、面白いのですよね。私は秋シーズンは2回しか行ったことがないのですが。

シムキンくんは、ある意味マラーホフに通じるところもあるし、まだ22歳だし、前途洋々ですよね。大きなバレエ団でいろいろなレパートリーを踊って、可能性をどんどん広げて欲しいですよね。あの柔らかさと軽やかさは誰にも真似できない感じがします。

「イワンと仔馬」ももちろん楽しみです!「明るい小川」も面白かったですし。

こんにちは、昨日 やっと実家の母から2か月分のDanceMagazineが届きました!! やっとダニールの写真が見れました。
今週は、そのマガジンを持ってダニールにサインして貰うぞ!! そうそうこちらのPointMagainzeにHeeちゃんがCoverになってますよー、そして勿論中にも彼女の記事が載ってます。Heeちゃんにもサイン貰わねばです。久しぶりののCoryPerfromanceも楽しみ!!

ABTのFacebookの方に、今回新作の3人の振付家のそれぞれのinterviewと、その稽古場風景の動画が、出ていました。
http://www.facebook.com/search/?q=ABT&init=quick#/video/video.php?v=298581410362&ref=mf
少~し作品の感じもわかるかもしれません。
私は当然^^; Benjamin Millepiedの動画をガン見していたのですが、ダニール・シムキンを見つけきれず・・・誰か見つけたら、教えてください。

>>Takakoさん
ご報告楽しみにしています。

takakoさん、こんばんは。

ダンスマガジン無事ゲットできたのですね!お母様GJです。ダニールの写真、両方とも素敵でしょう♪きっとそれを見せたら彼は喜ぶでしょうね(^^)
Pointeの表紙はHeeちゃんなのですね。以前この雑誌を定期購読していたのですが、うまく更新できなくて。彼女も本当に注目される存在になりましたね。ご報告、楽しみにしています

YUIOTOさん、こんばんば。

Facebookの動画、ラトマンスキーのだけさっき見たのですが、ミルピエのはまだこれからです。それにはダニールは映っていないっぽいんですね。私もガン見してみますね!

エイヴァリー・フィッシャーでの公演が始まれば、多分NYTimesに写真入のレビューが載ると思うので、それを楽しみにします。

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