ミハイル・バリシニコフとマッツ・エックの公演「Three Solos and a Duet」Mikhail Baryshnikov
ミハイル・バリシニコフは61歳となった今も、踊ろうという意欲が旺盛のようです。今週の金曜日と土曜日(9月4日、5日)にサンタモニカのSanta Monica College Performing Arts Center にて、「Three Solos and a Duet」と題した舞台に出演します。共演は、マッツ・エックのミューズとして有名なアナ・ラグーナ。マッツ・エック、アレクセイ・ラトマンスキー、そしてベンジャミン・ミルピエの作品を二人は踊ります。
この公演はサンタモニカで始まった後、ハワイ、シカゴ、ポートランド、ナポリそしてリヨンで上演されます。
http://www.thebroadstage.com/index.php/202
この公演については、ロサンゼルス・タイムズにミーシャャやアナ・ラグーナ、マッツ・エックのインタビュー記事が載っていました。
To Mikhail Baryshnikov, time is a great teacher
http://www.latimes.com/entertainment/news/arts/la-ca-baryshnikov30-2009aug30,0,4919996.story
この劇場の芸術監督も「若くはない二人のダンサーがこのような、セクシーでロマンティックで緊張感があり型破りなプログラムを踊ることに心動かされ、興奮しています。とても深く、オリジナリティのあるものが舞台に現れるはずです」と語っています。
これらの作品は、ミーシャによれば「ヨーロッパ的」であり、そしてとても個人的なものであるそうです。肉体を使ったものというよりは演劇的なものです。「みんな、ぼくが60代前半であることを知っているからね。マーサ・グラハムは、ダンサーの肉体は嘘をつかないと言ったけど、全ての意味でその言葉に同意すると共に、特にそれが年をとった人のものだったらますます嘘がつけないと付け足すよ。テクニックでごまかすことはできないし、自分自身が何者であるかもわかっているからね」
現在51歳のアナ・ラグーナ、そして64歳のマッツ・エックは何年も親しくミーシャと交際してきていて、いつか共作をすることを楽しみにしていました。エックはこう語ります。「年を取ったダンサーは、怪我や年齢、長年の肉体の酷使によって衰えるものだ。でも、彼らは長年踊ってきて生きていたことにより、より豊かな内面を持っている。以前ほど回転したり跳躍したりできなくなったとしても、ダイナミックな感情を保つことはできるよ。ダンスは水泳や自転車に似ている。一度覚えてしまえば、忘れることはないんだ」 しかし、アナとデュエットすることになった当初、ミーシャは少し心配でした。「マッツの作品は肉体を酷使するものだし、テクニック的にもとても高度なものなので、ぼくの今の年齢で大丈夫なんだろうか」と。「でも、マッツのような振付家と仕事をするのは、ダンサーとしても一世一代のチャンスだし」
32歳のミルピエは、まだバレエ学校にいるときに初めてバリシニコフに会った時のことを思い出していました。「バレエダンサーを目指す全ての男の子にとって、彼はインスピレーションのみなもどだった。彼は、驚異的なテクニックだけでなく、頭が良く自制心がありました。彼には素晴らしい肉体と容姿、全てを同時に備えていました」ミルピエは、今回のツアーのために「Years Later」という16分間のソロを振付けました。ミーシャが、若い時の自分の映像と共に踊るという趣向の作品で、シンプルだけどユーモアに富んだ作品です。「これは単純にダンスについての作品で、ミーシャの素晴らしい資質のひとつは、彼はとても自然でシンプルに踊るということなのです。彼は、この作品を通して、彼の年齢の人間が見せられるもの、つまり成熟を見せています」
61歳にしてプロのダンサーとして踊るのはもちろん大変なことです。「毎日、公演がなくても少なくとも2時間はスタジオで過ごしているよ。リハーサルに入ると、それが5,6時間にもなる。それはすでに習慣になっているんだ。ぼくはジムにも行かないし、ヨガもやらないし、個人的なトレーニングもしない。バレエのクラスレッスンを受けるんだ。バーレッスンをして、今踊っている作品のリハーサルを行うんだ。一人のときも、音楽に合わせたり、音楽なしでもリハーサルをやるんだよ」
バリシニコフは、その長いキャリアの中で何回も手術をしていて、特に右膝は何度も痛めていますが、それらの経験を通して多くを学んだと語っています。「自分の身体にとって何が早道なのかはわかっているし、ウォームアップにどれくらい時間がかかるか、その作品を踊るのに何をすべきかはよくわかっているんだ。今までかなり怪我をしてきたけど、怪我をすればするほど、賢くなるんだよ」
彼が現在行っているツアーの収益は、2005年に設立されたバリシニコフ・アーツ・センターの基金に当てられています。このアーツセンターは、彼の人生の中でももっとも真剣に取り組んでいるものです。彼自身が提供した100万ドルを基金の一部とし、ダンスパフォーマンス、映画、室内楽の公演、セミナーなどを行っています。このバリシニコフ・アーツ・センターによって改修されたジェローム・ロビンス・シアターが、来年はじめに再オープンし、高い評価を得ているWooster Groupがレジデント・カンパニーとなります。
一方で、ミーシャはもっと舞台に立ちたいと考えており、まだ具体的な話にはなっていないものの、来年もマッツ・エック、アナ・ラグーナ、そしてエックの66歳になる兄、ダンサーであり俳優であるニコラス・エックと新しいダンス作品を上演する予定とのことです。
40歳になった時も、50歳になった時も、そして今61歳になっても、ミハイル・バリシニコフは引退について話すことは拒否しています。彼は自分自身に満足しいている限りは踊り続けたいと暗喩しながらも、こんなにも長いことダンサーとして活躍していることについて、「自分でもびっくりしているよ!」と驚きを隠せない様子です。
******
バリシニコフ・アーツ・センターのサイトのトップにある、この公演の画像を観ると、ミーシャも、アナ・ラグーナも本当に美しく老いているな、と心を打たれます。
http://www.bacnyc.org/index.php/events/performances/FATOUR0909
ミラノで上演された時のプロモーション動画がありました。
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naomi様
「セクシーでロマンティックで緊張感があり型破りなプログラム」、
確かにそうですね!そして、いろいろな制約から解放されていて、とても自由な感じがします。
バリシニコフほどのスターダンサー、しかも男性が、クラシックから、少しずつ立ち位置を変えて、ずっと踊り続けているのは素晴らしいことですね。老いることと成熟することは、必ずしもイコールではないですが、それを体現しているように見えます。
投稿: sandy | 2009/09/04 00:46
sandyさん、こんばんは。
ミーシャは若い時の超絶技巧のイメージが強いから、そこから少しずつスタイルを変えていくのは大変なことだったんじゃないかと思います。テクニックが凄かった人でも、必然的に年を取ればできなくなることが増えていくから。それでも、踊ることをやめないで、新しいことに挑戦していく、それも楽しみながらやるというのが素敵ですよね。最初にミーシャがマッツ・エックと組むと聞いたときには、とても意外な感じがしましたが、写真や映像を見ると、意外なほどマッチしていて新鮮でした。
ギエムやルグリといった人たちも、これからどうなっていくのか、きっと彼らもそんな感じで新しいことに挑戦し続けるんだろうなって思いました。
投稿: naomi | 2009/09/04 00:57
どうして、彼はNYCでPerfromanceをしないんですかね?
ヨーロッパや他の州ならするのに・・・・・ シカゴまで行こうかと思ったんですけど、 この秋も山ほどみたいPerformanceがNYCであるので 諦めようと思ってます。 実は、彼の生の踊りを見たことがないので 一度は絶対に見たい!と思ってるんですが なかなか叶わないです。
投稿: takako | 2009/09/04 23:31
takakoさん、こんばんは。
ミーシャのバリシニコフ・アーツ・センターはNYにあるはずなのに、なんでNYで今回公演ないんでしょうね、本当に。シティセンターの改装工事で、もともと少ないNYのダンス用劇場がどこも空いていないのかも知れませんね。シティセンターのほかは、キャパの小さいジョイスシアターと、ブルックリンのBAMくらいでしたっけ?
実は私も生ミーシャを観たことがないんですよね。一度は観てみたいと思うんですけど、日本ではもう無理なのかしら。
秋はFall for Danceもあるし、エイヴァリー・フィッシャーでのABT公演もあるから、NYでも忙しいですよね~
投稿: naomi | 2009/09/05 23:54
こんにちは、再び孝子です!!
きっといつかミーシャを見ることが出来ると祈るのみです。。。。NYCでの公演情報が入りましたが、即教えてください 宜しくお願い致します。
そうそう、秋もNYCは大忙しですよ~~。
ABTはとりあえず3公演TKTを買いました。 Joyceもとりあえず5Companyを購入・・・・BAMでも見たいのが2つあるんですが・・・1つはABTと重なってて、行けるかどうか微妙。
本日AlvinAileyのスケジュールも出たので、これから見たい演目と他のダンスパフォーマンススケジュールと照らし合わせながらTKTの購入を考えようと思ってます。 今年は、オペラも3つ位挑戦してみようと思ってます。オペラは一番上の20ドルTKTで・・・・・
投稿: takako | 2009/09/09 07:33
takakoさん、こんばんは。
ミーシャのNY公演情報、つかんだら即お知らせしますね!
そして、NYの秋はダンスてんこ盛りですね~アルヴィン・エイリーもなかなか日本に来ないんですよ。廃盤になっている「Revelations」のビデオを見つけて買ったのですが。
オペラ、METだと一番安い席は20ドルとお得なのがいいですよね。今ミラノスカラ座が来ていますが、S席は6万円超なので、当然観に行けませんでした。METのファミリーサークル正面は音がとてもよいらしいので、よいですよね~。
投稿: naomi | 2009/09/10 01:03