8/16 インターナショナルダンスカンパニー 夏休み親子芸術劇場「ジゼル」他
エヴァ・エフドキモワ追悼公演
インターナショナルダンスカンパニー 「夏休み親子芸術劇場」
めぐろパーシモンホール
特別講師:ドミニク・カルフーニ
「ナポリ」よりパ・ド・シス
長澤美絵(ドネツク劇場) ヤロスラフ・サレンコ(NBAバレエ団) 中村優 中村憲哉
祢津聡身 村谷侑香 佐川えりか 上田舞香 藤原加奈子
「眠れる森の美女」第3幕よりアダージオ
須原千恵 ニコライ・ヴィユウジャーニン(K-Ballet Company)
「チャイコフスキー パドドゥ」
阿部麻依子 シェイ・ジョンソン(メトロポリタン・クラシカル・バレエ)
「エスメラルダ」
中村優 アレクサンドル・ブーベル(元K-Ballet Company)
「海賊」 玉井るい(ウィーン国立バレエ) ドゥ・ハイ(元K-Ballet Company)
「ジゼル」全2幕
ジゼル 菅野茉里奈(ベルリン国立バレエ)
アルブレヒト ライナー・クレンシュテッター(ベルリン国立バレエソリスト)
ヒラリオン:ニコライ・ヴィユウジャーニン(K-Ballet)
ペザント・パドドウ 長澤美絵(ドネツク劇場) ヤロスラフ・サレンコ(NBAバレエ団)
ベルタ タチアナ・コズロワ
ウィルフリード:アレクサンドル・ブーベル
クーランド候 マクシム・グージェレフ
ミルタ 柴田有紀(元新国立劇場、K-Ballet Company)
ドウ・ウィリ 桜堂詩乃 山本佳奈
ウイリ達
玉井るい 安部麻依子 長澤美絵 須原千恵 小倉彩加 中村優 他
http://www.internationaldance.com/kouen.html
日曜日に、都立大学のめぐろパーシモンまで、上記公演を観に行ってきました。「ジゼル」全幕だけでなく、その前にパ・ド・ドゥ集があったのでけっこう長時間で疲れました。しかし、ご覧の通り出演者はなかなか豪華で、見ごたえはたっぷりありました。「ジゼル」の指導はドミニク・カルフーニが行ったとのことです。
公演の前に、このスクールでも特別講師を行っていたエヴァ・エフドキモワの生前、指導する様子の映像が流れました。2006年の映像ということですが、とても美しく元気そうで、2年後には亡くなられてしまうなんて想像もつかないほどです。人間の生とは儚いものですね。
最初のパ・ド・ドゥ集もなかなか見ごたえがあった。「エスメラルダ」の中村優さんが、テクニックが強くて良かったと思う。「ナポリ」は妹ヤーナに負けじと?ヤロスラフ・サレンコが頑張っていた。やっぱりアレクサンドル・ブーベルもめちゃめちゃ上手い。彼ははいつもきれいな5番に降りられる人たち。ただ、めぐろパーシモンの床が硬いらしく、誰がということではなく全体的に足音が大きかったのが残念。
「ジゼル」は、ベルリン国立バレエから、2004年の「マラーホフの贈り物」にも出演したライナー・クレンシュテッターがゲスト。ほっそりと華奢で繊細な雰囲気が貴公子的だし、脚のラインも綺麗で素敵なダンサー。マラーホフのお気に入りだっただけに、彼のアルブレヒトは演技も踊りの雰囲気もマラーホフに実に良く似ている。1幕では純粋にジゼルに恋をしていて、ジゼルが死んだ時には我を忘れて慟哭していた。とても背中が柔らかく、ジゼルの墓に百合の花を捧げて横たわる姿がとても耽美的だった。ミルタに踊らされるところのソロは、ブリゼの連続で踊っていて、とても美しかった。最後まで熱烈にジゼルを愛していたアルブレヒトで、ジゼルが消えた後は、百合を撒き散らし、麗しく横たわって、まるでその地面がジゼル自身であるかのように、地面を抱きしめていた。すごく素敵なアルブレヒトなのだけど、そこかしこにマラーホフの幻影を観るようで、マラーホフはこれから「ジゼル」の全幕を踊ることはあるのだろうかと考え込んでしまった。彼の薫陶を受けた若いダンサーが、繊細でちょっとナルシスティックで、純愛に身を捧げたアルブレヒトを伝えてくれていることは嬉しいのだけど。
ジゼル役の菅野茉里奈さんは、プロポーションに恵まれて、華やかな容姿の持ち主。テクニックもしっかりしている。ただ、その華やかさがちょっと仇となって、1幕ではあまり村娘に見えない。ジゼルの1幕って、本当に演じるのが難しい役なんだとしみじみ思った。全幕でジゼルは初めてだと思うので、これからに期待したい。
2幕の方は、非常に健闘していたと思う。身体のラインが美しく、技術的には文句のつけようがないし、ウィリとなったジゼルの霊的な浮遊感と、強い想いは十分伝わってきていた。朝を告げる鐘が鳴り、アルブレヒトが救われたことがわかった時の安堵の表情に、強さと哀しみが同居していて感動を呼んでくれたと思う。このあたりは、カルフーニの指導の賜物かしら。菅野さんは、ベルリン国立バレエの最新DVD「カラヴァッジオ」でも、Seven Couplesの一人として出演しているし、これから先がとても楽しみ。
ミルタの柴田有紀さんは、とても威厳があって、ただ怖いだけのミルタではなく、哀しみも秘めた存在としてのふくらみがあって素晴らしかった。ヒラリオン役のニコライ・ヴィユウジャーニンも、粗野な中に純情さが見えていて、はまっていたと思う。(K-Balletでヒラリオンを踊っていたと思っていたけどまだだったのね。新作「ロミオとジュリエット」では、ティボルト役を踊る予定)
1幕はやはりペザント・パ・ド・ドゥのサレンコと長澤美絵さんがとてもよかった。サレンコのテクニックが素晴らしいのは言うまでもない。長澤さんは、上半身の動きがとにかく美しくてふんわりとしていて、ワガノワスタイルを体現。小柄なのに踊りは大きいし、何よりめちゃめちゃ可愛い。彼女は2幕でもウィリの一人となっていたけど、身体の引き上げ方からポール・ド・ブラ、アラベスクまで一人別格といっていいほど美しかった。群舞の一人なのに、美しさで際立っている感じだった。彼女もまだとても若いし、すごく期待が持てるバレリーナだ。
特に2幕は立派な上演だったと思う。ジゼルを当たり役にしていたエヴァ・エフドキモワの映像を発掘して再見しなくては。
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コメント
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コジョカルがバック転してベッシー校長に怒られたとは、わくわくするようなエピソードですね、ありがとうございます。そんな影は今回はなりをひそめていましたよね
小林紀子バレエシアターの公演の様子など、魅力的なエントリーが続いていますがnaomiさん、楽しそう。クレンシュテッターのアルブレヒト、知らなかったです。まだドゥミソリストな彼ですが、もうアルブレヒトをそんなに踊るようになったのですか。。。ベルリンではジゼルは最近あまり上演されていないけれど、特訓をうけたのかしら???楽しく拝読しました。
まったく、本当にマラホフの全幕はどうなるんでしょうか。「最後のジゼル」なんてタイトルになっちゃうのでしょうかね(怒)。
投稿: ショコラ | 2009/08/21 12:19
ショコラさん、こんばんは。
コジョカルが出場したローザンヌコンクールは友達にちょこっと見せてもらっただけなので、あまり細かくは覚えていないのですが、ベッシーさんが「この子は才能があるのにこんなものを踊らされて気の毒だ」みたいなことを言っていました。「ダルタニヤン」という作品だったと思います。たしか同じ年にフリーデマン・フォーゲルも出ていたような。コジョカルはもともと体操をやっていたみたいなので、身体能力がすごくあったんですね。いまやすっかりアーティストとして成熟しましたね。
YouTubeで見つけました。今の彼女からは信じられませんね^^
http://www.youtube.com/watch?v=1XYoyDdtrlA
さすがにバレエフェスのツケが今になってきてしまって結構へたっています。バレエの感想は書くのにすごく時間がかかっちゃって。ライナー・クレンシュテッターはたぶんベルリンではアルブレヒトは踊っていないと思うんですが、表現力は本当にマラーホフからよく受け継いでいますね。容姿も綺麗だし、まだ若いはずなので今後が楽しみです。パンフレットには、マラーホフからの言葉も寄せられていましたよ。
伝え聞く話では、マラーホフはまだまだたくさん踊りたいらしいので、来年くらいには日本で全幕を踊って欲しいですよね。やっぱりマラーホフのこの一作品、といえば「ジゼル」でしょうし。それが最後にならないことを祈ります。
投稿: naomi | 2009/08/22 03:09