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« 8/13 第12回世界バレエフェスティバル ガラ World Ballet Festival Gala Performance | トップページ | International Ballet Star Gala in Taipei とパロマ・ヘレーラのガラ、アシュレイ・ボーダー »

2009/08/18

8/15 世界バレエフェスティバル特別プロ 「眠れる森の美女」 World Ballet Festival Sleeping Beauty Cojocaru & Kobborg

第12回世界バレエフェスティバル 全幕特別プロ
マラーホフ版「眠れる森の美女」

http://www.nbs.or.jp/stages/0908_wbf-special/sleeping.html

オマージュ・ア・ベジャールを観ないため、私のバレエフェスはこれにて終了。ホワイエにはダンサーの写真は飾ってあるものの、Tシャツなどのグッズも売り切れているし、ちょっと寂しい気分。あっというまに終わってしまいました。

マラーホフ版の「眠れる森の美女」は、東京バレエ団の初演を観たのだけど、電車の人身事故で遅刻したら1幕終了まで中に入れてもらえなくて、この作品って休憩が1回しかないから半分見逃してしまった。今年1月の公演は見に行かなかったので、最初から通して観るのは今回が初めて。

P1040194s

しかも、去年のロイヤル・バレエの来日公演「眠れる森の美女」でアリーナ・コジョカルが出演する予定が、怪我でキャンセルしたということもあって、二重の意味でのリベンジだった。ようやくアリーナも怪我から復活し、バレエフェスのA,Bプロ、ガラでは素晴らしい踊りを魅せてくれていたので、楽しみだった。

そして期待は裏切られなかった。

マラーホフ版といえばなんといっても、紫、ピンク、グリーンと独特の悪趣味スレスレの色彩感覚の衣装が特徴的。ところが、オーロラの衣装だけは、とても清楚でシンプルなのだ。この衣装が可憐なアリーナに良く似合う。前回、1幕を見逃したため、オーロラが登場するシーンの衣装がどんなものか知らなかったのだけど、軽やかに駆け込んできたアリーナは、白にオレンジ色の花柄のチュチュで登場。これが本当に愛らしい。3幕でのブルーの小花柄のチュチュも涼やかでぴったり。ゴテゴテとした色彩の洪水の中で、アリーナは清らかな風のようだった。

アリーナは東京バレエ団のダンサーに混じっても紛れそうなくらい小柄なのだけど、とびきり顔が小さく、手脚が長く、さらに伸びやかで美しい動きによって、輝くばかりの存在感があった。衣装は質素でも、彼女自身がダイヤモンドのように光を放っていた。終演後に友達とも話していたのだけど、怪我での長期休業を経て、アリーナは一回り成長し、表現がかなり変わったと思う。以前ほどテクニックや身体能力は誇示せず、純粋な美しさを見せていくようになったと。そして表現が研ぎ澄まされ、大人になったと。

1幕の登場では軽やかで余裕たっぷり、音楽を奏でるように難しいパをなんでもないことのように舞ったアリーナ。元気いっぱいというよりは、おしとやかなイメージ。ローズ・アダージオでは、無理して長いバランスをとるようなことは一切しなくて、でも王子たちの手を取るときにはゆったりと手を動かして、しっかりと王子一人一人の目を見ていて、自然で優雅だった。だから、いつもローズ・アダージオを観る時の緊張感とはまったく無縁でいられた。のびのびと育ち、おっとりとして愛らしい姫そのものだった。王子たちからもらった薔薇の花も、投げるのではなくて、きちんと地面に置いていて、育ちのよさを感じさせた。

2幕の幻影シーンでは、オーロラは少ししか踊らないけど、夢の中の美しい幻のように、儚くちょっと切なげで、王子の想いを鏡のように映していたと思う。

3幕のグラン・パ・ド・ドゥも正統派。見つめあうオーロラと王子から漂う圧倒的な幸福感。アリーナは、力がまったく入っていないかのようにふんわりと、清潔感漂う気品を漂わせながら踊る。そんな中でも、さりげなく4、5回転くらいサポートつきピルエットを回っているのだけど、やり過ぎ感がない。オーロラはあくまでもお姫様なのだから、初々しくて可憐で、しかも優雅じゃないといけないのだけど、アリーナはまさに御伽噺から抜け出たお姫様だった。

アダージオの三つのフィッシュダイブは、これ以上タイミングが合うことはあり得ないと思えるほどスムーズで綺麗に決まった。指先から音符が零れ落ちるような、歌うようなアリーナのヴァリエーション。コーダでオーロラがちょこっと上半身を左側に倒す姿も可愛い。アティチュードでオーロラが音にぴたりと止まるのも、ゆるやかに止まっていて心地よい。もちろん、愛情あふれる王子コボーのサポートが幸福感を増幅させているのは言うまでもない。
幸せを絵に描いたようなアポテオーズにカラボスが乱入し、一瞬場内は凍りつき照明は暗転するが、リラの精が追い払い、再び永遠に続くような栄華を湛えて幕が降りる。

アリーナ、おかえりなさい、待っていたよと満員の場内が祝福しているようだった。

さて、パートナーのヨハン・コボーは、グリーンとパープルの奇抜な色使いの衣装がなぜかびっくりするほど似合っていた。彼は正統派王子ではなくて、一癖もふた癖もある雰囲気をまとっているから、この個性的なコスチュームに負けないで、さらっと着こなせるのだろう。そんな彼ではあるけど、オーロラへ向ける愛情には一点の曇りもなく、大人の包容力を感じさせて暖かい。王子は大切な姫を優しく扱い、彼女が可愛くてたまらない様子。だがあくまでも彼はジェントルマンだった。踊りのほうも絶好調のようで、特にヴァリエーションのカブリオールの足先がきれいなのは、さすがブルノンヴィルダンサーだけのことはある。

年齢差カップルのアリーナとヨハン。ヨハンは自分が引退した後、誰が彼女の相手を務めるのか心配しているとのこと。だが、まだまだ二人の幸せな物語は舞台上でも続いていきそうだ。

*******
マラーホフ版の「眠れる森の美女」は、薔薇が咲き乱れる庭をイメージしたセット。オーロラが生まれた時に祝福する妖精たちは、繭のようなカプセルから登場して踊る。妖精たちの衣装はブラウスのようで、肩がいかり気味、そして普通のチュチュの1.5倍はありそうなボリュームたっぷりのチュチュというデザインなので、とても踊りにくそうだし、日本人が着ると、衣装が歩いているみたいになってしまう。妖精たちの中では高村さんが良かった(ほかの妖精役は、乾さん以外はちょっと弱い)。リラの精の田中さんは、リラらしい存在感や強さ、包容力が足りなくて淡白で、非常に物足りない。また妖精たちの派手な衣装と比較すると、4人の王子の衣装はとっても地味だ。(その中でやはりトウの立った木村王子のサポートが素晴らしい)

カラボスは高岸さん。もっと大げさでかぶいた感じの演技をしてくれるかと期待していたら、案外地味だった。このマラーホフ版「眠れる森の美女」はマリシア・ハイデ版をちょっと意識した演出になっていて、ハイデ版ほどではないにしても、もうちょっとカラボスに強烈さがないと面白くない。

宝石たちは、ダイヤモンドとルビーはソロがあって、サファイヤとエメラルドはペアで踊る。西村さんのダイヤモンドは本当にキラキラしていて威厳もあって素敵だった。世界バレエフェスティバルの全幕プロで、これが西村さんの唯一のソリストの役柄と考えると本当にもったいない(以下、愚痴が続くので略)。

シンデレラの渡辺さんは控えめながらも愛らしく、脚がすごく綺麗。王子の柄本弾さんもちょっと甘い雰囲気で王子向き。佐伯さんのフロリナは、黄色い衣装。彼女の華奢で繊細で音楽性があるところが生きていて良かった。松下さんのブルーバードは良く跳んでいて、こういう跳躍系の役は合っている(王子を踊るにはやはりつま先の問題があるけど)。子猫の吉川留衣さんも牡猫の平野さんもいい。赤ずきんちゃんは登場するものの、狼はいない。というか赤ずきんちゃんはなぜか狼の毛皮をかぶっているのだ!

どうしても東京バレエ団のメンバーは、ベテラン勢に目が行ってしまう。渡辺ー柄本弾コンビ以外の若手は、もうちょっとがんばれ、と思ってしまった。幻影のシーンにコール・ドが登場しなかったり、このマラーホフ版はグランドバレエと言うには少々コンパクトな作品ということもあって、主役以外は物足りなさが残ってしまった。

でも、アリーナが見事な復活を遂げたこの公演は、幸せな気持ちを観る者みんなに与えてくれたと思う。本当にアリーナ、そしてヨハンありがとう。

◆主な配役◆
オーロラ姫:アリーナ・コジョカル Alina Cojocaru
デジレ王子:ヨハン・コボー Johan Kobborg
リラの精:田中結子
カラボス:高岸直樹
フロレスタン国王:永田雄大
王妃:坂井直子
カタラビュット/式典長:野辺誠治

【プロローグ】
妖精キャンディード(純真の精):矢島まい
妖精クーラント<小麦粉>(活力の精):乾友子
パンくずの精(寛大の精):高木綾
カナリアの精(雄弁の精):高村順子
妖精ビオラント(熱情の精):奈良春夏
妖精のお付きの騎士:松下裕次、長瀬直義、宮本祐宜、横内国弘、梅澤紘貴、柄本武尊

【第1幕】
オーロラ姫の友人:西村真由美、吉川留衣、渡辺理恵、川島麻実子
         森志織、福田ゆかり、村上美香、阪井麻美
4人の王子:木村和夫、後藤晴雄、平野玲、柄本弾

【第3幕】
ルビー:岸本夏未
エメラルド:阪井麻美
サファイア:村上美香
ダイヤモンド:西村真由美
シンデレラとフォーチュン王子:渡辺理恵-柄本弾
フロリナ姫と青い鳥:佐伯知香-松下裕次
牡猫と子猫:吉川留衣-平野玲
赤ずきん:森志織

指揮:デヴィッド・ガーフォース
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

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バレエ公演感想2009」カテゴリの記事

コメント

いつもブログを拝見させていただいています。

今回、マリア・アイシュヴァルトの紹介で、何人かのダンサーの方を治療させていただきました。

中でもアリーナは、大きな怪我からの”復帰の過程”であることから、非常に本番の状態が気になっていたダンサーの一人でした。

私はチケットが手に入らず、舞台を観ることができませんでしたが、ブログを拝見させていただいて涙が出てきました。

彼女が、どれだけ苦しい思いをしてきたか・・・・・。

治療の時に明るく振舞う彼女の目の奥から、沢山の”想い”を感じました。

もし、観客の皆様に喜んでいただけたのであれば、本当に最高です。

他の出演者の方々に関しても、詳細なレビューをありがとうございます。

これからも、楽しく拝見させていただきます。

SideValleyさん、こんにちは。

ダンサーの治療をされていらっしゃるんですね。私たちが、今回、世界バレエフェスティバルでスターの妙技を堪能できたのも、SideValleyさんのおかげですね。きっと思いは伝わったと思います。

アリーナの怪我のことは、みんなとても心配していたから、Aプロの初日で素晴らしい踊りを見ることができて、思わず安堵しました。そして、今回の「眠り」では完成度の高い、とても愛らしくて素敵な、幸福感で満たされるような踊りを魅せてくれて、とても嬉しかったです。

長いブランクの後では、きっと彼女もいろいろと不安もあったことでしょう。ロイヤルを代表するスターであるだけに、責任感もあったのではと思います。その苦しみを乗り越えて、このように感動的な舞台を見せてくれる彼女は、素晴らしいアーティストですよね!力が入っているとは全然思えないような、かろやかで純粋な美しさの下には、文字通り血のにじむような努力があったんですね。

貴重なお話を披露していただいて、ありがとうございます!これからもよろしくお願いいたします。

こんにちは!!
いつも夫婦揃ってお世話になっております。
フェス最終日、お疲れさまでした。アフター(笑)も楽しかったですね。

本国で踊っているとはいえ、負傷明けで心配していました。
しかし本人の努力はもとより、上記のSideValleyさんや様々な方の
ご支援を受け無事に全幕を観ることができて本当によかったです。
それもあんなに素晴らしい踊りで・・・
今後も引き続き応援していきたいと思いました。

マラーホフ版の眠りは初めて見ましたが、いろいろ面白いですね。
ただ私もカラボスはもっともっとアクが欲しいと思いました。
4人の王子では売れない芸術家といった風情(失礼)の木村さんが
やはりよかった。シンデレラの渡辺さんも好みでした。
コボーの衣装も似合ってましたが、昔のダンマガを見返してみて、
やはりマラーホフ自身が自分に似合うようにデザインしたのだなぁ
と納得しました(笑)


こんにちは、naomiさん。

Side Valleyさんのお話をうかがって、さらに、今回の眠りをみてよかったと思うようになっています。コジョカルさん、本当にテクニックはきっちりしているのに、これみよがしでなく、品よく、かわいらしかったです。コボーさんとのパートナーシップも優しくてよかったです。それに、コボーさんが、あのグリーンのジャケットと紫のタイツを予想外に着こなしてくださっていて驚きました。やっぱりダンサーの方は素敵なんですね。


naomiさん
やはりコジョカルは絶好調だったのね~読めば読むほど行かなかった私のバカさに涙が出ます(:_;)
今回のバレエフェスではご贔屓のエレーヌとティアゴ組以外ではコジョカル、コボーペアの愛情に溢れたキラキラ感が一番好きだったんですよ♪

怪我を克服した喜びが彼女達に一層輝きを増したのだと思うと別な意味で涙が…。

Fさん、こんにちは。

奥様ともどもご一緒させて頂き楽しかったです♪

長い苦難を経てさらにダイヤモンドのようにキラキラ輝いていたアリーナは、本当に素晴らしかったですね。Fさんなどファンの声援も心強かったことでしょう。来年の来日も楽しみですね!

>4人の王子では売れない芸術家といった風情(失礼)の木村さんが

ウケました!上手い比喩ですね。木村さん素敵です。

渡辺さんは、オデットデビューした若手のホーブで、すごく脚が綺麗なんですよね。

> naomiさん
> Fさん
> ショコラさん

我々は、ご本人が元々持っている力や、これまで培ってきた技術や感性を引き出すお手伝いは出来ても、全く持ち合わせていない力を与えることは出来ませんので、やはりアリーナをはじめ、出演者の方々が観客の皆様の心を魅了することができたとしたら、それは他でもないダンサーご本人の力でしょう^^

やはり、踊りには人間性が如実に現れますから、そういった意味で、私が今回治療を担当させていただいた方々は、正に思っていた通りのお人柄でした。もちろん良い意味で^^


改めてこのブログを拝見して、担当したダンサーの方々の評価が高くて、また、皆さんのコメントを拝見して、何だか自分まで嬉しくなってしまい、また泣きそうになってしまいました^^;


私もバレエ鑑賞が大好きなので、今後ともよろしくお願いいたします!!!

ショコラさん、こんばんは。

そうなんですよね、アリーナは技術は高いのにこれ見よがしではなく、とても品がいいのですよね。昔ローザンヌコンクールに出場した時には、バック転をして解説のベッシーさんが怒っていたなんてこともあったのに。
ヨハンの愛情あふれる感じも素敵でした。ヨハンも意外と(?)カッコいいんですよね。新国立劇場の「シンデレラ」でレジュニナが公演中の怪我で降板した時も、とても冷静でジェントルマンな感じで素敵だったんですよね。あの衣装も見事に着こなしていたけど、Fさんがおっしゃるように、やはりマラーホフが着るのが一番映えるでしょうね♪

jadeさん、こんばんは。

ご覧になれなくて残念でしたね。リマインドのメールをすればよかったです。私も、前の日まで3時開演だと信じ込んでいて、寝る前にチケットを見て時間を確認して、1時半だ、とちょっとあわてたんですよね。
でも、きっとこの二人のパートナーシップはこれから観る機会もいっぱいあると思います。来年ロイヤルの来日もあるし。そう、A、B、ガラとこの二人の愛情あふれるキラキラ感に、思わず頬も緩みましたよね。怪我で回り道をしたことは本当に辛かっただろうと思うけど、それを乗り越えてアリーナはますます輝きを増していって、そして愛情も深まったんでしょうね。

SideValleyさん、こんばんは。

SideValleyさんのお話で、アリーナがどれほど頑張りやさんだったかということがよく伝わったと思います。もちろん、彼女は技術的にも素晴らしいけれども、心の豊かさがとても感じられる踊りなのですよね。だから、ますます観た人が感動するのだと思います。

おっしゃるとおり、今回のバレエフェスティバルに出演したダンサーのみなさんは、本当に素晴らしいものを魅せてくださいましたね。やはりそういう方々は人間性も素晴らしいのですね。その人間性が踊りを通じて伝わってきていましたから。

私もSideValleyさんのお話しを聞いて、ちょっと泣きそうになるくらい感動しました。これからもまた遊びにいらしてくださいね!

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