BlogPeople


2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 世界バレエフェスティバルのガラから帰ってきました | トップページ | 8/15 世界バレエフェスティバル特別プロ 「眠れる森の美女」 World Ballet Festival Sleeping Beauty Cojocaru & Kobborg »

2009/08/14

8/13 第12回世界バレエフェスティバル ガラ World Ballet Festival Gala Performance

第12回世界バレエフェスティバル [ガラ] 
8月13日(木)17:00開演  会場:東京文化会館

P1040246s


会社を午後半休してドレスに着替え、上野で友達と2時間半くらいお茶してから臨んだ。本当に長い一日だった!

■第1部■ 17:00~18:00

序曲「戴冠式行進曲」 (ジャコモ・マイヤベーア作曲)

「白鳥の湖」第1幕よりパ・ド・トロワ
振付:グレアム・マーフィー/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ルシンダ・ダン レイチェル・ローリンズ ロバート・カラン

マーフィ版の白鳥、オデットと王子の結婚式なのに、ロットバルト男爵夫人が王子の寵愛を受けていることがさらされてしまうというシーン。音楽は、パ・ド・トロワの曲を使用。オデットの胸が張り裂けんばかりの気持ちが伝わってきて、これから盛り上がるかな、と思ったところで幕。ちょっと短すぎてもったいなかった。

プログラムがぎっしりということで、舞台監督さんも大変だったと思うけど、このガラは全体的に幕が下りるのが早すぎて、余韻が味わえないことが多かった。ラストシーンとともに幕が下りることが多くて、最後のシーンが目に焼きつく前に幕、ということがあったりして。うーむ。

「カルメン」
振付:ローラン・プティ/音楽:ジョルジュ・ビゼー
タマラ・ロホ フェデリコ・ボネッリ

プティ版の「カルメン」のホセのソロを観ると、思わず「エトワールたちの花束」ガラでのロベルト・ボッレのしびれるようなカッコよさを思い出してしまう。特にボネッリはロベルトと同じイタリア人、黒髪なので。今回のバレエ・フェスティバルでボネッリは全幕の「白鳥の湖」をはじめ、素晴らしいサポートとノーブルさ、演技力で魅力を発揮した。このホセだって十分セクシーでカッコいい。でも、どうしてもロベルトを思い出してしまうのよね。あそこまでの色気はさすがに無理だったかな。
タマラ・ロホはこの「カルメン」でブノワ賞を受賞している。すごく色っぽくて綺麗なんだけど、彼女は全体のバランスからするとちょっと頭が大きいのかもしれない。ちょっとベティ・ブープみたいな雰囲気。脚は決して太くないし、足の甲がとてもよく出ていて美しいんだけどね。ファム・ファタルとしての雰囲気はばっちり。幕が開いて、ベッドの上にいる彼女の姿を見ただけで、なんてエロいんでしょう、って感じた。


「ダンス組曲」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:J.S.バッハ
ニコラ・ル・リッシュ

実は去年の「エトワール・ガラ」でルグリが踊った「ダンス組曲」が今ひとつ乗れなかった。ルグリの踊りはもちろん素晴らしかったんだけど、演目が長くて途中で飽きるのだ。踊り方がルグリとは全然違っていたニコラが踊っても、感想は同じになってしまう。最初のうちはおーっ、よく音と戯れていていいなあ、って思うんだけど、途中から「まだ終わらないのかなあ」って思ってしまった。でも、気持ち良さそうに、のびのびと踊るニコラを観ていると幸せな気分になれる。ニコラはA、Bプロで生やしていた髭もきれいに剃っていて、すっきりと若々しかった。


「いにしえの祭り」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:リヒャルト・シュトラウス
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

スリットの入った赤いドレスに身を包んだエレーヌ・ブシェがぞっとするほど美しい。彼女の脚は本当に凄い。長くて美しいラインで、しなやかで雄弁であでやかで。造形美だけじゃなくて、語る脚なのだ。あまりの美しさに見とれているうちに作品が終わってしまった。ティアゴは白いドレスシャツに黒いベスト、ちょっとタキシードっぽい雰囲気で、サポートがとてもうまい。スタイリッシュで洗練された世界を、美男美女の二人で繰り広げた。

P1040201s

「ジゼル」より第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ /ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
アニエス・ルテステュ ジョゼ・マルティネス

Aプロのマチュー・ガニオのときと同じで、アルブレヒトが百合の花を抱えてジゼルの墓へと向かうシーンから始まる。でも、Aプロよりもずっと長く、アルブレヒトが助かり、ジゼルが墓の中へと消えていくエンディングまで上演してくれた。ミルタやウィリたちが出てこないダイジェスト版で、音楽のつなぎなどは気になった。だけど、ガラでの上演で、これだけ「ジゼル」の世界へと連れて行ってくれて、冷たい空気を会場に充満させることができるアニエスとジョゼは、すごい。まさに横綱相撲。
長い脚をマントから覗かせて、沈痛な表情で歩んでいくジョゼはノーブルで、貴公子そのもの。百合を墓に捧げると、その上に身を横たえる。その姿からは、深い悔恨が伝わってくる。アニエスのジゼルは、とにかくひんやりとしていて生気がなく、目の光も消えており、青白い顔色からも、重力を消してふわっと浮かぶ長い両腕からも、死者だというのがよくわかる。これほどまで"死んでいる"ジゼルを観るのも初めてという気がする。だが、そこから彼女の死してなお残る強い想い、そして赦し、という大きな作品のテーマが浮かび上がってくる。
ジョゼのヴァリエーション、アントルシャ・シスが美しいし、跳躍も高くて美しい。彼の年齢を考えると、驚異的なほどの鮮やかなテクニック。倒れこむところは、マチューと同じで、そのまま地面に突っ伏すのではなく、いったん膝で降りて手を前で交差させてから倒れていた。
ジョゼは端正なだけでなく、パッションが感じられる演技。ジゼルが消えた後、百合を手に取り、撒き散らしながら、半狂乱になってマネージュを繰り返す。ガラでここまで役の中に入り込んで、観客を別世界に連れて行ってくれる人はなかなかいない。来年のオペラ座の来日公演が楽しみになってきた。
観客の反応も良くて、カーテンコールは3回。アニエスとジョゼは上手のほうまで出てきてレベランスしてくれた。

<休憩20分>


■第2部■ 18:20~19:35

「ジュエルズ」よりダイヤモンド
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

やっとこの演目でマラーホフが跳躍した!相変わらずのしなやかな消音ジャンプ。前回のバレエフェスでも「ダイヤモンド」をこの二人が踊ったけど、今回も実にドラマティックだった。第2部になって、ようやくクラシックチュチュが登場。この二人はカリンスカの白い衣装(マリインカ仕様でちょっとクリーム色)がすごく良く似合って麗しかった。もっとじっくり観ていたかったけど、アダージオのみで終了。

「カンティーク」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ユダヤの伝承音楽
エリザベット・ロス ジル・ロマン

白いドレスのエリザベット・ロスが彫刻のように美しい。ユダヤ教の帽子をかぶったジル・ロマンはちょっと悪魔的な雰囲気でいたずらっぽさもある。開演前にベジャールファンの友達とお茶していて、ジルって全然変わらないよね、もしかして彼は永遠の若さを手に入れるために悪魔と契約したんじゃないかな、って話をしていた。実際、踊りも若々しいし、いつまでたっても年をとらない印象。作品のほうは、私の苦手なタイプのベジャール作品だったけど、ダンサー二人はとても素敵だし、独特の世界観を舞台にもたらす力があると感じた。

「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトール・グゾフスキー/音楽:ダニエル・オーベール
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

前にポリーナが、雑誌DANSEの表紙でマラーホフと「グラン・パ・クラシック」の衣装を着けてポーズしていた。その時のポリーナの衣装は、白いチュチュに黒いレースを重ねてハイネックになっている、とてもスタイリッシュでクールなもの。そしてベルリン国立バレエのミハイル・カニスキンと、キエフ・バレエのナタリア・マツァークが今年始めの「奇才コルプの世界」ガラで同じ黒レースの衣装を着ていたので、それがベルリン仕様だと思って楽しみにしていたら、黒チュチュではあったけどちょっと違うデザインで、ちょっぴり残念。
ポリーナは高度で強靭なテクニックを安定感抜群で見せてくれた。ヴァリエーションのバロネもしっかりと決まる。フリーデマンは、跳躍はとてもきれいだし柔らかいけど、ピルエットが不安定、失敗気味で残念。古典でこのペアが踊ると、強い輝きがあって男前なポリーナに対して、フリーデマンがややもっさりと見えてしまう。

「TWO」
振付:ラッセル・マリファント/音楽:アンディ・カウトン
シルヴィ・ギエム

演目が発表された時は、「また『TWO』かあ」って思ってしまったのだけど、改めて観てみるとしびれるほどの強靭さと躍動感があって、今のシルヴィにぴったりの演目だった。照明と目の錯覚を利用しているのだと思うけど、彼女のしなやかな腕の残像が軌道を描いていく様子は、人間の能力の限界に挑んでいるようで、本能に直接訴えてくる感動がある。

「ソナチネ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:モーリス・ラヴェル
オレリー・デュポン マニュエル・ルグリ

ピアノ生演奏ありの演目。毎回これを書くのが嫌なんだけど、ピアニストのミスタッチが多くて、もう耳を覆うばかり。佐々木忠次氏が、ガラは奮発してオーケストラに東フィルを使ったと言っていたけど、オーケストラはいいからピアニストにまともな人を使ってほしい。集中力が著しく殺がれる。
派手さはないけれども、ルグリの音楽的で流麗な動きには目を奪われる。オーレリーもこの作品での衣装を着ると、とても美しく可憐な雰囲気に。でも、ルグリもオーレリーも、第4部での作品のほうがずっと良かった。

「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
マリア・コチェトコワ ダニール・シムキン

ダニール・シムキンは純白のハーレムパンツで、奴隷というよりはお小姓さんもしくは天使という雰囲気だった。マリア・コチェトコワも純白の衣装で、ちょっとだけ下がり気味のクラシックチュチュが可愛い。アリの登場の時のアラベスクの後ろ脚がすごくきれいで、本当にダニールは背中が柔らかいんだわと思った。彼は「パリの炎」の時ほどは弾けていなくて、ピルエットも抑え目、大体5、6回くらい回っていたのだけど、エレガントだった。コーダでは、540を怒涛の3連発、フィニッシュにもう一回540。Aプロ、Bプロでメドーラを踊ったヌニェスやオシポワはガムザッティのヴァリエーションだったけど、マリアは通常のもの。彼女も踊りが実に軽やかで、体重というものを一切感じさせない。そしてコーダのグランフェッテはダブルがいっぱい入っている上に(というかほとんど全部ダブル)、余裕たっぷり。こんな風に、ごく自然に凄いテクニックを入れてしまう若い二人を観ていると、幸福感に思わず頬も緩んでしまう。

<休憩15分>


■第3部■ 19:50~20:40

「ラ・シルフィード」
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル/音楽:H.S.レーヴェンスヨルド
ナターリヤ・オシポワ レオニード・サラファーノフ

日本ではオシポワはあまり白いバレエのイメージはないかもしれないけど、今年のABTへの客演で「ラ・シルフィード」と「ジゼル」を踊っていて絶賛されていた。彼女のいたずらっぽい雰囲気が、気まぐれな妖精シルフィードによく合っていた。それに、なんといっても彼女はふわふわとよく跳ぶこと。ジュッテがいちいち高いし、はずむように柔らかい。ラ・シルフィードでの高い評価がわかる気がした。サラファーノフは、ジェームズの衣装がよく似合う。マリインスキーのダンサーなので、ブルノンヴィルっぽくないけれども、脚捌きはとても鮮やかで、アントルシャ・シスのつま先が美しく、高いトゥール・ザン・レールも毎回きれいに5番に着地している。来年の東京バレエ団での客演はラコット版なのだけど、彼のジェームズは良さそうだ。(でも、パートナーが上野さんなので躊躇してしまう)
個人的には、このペアでは「ラ・シルフィード」が一番気に入った。

「アルミードの館」よりシャムの踊り Le Pavillon d'Armide Danse siamoise
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:ニコライ・チェレプニン
ティアゴ・ボァディン

「ジゼル」、プレルジョカージュ版「ロミオとジュリエット」と並んでこのガラの白眉だったと思う。「ダッタン人の踊り」みたいなエキゾチックな衣装で、目のメイクも切れ長に描いたティアゴが超色っぽかった。Aプロ、Bプロとも露出度が高い衣装ながらそれほど色気を感じなかったのに、ここで民族衣装のようなコスチュームをまとった彼は、別人のよう、どこか狂気すら感じさせる。シャム猫のようにしなやかで、重力がないがごとく軽やかに跳ねる。最後、横たわって上目遣い気味に観客を見据えながらにやりと微笑むティアゴの視線に殺された人が多数いたはず。豹のようなポーズといい、妖しい目つきといい、ニジンスキーが憑依していたようだった。(なのに、幕が下りるのが早すぎ(怒))

参考までに、ハンブルク・バレエの「アルミードの館」の紹介ページ(写真、動画へのリンクあり) 今年の6月28日に初演を迎えたばかりの新作なのだ。
http://www.hamburgballett.de/e/rep/pavillon_a.htm

「マクベス」  
振付:ウラジーミル・ワシーリエフ/音楽:キリル・モルチャノフ
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・ウヴァーロフ

金髪マッシュルームカットの背の高い男が登場してきて、最初、この人はいったい誰、と思った。前髪をおろしているとウヴァーロフは完全に別人状態で、一見、「スパルタクス」のクラッススみたいな雰囲気。ワシーリエフの振付だからか、すごく
「ソ連っぽい」。マクベスは人を殺してきたばかりで激しく苦悩している。ウヴァーロフのこんな一面を観るのは初めてなので、すごく面白かった。真っ赤なドレスのザハロワが入ってくると、照明も赤に変わる。ザハロワは、額に細いヘアバンドみたいなのがあって、これもロシアっぽい感じ。光り輝くばかりに美しく、悪女には見えないけどその恐ろしいほどの美しさ自体が罪深い存在に感じられた。ドレスは前が短くて後ろが長い。ドレスのすそから、あの100万ドルの美脚が覗き、それ自体が生命体のように動いている。ザハロワの脚の魅力をたっぷり味わえて、まるで彼女のために創られた作品のようだった。「ドン・キホーテ」や「白鳥の湖」だけじゃなくて、ザハロワ(そしてウヴァーロフ)のこういう面が観られる作品が観たい。そういえば、ザハロワは「スパルタクス」ではフリーギアではなく、悪女エギナを踊っているのだった。ザハロワのエギナが観たい!


「ロミオとジュリエット」より "寝室のパ・ド・ドゥ"
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
シオマラ・レイエス ホセ・カレーニョ

「ロミオとジュリエット」の3幕冒頭、初夜を迎えたロミオとジュリエットだが、ロミオは追放の身となり、別れなければならないというシーン。これが二人の今生の別れとなるのだ。ホセ・カレーニョのロミオは長年観たいと思いながらなかなかチャンスに恵まれずに見逃してきた。2004年のMETシーズンで、ホセはアレッサンドラ・フェリと「ロミオとジュリエット」を踊る予定だったのに、会場についてみたらキャスト変更でアンヘル・コレーラになっていた。アンヘルのロミオももちろん素敵なので良かったのだけど、翌日もアンヘル&フェリだったので・・というわけで、5年後にようやくホセのロミオを観るという念願がかなったわけ。

ホセのロミオ、5年前に観たかったという気がしなくもなかったけど、でもこういうロマンティックな役は彼のお手の物。シオマラの少女らしい可憐なジュリエットに対して、ロミオがちょっと大人で分別がありそうなことが、このシーンではますます引き裂かれる恋人たちのせつなさ、やりきれなさを強調している。朝焼けが窓から差し込む寝室。ベッドから起き出したシオマラのジュリエットは、ロミオから離れたくない。彼がいなくなってしまうなんて信じたくない。たとえいつかどこかで会えるとしても・・・。必死に引きとめようとする。ロミオは悲しみを、離れがたさを押し殺し、、仕方ないんだよ、生きていればきっとどこかで会えるさと訴えるがそれはジュリエットには理解できない。これが最後のキスになるというくちづけを交わし、ロミオはさっと窓から出て行ってしまう。泣き崩れるジュリエット。

シオマラはジュリエット役は得意中の得意で、14歳の少女の奔放さ、幼い情熱を体現しているだけに痛ましく、見る側も胸がきりきりと痛む。この二人のドラマを作り上げる力は見事なもの。


「じゃじゃ馬馴らし」
振付:ジョン・クランコ/音楽:クルト・ハインツ・シュトルツェ
マリア・アイシュヴァルト フィリップ・バランキエヴィッチ

2003年の世界バレエフェスティバルでは、初出演のフィリップ・バランキエヴィッチが、アレッサンドラ・フェリとこのパートを踊っていた。もはやかなり記憶が怪しくなっているけど、フェリの意外なおてんば振りがとても可愛かったことは覚えている。
今回、バランキエヴィッチはさらにパワーアップしていて、男汁炸裂のペトルーチオを見せてくれた。彼のような男くさいバレエダンサーって、けっこう貴重かも。トゥール・ザン・レールはひょっとしたら3回転していた?脚をパ・ド・シャの形でトゥール・ザン・レールしていたりダイナミックだった。最後のひしっと抱き合うタイミングも完璧。マリア・アイシュヴァルトは、「ライモンダ」の威厳のある姫や「オネーギン」の貞淑な人妻とは打って変わって、ガニ股のおてんば娘をキュートに演じていて、笑いを誘った。彼女は本当に引き出しの豊富な人で芸達者だわ。10月の北京が楽しみになってきた。

<休憩15分>


■第4部■ 20:55~21:55

「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ
ヤーナ・サレンコ ズデネク・コンヴァリーナ

Aプロの時から、コンヴァリーナは地味に上手いと言い続けていたんだけど、やっぱり彼はとてもよいダンサーであることが実証された。「パリの炎」はBプロでダニール・シムキンがスーパーテクニックを炸裂させていて強烈な印象を残していたわけだけど、コンヴァリーナくんは正統派で端正な踊りを見せてくれて、そう、これでいいのだ!と思った。彼はピルエットがすごくきれいで、減速して音にあわせてぴたりと止まるのが気持ちよい。跳躍も、音に見事に合っていてテンポよく切れ味良く。いいなあ。(それから、ファニー・ガラでの金髪カツラでのオダリスクがとても可愛くてここでさらに株上昇!)
ヤーナ・サレンコは90度ずつ角度を変えていくグランフェッテ&最後は4回転以上回っていたスーパーフェッテ!しかも抜群の安定感。素晴らしかった!(Bプロの「コッペリア」では、サレンコはアダージオでバランス使いすぎ&ヴァリエーションの振付がつまらなくて損していたんだなあ)


「三人姉妹」
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリアネラ・ヌニェス ティアゴ・ソアレス

A、Bプロともキラキラオーラ全開だったマリアネラが、ここではそのキラキラぶりを封印して、地味な人妻役を熱演。ピアノ演奏だったけど、ここは「オネーギン」の3幕の曲を使っているとは今回はじめて気がついた。

前回のバレエフェスでタマラ・ロホとイニャキ・ウルレザーガが「三人姉妹」を踊った時は、イニャキったら郵便局員か駅員みたい、と思ったけど、大柄でがっしりしたティアゴ・ソアレスは、男らしくカッコよかった。ソアレスによるマクミラン特有のリフトがとても滑らかで、パートナーを美しく見せることに気を使っていると感じさせた。見せ場であるダイナミックなトゥールザンレール3連発は頑張っていたけど、彼は足音がすごく大きいのがちょっともったいない。でも、ロイヤルのお家芸であるマクミランの心理描写は二人とも達者で、特に彼が去った後に彼が残していった外套に顔を埋めて泣き崩れるマーシャ=マリアネラの演技が、心に迫った。


「ザ・ピクチャー・オブ」
振付:パトリック・ド・バナ/音楽:ヘンリー・パーセル
マニュエル・ルグリ

去年12月のノエル・ガラで観て以来2回目。12月に観た時は、シルエットで浮かび上がるルグリは頭からシャツのようなものをかぶっていて、まるでジャミラ(古)みたいと思ったのだけど、今回はそれはなし。青い照明、無音の中滑らかに踊るルグリ。鯨の鳴き声はちょっと苦手なのだけど、パーセルの音楽に合わせて踊るルグリのよどみなくしなやかな踊りは実に美しく、この年齢でこれだけ流麗に動けていることが驚異的に思えた。余分なものをそぎ落として、純粋な美しさとして踊っていると感じた。彼の踊りを見せるには、「ソナチネ」より良い作品だと思った。

「ロミオとジュリエット」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
オレリー・デュポン ローラン・イレール

ぼろぼろの作業着を着た、ブルーカラー風のローラン・イレールのロミオが墓所に入り込むと、そこには寝台に斜めに横たえられた仮死状態、赤い服をまとったジュリエットが。彼女が生きているかどうか確かめるために、持ち上げたり、椅子の上に乗せてのしかかったり、床に乱暴に転がすロミオ。この暴力的なまでのジュリエットの扱いが、ロミオの慟哭と混乱を象徴しているかのようだ。イレールの持つ暗い情熱がこの役にぴったりとマッチしている。ジュリエットの服まで切り裂いても、どうやってもだらんと力なく目を覚まさないのを見て、ロミオは彼女が死んだものと思い込んでしまう。ロミオはナイフを彼女の身体と自分の腹の間に突き立てて絶命。入れ替わるかのようにジュリエットは意識を取り戻し、自分の上にロミオがのしかかっていることに気がつく。クリーム色のへそだしトップスとパンツ姿になったジュリエットはロミオを椅子の上に座らせ、彼の上に乗り、床に転がり、彼が事切れていることを知ると、床に転がっていたナイフを使って手首を切り、ロミオの上で永遠の眠りにつく。オーレリーもエレガントなルグリではなく、少しエキゾチックでナイーブ、陰のあるイレール相手だと、別の化学作用が起きて荒々しいまでの生の感情を見せてくれた。二人が作り出した鮮烈な愛と死と暴力の世界に、魂を打ち抜かれた思い。これは本当に観られて良かった!

「春の声」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:ヨハン・シュトラウス
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

前回のバレエフェスでも上演された演目なので、同じ作品かあって思ったけど、やっぱり観られて良かった。コボーに高々とリフトされたコジョカルが、両手から花びらを撒き散らす。もーとにかくコジョカルが愛らしすぎて反則技だ、と思ってしまうほど。この作品が彼女より似合う人は世界中探してもいないだろう。何気なく軽く5、6回くらい回ってしまうピルエットもあり。そしてまるで彼女が空中を歩いているかのように見せてしまう、絶妙なコボーのリフト。二人のラブラブオーラが全開で幸せな気持ちを分けてもらった。

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
上野水香 デヴィッド・マッカテリ

オーケストラの編成がちょっと変更になっていたようで、音楽のアレンジが少々変わっていた。ものすごくスローなテンポだ。上野さんのチュチュは、白から淡いグラデーションで赤くなっていくもので、パフスリーブで上半身は村娘風。腰には大きなバラ。かわいらしいんだけど、これがキトリの衣装かときかれたら絶対に違うと答える。マッカテリのほうは、金を使っている華やかなものなのにバランスがすごく悪い。

アダージオは上野さんがバランス技を披露。しかしこれだけバランス技を使うと、テクニックがあると感じるものの、「ドン・キホーテ」の生き生きとしてにぎやかなところが犠牲になってしまう。しかも音楽性が絶望的なまでに欠如している。片手リフトも、パ・ド・ポワソンもなしで、プロムナードで上野さんをマッカテリが回すだけ。

グランフェッテでは、扇子を腰のところで開いたり閉じたりする技を使っていたけど、この技術は実はそれほど難しくない。上野さんの、グランフェッテの時の腕の高さが違う欠点を隠すための小細工か、と思ってしまう。それから、足先の装飾的なパとか、余計な飾りを入れているのも煩い。もちろん、バジルとの会話やアイコンタクトを望むべくもなく、大変盛り下がったガラのトリだった。

フィナーレ 「眠れる森の美女」よりアポテオーズ (ピョートル・I.チャイコフスキー作曲)


指揮:ワレリー・オブジャニコフ 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団  
ピアノ:高岸浩子
チェロ:遠藤真理

« 世界バレエフェスティバルのガラから帰ってきました | トップページ | 8/15 世界バレエフェスティバル特別プロ 「眠れる森の美女」 World Ballet Festival Sleeping Beauty Cojocaru & Kobborg »

バレエ公演感想2009」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 世界バレエフェスティバルのガラから帰ってきました | トップページ | 8/15 世界バレエフェスティバル特別プロ 「眠れる森の美女」 World Ballet Festival Sleeping Beauty Cojocaru & Kobborg »