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2009/07/01

6/28夜 新国立劇場バレエ団 「ローラン・プティのコッペリア」Roland Petit's Coppelia New National Ballet Theatre

新国立劇場バレエ団 《コッペリア》(6月28日)ソワレ

【振 付】ローラン・プティ
【音 楽】レオ・ドリーブ

キャスト
スワニルダ  :タマラ・ロホ(英国ロイヤル・バレエ)Tamara Rojo
フランツ    :ホセ・カレーニョ(ABT) Jose Manuel Carreno
コッペリウス  :ルイジ・ボニーノ Luigi Bonino
コッペリア   :人形 (←ちょっとウケた)
スワニルダの友人:西山裕子/さいとう美帆/伊東真央
         寺田亜沙子/細田千晶/寺島まゆみ
ほか新国立劇場バレエ団

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000087_ballet.html

初日を観た友達から、ホセ・カレーニョはあまり調子が良さそうではなかったと聞いていて、期待半分、不安半分で臨んだ舞台。セット券で持っていた初日を、主演の女性を回避するために手放してしまった。後になって買ったチケットだったためかなり端の席になってしまい、上手のバルコニーに座っているコッペリア人形が見えなかった。途中で人形は降りてくるので、大きな問題ではなかったけど。

P1030854s


最初の方はホセ、やっぱりちょっと身体が重いかな、と思ってしまったけど、途中から調子を取り戻してきた。このフランツは、スワニルダのことはあまり眼中になくって、コッペリアに夢中。スワニルダが色っぽく迫ってきても、ひょいとかわしてコッペリアに投げキッス。ぷーっとふくれるスワニルダ。

タマラ・ロホもホセ・カレーニョも、とにかく演技が達者で、恋の駆け引きを表現するのがすっごく上手い。タマラは、スワニルダの一般的なイメージと比較すればちょっと色っぽすぎるところもあるし、ホセもフランツ役にはちょっとアダルトなんだけど、いい男にいい女、スペイン語で言えばグアーパ・グアーポな二人のバランスは見事。

特にタマラは、プティの「カルメン」でブノワ賞を受賞しただけあって、プティ独特の小粋でニュアンスのある肩や腰の動かし方、視線の送り方がさまになっている。セクシーなんだけど、すっごく可愛い。細長いスタイルの新国立のダンサーの中では、腰が太いし、プロポーションに恵まれているわけではないのだけど、存在感は鮮烈。

長~いバランスや、1回転と4分の一ずつ回って、少しずつ向きを変えるフェッテ(その中にトリプルなども織り交ぜて)など、抜群のテクニックを見せながらも、それが決してテクニック自慢にならないのが、タマラの素晴らしいところ。

タマラの人形振りも見事なもので、すごくキュートだった。黒いチュチュが良くお似合い。プティ版コッペリアでは大抵スワニルダは前髪を下ろしていて少女っぽいのだけど、タマラはきれいなおでこを出していて、大人っぽい。美脚にこだわりのあるプティが、決してプロポーションが良いとは言えないタマラを気に入っているのはなぜか、観るまでは考えていた。実際に黒いチュチュを着ているタマラを観ると、スタイルの全体的なバランスはいいし、彼女ならではの個性を上手くこの役の中に表現しているのがわかった。イタズラっぽく可愛い中にも、ファム・ファタル的な魅力があって、他のどのダンサーとも違っているスワルニダを作り上げている。彼女はリハーサルのために一旦来日した後、ロイヤル・バレエのワシントン公演の「マノン」に出演し、公演直前に戻ってきたとのことで、それほどリハーサルもできなかっただろうに、これだけ役柄を作りこんできたのが素晴らしいと思った。

ホセ・カレーニョは、フランツ役を踊ってもとってもエレガントで、得意の減速しながら惰性で回ってきれいにフィニッシュするピルエットが健在。2年後のABT引退がもったいないと思えるほど、好調だった。技のキレはたしかに以前ほどではないけれども、何しろこの人の踊りは美しい。マネージュもふわりと浮かび上がるようだし、軸はずれないし、サポートはうまいし。ちょっと大人っぽいけれども、バジル役を得意としていることからも、洒落っ気や茶目っ気は十分あるので、こういうフランツも、プティ版だったらありだな、って思う。それに、タマラ・ロホと踊れてすっごく嬉しい、っていうのが踊りによく出ているのだ!

スワニルダのお友達は、みんな綺麗なんだけど、ちょっと地味かな。すごく可愛いピンクの衣に身を包んだ綺麗な女の子たちが、お尻をふりふりしたり、大げさに騒いでみたり。だけど、頑張ってエスプリを出そうとしていますって感じが見えてきちゃう。こういうのは照れを見せちゃいけないのよね。中では、やっぱり西山さんと寺島まゆみさんが、良かったと思う。まゆみさんは、手のニュアンスのつけ方にエスプリが効いているし、西山さんはとにかく動きが綺麗!

兵隊さんの中では、やっぱりマイレンが最高!特に1幕でン~って投げキッスをしたり、ものすごい表情をしてスワニルダを見つめたり、ブチュっと音を立てて川村さんにチューしたり、スワニルダの動きにいちいち反応したり眉毛を動かしたり、投げキッスを受け止めたり、演技が濃くて笑えて、真ん中から目を離してしまうので困っちゃうほど。後半のジャンプ合戦もマイレンはさすがの軽やかで綺麗なジャンプで、こんな小さな役でもったいないんだけど、サービス精神の旺盛さといったら、もう!たまりません。

やはりサービス精神満点だったのは、群舞の娘たち。湯川さん、西川さん、大和さん、川村さん、千歳さんといったベテラン勢投入で、彼女たちの演技がすごく楽しかった。お化粧も、白塗りにほっぺをおてもやんのようにして、まつげを大げさに描いて、遊んじゃって、もう!その中でも、いちいち受けの演技が巧みな大和さんが最高だった!大和さんを群舞の中で見つけると、安心してしまう。(そして、大和雅美ファンクラブのブログは本当に面白くて最高!これを読めばきっと誰でも"隊長"大和さんのファンになること間違いなし)

さて、この作品の隠れた主役はコッペリウスだ。かつてローラン・プティ自身がコッペリウスを踊ったマルセイユ・バレエ公演の映像を見せてもらったことがある。プティのコッペリウスはダンディで優雅な老紳士で、それだけに人形に恋した男の哀れさが胸に伝わってきて、切ない想いをさせられたのが印象的だった。ルイジ・ボニーノのコッペリウスは、とても芸達者でユーモラスなんだけど、笑いを取る方向に走ってしまって、コッペリアに対する愛が足りない。もう少し人形コッペリアを大事に扱って欲しいな、と思った。

プティ版「コッペリア」は小粋な中に悲哀があってすごくいい作品だし、タマラとホセというスターの魅力も十分味わうことができて良かった。衣装が超キュートでセンスが良い。でも、主役3人以外の出番があまりないし、上演時間は短いし、ちょっと物足りない感じ。何回も繰り返して観るような作品ではないのだ。今度バーミンガム・ロイヤルのデヴィット・ビントレーが芸術監督になるのだから、ピーター・ライト版の「コッペリア」を上演して欲しいなって思った。

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