グラン・ガラ ロシア・バレエのスターたち Grand Gala avec les Etoiles de Ballets Russes
[出演]
ナタリア・オシポワ(ボリショイ・バレエ)Natalia Osipova (Bolshoi Ballet)
イワン・ワシーリエフ(ボリショイ・バレエ)Ivan Vasiliev (Bolshoi Ballet)
アンドレイ・メルクーリエフ(ボリショイ・バレエ)Andrei Merkuriev (Bolshoi Ballet)
エカテリーナ・オスモールキナ(マリインスキー・バレエ)Ekaterina Osmolkina (Mariinsky Ballet)
エレーナ・エフセーセワ(マリインスキー・バレエ)Elena Evseeva (Mariinsky Ballet)
コンスタンチン・ズヴェーレフ(マリインスキー・バレエ)Konstantin Zverev (Mariinsky Ballet)
ナタリア・オシポワ(レニングラード国立バレエ)Natalia Osipova (Mikhailovsky Ballet)
キリル・ミャスニコフ(レニングラード国立バレエ)Kirill Myasnikov (Mikhailovsky Ballet)
オクサーナ・クズメンコ(モスクワ音楽劇場バレエ)Oksana Kuzmenko (Stanislavsky Ballet)
アレクセイ・リュビーモフ(モスクワ音楽劇場バレエ)Alexey Luybimov (Stanislavsky Ballet)
[内容]
●「眠れる森の美女」第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ Sleeping Beauty
(エフセーエワ、メルクーリエフ) Elena Evseeva, Andrei Merkuriev
●「白鳥の湖」より Swan Lake
第2幕 アダージョ(オスモールキナ、ミャスニコフ) Ekaterina Osmolkina Kirill Myasnikov
第3幕 スペインの踊り (オシポワ※、ミャスニコフ)Natalia Osipova( Mikhailovsky Ballet) Kirill Myasnikov
黒鳥のパ・ド・ドゥ(クズメンコ、リュビーモフ) Oksana Kuzmenko, Alexey Luybimov
●「アダージョ」Adajo(メルクーリエフ) Andrei Merkuriev
●「パリの炎」よりFlames of Paris (オシポワ、ワシーリエフ) Natalia Osipova, Ivan Vasiliev
●「バヤデルカ」La Bayadere第1幕より アダージョ(エフセーエワ、ズヴェーレフ)Elena Evseeva、Konstantin Zverev
●「ロシアの踊り(白鳥の湖より)」Russkaya(オシポワ※) Natalia Osipova
●「くるみ割り人形」Nutcracker
第2幕より (オシポワ※)Natalia Osipova
葦笛の踊り (ミャスニコフ、バレエ学校の生徒) Kirill Myasnikov
●「シンデレラ」より アダージョ Cinderella by Alexei Ratmansky (オスモールキナ、メルクーリエフ )Ekaterina Osmolkina, Andrei Merkuriev
●「海賊」より Le Coisaire
グラン・パ・ド・ドゥ(エフセーエワ、ズヴェーレフ)Elena Evseeva Konstantin Zverev
アダージョ(クズメンコ、リュビーモフ)Oksana Kuzmenko, Alexey Luybimov
●「ドン・キホーテ」より Don Quixote
エスパーダ(闘牛士)たちと街の踊り子
(オシポワ※、ミャスニコフ、メルクーリエフ、ズヴェーレフ)Natalia Osipova( Mikhailovsky Ballet) Kirill Myasnikov Andrei Merkuriev Konstantin Zverev
男性・女性ヴァリエーション、コーダ(オシポワ、ワシーリエフ)Natalia Osipova, Ivan Vasiliev
昨年9月3日にフランスのリヨンで行われたガラ、Grand Gala avec les Etoiles de Ballets Russes の映像化。芸術監督は、レニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)の名キャラクテール、ナタリア・オシポワ(ボリショイのオシポワとは別人ですが、ボリショイのオシポワも出ています)。おそらくは地元のバレエ学校とおぼしき生徒たちがいっぱい出ています。
ベテランからフレッシュな顔ぶれまで、ロシアの代表的なカンパニーのダンサーを揃えた公演で、踊り自体の内容は良いのですが、撮影の仕方は良くないです。上から映してみたり、クローズアップで顔ばかり映したり、ブツ切りにカメラを切り替えたりするのは最近の流行なのでしょうか?踊りの全体像がわからなくて、特に足を映してくれないことが多くて、観ていてちょっとストレスがたまります。
アンドレイ・メルクーリエフが4演目も出てくれて、彼のファンにとっては必見の映像。オープニングに引き続いての「眠れる森の美女」では、ちょっと踊りが重くて荒い感じですが、美しいソロの「アダージオ」、しっとりとした麗しい王子様の「シンデレラ」と、とっても美しくてうっとりしてしまいます。ラストの「ドン・キホーテ」では、エスパーダが3人登場しますが、マント捌きのうまさや、やわらかくよく反った背中といい、カッコよさといい、ピカイチです。「アダージオ」では、アンドレイの顔が美しいのは判ったから、もっと全身を映してよ、って思ってしまいました。
「シンデレラ」で、メルクーリエフのパートナーを務めたエカテリーナ・オスモルキナ。ここでの彼女の踊りは伸びやかで柔らかく、理想的なワガノワ・ラインを描いていて、なんと綺麗なんでしょう。メルクーリエフとの並びも美しく、この「シンデレラ」の映像があるだけで、このDVDは買いです(バカンス明けのせいか、彼女の背中はこんがりと日焼けしていますが)。せっかく今年年末のマリインスキーの来日公演メンバーに入っているのに、「眠れる森の美女」での彼女の主演がないのがもったいないです。「白鳥の湖」のアダージオも良いと思うのですが、何しろ映像がぶつ切れなので、良さが伝わりにくくて残念。オスモルキナやオブラスツォーワのようなおっとりとしていて清楚、可憐なバレリーナが、今のマリインスキーではあまり待遇が良くない感じがして、残念ですね。ラトマンスキー版の「シンデレラ」、全幕を観てみたいと思いました。
「白鳥の湖」でオスモルキナのパートナーだったのが、レニングラード国立バレエのベテラン、キリル・ミャスニコフ。最近来日メンバーに入っていなかった彼ですが、実に端正な王子様です。立っているだけで王子なのです。サポートも上手だし、地味ながらも年齢を感じさせないスマートさがあります。「くるみ割り人形」の葦笛の踊りでは、バレエ学校の生徒たちに対する教師をお茶目に演じていて、また別の魅力も発揮しています。
この公演の芸術監督、ナタリア・オシポワは、これぞロシアのキャラクターダンサーって踊りをたっぷりと見せてくれます。特にルースカヤはかっこいいのですが、こちらもぶつ切り映像が残念。
元レニングラード国立バレエで、去年マリインスキーに移籍したエレーナ・エフセーエワは、冒頭の「眠れる森の美女」ではあまりのお化粧の濃さにちょっとびっくりしてしまい、ついでに脚を元気良く高く振り上げていてちょっとソーモワ入ってしまったかと残念に思いました。が、その後の「バヤデルカ」では叙情的な本領を発揮。レニングラード国立バレエの「バヤデルカ」では彼女はガムザッティ役を踊っていましたが、ニキヤ役も似合います。いつもながら、ウェストがほっそりとしていて真っ白な肌がきれいです。「海賊」では圧倒的な華も感じさせてくれました。エフセーエワもワガノワ卒業生らしい、美しく伸びやかなポール・ド・ブラの持ち主です。
マリインスキーではまだコリフェだけど、昨年のアメリカツアーの「ドン・キホーテ」でエスパーダを踊ったりと、抜擢が続いている若手のコンスタンチン・ズヴェーレフ。背が高くて、ルックスがとてもいいので、来日したら人気が出るかもしれません。「バヤデルカ」のソロルはとてもよかったのですが、「海賊」のアリを踊るにはちょっと踊りがノーブルすぎたところがあります。でも、伸び代があるのを感じさせて、今後が楽しみなダンサーのひとりとなりました。
ダンチェンコからは、アレクセイ・リュビーモフとオクサーナ・クズメンコが参加。ドラマティックなバレエを身上とするダンチェンコらしく、リュビーモフはガラであっても白鳥の王子の演技の手抜きは無くて、憂いのある表情が素敵です。彼もとてもノーブルなダンサーで、サポートが抜群に上手いです。クズメンコは一昨年のダンチェンコの来日公演に参加していましたね。この二人による、「海賊」のアダージオが素晴らしかったです。振付がドミトリー・ブリャンツェフとありますので、多分ダンチェンコで採用している版なのでしょう。音楽が、「シルヴィア」のアダージオの曲を使っていてとても美しく、踊りの方も、音楽を生かして非常に叙情的で流れるようで、ふたりの世界に連れて行ってくれて素敵でした。
最近は世界中のガラでの常連の、ボリショイのオシポワとワシーリエフ。ワシーリエフの踊りが非常に荒くて、ちょっと残念と思いました。「パリの炎」では、高くアントルラッセしながら、空中で2回脚を打ち付けるという超絶技巧を見せてくれたものの、勢いあまっていたり、着地があまりきれいじゃなかったり。年末のボリショイの公演で「ドン・キホーテ」全幕を観たときには、ここまで荒くなかったので、バカンス明けで調子が良くなかったと思うことにします。若いので、きっと美しさはこれから身につけてくれることと期待することにします。「パリの炎」は残念ながら女性ヴァリエーションが入っていなかったのですが、オシポワはいつもながらの跳躍力で、全身バネのような身体で、頭と脚がくっつきそうなほど大きく背中をそらせた跳躍を見せてくれます。最後の「ドン・キホーテ」のグラン・フェッテでは、余裕たっぷりにトリプルをいくつも入れていて、軸もぶれなくて、見事なものでした。
全体的な公演の質は高かったのですが、「白鳥の湖」の時など、バレエ学校の生徒たちが邪魔かも、と思ってしまうことがあって、出演者が一流なのに発表会チックに見えることもありました。バレエ学校の主催公演だったのでしょうか。でも、これだけロシアバレエをたっぷりと見せてくれる映像はなかなかないし、それぞれのダンサーも良いし、楽しく観ることができました。
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コメント
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naomiさん、こんにちは。
私もこのDVDみました。踊り自体は楽しく観られたのに何でこんな撮り方するんでしょうねぇ。激しく同感です。足先が見えない、アップが多い。。特に上からの映像。バレエファンでこの撮り方を喜ぶ人はいるんでしょうか。かなりのストレスで、2度に分けてDVDをみました。途中からは、「きっとこの後、上からの映像だよな」って予想しながら開き直って観てました(笑)踊りそのものの感想はnaomiさんと似ていて、何故か一安心(←なんでだろう?)
次に届くDVDはマリインスキーのドンキか新国立のライモンダ。個人的には、ノーヴィコワのキトリが楽しみです。
投稿: kimi | 2009/05/17 09:07
naomiさんこんばんわ(o^-^o)
このDVD買おうかと迷ったんですが、新国立のライモンダとロパートキナとザハロワのドキュメンタリーを優先したのですが、足先が見えないのはストレスがたまりますね( #` ¬´#)
東京文化会館の4列目あたり?の感覚でしょうか!
でも観ておきたいので多分買うと思います(^-^;
投稿: kumi | 2009/05/17 23:20
詳しい解説ありがとうございます。
撮影が良くないという噂は聞いていたので二の足踏んでいたのですが、見所を教えてもらうと俄然欲しくなります。
と言うかザハロワ・ガラでメルクーリエフのファンになったので、買います!
投稿: ogawama | 2009/05/18 00:01
kimiさん、こんばんは。
最近のバレエの映像って、こういうクローズアップ多様、切り替え多すぎって映像多くないですか?マリンスキーの「白鳥の湖」「火の鳥」、パリ・オペラ座の「椿姫」、「21世紀に輝くエトワールたち」などなど。普通に素直に正面からフィックスで撮ってくれたほうがずっといいですよね。NHKでの放映される映像は、その点、比較的つぼを押さえてくれていると思うのですが。
上からの映像も、最近時々あるんですけど、多分バレエのことを良く知らない人が撮っているんでしょうね。踊りはいいのにもったいない…。私も、ロシアバレエを観ると、落ち着くんですよね。なんでだろう。
私も次に届くのは、新国立劇場のライモンダと白鳥のセットです。ノーヴィコワのキトリも、この間のヴァリエーションレッスンでのひたむきさに好感が持てたので、楽しみです。彼女は今産休中なんですよね。
投稿: naomi | 2009/05/18 00:41
kumiさん、こんばんは。
東京文化会館の4列目あたり?の感覚って上手い表現ですね。あそこは、前の人の頭さえなければいいんですけどね。オーチャードホールの最前列、という方が合っているかも?顔の表情はばっちり、みたいな。フェッテとかしている時に足先が見えないのはストレスですよ~。でも、出演者も演目もホントにいいんですよね。あまり上手ではないバレエ学校の生徒がいっぱい出てくるのも困ったものですが。もったいないお化けが出そうです。
投稿: naomi | 2009/05/18 00:52
ogawamaさん、こんばんは。
メルクーリエフのファンなら、これは買うべきですよ~♪「シンデレラ」の王子様の麗しさと、「アダージオ」の美しいソロと、いかした世界一のエスパーダが見られますから!ガラ映像は自分の気に入った人のばっかり見ちゃうんですよね、結局。
投稿: naomi | 2009/05/18 00:59
こんばんわ( ^ω^ )
オーチャードホールの最前列も足が見えないんですね!
バレエ学校の生徒も中高校生ぐらいの年齢である程度のレベルがあるのはまだいいのですが、素人同然の子供をだすのはやめて欲しいですね~
最近はあまりありませんが、外国のバレエ団の公演に日本の子供がでるのも周りから浮くので嫌です(`ε´)
発表会じゃなくてプロの公演なのですからね!
投稿: kumi | 2009/05/18 20:47
kumiさん、こんばんは。
オーチャードは、最前列は膝から上しか見えないし、段差も10列目まで無いので、バレエでは10列より前には座っちゃいけないんですよ。
この映像のバレエ学校の生徒は、そこらへんの教室の生徒レベルだと思います…。デンマーク・ロイヤル・バレエは引っ越し公演なのに、バレエ学校の生徒たちを連れてきていて、すごいなあ、って思いました。みんな可愛くて上手だし。踊らない役では日本人の子もいましたが、舞台の上にいる人の数が多いので気になりませんでした。
投稿: naomi | 2009/05/19 01:58
naomiさんこんにちは(o^-^o)
オーチャードは10列まで段差がないんですね!
それは厳しいw(゚o゚)w バレエむきの会場ではないですね~
デンマークロイヤルバレエのナポリは本当に観る機会がないので観たかったのですが、調整できず残念゚゚(´O`)°゚
ブルノンヴィル版ラシルフィードとかも生で観てみたいです♪
投稿: kumi | 2009/05/19 12:51
kumiさん、こんばんは。
そうなんですよ~オーチャードはバレエ向きの会場じゃないんです。オーケストラが入る場合には最初の5列くらいを潰してオーケストラピットにするんですけどね。前に8列目のセンターに座ったら、前の人の頭しか見えなくて参りました。オーチャードでお勧めの席は、2階や3階のバルコニー席で、意外と舞台に近くて、足元もしっかり見えます。
デンマークロイヤルは東京と兵庫だけでしたからね…。ナポリは多分ここでしかやっていないから、貴重な経験でした。今日は新国立劇場にダンサーの皆さんが来ていたけど、本当に美男美女ばかりでしたね。
投稿: naomi | 2009/05/20 02:03