4/29 シュツットガルト・バレエ GOECKE, LEE UND CLUG Stuttgarter Ballett
GOECKE, LEE UND CLUG
とっても面白かったです!ここの人たちはコンテンポラリーがすごくいい!音楽のセンスが素晴らしい。キース・ジャレット、スティーヴ・ライヒなどを使っていますが、動きが実に音楽的だし、自在に動く肉体を題材に作ったアートがダンスなのだと思いました。
Premiere: Mittwoch, 29. April 2009, Schauspielhaus
Marco Goecke Bravo Charlie
Douglas Lee Lifecasting
Edward Clug Pocket Concerto
Lifecasting
Deutsche Erstaufführung ドイツ初演
Music Op. 1 (Third Movement) (2000 and 2001) by Ryoji Ikeda
Triple Quartet (1998) by Steve Reich
Alicia Amatriain, Hyo-Jung Kang, Laura O'Malley, Alessandra Tognoloni, Rachele Buriassi,
Alexis Oliveira, William Moore, Emil Faski, Roland Havlica, Laurent Guilbaud, Mikhail Soloviev
NYCBのために、シュツットガルト・バレエのプリンシパルであるダグラス・リーが振付けた作品。先シーズン(2009年1月22日)にNYCBにて初演され、今シーズンも6月に3回上演される。この作品の初演キャストであるNYCBのソリスト、ロバート・フェアチャイルドのインタビューと、作品の一部がNYCBのYouTubeのオフィシャル動画で観ることができる。
http://www.youtube.com/watch?v=SlFK-xuaj24
音楽はスティーヴ・ライヒと、日本の池田 亮司(ダムタイプの舞台用の音楽で知られている)。ミニマリスト的な音楽なのだけど、起伏に富んでいて非常に美しい。11人のダンサーは Ines Aldaデザインによる衣装を着用。金色のボディスーツ(短パン型)の男性ダンサーたちと、水色のパイピングをしたレオタードの女性ダンサーたち。とても洗練されて美しい衣装。タイトルからも連想されるように、動く彫刻をイメージした振付で、非常に難しい音の取り方をしながら、印象的なポーズを取りながらも絶えずダンサーたちは動いている。緩やかに動いているかと思えば、鋭くスピーディな動きもあったりと緩急に富んでおり、パ・ド・ドゥもあればソロもあって複雑な構成となっている。オフバランスで股関節を180度以上に開いたアラベスクなど、フォーサイスの作品も連想させたりするところがあって、新鮮さはそれほどないけれども、残像を残してくれていて、音楽的で美しい作品だ。アリシア・アマトリアンがこの手の作品がとく英であることはいうまでもないけれども、韓国人の女性ダンサーHyo-Jung Kangのテクニックと音楽性の素晴らしさにも驚かされた。男性では、Alexis Oliveiraの身体能力がすごい。
Pocket Concerto
Uraufführung 世界初演
Besetzung
Oihane Herrero, Anna Osadcenko, Rachele Buriassi
Alexis Oliveira, William Moore, Brent Parolin, Attila Bako
振付家Edward Clug はスロベニア国立バレエの芸術監督。音楽は、これまたミニマルな音楽で、スロベニアのMilko Lazarによるピアノ演奏。女性ダンサーはポアント着用。幕が開くと、上から壁のような幕が降りていて、ちょうどダンサーたちの顔が切り取られているような感じになっている。最初の数分は、首なしのダンサーが踊っているのを見ているみたいで、とても奇妙な感じ。今度は、片方から突き出た黒板のようなもので、舞台の3分の一が遮られ、ダンサーの動きの一部を遮断している。縦、横というムーヴメントに対して、この切り取り方が効果を上げている。振付そのものは、イリ・キリアンの影響があるように思えたけれども、物理的に遮断するというアイディアが面白い。この作品を観て思ったのは、シュツットガルトのダンサーは上半身の使い方が非常にきれいであること。後ろ向きに踊っていることが多いため、背中の筋肉の動きが良く見える。腕を動かす時に背中をどういう風に使っているのかがわかる。非常に大きくダイナミックな腕の動き、一方で小刻みに足の裏を使って移動しており、高度なテクニックが求められている振付だ。7人のダンサーはそれぞれ素晴らしいパフォーマンスを見せたと思う。
Bravo Charlie
Deutsche Erstaufführung ドイツ初演
Musik Keith Jarrett The Köln Concert
Besetzung
Özkan Ayik, Matthew Crockard-Villa, Tomas Danhel, Magdalena Dziegielewska, Laurent Guilbaud, Roland Havlica, Alexander Jones, Dimitri Magitov, Laura O Malley, Myriam Simon, Alessandra Tognoloni, Elizabeth Wisenberg
今回の作品では間違いなくもっとも奇抜なものと言える、シュツットガルト・バレエ団の振付家Marco Goeckeの作品。2007年にScapino Ballet Rotterdam で初演されている。音楽は、キース・ジャレットのケルンでのライヴ録音。インプロヴィゼーションを多用したジャズに合わせて踊るということがまず、ダンサーにとっても非常に難しいことだと思う。その上、最初の登場した二人のダンサー(男女各1名)は、スーっという音をさせながら踊っていることで、摩訶不思議で奇妙なムードを作っている。
衣装もまたとても不思議な感じ。男女とも、黒いロングパンツを着用しているのだけど、この黒いパンツには、色鮮やかな赤い薔薇の花がたくさん縫い付けられているのだ。Stuttgart Staatstheater Journal 26号の表紙の写真で、そのイメージがわかると思う。唯一、女性ダンサーがポアントを履かない作品であり、男女の分別がつかないようなイメージ。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/oper/upload/opernjournal/3S_Journal_april09.pdf
この作品は上半身の動きが中心で、最初のうちは痙攣するような動きも多くてあまりの奇抜さにどうしようかと思った。途中で、ダンサー二人がひょっとこのお面みたいなのをつけたりしているところもある。照明の使い方も独特で、上記Journalの写真からも判るように、残像が残るような効果を作り上げている。観続けているうちに、ダンサーたちの腕の動きのしなやかさに魅せられていった。暗闇の中に浮かび上がったダンサーの腕が、鳥の翼のようにはためき、きらめく残像を残していく。
この作品の写真は、現在のシュツットガルト・バレエのトップページにも載っている。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/start.htm
そしてダンサーたちの中でも、この写真に写っているミリアム・サイモンの動きが美しかった。3月に観た「眠れる森の美女」で彼女はリラの精を踊っていたのだけど、古典とはまるで違う、このような斬新な作品でも個性を見せられるのはとても素敵。キース・ジャレットのトランスさせるような音楽を聴きながら、まさに動くアートそのものであるこの作品を観ると、陶酔感に襲われていく。面白かった!
19.30 Uhr
Schauspielhaus
初演の批評(ドイツ語)
http://www.stuttgarter-nachrichten.de/stn/page/2013869_0_2570_-stuttgarter-ballett-premiere-im-schauspielhaus-bewegungen-der-musik-anvertraut.html
こちらは写真あり
http://www.ez-online.de/lokal/kultur/schaufenster/Artikel377984.cfm?service=rss
ちなみに、来シーズンの発表は5月中旬ころとのこと。新プリンシパルも誕生するのでお楽しみに。
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