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2009年4月

2009/04/30

4/29 シュツットガルト・バレエ GOECKE, LEE UND CLUG Stuttgarter Ballett

GOECKE, LEE UND CLUG

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とっても面白かったです!ここの人たちはコンテンポラリーがすごくいい!音楽のセンスが素晴らしい。キース・ジャレット、スティーヴ・ライヒなどを使っていますが、動きが実に音楽的だし、自在に動く肉体を題材に作ったアートがダンスなのだと思いました。

Premiere: Mittwoch, 29. April 2009, Schauspielhaus
Marco Goecke Bravo Charlie
Douglas Lee Lifecasting
Edward Clug Pocket Concerto

Lifecasting
Deutsche Erstaufführung ドイツ初演

Music Op. 1 (Third Movement) (2000 and 2001) by Ryoji Ikeda
Triple Quartet (1998) by Steve Reich

Alicia Amatriain, Hyo-Jung Kang, Laura O'Malley, Alessandra Tognoloni, Rachele Buriassi,
Alexis Oliveira, William Moore, Emil Faski, Roland Havlica, Laurent Guilbaud, Mikhail Soloviev

NYCBのために、シュツットガルト・バレエのプリンシパルであるダグラス・リーが振付けた作品。先シーズン(2009年1月22日)にNYCBにて初演され、今シーズンも6月に3回上演される。この作品の初演キャストであるNYCBのソリスト、ロバート・フェアチャイルドのインタビューと、作品の一部がNYCBのYouTubeのオフィシャル動画で観ることができる。
http://www.youtube.com/watch?v=SlFK-xuaj24

音楽はスティーヴ・ライヒと、日本の池田 亮司(ダムタイプの舞台用の音楽で知られている)。ミニマリスト的な音楽なのだけど、起伏に富んでいて非常に美しい。11人のダンサーは Ines Aldaデザインによる衣装を着用。金色のボディスーツ(短パン型)の男性ダンサーたちと、水色のパイピングをしたレオタードの女性ダンサーたち。とても洗練されて美しい衣装。タイトルからも連想されるように、動く彫刻をイメージした振付で、非常に難しい音の取り方をしながら、印象的なポーズを取りながらも絶えずダンサーたちは動いている。緩やかに動いているかと思えば、鋭くスピーディな動きもあったりと緩急に富んでおり、パ・ド・ドゥもあればソロもあって複雑な構成となっている。オフバランスで股関節を180度以上に開いたアラベスクなど、フォーサイスの作品も連想させたりするところがあって、新鮮さはそれほどないけれども、残像を残してくれていて、音楽的で美しい作品だ。アリシア・アマトリアンがこの手の作品がとく英であることはいうまでもないけれども、韓国人の女性ダンサーHyo-Jung Kangのテクニックと音楽性の素晴らしさにも驚かされた。男性では、Alexis Oliveiraの身体能力がすごい。


Pocket Concerto
Uraufführung 世界初演
Besetzung
Oihane Herrero, Anna Osadcenko, Rachele Buriassi
Alexis Oliveira, William Moore, Brent Parolin, Attila Bako

振付家Edward Clug はスロベニア国立バレエの芸術監督。音楽は、これまたミニマルな音楽で、スロベニアのMilko Lazarによるピアノ演奏。女性ダンサーはポアント着用。幕が開くと、上から壁のような幕が降りていて、ちょうどダンサーたちの顔が切り取られているような感じになっている。最初の数分は、首なしのダンサーが踊っているのを見ているみたいで、とても奇妙な感じ。今度は、片方から突き出た黒板のようなもので、舞台の3分の一が遮られ、ダンサーの動きの一部を遮断している。縦、横というムーヴメントに対して、この切り取り方が効果を上げている。振付そのものは、イリ・キリアンの影響があるように思えたけれども、物理的に遮断するというアイディアが面白い。この作品を観て思ったのは、シュツットガルトのダンサーは上半身の使い方が非常にきれいであること。後ろ向きに踊っていることが多いため、背中の筋肉の動きが良く見える。腕を動かす時に背中をどういう風に使っているのかがわかる。非常に大きくダイナミックな腕の動き、一方で小刻みに足の裏を使って移動しており、高度なテクニックが求められている振付だ。7人のダンサーはそれぞれ素晴らしいパフォーマンスを見せたと思う。


Bravo Charlie
Deutsche Erstaufführung ドイツ初演
Musik Keith Jarrett The Köln Concert
Besetzung
Özkan Ayik, Matthew Crockard-Villa, Tomas Danhel, Magdalena Dziegielewska, Laurent Guilbaud, Roland Havlica, Alexander Jones, Dimitri Magitov, Laura O Malley, Myriam Simon, Alessandra Tognoloni, Elizabeth Wisenberg

今回の作品では間違いなくもっとも奇抜なものと言える、シュツットガルト・バレエ団の振付家Marco Goeckeの作品。2007年にScapino Ballet Rotterdam で初演されている。音楽は、キース・ジャレットのケルンでのライヴ録音。インプロヴィゼーションを多用したジャズに合わせて踊るということがまず、ダンサーにとっても非常に難しいことだと思う。その上、最初の登場した二人のダンサー(男女各1名)は、スーっという音をさせながら踊っていることで、摩訶不思議で奇妙なムードを作っている。

衣装もまたとても不思議な感じ。男女とも、黒いロングパンツを着用しているのだけど、この黒いパンツには、色鮮やかな赤い薔薇の花がたくさん縫い付けられているのだ。Stuttgart Staatstheater Journal 26号の表紙の写真で、そのイメージがわかると思う。唯一、女性ダンサーがポアントを履かない作品であり、男女の分別がつかないようなイメージ。

http://www.staatstheater.stuttgart.de/oper/upload/opernjournal/3S_Journal_april09.pdf

この作品は上半身の動きが中心で、最初のうちは痙攣するような動きも多くてあまりの奇抜さにどうしようかと思った。途中で、ダンサー二人がひょっとこのお面みたいなのをつけたりしているところもある。照明の使い方も独特で、上記Journalの写真からも判るように、残像が残るような効果を作り上げている。観続けているうちに、ダンサーたちの腕の動きのしなやかさに魅せられていった。暗闇の中に浮かび上がったダンサーの腕が、鳥の翼のようにはためき、きらめく残像を残していく。

この作品の写真は、現在のシュツットガルト・バレエのトップページにも載っている。
http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/start.htm
そしてダンサーたちの中でも、この写真に写っているミリアム・サイモンの動きが美しかった。3月に観た「眠れる森の美女」で彼女はリラの精を踊っていたのだけど、古典とはまるで違う、このような斬新な作品でも個性を見せられるのはとても素敵。キース・ジャレットのトランスさせるような音楽を聴きながら、まさに動くアートそのものであるこの作品を観ると、陶酔感に襲われていく。面白かった!

19.30 Uhr
Schauspielhaus

初演の批評(ドイツ語)
http://www.stuttgarter-nachrichten.de/stn/page/2013869_0_2570_-stuttgarter-ballett-premiere-im-schauspielhaus-bewegungen-der-musik-anvertraut.html
こちらは写真あり
http://www.ez-online.de/lokal/kultur/schaufenster/Artikel377984.cfm?service=rss

ちなみに、来シーズンの発表は5月中旬ころとのこと。新プリンシパルも誕生するのでお楽しみに。

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2009/04/29

ハンブルク・バレエの2009/2010シーズン発表 The Hamburg Ballet 2009/2010 Season

お友達M.Iさんから教えていただきました。ハンブルクバレエの2009/2010シーズンが発表されました。

シーズンのオープニングは、「ニジンスキー」です。

http://www.hamburgballett.de/e/kalender_09_10.htm

そして、何よりもビッグニュースは、ノイマイヤーが、ロベルト・ボッレのために新作「オルフェウス」を振付けること。音楽はストラヴィンスキーです。
http://www.hamburgballett.de/e/rep/orpheus.htm

プレミアは12月6日で、4公演行われます。

空港のラウンジで書いているので、詳しくはまだ後ほど。

Premieres (新作)

Orpheus
December 6 | 8 | 9 | 10, 2009 (with Roberto Bolle)
January 7 | 15 | 16 | 21; June 25, 2010

The Floating World – Seven Haiku of the Moon/Seasons – The Colors of Time/N.N.
June 13 | 15 | 24, 2010
Seven Haiku | Seasons | N.N.

Revivals (リバイバル)

A Streetcar Named Desire
14. | 18. | 22. (2x) November 2009
June 26, 2010


Illusions – like "Swan Lake"
April 23 | 24 | 28 | 30; May 2 (2x), 2010
June 20, 2010


Repertory

Nijinsky
September 12 | 18, 2009
April 9 | 16 | 20; June 16, 2010


The Little Mermaid
September 15 | 16, 2009
October 27 | 28; November 4, 2009


Hommage aux Ballets Russes
September 24 | 25, 2009
7 | 8 | 11 May; 18 June 2010
The Prodigal Son | | Le Pavillon d'Armide | Le Sacre


The Nutcracker
December 22 | 26 (2x) | 30, 2009
January 9 | 10 (2x), 2010


Christmas Oratorio
December 23 | 27 (2x), 2009
January 1 | 3 (2x), 2010


La Sylphide (Chor. Pierre Lacotte)
March 5 | 6 | 16 | 17 | 20, 2010


Death in Venice
March 12 | 13, 2010


Daphnis and Chloe/Afternoon of a Faun/Le Sacre
March 27 | 29; April 6; May 20 | 30; June 19, 2010


Saint Matthew Passion
April 1 | 2 | 5, 2010


Sylvia
May 15 | 18 | 24, 2010
June 17, 2010

来シーズンのハンブルク・バレエのラインアップは魅力的です。なんといっても「幻想 白鳥の湖のように」を上演するのが素敵ですね。しかもゴールデンウィークの時期です。また、もう一つのリバイバル、「欲望という名の電車」も興味深いですよね。もちろん、「ニジンスキー」は機会があれば観たい作品だし、「ヴェニスに死す」も観たいなあ。

エカテリーナ・マキシモワ逝去 Obituary for Ekaterina Maximova

シャルル・ドゴール空港のエールフランスラウンジでネットを見ていたら、悲しいニュースが飛び込んできました。

エカテリーナ・マキシモワが亡くなったとのことです。享年70歳。現役のバレエ教師として働いており、今までは病気とは報じられていませんでした。まだ死因は発表されていません。

http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5hb1_fDBuNDSawpL0q3KlWJcGbN6AD97RGQUO2

ボリショイで30年にわたって活躍し、夫のウラジーミル・ワシリエフとともに伝説的なパートナーシップを築いた彼女。ワシリエフは、海外からモスクワに戻る途中で悲報を受け取ったとのことです。

「彼女の死は早すぎた。彼女はまだ力に満ちていたのに」とは、ニコライ・ツィスカリーゼのコメントです。また、ボリショイのブールラカ芸術監督や、ボリス・アキモフも、ボリショイの黄金時代を飾った彼女を悼むコメントを寄せていました。

「アニュータ」での成熟した二人による愛のパ・ド・ドゥは本当に素敵でしたよね。それから、「くるみ割り人形」の映像でのマキシモワの可憐さも忘れられません。

ご冥福をお祈りします。

2009/04/28

マリインスキー・バレエの関西公演

マリインスキー・バレエの地方公演のキャストが気になっている方も多いかと思います。

愛知公演の「眠れる森の美女」はヴィシニョーワとコールプと発表されています。

関西公演については、Kitri's funny days様
http://kitori-bayadere.cocolog-nifty.com/
で教えて頂きました。Kitriさんありがとうございます!

びわ湖ホールからのDM速報で、11月28日『眠れる森の美女』の予定ソリストは、オブラスツォーワとシクリャローフとなっていたそうです。

12月6日の兵庫芸術文化センターの『白鳥の湖』は主催元に確認したところ、予定ソリストは、ロバートキナとコルスンツェフとのことだそうです。

あくまでも予定であり、特にマリインスキーはキャスト変更が多発し、ジャパンアーツからも、最終的には当日発表ということです。

が、関西公演、めっちゃ魅力的ですね!東京では今の所予定されていないオブラスツォーワの眠り。そして兵庫のロパートキナ、コルスンツェフの至高のペア。関西遠征をしたくなった方もいるのでは?

4/26 パリ・オペラ座学校公演/4/29~5/6までシュツットガルト&パリ

明日の夜に出発する準備で日曜日からバタバタしていました。おかげで、公演の感想などもみんな中途半端になってしまっていて、申し訳ない限りです。

予定では、4/29にシュツットガルトでトリプルビル「GOECKE, LEE UND CLUG」を観て、4月30日から5月5日まで、パリ・オペラ座で「オネーギン」と「ガット/ドゥアト/プレルジョカージュ」のトリプルビルを観ます。

日曜日のジャパンアーツ夢倶楽部会員のマリインスキー・バレエのチケット発売では、またひどい目に遭いました…。朝から電話し続けたものの、一向に電話がつながらず、3時からオペラ座学校公演ということで、2時までは家で電話をしていたけどダメでした。休憩時間に東京文化会館で電話をしたところ、やっとつながったのですが、人に頼まれた分などもあったりしたら、休憩時間が終わりそうになったので一旦そこまでにして、次の休憩でまた電話して追加しました。そして、肝心のロパートキナとコルスンツェフの公演、友人の分は取ったのに自分の分を取り忘れて、終演後にまた電話。一日電話に振り回されて、落ち着いて公演を観ることができなくて残念でした。

一応、今回はちょっと長い旅になるので、連絡が取れるようにとモバイルパソコンを購入しました。HPのヴィヴィアン・タム・エディション。真っ赤なボディに、ピンクの芍薬の花。超可愛くてどうしても欲しかったのでした。セットアップはちょっと苦労しましたが、とても使いやすい。余裕があれば現地からでも何か書き込めたらと思います。

パリ・オペラ座バレエ学校公演

「ペシェ・ド・ジュネス」
振付:ジャン=ギヨーム・バール
音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
弦楽ソナタ第1番ト長調、および第3番ハ長調、第4番変ロ長調、第5番変ホ長調より  
第1パ・ド・ドゥ:レティツィア・ガローニ、レミ・カタラン
第2パ・ド・ドゥ:エンマ・デュミエール、ネヴェン・リトマニク
3組のカップル:
ソフィー・マイユー、フランソワ・アリュ
ジュリエット・ジャック、ボリス・リシャール
クレール・ルファ、アンドレアス・ベズィジェン
6組のカップル:
アメリ・ジョアニデス、ダルジャ・クルプコヴァ
クロティルド・トラン=ファ、クレール・トゥルヴェ
リリア・ファン・ムール、マリー・ヴァルレ
ダヴィッド・オボワン=テイオ、マチュー・コンタ
エティエンヌ・ドゥメゾン、コンスタン・ヴィジェ
フロラン・ムラック、バティスト・クロ―ドン

これはいかにもフランス・バレエ的な、プロットレスのネオクラシック作品。コンセプトは違うけど、「白の組曲」に構成が似ていると思った。観ていて思ったのは、フランス・バレエとロシア・バレエってやはり全然違うものであり、こと表現に関しては、私はロシアバレエが好きなんだな、と思ってしまった。上半身の使い方が、毎回パリ・オペラ座を観るたびに気になってしまう。柔らかさが足りなくて直線的なのだ。流れるような振付で、印象に残りにくい。一人一人のダンサーは、さすがに粒が揃っていて、いますぐにプロの舞台に立てるような人たちだったけど、逆に言えば、突出して良いダンサーがいない気がした。女の子の取り合いとか、ちょっと可笑しなところがあったのは面白いと思ったけど、どうしても発表会っぽいのがいなめない。


「スカラムーシュ」
振付:ジョゼ・マルティネス
音楽:ダリウス・ミヨー 他
スカラムーシュ:エティエンヌ・フェレール
コロンビーヌ:コラリー・グラン
ドンナ:ウジェニー・ドリオン
アルルカン:シモン・カトネ
パンタローネ:イザク・ロペス=ゴメス
ドットーレ:テオドール・ネルソン
タルターリア:アルチュール・クラヴェル
プルチネッラ:アドリアン・シェフェール・ホージョージ
バレリーナ:エロイーズ・ジョケヴィエル
王子:パブロ・レガザ
のろま:シーナ・ソブーティ=イラン
バレリーナたち:
アリシア・バイヨン、サロメ・シナモン、アワ・ジョアンネ、テオドラ・ルウー、
メリザンド・パスカル、ジャド・パス=バルデ、ケリー・リフォー・ラヌリ、
ダフネ・ヴィドゥヴィエ、マリーン・ボンドゥエル
ネズミたち:
マノン・カザリス、フィリピーヌ・グロック、ジュリー・マニョン=ヴェルディエ、
マルゴー・リウブラン、アリアンヌ・セルヴァジャン

ピアノ: トリスタン・ロフィシアル、ステファノ・ヴィスマラ

スカラムーシュ役の男の子が幕の前に出て、日本語で前口上を述べる。このエティエンヌ・フェレールは、とても演技が達者だ。途中で日本語をトチると、幕の後ろから、ジュンタロー・コストと思しき男の子がプロンプターとして活躍。スカラムーシュ役エティエンヌ・フェレールは踊る、踊る。しっかりとしたテクニックの子だ。他の日は、日本とドイツのハーフというジュンタロー・コストがこの役を演じていたようだ。

そして幕が開くと、そこはおもちゃ箱をひっくり返したような世界でとても楽しかった。コロンビーヌやアルルカン、プルチネラらに扮した低学年の生徒たちがふざけあうように動き回り、可愛いのなんのって。プルチネッラのアドリアン・シェフェール・ホージョージは、日本人とのハーフで、可愛らしい顔立ちで目立っていた。下手にはピアノが2台。そして子ネズミの扮装をした女の子たち。バーがあって、そこでバーレッスンをするのは、ひとりひとりちょっと衣装が違っているのがおしゃれなバレリーナたち。突然、音楽が「ラ・バヤデール」の影の王国の曲に一瞬だけ変わるのが面白い。そしてグレーのタイツを履いた男の子たちもバーレッスンをするけど、子供なので途中で飽きてきてふざけていたら、先生がやってきて、ほとんどの子達はレッスンに戻るけど、二人だけは気がつかない。さすがだな、と思ったのは、これら低学年の子供たちでも、しっかりお客さんに踊りを見せるという意識や、笑わせようという意識が備わっていること。単に子供が踊っていて可愛いのではなくて、彼らの演技や踊りが可愛いのだ。様々な音楽のコラージュ、ちょっと大胆でキュートなアニエス・ルテステュによる衣装。今日の作品の中で一番楽しかった。ジョゼには、ちょっと変わった作品を作る才能があるのかしら。

「ヨンダーリング」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:スティーブン・.フォスターによる西部アメリカの民謡
パリ・オペラ座バレエ学校 2009年日本公演
 
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:スティーブン・.フォスターによる西部アメリカの民謡

1. 金髪のジェニー
エリオ・クラヴェル、ピエール=アルチュール・ラヴォー、
エティエンヌ・フェレール、レミ・カタラン、ネヴェン・リトマニク、フランソワ・アリュ

2. 恋人よ、窓を開け
カリスタ・ルア
ジュリエット・ジャック、アメリ・ジョアニデス、アリス・ルルー、ソフィー・マイユー、
カロリーヌ・オスモン、リリア・ファン・ムール

3. モリー、私を愛しているの?
リリア・ファン・ムール、ニッコロ・バロッシーニ

4. ダンシング・オン・ザ・リヴァー
リリア・ファン・ムール、ニッコロ・バロッシーニ
ヴィクトワール・ドゥべ、アリエノール・ドゥカリス、ヴァランティーヌ・イレール、
ダルジャ・クルプコヴァ、ティフェーヌ・プレヴォー、アリゼ・シクル、クロティルド・トラン=ファ、
クレール・トゥルヴェ、コンスタン・ヴィジェ、ダヴィッド・オボワン=テイオ、ナタン・ブズィ、
マチュー・コンタ
アレクサンドル・ダムス、エティエンヌ・ドゥメゾン、シャルル・マンシュ、フロラン・ムラック
エンマ・デュミエール、アメリ・ジョアニデス、レティツィア・ガローニ、クレール・ルファ、
レミ・カタラン、エティエンヌ・フェレール、ネヴェン・リトマニク、アンドレアス・ベズィジェン、

5. 夢路より
ピエール=アルチュール・ラヴォー、エリオ・クラヴェル
カリスタ・ルア

6. そいつが問題
ピエール=アルチュール・ラヴォー
レミ・カタラン、エリオ・クラヴェル、エティエンヌ・フェレール、ネヴェン・リトマニク、
コンスタン・ヴィジェ、フランソワ・アリュ、ダヴィッド・オボワン=テイオ、
エティエンヌ・ドゥメゾン、マチュー・コンタ
アレクサンドル・ダムス、シャルル・マンシュ、フロラン・ムラック、
アンドレアス・ベズィジェン、バティスト・クロードン

7. ああ!赤いバラよいつまでも咲いていてくれ
カリスタ・ルア、ピエール=アルチュール・ラヴォー
ソフィー・マイユー、レミ・カタラン
ジュリエット・ジャック、アンドレアス・ベズィジェン
カロリーヌ・オスモン、フロラン・ムラック
アメリ・ジョアニデス、エティエンヌ・フェレール
アリス・ルルー、ネヴェン・リトマニク
リリア・ファン・ムール、ニッコロ・バロッシーニ
エリオ・クラヴェル

ローザンヌ・コンクールのノイマイヤー・ヴァリエーションでもお馴染みの作品だけど、全編を観るのは初めて。青春の光と影、友情、愛と別れをちょっと甘酸っぱいノスタルジックなタッチで描いている。スティーブン・.フォスターによる西部アメリカの民謡が、感傷的な雰囲気を盛り上げていて、とても素敵。ヴォーカルつきの曲で踊るのってあまり好きじゃないのだけど、この作品に関しては、音楽のセンスがとてもよい。
女の子は白い衣装で髪をおろしており、男の子は上半身裸に白いパンツ(下着じゃない方の)。オペラ座学校の生徒たちは、ひょっとして、ネオクラシックなどの古典的な動きより、こういうコンテンポラリーダンスの語彙のほうがしっくり来るという気がした。

残念だったのがプログラムで、生徒たちの名前が載っているだけで、学年別ではなく五十音別に並べられていること。そして、彼らの写真がまったく載っていないこと。人数が多いから一人一人は難しいのかもしれないけど、集合写真でもいいから載せて欲しかった。顔と名前を一致させるのが難しい。この中から、将来のエトワールが誕生することだって大いにありえるのに。


客席には、ジョゼ・マルティネスとジャン=ギョーム・バールの姿が。私、30日のジョゼ主演の「オネーギン」を観るんですけど、本当に大変なスケジュールなこと。そして、ジャン=ギョーム・バールのカッコよさにはしびれてしまった。長身で顔が小さく、脚が長くてほっそりとしていて。メガネをかけていて知的な雰囲気。ノーブルな彼が早く引退しなければならなかったのは、本当に残念なこどだった。そうだ、もちろん、プラテル校長もカーテンコールに立っていて、レベランスも相変わらず美しいけど、まるで子供たちの母親のような雰囲気も合った。

2009/04/26

第22回バレエの祭典のラインナップ発表

ようやく、第22回バレエの祭典のラインナップが発表されました。なんか微妙なラインアップですが。

http://www.nbs.or.jp/saiten2009/index.html

 Ⅰ シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー (1演目)
   「聖なる怪物たち」 2009年12月 
   Sylvie Guillem and Akram Khan Sacred Monsters
 
 Ⅱ パリ・オペラ座バレエ団 (2演目)
   「ジゼル」、「シンデレラ」 2010年3月
Paris Opera Ballet Giselle Cinderella

 Ⅲ マラーホフの贈り物 2010年5月 (2演目)
Malakhov and Friends

 Ⅳ 英国ロイヤル・バレエ団 (2演目)
   「ロミオとジュリエット」 ほか 2010年6月
The Royal Ballet Romeo and Juliet +1

 Ⅴ オーストラリアバレエ団 (2演目)
   「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」 2010年10月
The Australian Ballet Swan Lake Nutcracker (Greham Murphy)


 Ⅵ 東京バレエ団創立45周年記念シリーズ (3演目選択) The Tokyo Ballet
   「ラ・バヤデール」マカロワ版 2009年9月
La Bayadere Natalia Makarova
   「くるみ割り人形」コジョカル&マックレー主演 2009年11月
Nutcracker Guests: Alina Cojocaru and Steven McRae
   「ラ・シルフィード」サラファーノフ主演 2010年1月
La Sylphide Guest:Leonid Sarafanov
   「シルヴィア」アシュトン版 セミオノワ主演 2010年2月
Sylvia Guest:Polina Semionova

S会員 全12演目をS席で鑑賞 1口=207,000円 または 204,000円
A会員 全12演目をA席で鑑賞 1口=180,000円 または 177,000円
B会員 全12演目をB席で鑑賞 1口=153,000円 または 150,000円
会費は<東京バレエ団創立45周年記念公演シリーズ>で選択した演目により、異なります。

5月20日より郵送受付開始ということなので、そろそろ現祭典会員には案内が送られてくることでしょう。

オーストラリア・バレエが2010年に来日するというのはオーストラリアの記事で読んでいたし、東京バレエ団のラインアップは知っていたり、東京文化会館の会報誌でパリ・オペラ座の演目もさりげなく書いてあったりしていました。

でも、ロイヤル・バレエがまた来るのは正直びっくりです。去年の来日公演、ずいぶん動員に苦労していたようだったのに。3年に1回だったのが、2年ぶりと来日サイクルが早まるんですね。けが人が続出したり、アレクサンドラ・アンサネッリが突然引退を表明したりと、ソリスト以上が相当手薄な感じのロイヤル・バレエなんですが…。
「ロミオとジュリエット」に吉田都さんが出演するということがあったらすっごく嬉しいのですが、NBSは都さんの出演をあまりさせてくれないので望み薄なのかしら。ロイヤル・オペラハウスでの2009-2010シーズンでは「ロミオとジュリエット」の上演は、12-20 January/4-25 February/1-12 March 10とあるんですね。もしかして、最近上り調子のチェ・ユフィさんがジュリエット・デビューなんてこともあるのではないかとちょっと期待します。来日時にはプリンシパルに上がっていたりして。もう一つは何でしょうか。「ラ・フィユ・マル・ガルデ」あたり?
いずれにしても、本場マクミランの「ロミオとジュリエット」が観られるのは嬉しいです。

オーストラリア・バレエは前回公演でも素晴らしかったグレアム・マーフィ版の「白鳥の湖」。これがまた観られるのは嬉しいですね。また、同じくマーフィ版の「くるみ割り人形」、これも映像で観たことがあるのですが、老婦人となったクララの回想から始まるというもので、素敵なヴァージョンです。ルジマトフが以前インタビューで語っていましたが、ミハイロフスキー劇場(レニングラード国立バレエ)で、このマーフィ版をレパートリーに入れる予定だそうです。

「マラーホフの贈り物」は共演が誰かが気になりますね。今回はマラーホフが踊るビゴンゼッティ作品が観たいです。「カラヴァッジオ」などやってくれたら最高なんですが。

パリ・オペラ座の「ジゼル」と「シンデレラ」はちょっと微妙な演目ですよね。といいつつも、来日モノでの「ジゼル」ってけっこう珍しいし、アルブレヒト向きのダンサーはけっこういるので、もちろん楽しみなのですが(反面ジゼル役ってプジョルくらいしか思いつきません)。「シンデレラ」は、映像で観たら、昔観たギエム主演のものより面白いとは思ったんですが、男性の見せ場が王子とダンス教師の踊りくらいしかないんですよね。無理かなとは思いつつ「ライモンダ」とか観たかったです。

「ル・パルク」での来日が発表された時に、NBSが、パリ・オペラ座がコンテ作品で来日するのは当財団とは関係がありません、NBSは2010年にグランド・バレエ2演目の公演を予定しています、とありますが、グランド・バレエが「ジゼル」と「シンデレラ」ですかい、と突っ込みたくなります。

そして東京バレエ団が3演目入ってくるのは正直言って多いです。ほとんどの人が疑問に思っているだろうことは、「ラ・バヤデール」のゲストがまだ決まっていないのか!ってこと。マカロワ版では初日ゲストは崩せないと思いますので…。9月の公演なら、そろそろ決まってもいい頃だと思います。装置はミラノ・スカラ座の物を使うということなので、色々と期待しちゃうんですが、期待をすると裏切られた時が辛いですし。(バレエフェスの出演など)

「シルヴィア」がポリーナってことは、アミンタ役の男性も長身でないとならないので、アミンタ役もゲストでしょうね。シルヴィア役はロイヤルからゲストかな、と思っていたのですが違っていたんですね。「ラ・バヤデール」のほうがロイヤルからのゲストということでしょうか。いずれにしても、受付前には決めて欲しいものです。残念ながら、今の東京バレエ団では、好みのゲストが出ない限り食指が動かないんですよね。好きな団員はもちろん何人か入るんですが。

まとめて払うにはお高い代金なので、「ラ・バヤデール」のゲスト次第でどのランクを買うか、それとも継続をやめるか決めないと。明日はマリインスキー・バレエの夢倶楽部会員の電話先行受付なのですが、マリインスキーはやっぱりソーモワ日以外はできるだけ観たいので、大散財になりそうです。今年のボーナスだってもらえるかどうかもわからないのに。NYCBのチケットもまだ買っていないし、新国立のセット券も買っていないし、この不況なのにチケットの発売が集中しすぎですよね。文句を言いつつ結局入ってしまうんだろうな、とは思うんですが。

4/25 小林紀子バレエシアター「眠れる森の美女」と小林紀子BTの公式サイト

感想を書く前にお知らせがあります。
小林紀子バレエシアターはずっとオフィシャルサイトがなかったのですが、ようやくできました。会場で配布されたキャスト表にアドレスが載っていました。

http://www.nkbt-tokyo.com/

なぜかトップページが英語ですが、日本語ももちろんあります。
http://www.nkbt-tokyo.com/index2.html

それから、8月には次回公演があります。公式サイトにも載っていました。

2009年8月19日(水)
8月20日(木)
第94回公演

ケネス・マクミラン振付「The Invitation」
フレデリック・アシュトン振付「レ・ランデヴー」
ケネス・マクミラン振付「エリート・シンコペーションズ」
於:ゆうぽうとホール

ゲストにロバート・テューズリーが出演するとのことです。今日はテューズリーとデボラ・マクミランが客席にいました。テューズリーの王子も観たかったのですが、キャストが出るのが遅くて、先にパリ・オペラ座学校の公演と(祭典会員なので早めに決めないといけない)、「エスプリ」のチケットを買ってしまって、日程が重なってしまいこの日しか観られなかったのです。でも、中村誠さんの王子は見たかったし、マクミラン版の「眠り」も見てみたかったし。

第93回公演 ケネス・マクミラン版「眠れる森の美女」
於:新国立劇場中劇場
ケネス・マクミラン生誕80周年記念
平成20年度文化庁芸術祭大賞受賞記念公演

振付:ケネス・マクミラン
舞台装置:ピーター・ファーマー
監修:デボラ・マクミラン

演奏:東京ニューシティフィルハーモニック楽団
指揮:フィリップ・エリス

まずは一言、中村誠さんの王子が素晴らしかったです!彼は本当に優雅で美しい踊りをする人で、王子役がピッタリです。サポートも上手いし、演技も素敵。新国立劇場に戻ってきて欲しい人です。(ビントレーが芸術監督になったら、戻ってくるかしら?)

小林紀子バレエシアターでは、ホワイエにBravo Roseという、印象に残ったアーティストへ、バラの花にメッセージを添えて届けてくれるというサービスをやっていました(500円)。なかなか気が利いていると思います。ちょっと友人の家に遊びに行く予定があって時間がなかったので、できなかったのですが、時間があったら中村さんに贈りたかった、それくらい良かったです。

【キャスト】
 オーロラ姫:高橋怜子(25日)
 デジレ王子:中村 誠(25日)
 リラの精 :大森結城(25日)
 カラボス :楠元郁子
 国王フロレスタン24世:本多実男
 王妃         :深沢祥子
 式典長カタラビュット :井口裕之

《プロローグ》
クリスタル・ファウンテンの精:高畑きずな(25日)
 そのカヴァリエ      :村山 亮
エンシェンテド・ガーデンの精:萱嶋みゆき
 そのカヴァリエ      :中尾充宏
ウッドランド・グレイドの精 :喜入依里
 そのカヴァリエ      :冨川直樹
ソング・バードの精     :志村美江子
 そのカヴァリエ      :土方一生
ゴールデン・ヴァインの精  :大和雅美
 そのカヴァリエ      :澤田展生
 リラの精のカヴァリエ   :市川 透

《第2幕》
フランスの王子:市川透
スペインの王子:村山亮
英国王子:中尾充宏
インドの王子:冨川直樹

《第3幕》
ゴールド   :横関雄一郎(24・26日)
ダイヤモンド :大和雅美
シルバー   :真野琴絵(24・25日)
        荒木恵理
        喜入依里
長靴を履いた猫:中尾充宏
白い猫    :萱嶋みゆき
青い鳥    :八幡顕光
フロリナ皇女 :中村麻弥
赤ずきん   :難波美保
狼      :冨川直樹

小林紀子バレエシアターで「眠れる森の美女」全幕が上演されるのは30年ぶりとのこと。マクミラン版ということで、現在マクミラン版を上演しているENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)から衣装と装置を借り、ケネス・マクミランの未亡人デボラが監修しての上演。

ENBは本拠地のコロシアムも大きな会場ではないし、ツアーも行うカンパニーなので、セットはすごく豪華絢爛というわけではない。でも、ピーター・ファーマーのデザインによるもので、深い緑の森をイメージしたシックで美しいもの。場面転換にもそれほど時間を要さない、考え抜かれたものだ。衣装のセンスが素晴らしい。色の使い方は派手さはなく上品で、よく見るととても華やかで上質。2幕で王子が登場するところで、王子が一人純白のコートを着用した衣装なのがとても素敵。2幕のこのシーン、王子がお付の人たちと同じような衣装で目立たないなんてことが多いから。宝石の精の衣装にしても、押さえの色としてベージュもしくはブラウンゴールドを使用しているので、高級感と気品がある。3幕のコールドの衣装、シャンパンゴールドとピンクゴールドの組み合わせ方は、結婚式に相応しい華麗さがある。

オーロラ役の高橋怜子さんは初役。今まで小品ではとても良いところを見せていたけど、オーロラは荷が重かったようだ。若くて溌剌として、やや小柄。出だしのヴァリエーションは元気いっぱいでよかった。腕の使い方が優雅できれいなので、お姫様らしさもある。だけど、ローズアダージオはヒヤヒヤもの。大きくぐらつくことはなかったのはよかったけど、ものすごく緊張しているのが伝わって来た。バランスは一瞬。サポートの問題もあったと思うけど、プロムナードで引っ掛かってドキドキした。指揮のフィリップ・エリスがうまく音を合わせてカバーしていた。

(続く)

2009/04/25

4/24 「エスプリ」2日目雑感

無事に部の引越しも終わり、なんとかGWにお休みを頂いてシュツットガルト&パリに行けそうで、今日も「エスプリ」を観ることができたのですが…。

ここしばらくの多忙な生活と睡眠不足、栄養不足、それに今日急に寒くなったことが原因で、風邪を引いてしまいました。観ている間は大丈夫だったのですが、終わったら喉が痛い…。というわけで、23日の感想も3演目しか書いていないのですが、かなり時間がかかりそうなので今日中のアップは無理です。すみません。明日も、小林紀子バレエシアターの「眠れる森の美女」を観る予定だし。

今日の「エスプリ」もとても楽しかったです。2回観ると、作品のことが少しは理解できて、より楽しめるし。

マッシモ・ムッルとイーゴリ・コールプの「プルースト」より「モレルとサン・ルー侯爵」が凄絶で、息も絶え絶えになるほどした。パリ・オペラ座の「プルースト」のDVDのマチュー・ガニオとステファン・ビュヨンも、美青年二人で耽美的で鮮烈なのですが、この二人はまったく違った味わいがありました。身長も同じくらいで、同じように細身だけど筋肉がしっかりついた身体で、見た目のバランスが非常に良いのです。二人ともしなやかな身体を持っているのに、キャラクターはまったく違う。腕の上げた角度の違いで、性格の違いを表現できるのが凄い。この二人を組ませてモレルとサン・ルーを踊らせた草刈さんのセンスは素晴らしいと思いました。肌色のユニタードって、私は好きな衣装ではないのに、この二人は身体のラインがほっそりとしていて、衣装によってラインの美しさが強調されていて、やがては滅び行く肉体の儚さを感じさせました。実際、サン・ルーはこの後戦争に行き、戦死を遂げます。

このシーンは、天使たち(黒天使と白天使)の闘争、というテーマがついていたと思います。

蛇のようにくねる腕や背中で誘う、コールプの不良っぽい魔性が鮮烈でした。「切り裂きジャック」でもそうなのですが、コールプには、突然目の色が変わる瞬間があるのです。ひとたびモレルが関係性のイニシアチブを握るや、真っ白の、穢れなき魂を持つマッシモのサン・ルーが悪魔に魅入られ、抗おうとしながらも、やがて為すすべもなく絡め取られていく痛ましさ。優しさ、とろけるような甘さと、傲慢さ、強引さが波のように不定期に代わる代わる現れると、サンルーは翻弄されます。コールプの、あの誘惑者の目がぎらっと輝いたとき、客席でも多くの人が、その目に殺されたのではないかと思います。コールプの肌も、赤みを帯びてきて。(マッシモは、「アルルの女」の途中から、やはり肌の色が赤く染まっていったのが見えました)この二人の「モレルとサン・ルー」だったら、何回観ても飽きないどころか、傍観者であるはずの自分も悪魔に魅入られ、絡め取られていってしまうのではないか、というぞくぞくする怖さがありました。マッシモのイノセンスそのものの瞳が痛ましくて、その楽園の喪失の過程が、胸にえぐるような痛みを残すのでした。

マッシモ・ムッルの「白鳥の湖」の白鳥は、群から外れた誇り高い孤独な存在。自己主張が感じられない透明さがあって、観る側の気持ちまでも研ぎ澄まされていく。野原にひっそりと咲いている美しい白い百合のよう。この白鳥が浮かぶ湖はきっと人里からも離れている黒い森にあって、どこまでも澄み渡るような透明な水を湛えていて、そこにただ一羽だけでひそやかに生きているようなイメージ。来るかどうかも判らない誰かを待っているような。孤高といっても禁欲的というわけではなく、動物としての本能は持っていて、仄かな官能が立ち上っています。腕を後ろに翼のように掲げた白鳥のポーズで、月明かりを浴びて白く輝くマッシモの白鳥、セットも何もないのに、満月から降り注ぐ光、深い森の中の湖、湖水に反射する光が見えてきて、夢幻の世界へといつのまにか連れて行かれます。しなやかな筋肉をまとっている白鳥は間違いなく男性なのだけど、でも決してマッチョではなく、性別を超越したような存在に思えてきます。草刈さんの方は、間違いなく人間の女性であったけど、白鳥は、その人間の中に、自分と同じ何かを見つけて、本能の命ずるままに恋をします。草刈さんが相手だと、男性の動きの柔らかさやしなやかさが強調されるというのが逆説的なのですが、この演目の場合、はっきりと白鳥と人間というのがわかるからいいのかもしれません。マッシモの表現が控えめだからこそ、限りある生の輝きと透明感を伝えることができて、胸を震わせてくれるのではないでしょうか。

「オットー・ディクスより~切り裂きジャック」でコールプが見せた狂気。歪んだ欲望。人間は弱いからこそ、暴力に走るのだというのがはっきりわかる役作りでした。見るからに危ない人物像の中に見える弱さ。醜さ、ヴァイオレンス、情欲といったあらゆる悪徳、汚濁の中にも、ほんの少しの美しさが存在しているということを見せてくれました。草刈さんは赤毛のショートボブのカツラがとてもよく似合っていて綺麗なのですが、色気が全然なくてお人形のようでした。彼女のお人形のような娼婦というのに萌える人もいるというのは良くわかるのですが。その娼婦に魅入られてしまった切り裂きジャックは、愛情を表そうとして愛を交わそうとしますが、彼にとっての愛はナイフに形を変え、ついには彼女を刺し殺してしまいます。愛した女を殺してしまったことに気がついた彼はしばらく呆然として震えるものの、スイッチを入れたかのように、何もなかったかのように元のエキセントリックな狂人へと戻って歩き去ります。このスイッチの切り替え方が、なんとも強烈で、コールプという人の持つ無限の宇宙を感じさせてくれたのでした。

タマラ・ロホとリエンツ・チャンの「エスメラルダ」がまた、とても良かったです。タマラのエスメラルダのキュートなことといったら、もう!こんな無邪気な彼女を見るのは初めてでした。リエンツのカジモドが、またすごく切ないのです。そしてサポートの上手さや腕の使い方の巧みさといったら。この二人がユニゾンで踊るところが、タイミングも動き方もピタリと合っていて、二人の心が触れ合ってハーモニーを奏でているんだな、と思ったら涙が出てきそうになりました。この二人の「タイスの瞑想曲(「マ・パブロヴァ」より)」も素晴らしかったです。タマラの女優バレリーナの本領が発揮されていたし、リエンツが、美しい彼女のことを心から崇拝しているのがすごく感じられました。リエンツ・チャンはテクニックも表現力も完成されていて、魅力的なダンサーだと思いました。

結局何だかんだ言って長く書いてしまいました。まだ書きたいことはいっぱいあるんですが、風邪を引いているんだし、来週火曜日には出発だし、寝なくちゃ。気が向いたら、残りも書きます。

最後に、草刈民代さんとマッシモ・ムッルの美しい「白鳥の湖」の写真を紹介します。
http://sankei.jp.msn.com/photos/entertainments/entertainers/090424/tnr0904241730010-p2.htm

マッシモ・ムッルとイーゴリ・コールプが踊った「プルースト」より「モレルとサン・ルー侯爵」が収録されているパリ・オペラ座の「プルースト」です。リージョンオール、モレルにステファン・ビュヨン、サン・ルーにマチュー・ガミオ。

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2009/04/24

4/23 ESPRIT エスプリ Les Ballets de Roland Petit 簡単な感想

とっても楽しかったです~いい公演でした!チケットを買う時には、草刈民代さんメーンの公演を2回も行くのは、いくらコールプがゲストでもどうなんだろう、って思ったけど観に行って良かった!(そして観に行けて良かった)

やっぱりバレエっていいなって思いました。この間の東京バレエ団のガラだって決して悪い公演ではなかったと思うけど、今回の方が観ていて楽しかったのは何でなんだろう。今週、これに行くためにものすごく一生懸命、気合を入れてバレエの稽古も休んで頑張ったからかしら。ちょっと観終わって少し気分がハイになっちゃって、自分でもちょっと呆れるくらいです。そして明日も観られると思うと嬉しいです。明日は会社の引越しがあるので、ちゃんと時間内に終わるように、頑張らなくては!

草刈さんはバレリーナとしては技術は見劣りしてしまっているけど、全部プティというこの公演を全国ツアーで実現し、しかも、マッシモ・ムッル、イーゴリ・コールプ、タマラ・ロホ、リエンツ・チャンという素晴らしいゲストつきでやってしまうのだから、本当に偉大だと思いました。テクニックには問題ありですが、彼女はやっぱり綺麗だし華があるひとですしね。そのプロデューサーとしての才能に、感謝です。

そうだ、今日はNHKのHDカメラが何台も入っていました。1階のサイドに各1台と、正面のど真ん中の席をたくさんつぶしてもう一台。上の方は見ていないけど。場内にも、NHKのカメラが入っていますという張り紙がありました。それから、入り口と会場内にものすごい量の、有名人からのお花が。草刈さんがいかにセレブかというのがよくわかりました。私の席の近くに、旦那様の周防正行監督もいました。

アルルの女 L'Arlesienne
 「アルルの女」より
草刈民代 マッシモ・ムッル Tamiyo Kusakari, Massimo Murru

幕開けにこれを持ってきたのは、構成上はやや失敗だったと思う。観客を温めるには難しい演目だったのでは。よい上演だったのに拍手がちょっと少なくて残念。

久しぶりに観るマッシモは、すごく顔が小さくて、ほっそりとしていて、まるで植物のような繊細さとしなやかさを漂わせている。(何しろ、ギエムの「最後の(実際には最後ではなかったけど)ボレロ」ツアーでの「小さな死」以来) 服を脱いでも、華奢で植物のような人だという印象があった。彼の佇まいはとても静かで、姿の見えないアルルの女の幻影に恋している様子も、かすかに香ってくるくらいなのだ。ヴィヴェットへの気持ちはすでにそこにはなく、いつのまにか幻想の囚われ人になっている。そこへ、あの有名なファランドールの音楽が高らかに鳴り響くが、ファランドールのソロでさえ、激しさはなく夢の中のできごとのようで、少しずつムーヴメントは高まっていくものの、終盤まで内省的で禁欲的な表現を貫いている。だから、ラストで窓へとダイヴするところで、彼の狂気がそこまで高まっていたことに驚かされる。
草刈さんは、踊りはともかく、表情の演技はとてもうまく、気持ちが伝わらないヴィヴェットのもどかしさや胸を押しつぶされそうな想いが、抑え目のしぐさからも伝わってきた。
 
ヴィントゥイユの小楽節 La Petite Phrase de Vanteuil
 「プルースト 失われた時を求めて」より Proust ou les intermittences du coeur
タマラ・ロホ イーゴリ・コルプ Tamara Rojo, Igor Kolb

パリ・オペラ座の「プルースト」のDVDでここも観ているんだけど、この二人が踊ると、やはり濃厚な世界になる。ただ、コールプはここではいつものコールプより薄味で、相変わらずしなるようにしなやかな動きだけど、くせがなく端正。今回は髪をかなり短めに切っていて、一瞬、また刈上げか!と思ったが見慣れてきたら違和感がなくなった。タマラもちょっとアクのある、天然ファムファタル系ダンサー。コールプがヴィシニョーワと踊る時の「毒を持って毒を制する」パターンになると思いきや、ちょうどいい感じに中和されて、美しい中にほんの少しの毒気が漂っていた。毎回思うのだけどコールプは腕が柳のように揺らぐ姿が、それだけで妖しい。

コッペリウスと人形 Coppelius et la Pupee
 「コッペリア」より Coppelia
ルイジ・ボニーノ Luigi Bonino

ルイジ・ボニーノのコッペリウスは新国立劇場でさんざん観ているから、新鮮さはないけど、初めて観る人には面白いだろう。シャンパンやマッチなど小道具もいろいろと使って、コッペリアと踊る演技は堂に入っている。でもダンディな中に哀愁漂う、ローラン・プティが踊るコッペリウス博士の方が好き。

********
いったん休憩します。(お風呂入らなくちゃ)
→翌日になってしまいました…


タイス パ・ド・ドゥ
 「マ・パヴァロヴァ」より
タマラ・ロホ リエンツ・チャン

「オットー・ディックス」より
 ~切り裂きジャック~
草刈民代 イーゴリ・コルプ

白鳥の湖 1幕2場より
 男性のソロ/パ・ド・ドゥ
草刈民代 マッシモ・ムッル

エスメラルダとカジモドのパ・ド・ドゥ
 「ノートルダム・ド・パリ」より
タマラ・ロホ リエンツ・チャン

ティティナを探して/小さなバレリーナ
 「ダンシング・チャップリン」よち
ルイジ・ボニーノ

ジムノペディア
 「マ・パヴァロヴァ」より
草刈民代 リエンツ・チャン

モレルとサン=ルー侯爵 パ・ド・ドゥ
  「プルースト 失われた時を求めて」より
マッシモ・ムッル イーゴリ・コルプ

チーク・トゥ・チーク
草刈民代 ルイジ・ボニーノ

2009/04/23

ロイヤル・バレエの2009/2010シーズンROH announces new season/「ジゼル」「ラ・シルフィード」のキャスト変更

すでにロイヤル・バレエのフレンズ宛に来シーズンのお知らせが送られてきていて、あちこちのフォーラムにもアップされていましたが、Webサイトにも掲載されましたので、お知らせします。

PDFファイル
http://www.roh.org.uk/uploadedFiles/Press_and_Media/PDFs/rb0910[1].pdf

プレスリリースのサイトからもどうぞ。
http://www.roh.org.uk/pressandmedia/pressreleases.aspx

(以下、ラインアップ情報については、4月27日付けで訂正・更新しています)

Royal Ballet 2009/10 Season

Mayering「マイヤリング」
Kenneth MacMillan


10月7日、8日、12日、14日、16日、27日、29日19:30
11月2日、4日、10日19:30

The Sleeping Beauty「眠れる森の美女」
Petipa, Ashton, Dowell, Wheeldon


10月23日、26日、30日 19:30
10月31日 13:30、19:00、
11月6日 19:30、11月7日 13:30、19:00
11月11日、12日、16日、19日、24日 19:30
11月14日 13:30、19:00、11月21日 13:30、19:00
1月18日、19日、21日 19:30
1月23日 13:30、19:00

Agon/Sphinx/New McGregor「アゴン/スフィンクス/マクレガー新作」
Agon by George Balanchine, Sphinx by Glen Tetley


11月4、5、9、13、17日、18日 19:30

The Nutcracker「くるみ割り人形」
Peter Wright After Lev Ivanov


11月26日、27日、30日 19:30 
12月2日 19:30、12月5日 12:00 12月9日、11日、16日 19:30
23日 12:00、28日 19:30
12月31日 13:00、18:00
1月1日 17:00

Les Patineurs/Tales of Beatrix Potter「レ・パルティヌール/ピーターラビットと仲間たち」
Frederick Ashton


12月14日 19:30、12月17日 19:00、18、19日 12:00
12月21日、22日、31日 12:30
1月2日 12:30、1月6日、8日、9日、13日 19:30

Romeo and Juliet「ロミオとジュリエット」
Kenneth MacMillan

1月12日、14日、15日、16日、20日 19:30
2月4日、8日 19:30
2月13日 14:00、19:00
2月16日 19:30
3月6日 14:00、19:30、
3月10日、12日 19:30

New Watkins/ Rushes-Fragments of a Lost Story /Infra「ワトキンス新作/ラッシズ/インフラ」
Jonathan Watkins, Kim Brandstrup, Wayne McGregor

2月19日 19:30、2月26日 19:30、 3月1日、2日、4日 19:30

La Fille Mal Gardee
Frederick Ashton

3月9日、16日、18日、26日 19:30
3月20日 12:00
3月27日 14:00、19:00
4月4日 12:30
3月20日、21日 19:00
4月26日、28日 19:30

Concerto / The Judas Tree/ Elite Syncopations「コンチェルト/ジューダス・ツリー/エリート・シンコペーションズ」
Kenneth MacMillan

3月23日、24日、30日、31日 19:30
4月14日、15日 19:30

Cinderella「シンデレラ」
Frederick Ashton

4月10日 12:30、4月17日 14:00、4月17日 19:00
4月22日、23日、24日、29日、30日 19:30、
5月3日 14:00、19:00
5月26日 19:30、29日13:00、17:00
6月4日 12:30

Electric Counterpart/ New Scarlett/Carmen「エレクトリック・カウンターパート/スカーレット新作/カルメン」
Christopher Wheeldon, Liam Scarlett、Matts Ek

5月5日、6日、8日、12日 19:30
5月15日 13:30、19:00

Chroma /Tryst/ Symphony in C「クローマ/トライスト/シンフォニー・インC」
Wayne McGregor、Christopher Wheeldon, George Balanchine

5月22日 12:00、5月23日 15:00、5月28日 19:30
6月2日、10日、11日 19:30  

地味目のラインアップですが、年末に「ピーター・ラビットと仲間たち」をやるのがいいですね。新作は3作品です。
「New Watkins/Rushes/Infra」「Electric Counterpoint/New Scarlett/Carmen」「Chroma/Tryst/Symphony in C」のトリプル・ビルなどは、個人的にはかなり観てみたいと思います。「カルメン」は、タマラ・ロホの演技が好評だったマッツ・エック版です。反面、古典はワンパターンな感じです。

現在判明しているキャストです。

「マイヤリング」
Mayerling:

Kobborg / Cojocaru / Morera: Oct 8, 14
Watson / Galeazzi / Lamb: Oct 12, 16
Pennefather* / Hamilton* / Nunez*: Oct 27
Acosta / Benjamin / Galaezzi: Oct 29, Nov 2
Soares* / Cuthbertson* / Ansanelli*: Nov 3, 10」

「眠れる森の美女」
Sleeping Beauty

Lamb, Putrov: Oct 23, Nov 7(e), 21(m)
Cojocaru, Kobborg: Oct 26, Nov 11
Rojo, Bonelli: Oct 30, Nov 12, 16
Ansanelli, Makhateli: Oct 31(m), Nov 14(e), 21(e)
Marquez, Samodurov: Oct 31(e), Nov 6, Nov 14(m)
Kobayashi, Polunin: Nov 7(m), 19, Jan 23(m)
Nunez, Soares: Nov 24, Jan 18, 21
Cuthbertson, Pennefather: Jan 19, 23(e)

「アゴン/スフィンクス/マクレガー新作」
Agon:
Yanowsky, Acosta, Cuthbertson, Kobborg (4, 13, 18 Nov)
Hamilton, Underwood, Ansanelli, Putrov (5, 9, 17 Nov)

Sphinx:
Nunez, Pennefather, Watson (4, 9, 18 Nov)
Cojocaru, Polunin, McRae (5, 13, 17 Nov)

New McGregor:
tbc

「くるみ割り人形」
Nutcracker:

Yoshida / Bonelli: Nov 26, Dec 2
Cuthbertson / Pennefather: Nov 27, Dec 5(m)
Marquez / McRae: Nov 30, Dec 12(e)
Lamb / Polunin: Dec 9, 12(m)
Ansanelli / Hristov: Dec 11, 30(m)
Cojocaru / Kobborg: Dec 16, 30(e)
Morera / Makhateli: Dec 23(e), 29(e)
Nunez / Soares: Dec 28, 31
Choe / Putrov: Dec 29(m), Jan 1

上記リリースには、キャストが今までと違って載っていませんでした。上記キャストは、ballet.coからの転載です。
http://www.ballet.co.uk/dcforum/news/4397.html

吉田都さんが今年も「くるみ割り人形」に出演するのが嬉しいですよね。観に行ける人が羨ましいです。元旦には、チェ・ユフィさんがイヴァン・プトロフと「くるみ割り人形」に主演します。小林ひかるさんがセルゲイ・ポルーニンと「眠れる森の美女」に出演し、オーロラ・デビューするんですね。

ロイヤル・オペラ・ハウスで上演されないダンス演目までカバーしたリリースもあります。
(420席の小劇場、Linbury Studio Theatreでの上演)

http://www.roh.org.uk/uploadedFiles/Press_and_Media/PDFs/rb0910balletanddance%5B1%5D.pdf

ROH2 Dance Comission
New Kim Brandstrup work in the Linbury Studio Theatre
Sept 21/22/23/24/25/26mat/26 eve
Tamara Rojo, Thomas Whitehead, Steven McRae

Linbury Studio Theatre ROH2 Production
Arthur Pita Dance Company has a new production called 'God's Garden'

いつも思うのですが、リニューアルされたロイヤル・オペラハウスのWebサイトの使いにくさとあったら、たまりません。どこに何があるのか全然見当もつかないのですから…。

*****
なお、当初私が観る予定だった5月1日の「ジゼル」ですが、当初、サラ・ラムとヴャチェスラフ・サモドゥーロフの主演だったのが、サラ・ラムの骨折で、ローレン・カスバートソンのジゼル・デビューとなり、ついにはサモドゥーロフも降板して、ルパート・ペネファーザーがアルブレヒトを踊ることになったようです。サモドゥーロフの降板理由は今のところ不明です。

あと、アリーナ・コジョカルが「ラ・シルフィード」の初日、5月4日に踊る予定だったのがキャンセルされ、代役は、チェ・ユフィさん(とイヴァン・プトロフ)です。5月19日と24日は、今のところ、まだアリーナの名前が残っています。

2009/04/21

YAGP(ユースアメリカグランプリ)決勝/YAGPとピョートル・ペストフ・ガラ

世界有数のバレエ・コンクールとなったYAGP(ユースアメリカグランプリ)の10回目のコンペティションが、4月17日から21日まで開催されています。21日午後7時から、決勝が行われているんですね。

http://www.yagp.org/eng/index.php

日本からの出場者も多く、日本大会もあるので、日本語サイトまでできています。
http://www.yagp.org/japan/

来年の冬のことなので、鬼が笑う話ですが、

【YAGP2010 日程】

■YAGP2010日本予選・ガラ公演 2009年12月17日(木)~20日(日)
  会場:アルカイックホール、アルカイックホール・オクト(兵庫県尼崎市)

■YAGP2010ガラ公演      2009年12月22日(火)
  会場:文京シビックホール(東京都文京区)

ということで、ついにYAGPのガラが日本で開催されるとのことです。まだ正式決定ではないので書けないのですが、海外からとある大物ダンサーがガラに出演するらしいと聞きました。

*********

YAGPのコンペティションについては、ABTのオフィシャルでお馴染みの写真家Gene Schiavoneさんから案内メールを頂いたのですが、彼のサイトに、YAGPの女子決勝の美しい写真が載っています。コンクールといえども、衣装なども洗練されていて、大人っぽい雰囲気の子が多いですね。
http://www.geneschiavone.com/gallery/main.php

コンペティションとガラの紹介記事がありますが、掲載されている写真は、シュツットガルト・バレエのアンジェリーナ・ズッカリーニが2003年のYAGPに出場した時のもの。シュツットガルト・バレエで「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のリーズ役としてデビューした彼女は、22日に開催される今年のYAGPガラにも出演します。

http://yagp.org/gala/index.html

以前も紹介エントリを書きましたが、YAGPガラはとても豪華な顔ぶれのガラです。ウラジーミル・マラーホフ、イリーナ・ドヴォロヴェンコ、ジリアン・マーフィ、エカテリーナ・コンダウーロワ、「アメリカン・ダンス・アイドル」のダニー・ティドウェルらに混じって、ドレスデン・バレエの浅見紘子さんもNYデビューを飾ります。

また、ミュージカル「Billy Elliot」のブロードウェイ公演でビリー役を演じている、現在14歳のKiril Kulishも出演します。彼は、2006年に12歳の時にYAGPに出場して「海賊」のアリを踊り、グランプリを獲得しました。と同時に、ボールルームダンスの全米大会でも優勝したそうで。名前からも容姿からも、いかにもロシア系の男の子ですね。

*********

23日には、元ロシア舞踊アカデミーの偉大なバレエ教師ピョートル・ペストフPyotr Pestov を讃えるガラ「Peter The Great」が開催され、彼の生徒であったウラジーミル・マラーホフ、ニコライ・ツィスカリーゼ、YAGPの創始者でもあるABTのゲンナディ・サヴェリエフ、そして踊りはしませんが、このガラの司会をするアレクセイ・ラトマンスキーが出演します。

さらに、マルセロ・ゴメス、ベンジャミン・ミルピエ、ウェンディ・ウェーラン、アリシア・アマトリアン、マリア・コチェトコワ、ゴンサロ・ガルシア、エカテリーナ・コンダウーロワ、ヴィクトリア・テリョーシキナ、イスロム・バイムラードフ、ウラジーミル・シクリャーロフ、ミハイル・カニスキン、シオマラ・レイエス、ゲンナディ・ザヴェリエフ、エルマン・コルネホらキラ星のようなスターが出演します。マラーホフは「La Vita Nuova」と「ヴォヤージュ」のソロ2演目を踊るんですね。

http://www.yagp.org/pestov_site/pestov_program.html

ピョートル・ペストフは現在はシュツットガルトのジョン・クランコ・スクールで教鞭をとっており、今年卒業する生徒たちも出演します。現在のシュツットガルト・バレエの若手男性ダンサーの多くが、彼に指導を受けています。エヴァン・マッキーもその一人。ペストフは今も男性ダンサーの教師としては、世界で3本の指に入る偉大な教師といわれており、シュツットガルト・バレエの男性ダンサーの水準の高さは、彼の功績が大きいということです。

追記:ピョートル・ペストフガラの記事が載っていました。(写真入)
http://www.danceviewtimes.com/2009/05/bravura-overload.html

新国立劇場のジ・アトレ(あるいは、これでいいのか新国立劇場)

今日は特にネタもなくてすみません。(今仕事がすごい大変で、ネタを探す時間もなく…)

帰宅したら、新国立劇場の会報「ジ・アトレ」が届いていました。ところが、今回のジ・アトレって、公演情報(いつ何の公演をやりますってデータ)と、10行くらいのバレエDVD発売のお知らせしか、バレエに関する記事が載っていないんですよね。たしかに、会員はオペラ目当ての方が多いのかもしれないし、バレエとオペラの両方を観る人もいるでしょう。私も、予算の関係で年に1,2回くらいしか新国立劇場のオペラは行きませんが、関心がないわけではないですしオペラや演劇の記事も読みます。

でも、バレエの記事がほとんどないって、どういうことなんでしょう。5月には「白鳥の湖」、6月には「コッペリア」がるから、自前のメディアなんだし宣伝記事の一つでも、載せればいいのに。

「しらゆき姫」の時に、新国立劇場の「白鳥の湖」と「ライモンダ」のDVDの発売のお知らせのチラシが配布されており、詳しくはアトレ5月号でって書いてあったんですが、その肝心の5月号より、amazonに載っている予約ページの方がずっと詳しいんですよ。アトレ会員向けの特別価格がいくらなのかも載っていないし、どうやって新国立劇場から買えばいいのかも書いていません。それなら、会場で配っていたチラシでも同封すればよかったのに。

また、新国立劇場のオフィシャルサイトの方には、今もって、DVD発売のお知らせがひとことも書いていません。DVDを売る気があるんでしょうか?たしかに発売元は世界文化社であって、新国立劇場ではないのですが、お知らせを載せないのは不思議です。せっかく、このDVDの内容は素晴らしい企画なのに!


4月にオペラとバレエ研修所に研修生が入所したということで、入所式が行われたとオフィシャルサイトには載っていますが、その記事に、研修生の名前が載っていないんです。研修所のサイトに行って、ようやく名前が判明するという次第。

今年から新しくできた制度、予科生も入所したのですが、それに至っては誰が入ったのかも謎なのです。ジャパン・アーツのバレエ・舞踊ブログでニーナ・アナニアシヴィリが新国立劇場の予科生を指導したという写真入りの記事が載っていたというのに。

一応国立の劇場なので、私たちの税金を使って運営されているわけです。もう少しきちんと情報公開を行わないと、色々と憶測を生むと思うのです。

せっかく、新国立劇場バレエ団の毎回の公演内容はとても良くて、ダンサーもレベルが高いのに、運営側が足を引っ張るようなことはしないで欲しいと思うし、経営努力をして欲しいと思うのです。

2009/04/20

アリーナ・コジョカルの舞台復帰/世界バレエフェスティバル受付状況

ballet.coの投稿によると、4月18日のロイヤル・バレエのファミリー・マチネ「ジゼル」で、アリーナ・コジョカルがヨハン・コボーと出演したそうです。

ファミリー・マチネは観客の40%くらいが子供という公演なのだそうですが、アリーナは1年ぶりの舞台というブランクを感じさせない踊りだったとか。さらに終演後には、恒例のマッサージも後回しにして、子供たちへのファンサービスにつとめたそうです。嬉しいニュースですよね。

ロイヤル・バレエの「ジゼル」はチケットの売れ行きが非常に良く、私がボックスオフィスに戻した5月1日のチケットも、2日の間に売れていました。ピーター・ライト版の「ジゼル」は好きな版なので、機会があれば観に行きたいです。今回は本当に観にいけなくて残念。

22日には、ロイヤル・バレエの2009-2010シーズンが発表されます。もうballet.coのスレッドにはラインアップが掲載されていますが、一応正式発表になってからこのブログには載せようと思っています。

******

昨日の東京バレエ団の会場で、世界バレエフェスティバルの会場先行予約を受け付けていましたが、コジョカルとコボーが客演する「眠れる森の美女」は、祭典会員追加予約の段階でいっぱいになっていたようで、受け付けていませんでした(一般発売用の枠は残してあると思います)。

日本でのアリーナ・コジョカルの公演も、昨年のロイヤルの来日公演と新国立劇場の「シンデレラ」が怪我によるキャンセルだったため、今度こそ、ということで人気が集まったのかもしれません。

なお、他の演目の予約状況ですが、Aプロは8月1・2日の土日分は受付終了、Bプロは8月8日、9日(土・日)のS席とB席が受付終了です。「ドン・キホーテ」は同じくS席とB席が受付終了、「白鳥の湖」は全席残っています。また、「オマージュ・ア・ベジャール」は17日(月)は全席残っていますが、16日(日)は受付終了。

この先行予約分の申し込み状況ですが、演目や出演者より、曜日が影響しているところがあると思います。「眠れる森の美女」は土曜日の公演ですし。また、A,・Bプロは開演時間が6時と早いため、どうしても土日に人気が集中しますよね。私も職場の早退が不可なので、土日で行く予定にしています。

第12回世界バレエフェスティバル
http://www.nbs.or.jp/stages/0908_wbf/index.html

2009/04/19

マリインスキー劇場白夜祭の暫定スケジュール White Nights Festival

JIC旅行センターのサイトの「サンクトペテルブルグからのひとこと日記」に、今年のマリインスキー劇場白夜祭の暫定スケジュールが載っていました。引用します。

http://jictheatre.exblog.jp/

5月、6月のスケジュールはマリインスキーのオフィシャルにも掲載されています。7月が暫定です。

■5月
http://www.jic-web.co.jp/pa/led0905.html
 21日(木)19:00〜 「せむしの仔馬(イワンと仔馬)」 ☆
 22日(金)19:00〜 「フォーキン・プロ」
      (ショピニアーナ、シェヘラザード、火の鳥)
 24日(日)16:00〜 「くるみ割り人形」☆シモノフ振付の現代版
        20:00〜 「くるみ割り人形」☆
 26日(火)19:00〜 「フォーサイス・プロ」☆
 27日(水)19:00〜 「ジゼル」
 31日(日)16:00〜 「くるみ割り人形」☆
        20:00〜 「くるみ割り人形」☆

■6月
http://www.jic-web.co.jp/pa/led0906.html
  1日(月)19:00〜 「せむしの仔馬(イワンと仔馬)」☆
  3日(水)19:00〜 「白鳥の湖」
  5日(金)22:00〜 「ジゼル」
  6日(土)19:00〜 「ロミオとジュリエット」
  8日(月)19:00〜 「白鳥の湖」
   9日(火)19:00〜 「バフチサライの泉」
 11日(木)19:00〜 「フローラの目覚め」「イン・ザ・ナイト」☆
 12日(金)19:00〜 「ジュエルズ」☆
 14日(日)19:00〜 「ドン・キホーテ」
 15日(月)19:00〜 「バランシン・プロ」(放蕩息子・チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ・シンフォニー・イン・C)☆
 18日(木)19:00〜 「眠れる森の美女」
 20日(土)19:00〜 「ワガノワ・バレエ・アカデミー卒業公演」
 22日(月)19:00〜 「レニングラード・シンフォニー」☆
 23日(火)19:00〜 「ジュエルズ」☆
 24日(水)19:00〜 「ワガノワ・バレエ・アカデミー卒業公演」 
  25日(木)19:00〜 「せむしの仔馬(イワンと仔馬)」☆
 26日(金)19:00〜 「ソリストたちによるガラ・コンサート」


■7月 (暫定、変更の可能性あり)
  8日(水)19:00〜 「ドン・キホーテ」
 10日(金)19:00〜 「眠れる森の美女」
 12日(日)19:00〜 「ディアナ・ヴィシニョーワ〜Beauty in motion~」☆
 13日(月)19:00〜 「ガラ・コンサート」
 14日(火)19:00〜 「Cafe de chinitas」(スペイン国立バレエ)   
 15日(水)19:00〜 「Cafe de chinitas」(スペイン国立バレエ)  
 17日(火)19:00〜 「Dualia」(スペイン国立バレエ) 
 18日(火)19:00〜 「Dualia」(スペイン国立バレエ)
  19日(日)19:00〜 「ディアナ・ヴィシニョーワ〜Beauty in motion~」☆

クラシック・バレエ以外の公演が多いので、現代バレエの公演については「☆」がついています。

4/18 東京バレエ団創立45周年記念<スペシャル・プロ>The Tokyo Ballet Gala

今回はクラブ・アッサンブレ会員の友達に便乗して、チケット一枚につきもう一枚のチケットプレゼント、というキャンペーンで半額で観ることができた。でも明日のキャストで観たほうが良かったかな。今日にしたのは、西村さんの「タムタム」が観たかったからなのだけど…。

http://www.nbs.or.jp/stages/0903_special-pro/index.html

「エチュード」Etudes
振付:ハラルド・ランダー
音楽:カール・チェルニー/クヌドーゲ・リーサゲル

エトワール 上野水香Mizuka Ueno、フリーデマン・フォーゲルFriedmann Vogel、レオニード・サラファーノフLeonid Sarafanov

指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2006年のマリインスキー・バレエの来日公演のオールスター・ガラで「エチュード」が上演され、サラファーノフの超絶技巧に驚かされたものだった。その時は、彼が東京バレエ団のゲストで出演する日が来るとは思っていなかったのだけど。
来年もサラファーノフは「ラ・シルフィード」でゲスト出演するようだし、世界バレエフェスティバルにも出るし。

こんな動画を観てしまうとますます期待しちゃうし。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-102.html

で、実際にサラファーノフは凄かった。軽やかに、よく跳ぶわ回るわ。フェッテはいつまで経っても回っているし、クライマックスでの連続トゥール・ザン・レールは8回!それなのに軸はぶれなくて安定しているところが素晴らしい。この人には重力がないようだ。風を切るような、羽のように軽いのにすっと空間を切り裂いていくようなアンレール。彼が指をパチパチ鳴らしながら走り回るところが可愛いかった。

一方のフリーデマン・フォーゲルは、「エチュード」を踊るのが初めてだという。もう一人のソリストが、テクニシャンで有名なサラファーノフだから、けっこうやりにくいだろうなと思っていた。サラファーノフは華奢な体型だけど、フォーゲルはがっしりしているほうだし。ところが、この間のシュツットガルトの「眠れる森の美女」での好調ぶりはしっかり維持していて、サラファーノフと遜色なく踊っていたからたいしたものだ。華やかな見せ場はサラファーノフのパートの方が多いわけだけど、彼の鏡のようにフォーゲルが対称で踊る時の跳躍の高さも劣っていないし、以前は感じていたもっさり感がなくなっていて優雅さを身に着けている。年齢的にも踊り盛りとなってきたんだろうな。彼のほんわかとしたところが、サラファーノフと好対照。

サラファーノフのことを小さいと思っている方もいるようだけど、実際のところは意外と身長はある。フォーゲルと並ぶとさすがにフォーゲルよりは小さいけど180cmはあるはずだ。顔が小さく肩幅が狭くて華奢なので小柄に見えるだけだと思う。

そういうわけで、ゲストの二人の出来がとてもよかったので、どうしても上野さんは埋もれてしまっていたというか目立たなかった。手脚が長いからなのかもしれないけど、動きがパタパタしているように見えて、音とずれていると思うところが多かった。

アンサンブルの方は、良く揃っていたし、全体的な出来はとてもよかったと思う。特に冒頭のバーレッスンのところでの揃い方は見事なもの。斜めにジュッテしながらダンサーたちが舞台を横切るところでは、反対側からの人とぶつからないように慎重になりすぎているところが見受けられた。でも、クライマックスの、大人数で踊るところはとても迫力があり、一時期のバレエ団の不振が嘘のようにボトムアップしているように思えた。個別のダンサーでは小笠原さんと高橋竜太さんが溌剌としていて特に良かった。難しいテクニックの踊りでもいつも優雅な西村さんも素敵だった。

そういえば、40周年ガラの時には、「エチュード」はゲストなしの上演だったと思い出した。そう考えると、今の東京バレエ団は中堅層が抜けてしまっていてつらいなあ、と思う。


「月に寄せる七つの俳句」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:アルヴォ・ペルト、ヨハン・セバスチャン・バッハ

月:木村和夫
月を見る人:斎藤友佳理-高岸直樹
西村真由美、乾友子、佐伯知香、高木綾、奈良春夏、田中結子
松下裕次、横内国弘、宮本祐宜、梅澤紘貴、柄本弾
夜空:
高村順子、森志織、福田ゆかり、村上美香、吉川留衣、岸本夏未、阪井麻美
高橋竜太、氷室友、小笠原亮、谷口真幸、安田峻介、岡崎隼也、八木進

去年のノイマイヤー「時節の色」を観たときも、あまり作品に感心しなかったので今回も一抹の不安を持って観ることに。残念ながら、この作品は私には受け入れられなかった。そもそも、海外の振付家が日本をテーマに振付けた作品というのがまずとても苦手。俳句の朗読なんかがあったりしたものだから、なんだかいたたまれなくなる。いくら偉大なノイマイヤーでも、この作品は、「ガイジンが見た日本」になっていて、それをまた日本のバレエ団がやっているとますますヘンな感じになる。それから、この日にして失敗したな~と思ったのは、とても苦手な方が出ていたので、それだけでもう拒絶反応で観ることが苦行となり、心の扉を閉ざしてしまったこと。(ここを読んでいる方なら、誰なのか推察がつくと思うので敢えて名前は挙げません) 多分、もう二度とこの人の舞台は観ることはないと思った。このようにガラだったら、その演目は飛ばしてホワイエにいるのが正解かも。ただ、木村さんは本当に今回も素敵だった。木村さんの美しいアラベスク、きれいな脚のラインを惚れ惚れと観ていてぼーとしていたら終わっていた。そういうわけで、感想になっていなくて申し訳ない。


「タムタム」
振付:フェリックス・ブラスカ
音楽:ジャン=ピエール・ドゥルエ/ピエール・チェリザ

ソロ:松下裕次
パ・ド・ドゥ:西村真由美-横内国弘
パーカッション:リルヴィオ・ガルダ
トムトム:アティソー・ロコ

下手側にトムトムが、そして舞台奥にパーカッションが配置されており、演奏者の生演奏が始まる。自分の席が1階L列で下手側が死角になっていて、トムトム奏者があまり良く見えなかったのだけど、とてもノリノリで楽しそうに演奏していて良かった。まずは松下さんのソロ。今までけっこう松下さんが苦手だったのだけど(彼はクラシックバレエから始めていないので、テクニックはあるんだけど踊りが雑な印象があった)、ここでは、最初ちょっと硬かったものの、生き生きとシャープで華やかな技を繰り広げていて、たった一人の舞台でもきっちりと見せてくれてとても良かった。

それからポアントを履いてピンク~オレンジがグラデーションになっている可愛いミニドレス姿の女性たちが、ちょっとユーモラスにトムトムの速いリズムに合わせ、進んでくる。この振付はとても楽しくて、アフリカンなビートにミニドレスという取り合わせのミスマッチ感もいい。が、2回も女性ダンサーが転んでしまうというアクシデントが発生。アレグロで動きが細かいので、転びやすいのかもしれない。ダンサー間の間隔も狭いので、ぶつかってしまう人もいた。その後、松下さんがソロでちょっと滑ってしまった。

白いレオタードの西村さんと横内さんのパ・ド・ドゥ。後方のジャズっぽいパーカッションの演奏。西村さんはポアントを履いているものの、振付がクラシックバレエ的ではなく、足が6番の位置でポアントで立っていたりパドブレしたり、ちょっと変わっている振付で面白かった。西村さんはバレエダンサーにしては女らしい体型なのだけど、体型がモロに出る白いレオタード姿もとても美しく、アラベスクの形も完璧ですごくきれいにアンドゥオールしている。

パ・ド・ドゥの後、ノリの良い群舞が続く。なんでぶつかってしまったりといったミスが起きるのかな、と思って見ていたら、ダンサーの中に音に合っていない人がかなりいるということがわかった。この独特のリズムに合わせて踊るのは大変だと思うし、特に動きがかなり速くてちょこまかしているので、難しいのだろう。楽しんで踊らなくちゃならないのに、必死、というのが感じられてしまった。作品としてはとても楽しいし、他にないタイプの作品なので、再び観る機会があったらぜひ観たい。

アンコールでもう一度、ラストの畳み掛ける群舞が見られたのはとても嬉しい。特にパーカッションのおじさんたちが最高!

「エチュード」のものすごい二人と「タムタム」の楽しさで5000円は安いと思ったので満足。

余談だけど、東京文化会館の小劇場でも公演をやっていたのか、自分がいたのが扉の近くの席だったので音楽が静かな時に外の音が漏れ聞こえてきて興をそがれてしまった。防音対策をもう少し立てて欲しいと思った。

2009/04/18

パリ・オペラ座 ガット/ドゥアト/プレルジョカージュ・プロの日毎キャスト

パリ・オペラ座の エマニュエル・ガット(Hark!)/ナチョ・ドゥアト(White Darkness)/アンジェラン・プレルジョカージュ(MC14/22 "Ceci est mon corps"~これが私の体)・プロの日毎キャストが、オペラ座のオフィシャルに出ました。

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/saison/contenus/index.php?lang=fr&CNSACTION=SELECT_CONTENT&event_id=41&content_id=655

一応、5月2日と5日を観る予定です。ちなみに、オネーギンは4月30日、5月3日と4日。その前の4月29日はシュツットガルトでBallettgespräch zu GOECKE, LEE und CLUGのプレミアを観てきます。

5日のWhite Darknessでステファンとマリ=アニエスが観られるのが嬉しいです~。プレルジョカージュのMC14/22 "Ceci est mon corps"も好きな演目だし。

本当は5月1日のロイヤルのジゼルもチケットを買っていたのですが、ユーロスターのお値段があまりにもお高いので、ロンドン行きはやめにしました。ロイヤル・オペラハウスはチケットをボックスオフィスに戻し、そのチケットが売れたら手数料を引いて払い戻ししてくれるという親切な仕組みになっています。
(なお、私が戻した席ですが、今ROHのサイトで見たら、唯一残っているオーケストラ席です。オーケストラ4列目の通路側でよい席なので、5月1日の「ジゼル」をご覧になりたい方は、ぜひ)


29 avril 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Marie-Agnès Gillot
MM Stéphane Bullion
Charline Giezendanner
Aurélia Bellet
Alice Renavand
Muriel Zusperreguy
Stéphane Phavorin
Christophe Duquenne
Simon Valastro
Vincent Chaillet

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


2 mai 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Alice Renavand
MM Jérémie Bélingard
Caroline Robert
Laurence Laffon
Charlotte Ranson
Nolwenn Daniel
Alessio Carbone
Josua Hoffalt
Daniel Stokes
Alexis Renaud

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


5 mai 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Marie-Agnès Gillot
MM Stéphane Bullion
Charline Giezendanner
Aurélia Bellet
Alice Renavand
Muriel Zusperreguy
Stéphane Phavorin
Christophe Duquenne
Simon Valastro
Vincent Chaillet

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


9 mai 2009 à 14h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Alice Renavand
MM Jérémie Bélingard
Caroline Robert
Laurence Laffon
Charlotte Ranson
Nolwenn Daniel
Nicolas Paul
Josua Hoffalt
Daniel Stokes
Alexis Renaud

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


9 mai 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Marie-Agnès Gillot
MM Stéphane Bullion
Charline Giezendanner
Aurélia Bellet
Amandine Albisson-Pivat
Muriel Zusperreguy
Stéphane Phavorin
Christophe Duquenne
Simon Valastro
Marc Moreau

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


13 mai 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Alice Renavand
MM Jérémie Bélingard
Caroline Robert
Laurence Laffon
Charlotte Ranson
Nolwenn Daniel
Alessio Carbone
Josua Hoffalt
Daniel Stokes
Alexis Renaud

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


16 mai 2009 à 14h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Marie-Agnès Gillot
MM Stéphane Bullion
Charline Giezendanner
Aurélia Bellet
Alice Renavand
Muriel Zusperreguy
Stéphane Phavorin
Christophe Duquenne
Simon Valastro
Vincent Chaillet

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


16 avril 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Alice Renavand
MM Jérémie Bélingard
Caroline Robert
Laurence Laffon
Charlotte Ranson
Nolwenn Daniel
Alessio Carbone
Josua Hoffalt
Daniel Stokes
Alexis Renaud

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris


17 mai 2009 à 19h30
HARK !
MLLES Stéphanie Romberg, Amélie Lamoureux
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

WHITE DARKNESS
MLLES Marie-Agnès Gillot
MM Stéphane Bullion
Charline Giezendanner
Aurélia Bellet
Alice Renavand
Muriel Zusperreguy
Alessio Carbone
Christophe Duquenne
Simon Valastro
Vincent Chaillet

MC14/22 "Ceci est mon corps"
Danseurs du Ballet de l'Opéra national de Paris

Dernière mise à jour le 17 avril 2009 à 16h10, distribution susceptible d'être modifiée.

マリインスキー・バレエの来日公演チラシ/ゲルギエフとマリインスキー歌劇場管弦楽団

ジャパン・アーツからDMが届き(しかも2通)、マリインスキー・バレエの来日公演チラシが同封されていました。

マリインスキー・バレエ来日公演のオフィシャルサイト
http://www.japanarts.co.jp/html/2009/ballet/mariinsky/index.htm

表紙はロパートキナの、純粋な美しさを湛えた「瀕死の白鳥」。中に挿入されている写真がいろいろあるのですが、アントン・コルサコフの舞台写真が名前入りで入っていたので、アントン、来てくれるのかしら?とちょっと期待しました。それから、オブラスツォーワとシクリャーロフの、これは「眠れる森の美女」かな?この二人の写真が絵に描いたように可愛らしいカップルで微笑ましくなりました。オブラスツォーワは主演の予定はないけど、ガラのパ・ド・ドゥ集で何かを踊ってくれるのでしょうね。

ガラといえば、リクエストは一つ。ぜひ、イワンチェンコとオスモルキナの「ロミオとジュリエット」パ・ド・ドゥを上演して欲しいです♪ロンドン公演でこの二人でロミオとジュリエット全幕を踊るらしいのですが、イワンチェンコのロミオなんて、想像もつかないので。何歳のロミオなんでしょう…。

チラシにコラムみたいなのがいくつか載っていて、バレエ・リュス100年の話にも触れているんですが、マリインスキーのダンサーたちがバレエ・リュスで活躍したという記述だけで、ガラで上演予定の「シェヘラザード」には、その文章では何も触れられていません。(ロパートキナと、ヴィシニョーワのゾベイダの写真は載っています)

あと、「イワンと仔馬」については、別のチラシがあって、ゲルギエフの指揮を前面に出したものになっています。クラシック・ファンを狙ったものかしら?写真は、マリインスキー・フェスティバルでの初演を踊ったテリョーシキナとロブーヒンのもの。実際にゲルギエフが指揮をする日は、ソーモワとサラファーノフなのですが。

****
ちなみに、ゲルギエフとマリインスキー歌劇場管弦楽団の公演も11月にあると、DMに書いてありました。

ジャパンアーツのサイトから
http://www.japanarts.co.jp/hatsubai.htm

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団
<11/28(土)夜・29(日)・ 12/1(火)・ 2(水)サントリーホール>
夢倶楽部会員 WEB 5月22日(金)、電話5月24日(日)、
ジャパンアーツぴあネット会員 WEB5月25日(月)、一般発売 5月31日(日)発売です。

演目についてですが、ジャパンアーツのサイトには載っていません。ジャパンアーツがこんなブログを開設していて、そこに載っていました。なかなか魅力的な演目です。

JAPAN ARTSアーティストVOICE&ニュース
http://japanarts.cocolog-nifty.com/artistvoice/2009/02/post-8365.html

チャイコフスキー:序曲「1812年」 / ピアノ協奏曲第1番 / 交響曲第5番 ムソルグスキー:歌劇「ホヴァーンシチナ」序曲 / 「はげ山の一夜」 / 歌曲「死の歌と踊り」 / 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編) ショスタコーヴィチ:歌劇「鼻」より / 交響曲第1番 / 歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より/ 交響曲第10番 ストラヴィンスキー:バレエ音楽「カルタ遊び」 / 「カプリッチョ」-ピアノと管弦楽のための / バレエ音楽「春の祭典」 <どの日にどのプログラムを演奏するかは決まっておりません。またこの曲目は変更になる場合がございます。>

*チケット料金は未定です
*曲目は予定であり、変更になる場合がございます。
チケットご購入の際は、再度ご確認下さい。

2009/04/17

マチアス・エイマンとイザベル・シアラヴォラがエトワール任命 Isabelle Ciaravola et Mathias Heymann sont nommés étoiles

Facebookのマチアス・コミュからメッセージが来ていて、見たらオペラ座のマチアス・エイマンがエトワールに任命されていたというお知らせだったんですね。

ダンソマニのフランス版を見てみたら、オネーギンの初日公演後、レンスキー役マチアス・エイマンとタチアーナ役イザベル・シアラヴォラの二人が「オネーギン」の初日の公演後、エトワールに任命されたとのことだそうです。

出勤前でバタバタしているので、詳細はのちほど。

お二人はおめでとうございます!

追記:
パリ・オペラ座のオフィシャルにも出ました。
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/actu/unes/unes_details.php?lang=fr&news_id=684&CNSACTION=SELECT_NEWS

マチアスのレンスキーの写真がaltamusicaに出ています。
http://www.altamusica.com/danse/document.php?action=MoreDocument&DocRef=4042&DossierRef=3646

またここにも写真が(ダンソマニの投稿より)
http://pa.photoshelter.com/c/dance-photos-gallery/gallery/CRANKO-John-Oneguine/G0000u3c5PqSUhe8/


以下、写真を見ただけの勝手な感想です。

マチアスは、間違いなく、近いうちにエトワールにノミネされるだろう逸材であり、いつ、その役で任命されるかというだけのことだと思っていましたが、主役ではないレンスキー役でのノミネはちょっとびっくりでした。今回、私が観に行く時に彼のレンスキーの日には当たらないのが残念。

(そしてレンスキー役のフロリアン・マニュネ&オドリック・ベザール、レンスキーのイメージとだいぶ違うけど、大丈夫なのかしら?)

イザベル・シアラヴォラは最近主役への抜擢が相次いでいて、芸術監督のルフェーブル女史に相当気に入られていたのだと思いました。「椿姫」「天井桟敷の人々」、驚きの「オネーギン」ファーストキャスト。そして代役の予定ながら、オーストラリア公演の「ラ・バヤデール」ニキヤも予定されています。

ただ、タチアーナって自分の印象では、特に1幕は決して美女であってはならないし、幼さや文学少女らしい堅さも残していないといけないけど、写真からはそれが感じられないのですよね。最初から眉毛が極細なので、若く見えないし。3幕の赤いドレスではすごく派手。シアラヴォラは脚が素晴らしく美しく、また女優さんのようにとっても雰囲気があって美人だと思うけど、蛾のように細い眉毛のせいでちょっと顔が怖いんですよね。「椿姫」のマルグリットは良く似合っていると思うけど。エトワールになるタイプのダンサーではないような。そして37歳でのエトワールってことは、引退まであまり長くないってことですよね。

シュツットガルト・バレエの芸術監督、リード・アンダーソンはこの舞台を観ていたんでしょうか。初日だから観ていたんでしょうね。個人的には、この「オネーギン」の初日の出来、特にエルヴェ・モローのオネーギンとシアラヴォラのタチアーナがどんな感じだったかということが気になります。そして、リード・アンダーソンが本当のところ、どういう感想を持ったかということも。


さらに追記
イザベル・シアラヴォラで検索をかけたら、彼女のMySpaceのサイトが引っかかりました。写真がたくさん貼ってありましたが、たしかに彼女は昔の女優のような雰囲気美人ですよね。マチュー・ガニオとの写真も何枚か。あとブノワ賞ガラでの『椿姫』の動画も貼ってありました。

2009/04/16

SWAN MAGAZINE Vol.15 2009年春号

SWAN MAGAZINE Vol.15 2009年春号、特集は「夢は、エトワール!パリ・オペラ座バレエ学校」ということで、今月末に公演で来日するパリ・オペラ座学校。

巻頭は、新連載「エトワールに夢中!」ということで、オペラ座のエトワールのインタビューが毎号載るそうです。ダンスマガジンでも毎号のようにオペラ座を取り上げているし、何もここでも毎号掲載にしなくても、と個人的には思います。日本では、オペラ座以外のバレエ団ってなかなかメディアには載らないですよね…。

「エトワールに夢中!」一回目はアニエス・ルテステュ。華やかでクールな舞台姿はいうまでもなく(「白の組曲」、ウェイン・マクレガーの「Genus」などの素晴らしい写真が載っています)、私服の時の彼女もとても美しいですね。衣装デザインを担当した、「天井桟敷の人々」のデザイン画なども見ることができます。今シーズンは「ライモンダ」「白の組曲」を踊り終えた時点で、もうダンサーとしての出番はなく、ツアーで6月にオペラ座のオーストラリア、ブリスベン公演の「ラ・バヤデール」があるだけです。来シーズンは、「ジゼル」を踊るそうで。彼女を取り上げたドキュメンタリーDVD「美のエトワール」で、背の高い女性ダンサーはなかなかジゼル役を踊る機会を与えてもらえない、どうしてもジゼルが踊りたかったという話がありましたね。


特集では、3人のオペラ座学校出身者のインタビューが載っています。エルヴェ・モロー、マチアス・エイマン、そしてローラ・エケの3人が、学校時代の思い出を語っています。

エルヴェの写真は、第一学年の公演の時の、マリ=ソレーヌ・ブレと踊っている「ダフニスとクロエ」のとても素敵な一枚。現在の長身の姿からは想像がつかないのですが、実は彼は途中で背が伸びなかったため、留年したことがあったそうです。一緒に入団したのは、マロリー・ゴディオンだったんですね。プティ・ペールはステファン・ファヴォランで、落ち込んだ時には優しく慰めてもらえたとか。来日公演でエルヴェが王子を踊った時、ファヴォランがロットバルトでしたよね。意外とプティ・ペールって年齢の近い人がなるものなんだなと改めて思った次第です。

マチアスは、もともと趣味のような感じで週3回でバレエを学んでいたため、入学した時には慣れなくて大変だったそうです。同級生にはマルク・モローやダニエル・ストークスがいたとのこと。彼が第一学年の時には、クロード・ベッシー校長の最後の年だったんですね。そんなマチアスは今、独学で日本語を勉強中とのことです。

ローラ・エケは国立高等音楽学院から編入してきたので、オペラ座学校は2年間のみ。そんな彼女がトップで入団したのは、本人も意外に思ったそう。ドキュメンタリー番組「明日のエトワールたち~パリ・オペラ座バレエ学校」では、彼女とマチルド・フルステーが第一学年の時のことが描かれているので、そうか、と思いました。プロフィール写真があまり可愛くなくてちょっと気の毒です。実際にはもっと綺麗なので。 

オペラ座学校の来日公演でジャン=ギョーム・バールの「ペ・ド・ジュネス」を踊る予定の6人の生徒たちの紹介があるのが親切ですね。今シーズンオペラ座に入団したタケル・コストの弟、ジュンタロー・コストもその中の一人。


さらに、オペラ座学校で学んだ日本人ダンサーということで、現在オペラ座のカドリーユの藤井美帆さん、ロイヤル・バレエのソリスト小林ひかるさん、96年のローザンヌコンクールでスカラシップをもらってオペラ座学校に留学し、現在松岡伶子バレエ団に所属している河合佑香さんのインタビューがあります。96年って、中村祥子さんや樋口ゆりさん、マルセロ・ゴメスやイヴァン・プトロフが出場した年ですよね。小林ひかるさんは、先日「ラ・バヤデール」のガムザッティを踊りましたが、来シーズンはなんとオーロラデビューをするそうです。藤井さんも、オペラ座にいくと大抵何らかの役を踊っているので、日本人一人で頑張っているんだな~って思います。

12月に行われたオペラ座の昇進試験のレポートなども載っていて、まさに一冊まるごとパリ・オペラ座特集。バレエ漫画「まいあ」でも、オペラ座学校の昇級試験と入団試験が出てくるという具合です。パリ・オペラ座ファンの方はぜひ。

SWAN MAGAZINE スワン・マガジン Vol.15 2009 春号SWAN MAGAZINE スワン・マガジン Vol.15 2009 春号
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薄井憲二バレエ・コレクションのサイト

あるメーリングリストで教えていただいたのですが、薄井憲二バレエ・コレクションのサイトができていたんですね。

http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/center/ballet/index.html

薄井憲二さんといえば、言うまでもなく日本バレエ協会の会長にして、国際コンクールの審査員やバレエ史研究かとして有名であり、日本のバレエ・リュス研究の第一人者。バレエ・コレクションの総数は約6,500点にのぼり、個人が収集したものとしては世界でも有数の規模を誇っているそうです。

兵庫県立芸術文化センターで、この薄井憲二バレエ・コレクションを常設展と企画展という形で見られるようにしています。この兵庫県立芸術文化センターのオープニング・ガラ(ニジンスキー版「春の祭典」の初演)のときにも、その一部を公開していて、一部屋だけだったのですがとても素敵なバレエ・リュス関係のコレクションを見ることができました。

現在は、常設展として、「ピカソのバレエ・バレエのピカソ」を開催中です。
2009年4月16日(火)~2009年5月13日(水)(PDFでリーフレットが開きます)
http://www1.gcenter-hyogo.jp/sysfile/center/ballet/contents/standing/vol17.pdf

今後の予定としては、

企画展 (場所:2階共通ロビー内ポッケ)

第5回  2009年5月15日(金)~2009年6月2日(火)
祝100周年“バレエ・リュス”
  ~衝撃のデビューからベル・エポック終焉まで~

第6回  2010年3月2日(火)~2010年3月31日(水)
祝100周年“バレエ・リュス”
  ~米国ツアー・ニジンスキーをめぐって~

が開催されるそうなので、兵庫県立芸術文化センターに行く機会のある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

マリインスキー・バレエのロンドン公演 Mariinsky Ballet in London August 2009

dansomanie経由情報です。

ロイヤル・オペラハウスのサイトに、8月3日から15日まで開催される、マリインスキー・バレエのロンドン公演のキャストが掲載されていました。
(ちょうど世界バレエフェスティバルの開催期間中なので、ヴィシニョーワはロンドン公演には参加しません)

http://www.roh.org.uk/whatson/index.aspx?eventType=0&period=4&page=3

一番びっくりしたのが、「眠れる森の美女」でソーモワがオーロラの日にロパートキナがリラの精を踊ることです。うーん、そんなことがあっていいんでしょうか。(ロンドンのキャスト、よく見るとソーモワ祭りです。そう考えると、ヴィシニョーワが出る日本公演のキャストの方が良いのかも?)

逆に言えば、日本公演のキャストではまだリラの精役はアナウンスされていませんが、ロパートキナやコンダウーロワのリラが期待できるかもしれないってことでしょうか。

あと、現在産休中のはずのオレシア・ノーヴィコワもジュリエットとオーロラに入っています。この頃には復帰するということなのかしら。(でも、今のところは来日メンバーには入っていないようですよね)

来日公演でオーロラを踊るテリョーシキナもとても上手ですし、ものすごく良いダンサーだと思いますが、オーロラキャラなのは、ここでのキャストのように、オブラスツォーワやノーヴィコワ、そしてオスモルキナですよね。なんでこの3人のどれかが来日公演でオーロラじゃないのかが不思議ですよね。

ロミオとジュリエットは、コールプとイワンチェンコがロミオ役というのにちょっと驚きです。特にイワンチェンコのロミオなんて、とてもとても想像ができません…(ねっokamokoさん!)。アントン・コルサコフのロミオは可愛いでしょうけれども。(アントン、来日公演には来てくれるのかしら?来て欲しいです)


Romeo and Juliet ロミオとジュリエット
http://www.roh.org.uk/whatson/production.aspx?pid=9642

3 August , 19h30
Juliette : Alina Somova
Roméo : Vladimir Shklyarov

4 August , 19h30
Juliette : Olesia Novikova
Roméo : Igor Kolb

5 August 19h30
Juliette : Ekaterina Osmolkina
Roméo : Evgeny Ivanchenko

6 August , 19h30
Juliette : Evgenia Obraztsova
Roméo : Anton Korsakov


Swan Lake 白鳥の湖
http://www.roh.org.uk/whatson/production.aspx?pid=9651

7 August , 19h30
Odette-Odile : Uliana Lopatkina
Siegfried : Daniil Korsuntsev

8 August, 14h
Odette-Odile : Ekaterina Kondaurova
Siegfried : Igor Kolb

8 August, 19h30
Odette-Odile : Viktoria Tereshkina
Siegfried : Evgeny Ivanchenko

10 August, 19h30
Odette-Odile : Alina Somova
Siegfried : Daniil Korsuntsev

11 August, 19h30
Odette-Odile : Viktoria Tereshkina
Siegfried : Vladimir Shklyarov


Homage to Balanchine バランシンへのオマージュ
http://www.roh.org.uk/whatson/production.aspx?pid=9667

12 August 2009, 19h30
Serenade セレナーデ
Alina Somova
Evgeny Ivanchenko
Ekaterina Osmolkina
Daria Vasnetsova
Denis Firsov

Rubies ルビー
Irina Golub
Vladimir Shklyarov
Ekaterina Kondaurova

Symphonie in C シンフォニー・イン・C
Viktoria Tereshkina
Anton Korsakov
Uliana Lopatkina
Daniil Korsuntsev
Olesya Novikova
Filip Stepin
Nadezhda Gonchar
Alexei Timofeyev

13 August 2009, 19h30
Serenade セレナーデ
Daniil Korsuntsev
Ekaterina Osmolkina
Irina Golub
Yulianna Chereshkevitch
Denis Firsov

Rubies ルビー
Viktoria Tereshkina
Alexander Sergeyev
Anastasia Lishyuk

Symphonie in C シンフォニー・イン・C
Alina Somova
Anton Korsakov
Maxim Zuzin
Ekaterina Kondaurova
Evgeny Ivanchenko
Ekaterina Osmolkina
Vladimir Shklyarov
Evgenia Obraztsova


The Sleeping Beauty 眠れる森の美女
http://www.roh.org.uk/whatson/production.aspx?pid=9660

14 August 2009, 19h30
Princess Aurora : Olesia Novikova
Prince Désiré : Igor Kolb
Lilac Fairy : Ekaterina Kondaurova

Saturday, August 15 2:00 PM
Princess Aurora: Evgenia Obraztsova
Prince Désiré : Vladimir Shklyarov
Lilac Fairy: Uliana Lopatkina

Saturday, August 15 7:30 PM
Princess Aurora : Alina Somova
Prince Désiré: Léonid Sarafanov
Lilac Fairy: Uliana Lopatkina

2009/04/15

ヴェロニカ・パルトがABTのプリンシパルに昇進 Veronika Part promoted to Principal Dancer

ABTのオフィシャルで、ヴェロニカ・パルトがABTのプリンシパルに昇進することが発表されました。

4/14/2009 - Veronika Part has been promoted to Principal Dancer with American Ballet Theatre, effective May 18, 2009,

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=262

ワガノワからマリインスキー・バレエのソリストを経てABTに移籍。絶世の美女といってもいいほどの美貌と、ワガノワ出身ならではの叙情的な表現で一部に熱狂的なファンを持つヴェロニカ。オデット・オディールやニキヤなどの役には定評がありました。時々不安定なこともあり、なかなか昇進しないとやきもきする人も多かったのですが、ついにプリンシパルになったのですね。おめでとうございます。

NYTimesにも記事が載っています。
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2009/04/14/new-principal-dancer-at-ballet-theater/

今シーズンは、ラ・シルフィードのシルフィード・デビューも予定されています。

そんな美しいヴェロニカのオフィシャルサイトはこちらです。(最近更新されていないのかしら?)
http://www.officialveronikapart.com/

2009/04/14

ザハロワのガラ/新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」「ライモンダ」DVD続報

ジャパン・アーツのバレエ・舞踊ブログで、ザハロワの新作「ザハロワ・スーパーゲーム」をフィーチャーした、モスクワでのザハロワ・ガラのレポートが載っていました。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/117463463.html

ザハロワのガラが本拠地であるボリショイ劇場で開かれるのは初めてのことだったんですね。そして、この「Zakharova Super Game」という不思議な題名の新作ですが、レポートを読み、写真を見てみると、本当にコンピューターゲームをモチーフにした作品だったことがわかります。衣装が、戦士っぽいのです。レベル5までいくと、ラスボスであるメルクーリエフ扮するクロノスが登場するんですね。

振付家のフランシスコ・ヴェンティリアは、ミラノ・スカラ座の現役ダンサーで、まだ29歳。ザハロワが今度の来日公演「ザハーロワのすべて」で踊る「Black」の振付家でもあります。

こちらで
http://www.for-ballet-lovers-only.com/bolshoi-zakharova-gala2009.html
「ザハロワ・スーパーゲーム」はじめ、このガラの写真をいくつか見ることができます。平山素子さん振付の「Revelation」の写真がたくさんあります。「ザハーロワのすべて」でも披露される「トリスタンとイゾルデ」も。

そして、「シンフォニー・インC」では、ザハロワとアレクサンドロワ、アンドリエンコ、ゴリャーチェワという贅沢な並びで踊ったんですね。

他にも、イーゴリ・ゼレンスキー、ダニール・シムキン、メラニー・ユレル、アレッシオ・カルボネらが出演したとのことです。

このサイトでは、同じくバレエ・舞踊ブログで初演の様子が紹介された、ヴィハレフ復元による「コッペリア」(アレクサンドロワ主演)の写真を見ることもできます。
http://www.for-ballet-lovers-only.com/bolshoi-coppelia2009.html

ザハーロワのすべて」、ぴあで割引のチケットが出ていたり、ゴールデンウィークという時期が災いしたのか、意外とチケットの売れ行きが苦戦しているようです。かくいう私も、観に行きたいのに行けない訳ですが。ザハロワが踊る現代作品はぜひ見てみたいですし、写真を見る限り面白そうなんですよね。出演者も豪華だし。今回ぜひ公演が成功して、定例公演となってほしいなって思います。

**********
ザハロワといえば、新国立劇場で収録された「ライモンダ」のDVDが発売されます。すでに、情報をご存知の方も多いかと思いますが、AmazonにDVDの詳細が出ていました。

ライモンダ
【DVDの内容】
ライモンダ 全3幕 約150分
振付:プティパ 作曲:グラズノフ
改訂振付・演出:牧阿佐美
主演:スヴェトラーナ・ザハロワ/デニス・マトヴィエンコ
2009年2月12・14日 新国立劇場収録

【特典映像】
All about 新国立劇場バレエ団 約30分
1ザハロワ特別インタビュー&リハーサル
2『ライモンダ』バックステージ・ツァーby 小野絢子
3新国立劇場バレエ団レッスン風景

【書籍の内容】
あらすじ/ライモンダ10の扉/牧阿佐美インタビュー/ザハロワの魅力/憧れのチュチュ。衣裳工房探訪 ほか


白鳥の湖
【DVDの内容】
白鳥の湖 全4幕 約150分
振付:プティパ/イワーノフ 作曲:チャイコフスキー
改訂振付・演出:牧阿佐美
主演:酒井はな/山本隆之
2006年11月18日 新国立劇場収録

【特典映像】
新国立劇場バレエ団ソリスト・セレクション 約30分 (舞台ハイライトシーンとインタビュー)
1眠れる森の美女:川村真樹
2ドン・キホーテ:寺島ひろみ/小嶋直也
3カルメン:本島美和
4オルフェオとエウリディーチェ:酒井はな/山本隆之

【書籍の内容】
あらすじ/白鳥の湖10の扉/牧阿佐美インタビュー/主演ダンサーインタビュー ほか

舞台そのものも期待できますが、特典映像がとっても嬉しい内容になっていますね。川村さんの眠りや小嶋さんのバジル、見逃してしまったもので。

「白鳥の湖」の収録された日ですが、キャストは、

ロットバルト 貝川鐵夫
パ・ド・トロワ 高橋有里、さいとう美帆 マイレン・トレウバエフ
道化 グレゴリー・バリノフ
小さい4羽の白鳥: 遠藤睦子、西山裕子、本島美和、大和雅美
大きい4羽の白鳥: 真忠久美子、厚木三杏、川村真樹、寺島まゆみ
スペイン 楠元郁子、厚木三杏、マイレン・トレウバウエフ、冨川祐樹
ナポリ 井倉真未、小野絢子、八幡顕光
ルースカヤ 湯川麻美子
ハンガリー 西山裕子、市川透
2羽の白鳥 厚木三杏、川村真樹

と、ベストに近いキャストですね。これは絶対に買わなくちゃ。

ライモンダ RYMONDA 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 2)ライモンダ RYMONDA 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 2)
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ファッションから名画を読む 深井晃子

人物画を観るというときに、私たちは何を観ているのだろうか。もちろん、その人が何を着ているのか、意識はするけれども、どれほど注意深く観ているのか。ときどき、ちゃんと観なくてはならないものを見落としている、と感じることがある。

裸体画でない限り、人物は何かしらの服を身に着けている。そして、それらの服装こそが、その人物がどのような社会的な地位を持った人間で、どの時代にどのように生きていて、その時代とはどんなものだったのかというのを語るものだ。

というわけで、服飾史の専門家である筆者が、ファッションを通して、ルネッサンスから19世紀初頭までの美術史について語ったのが、この本だ。ファッションと言うと軽く聞こえるけど、服装には、その時代の社会情勢や政治までもが見えてくるところがある、とこの本の前書にはある。

もっとも有名な絵画の一つであるレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」が、黒いドレスを着て、ヴェールをかぶっているのはなぜか。そして、モナリザ・スマイルを浮かべているのはなぜか。そんな永遠の疑問から始まる。

フィレンツェのウフィッツィ美術館にある、ブロンズィーノの「エレオノーラ・ディ・トレドと子息ジョヴァンニ」では、コジモ一世の美しい妻エレオノーラが、大胆で凝った唐草文様のビロード織りのドレスをまとっている。この精緻で華やかな絵画は、メディチ家の権勢を誇示すると共に、フィレンツェの優れた繊維・織物産業と芸術文化を内外にアピールするために描かれたものだという。

マリー・アントワネットが好んだという木綿の白いドレス。イギリスで綿モスリンが流行したのがフランスに入ってきたのだ。しかし、モスリン・ドレスは寒いフランスの冬には薄すぎて、スペイン風邪を引いて死ぬ婦人が続出。すると、今度は高価なカシミアのショールが流行する。カシミアのショールを流行させたのは、ナポレオンの妻ジョセフィーヌ。彼女がカシミアショールを肩にかけたり、膝にかけたりドレスのように着ている肖像画がいくつも残されている。

面白いのが、色と染料の話。ティツィアーノの「改悛するマグダラのマリア」のマリアは、なぜ縞模様の服を着ているのか。それは、彼女が娼婦であるということを示しているから。中世ヨーロッパにおいては、2色以上を使った縞柄は、社会からのはみ出し者のしるしだった。囚人服が縞模様なのも、そのような意味があったわけだ。

かつて、染料というのは高価なもので、フェルメールの「ターバンを巻いた少女(真珠の耳飾りの少女)のターバンに使われているブルーは、高価なウルトラマリンだった。アフガニスタンで採れるラピスラズリを砕いて作ったという。ブルーの染料は、大航海時代を経て、もう少し安いインディゴが入ってくる。だが、色を手に入れるためにその時代、人々は命すらも賭けた。そこまでして、色というのは魅惑的な存在だったのだ。そして、19世紀に合成染料が誕生したことで、服装史も美術史も大きく変わっていく。19世紀後半から、黒がファッショナブルな色としてもてはやされるようになるのも、合成染料の発達で、美しい黒を作り出すことができるようになったからということだ。

19世紀半ばには、パリの都市計画の発達に伴い、モードが出現する。ルノワールが描いたその名も「パリジェンヌ」という作品があるが、街を闊歩し劇場や舞踏会に現れるファッショナブルなパリジェンヌたちの姿を、ドガやマネ、モネ、モリゾらが描いた。そして、社交界とは別の、裏社交界=ドミ・モンドの女性たち=高級娼婦も登場する。美貌と才知で社交界を渡り歩いた彼女たちは、流行の先端を走っていた。まさに、「椿姫」の世界だ。印象派の時代の絵画は、女性たちの華やかな服装に目を奪われる。庶民の女性たちも、生き生きとしていて精一杯のおしゃれをしているのが感じられる。

この本の中でひときわ目を奪われたのが、ジョルジュ・クレランによる、伝説的な女優、サラ・ベルナールの肖像。ほっそりとした長身を優雅にくねらせてソファに腰掛けている彼女のなんとゴージャスなこと。細身を際立たせる白い絹のドレスがまた美しい。19世紀には、拷問器具のようなコルセットも登場し、細いウェストがもてはやされる。コルセットや下着姿の女性の絵画も見られるようになるが、これらのモデルの多くは高級娼婦であった。

20世紀初頭は、バレエ・リュスが一世を風靡する。もちろん、バレエ・リュスのことは知っているわけだし、ピカソやシャネル、ローランサン、ルオー、コクトーといった名だたる芸術家やデザイナーが関わっていることも知っている。だけど、バレエ・リュスがこれほどまでの一大センセーションをモードにもたらしたとまでは思っていなかった。レオン・バクストの独創的な舞台装置と衣装、そしてニジンスキーの超人的な踊り。

「バクストは、バレエ・リュスという舞台を絵筆だけでなく、色彩をまとわせた素晴らしい踊り手たちの躍動する身体という絵筆も使って立体的に描き出した。彼は、いわば動く絵とでもいうパフォーマンスとして、より現代的な作品を作り上げた」

バレエ・リュスが現代美術のアートでパフォーマンスと呼ばれるものの先駆けであった、それはもしかして常識なのかもしれないのだけど、個人的にはちょっと新しい視点で、面白かった。

写真が登場し、服が大量生産のものになってきて、モードを描いた美術作品は激減する。だけど、過去の美術作品に描かれた服装が、今も様々な芸術のインスピレーションの源になっているのはいうまでもない。服装は今も、時代や社会を映す鏡だ。絵画だけでなく、舞台芸術を観る際にも、もっと衣装に注目しようと思った次第である。豊富な図版はすべてカラーで、数々の名画に登場する女性たちの服装を見ているだけでも楽しい。

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2009/04/13

バレエ・ダンサー201 ダンスマガジン編

バレエ史に燦然と輝く著名なダンサーから、注目の若手まで、世界中のダンサー201人を一挙紹介した本。

表紙はロイヤル・バレエのアリーナ・コジョカルとスティーヴン・マックレー。新旧ダンサー201人をピックアップしているのだけど、個人的には、ちょっと構成に難があるのでは、と思った。というのは、すでに現役を退いている往年のダンサーと、現役のダンサーが50音順に入り混じっていると、どうも座りの悪さを感じてしまうから。評価の定まっていない若手ダンサーを紹介するのはいいことだと思うけど、歴史に残るようなダンサーと並べられているとすごく違和感があるし、実用上も不便だ。現在と過去を分けてくれた方が親切だったと思う。

一人あたり1~3ページを割いている前半と、一人半ページの後半に分かれている。この手の本を見ていると毎度起きる疑問だけど、どういう基準で選んでいるのだろうか(この辺は個人の好みもあって難しいところではあるけど)。特に、これも毎回思うことだけど日本人ダンサーの選び方は良くわからない。なんて上野水香に3ページも使っているのだろうか?

とりあえず有名どころのダンサーはほぼ網羅されているので、手元にあると便利ではある。出演DVDが紹介されているのは、とても親切。

色々書いても仕方ないので、どんなダンサーが紹介されているかだけ、挙げておく。好きなダンサーが出ていれば買ってみる、ということでいいのではないかな。

<大項目で紹介>

カルロス・アコスタ/アルティナイ・アスィルムラートワ/シルヴィア・アッツォーニ/ニーナ・アナニアシヴィリ/マリヤ・アレクサンドロワ/ローラン・イレール/ディアナ・ヴィシニョーワ/アンドレイ・ウヴァーロフ/上野水香/ミリアム・ウルド=ブラーム/マチアス・エイマン/ナタリヤ・オシポワ/エフゲーニャ・オブラスツォーワ/

ローレン・カスバートソン/マチュー・ガニオ/ドミニク・カルフーニ/ホセ・カレーニョ/シルヴィ・ギエム/アダム・クーパー/草刈民代/熊川哲也/ナデジダ・グラチョーワ/ジュリー・ケント/アリーナ・コジョカル/ペルニス・コピエテルス/マルセロ・ゴメス/イーゴリ・コルプ/アンヘル・コレーラ/

斎藤友佳理/酒井はな/スヴェトラーナ・ザハーロワ/レオニード・サラファーノフ/オクサーナ・シェスタコワ/ジジ・ジャンメール/首藤康之/ドロテ・ジルベール/マリ=アニエス・ジロ/イーサン・スティーフェル/ポリーナ・セミオノワ/イーゴリ・ゼレンスキー/

アンソニー・ダウエル/高岸直樹/ヤンヤン・タン/崔由姫/ニコライ・ツィスカリーゼ/オーレリ・デュポン/パトリック・デュポン/ヴィヴィアナ・デュランテ/ヴィクトリア・テリョーシキナ/イリーナ・ドヴォロヴェンコ/ジョルジュ・ドン/

中村祥子/マリアネラ・ヌニェス/ルドルフ・ヌレエフ/

マルシア・ハイデ/ダーシー・バッセル/ミハイル・バリシニコフ/マリ=クロード・ピエトラガラ/レティシア・プジョル/ジュリアン・ファヴロー/アンドリアン・ファジェーエフ/セルゲイ・フィーリン/エレーナ・フィリピエワ/フリーデマン・フォーゲル/アレッサンドラ・フェリ/マーゴ・フォンテイン/イリ・ブベニチェク/エリザベット・プラテル/マイヤ・プリセツカヤ/イリーナ・ペレン/デヴィッド・ホールバーグ/フリオ・ボッカ/ロベルト・ボッレ/アンナ・ポリカルポヴァ/

ジリアン・マーフィ/エカテリーナ・マキシモワ/スティーヴン・マクレイ/デニス・マトヴィエンコ/ウラジーミル・マラーホフ/ジョゼ・マルティネス/森下洋子/エルヴェ・モロー/

康村和恵/山本隆之/吉岡美佳/

吉田都/ルシア・ラカッラ/アレクサンドル・リアブコ/ロイド・リギンス/マニュエル・ルグリ/ファルフ・ルジマートフ/モニク・ルディエール/アニエス・ルテステュ/ニコラ・ル・リッシュ/スヴェトラーナ・ルンキナ/エリザベット・ロス/ウリヤーナ・ロパートキナ/タマラ・ロホ/ジル・ロマン/

イワン・ワシーリエフ/ウラジーミル・ワシーリエフ

バレエ・ダンサー201バレエ・ダンサー201
ダンスマガジン編集部

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2009/04/12

国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア

本当は今日は映画を観に行くつもりだったのだけど、新宿ピカデリーに行ったら、見られる時間帯の映画が全部満席だった。株主優待で新宿ピカデリーで上映される映画は、上映1週目以外は全部無料で観られるのだけど、2回に一回は満席で何も観られなくて引き返す羽目になっている。

新宿はほかに映画館が大したものがないし(そもそも新宿という街が嫌いだし)、渋谷に行って、「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」を観に行く。この展覧会の目玉である、クラムスコイ「忘れえぬ女」のポスターが、あざやかなインパクトを残していたからだ。

ロシア美術を、紡績業で富をなした創始者トレチャコフが収集。彼の没後自宅が国立トレチャコフ美術館となり、約10万点の作品を所蔵しているとのこと。今回の展覧会では、その中でもコレクションの中心となっている19世紀後半から20世紀初頭にかけての作品を75点展示。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_tretyakov/index.html

「忘れえぬ女」くらいしか知っている作品もなければ、その時代のロシア美術について何も知らないので、果たしてどうなんだろうと思っていたけど、観に行って良かった。75点の作品は、傑作ぞろいだった。

この展覧会は、以下の4つのテーマを主題として展示されている。

1:抒情的リアリズムから社会的リアリズムへ
2:日常の情景
3:リアリズムにおけるロマン主義
4:肖像画
5:外光派から印象主義へ

このテーマから浮かび上がってくるのが、リアリズムだ。庶民の生活の哀歓を描いた作品群。画家の家族や親しい人を描いた作品といった人物画、肖像画も魅力的だ。結婚式への準備を行う花嫁と親戚や友人たちの姿を描いたワシーリー・マクシモフの「嫁入り道具の仕立て」を見ると、全然雰囲気は違うのだけど、ニジンスカのバレエ「結婚」を思い起こす。

今回の展覧会で特に深く印象に残ったのは、3.のリアリズムにおけるロマン主義。23歳で夭折したフョードル・ワシーリエフの「白樺林の道」や「雨が降る前」「猟師」における繊細でドラマティックな自然描写。アルヒープ・クインジの「エルブルース山-月光」では、月光を浴びた白い山頂が、蒼く輝いて鮮烈な印象を残す。同じクインジの「ヴァラーム島にて」では、グリーンの使い方、そして冷たい光の表現が独特で、写実的なのにも関わらず、いまだかつて見たことがないような幻想的な世界を見せてくれる。イサーク・レヴィタンの「静かな修道院」は、神聖さと静けさのなかに、美しい光景を見た者の高揚感までもが伝わってくる。鏡のように修道院を映す水面にかかった古くて小さな橋が、象徴的だ。同じくレヴィタンの「たそがれ、干し草」は、夕景の中に積み藁を描いているだけなのに、神秘的で哲学性すら感じさせる。

風景画はどれも目を吸い付けて離さないようなドラマ性がある。ロシアの厳しくも美しい自然と広大な大地。特にふわりとした雪の表現や、玉虫色のような色彩さえ帯びている空の色は心に残る。今回のコレクションを構成している画家の多くは、ヨーロッパへと旅をして、同時代の印象派の影響を受けている。5.の外光派から印象主義へ、ではその印象派の影響も感じされる。しかし光の表現などに印象派の影響を受けながらも、ロシアらしいオリジナリティ、リアリズムやロマン主義、リリシズムが脈々と息づいているのが感じられた。

肖像画家として若くして名声を得たイリヤ・レーピン。文豪ツルゲーネフのもっとも有名な肖像画をはじめ、自信と才能に溢れる美しいピアニストを描いた「ピアニスト、ゾフィー・メンターの肖像」、そして堂々とした美丈夫の軍人/劇作家/俳優「コンスタンチン・コンスターノヴィチ大公の肖像」、若く輝かしい美青年「劇作家レオニード・アンドレーエフの肖像」などを描いているが、同時に、自身の娘ヴェーラ20歳当時の生き生きとした若さを刻み付けた「秋の花束」のみずみずしさ、息子ユーリーの5歳の愛らしい姿を描いた「画家レーピンの息子 ユーリーの肖像」などの身近な人々を描いた作品には、印象派の影響が感じられると共に、温かさがある。

そしてクラムスコイの「忘れえぬ女」。原題はUnknown Ladyとなっているので、正確には「見知らぬ女」とすべきか。黒い衣装に、黒髪、エキゾチックで大きな黒い瞳の若い女性。ちょっとニーナ・アナニアシヴィリに似ている感じ。高価そうな服を着ているが、無蓋の馬車に乗っているので決して高い身分ではないようだ。長い睫毛を少し伏せて憂いを含みつつも挑発的なまなざしと、きりっと結ばれた口。この作品につけられた解説によると、ある者は彼女の中にチェーホフの「アンナ・カレーニナ」を見出し、また別の者は、トルストイの「白痴」のナターシャを重ね合わせたという。社会に対して挑むように見える彼女は、ロシア版の「椿姫」だと解説は書いている。実物を見ると、絵の具がキラキラ輝いているように見える。明度の高い背景に対して、黒をベースにした彼女の姿が浮かび上がり、きらめきを放っているのだ。

もう一枚のクラムスコイの作品「髪をほどいた少女」も、光を乱反射する少女の金髪と、思い悩むようなまなざし、繊細な空気が伝わってくる。

ツルゲーネフのほか、チェーホフやトルストイの肖像画もあるが、ここに展示されている肖像画は、画家が描く対象に対して感じている思いが良く伝わってきている。ただの肖像画に終わっていなくて、その人物の持つ精神性までもが感じられていて、深い。

ロシア文学などに関心を持っている方にもぜひ観て欲しいと思う。素晴らしい展覧会だった。

デュマ・フィス 「椿姫」 Alexandre Dumas, fils La Dame aux camélias 

椿姫 (新潮文庫) (文庫)
デュマ・フィス (著), 新庄 嘉章 (翻訳)

このとても有名な小説を未だ読んでいなかったので、ハンブルク・バレエの来日公演が終わってすぐ、新潮文庫版を買った。とても読みやすくて、あっというまに読み終えた。単なるメロドラマではなく、若書きの情熱がほとばしっていると共に、どんな人間も持つ暗い側面も描いていて深い作品だ。

ノイマイヤーは、ストーリーそのものは原作にかなり忠実にバレエ化している。マルグリットは、唯一最期を看取ったたった一人の友人ジュリー(バレエでは、侍女ナニーヌ)の他には誰に知られることもなく、窮乏した上に寂しく死んでいった。マルグリットの遺品のオークションから始まり、そして彼女が遺した手記をアルマンが読んでいく、というところまで同じ。

主人公二人のキャラクター設定はだいぶ違うところがあると感じた。一言で言うと、ノイマイヤーは優しい人なのだろう。原作のシビアで人間の本質を抉り出すようなところは省かれ、より主人公たちに感情移入できるように、そして彼ら二人にフォーカスできるようにキャラクターを作りあげたと感じた。

設定上、マルグリットは原作では20歳そこそこの若い女性だ。アルマンのことを一途に愛し、そしてその愛ゆえに苦しみ、孤独の中で死んでいくというところは同じだが、彼女が日記に綴った言葉を読むと、こんなに年若い女性が、ここまでの分別と知性を持ち合わせることができるのだろうかと思う。

そう考えると、ノイマイヤーがバレエ化に当たって、マルグリットを決して若くはない、むしろかなり年嵩の女性としたのは正しいと言える。原作の持つ残酷さを上手く転化してる数少ない場面。それは、病に臥せっているマルグリットが、衰えた姿に派手な化粧をし、ふらふらと観劇に出かけていくところだ。ノイマイヤーは映像では、若くはないマリシア・ハイデに化粧を落とさせて、素顔をさらさせている。

****

「椿姫」を一種の聖女物語と理解している人は多いと思う。悔い改めた娼婦、マグダラのマリア的なイメージだ。
だが、マルグリットは決して聖女ではない。

小説「椿姫」を読んで印象的だったのは、お金に関する記述の多さだ。マルグリットのパトロンは年収がこれくらいで、アルマンはこれくらいと。そしてマルグリットは月額いくらいくらのお金を浪費する贅沢好きの女として描かれている。そして、毎晩、宴から宴へと渡り歩く狂騒のような日々。アルマンを長時間部屋の外で待たせたりする。アルマンは、彼女が湯水のように使うお金を得るために、ギャンブルに手を出す。

二人が田舎に隠棲して、それがパトロンの伯爵に見つかってしまい、伯爵との関係を絶とうとするときに初めて、マルグリットはお金に対する執着を捨てて、質素に生きようとする。ところが、アルマンの父が二人の関係を引き裂き、再びマルグリットは華やかな日々に舞い戻る。しかしながら彼女の病が悪化し、パトロンたちの財政状態が悪化し、ついにマルグリットの部屋には情け容赦のない借金取りたちが現れ、病床の彼女を苦しめる。死の床にあっても、借金取りたちが彼女が出てくるのを待ち構えているような状態だ。

アルマンを深く愛しながらも、マルグリットは華やかな生活に対する執着、美しいドレスや宝石への執着が捨てきれない。(だからこそ、マノンに彼女は感情移入するわけだ)死を目前にしてようやく、彼女は純粋に愛そのものに転化していき、清められていく。そのあたりの心情の変化を綴るところが、この作品の白眉と言える。苦しみながら最期を迎えても、魂そのものは清められたということでは、この作品には救いがある。

マルグリットの友人である元娼婦のプリュダンス。ノイマイヤーの「椿姫」でも彼女は、マルグリットには親切そうに接しながらも、ティーセットを盗もうとしたり、マルグリットが伯爵につき返した宝石を拾って持って帰ったりと手癖が悪い女性として描かれている。小説のプリュダンスは、さらにお金に汚い年増女である。美しいクルチザンヌとして名高いマルグリットの名前を利用して方々から借金をして、結果的にマルグリットの借金が雪だるまのように膨らんでいく。そしてマルグリットが病に倒れてからは、足が遠のき、ついに見舞いにも来なくなる。

その美しさでパリの裏社交界の名花としてあがめられたマルグリットが、死の床についてからは忘れ去られ、見舞う人すらいない。人間というのは現金なものである。アルマンへの想いと少しの恨み言、孤独のつらさ、病の苦しみを切々と綴っている彼女の日記。やがてペンを握る力すら残されなくなり、最期を看取った友人ジュリーが代わりに彼女が亡くなるまでの様子を記している。マルグリットの臨終の、果てしなく続くような、身を切り刻まれるような苦しみまでも。

****
P1010315s
(モンマルトル墓地にある、デュマ・フィスのお墓)

一方、アルマンはノイマイヤーが描いたアルマンよりもさらに直情的で、激情的で、若さがほとばしるイメージ。小説では、語り手である「私」が、偶然入った競売会場でマルグリットの遺品の「マノン・レスコー」を落札し、マルグリットの死を知ったアルマンがその「マノン・レスコー」の落札主を探して求めて「私」に出会うところから始まる。「私」に、アルマンがマルグリットとの出来事を語るという構成だ。

強烈なインパクトを残す序章に、アルマンのエキセントリックさが凝縮されている。アルマンはマルグリットの死が信じられず、彼女が本当に死んだという確証を得るために、彼女が葬られている墓を開けて、すっかり朽ち果てているマルグリットの遺体と対面するという凄まじい行為にまで出てしまう。「私」のもとにアルマンがやってきたときの様子からして尋常ではない。「金髪で背の高い、青ざめた顔色をした旅行服の青年で、その服は数日以来着たままらしく、ほこりにまみれていた」 「非常に興奮した様子で内心の動揺を隠す様子もなく、両目を涙にうるませ、声をふるわせながら私に言った」「マノン・レスコー」の本を渡すと、「「たしかにこれです」そう言ったかと思うと、二粒の大粒の涙が開かれたページにぽたぽたと落ちた」

デュマ・フィスがこの小説を書いたのは、24歳という若い時だった。いかにも若い作者が書いたと思える、火傷しそうな情熱がほとばしるような筆運びだ。理想主義者で、正義感に溢れている青年でありながらも、若さの持つ思慮の浅さ、人間としての未熟さ、残酷さ、向こう見ずさが鮮やかに伝わってくる。中でも、マルグリットに捨てられたと思い込んだ彼が、あてつけのようにオランピアと付き合い、マルグリットが苦しむ様子を見ながら喜び、悪口を言いふらすことまでするというむごい仕打ちを幾たびも繰り返すところは、あまりにも辛く、切り刻まれたマルグリットの思いが伝わってきて胸が苦しくなった。アルマンは、そうすることについて罪の意識すら持たず、自分がいかにマルグリットに傷つけられたかということだけを考え、復讐するかのように彼女の心の傷をさらにえぐる。

アルマンが長い物語を「私」に語り終えた後では、あんなにも激しくそして泣き上戸だった彼が、哀しげではあるものの元気を取り返していたということにも、救いがある。ノイマイヤーの「椿姫」の終幕で、マルグリットの日記を閉じたアルマンが、沈痛ではあるが、少し晴れやかな表情を見せていたのと同じ印象だ。

この小説に登場する聞き役の「私」は、ノイマイヤーの「椿姫」では、観客に該当する。

****
「椿姫」という小説は、人間の美しさと醜さを、鮮烈な筆致で生き生きと描いた作品である。ノイマイヤーの「椿姫」は観たけど原作は読んでいない、という人にはぜひ読んで欲しいと思った。この小説に、ここまでの深さがあるとは思わなかったのだ。何度も繰り返し読みたくなるような一冊だ。

そして、この原作の登場人物に近いのはどのダンサーだと、あれこれ想像するのも楽しい。サーシャ(アレクサンドル・リアブコ)は、とても純粋で思いつめるタイプだが、ノイマイヤーがこの作品に加えた優しさを感じさせ、原作のアルマンの残酷さはないように思える。マリシア・ハイデの映像でアルマンを演じているイヴァン・リスカは、背が高く金髪ということで外見的にはかなり近い印象。今のダンサーで言えば、やっぱり金髪のマリイン・ラドメーカーが原作のイメージに近いと思う。マチュー・ガニオも容姿的にはぴったりだと思うけど、ちょっと優しすぎるかな。

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2009/04/11

パリ・オペラ座 バレエ ノイマイヤー「椿姫」 NHKハイビジョン放映映像 La Dame aux camélias

La Dame aux camélias (Lady of the Camellias)

Music : Frederic Chopin
Choreography: John Neumeier

Marguerite : Agnès Letestu
Armand Duval : Stéphane Bullion
Manon : Delphine Moussin
Des Grieux : José Martinez
Gaston Rieux : Karl Paquette
Monsieur Duval : Michaël Denard
Nanine : Béatrice Martel
Le duc : Laurent Novis
Prudence : Dorothée Gilbert
Olympia : Eve Grinsztajn
Le comte de N. : Simon Valastro
Les Étoiles, les Premiers Danseurs et le Corps de Ballet

マルグリット : アニエス・ルテステュ
アルマン・デュヴァル : ステファン・ビュヨン
ムッシュー・デュヴァル : ミカエル・ドナール
マノン : デルフィーヌ・ムッサン
デ・グリュー : ジョゼ・マルティネス
プリュダンス : ドロテ・ジルベール
オリンピア : エヴ・グリンツテイン
ガストン : カール・パケット
公爵 : ローラン・ノヴィ
ナニーヌ : ベアトリス・マルテル
伯爵 : シモン・ヴァラストロ

制作: Opera National de Paris / LGM
収録: 2008年7月2,5日 パリ・オペラ座・ガルニエ宮

結局感想を書けていないのだけど、昨年6月28日にガルニエで観た、アニエス・ルテステュとロベルト・ボッレの「椿姫」は素晴らしかった。アニエスの渾身の演技、そして純粋で美しく情熱的なロベルト。

さて、この「椿姫」は本来、アニエスとエルヴェ・モロー主演でDVD化される予定だったのが、初日にエルヴェが怪我をして途中降板。急遽代役として踊ったステファン・ビュヨンが出演したところ、彼が初めて通しで踊った7月2日「椿姫」が映像化となったのだった。

改めて映像になって、テレビで放映されたものを観ると、やはり生の舞台とテレビのモニターで観るのとでは違う。家でテレビのモニター、しかもハイビジョンで大画面のテレビで観ると、何もかも見えすぎてしまうし、どうしても冷静な目で観てしまう。映像で観るという行為は、結局のところ生の舞台の代償行為にはなりえないということを実感してしまった。

さらに、この映像はクローズアップが多すぎる。「椿姫」は演劇的なバレエということになっているので、演技を見せるために表情をアップにしたくなる気持ちはわからなくはない。だけど、主役二人が舞台の上にいるのに、片方だけ映っているというのは残念だ。ノイマイヤーの作品の場合、さらに、主役以外の登場人物の動きというのにも意味が込められていることが多いので、なおさらだ。特にアニエス・ルテステュのアップが多い。アニエスはとても綺麗な人だけど、いくら美しいアニエスでも、大きな画面でアップになってしまうと演技が大仰に見えてしまうし、少し表情が強面の時がある。同じ公演を劇場で観た分には、おそらくそんなに演技を作っているようには見えないだろう、きっと。これは映像ならではの問題なのだと思う。

ロベルトとの舞台を観たときに、アニエスのマルグリットは気品と華があると共に、とても知的な女性だと感じた。しっかりとした自分の意思を持ち、自立した大人の女であろうとしたけれども、果敢に運命に対して戦いを挑み、哀れにも敗れてしまった女性だと。

ところが、このクローズアップの多い映像を観てしまうと、アニエスがあまりにも頭で考えて演技をしていて、理性が勝ちすぎている印象が強く残ってしまう。アニエスは演技はとても上手くて、特にアルマンに侮辱されてから死を迎えるまでの、蝋燭の火が燃え尽きていくような弱り方、苦しい息の中ででも毅然と生きようとする様子、今際の際に見えたアルマンの姿へと歩み寄ろうとして斃れる様、どれも演技としては一級品だ。踊りの技術も申し分ないし、少々背は高すぎるものの(とはいっても、原作のマルグリットも背が高いという設定)、素晴らしいプロポーションと美貌。言ってみれば、あまりにも完璧すぎて破綻や隙がない故、色香が感じられないのが欠点なのだと思った。高級娼婦とはいえ、マルグリットは娼婦なのだけど、アニエスのマルグリットは全然娼婦には見えない。

また、ほぼ初役のステファンを相手にしていることで、緊張感も現れてしまっている。ロベルトがパートナーの時には、もっとりラックしていて、余裕が感じられていた。

そのステファンは、ほぼ初役ということで、サポートにかなり苦労をしていた。ステファン自身、背が高いしPOBの男性の中でもマッチョなほうなのだが、何しろアニエスが長身ということもある。サポートがめちゃめちゃ上手なアレクサンドル・リアブコのアルマンを観た直後だというのも分が悪い。特に黒のPDDでは、ぐだぐだになってしまっていた。

ステファンは演技、そして一人で踊っているときは健闘している。彼は白い肌に薔薇色の頬、黒い巻き毛に長身、美貌なのだけどダークな印象が強くしかも男性的なダンサーだ。その思いつめたような暗さが、アルマン役に良く合っている。しかも、基本的には無表情で不器用そうなのがいい。身体が決して柔らかくない、どちらかといえば硬いことでさえも、その青く一途な、狂気すれすれの情熱を表現するのに適しているようだった。無表情で寡黙、生硬な彼が、ごくまれに感情を爆発させるかのように苦悶の表情を浮かべたり、逆に幸福感に震えていると、この人は今本当にこんな風に感じているんだな、と演技が実感がこもっているように感じられてくる。彼独特の純粋な暗さが、いかにもマルグリットを侮辱して傷つけてしまう残酷さに説得力を持たせている。彫りの深い顔に影を落としながら、マルグリットの遺した日記を吸い込まれるように一心不乱に読むアルマンは、深い悔恨に沈み込んでいる。それでもマルグリットが息を引き取る寸前に彼の幻影を見たのでは、というところで安堵を見せて、ほんの少しの救いを結末に加えている。

デルフィーヌ・ムッサンのマノンは、素晴らしかった。彼女のマルグリットもとても素敵だったけどマノン役は、格別。マノンの持つ強い生命の輝きと、思わず引き込まれそうになる底なし沼のような吸引力、堕ちていけば堕ちていくほど、逆に崇高なまでの美しさが立ち上って透明になっていくさまが感じられた。デ・グリューのジョゼ・マルティネスはその点、ノーブルで踊りは綺麗なのだけど、妖しさ、そしてマノンの死で見せる極限での愛の表現が弱い。ガルニエで観た時のクリストフ・デュケンヌの方が個人的には良かったと思う。ノイマイヤーの「椿姫」では、実は主役二人よりも、マノンとデ・グリューの物語の方に胸を締め付けられてしまう。だからこの役は、本当に大切だと思う。

プリュダンスのドロテ・ジルベールは若いのに演技がとても達者だ。プリュダンスは年増でお金に汚く手癖の悪い女性という設定なのだけど、本当に手癖は悪いし、親切そうに見えて実は狡猾なところがとてもよく出ていた。一方、オランピアのエヴ・グランツステインは美人なのに化粧が非常に濃くて老けて見えるし、演技が過剰というかわざとらしかった。オランピア役は、可愛い顔をしてとても意地悪なミリアム・ウルド=ブラムが良かった。

ガストンのカール・パケットはキラキラの美形ぶりで、ものすごく目の保養になる。夏の光のようなカールの輝きと、笑顔の中にも暗い影を漂わせるステファンは、対極のような存在。カールに限らず、マノンの崇拝者3人や、2幕に出てくる若者たちの容姿が美しいのは良い。N伯爵のシモン・ヴァラストロ、報われなくても一途にマルグリットを愛し続ける彼の演技はとても心を打つ。ハンブルク・バレエのヨハン・ステグリの真面目そうな演技もとてもよかったけれども、シモンのは彼と解釈が違っていて、可愛いいだけに余計に哀れだった。

アルマンの父役のミカエル・ドナールは残念ながら良くなかった。威厳も気品もなく、マルグリットに見せる態度の変容にも説得力がない。そこらへんのおじさんのようで。クルベリ・バレエから客演してきていたアンドレイ・クレムのほうがずっと良かった。もちろんハンブルク・バレエのカーステン・ユングも素敵だったのだけど。伯爵役のローラン・ノヴィは上品で、魅力的だった。

いろいろと書いたけど、オペラ座ならではの華やかさもあるし、上演そのもののクオリティは高かったと思う。ただ、いろいろとアクシデントもあったのでやむにやまれぬところがあったとしても、主役ペアの一回目の共演ではなく、もう少し合わせた後で収録した方が良かったのではないかと思われるところが、勿体無い。

本家ハンブルク・バレエでの上演(もちろん、アレクサンドル・リアブコとジョエル・ブーローニュの共演)と、おそらく収録されているはずのアレッサンドラ・フェリ&ロベルト・ボッレの共演も、DVD化して欲しいと思う。

Opus Arteのサイト(DVD) 黒のPDDの動画が少し見られます。Opus Arteからは5月1日に発売。
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=285
Chopin - La Dame aux camélias (Paris Opera Ballet)
RELEASED: 01/05/2009

2009/04/10

マリインスキー・バレエ来日公演のキャスト発表!Casting of Mariinsky Ballet in Japan

マリインスキー・バレエ来日公演のオフィシャルサイトができました。
http://www.japanarts.co.jp/html/2009/ballet/mariinsky/index.htm

そして、キャストとオールスターガラの演目が一部出ていますが、とっても嬉しいことが一つ。

「シェヘラザード」が観られます!しかもあの超エロいロパートキナ様のゾベイダ♪黄金の奴隷はダニーラ・コルスンツェフ♪ジャパンアーツ様、ありがとう♪


「オールスターガラ」
12月10日(木)はウリヤーナ・ロパートキナとダニーラ・コルスンツェフの「シェヘラザード」
パ・ド・ドゥ集、「海賊」組曲 
ヴィシニョーワ、テリョーシキナ、ソーモワ、オブラスツォーワ、イワンチェンコ、サラファーノフ、シクリャーロフほか

12月11日(金)はディアナ・ヴィシニョーワとイーゴリ・コールプの「シェヘラザード」
パ・ド・ドゥ集、「海賊」組曲 
ロパートキナ、テリョーシキナ、ソーモワ、オブラスツォーワ、サラファーノフ、ロブーヒン、シクリャーロフほか


他演目のキャストも発表されています。

「白鳥の湖」
11月22日(日)神奈川県民ホール アリーナ・ソーモワ / ウラジーミル・シクリャローフ
11月23日(月)神奈川県民ホール エカテリーナ・コンダウーロワ / ダニーラ・コルスンツェフ
11月27日(金)東京文化会館 ウリヤーナ・ロパートキナ / ダニーラ・コルスンツェフ  ← キエフ・バレエの「眠れる森の美女」とかぶったのでキエフのチケットを売らなくては…。
11月29日(日)東京文化会館 ヴィクトリア・テリョーシキナ / レオニード・サラファーノフ
11月30日(月)東京文化会館 ディアナ・ヴィシニョーワ / イーゴリ・コールプ 
12月1日(火)東京文化会館 ウリヤーナ・ロパートキナ / エフゲニー・イワンチェンコ

やったー!コンダウローワのオデットが観られます!

「眠れる森の美女」
12月3日(木)東京文化会館 ディアナ・ヴィシニョーワ / イーゴリ・コールプ 
12月4日(金)東京文化会館 アリーナ・ソーモワ / レオニード・サラファーノフ
12月5日(土)東京文化会館 ヴィクトリア・テリョーシキナ/ウラジーミル・シクリャローフ 

あれ、オブラスツォーワのオーロラはないんですか?残念です。

ロイヤル・バレエへのオデット/オディール役での客演が大好評だったオスモルキナの主演がないのも残念ですね。来日メンバーには入っているようですが。

「イワンと仔馬」
12月8日(火)東京文化会館 アリーナ・ソーモワ / レオニード・サラファーノフ、ゲルギエフ指揮
12月9日(水)東京文化会館 ヴィクトリア・テリョーシキナ / ミハイル・ロブーヒン

ゲルギエフが振るんだったら8日にしようと思っていたのに、ソーモワですか…。ソーモワは観たくないので、自動的にテリョーシキナの日になります。

演奏ですが、12月8日、9日のみマリインスキー管弦楽団で、残りは東京ニューシティ管弦楽団、とのことです。オーケストラ、来ないんですね。前回の来日公演のマリインスキー管弦楽団は3軍で、かなりひどい演奏だったとは言うものの、東京ニューシティでこのお値段は高すぎると思います。

名前がないメンバーのことを考察すると、まずオレシア・ノーヴィコワは現在産休中とのこと。あんなに若くて可愛いのにもうママになるんですね。

ファジェーエフは一月のワシントン公演での怪我がまだ響いているんでしょうか。心配ですね。


≪全国日程≫※随時更新
●11月21日(土)15:00開演 愛知県芸術劇場大ホール 『眠れる森の美女』
  お問合せ:中京テレビ事業 052-957-3333
  *シリーズ券は4/16~発売/単独チケットは5/30~発売

●12月6日(日)16:00開演 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール 『白鳥の湖』
  お問合せ:ytvバレエ公演事務局 06-6375-7410

2009/04/09

パリ・オペラ座「オネーギン」日毎プレキャスト

dansomanieに「オネーギン」の日毎プレキャストが出ました。(変更の可能性アリ)

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4049&start=30&sid=bd6d1b600cfdb8bc1b283d7ee9831c27

4/11追記:
オペラ座のオフィシャルにも、キャストが出ました。プレキャストとほぼ同じです。
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/saison/contenus/index.php?lang=fr&CNSACTION=SELECT_CONTENT&event_id=74&content_id=635

初日はエルヴェ・モローとイザベル・シアラヴォラ、マチアス・エイマン、ミリアム・ウルド=ブラムです。このファーストキャストは魅力的ですよね。

今GWのパリ行きがかなりの黄信号なのですが、私が観る予定の日のキャストにそそられなくて、またまた意気消沈しています。レンスキーとオルガのキャストが特に…。エヴとミュリエルが苦手なもので。

ルグリ、ニコラ、オーレリーはこの時期NYで公演があるので観られないのは判っていましたが、今朝オペラ座から届いたメールでは、ルグリの素敵なオネーギンの横顔の写真がありました。あと1日パリにいられれば、観られたんですよね。本当に残念。でも、それよりも、本当に自分がパリに行けるかどうかの方が問題なので…。

16/04
Onéguine : Hervé Moreau
Tatiana : Isabelle Ciaravola
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Myriam Ould-Braham
Grémine : Nicolas Paul

18/04
Onéguine : Manuel Legris
Tatiana : Clairemarie Osta
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Myriam Ould-Braham
Grémine : Christophe Duquenne

21/04
Onéguine : José Martinez
Tatiana : Dorothée Gilbert
Lenski : Florian Magnenet
Olga : Muriel Zuspérreguy
Grémine : Vincent Cordier

22/04
Onéguine : Hervé Moreau
Tatiana : Isabelle Ciaravola
Lenski : Florian Magnenet
Olga : Muriel Zuspérreguy
Grémine : Nicolas Paul

24/04
Onéguine : Manuel Legris
Tatiana : Clairemarie Osta
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Myriam Ould-Braham
Grémine : Christophe Duquenne

30/04
Onéguine : José Martinez
Tatiana : Dorothée Gilbert
Lenski : Audric Bezard
Olga : Eve Grinsztajn
Grémine : Vincent Cordier

03/05 14h30
Onéguine : Hervé Moreau
Tatiana : Isabelle Ciaravola
Lenski : Florian Magnenet
Olga : Muriel Zuspérreguy
Grémine : Nicolas Paul

04/05
Onéguine : José Martinez
Tatiana : Dorothée Gilbert
Lenski : Audric Bezard
Olga : Eve Grinsztajn
Grémine : Vincent Cordier

06/05
Onéguine : Manuel Legris
Tatiana : Clairemarie Osta
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Myriam Ould-Braham
Grémine : Christophe Duquenne

07/05
Onéguine : Nicolas Le Riche
Tatiana : Aurélie Dupont
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Mathilde Froustey
Grémine : Karl Paquette

11/05
Onéguine : Manuel Legris
Tatiana : Clairemarie Osta
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Myriam Ould-Braham
Grémine : Christophe Duquenne

12/05
Onéguine : Nicolas Le Riche
Tatiana : Aurélie Dupont
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Mathilde Froustey
Grémine : Karl Paquette

14/05
Onéguine : Hervé Moreau
Tatiana : Isabelle Ciaravola
Lenski : Florian Magnenet
Olga : Muriel Zuspérreguy
Grémine : Nicolas Paul

15/05 avec défilé
Onéguine : Manuel Legris
Tatiana : Clairemarie Osta
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Myriam Ould-Braham
Grémine : Christophe Duquenne

18/05
Onéguine : Nicolas Le Riche
Tatiana : Aurélie Dupont
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Mathilde Froustey
Grémine : Karl Paquette

19/05
Onéguine : José Martinez
Tatiana : Dorothée Gilbert
Lenski : Audric Bezard
Olga : Eve Grinsztajn
Grémine : Vincent Cordier

20/05
Onéguine : Nicolas Le Riche
Tatiana : Aurélie Dupont
Lenski : Mathias Heymann
Olga : Mathilde Froustey
Grémine : Karl Paquette

サンフランシスコ・バレエの2010年シーズン―ノイマイヤーの「人魚姫」レパートリー入り

まだカンパニーのオフィシャルサイトには載っていないのですが、サンフランシスコ・バレエの2010年シーズンが(サブスクライバー宛のメールにて)発表されました。

San Francisco Ballet’s 2010 Season Announcement

http://www.sfballet.org/

全幕作品は3本のみ。先日プレミア上演されたばかりの「白鳥の湖」、「ロミオとジュリエット」、そして驚きなのが、ジョン・ノイマイヤーの「人魚姫」が上演されることです。

もともと、「人魚姫」はデンマーク・ロイヤル・バレエのために作られた作品なので、ハンブルク・バレエ以外のカンパニーでも上演される可能性はあるとは思いましたが、アメリカのカンパニーで上演というのはすごいですよね。

他のレパートリーも、バランシン(テーマとヴァリエーション、セレナーデ、ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト)、フォーキンの「ペトルーシュカ」、ラトマンスキー、フォーサイス、ロビンス、ツァネラ、ウィールダンの新作など興味深いものばかりです。


Program 1: Tomasson’s Swan Lake 
「白鳥の湖」(ヘルジ・トマソン振付)Jan. 23~

Program 2: Robbins’ Opus 19/The Dreamer, a world premiere by Christopher Wheeldon, and the return of Paul Taylor’s Company B 
ジェローム・ロビンス「Opus 19/The Dreamer」、クリストファー・ウィールダン新作、ポール・テイラー「Company B」 Feb. 9~

Program 3: an All-Balanchine Program, with Balanchine’s Serenade, Stravinsky Violin Concerto, and Theme and Variations 
オール・バランシン・プログラム「テーマとヴァリエーション」「セレナーデ」「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」 Feb. 11~

Program 4: Yuri Possokhov’s Diving into the Lilacs, the return of William Forsythe’s in the middle, somewhat elevated, and the SF Ballet premiere of Michel Fokine’s Petrouchka. 
ユーリ・ポソホフ「Diving into the Lilacs」、ウィリアム・フォーサイス「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」、ミハイル・フォーキン「ペトルーシュカ」(カンパニー初演) March 2~

Program 5: United States premiere of Hamburg Ballet Director and Chief Choreographer John Neumeier’s The Little Mermaid, a full-length ballet set to the commissioned music of Lera Auerbach. 
ジョン・ノイマイヤー「人魚姫」(USA初演) March 20~

Program 6: Tomasson’s “Haffner” Symphony, a world premiere by choreographer Renato Zanella, and the return of Alexei Ratmansky’s Russian Seasons. 
ヘルジ・トマソン「“Haffner” Symphony」、レナート・ツァネラの新作、アレクセイ・ラトマンスキー「ロシアン・シーズン」 April 8~

Program 7: Wheeldon’s Rush, a world premiere by Possokhov, and the encore presentation of Robbins’ The Concert (or, the Perils of Everybody). 
クリストファー・ウィールダン「ラッシュ」、ユーリ・ポソホフの新作、ジェローム・ロビンス「ザ・コンサート」 April 9~

Program 8: Tomasson’s Romeo and Juliet 
ヘルジ・トマソン「ロミオとジュリエット」 May 1~

追記:サンフランシスコ・バレエ2010年シーズンについての新聞記事です。芸術監督ヘルジ・トマソンのコメントつき。(なんと芸術監督25周年なんですね)

http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2009/04/08/DDG316TJ1K.DTL

http://www.danceviewtimes.com/2009/04/helgi-tomasson-at-twentyfive-.html#more

バレエDVD発売情報いろいろ

2週間ぶりにバレエのレッスンに行ったら、センターに全然ついていけなくてへとへとになった上、自分ではとても対応しきれないくらい責任重大な仕事がやってきてしまって、これから2ヶ月ほど、バレエどころじゃなくなっちゃうかもしれないので、ちょっと落ち込み気味です。最悪GWの旅行や「エスプリ」すら観に行けないかもしれません。本業あっての趣味バレエとはいっても、お金もつぎ込んで、いろいろと手配をして楽しみにしていたことがダメになったら、大ショックだわ。休日出勤でも残業でも持ち帰りでもやるから、神様お願い、って心境です。本当にこの不況は何とかならないものでしょうかね。

さて、Amazon.co.jpのニューリリースのところを見ていたら、いろいろとバレエ関係のDVDがこれから発売になるんですね。

バレエDVD新着ニューリリース

まず、VHSでは出ていたものの、入手困難となっていたモニク・ルディエールの「Comme Les Oiseaux」(VHSのタイトルは、「鳥のように」)がDVD化されるんですね。Amazonでは5月12日発売予定。リージョンコードは、まだ確認できていません。
Comme Les Oiseaux (B&W) [DVD] [Import]

それと、輸入盤では最近発売されたロイヤル・バレエの「三人姉妹」(ダーシー・バッセル、イレク・ムハメドフ、アダム・クーパー)の国内盤が出ます。6月24日発売。
三人姉妹 振付:ケネス・マクミラン [DVD]

面白いところでは、先日NHKで放送された「プロフェッショナルの流儀」のボリショイ・バレエ、岩田守弘さんの回がDVD化されるんですね。これは6月26日発売。
プロフェッショナル 仕事の流儀 第V期 バレエダンサー 岩田守弘の仕事 [DVD]

旧譜の廉価版ということで、ワーナーミュージック・ジャパンより6月24日発売で何枚か出ます。

マリインスキー・バレエのマハリナ&ゼレンスキーの「白鳥の湖」、メゼンツェワ&ザクリンスキーの「ジゼル」、アンナ・ポルカルポヴァ(現ハンブルク・バレエ)出演の「石の花」

パリ・オペラ座のマリ=クロード・ピエトラガラとパトリック・デュポンの「白鳥の湖」、ニコラ・ル=リッシュやカデル・ベラルビら出演の「ピカソとダンス(青列車、三角帽子)」、マニュエル・ルグリとオーレリー・デュポンの「眠れる森の美女」がお手ごろな値段で再発売されます。

チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」全3幕 [DVD]

ジゼル 全2幕 [DVD]

プロコフィエフ:バレエ「石の花」全3幕 [DVD]

パリ・オペラ座「白鳥の湖」

ピカソとダンス「青列車」「三角帽子」 [DVD]

ルドルフ・ヌレエフ振付・演出「眠れる森の美女」プロローグ付3幕 [DVD]


また、先月号のダンスマガジンの「白鳥の湖」特集で絶賛されていた、イヴリン・ハートとペーター・シャウフス主演、ロンドン・フェスティバル・バレエ、ナタリア・マカロワ版の「白鳥の湖」が発売されています。新書館からDVDが発売されていたのですが、ダンスマガジンの記事によれば、廃盤になったとのことです。こちらもリージョンコードは未確認ですが、私は持っていないのでぜひ欲しい一枚です。

Swan Lake [DVD] [Import]Swan Lake [DVD] [Import]
Tchaikovsky

Kultur Video 2009-03-31
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もちろん、近日発売で最大の目玉は、4月22日発売の「ザハーロワ&ロパートキナ」「グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち」 だと思いますが、最近は本当にたくさんのバレエのDVDが発売されているんですね。ロイヤル、パリ・オペラ座、マリインスキーに偏っている気もしますが。(他のカンパニーの映像も観たいところです)

ザハーロワ&ロパートキナ [DVD]ザハーロワ&ロパートキナ [DVD]
スヴェトラーナ・ザハロワ, ウリヤーナ・ロパートキナ, アンドレイ・ウヴァーロフ, ニコライ・ツィスカリーゼ

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グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち [DVD]グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち [DVD]
ナタリア・オシポワ, イワン・ワシーリエフ, アンドレイ・メルクーリエフ, エレーナ・エフセーエワ

クリエイティヴ・コア 2009-04-22
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そしてもちろん、問題はこれらのDVDが家に山積みになっていて、観る時間が全然ないことです。

2009/04/07

ノイマイヤー&ニジンスキーのドキュメンタリー収録 Nijinsky & Neumeier: Zwei Choreographen

ハンブルク・バレエのブログに載っていたニュースです。

http://www.hamburgballett-blog.de/hamburg_ballett/2009/04/drehtag.html

ドイツ語の自動翻訳で読んでいるので、翻訳がちょっと怪しいのですが(間違いがあったらごめんなさい)、

ドイツとフランスで放送されているテレビ局Arteで、「Poesie Grenzenlos – Nijinsky & Neumeier: Zwei Choreographen, ein Jahrhundert」(ボーダーレスの詩人、ニジンスキーとノイマイヤー:二人の振付家の百年)というドキュメンタリー番組が、今年の12月(クリスマスごろ)に放映されるそうです。

その番組の中で、ノイマイヤーの「ニジンスキー」の舞台の映像も使われるということで、4月3日に収録が行われました。3台のカメラを使っての撮影だったようです。残念ながら全編の放映ではないようですが、ニジンスキー役のアレクサンドル・リアブコ、ペトルーシュカ役のロイド・リギンス、そして牧神と黄金の奴隷を踊ったオットー・ブベニチェクのインタビューも番組用に収録されたとか。

ちなみに、オフィシャルサイトの予定によれば、
http://www.hamburgballett.de/e/kalender.htm
他のキャストは、ロモラにジョエル・ブーローニュ、ディアギレフにイヴァン・ウルバン、タマラ・カルサヴィナにシルヴィア・アッツオーニだったようです。

この番組を観る機会があればいいんですけどね…。サーシャの(これまた完全に憑依していた)ニジンスキーはハンブルクでは一昨年観ましたが、映像にはないのですよね。

NBSニュースと世界バレエフェスティバル(本日の間違い探し)12th World Ballet Festival

NBSからDMが届いていました。NBSニュースの2009年4月号、世界バレエフェスティバルのチラシ、そして世界バレエフェスティバルの全幕プロのチラシ、デンマーク・ロイヤルバレエのチラシが入っていました。

世界バレエフェスティバルのチラシは、一大バレエの祭典に相応しいゴージャスなものです。演目が決定する前からこんな立派なものを作っちゃって気合が入っていますね。チラシを開くと、出演ダンサーたちの踊る姿の写真が見開きのところに収められていて、なかなか素敵です。初めて世界バレエフェスティバルに出演するダンサーのところには、「★初登場」と書いてあります。まるで高校野球ですね(笑)

しかし、間違いを発見してしまいました。表4(裏表紙というか)のダンサーの解説のところで、「マリインスキー・バレエからは、灼熱の花を思わせるヴィシニョーワに加え、初出場のクールな美を湛えるザハロワの2大名花が参加」ってあります…。うむむ。

世界バレエフェスティバルのサイトも出来上がりました。
http://www.nbs.or.jp/stages/0908_wbf/index.html
ただし、出演者一覧のところから、More InfoをクリックしてもNot Foundが出てきてしまうので、未完成のところもあるんですね。サイトによると、演目が決定するのは6月になってからなのだそうです。

余談ですが、この世界バレエフェスティバル、海外のメディアやダンサーには、Mr.Sasaki's Ballet Galaとして知られているんですね。佐々木忠次氏の名声を改めて認識する次第です。

NBSニュースでは、パリ・オペラ座学校公演関連で、オペラ座学校出身のエトワールや元エトワールがメッセージを寄せています。オレリー・デュポン、アニエス・ルテステュ、ジャン=ギョーム・バール、ジョゼ・マルティネス、そしてマチュー・ガニオ。興味深かったのが、ジャン=ギョーム・バールが16歳にもなっていない時に、ブルノンヴィルの「コンセルヴァトワール」のバレエ・マスター役を踊ったと書いていたこと。「コンセルヴァトワール」は、去年、井上バレエ団の公演に、デンマーク・ロイヤル・バレエのトーマス・ルンド(今度の来日公演で「ナポリ」を踊りますね)が客演したのを観ましたが、たしかにとても難しそうな踊りでした。さすがにトーマス・ルンドの本場ブルノンヴィル・テクニックは素晴らしいと思いましたが、15歳の子供には本当に大変かと思います。しかし、ジャン=ギヨームは当時の芸術監督のヌレエフに、彼の踊りにはピッタリの役だと評価されたとのこと。

それから、ジョン・ノイマイヤーが、東京バレエ団45周年記念ガラで上演される「月に寄せる七つの俳句」、パリ・オペラ座学校の「ヨンダリング」、そしてデンマーク・ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」という3つの自作について語っているインタビューも面白いです。

*******
間違い探しといえば、先日、やっとNHKハイビジョンで録画したパリ・オペラ座の『椿姫』を観ました。感想はまた後ほど書きます。ちょっとクローズアップが多すぎて、舞台全体がわかりづらかったのが残念です。ノイマイヤー作品の場合、主役以外のダンサーの動きや演技も重要ですからね。

テロップの間違いを見つけてしまいました。まず、出演ダンサー紹介のところで、ジョゼ・マルティネスのことを「ホセ・マルティネス」と言っていました。確かに、彼の出身国であるスペインではホセと読むので間違いではないかもしれません。ところが、彼が演じるデ・グリューが登場した時のテロップが、「ホセ・マルタン」となっていました。おそらく、その前の週に放映されたロイヤル・バレエの「マノン」で、レスコー役を演じていたのがホセ・マルティンだったので、名前がごっちゃになってしまったんだと思います。再放送のときには直してくださいね。

2009/04/06

3/22ソワレ シュツットガルト・バレエ「眠れる森の美女」Stuttgarter Ballett Dornröschen

Stuttgarter Ballett Dornröschen

Sonntag, 22 Marz 2009 Beginn 19:00

Prinzessin Aurora Anna Osadcenko オーロラ姫 アンナ・オサチェンコ
Prinz Desiré Friedmann Vogel デジレ王子 フリーデマン・フォーゲル
Carabosse Jason Reilly カラボス ジェイソン・ライリー 
Fliederfee Miryam Simon リラの精 ミリアム・サイモン

Der Prinz des Westens Nikolay Godunov 西の王子 ニコライ・ゴドノフ 
Der Prinz des Nordens Roland Havlica 北の王子 ローランド・ハブリカ
Der Prinz des Ostens Dimitri Magitov 東の王子 ディミトリ・マジトフ
Der Prinz des Sudens Laurent Guilbaud 南の王子 ローラン・ギボー

Die Fee des Bergkristals Oihane Herrero澄んだ泉の精:オイハネ・ヘレーロ
Die Fee des Goldenen Weins Angelina Zuccarini 黄金のつる草の精:アンジェリーナ・ズッカリーニ
Die Fee des Waldes und der Wiesen Daniela Lanzetti  森の草地の精:ダニエラ・ランゼッティ 
Die Fee der Singvogel Elisabeth Mason 歌鳥の精:エリザベス・メイソン 
Die Fee des Zaubergartens Magdalena Dzeliegielwska 魔法の庭の精:マグダレーナ・ジギレウスカ

Ali Baba Yaosheng Weng アリババ:ヤオシェン・ウェン
Rubin Rachele Burassi ルビー: レイチェル・ブリアッシ
Saphir Oihane Herrero サファイア:オイハネ・ヘレーロ
Smaragd Daniela Lanzetti エメラルド:ダニエラ・ランゼッティ
Amethyst Miriam Kacerova アメジスト:ミリアム・カチェロワ

Der Gestiefelte Kater und Sein Katzchen Arman Zazyan, Maria Alati  長靴を履いた猫と白猫:アルマン・ザジャン、マリア・アラーティ
Der Blaue Vogel und Seine Prinzessin Alexander Jones, Elisabeth Mason 青い鳥とフロリナ姫 アレクサンダー・ジョーンズ エリザベス・メイソン
Rotkappchen und Der Wolf Christina Burnell, Mikhail Soloviev 赤ずきんちゃんと狼 クリスティナ・バーネル、ミハイル・ソロヴィエフ


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マチネ公演が終了したのが6時ごろ。それからホテルに一旦戻ってチェックインしたら、もう開演前。マチネとソワレの間が一時間しか空いていなくて、そして上記キャストを見れば判るとおり、マチネ・ソワレと両方出演している人が多い。4人の王子なんて、マチネで西の王子だったアレクサンダー・ジョーンズが青い鳥になり、そしてマチネのカラボスだったニコライ・ゴドノフが西の王子としてその場所を埋めているほかはマチネと同じ。マチネのリラの精ミリアム・カチェロワはソワレではアメジスト。「眠れる森の美女」は長いし、ハイデ版は踊りも多いし、本当にハードだったのではないかと思う。

当初オーロラとして出演予定だったマリア・アイシュヴァルトが2日前に怪我で降板(「リード・アンダーソン・ガラ」では復帰していたので大きな怪我ではなかった模様)。代役として、当初マチネのリラとして出演する予定だったアンナ・オサチェンコが出演。王子はフリーデマン・フォーゲル。

今回の席は、2番目に高い値段のカテゴリで、オーケストラの前から8列目。やや下手寄り。オペラハウスでは多分にあることだけど、舞台からの距離は近いものの、段差が少なくて前の人の頭がかぶってしまうのが難点。しかも、さほどサイドではないのに、下手側は一部見えない。さすがにオーケストラ席で、日曜のソワレということもあり、ドレスアップ度は高い。

序曲が始まったところで、マチネと音がまるで違うのに気がついた。厚みがあって豊か、重さがある。指揮は昨日エッセンで指揮をしていたジェームズ・タグルだった。エッセンとシュツットガルトはかなり距離があるのに、移動してきてまた指揮とは大変だったと思うけど、聴く側としてはラッキー。

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今回、マリイン・ラドメーカー、エヴァン・マッキーを楽しみにしていたのに二人とも怪我で観られなくなってしまったので、3番目に楽しみにしていたのが、ジェイソン・ライリーのカラボスだった。彼がカラボスを演じた去年の11月23日の公演は、さいたまでナチョ・ドゥアトを観に行っていたので見逃してしまい、そのリベンジである。

期待はもちろん、裏切られなかった。この回の公演はジェイソン・ライリーのカラボスの素晴らしさに尽きる!といってもいいほどだった。もちろん、フリーデマン・フォーゲルのデジレ王子は、これぞ王子というキラキラ感があって、テクニックもサポートも素晴らしく、申し分なかったのだけど。マリシア・ハイデ振付の「眠れる森の美女」が、カラボスを主人公のように描いているからということもある。マチネのニコライ・ゴドノフだって十分存在感があって良いダンサーだったと思う。

その中で、ジェイソン・ライリーは、突出して凄いダンサーなのだと、改めて実感した。「オネーギン」ではオネーギンとグレーミン伯爵、「眠れる森の美女」では王子とカラボス。両方演じられる、引き出しの多いダンサーだ。彼の場合は、特に演技が絶品なのだけど、技術的にも華やかさがあり、カラボスの登場シーンでのソロで、凄まじいエネルギーを放出し、拍手が鳴り止まず、文字通りショーストッパーとなった。

しかも、ジェイソンのカラボスは、も~めちゃめちゃ妖艶。色っぽい。東京で観たフィリップ・バランキエヴィッチにしても、マチネで観たニコライ・ゴドノフにしても、背が高くてどちらかといえば男っぽく、男装の麗人というか宝塚にでも出てきそうな雰囲気がある。ジェイソンは、百戦錬磨の女のプロって感じの凄みのある色気があって、特に流し目の妖しさにはぞくぞくしてしまう。そして、色っぽい熟女の目線から、怒りを爆発させてのエキセントリックな踊りへの切り替えのスイッチの入り方がすごい。身長の割りに手脚、特に腕が長いので、踊りが映えるし、独特の妖しい柔らかさがあるのがいい。

そしてなんといってもツボだったのが、カラボスが大きなマントを広げた陰から、オーロラの成長を見守るところ。やっぱりカラボスは本当はオーロラのことを自分の娘のように、可愛く可愛く思っているんだと思った。なんて綺麗な女の子に育ったの、とまだ成長途中の小さなオーロラを見ながら、「美しい」のマイムを見せるときの腕使い、手の使い方がとても柔らかくてしながある。彼女がどんどん花開いていくのが嬉しくたまらないという感じで、よしよし、と見守っているのだ。カラボス独特の、常人には理解しがたい屈折した愛情が伝わってくる。

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そのオーロラ姫が成長した姿で登場する1幕。アンナ・オサチェンコは昨年の来日公演でもオーロラ役で観たバレリーナ。プロポーションにとても恵まれていて、長く弓なりの脚のラインが美しい。ポール・ド・ブラがとても柔らかく、いかにもロシア的なテクニックの持ち主で華もある。明るく元気いっぱいの16歳のオーロラに相応しく、闊達で音楽に合わせてきびきびと、かつ伸びやかに踊って小気味良い。アレグロが得意なんだなって改めて思った。マチネのアリシア・アマトリアン同様、問題はバランス。ローズ・アダージオでは、バランスの時間をアリシアよりは長めに取っているのだけど、ぐらぐらしてしまって観ている方が冷や冷やしてしまう。(来日公演でもそうだった)やっぱり、このシーンは特別に難しいんだなって再確認。無事に終わって良かったね、と思ってしまった。サポートする方の4人の王子たちも、何気に大変なんだろうなと感じた。

2幕ではフリーデマン・フォーゲルの王子が登場。王子らしい甘くロマンティックなデジレ。しかし予想していたよりキラキラ度は低かった。去年の来日公演で、彼がデジレの日は観なかったため、シュツットガルト・バレエのセンターで踊る彼を観るのは『ロミオとジュリエット』以来だった。(『オネーギン』のレンスキーは観ているけど、レンスキーはナルシスティックではあっても、キラキラしている役じゃないし)。東京バレエ団で客演している時には、さすがに彼のスターの輝き方は桁違いというわけだけど、逆に言えば自分の所属しているバレエ団では、彼だけでなく回りのダンサーも長身ということもあり、自然に溶け込んでいると言える。2幕で登場する王子は憂い顔で、オーロラの幻影に恋している、さすらい人のような存在だから、登場した時からキラキラしている必要はないわけだし。この時点での輝きはなくても、彼独特の甘さはあって、やっぱり素敵。

踊りだすと、フリーデマンは真ん中を踊るのに相応しいダンサーだというのが良くわかる。見せ方を心得ていて、ふわっと上がるジュッテに、大柄なのに音のしない着地。きちんと5番に降りられるトゥール・ザン・レール。以前東京バレエ団でポリーナ・セミオノワと踊ったときには、技術的にちょっと弱いと思っていたのに、いつのまにかそんな問題は軽くクリアしてしまっていた。やっぱり経験というのは人を育てるものだ。特に彼は東京バレエ団だけでなく、ENBの「マノン」やミラノ・スカラ座の「コッペリア」など、他のバレエ団にも客演しているから、いろいろなモノを吸収してどんどん成長している勢いが感じられる。

幻影のシーンでのアンナ・オサチェンコは、上半身は本当に優雅できれいなんだけど、サポートつきのピルエットでやはりぐらついてしまう。その不安定さがあっても、プロポーションが美しく柔らかいポール・ド・ブラを持っているし、歌っているような音楽性のある踊りができるというのは、それらの欠点を打ち消すくらいのものになる、と実感する。彼女のような人がバレエのほうから選ばれたんだな、と。

落ち武者ヘアの手下たちに担がれ、翼のようにマントを大きく広げたカラボスと王子の戦い。後でキャスト表を見ると、カラボス軍団の中には、3幕でアリババを踊ったヤオシェン・チェンや、狼役のミハイル・ソロヴィヨフもいた。カラボスの手下の落ち武者ルックから、休憩時間にメイクを落として3幕のディヴェルティスマンのために着替えなくちゃいけなくて、けっこう大変だ。

リラの精のミリアム・サイモンは、派手さはないけれども、いかにもリラの精らしい包容力ある優しさと知恵、芯の強さが感じられるし、しっかりとした技術を持っていて美しい。作品の屋台骨を支える役割を十二分に果たしている。彼女の支えがあったからこそ、憂愁の王子もオーロラを目覚めさせるために戦う勇気が生まれてきた、と思わせてくれる。

まるで生き物のようなマントに巻きつかれた王子だが、ここでフリーデマン・フォーゲルのひたむきさが発揮され、カラボス軍団の一瞬の隙を突いてオーロラの眠る城へと駆けつけ、オーロラをベッドから抱きかかえ、キスをすることで呪いが解ける。向日葵のような明るさを持つオサチェンコの晴れやかな表情、そして急にキラキラオーラが出現するフリーデマン。

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3幕のディヴェルティスマンは、マチネとそれほど大きくキャストが変わったわけではない。しかしリラの精、フロリナそして宝石の精たちは、マチネのキャストよりもレベルアップした印象がした。フロリナのエリザベス・メイソンは、去年の来日公演「オネーギン」でオリガ役を演じていたけど、古典でも軽やかできれいな踊りをしていて良かった。青い鳥のアレクサンダー・ジョーンズはロイヤル・バレエスクールから入団してまだ4年目、若くてとっても美形、ラインも綺麗だけど、マチネで西の王子を踊ってソワレで青い鳥はちょっとお疲れだったようだ。一方、アリババのヤオシェン・チェンのほうは絶好調で、しなやかでダイナミックな踊りを見せてくれた。白い猫と長靴を履いた猫の、コミカルだけどちょっとエッチなやりとりは、ソワレでも大爆笑を呼んだ。この二人は本当に芸達者!

オーロラとデジレのグラン・パ・ド・ドゥは、期待通り完璧に決まった。急にパートナーが変わったと言うのに、フォーゲルのサポートはばっちりだった。白地にピンクと淡いグリーンの花の刺繍がある衣装が彼には本当に良く似合い、キラキラ度は2幕での登場の5倍アップってところ。原色の洪水のようなディヴェルティスマンの出演者たちのなかで、主役ペアの爽やかさが引き立つ。

だが、晴れやかなアポテオーズのクライマックスに、黒い染みのように登場するのが、ジェイソンの鮮烈なカラボスだ。艶然とした微笑を浮かべながら、優雅に入ってくるカラボスの一瞥。ただ歩いてきて見得を切って走り去るだけなのに、主役ペアの印象を掻き消してしまうほどの存在感。このまま物語は終わらせない、見てなさい、と艶やかな毒を振りまきながら歩き去る。なんという美味しい役なんだろう。誰もが、この作品の主役はカラボスだと確信したに違いない。しかし、この役は強烈な存在感と毒、魅惑を持ち合わせたダンサーでないと務まらない。その点、とろけるように妖しい目線を振りまいたジェイソン・レイリーは完璧だった。彼がシュツットガルトを去ってしまい、この役での彼を観る機会が今後なさそうなのが惜しまれてならない。「眠れる森の美女」のデジレ王子の彼を見る機会はまだあるだろうけど。

そんなジェイソンだけど、幕間のサイン会には、リラの精のミリアム・サイモンと登場。カラボスのメイクのまま、にこやかにサインに応じていた。そのサービス精神には頭が下がる思いがした。

2009/04/05

シュツットガルト・バレエ リード・アンダーソン60歳記念ガラ Stuttgart Celebrates Reid Anderson´s Sixtieth Birthday

誰が出るのか、何が上演されるのかまったく謎だったこのガラ、ふたを開けてみたらとても豪華だったようです。

http://www.danceviewtimes.com/2009/04/a-family-affair.html

シュツットガルト・バレエの芸術監督、リード・アンダーソンの60歳の誕生日を祝うため、駆けつけたのはジョン・ノイマイヤー、マウロ・ビゴンゼッティ、ハンス・ヴァン・マーネン、そしてロイヤル・バレエの芸術監督モニカ・メイソン。もちろん、チリのサンチアゴからは、マリシア・ハイデも駆けつけました。
プログラムには、ウラジーミル・マラーホフ、カレン・ケイン、ブリジット・ルフェーブル、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス、リチャード・クラガンなどからの祝辞も掲載されていたとのこと。

そしてガラであるにもかかわらず、古典作品のPDDもなければ、クランコの有名な「ロミオとジュリエット」「オネーギン」「じゃじゃ馬ならし」からのPDDもなし。フィリップ・バランキエヴィッチの「レ・ブルジョワ」、マリア・アイシュヴァルトとフリーデマン・フォーゲルによる「ベラ・フィギュラ」、ジェイソン・レイリーとJulia Krämerの「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」、ロバート・テューズリーとスージン・カンの「椿姫」、そして様々な若手振付家による作品が上演されたようです。そして、マリシア・ハイデ、エゴン・マドセンによるハンス・ファン。マーネンの“Sunday”の上演まであったとか!

エッセンのツォルフェアアイン炭鉱業遺産群 Zeche Zollverein

エッセンでのドイツダンス賞授賞式の前に、せっかくエッセンに来たんだから観光も、と思って世界遺産であるツォルフェアアイン炭鉱業遺産群(ドイツ関税同盟鉱山跡)に行って来た。ルール工業地帯の中心地であったエッセン最大の観光名所。

http://www.zollverein.de/

行きかたとしては、エッセン中央駅から路面電車でおよそ15分。路面電車といっても、エッセン中央駅からの発車は、地下鉄のホームなので一見路面電車には見えない。いくつかの駅を過ぎた後に地上に出て路面電車になる。最寄り駅に到着すると、緑豊かな郊外の住宅地に大きくそびえ立つ、ここのシンボルであるツォルフェアアイン第12採掘坑。炭鉱というイメージを裏切られる、バウハウス形式の美しい巨大建造物だ。

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この第12採掘坑は、1932年に建築されたというモダンな建物。そこを入り口として、広大な敷地に様々な建造物が残っている。単なる炭鉱の跡ということでは、世界遺産にも選ばれないしガイドブックにも載らない。世界で最も美しい炭鉱と言われた建物の美しさを生かし、当時の様子をそのまま残して見学コースにしていると共に、建物を上手く活用して、美術館や博物館、コンサートホール、アートスペースにしている。時には野外オペラまで開催されるという。

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この入り口を通ると、長いエスカレーターを上り、総合案内センターに到着。クールなカフェがあり、またミュージアムショップや、インフォメーション、ガイドツアーの受付がある。オリジナルのTシャツなども、デザインがとてもかっこいい。

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この建物の中は、自由に入れるところと、ガイドツアーに参加しないと見られないところがあるというので、ツアーに参加することにした。しかし、困ったことに、ガイドツアーはドイツ語でしか開催されないというのだ。もちろんドイツ語は全然わからないけど、施設には興味があったので、参加することにした。案内のお姉さんはとても熱心な人で、本当にたくさんのことを説明してくれるので、ドイツ語がわかればどんなに面白いことかと思った。

まずは階段を延々と上って、屋上へ。炭鉱全体を一望できる。
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それから、立坑を見せてくれたり、石炭を精製する作業場の跡、博物館などを見せてくれたりした。内部もとても産業デザインの優れているところだ。工場萌えや廃墟好きな人には、きっとたまらない場所だろう。私でもちょっとワクワクするくらいだから。

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ツアーは2時間もあった。ここにある、旧ボイラーハウスはレッド ドット デザイン ミュージアム(Red Dot Design Museum)というインダストリアル プロダクツを収集する美術館になっていて、イギリス建築界の巨匠ノーマン フォスターが改装を手がけたとのこと。時間がなかったのと、それから何しろ表記がドイツ語しかなくて、どうやって入っていいのかもわからなかったので、入れなくて残念。この写真の奥が入り口みたい。

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若手アーティストがギャラリーを出展しており、その中で写真やアクセサリー、雑貨を展示販売しているところで、可愛いブックマークをお土産に買った。

とても広大な敷地で、遊園地やスケートリンクまであるという。奥にあるコークス工場跡などもすごく見ごたえがあるようだったけど、夜にビッグイベントが控えていたし、時間もなかったので帰ることにした。ここは本当に一見の価値があるところだと思う。世界遺産を、アートスペースに改造してしまうというドイツの文化の成熟はすごいって思った。贅沢を言えば、英語のガイドツアーがあればいいのにって思った。

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2009/04/04

(速報)新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」「ライモンダ」DVD発売/追記あり

今日「こどものためのバレエ劇場『しらゆき姫』」を観に行っていた友達から聞いたのですが、会場で、新国立劇場バレエ団の「白鳥の湖」「ライモンダ」のDVDが発売されるという告知チラシが配布されていたそうです。

気になるキャストは、「白鳥の湖」が酒井はなさんと山本隆之さん、「ライモンダ」がスヴェトラーナ・ザハロワとデニス・マトヴィエンコが主演とのことです。

詳細がわかりましたら、またお知らせします。今までTVでの放映はありましたが、DVDの発売は初めてなので楽しみですね。


追記:お友達に詳細を教えていただきました。感謝!

新国立劇場バレエ団のオフィシャルDVDBOOKが5月18日に発売。

「白鳥の湖」 酒井はな・山本隆之

「ライモンダ」スヴェトラーナ・ザハロワ、デニス・マトヴィエンコ

公演全幕が収録、あらすじも字幕で紹介されています。牧阿佐美やダンサーのインタビューあり。特典映像にはソリストによるハイライトシーンをそれぞれのダンサーのインタビューを交えて収録。小野絢子さんによるライモンダのバックステージツアーあり、レッスン映像ありだとのこと。

アトレ会員には特別価格ありで、2巻同時購入のプレゼントあり。価格は3780円の予定だそうです。
お値段も手頃で良いですね!

詳しくは、6月号ジ・アトレでご案内するそうです。

(注)会員価格でのお求めは、新国立劇場シアターショップ(03-3372-1252)、WEBシアターショップ(http://www.theatreshop.jp/)をご利用下さい。


追記:Amazonで予約を受付中です。DVDジャンルではなく、書籍のところにありますのでご注意ください。

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エヴァ・エフドキモワ逝去 Eva Evdokimova Obituary

Ballet Talk経由ドイツの新聞によると、70~80年代に活躍したバレリーナ、エヴァ・エフドキモワがガンのために5960歳(訂正)の若さで亡くなったとのことです。

http://www.n-tv.de/1132410.html

日本でも、3回にわたる世界バレエフェスティバルへの出演、東京バレエ団へのゲストなどでよく知られていました。ペーター・シャウフスやルドルフ・ヌレエフのパートナーとしても活躍していました。私は映像でしか観ていないのですが、特に「ジゼル」や「ラ・シルフィード」などの白いバレエは、とても美しかったです。最近も教師として来日していたり、2006年12月号のダンスマガジンの編集長対談に登場していたので、こんなに若くして亡くなるとは、驚きであり哀しいことです。

ご冥福をお祈りします。

追記:New York Timesの訃報記事です。

http://www.nytimes.com/2009/04/06/arts/dance/06evdokimova.html?_r=1

2009/04/03

マリインスキー・バレエの12月来日公演日程発表 Mariinsky Ballet in Japan Nov-Dec 2009

ジャパン・アーツのバレエ・舞踊ブログで、マリインスキー・バレエの12月来日公演日程が発表されました。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/116682193.html

「白鳥の湖」 11/22(日)18時、.23(月・祝)14時 神奈川県民ホール
「白鳥の湖」 11/27(金)18時半、28(土)15時、18時半、29(日)15時、30日(月)18時半、12/1(火)18時半 東京文化会館
「眠れる森の美女」 12/3(木)18時半、4(金)18時半、5(土)13時 東京文化会館
「イワンと仔馬」 12/8(火)19時、9(水)19時 東京文化会館
「オールスター・ガラ」 12/10(木)19時、11(金)19時 東京文化会館

≪料金≫
<横浜公演>
S¥20,000 A¥17,000 B¥14,000 C¥10,000 D¥7,000 E¥4,000
ジャパン・アーツ夢倶楽部会員料金
S¥19,000 A¥16,000 B¥13,000 C¥9,000 D¥6,300 E¥3,600

<東京公演>
S¥20,000 A¥17,000 B¥14,000 C¥11,000 D¥8,000 E¥5,000
《ジャパン・アーツ夢倶楽部会員料金(ジャパンアーツ・ぴあで受付)》
S¥19,000 A¥16,000 B¥13,000 C¥10,000 D¥7,200  E¥4,500

<12/8公演のみ>「イワンと仔馬」
S¥22,000 A¥19,000 B¥16,000 C¥12,000 D¥9,000 E¥6,000
《ジャパン・アーツ夢倶楽部会員料金(ジャパンアーツ・ぴあで受付)》
S¥21,000 A¥18,000 B¥15,000 C¥11,000 D¥8,100  E¥5,400


5月10日(日) 前売開始
5/10のみの特電 チケットぴあ音声応答特電 0570-02-9922(10:00~23:30)
ジャパン・アーツ夢倶楽部会員:WEB 4月25日(土) / TEL 4月26日(日)
ジャパン・アーツぴあネット会員:WEB 4月27日(月)

【お申込み】 
ジャパン・アーツぴあ03-5237-7711

キャストなどの詳細も間もなく発表となります。もう少々お待ち下さい、とのことです。(一応チケット発売前にキャストを発表してくれるんですね)

12月8日の「イワンと仔馬」だけ高いのは、ひょっとしてゲルギエフが指揮をするんでしょうか?

そして、何も「白鳥の湖」ばかりこんなに回数(東京、神奈川で8回!)をやっても仕方がないだろう、と思ってしまいます。土日上演は「白鳥」ばかりだし。ボリショイ・バレエの時みたいに、スポンサーの招待客ばかりが目立つ客席になりそうで嫌ですね。せめて、(ブノワ賞にノミネートされた)エカテリーナ・コンダウローワのオデット・オディールとかやってくれたらいいんですけど。王子はもちろんダニーラ・コルスンツェフで。

そしてやっぱり「フォーキン・プロ」はなしですか…。本当に残念です。

マリインスキー・フェスティバルの最終日のガラでは、ロパートキナがコールプと「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」を踊ったらしいので、それくらいのことは最低でもやっていただかないと納得しません!

さらに、
① 病気、怪我、その他の事情で変更になる場合がございます。最終的な出演者は当日発表とさせていただきます。一旦お求めいただきましたチケットは、公演中止の場合を除きキャンセル・公演日の振替等をお受けいたしかねますので、予めご了承下さい。
ご承諾をいただけないお客様は、当日券のご利用をお勧めいたします。(前売りで売り切れの場合、当日券はござません。)

という例の脅し文句が太字になっているのが超感じ悪いです。ソーモワ主演とかだったら、絶対観たくないんですけど!

追記:Mさんのエントリで気がついたのですが、「白鳥の湖」の初日、27日は、キエフ・バレエの「眠れる森の美女」と重なっています。そして、私、すでにこのチケットを買ってしまっているんですよね。初日にロパートキナやダニーラ・コルスンツェフが入ったら、泣いてしまいます。

それから、昨日兵庫県芸術文化センターからのDMが届いていて見たら、12月6日(日)にマリインスキーの「白鳥の湖」があるんですね。今回も本当にジャパンアーツ公演はスケジュールがすごいことになっています。

4/7追記:
上記ジャパンアーツバレエ・舞踊blogで、「イワンと仔馬」が一日だけ値段が高いのは、ワレリー・ゲルギエフ指揮のため、と追記されていました。

<12/8公演のみ>「イワンと仔馬」
S¥22,000 A¥19,000 B¥16,000 C¥12,000 D¥9,000 E¥6,000

2009年ブノワ賞のノミネート Prix Benois de la Danse 2009

Dansomanie経由の情報です。

2009年のブノワ賞のノミネートが発表されました。

http://www.itar-tass.com/level2.html?NewsID=13750013

Nominations - Chorégraphes 振付家のノミネート

- Eduardo Lao - Tres (musique: L. Van Beethoven) / Ballet de Madrid

- Wayne McGregor - Infra (musique: M. Richter) / Royal Ballet

- José Martinez - Les Enfants du paradis (musique: M.O. Dupin) / Ballet de l'Opéra de Paris

- Laurie Stallings - Big / Ballet d'Atlanta


Nominations - Danseuses 女性ダンサーのノミネート

- Dorothée Gilbert - rôle de Lise dans La Fille mal gardée (F. Ashton) / Ballet de l'Opéra de Paris

- Ekaterina Kondaurova - rôle d'Odette-Odile dans Le Lac des cygnes / Ballet du Théâtre Mariinsky

- Kirsty Martin - rôle-titre dans L'Histoire de Manon (K. McMillan) / Australian Ballet

- Itziar Mendizabal - rôle-titre dans L'Oiseau de feu (P. Chalmer, d'après M. Fokine) / Ballet de Leipzig

- Natalia Osipova - rôle-titre dans Giselle (version Y. Grigorovitch), rôle de Medora dans Le Corsaire (version A. Ratmansky/Y. Burlaka), rôle-titre dans La Sylphide (A. Bournonville), rôle de Jeanne dans Flammes de Paris (A. Ratmansky) / Ballet du Théâtre Bolchoï

- Anita Pacylowski - pas de deux / Carolina Ballet Theatre


Nominations - Danseurs 男性ダンサーのノミネート

- Adam Bull - rôle de Siegfried dans Le Lac des cygnes (version Graeme Murphy) / Australian Ballet

- Ivan Vassiliev - rôle de Conrad dans Le Corsaire (version A. Ratmansky/Y. Burlaka), rôle de Philippe dans Flammes de Paris (A. Ratmansky) / Ballet du Théâtre Bolchoï

- Joaquin de Luz - rôle-titre dans Le Fils Prodigue (G. Balanchine) / New York City Ballet

- Desmond Richardson - solo de D. Rhoden / Complexions Contemporary Ballet

- Alain Honorez - duo de Herman Schmerman (W. Forsythe), rôle principal dans Symphonie des Psaumes (J. Kylian) / Ballet Royal de Flandre

審査委員長はユーリ・グリゴローヴィチ、審査員には、クロード・ベッシー、オーストラリア・バレエのデヴィッド・マッカリスター、ヴィクトル・ウリャテなど。

今年は結構見慣れないというか知らない名前がたくさん並んでいますが、振付家には、ジョゼ・マルティネスが「天井桟敷の人々」でノミネートされていますね。

女性ダンサーでは、ドロテ・ジルベール、エカテリーナ・コンダウローワ(今年初めて踊った「白鳥の湖」オデット/オディールでのノミネートです。なんで、この人が未だにセカンドソリストなのでしょうか)、カースティ・マーティン、ナタリア・オシポワなど。

男性ダンサーは、オーストラリア・バレエのアダム・ブル、イワン・ワシーリエフ、ホアキン・デ・ルース、デズモンド・リチャードソンなど。

そういえば話はずれますが、NBAバレエ団のゴールデン・バレエ・コースターにいつのまにか、イワン・ワシーリエフの出演が追加になっていました。嬉しいですね。

3/22マチネ シュツットガルト・バレエ「眠れる森の美女」Stuttgarter Ballett Dornröschen(その2)

Stuttgarter Ballett Dornröschen

Sonntag, 22 Marz 2009 Beginn 14:30

Prinzessin Aurora Alicia Amatriain オーロラ姫 アリシア・アマトリアン
Prinz Desiré Filip Barankiewicz デジレ王子 フィリップ・バランキエヴィッチ
Carabosse Nikolay Godunov カラボス ニコライ・ゴドノフ
Fliederfee Miriam Kacerova リラの精 ミリアム・カチェロワ

Der Prinz des Westens Alexander Jones 西の王子 アレクサンダー・ジョーンズ
Der Prinz des Nordens Roland Havlica 北の王子 ローランド・ハブリカ
Der Prinz des Ostens Dimitri Magitov 東の王子 ディミトリ・マジトフ
Der Prinz des Sudens Laurent Guilbaud 南の王子 ローラン・ギボー

Ali Baba Yaosheng Weng アリババ:ヤオシェン・ウェン
Rubin Rachele Burassi ルビー:レイチェル・ブリアッシ
Saphir Alessandra Tognoloni サファイア:アレッサンドラ・トノローニ
Smaragd Daniela Lanzetti エメラルド:ダニエラ・ランゼッティ
Amethyst Nathalie Guth アメジスト:ナタリー・グス

Der Gestiefelte Kater und Sein Katzchen Arman Zazyan, Maria Alati  長靴を履いた猫と白猫:アルマン・ザジャン、マリア・アラーティ
Der Blaue Vogel und Seine Prinzessin William Moore, Laura O'Malley 青い鳥とフロリナ姫 ウィリアム・ムーア、ローラ・オマリー
Rotkappchen und Der Wolf Christina Burnell, Mikhail Soloviev 赤ずきんちゃんと狼 クリスティナ・バーネル、ミハイル・ソロヴィエフ

ところで、この劇場ではあっと驚くファンサービスがあった。1回目の休憩では王様Kurt Spekerと乳母役Angelika Bulfinskyの、そして2回目の休憩では、リラの精ミリアム・カチェロワとカラボスのニコライ・ゴドノフのサイン会があったのだ。特に2度目の休憩の時の二人は、さっきまで舞台の上でたくさん踊ってきたばかりだというのに、メイクに衣装のままで(カラボスは一応上着を羽織っていた)サインをしてくれるというのだからすごい。マチネ公演で、バレリーナの卵のようなお子ちゃまがたくさん来ていたものだから、みんな大喜びでサインが行われている机のところに殺到。日本のように整然と並ばせるのではなく、手当たり次第にプログラムを差し出してサインをもらうという按配。大変なファンサービスぶりだ。カラボスもリラも3幕ではほとんど踊らないとはいえ、まだ出番があるというのに。劇場やダンサーたちの大変な努力を見る思いだった。

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《2幕》
赤いハンティングコート姿の王子が登場して、早速ヴァリエーションを踊る。フィリップ・バランキエヴィッチは流石に踊りが上手い。4人の王子たちはかなり足音をさせていたのに、彼はあの長身でも全然足音をさせないで、マネージュの時もふわりと浮かび上がり、きれいな着地をする。足先も美しい。でも、バランキエヴィッチはハンサムだしカッコいいのだけど、私のイメージする「眠れる森の美女」の王子ではないのだ。男らしすぎるのかもしれない。一番の問題は口の下にちょっと生やした髭なのだと思う。残念。バランキエヴィッチは、来日公演のときのカラボスが、実に艶やかで堂々とした美女ぶりで、そっちの方が素敵だったと思う。

オーロラの幻影。目を閉じたアリシア・アマトリアンは、眉毛をハの字にして眉間にちょっと皺を寄せた表情で、先ほどの元気でお転婆なオーロラとは思えないほど。悲しみを湛えていて、きれいだった。先ほどの春から季節は秋に移ったようで、パノラマの群舞の女性たちは落ち葉のようなセピア色の長くて身体に沿ったドレスをまとっている。回廊の左サイドにはカラボス、右サイドにはリラがいて、王子やオーロラの幻影を見下ろして様子を伺っている。なかでもカラボスは落ち着かない様子。

王子の行く手を阻むように、落ち武者のようなカラボス軍団、そして大きくマントを広げ、彼らに高々とリフトされたカラボスが登場する。王子は意外と弱っちくて、カラボスのマントにぐるぐる巻かれて弱ってしまってよろつき、もうダメだと一瞬思ったみたい。だけど力を振り絞って、カラボスを上手くかわし、眠るオーロラを抱き上げて、かぶりつくようにキスする。悔しがり、よろよろと退場するカラボス。そして、明るい光が差し込み、オーロラだけでなく、王様や王妃様、さらには4人の王子やらカタラビュットら宮廷の人々も目を覚ます。100年の眠りを経た後には、王子たちの髪も乱れ、すっかり埃をかぶっている。王子たちが一生懸命誇りを払いのけようとしているのが可笑しい。

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《3幕》
マリシア・ハイデ版の「眠れる森の美女」は御伽噺の登場人物たちがこれでもか!とたくさん登場する。衣装の色の鮮やかできらびやかなこと。その中で、パステルカラーに花びらが散っているオーロラ姫とデジレ王子の衣装が控えめで清楚に浮かび上がってくるという効果が生まれる。心なしか、4人の王子たちの衣装も、1幕のときよりずっと派手な色になっている。そして1幕では髭のなかった南の王子が口髭を生やしている。

来日公演で観たときには、アリババ役(踊りはほとんど「海賊」のアリと同じ)はプリンシパルのアレクサンドル・ザイツェフで、もちろんダイナミックなテクニックを見せてくれた。今回のアリババは、若い中国人コール・ドのヤオシェン・ウェン。背は大きくないようだけど、しなやかな身体の持ち主でテクニックは素晴らしかったし、清潔感のあるハンサムで、エレガントさもある。宝石の精たちの衣装が原色でかなりすごいことになっている。彼女たちは前髪を少し下ろしていて、19世紀の印象派の絵画に出てくるような、ちょっと古風な感じの髪形をしている。

一番観客に大うけしていたのは、日本公演でもそうだったけど、長靴を履いた猫と白猫のやりとり。猫たちが互いをはたきあうような痴話喧嘩をしており、しかし最後には必ず白猫が大きな音を立ててデコピンをするのだ。それから、白猫が美しい脚をア・ラ・スゴンドに上げると、長靴を履いた猫はその脚にお触りしようとする。その瞬間に、また白猫がばしっと、長靴を履いた猫を「このエッチ!」と叩いてしまう。気の毒に、長靴を履いた猫は怖がってぶるぶる震えてしまう。だけど、なぜかこの二人(二匹?)は一緒に腰を大きく動かすエロティックな踊りをし始めて、いい雰囲気になってどこかへ行ってしまう!ユーモラスで、ちょっと大人っぽくて、すごく楽しい。相当芸達者じゃないとできない演技だと思う。

赤ずきんちゃんのクリスティナ・バーネルは、背中を柔らかく使う踊りで、メリハリが利いていてとても綺麗だった。他のディヴェルティスマンが面白いので、案外青い鳥とフロリナは印象に残らなかったけど、ウィリアム・ムーアの青い鳥は、大きくしなやかに跳んでいて、鳥らしかったと思う。

グラン・パ・ド・ドゥはあくまでも正統派で、気品が漂う二人。アリシア・アマトリアンはちょっとふにゃ~っとしたファニー・フェイスの持ち主なのだけど、そのふわふわした柔らかい感じがお姫様に向いている。1幕のお転婆さはすっかり封印したようだ。バランキエヴィッチは、花柄パステルカラーの衣装を着てもやっぱり男らしい王子なのだよね。ヴァリエーションのマネージュもすごくワイルドでカッコいい感じ。サポートの方は万全で、フィッシュダイブもまったく危なげなし、頼もしいこと。コーダで少し不思議だったのは、オーロラがちょっと上半身を片側に反らすポーズで、あんまり上半身を倒さないこと。アリシアは身体が柔らかい人なので、多分彼女は意識的にそうしているんだろうな。ソワレのアンナ・オサチェンコは、身体をけっこう反らしていたから。

アポテオーズとなり、本当の最後の最後で、優雅につかつかと入ってきて観客に見得を切り、マントを翻してさっと歩き去るカラボス。この世から悪は簡単には消えないということを象徴していると共に、この世界、そして物語を支配しているのがカラボスであったということを印象付ける秀逸なフィナーレだ。ハイデ版の「眠り」の主役は、誇り高く艶やかだが屈折した美しき魔女、カラボス以外の何者でもない。

2009/04/02

パリ・オペラ座「オネーギン」のキャスト変更/FIGARO JAPON 「パリオペラ座バレエ物語 019」最終回

パリ・オペラ座バレエの「オネーギン」ですが、またキャスト変更があったそうです(Dansomanie情報)

バンジャマン・ペッシュが怪我でレンスキー役を降板し、レンスキーの代役にはマルク・モローが入りました。

Onéguine : Le Riche ou Legris ou Martinez ou Hervé Moreau
Lenski : Heymann ou Bezard ou Magnenet, remp. M. Moreau
Tatiana : Dupont ou Gilbert ou Osta ou Ciaravola
Olga : Ould-Braham ou Grinsztajn ou Zusperreguy ou Froustey, remp. Bance
Larina : Béatrice Martel
Amme : Reichert, remp. Gilles
Gremine : Duquenne ou Paquette ou Paul ou Cordier
Le Double de Tatiana : Gestin ou Lévy ou Philbert

レンスキー役はマチュー・ガニオに続いての降板で、若手ばかりになりましたね。私はペッシュのレンスキーが観たかったので残念ですが、他のキャストも期待できそうなので、気持ちを切り替えて楽しみにすることにします。

オフィシャルにはまだキャスト変更は反映されていません
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/saison/ballets/ballets_details.php?lang=fr&event_id=74&CNSACTION=SELECT_EVENT

そして今気がついたのですが、指揮がシュツットガルト歌劇場のジェームズ・タグルなんですね!これは本当に楽しみです。

******

さて、パリ・オペラ座といえば、ちょうど発売日がドイツに出かけた日だったので紹介できなかったFIGARO JAPONの「パリ・オペラ座物語」も最終回となりました。毎月の楽しみを本当にありがとうございました>FIGARO JAPON様。ぜひ書籍化して欲しいものです。

ちょうどこの号に、レンスキー役に抜擢されたマルク・モローのインタビューが載っています。

FIGARO JAPON (2009 4/5号 no.384) 「パリオペラ座バレエ物語 019」

オペラ座バレエ団の未来の星、期待の若きダンサーが舞台に輝く。

3/26~28に行われる「若手ダンサーたちの夕べSpectacle Jeunes Danseurs」に出演予定のダンサーから、アマンディーヌ・アルビッソン Amandine Albisson、ダニエル・ストークス Daniel Stokes、マルク・モロー Marc Moreau、マリーヌ・ガニオ Marine Ganioの4人へのインタビューが載っています。

マルク・モローはもちろん、ルグリと素晴らしき仲間たちのガラへの出演で、日本でも良く知られています。去年末の「ライモンダ」では、毎晩のようにサラセンのソリストを踊ってはパ・ド・カトルにも出演して大活躍でした。切れ味鋭く、また華のある舞台姿が素敵でした。この記事によると、ジェローム・ロビンス・プロでのバンジャマン・ミルピエの創作「トリアード」で、レティシア・プジョル相手に踊ったそうで(ファーストキャスト)、その後も昇進コンクールでコリフェに昇格するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いです。

「若手ダンサーの夕べ」に出演するダンサーたち全員の写真を載せているのが、ありがたいことです。同じくインタビューが載っているダニエル・ストークスも、年末のベジャール・プロ「火の鳥」や「春の祭典」で活躍していて、印象的な一人でした。

ダニエル・ストークスは、この若手公演でアクセル・イボ、ミカエル・ラフォンと「オーニス」を踊ったそうですが、この作品、「バレエの美神」公演でウィルフリード・ロモリが気持ち良さそうに踊っていたのが印象的な、のんびりとしているけど楽しい小品でした。

マリーン・ガニオはいわずと知れたマチューの妹で、ドミニク・カルフーニの娘ですね。ちょっとぽちゃっとしていますが、とても綺麗です。そしてもう一人のアマンディーヌ・アルビッソンもとても愛らしいですね。こういう未来のスターダンサーにスポットを当ててくれたこの連載は、本当に読み応えがありました。

「若手ダンサーの夕べ」の写真がこちらで観ることができます。
Photos - Spectacle Jeunes Danseurs
http://www.fedephoto.com/fotoweb/GridB_content.fwx?folderid=5080&rows=4&columns=4&search=(IPTC103%20contains%20(APO0453*))&sorting=AlfaNumericAsc

この号、特集も「パリの日常を行こう」とパリの特集なので、GWなどにお出かけする人には保存版の一冊です。

madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2009年 4/5号 [雑誌]madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2009年 4/5号 [雑誌]

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4月22日 NYシティ・センターにてYAGPガラ開催

4月21日のYAGPコンクール決勝に続き(今年は一般公開されます)、恒例のYAGPガラが4月22日、NYのシティセンターで開かれます。

ドレスデン・バレエの浅見紘子さん(ニューヨーク・デビューだそうです)、シュツットガルト・バレエのアンジェリーナ・ズッカリーニなどの若手から、イリーナ・ドヴォロヴェンコ(ABT)、エカテリーナ・コンダウローワ(マリインスキー)、マイア・マッカテリ(オランダ国立バレエ)、アシュレー・ボーダー(NYCB)による「パ・ド・カトル」、ヴィクトリア・テリョーシキナ、ウラジーミル・シクリャーロフ(マリインスキー)、マルセロ・ゴメス、サラ・レイン(ABT)による「海賊」組曲など、趣向を凝らしています。

他にもズデネク・コンヴァリーナ、ジリアン・マーフィ、コリー・スターンズ、マリア・コウロフスキー、「アメリカン・ダンス・アイドル」のダニー・ティドウェルなどが出演する豪華プログラムです

“STARS OF TODAY MEET THE STARS OF TOMORROW”
YAGP 10th ANNIVERSARY GALA

http://www.yagp.org/gala/index.html

Wednesday, April 22, 2009 at 7pm
New York City Center

ACT I

Skylar Brandt (ABT JKO School),
Brooklyn Mack (Orlando Ballet) “Little Red Riding Hood” – WORLD PREMIERE
Choreography: Viktor Kabaniaev
Music: Pyotr Ilyich Tchaikovsky
Costumes by: Narciso Rodriguez

James Moore - NY DEBUT
(Pacific Northwest Ballet) “Mopey”
Choreography: Marco Goecke
Music: Carl Philipp Emanuel Bach

Hiroko Asami – NY DEBUT,
Raphael Courmes-Marquet
(Dresden State Opera Ballet)
“Reverence” - NY PREMIERE
Choreography: David Dawson
Music: Max Richter

Angelina Zuccarini (Stuttgart Ballet) –
NY DEBUT Lise Variation from “La Fille Mal Gardee”
Choreography: Frederick Ashton
Music: Ferdinand Hérold

Charles Andersen – NY DEBUT,
Eliabe D'Abadia – NY DEBUT
(Royal Danish Ballet) “The Jockey Dance”
Choreography: August Bournonville
Music: Carl Christian Møller

“Who Cares?” (excerpts)
Choreography: George Balanchine
© The George Balanchine Trust
Music: George Gershwin

Sara Mearns, Jared Angle
(New York City Ballet)
“The Man I Love” (excerpt #1)
Maria Kowroski **, Philip Neal
(New York City Ballet)
“Embraceable You” (excerpt #2)
Natalia Tapia , Matthew Golding

(Corella Ballet) – NY COMPANY DEBUT “Flames of Paris” Pas de Deux
Choreography: Vasily Vainonen
Music: Boris Asafiev

The YAGP 2009 Finalists “Grand Defilé”
Choreography: Carlos Dos Santos, Jr.
Music: Stephen Gunzenhauser

- Intermission -

PLEASE NOTE:

** Ms. Kowroski was invited to join the program as YAGP’s very first honoree.
Several finalists of the YAGP 2009 Student Ballet Competition will be selected to join ACT I of the program.


“STARS OF TODAY MEET THE STARS OF TOMORROW”
YAGP 10th ANNIVERSARY GALA

Wednesday, April 22, 2009 at 7pm
New York City Center

“Le Grand Pas de Quatre”
Choreography: Jules Perrot
Music: Cesare Pugni

Melanie Hamrick, Christine Schevchenko, Mary Thomas, Katherine Williams
(American Ballet Theatre)
“Adagio”
Ashley Bouder (New York City Ballet)
Maia Makhateli (Dutch National Ballet)
Irina Dvorovenko (American Ballet Theatre)
Yekaterina Kondaurova (Mariinsky Ballet)
“Lucile Grahn variation”
“Carlotta Grisi variation”
“Fanny Cerrito variation”
“Marie Taglioni variation”

Bouder, Makhateli, Dvorovenko, Kondaurova
“Coda”

Kiril Kulish (“Billy Elliot: The Musical”) “Electricity”
Choreography: Peter Darling
Music: Elton John

Karine Plantadit (Broadway Performer), Danny Tidwell “Good Times, Ha!” – WORLD PREMIERE
Choreography: Camille A. Brown
Music: The New York Allstars

Hee Seo, Cory Stearns
(American Ballet Theatre) “Romeo and Juliet” Balcony Pas de Deux
Choreography: Kenneth MacMillan
Music: Sergei Prokofiev

Steven Marshall, Partner TBA (MOMIX) “Tuu”
Choreography: Moses Pendleton
Music: Tuu

Gillian Murphy, Joseph Phillips
(American Ballet Theatre) “Tarantella”
Choreography: George Balanchine
Music: Louis Moreau Gottschalk
© The George Balanchine Trust

Bridgett Zehr, Zdenek Konvalina
(National Ballet of Canada) “The Prokofiev Pas de Deux”
Choreography: Chris Wheeldon
Music: Sergei Prokofiev

Victoria Tereshkina, Vladimir Shklyarov (Mariinsky Ballet); Sarah Lane, Marcelo Gomes (American Ballet Theatre),
Zachary Catazaro (New York City Ballet) “Le Corsaire” Suite
Choreography: Marius Petipa
Music: Richard Drigo

ピョートル・ペストフへのトリビュート“PETER THE GREAT”ガラ

ウラジーミル・マラーホフ、ニコライ・ツィスカリーゼ、アレクセイ・ラトマンスキーらを育てたことで知られるモスクワバレエアカデミーの元教師、現ジョン・クランコスクールのピョートル・ペストフへのトリビュート・ガラが4月23日、YAGPガラの翌日にNYのシティセンターで開催されます。

上記三人に加え、ヴィクトリア・テリョーシキナ、マルセロ・ゴメス、エルマン・コルネホ、エカテリーナ・コンダウローワ、マリア・コチェトコワ、ウェンディ・ウェーラン、アリシア・アマトリアン、ミハイル・カニスキン、サシャ・ラデツキーなど豪華な顔ぶれです。

“PETER THE GREAT” GALA: A TRIBUTE TO A LEGENDARY BALLET TEACHER

Thursday, April 23, 2009 at 7pm
New York City Center

This special program is a celebration of the life and work of a legendary ballet teacher, Peter Pestov.
It features rare archival footage, choreography and performances
by some of Mr. Pestov’s most celebrated students.

http://www.yagp.org/pestov_site/index.html

http://www.nycitycenter.org/tickets/productionNew.aspx?performanceNumber=4325

ACT I

“Peter the Great”
(Video presentation)

Introductory Remarks
Alexei Ratmansky

Graduating class,
John Cranko School of Stuttgart Ballet Class Demonstration
Teacher: Peter Pestov

Maria Kochetkova (San Francisco Ballet),
Gonzalo Garcia (New York City Ballet) “Raymonda” Pas de Deux - NY PREMIERE
Choreography: Yuri Possokhov
Music: Alexander Glazunov

Sascha Radetsky (Dutch National Ballet) “5 Tangos”
Choreography: Hans van Manen
Music: Astor Piazzola

Wendy Whelan, Benjamin Millepied
(New York City Ballet) “Concerto DSCH”
Choreography: Alexei Ratmansky
Music: Dmitri Shostakovich

Viktoria Tereshkina (Mariinsky Ballet),
Marcelo Gomes (American Ballet Theatre) “Manon” Pas de Deux
Choreography: Kenneth MacMillan
Music: Jules Massenet

Alicia Amatriain (Stuttgart Ballet),
Mikhail Kaniskin (Berlin State Opera Ballet) “In the Middle, Somewhat Elevated”
Choreography: William Forsythe
Music: Thom Willems

Vladimir Malakhov (Berlin State Opera Ballet) "La Vita Nuova - NY PREMIERE
Choreography: Ronald Savkovic
Music: Arshak Ghalumyan

Adiarys Almeida, Herman Cornejo,
Joseph Gatti (Corella Ballet) “Le Corsaire” Pas de Trois
Choreography: Marius Petipa
Music: Richard Drigo

- Intermission -

ACT II

Elizabeth Schmitt, Sam Zaldivar
(Dmitri Kulev Classical Ballet Academy) “Flower Festival in Genzano” Pas de Deux
Choreography: August Bournonville
Music: Eduard Helsted

Ekaterina Kondaurova, Islom Baimuradov
(Mariinsky Ballet) “Middle Duet”
Choreography: Alexei Ratmansky
Music: Yuri Khanon

Gennadi Saveliev (American Ballet Theatre) “Gopak”
Choreography: Rostislav Zakharov
Music: Vasily Solovyov-Sedoi

Karine Plantadit (Broadway performer),
Sascha Radetsky (Dutch National Ballet) “Sinatra Suite”
Choreography: Twyla Tharp
Music: Frank Sinatra

Vladimir Malakhov (Berlin State Opera Ballet) “Voyage”
Choreography: Renato Zanella
Music: Wolfgang Amadeus Mozart

Alicia Amatriain (Stuttgart Ballet),
Mikhail Kaniskin (Berlin State Opera Ballet) “Le Grand Pas de Deux”
Choreography: Christian Spuck
Music: Gioachino Rossini

Nikolai Tsiskaridze (Bolshoi Ballet) “Narcissus”
Choreography: Kassyan Goliezovsky
Music: Nikolai Cherepnin

Viktoria Tereshkina, Vladimir Shklyarov
(Mariinsky Ballet) “Don Quixote” Pas de Deux
Choreography: Marius Petipa
Music: Richard Drigo

Closing Remarks
Alexei Ratmansky

Program subject to change.

2009/04/01

3/22マチネ シュツットガルト・バレエ「眠れる森の美女」Stuttgarter Ballett Dornröschen(その1)

Stuttgarter Ballett Dornröschen

Sonntag, 22 Marz 2009 Beginn 14:30

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Prinzessin Aurora Alicia Amatriain オーロラ姫 アリシア・アマトリアン
Prinz Desiré Filip Barankiewicz デジレ王子 フィリップ・バランキエヴィッチ
Carabosse Nikolay Godunov カラボス ニコライ・ゴドノフ
Fliederfee Miriam Kacerova リラの精 ミリアム・カチェロワ

Der Prinz des Westens Alexander Jones 西の王子 アレクサンダー・ジョーンズ
Der Prinz des Nordens Roland Havlica 北の王子 ローランド・ハブリカ
Der Prinz des Ostens Dimitri Magitov 東の王子 ディミトリ・マジトフ
Der Prinz des Sudens Laurent Guilbaud 南の王子 ローラン・ギボー

Die Fee des Bergkristals Alessandra Tognoloni 澄んだ泉の精:アレッサンドラ・トノローニ
Die Fee des Goldenen Weins Angelina Zuccarini 黄金のつる草の精:アンジェリーナ・ズッカリーニ
Die Fee des Waldes und der Wiesen Elizabeth Wisenberg 森の草地の精:エリザベス・ヴィセンベルク
Die Fee der Singvogel Maria Alati 歌鳥の精:マリア・アラーティ
Die Fee des Zaubergartens Rachele Burassi 魔法の庭の精:レイチェル・ブリアッシ

Ali Baba Yaosheng Weng アリババ:ヤオシェン・ウェン
Der Blaue Vogel und Seine Prinzessin William Moore, Laura O'Malley 青い鳥とフロリナ姫 ウィリアム・ムーア、ローラ・オマリー

エッセン中央駅を朝9時に発つ超特急ICEに乗り、ケルン駅で乗り換えてシュツットガルト中央駅に到着したのが12時過ぎ。最高時速300キロというICEの乗り心地は快適だったけど、お天気が悪くて車窓からの風景があまり楽しめなかったのが残念。初めてドイツの列車に乗るということで、切符はDBのサイトから事前に購入しておいた。変更可能な切符だったので100ユーロした。切符はあらかじめプリントアウトしておいて、QRコードで検札の人が認識するという仕組み。

シュツゥトガルト中央駅はとても大きな駅だけど、今回泊まったホテルは駅構内にあるので非常に便利だった。シュツットガルト州立劇場は中央駅から歩いて10分程度ととても近い。公園の中に位置しており、隣には小劇場、斜め前に新宮殿、裏側に州立美術館がある。そして正面には、鴨がたくさん泳いでいる池。

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ちなみに、シュツットガルト・バレエのチケットを表向きに売り出すのは公演の一ヶ月前なのだけど、実際には、それよりも前に劇場のサイトで購入予約することができる。購入予約しておくと、1ヶ月前にボックスオフィスから連絡が来て、席の場所などを教えてくれるというわけ。

ところが、私は間抜けで、ソワレのチケットしか予約していなくて、公演一ヶ月前が経過し、キャストが発表されて慌ててマチネのチケットを取ったのだ。エッセンからシュツットガルトまで午前中に移動する自信がなかったというのもあるのだけど。マチネの王子がエヴァン・マッキーであることに気づき、チケットを取ったものの、なんと私の取った席は劇場で最後の一枚。4階席(天井桟敷)の一番後ろの一番端の席だった。お値段は8ユーロ。せっかくのエヴァン君の主役なのに、と何回も戻りを確認したけど全然戻りは出なくて、ずっとソールドアウト表示。ソワレのチケットは残っていたようだ。結局、エヴァンが怪我で降板したので、ともかく最後の一枚を手にできただけ良かった。

この天井桟敷は、ミラノ・スカラ座と同様差別されていて、他の席と別の階段を上って上まで行かなければならない。クロークもフロアごとに細かく分かれている。

ところが、この席は値段の割には悪くなかった。舞台に意外と近い。端の席なので、上手が死角になってしまって見えないのと、ハイデ版「眠れる森の美女」の舞台装置が回廊になっているため、回廊の2階部分に立っている人が見えないのが残念。だけどソワレは良い席が取れていたので、諦めがついた。何しろ8ユーロというのだから本当にお得だ。1000円くらいで観られるのだから!

さて、会場に着くとなんでこの回のパフォーマンスは完売なのかがわかった。日曜日のマチネで「眠れる森の美女」なので、子供連れが非常に多かったのだ。日本も休日の昼公演のチャイコフスキー3大バレエはお子様率が高いと思うけど、ドイツでも同じというわけ。

基本的に、この劇場は熱心なファンのような方が多く、全体的に年齢は高め、観劇マナーも比較的良いほうだと思うけど、子供はやっぱり長い長い「眠り」を落ち着いて見ているのが困難らしく、天井桟敷でも、前の席の子供が見えづらいからって立ち上がって観たりしているので思いっきり邪魔なのだ。ただ、幸いに自分は最後列なので、後ろの人のことを気にしなくてもいい。隣の席に座った上品な老婦人も、途中から「良く見えないわね」と立って観ていた。休憩時間にこの方と話をしたのだけど、案の定、バレエはよく通っているようだ。ここの劇場のオペラは奇抜な演出で好きじゃないけど、バレエは素晴らしいわ、と。

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(エッセンからシュツットガルトは、このICEに乗って移動。2等車だったけど、十分快適。またお手洗いなどは日本の新幹線よりも清潔でおしゃれ)


さて、本題へと。

<プロローグ>
このマリシア・ハイデ版の「眠れる森の美女」は昨年のシュツットガルト・バレエの来日公演でも観たのだけど、それからまだ4ヶ月しか経っていないのに、幕が開いた時のブルーも目に鮮やか、爽やかで美しい舞台装置と貴族たちの衣装に目を奪われる。青く澄んだ空、純白の回廊に絡みつく薄いピンクの薔薇。ユルゲン・ローゼによる美術の見事なこと。オーロラの誕生を祝う6人の妖精たちのソロ。2番目のアンジェリーナ・ズッカリーニがとても技術があって上手、と思ったら、彼女はまだコール・ドなのに「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のリーズ役に抜擢されていた。リラの精のミリアム・カチェロワはとても気品のあるバレリーナ。

雷鳴と共にカラボスが登場。この回のカラボスは、日本公演に出演する予定が直前の怪我でキャンセルになってしまったニコライ・ゴドノフ。大柄で目力の強い彼は豪快、キレと迫力のある踊りを見せてくれた。あまり女っぽくないというか、パワフルで邪悪なカラボス像でカッコよかった。

ハイデ版の面白いところは、プロローグと1幕の間、カラボスの巨大な黒いマントが幕として機能していること。その幕の陰で、オーロラ姫がリラの精に見守られて成長していく様子を観ることができる。少女役のオーロラを覗き見るカラボスが、なんとも嬉しそうというか満足げな表情で、"なんて美しいの"のマイムをするところなど楽しい。オーロラに呪いをかけたくせに、彼女の成長を楽しみにしていて、屈折した愛情を持っているのがわかる。

<1幕>
プロローグのブルーとは打って変わって、春を思わせるライトグリーンとピンクの対比が庭園を思わせて、目に快い。1幕では、4人の王子たちがたくさん踊ってくれるのが嬉しい。4人のうち2人は、私が日本で観たときとは別のダンサーが踊っていた。日本公演では、北の王子はエヴァン・マッキーが踊っていて、さすがに抜きん出て技術があり美しかったわけだけど、今回の4人にはそこまでの人はいなかったような。西の王子のアレクサンダー・ジョーンズはまだとても若いダンサーなのだけど、彼も「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のコーラス役に抜擢されている。そして、ソワレでは青い鳥を踊っていた。とても端正で容姿も素敵なダンサーなので、彼は要注目だと思った。

そしていよいよ、オーロラの16歳の誕生日。アリシア・アマトリアンのオーロラは元気いっぱいでちょっとお転婆、可愛らしい。どんなベテランのバレリーナでも緊張で足がすくむというアレグロの難しいヴァリエーションを軽々と簡単そうに踊りこなす。とにかく軽やかで初々しい。ところが、ローズ・アダージオでは非常に慎重になっていたようで、ぐらつくようなところはまったくなかったものの、バランスの時間があっという間ですぐに王子たちの手を取ってしまっていた。アマトリアンは、あまりバランスは得意ではないのかもしれない。

オーロラがここまで元気いっぱいなキャラクターだというのも珍しい気がしたけれども、結局ここでは王子を選んでいないということで結婚を意識するのは早過ぎたってことなんでしょう。王子たちから受け取った花をポイっとそこらへんに投げ捨ててしまうくらいだから。王子たちがしょんぼりするのがちょっと気の毒だった。

全身をローブで隠して変装したカラボスが、真っ赤な花束を持ってやってくる。オーロラはカラボスの持っている深紅の薔薇に好奇心を隠し切れず、その中に仕掛けられた糸つむぎの毒針を刺してしまう。なるほど、アマトリアンの好奇心旺盛で闊達なオーロラなら、そうするだろうなと思わせてくれる。リラの精が呪いを和らげ、オーロラをはじめ一同を眠らせるために、シフォンの幕で人々を覆うというビジュアルの仕掛けも美しい。

(つづく)

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