3/22マチネ シュツットガルト・バレエ「眠れる森の美女」Stuttgarter Ballett Dornröschen(その2)
Stuttgarter Ballett Dornröschen
Sonntag, 22 Marz 2009 Beginn 14:30
Prinzessin Aurora Alicia Amatriain オーロラ姫 アリシア・アマトリアン
Prinz Desiré Filip Barankiewicz デジレ王子 フィリップ・バランキエヴィッチ
Carabosse Nikolay Godunov カラボス ニコライ・ゴドノフ
Fliederfee Miriam Kacerova リラの精 ミリアム・カチェロワ
Der Prinz des Westens Alexander Jones 西の王子 アレクサンダー・ジョーンズ
Der Prinz des Nordens Roland Havlica 北の王子 ローランド・ハブリカ
Der Prinz des Ostens Dimitri Magitov 東の王子 ディミトリ・マジトフ
Der Prinz des Sudens Laurent Guilbaud 南の王子 ローラン・ギボー
Ali Baba Yaosheng Weng アリババ:ヤオシェン・ウェン
Rubin Rachele Burassi ルビー:レイチェル・ブリアッシ
Saphir Alessandra Tognoloni サファイア:アレッサンドラ・トノローニ
Smaragd Daniela Lanzetti エメラルド:ダニエラ・ランゼッティ
Amethyst Nathalie Guth アメジスト:ナタリー・グス
Der Gestiefelte Kater und Sein Katzchen Arman Zazyan, Maria Alati 長靴を履いた猫と白猫:アルマン・ザジャン、マリア・アラーティ
Der Blaue Vogel und Seine Prinzessin William Moore, Laura O'Malley 青い鳥とフロリナ姫 ウィリアム・ムーア、ローラ・オマリー
Rotkappchen und Der Wolf Christina Burnell, Mikhail Soloviev 赤ずきんちゃんと狼 クリスティナ・バーネル、ミハイル・ソロヴィエフ
ところで、この劇場ではあっと驚くファンサービスがあった。1回目の休憩では王様Kurt Spekerと乳母役Angelika Bulfinskyの、そして2回目の休憩では、リラの精ミリアム・カチェロワとカラボスのニコライ・ゴドノフのサイン会があったのだ。特に2度目の休憩の時の二人は、さっきまで舞台の上でたくさん踊ってきたばかりだというのに、メイクに衣装のままで(カラボスは一応上着を羽織っていた)サインをしてくれるというのだからすごい。マチネ公演で、バレリーナの卵のようなお子ちゃまがたくさん来ていたものだから、みんな大喜びでサインが行われている机のところに殺到。日本のように整然と並ばせるのではなく、手当たり次第にプログラムを差し出してサインをもらうという按配。大変なファンサービスぶりだ。カラボスもリラも3幕ではほとんど踊らないとはいえ、まだ出番があるというのに。劇場やダンサーたちの大変な努力を見る思いだった。
《2幕》
赤いハンティングコート姿の王子が登場して、早速ヴァリエーションを踊る。フィリップ・バランキエヴィッチは流石に踊りが上手い。4人の王子たちはかなり足音をさせていたのに、彼はあの長身でも全然足音をさせないで、マネージュの時もふわりと浮かび上がり、きれいな着地をする。足先も美しい。でも、バランキエヴィッチはハンサムだしカッコいいのだけど、私のイメージする「眠れる森の美女」の王子ではないのだ。男らしすぎるのかもしれない。一番の問題は口の下にちょっと生やした髭なのだと思う。残念。バランキエヴィッチは、来日公演のときのカラボスが、実に艶やかで堂々とした美女ぶりで、そっちの方が素敵だったと思う。
オーロラの幻影。目を閉じたアリシア・アマトリアンは、眉毛をハの字にして眉間にちょっと皺を寄せた表情で、先ほどの元気でお転婆なオーロラとは思えないほど。悲しみを湛えていて、きれいだった。先ほどの春から季節は秋に移ったようで、パノラマの群舞の女性たちは落ち葉のようなセピア色の長くて身体に沿ったドレスをまとっている。回廊の左サイドにはカラボス、右サイドにはリラがいて、王子やオーロラの幻影を見下ろして様子を伺っている。なかでもカラボスは落ち着かない様子。
王子の行く手を阻むように、落ち武者のようなカラボス軍団、そして大きくマントを広げ、彼らに高々とリフトされたカラボスが登場する。王子は意外と弱っちくて、カラボスのマントにぐるぐる巻かれて弱ってしまってよろつき、もうダメだと一瞬思ったみたい。だけど力を振り絞って、カラボスを上手くかわし、眠るオーロラを抱き上げて、かぶりつくようにキスする。悔しがり、よろよろと退場するカラボス。そして、明るい光が差し込み、オーロラだけでなく、王様や王妃様、さらには4人の王子やらカタラビュットら宮廷の人々も目を覚ます。100年の眠りを経た後には、王子たちの髪も乱れ、すっかり埃をかぶっている。王子たちが一生懸命誇りを払いのけようとしているのが可笑しい。
《3幕》
マリシア・ハイデ版の「眠れる森の美女」は御伽噺の登場人物たちがこれでもか!とたくさん登場する。衣装の色の鮮やかできらびやかなこと。その中で、パステルカラーに花びらが散っているオーロラ姫とデジレ王子の衣装が控えめで清楚に浮かび上がってくるという効果が生まれる。心なしか、4人の王子たちの衣装も、1幕のときよりずっと派手な色になっている。そして1幕では髭のなかった南の王子が口髭を生やしている。
来日公演で観たときには、アリババ役(踊りはほとんど「海賊」のアリと同じ)はプリンシパルのアレクサンドル・ザイツェフで、もちろんダイナミックなテクニックを見せてくれた。今回のアリババは、若い中国人コール・ドのヤオシェン・ウェン。背は大きくないようだけど、しなやかな身体の持ち主でテクニックは素晴らしかったし、清潔感のあるハンサムで、エレガントさもある。宝石の精たちの衣装が原色でかなりすごいことになっている。彼女たちは前髪を少し下ろしていて、19世紀の印象派の絵画に出てくるような、ちょっと古風な感じの髪形をしている。
一番観客に大うけしていたのは、日本公演でもそうだったけど、長靴を履いた猫と白猫のやりとり。猫たちが互いをはたきあうような痴話喧嘩をしており、しかし最後には必ず白猫が大きな音を立ててデコピンをするのだ。それから、白猫が美しい脚をア・ラ・スゴンドに上げると、長靴を履いた猫はその脚にお触りしようとする。その瞬間に、また白猫がばしっと、長靴を履いた猫を「このエッチ!」と叩いてしまう。気の毒に、長靴を履いた猫は怖がってぶるぶる震えてしまう。だけど、なぜかこの二人(二匹?)は一緒に腰を大きく動かすエロティックな踊りをし始めて、いい雰囲気になってどこかへ行ってしまう!ユーモラスで、ちょっと大人っぽくて、すごく楽しい。相当芸達者じゃないとできない演技だと思う。
赤ずきんちゃんのクリスティナ・バーネルは、背中を柔らかく使う踊りで、メリハリが利いていてとても綺麗だった。他のディヴェルティスマンが面白いので、案外青い鳥とフロリナは印象に残らなかったけど、ウィリアム・ムーアの青い鳥は、大きくしなやかに跳んでいて、鳥らしかったと思う。
グラン・パ・ド・ドゥはあくまでも正統派で、気品が漂う二人。アリシア・アマトリアンはちょっとふにゃ~っとしたファニー・フェイスの持ち主なのだけど、そのふわふわした柔らかい感じがお姫様に向いている。1幕のお転婆さはすっかり封印したようだ。バランキエヴィッチは、花柄パステルカラーの衣装を着てもやっぱり男らしい王子なのだよね。ヴァリエーションのマネージュもすごくワイルドでカッコいい感じ。サポートの方は万全で、フィッシュダイブもまったく危なげなし、頼もしいこと。コーダで少し不思議だったのは、オーロラがちょっと上半身を片側に反らすポーズで、あんまり上半身を倒さないこと。アリシアは身体が柔らかい人なので、多分彼女は意識的にそうしているんだろうな。ソワレのアンナ・オサチェンコは、身体をけっこう反らしていたから。
アポテオーズとなり、本当の最後の最後で、優雅につかつかと入ってきて観客に見得を切り、マントを翻してさっと歩き去るカラボス。この世から悪は簡単には消えないということを象徴していると共に、この世界、そして物語を支配しているのがカラボスであったということを印象付ける秀逸なフィナーレだ。ハイデ版の「眠り」の主役は、誇り高く艶やかだが屈折した美しき魔女、カラボス以外の何者でもない。
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コメント
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フィリィプのあごの髭は、今日から始まる「じゃじゃ馬ならし」のペトルーチオ用でしょうね。あの役って、要髭だから~お許しを。
投稿: ゆいーちか | 2009/04/03 11:27
ゆいーちかさん、こんばんは。
エヴァンくんも間に合わなかったみたいで。
リード・アンダーソン・ガラにはダーリンは出なかったんですね
ホント衣装のままのサイン会にはびっくりしました~。みんなに愛されているバレエ団って感じがしましたよ。テーマとヴァリエーションなんかめちゃめちゃハードな作品なのに、その後にサイン会なんて本当にすごいサービス精神ですよね。サイン会でマリインが座っていたらきっと私は失神してしまいます
ソワレでは、ジェイソンもサイン会をしていて、彼は前日にイタリアでのシルヴィア・アッツオーニ&フレンズガラに出演していて、当日の朝に帰ってきたらしいんですよね。それでもカラボスを踊ってサイン会にも出ちゃうからすごい。
いや、フィリップの王子は本当にカッコよかったんですよ。じゃじゃ馬ならしは、2003年のバレエフェスでちょっと観ただけですがきっと似合うでしょうね~。
投稿: naomi | 2009/04/04 00:36