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2009/03/09

ニコライ・ツィスカリーゼのインタビュー

先日放映されたバレエ・ボーイズによるドキュメンタリー番組「ストリクトリー・ボリショイ」で、強烈な印象を残したニコライ・ツィスカリーゼ。英語で読める最近のインタビューがありましたので、紹介します。ちゃんと訳す時間がないので、本当にざっとした紹介。

'Art is dead – but ballet lives on’
http://www.russiatoday.com/Art_and_Fun/2009-03-05/_Art_is_dead___but_ballet_lives_on_.html

このインタビューは動画で見ることができます。(英語で吹き替えられています)

グルジアのトリビシのバレエ学校では、ずば抜けた才能を持っていたニコライ・ツィスカリーゼ。しかし、意外にもここまでの道は平坦ではなかったようです。そもそも、ロシアとグルジアの関係が良好ではないということもあります。モスクワ舞踊アカデミーに合格したのは、3度目の挑戦でした。そしてバレエ学校を卒業する時も、ボリショイに入団する卒業生のリストには入っていませんでした。しかし、当時のボリショイの芸術監督だったユーリ・グリゴローヴィチが入団試験に現れ、「あのグルジア人が素晴らしいので、採用しなさい」ということで入団できることになりました。グリゴローヴィチは、ツィスカリーゼの名前を発音できなかったのです。

しかしながら、長くまっすぐな脚、柔軟な関節や筋肉を持って素質に恵まれていた彼は、常に羨望にさらされ、周囲は何とかして彼の欠点を見つけようと重箱の隅をつついていて、それが彼の悩みだったようです。

常にベストでありたいと考えるツィスカリーゼは、自分が出演したすべての舞台を録画し、終わった後に見返して、ミスを見つけて修正するようにしているとのこと。教師がどこを指摘するのか事前に確認することで、どのように直せばいいのかが判るとのことです。どのような批判も受け付けないように、「敵」の観点から自分を見るようにしているそうです。

舞台に上がってしまえば、集中してしまうので、舞台の準備をしている時よりはずっと楽だとか。最初のうちはプレッシャーもあったけど、子供時代からのトレーニングが自信の源となって、ボタンひとつですぐに踊ることができてしまう。ストレスにももう慣れてしまい、劇場がたとえ突然崩壊しても気がつかないだろう、と彼は語ります。

興味深いのが、彼のバレエに対する見解。彼に言わせると、現代においては芸術は危機に瀕しているとのことです。その理由は、インターネット、現代のテクノロジー、録音と録画の技術、そしてあっという間に情報が世界中を駆け回るから。芸術はいまやすぐに盗むことができるから、もはや死んでいるのではないかと。

録音技術の進化により、口パクで歌を聴かされてももはや気がつかれない。歌手になるのには、良い声を持っている必要もなくなった。テクノロジーによって毒されていないのは、バレエだけ。バレエとサーカスだけが本物を生で上演できる。他はすべて嘘になりつつあり、芸術は死んだ、と彼は言います。

そして新しいバレエ作品がなかなか作られないことについても語っています。それは、やはりアイディアが盗まれることが多いから、ということです。すでに存在する作品を元にアイディアを練る振付家たちがいるから。反面、現代においては素晴らしいダンサーたちがいる。人間の肉体は、20世紀半ばには考えられなかったレベルにまで発達している。しかし、さらにそれを発達させるためには、何か新しい作品が必要であると彼は感じています。

ダンサーを辞めたときのことを考えると心配ですか、と聞かれて彼はこう答えています。

「いえ、私は長いことボリショイで教師として教えてきたし、リハーサルも教えています。テレビでのキャリアも築かれつつあります。年を取ったダンサーが若い王子の役を演じていることほど最悪なことはありません」

まだ引退するほどの年齢でもないし、大スターであり、大成功を収めた今、これからしていきたいことは?

「まだやりたいことはたくさんあります。新しい役や、面白くて新しいバレエを踊りたいです。自分や同僚に火をつけてくれるようなアイディアが欲しい。今劇場で失われている創造性をもっと見たい」

負けん気の強いツィスカリーゼが、大怪我をしたときのエピソードも印象的です。二度とまっすぐに歩けなくなるのではないかという膝の怪我をしたとき。同僚たちが、「彼はもう踊れないし、もう終わったね。彼の代わりになってやる」と話すのを聞いて、心の中の火に油が注がれるのを感じたそうです。「そんなことはさせない。僕はあんたの葬式で踊ってやる」と。そして、彼は驚異的な回復を見せたそうです。

「トップにい続けることは本当に困難なこと。誰もが頂点を目指して上り続け、自分を引き摺り下ろそうとするから、反撃しなければならない。その上、自分で転げ落ちてしまうのはたやすい。頂点は本当に小さくて、一人でしかそこにいられないから」


言葉の端々から、彼のユニークさ、頭のよさ、そして完全主義者的なところが伝わってきます。なかなか日本で彼の舞台を観る機会はないのですが、ぜひまた観たいものです。特に「Kings of the Dance」はぜひ日本でも実現させて欲しい企画です。

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