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2009年3月

2009/03/31

ロベルト・ボッレのフェラガモ春夏コレクション/ロンドンの「白鳥の湖」対決

昨年からサルヴァトーレ・フェラガモのイメージキャラクターとして、クラウディア・シファーとともに広告に登場していたロベルト・ボッレですが、今年の春夏コレクションにも、再度登場しています。

http://www.salvatoreferragamo.it/jp/

サイトのFlashを見ていると、そのうちロベルトの写真に切り替わります。

店頭でも早速ロベルトのビジュアルが登場していて、日本のフェラガモショップでも見ることができます。

Image2151

そして、お店でもらえるカタログでも、ロベルトの美しい写真が5点ほど掲載されていますので、ファンの方はぜひゲットしてくださいね。

4月のクラシカ・ジャパンでは、ロベルト・ボッレ特集があり、テレビ初登場の「チャイコフスキー・ガラ」も放映されます。
http://www.classica-jp.com/ballet/index.html

また、クラシカ・ラウンジでは、「#51 スターダンサー、ロベルト・ボッレ」として貴重な放映があります。

初回放送:4月5日(日)19:30~
「ロベルト・ボッレ特集」にちなみ、2008年10月ミラノ・スカラ座バレエのジョン・ノイマイヤー『椿姫』に出演したロベルト・ボッレとルシア・ラカッラのインタビューを放送。日本でも大人気のボッレと、ニュースター、ラカッラのインタビューを、貴重なリハーサル風景も交えお届け致します。

http://www.classica-jp.com/lounge/index.html

********
そのロベルト・ボッレは現在ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」公演に、産休から復帰したゼナイダ・ヤノウスキーのパートナーとしてゲスト出演しています。今回のロイヤルの「白鳥の湖」は、マリインスキーからエカテリーナ・オスモルキナが客演したり(とても好評だったようです)、マリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレスの主演した回のDVD収録があったりと、話題が多かったようですね。

ロイヤルの蔵健太さんのブログで、いろいろな面白い逸話を読むことができます。
http://kentakura.exblog.jp/
蔵さんは、全公演出演でオフの日が全然なく、スパニッシュにパ・ド・トロワ、さらには「イザドラ」にも出演と大変だったようです!蔵さんのスペインの写真、かっこいいですね。

********
同時期にロンドンでABTの「白鳥の湖」が上演されていたのですが、観客動員的にも、批評的にもABTの完敗だったようです。ケヴィン・マッケンジー版「白鳥の湖」は冒頭のおまるのような白鳥のぬいぐるみとか、4幕の端折り方や振付など、多々問題のあるプロダクションですからね。(そして、イギリスらしい反応としては、3幕のロットバルトの振付は、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」のザ・ストレンジャーのソロのパクリなんじゃないかということ)

ABTファンとしてはちょっと哀しいですが、確かにここのコール・ドはまったく揃っていませんし、酷評されても仕方ないところはあると思います。

一番ABTにとって失敗だったと思うのは、ロイヤル・バレエの「白鳥」にぶつかってしまっただけでなく、批評家が大勢集まる初日に、オデット/オディール役にミシェル・ワイリズをキャスティングしてしまったということです。ミシェルは、金髪美人でフェッテは得意かもしれませんが、背中が硬く演技ができない人なのです。厳しいことで有名なイギリスの批評家たちに酷評されるであろうことは、始まる前から予測がついたでしょうに。

(ABTを比較的知っているNew York Timesのアレイスター・マコーリー氏のレビューにリンクを貼っておきます)
http://www.nytimes.com/2009/03/31/arts/dance/31swan.html?_r=1

そして、どこのバレエ団にも、何故この人にたくさん役がついたり、昇進するのか理由が判らないダンサーが必ず存在するっていう事実に愕然とします。

エカテリーナ・オスモルキナがロイヤルに客演した時に、多くの観客は、なぜこの素晴らしいバレリーナがまだファースト・ソリストなのだろうと思ったようです。同じ頃、マリインスキー劇場では新プリンシパルのアリーナ・ソーモアが「ジゼル」デビューしたそうですが…。

しかしイギリス出身でバレエ・リュスの最後の生き残り、95歳のフレデリック・フランクリンが家庭教師としてかくしゃくとした姿を見せ、また元ロイヤル・バレエのプリンシパルであるジョージナ・パーキンソンが女王役として威厳のある演技を見せてくれたのは、英国のファンにとって嬉しいことだったようです。

3/21 ドイツダンス賞授賞式 German Dance Prize 2009/ Deutcher Tanzpreis 2009

さて、そもそもなぜドイツはエッセンという、「地球の歩き方」以外のガイドブックには載っていないようなところに行ったかと言うと、ここで毎年開催されているドイツダンス賞(Deutcher Tanzpreis 2009)の授賞式に行ったからなのです。

この賞は1983年から振付家対象に贈られ、2005年からは若手ダンサーにも"未来賞”が贈られるようになりました。

http://www.dbft.de/deutscher-tanzpreis.html

昨年は振付家賞をジョン・ノイマイヤーが受賞したため、ノイマイヤー作品のガラが行われ、ロベルト・ボッレやアレッサンドラ・フェリも出演して盛大に開かれたようです。過去にも、振付家ではウヴェ・ショルツ、ウィリアム・フォーサイス、モーリス・ベジャール、ビルギット・カイル、マリシア・ハイデらが受賞しています。ダンサー"未来賞”は第一回はポリーナ・セミオノワが受賞。一昨年はベルリン国立バレエのマリアン・ワルターらが受賞しています。

そして2009年は、チューリッヒ・バレエの芸術監督でもあるHeinz Spoerli が受賞したということで、彼の作品のガラが開かれることになりました。未来賞はシュツットガルト・バレエのマリイン・ラドメーカーMarijn Rademakerが受賞し、彼がチューリヒ・バレエの「ペール・ギュント」に客演していたことから、当初、この「ペール・ギュント」が上演されて、マリインが踊る予定になっていたのです。ちょうど予定を見ていたら、翌日シュツットガルトで「眠れる森の美女」のマチネとソワレ公演があるし、と思ってチケットを取ってしまいました。

エッセンは有名な観光地ではないので、ガイドブックなどを見てもなかなか情報は載っていなかったのですが、劇場であるアールト・シアターは建築としては有名だったし、調べてみたらデュッセルドルフから鉄道で30分と交通の便も良いところだったし、ちょうど閑散期で航空運賃も安いので、行くことにしてしまいました。しかも翌日のマチネのデジレ王子はエヴァン・マッキーだし、ソワレではジェイソン・レイリーがカラボスだし!

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エッセンのアールト・シアター


さて、当日会場に着くと、まず内部の、想像以上の素敵さにうっとり。本当にスタイリッシュな劇場で、着飾っていないとその場にいるのが恥ずかしいくらいです。寒いだろうなと思いつつもイヴニングドレス持参で来て良かったです。

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授賞式ということでいかにも関係者っぽい人と、着飾った人々だらけです。まず、シュツットガルト歌劇場の指揮者、ジェームズ・タグルを見かけました。

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そして席に着こうとすると、目の前の最前列に、キラキラ輝く金髪の美青年と、背が高くてめちゃめちゃ爽やかで超ハンサムな青年がいます。間違いなく、マリイン・ラドメーカーとエヴァン・マッキーです。マリインは今日踊るはずなのになんでここにいるんだろう。しかもエヴァンが隣に座っているし。と???だらけになっているうちに、授賞式が始まってしまいました。

ここはドイツで、すべてドイツ語で式は進められているので、まったく内容はわかりません。最前列に陣取ったHeinz Spoerli やマリインが紹介されます。それから、マリインの映像の上映会になりました。この時点で、販売していたパンフレットに印刷されている予定と大幅に違います。パンフレットももちろん、全部ドイツ語です。

まずは、Heinz Spoerli 振付の「ペール・ギュント」からの映像が5分くらい上映されました。
http://www.spoerli.ch/deutsch/werke/wvz/peer-gynt

一度、それも全幕作品の一部を観ただけでは、どんな作品なのか形容するのが難しいです。音楽は、エドヴァルト・グリーグの、イプセンの戯曲「ペール・ギュント」の劇伴音楽を使用。タイトル・ロールのマリインは、女性ダンサーとの情熱的なパ・ド・ドゥもあれば、大勢の男性ダンサーたちとの荒々しい踊りもあり。印象的なのは、写真にも使われていますが、砂漠をイメージした場所で、砂の上で砂を飛ばしながらソロを踊るところ。マリインの優雅な上半身とつま先の美しさが良く伝わってきます。砂が飛び散る軌跡もとても美しい。

この作品は、少し動画を見ることができますが、踊っているのはマリイン・ラドメーカーではありません。
http://www.art-tv.ch/2665-0-zuercher-ballett-l-peer-gynt.html

それから、その他の彼の出演映像が少しずつ紹介されました。順不同で紹介すると、

マリシア・ハイデの「眠れる森の美女 The Sleeping Beauty」2幕
ペーター・シャウフス版「ラ・シルフィード La Sylphide」
ジョージ・バランシン「四つの気質(The Four Temparaments)からPhlegmatic」
クリスチャン・スプック「ルル Lulu」
グレン・テトリー「月に憑かれたピエロ Pierrot Lunaire」(意外なユーモラスな面があってすごく面白かった)
ジョージ・バランシン「テーマとヴァリエーション Theme and Variations」(これが素晴らしかった!来日公演で観たときには、ちょっとテクニックが弱いのかなと思ったのだけど、ここでの連続トゥール・ザン・レールは全部美しい5番で着地していた)
ジョン・クランコ「カルメン Carmen」ドン・ホセ
Marco Goecke「Affi」
ジョン・ノイマイヤー「椿姫 Lady of the Camellias」 2幕終幕ソロと3幕黒のパ・ド・ドゥ(スージン・カンと) 
やはりアルマン役が彼の代表作のようで、客席から大きな拍手が。YouTubeにアップされているのと同じ映像ですが、やっぱり大きな画面で見るとすごくインパクトがあります。白い怒りが爆発してちぎれそうになっている2幕、激しい黒のパ・ド・ドゥ。「椿姫」の原作のアルマンは金髪だったので読んでいるうちに、本物のアルマンはきっとマリインのような容姿だったんだろうなって思いました。サーシャ(アレクサンドル・リアブコ)のアルマンは原作の彼よりもっと繊細で優しい、それだけに狂気をはらんだ感じなのです。
ジョン・クランコ「ロミオとジュリエット Romeo and Juliet」バルコニーシーンの一部(アリシア・アマトリアンと) 金髪同士だとちょっと合わない感じ…。
ジョン・クランコ「白鳥の湖 Swan Lake」(クランコ版の「白鳥」って観るのが初めてだったのですが、セルゲイエフ版だと道化がグラン・ピルエットを踊る音楽を使って、王子が超絶技巧のソロを踊るのですね)
ジョン・ノイマイヤー「オテロ Othello」イアーゴ役 スージン・カンと。ノイマイヤーの「オテロ」も初めて観たのですが、このイアーゴとデスモデーナのやり取りのシーンは、イアーゴの踊りはほとんどなく、ドイツ語で怒鳴っているだけなんですね。マリインの悪魔的な面が良く出ていて、ものすごい迫力です。

マリインが古典の王子様だけでなく、ちょっと笑える役から、悪役まで幅広い演技ができる人というのが良くわかりました。というか、古典の彼も優雅で素敵なのですが、コンテンポラリーで見せる意外な側面、多様性、特に独特の暗さがとても魅力的なんですよね。バランシン作品で見せる透明感も素敵でした。

プレゼンターがクリスチャン・スプック(お馴染みの「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」の振付家ですね)で、賞を贈られた後マリインがスピーチをしましたが、ドイツ語だったので、何を言っているのかはさっぱりわかりませんでした。ただ聞き取れた固有名詞は、リード・アンダーソン、ジョン・ノイマイヤー、そしてスージン・カンでした。リード・アンダーソンはすぐ近くに座っていたのですが、他の二人の姿はなかったと思います。この3人に謝辞を述べていたのだと思います。映像で見ても、黒髪で華奢なスージンと、金髪であまり背が高くないマリインは見た目のバランスがとても良いのですよね。彼女のパートナーを務めていることで、演劇性に磨きをかけられたんだろうなと思いました。となると、気になるのが、スージンが引退したら誰と組むのかということです。スージンは41歳なので、今はまだまだ踊れますが、いつまでも現役でいるわけには行かないと思われるので。

事態が上手く飲み込めてなかったのですが、マリインは怪我をしていてこの日は踊れないということのようです。

それから、またエッセンの市長やドイツ・ラインオペラ劇場の芸術監督など、何人か長々とした挨拶が続き、今度はチューリッヒ・バレエのパフォーマンスに移りました。

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上演された作品は以下の通り(のはず) 基本的にネオクラシックで、音楽を生かした美しい振付です。ただし、今回上演された作品は系統が比較的似ていたので、5作品続けてみると少し飽きます。

Brahms´s Handel Variations (音楽:ブラームス、ピアノ:Alexey Botinov)
Choreographische Urauffuhrung(=新作の意味) (音楽:バッハ)
Les débauches du reve (音楽:スクリャービン、ピアノ:Alexey Botinov)
Choreographische Urauffuhrung(=新作の意味) (音楽:バッハ)
A Midsummer Night´s Dream (音楽:フィリップ・グラス「ヴァイオリンとオーケストラのためのコンチェルト」、指揮ジェームズ・タグル、ヴァイオリン:Chloe Hanslip)

一番最初の作品は、レオタードに薄いシフォンのスカートを重ねた女性ダンサーたち、グレーのシャツとタイツ姿の男性たちの踊りで、男性同士のパ・ド・ドゥも何回か出てきます。一人だけ、貴族のようなロココ風コートを着て髪を後ろで結んだハンサムな男性が後方に座っていては、時々女性とパ・ド・ドゥを踊ります。ブラームスのピアノ生演奏に合わせたネオクラシックの踊りです。ところが、この作品、一番最後に、この貴族の男性がオーケストラ・ピットに向かってダイヴするという意表をつく終わり方をしていました。びっくりした~。

3つ目のスクリャービンの曲を使った作品は、御伽噺のような、ファンタジックな感じなのですが、とても変わっていました。3人の男性ダンサーが輪になって吊られている状態で登場し、回りながら次第に下降していくのですが、カラフルな、王冠を長~くしたような帽子をかぶっていて道化のようです。それから、また別に5人ほどの男性ダンサーが、コウモリのようなかぶりものをしていて、翼を広げるようなヘンな動きをしています。さらに、白い長いとんがり帽子をかぶった3人組の男性も踊っていたりして。帽子があまりにも長いので、バランスを取るのが難しいのが逆に振付的な効果を上げているというかユーモラスです。そして松葉杖をついた男性も登場。女性ダンサーが一人だけ踊っていて、どこかで観たことがあると思ったら、ウィーン国立バレエのプリンシパル、アリヤ・タニクパエワでした。去年の新潟県中越沖地震チャリティガラにも出演していた彼女です。衣装がこんな感じでギミック使いまくりなので、観たときには面白かったと思うのですが、衣装のインパクトに負けて、どんな作品だったのかすでに思い出せない感じです。

最後の作品は、とにかくジェームズ・タグルの指揮が素晴らしく、音の豊かさに圧倒されました。ヴァイオリンの演奏もとてもよかったです。作品の質から言っても、この作品が一番良かったかもしれません。シルバーっぽいユニタード姿の男女群舞が、スモークが炊かれる中、パワフルな踊りを次から次へと繰り広げていきます。このバレエ団のダンサーのレベルはなかなか高いと思いました。中国人の男性、日本人の女性ダンサーがおり、またバレエ学校の生徒も混じっていましたが、音楽によく身体がなじんでいる感じです。途中で何かの作品に似ていると思ったら、やはりトワイラ・サープの「イン・ジ・アッパー・ルーム」でした。この作品もフィリップ・グラスの音楽を使っているからです。ただ、トワイラのは衣装がノーマ・カマリでいかにもアメリカンな感じなのに対して、さすがにヨーロッパ的です。なんだかんだいって、見ごたえはありました。(動揺していたので、ちゃんとした感想が書けません)

当日の写真スライドショーです。(授賞式とパフォーマンス)
http://www.derwesten.de/nachrichten/kultur/2009/3/22/news-115102911/detail.html

また、この公演評はここにあります。
http://www.danceviewtimes.com/2009/03/heinz-spoerli-a-balletman-of-all-seasons.html

チューリッヒ・バレエは日本にいたら観られないし、面白い経験ではありました。Heinz Spoerliの作品は、DVD化されているものは比較的多く、「シンデレラ」は来月クラシカ・ジャパンで放映されるし、「In den Winden im Nichts(風に乗って無の世界へ)」はNHKのBSで放送されたこともあります。

ドイツダンス界の重鎮が集まる華やかな式典に参加できて、マリイン・ラドメーカーの映像をたくさん観たり、ジェームズ・タグルの指揮を聴いたり、チューリッヒ・バレエを観ることができたのは良かったです。それと美しい生マリインも。でも、やっぱり彼が踊るところが観たかったです。こういうこともありますよね。海外に行って目当てのダンサーが観られないということがあまりにも多いので、前ほどのショックは受けなくなってしまいました。それくらいの覚悟がないと海外まで観に行けないってことですね。マリインの怪我はそれほど大きなものではないようなので、それが何よりでした。

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2009/03/29

3/29 新国立劇場「Ballet the Chic」

『セレナーデ』
寺島ひろみ、厚木三杏、堀口純
森田健太郎、中村誠

楠元郁子、北原亜希、千歳美香子、伊東真央、今村恵、田中若子、井倉真未、
細田千晶、今井奈穂、今村美由紀、大湊由美、川口藍、小村美沙、中田実里、
成田遥、原田有希、若生愛、酒井麻子、柴田知世(交代出演)

市川透、小笠原一真、澤田展生、田中俊太朗


『空間の鳥』
真忠久美子

貝川鐵夫、江本拓、八幡顕光、高木裕次、佐々木淳史、末松大輔、
アンダーシュ・ハンマル、泊陽平、清水裕三郎、野崎哲也、原健太、三船元維

『ポル・ヴォス・ムエロ』
湯川麻美子、遠藤睦子、高橋有里、西川貴子、
本島美和、丸尾孝子

芳賀望、吉本泰久、貝川鐵夫、陳秀介、
冨川祐樹、末松大輔


『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』
◇プレリュード:ボヘミア・ラグ/I.ヴィヴァーチェ アッサイ
デニス・マトヴィエンコ
本島美和 厚木三杏

◇II.アレグレット
本島美和
大和雅美、難波美保、井倉真未、伊東真央、細田千晶、堀岡美香、成田遥、今村美由紀
西山裕子
楠元郁子、北原亜希、今井奈穂、大湊由美、川口藍、金田洋子、中田実里、若生愛

◇III.メヌエット ー トリオ
厚木三杏 山本隆之 中村誠
西川貴子、丸尾孝子、千歳美香子、酒井麻子
マイレン・トレウバエフ、陳秀介、八幡顕光、古川和則

◇IV.フィナーレ ヴィヴァーチェ
全員

というわけで、2回目の「Ballet the Chic」当初は1回のみ観る予定だったのが、マイレンが「セレナーデ」にキャストされたために土曜日の夜公演を買い足したというわけ。余談だけど、ソリストのキャストを間際になって発表するのはやめて欲しい~。この点は本当にNBS(そして東京バレエ団)は良心的だと思う。新国立劇場の場合には、セット券を買う場合には1年前に買うから予定は立たないし主役だって決まらない状態で買えといい、キャスト変更になってもチケット交換はできない。しつこいけど「コッペリア」の初日のゲストから劇場ダンサーへの変更などもある。こんなことではセット券はもう買えない。劇場の都合だけで、まったく観客の方を向いていない営業姿勢だ。私はかなり頭に来ているので、来シーズンはセット券は一切買わないことにした。

笑えるのが、新国立劇場のホームページでのセット券売り上げ状況のお知らせ
明らかに去年よりも売れていない。もちろん、昨今の経済状況の悪化が大きな原因の一つだとは思うけど、誰が出るのか判らない公演シリーズに、5万円以上のお金を払って買っておくような奇特な人は確実に減っていると思う。しかも、ゲストの数がどんどん減っている。オペラに関しては、それでもセット券はかなり売れているようだし。

余談は置いておいて。

『セレナーデ』
厚木さんは長い首といい、小さな顔といい、身体のラインはすごくきれいだし良いダンサーだと思うけど、ちょっとこのバレエにはキャラクターが強すぎるのではないかと思う。バランシンを踊るにはもっと透明感が必要なのではないか。そういう点で、堀口純さんの透明感はこの作品にぴったり。彼女も身体のラインが素晴らしく美しく、その上儚い雰囲気があって素敵だった。ロシアン・ガールは寺島ひろみさん。前日の寺島まゆみさんと容姿はそっくりでも、ダンサーとしての性質はだいぶ違う感じ。まゆみさんが溌剌としていて弾むような感じなのに対して、ひろみさんはもう少ししっとり系なのだ。この役にはまゆみさんの方が合っていると思う。でも、一見元気の良いこの役の中にもドラマを作ろうとしているところには好感が持てた。
男性陣はというと、森田さんはサポートは上手だと思うのだけど、あの衣装で彼の体型は厳しい。お腹の肉が乗っかっているのが見えてしまうのだから。その点、中村誠さんのラインの美しさはいうまでもなく、本当にしなやかで優雅で繊細で。特に腕の美しさに関しては、女性ダンサーにも負けない。登録ダンサーになってしまって出番が減ってしまったけど、彼はもっと観たいダンサーの一人。4月の小林紀子バレエシアターの「眠れる森の美女」を観に行かなくては!

群舞は今回も素晴らしかった。この作品を観ていて、久しぶりに新国立劇場で「ジゼル」が観たいと思った。「セレナーデ」には、ウィリたちが行進しながら交差するシーンを思わせる振付があるのだけど、ここの揃い方が凄かったのだ。そういえば、しばらくここでは「ジゼル」を上演していないけどなぜなのだろうか?

『空間の鳥』
私はこの作品は、けっこう好きだということが判った。たしかに赤い袴は既視感ありありなのだけど、その中でもめくって腰に巻いてみて脚を露出させたり、持ってみたりと面白い使い方をしている。途中からは、扇子の骨組みのような木製の小道具をダンサーたちが持って開いたり閉じたり。うずくまっていた貝川さんがやがて生まれ出て、立ち上がり、世界と対峙して少しずつたくましくなっていくというコンセプトが伝わってきた。今日の女性役は真忠久美子さん。前田新奈さんほどの鋭さ、強烈さはないものの、眉毛を消して大きく隈取った目の力の強さとともに、真忠さん独特の少女的な残酷性のようなものが感じられた。
カーテンコールには、振付の井口さんも登場。このように現役ダンサーに新作の振付をさせて、若手の男性ダンサーをたくさん出演させることはダンサーにとってモチベーションになることだし、とても良いことだと思う。素直に拍手を送りたい。

『ポル・ヴォス・ムエロ』
出演者が前日夜と若干変わったけど、女性は同じ。昨日のマチネを観た友人から、小野絢子さんが良かったと聞いていたので期待したのだけど、この日は出演なし。男性は、古川さんが抜けて芳賀さん、末松大輔さんが入った。芳賀さんはあまりコンテンポラリー向きのダンサーではなく、古川さんの方がずっと良かったと思う。
そしてこの作品、何回観ても楽しめる。音楽が今頭の中をぐるぐるしている。心地よく、どこか懐かしくちょっと土臭い音楽。男性陣がランプを手にマントを持って駆け込んでくるところも素敵だし(ランプに火はついていなかったけど、お香のような匂いが漂ってきた)、最初と終わりの方の肌色レオタードの振付も面白い。女性たちの、あの長くボリュームがありそうなスカートを着用して、音楽に合わせて軽やかにステップを踏んだり跳んだりするのはかなり難しいと思うけど、ほとんどのダンサーはしっかりと音楽が身体の中に入り込んでいたようだ。この作品の、親密で密やかな雰囲気がたまらない。新国立劇場がレパートリーにしていて誇れる作品だろう。

『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』
今日は主人公はデニス・マトヴィエンコ。デニスはこの役に合っていないって話をさんざん聞かされたのだけど、実際に観てみると、思ったよりいい。さすがに彼はテクニックがあるので、高速回転ピルエットが見事でまったくぶれもしないで8回くらい軽く回ってしまうし。それに当たり前だけど、福田圭吾さんよりは華がある。一生懸命ユーモラスさを出そうとしていたし、本人も楽しそうに踊っていたのが伝わってくるから、これでいいのでは、と。難があるとしたらやはりデニスはクラシックのダンサーなので、踊りが優雅すぎたこと。

今日も「ポル・ヴォス・ムエロ」では健闘していた本島さんは、この役ではまったくダメ。彼女は首が短く肩が張っているので、肩を露出した衣装がまるで似合っていない。それから致命的に音楽性がなく、またピルエットでは毎回毎回ぐらついている始末。西山裕子さんはとても良かった。ユーモラスでちょっとふざけた感じの芝居が抜群に上手い!全体的には、昨日のソワレよりは作品が面白いように思えた。そしてカーテンコールではデニスは大きな跳躍を披露してくれたし、幕が下りた後、ダンサーたちが舞台の上で歓声を上げていたので、彼らも楽しめたようで良かった。


ところで、2003年に「The Chic」と同じ公演名で新国立劇場のガラがあった。「シンフォニー・イン・C」とナチョ・ドゥアトの「ジャルディ・タンカート」、そしてその間に「ジゼル」「ロミオとジュリエット」「こうもり」「ラ・バヤデール」のパ・ド・ドゥが上演されたのだ。このときの「シンフォニー・イン・C」がとても良かった記憶があるのに、再上演はしていないのが勿体無い。(6月にK-Balletが「ベートーヴェン 第九」と同時上演で「シンフォニー・イン・C」を上演するので観に行きたいと思いつつチケット代が高くて)

今回の「Ballet the Chic」はすべてコンテンポラリー系の作品ということで、かなり動員に苦労していて、客席の埋まり方が良くなかった。せっかく「セレナーデ」と「ポル・ヴォス・ムエロ」は素晴らしい上演だったのに。というわけで、次回このような企画をするときには、前回のように、コンテンポラリーもしくはネオクラシックに、古典のパ・ド・ドゥを挟み込んで上演すると、チケットの売り上げにもう少し貢献するのかもしれない。とはいっても、前回の「The Chic」もあまりお客さんが入っていなかったけど…。

いずれにしても、「セレナーデ」と「ポル・ヴォス・ムエロ」はこの劇場のレパートリーとして大事にして欲しいと思った。井口さんの今後の作品も楽しみだ。

3/28 ソワレ 新国立劇場バレエ団「Ballet the Chic」

2008/2009 Season Ballet
BALLET THE CHIC ―BALANCHINE, THARP, DUATO―

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000085_ballet.html

ジョージ・バランシンの『セレナーデ』 George Balanchine's Serenade
西山裕子、寺島まゆみ、寺田亜沙子、マイレン・トレウバエフ、冨川祐樹 ほか新国立劇場バレエ団
【指 揮】渡邊一正(セレナーデ)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(セレナーデ)

井口裕之『空間の鳥』
前田新奈
貝川鐵夫、江本 拓、八幡顕光、高木裕次、佐々木淳史、末松大輔、アンダーシュ・ハンマル、泊 陽平、
清水裕三郎、野崎哲也、原 健太、三船元維

ナチョ・ドゥアト『ポル・ヴォス・ムエロ』Nacho Duato's "Por Vos Muero"
湯川麻美子、遠藤睦子、西川貴子、本島美和、丸尾孝子、高橋有里
吉本泰久、貝川鐵夫、陳 秀介、冨川祐樹、山本隆之、古川和則

トワイラ・サープの『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』〈新制作〉Twyla Tharp's "Push Comes to Shove",
福田圭吾、小野絢子、湯川麻美子、さいとう美帆、中村 誠

大和雅美、難波美保、井倉真未、伊東真央、細田千晶、堀岡美香、成田遥、今村美由紀
西山裕子
楠元郁子、北原亜希、今井奈穂、大湊由美、川口藍、金田洋子、中田実里、若生愛
西川貴子、丸尾孝子、千歳美香子、酒井麻子
マイレン・トレウバエフ、陳秀介、八幡顕光、古川和則

「セレナーデ」「ポル・ヴォス・ムエロ」の二つの作品は、ワシントンでの公演でも踊られており、よく練られていて非常に良い出来上がりだったと思う。登録ダンサーの井口さんによる新作は、たしかに概視感があるというか、どこかで観たような感じがなくもないけれども、男性群舞主体と新国立劇場には珍しい作品だったし、これが初めての作品だったとしたら、なかなか良いのではないかな、と思った。

問題は新制作の「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」で、やはりどうしても古臭い。トワイラ・サープは現役の振付家であり、毎年のように新作も発表しているのだから、もっと新しい作品を取り上げれば良かったのに。たとえば、ABTはじめボリショイやアンヘル・コレーラ・バレエでも上演されている「イン・ジ・アッパー・ルーム」などはたくさんのダンサーが出るしいいと思うんだけど。


ジョージ・バランシンの『セレナーデ』
女性コール・ドの美しさに定評がある新国立劇場にはぴったりの作品。以前にも10周年オペラパレスガラで観たのだけど、そのときよりもずっと磨かれていて、美しかった。幕が上がると、足を6番のポジションに、右手を高く上げて整列した女性コール・ドたち。彼女たちの足が1番に開く瞬間が見事に揃っている。プロポーションも美しく、本場のNYCBにも劣っていないんじゃないかと思うほど。

一人転んでしまうダンサーを踊った西山さんは、このプロットレスな作品の中にもドラマ性があった。そして彼女をサポートするマイレン、サポートは上手いし、たった一度見せた、捌けるところでの跳躍はふわりと残像を残すような軌跡を描いていて、やっぱり素敵。一方、とにかく跳躍の多いロシアン・ガールを踊った寺島まゆみさんは、高くて軽やかな跳躍、溌剌としているなかでも気品があって良い。寺田さんも、アラベスクをゆっくりと見せたときにラインがキレイだわ、と思った。ドラマティックな幕切れも、揃っていて美しかった。実は「セレナーデ」って何回も観たことがある割には途中で飽きることがあったのだけど、今回は全然飽きなくて最後まで楽しめた。

井口裕之『空間の鳥』
「セレナーデ」が終わった後、休憩なしで上演されたこの作品。ホリゾントに赤い線のような布が垂直に降りており、赤い袴を穿いて上半身裸の12人の男性ダンサーたちが群舞を見せる。重心を低く置いており、新国立劇場には珍しい、もろコンテンポラリー風味の作品。赤い袴というと、どうしてもベジャールの「舞楽」を思い出させるし、キリアンっぽいところもある。でも男性ばかりで力強い動きを見せてくれたのが、とても新鮮で個人的には非常に楽しませてくれた。

一人の女性が登場する。青と銀色のユニタードを着た前田新奈さん。長身ですらりとしており、ちょっと般若入っているメイクでとてもカッコいい。強い存在感と目力で、まるで女神のようだ。そして群舞の中からうずくまるように転がった状態で一人抜け出た貝川さんと、二人で踊る。上からどさっと白い幕が落ちてきたり、空間の使い方が上手い。それから、音楽はグレツキーの「ハープシコード協奏曲」だそうだけど、この音楽がまた現代音楽なのだけど良かった。古典では振るわない貝川さんも、この作品では強さがあって良かった。

朝日新聞に井口さんのインタビューが載っていた。
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200903260238.html

ナチョ・ドゥアト『ポル・ヴォス・ムエロ』
これといったストーリーがない作品であるにもかかわらず、不思議な体温とドラマ性を持っているのがナチョ・ドゥアト。そして衣装と音楽のセンスの良さといったら、たまらないほど。古楽を使い、バロック的だけど同時に斬新、官能的な衣装。特に女性のコルセットとたっぷりとしたスカートに使われた深いグリーンやブルーが美しくて。仮面の使い方もとても想像力を刺激させるもので、いい。(ところで、前回観たときのことは、もはやうろ覚えなのだけど、前回は火のついたランプなどを使っていなかったっけ?)仄暗い照明から、蝋燭の炎のように浮かび上がってくる控えめなエロス、回廊を思わせるシンプルながらも物語性を感じさせる舞台装置、温かみのある音楽、そして合間に入るスペイン語の朗読。

ダンサーたちも本当にのびのびと踊っていて、ナチョ独特の舞踊言語が身体の中にしみこんでいるようだった。古典では観る気がしない本島さんも、この作品では健闘しているから不思議。それから古川和則さん。すっかり新国立劇場に溶け込んでいるけれども、やはりベジャール作品などを踊ってきたからか、特に動きが自然で生き生きしていて、すごく良かった。でもやっぱりこの作品でとどめを刺すのは湯川さん。ドラマティックだし大人の女の色香を感じさせてくれて、湿り気のある中世ヨーロッパへと連れて行ってくれるようだった。日本人が踊っているのを忘れてしまうほど。最後、湯川さんと貝川さんが舞台の奥でポーズを取っている姿は、一枚の宗教画のようで、息を呑むほど美しかった。この回踊ったダンサーたちの平均年齢はかなり高いと思うのだけど、大人が踊っているからこそ出せる滋味や味わい、"生"の息遣いが感じられた。新国立劇場が踊る「ポル・ヴォス・ムエロ」だったら、何回観てもいいかも!


トワイラ・サープの『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』
最初の3作品を観終わった時には、とても満足度が高かったのに、残念ながらここでテンションが急低下。最初に主役がソロを見せて、そこで一気に観客のハートを掴まなくてはならない。主役の福田圭吾さんは、コール・ドの所属ながらデニス・マトヴィエンコとのダブルキャストなので、劇場の期待度が高いのがわかる。その上、前日までの公演を観た友達たちから、福田さんはすごくいい、マトヴィエンコなんかよりずっといいって聞かされていた。期待が大きすぎたのだろう。たしかに上手いとは思う。だけど、いかんせんものすごく小柄だ。このバレエ団の身長制限に良く引っかからなかったな、と思うほど小さい。しかも、同じく小柄でテクニシャンの八幡さんのほうが、現時点では明らかに上手いのではと思ってしまった(八幡さんはソリストだけど)。小さいゆえ、一つ一つの動きが映えないのだ。

やっぱりこの作品は、ミハイル・バリシニコフの印象があまりにも強いから、ちょっとテクニックがあるだけではどうにもならない。華やかさとユーモア、洒脱なところがないときつい。若い福田さんにはちょっと荷が重かった様子。小野絢子さんはとっても可愛らしくて、すごく柔らかく、しかも速いステップを軽々とこなして音楽性が素晴らしい。彼女は間違いなく、この劇場の将来を背負って立つスターになることだろう。おちゃめなユーモアもしっかりと表現できている。そして「ポル・ヴォス・ムエロ」に引き続き湯川さんはここでも魅力的だった。大人の女性の匂い立つような魅惑。古典以外では湯川さんは最強だろう。後半は中村誠さんとさいとう美帆さんが加わった。中村さんは相変わらず腕の動きや背中が非常に柔らかくて、女性にも負けないほど。美しいダンサーだと思う。彼が「ライモンダ」に出なかったことが本当に残念。それから群舞も登場して、その中にはマイレンも!マイレンの登場場面は少しだったけど、でもその少しでも見られたのが嬉しい。

この作品、生真面目な新国立劇場のカラーに合っているとは言いがたいし、センスはちょっと古いし、なんでレパートリー入りしたのか、ちょっと疑問。カーテンコールの反応も必ずしも良くなかった。プログラムを見たら、振付指導はエレイン・クドウとのこと。懐かしい名前を見てしまった。相変わらずとても美しい。初日に行けば、カーテンコールでも見られたのだろうか。

最初の3つの作品だけで十分満足したので、順番的にも、「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」を最後に持っていって観客のテンションを下げさせたのはちょっと失敗だったのでは?同じトワイラ・サープでも、もっと新しい作品にしたほうが良かったのではと思う。

2009/03/28

本日WOWOW放映「Go Ape」

WOWOWが新人発掘を目的として、行っているWOWOWシナリオ大賞。

栄えある第1回受賞作「Go Ape」が3/28(土) 21:00より放映されます。
岸谷五朗演ずる中年オヤジと、城田優演じるエリート高校生との闘いを描くドラマです。
http://www.wowow.co.jp/dramaw/goape/

実はこの「Go Ape」のシナリオを書き、第1回WOWOWシナリオ大賞受賞者となった杉山嘉一さんは10年来の飲み友達なのです。

本人いわく、「最近の邦画には珍しい(ドラマだけど)勢いに溢れた滅茶苦茶な作品に仕上がりました」とのことなので、WOWOWをご覧になれる方は見てくださいね。

杉山さんは「北の国から」シリーズや、青山真治監督作品(「ユリイカ」「Helpless」「レイクサイド・マーダーケース」等)の助監督、そしてロックバンドのJanne Da Arc(ジャンヌダルク)を題材にした劇場公開作『HIRAKATA』で監督デビュー。ドラマ「ロケットボーイズ」などの監督もしています。

本人のインタビュー動画も見られるので良かったらどうぞ!
http://www.wowow.co.jp/dramaw/goape/movie.html

エッセンからケルンへ(大聖堂とヴァルラフ・リヒャルツ美術館)

さて、ケルン中央駅Köln Hauptbahnhofに到着し、駅前に出るといきなりそそり立っているのが、世界遺産でもあるケルン大聖堂。あまりにも駅が大聖堂に近いので、Wikipediaによれば駅は「ケルン駅前礼拝堂」の異名があるとか。とにかくでかい。高さは157メートルもあるそうだ。

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塔の上まで上がるのには料金が必要だけど、旅の疲れと、スニーカーに履き替えるのを忘れてパンプスだったのでそれはあきらめて、大聖堂の中を見学。まずは、高い高い吹き抜けに圧倒される。そして華麗なステンドガラスの数々!

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細長く高い吹き抜けの空間に柔らかな陽の光が差し込むと、なんともいえない厳かで幻想的な空気が漂う。

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大聖堂の宝物、12世紀後半の東方三博士の聖遺物が納められた黄金の棺。

さて、この大聖堂はあまりにも大きいので、写真を撮るには、ライン川を隔てた対岸からだと良いとガイドブックに書いてあったため、ライン川に架かるホーエンツォレルン橋を渡った。ICEなどの列車がひっきりなしにびゅんびゅん通り抜ける横に、ちゃんと歩行者が歩くための道路が整備されている。面白いのが、線路との間の金網に、無数の南京錠が結び付けられていること。よくみると、それらの南京錠にはそれぞれカップルの名前が刻み付けられている。縁結びのおまじないにここに結び付けて置くようだ。

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この橋はけっこう長いのだけど、お天気も良いので歩いていてとても気持ちが良い。ドイツは寒いと聞いていたけど、日本とあまり変わらない気がする。

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戻って市街地を歩く。大聖堂前広場には普通に高級ブランドのお店とかがあるし、歩行者天国であるホーヘ通りにはZARAとかH&Mなどのお店、その他デパートなどもあって普通のドイツの都市という感じ。金曜日の午後なので人出も非常に多い。

ホーヘ通りから少し外れたところに、ヴァルラフ・リヒャルツ美術館 Wallraf-Richartz Museum がある。

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このヴァルラフ・リヒャルツ美術館がとにかく素晴らしい!ケルン派と呼ばれる13~16世紀の宗教画、そしてレンブラントの自画像。そしてルーベンスの名画《聖家族およびエリサベツと洗礼者ヨハネ》、クールベ、ゴッホ、ルノワール、ムンク、モネ、ルドン、ドガ、モリゾ、さらにはドイツ絵画も多数で20世紀初頭まで網羅されている。部屋ごとの解説は英語もあってわかりやすい。さらに、東洋人(ビルマ出身とのこと)のスタッフのおじさんがとても親切で、いろいろと教えてくれた。写真もフラッシュを使わなければ撮っていいですよ、と声をかけてくれたのだ。

ルドンの、小さいながらも色彩鮮やかで、とても怪しい世界観を描いた作品群に惹きつけられる。フランツ・フォン・シュトックの大蛇を体に巻きつけ横たわったヌードの絵にはびっくり。サロメを描いたデラロシュの絵も挑発的だ。それから、寒々としたケルンの風景を描いた作品にも魅せられる。ロマン派のフリードリッヒの「雪中の樫の木」など、傑作ぞろい。大きな窓があって、外の光がふんだんに取り入れられているだけでなく、窓から大聖堂を望むこともできて、至福の時であった。

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また、クロード・モネの作品とされながら、最近(2008年)になって贋作であることが判明された収蔵品があり、どのようにして贋作と見破ったかが、その贋作と並べて書いてあったり、古い作品の修復過程なども見せてくれていたりする。

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古い建築にモダンな建築をつなげて作られた美術館の建物自体も非常にスタイリッシュで美しく、いつまでも観ていたかった。それに、ケルンには他にも2つほど大きな美術館がある。ヴァルラフ=リヒャルツ美術館から現代部門を独立させたルートヴィヒ美術館など。だけど、到着初日で体力を温存する必要もあると思い、人々で賑わうライン川沿いを歩いて駅へ。世界一美しいプラットホームと言われるだけあって、ドーム型の屋根に惚れ惚れする。ケルンは、オーデコロン発祥の地であり、コロン「4711」の宣伝が大きく出ていた。

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エッセンに戻って大型ショッピングセンターで少し買い物をし、早めに寝る。大聖堂とヴァルラフ=リヒャルツ美術館が観られただけでも、もう大満足。機会があればもう一度訪れて、他の美術館なども併せて観たいと思った。

2009/03/27

ダンスマガジン5月号/マラーホフのプレミアムレッスンDVD

ダンスマガジン5月号は、表紙がハンブルク・バレエのジョエル・ブーローニュとアレクサンドル・リアブコの「椿姫」。ハンブルク・バレエのブログで撮影風景が紹介されていましたね。舞台写真ではなく表紙用の撮影で、胸を掻き乱させる思いつめた表情ができるサーシャは、やっぱりすごいです。

でも、ページ数にすると実は東京バレエ団のベジャール・ガラのほうが多いんですよね。うむむむ。

ハンブルク・バレエの特集の方は、エレーヌ・ブシェ、カーステン・ユング、そしてティアゴ・ボーディンのインタビュー、それから別途New File on Dancersで大石裕香さんが登場しています。カーステンがバレエを始めるきっかけが、姉がイタズラでバレエ学校に写真を送ったことだったというエピソードが面白いですね。壁の崩壊までは旧東ドイツでバレエを学んでいたそうです。

来日公演では、モンテカルロ・バレエも。他の予定とバッティングして観られなかった「アルトロ・カント」の写真が素敵です。ジャン=クリストフ・マイヨーと三浦雅士氏との対談もあって、こっちも面白いです。やはり、世界バレエフェスティバルでは、ベルニス・コピエテルスとジル・ロマンが組んで踊るんですね。2010年10月にはベジャール・バレエ・ローザンヌのために新作も振付けるそうで。さらに12月には、モンテカルロでバレエ・リュス100年のガラを開催するということで、ハンブルク・バレエの「ニジンスキー」や、40ものカンパニーが招聘されるそうです。

バレエ・リュスといえば、NBAバレエ団の「バレエ・リュスガラ」がカラーで紹介されていたのが嬉しいですね。この公演も観にいけなかったので。「レ・ビッシュ(牝鹿)」は日本初演だったし、無理してでも観に行けばよかったです。

それから、スヴェトラーナ・ザハロワと、彼女が5月のザハーロワ・ガラで踊る「Revelation」を振付けた平山素子さんの対談が興味深かったです。これも観に行けないんですよね。

*****
そして、「マラーホフのプレミアムレッスンDVDVol.1『ジゼル』」のDVDの広告が載っていました。

新書館から4月上旬に発売されます。マラーホフが「ジゼル」から3つのシーンを、東京バレエ団の佐伯知香さんと長瀬直義さんに指導しているものです。昨年、「ラ・シルフィード」のチケット購入者特典として行われた公開レッスンと同じものでしょうか?(観に行っていないもので)特典映像として、「マラーホフ、『ジゼル』を語る」というインタビュー映像も納められているそうです。マラーホフの踊る映像は、以前発売されたヴィシニョーワとの「ジゼル」からの抜粋とのこと。佐伯さんや長瀬さんは、今の東京バレエ団では特に素敵なダンサーですし、公開レッスンも観にいけなかったので、ぜひ見てみたいですね。

85分プラス特典20分で、予価5880円とのことです。

追記:NBSのサイトでも告知がありました。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/dvd1.html

尚、5月下旬にはプレミアム・レッスンDVD2として「白鳥の湖」の発売も予定されています。

とのことで、こちらも楽しみですね。これもマラーホフなんですよね。今度は誰に教えているんでしょうか?

****
情報ページの中でこんな上映会のお知らせが載っていました。

「世界バレエフェスティバル秘蔵記録上映会」
6月28日に、東京大手町の日経ホールであるそうです。入場料は1800円で、一般発売開始は4月18日とのこと。
30年間の上映記録からハイライトシーンを上映するそうです。詳細は日経ホールまで。

http://www.nikkei-hall.com/

■日時:6月28日(日) 10:00開演/13:00開演/16:00開演
■会場:日経ホール
■入場料:¥1,800(税込・全席指定)
■一般発売開始日:4月18日(土)より
■お問い合わせ:日経ホール主催公演事務局 TEL03-5281-8074

■主催:日経ホール
■後援:財団法人日本舞台芸術振興会
■協力:新書館

【上映作品】
マーゴ・フォンティーン(『ロミオとジュリエット』第1回・1976年)
フェルナンド・ブフォネス(『ラ・バヤデール』第1回・1976年)
マイヤ・プリセツカヤ(『レダ』第2回・1979年)
エカテリーナ・マクシーモワ、ウラジーミル・ワシーリエフ(『ドン・キホーテ』第2回 ・1979年)
マリシア・ハイデ(『オネーギン』第4回・1985年)
パトリック・デュポン(『ドン・キホーテ』第4回・1985年)
ドミニク・カルフーニ(『失われた時を求めて』第4回・1985年)
マリシア・ハイデ(『椅子』第 7回 ・1994年)
アレッサンドラ・フェリ(『マノン』より"寝室のパ・ド・ドゥ" 第9回 ・2000年)

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/12-2.html

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アルバータ・バレエの新作はエルトン・ジョンの音楽/服部有吉さん

服部有吉さんが所属していることで知られているカナダのアルバータ・バレエ。ジョニ・ミッチェルの音楽に振付けた「The Fiddle and the Drum」がとても好評で、全米ツアーで上演されると共に、DVD化もされました。私もDVDを買ったのですが、忙しくてまだ観られていません。この作品にはもちろん、服部さんも出ています。

その「The Fiddle and the Drum」を観て心を奪われ、インスピレーションを刺激されたエルトン・ジョンが、アルバータ・バレエの新作に音楽を提供するそうです。振付は「The Fiddle and the Drum」と同じく、アルバータ・バレエの芸術監督のJean Grand-Maîtreで、題名はずばり「エルトン」。2010年5月にカンパニーの本拠地カルガリーで初演されるそうです。

http://www.albertaballet.com/news/press-releases/177-alberta-ballets-2009-2010-season-ballet-redefined

http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/LAC.20090325.BUZZ25-2/TPStory/Entertainment

また、アルバータ・バレエは、来年一月には、服部有吉さんの振付による「Tubular Bells」を上演するそうです。このタイトルを聞いてピンときた方もいると思いますが、そうです、マイク・オールドフィールドのあの「エクソシスト」で超有名な曲を使っています。しかも4台のピアノを使ったアレンジというから、とっても面白そうですよね。さらに、3月にはもう一つ、服部有吉さんの新作「7つの大罪」(音楽:クルト・ヴァイル)がもう一つの作品と共に上演されるそうです。

http://www.calgaryherald.com/Entertainment/Elton+John+part+ambitious+ballet+season/1425599/story.html

ここしばらく、夏にあった服部さんのプロジェクトが「ラプソディ・イン・ブルー」以来日本で上演されていないのが残念ですが、カナダではダンサーとしてだけでなく、振付家としても大活躍しているのは嬉しい限りですよね。

ちなみに、同じカナダのロイヤル・ウィニペグ・バレエは、「ムーラン・ルージュ」という新作を上演しますが、これはバズ・ラーマン監督の同名映画のバレエ化だそうです。

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2009/03/25

エッセンへの旅その1

いつもの成田発21時55分のエールフランスでシャルル・ドゴール空港へ。前日フランスでストがあって大混乱だったようだけど、この日は大丈夫。

ドゴール空港のエールフランスのラウンジで、ちょっとネットをチェックしたら、シュツットガルトの眠りの22日マチネがエヴァン・マッキーからフィリップ・バランキエビッチに変更となっている。ガーン。

入国審査は混んでいて、結局乗り継ぎ便のターミナルまで走る羽目に(いつものこと)。

デュッセルドルフ空港からは、インフォメーションで尋ねて切符を買い、DB(ドイツの鉄道)で30分弱でエッセンに到着。

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ちなみに、エッセンという街は、繁栄を極めたクルップ鉄鋼財閥の本拠地として有名。このクルップ財閥はルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「地獄に堕ちた勇者ども」のモデルになったという話。郊外に、Villa Hügel(ヴィラ・ヒューゲル)というクルップ財閥の別荘だった建物があり、美術館になっていてとても壮麗らしいのだけど、今回は時間がなくて観にいけなかった。ルール工業地帯にある工業都市だ。

エッセンの駅前にある観光案内所で地図を貰い、タクシーでホテルへ。まだチェックイン出来なかったので荷物を預かってもらう。

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ホテルはホリデイ・インだけどエッセンには三軒ホリデイインがあるので要注意。ホテルの回りは緑は多いけど一見何もなさそうなので不安になる。しかし裏の方を歩くと、工場を改装したらしいでっかいIKEAがあり、また同じく煉瓦作りで工場を改装したミュージカル劇場COLISEUMがあった。そして劇場の前には、Berliner Squareベルリナー・スクエアというUバーン(地下鉄)の駅があった。この劇場も、もとはクルップ財閥の工場だったようだ。そして向かい側(駅に直結)には、Limbecker Platzという巨大なショッピングセンターが。

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地下鉄で2駅乗り、エッセン中央駅へ。オペラハウスへはこの出口とあったのでそっちから歩くと、左手にオペラハウスのアールトシアター(エッセン歌劇場)、右側にはフィルハーモニーホールと堂々とした建物が、美しい公園の中に鎮座していた。

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アールトシアターは、ずいぶん前に東京のどこかでフィンランドの建築家アルヴァ・アールトの展覧会に行ったので記憶にあった。有機的な直線と曲線によって構成されている彼の建築は現代的ながら美しく、彼の遺作となったこの劇場もまさにアールトワールド。

しかしオフィシャルサイト以外にはあまり情報がない。一番最初に見つけたのは、なんとまた草刈民代のホームページだった。彼女はこの劇場で、ステファン・トスというドイツ人振付家の変わった演出の「白鳥の湖」を観たそうだ。なかなか面白そう。

劇場の中には入れなかったので、エッセン中央駅に戻り、駅の窓口でケルン行きの切符を買う。ドイツの鉄道は路線図が掲示されてないし、ドイツ語の標識ばかりで英語がなく、不安になるけど、駅の窓口は親切で、行き先の時刻表やホーム番号をプリントアウトして渡してくれる。ドイツ人は基本的にみんなとても親切で今回本当に助けられた。

ICという急行電車で50分乗ると、ケルンに到着する。ドイツの鉄道は改札はないけど、代わりに検札がある。指定席と自由席は場所で分けられているのではなく、それぞれの席の窓の上の小さな電光掲示板に、この席はこの区間は予約されていると表示されており、区間外なら指定券じゃなくても座って良い。

パリ・オペラ座バレエ2009-2010 のシーズン・プログラム

パリ・オペラ座バレエ2009-2010 のシーズン・プログラムがオフィシャルで発表されてます

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/2009_2010/saison/Ballets/index.php?&lang=fr

もうすでに、あちらこちらで話題になっているので、改めて取り上げることもないのですが、自分用の覚書として。(ダンソマニ日本版経由情報です)

2009年9月24日〜10月12日 −ガルニエ宮
『ジゼル』 (コラーリ/ペロー)
GISELLE
JEAN CORALLI/JULES PERROT
du 24 sep au 12 oct 2009
PALAIS GARNIER

2009年10月21日〜11月18日 −ガルニエ宮
『ジュエルズ』 (バランシン)
*10/21, 22 にデフィレがあるそうです。(ダンソマニ本家より)
JOYAUX
GEORGE BALANCHINE
du 21 oct au 18 nov 2009
PALAIS GARNIER

2009年11月7日〜22日 −ガルニエ宮
『AMOVEO/RÉPLIQUES/GENUS』
(ミルピエ/ニコラ・ポール/マクレガー)
AMOVEO/RÉPLIQUES/GENUS
MILLEPIED/PAUL/MCGREGOR
du 07 au 22 novembre 2009
PALAIS GARNIER

2009年12月11日〜1月9日 −バスティーユ
『くるみ割り人形』 (ヌレエフ)
CASSE-NOISETTE
RUDOLF NOUREEV
du 11 déc 2009 au 09 jan 2010
OPÉRA BASTILLE

2009年12月12日〜28日 −ガルニエ宮
「バレエ・リュス」
『三角帽子/薔薇の精/牧神の午後/ペトルーシュカ』
(マシーン/フォーキン/ニジンスキー)
BALLET RUSSES
MASSINE/FOKINE/NIJINSKI
du 12 au 28 decembre 2009
PALAIS GARNIER
LE TRICORNE/LE SPECTRE DE LA ROSE/Le APRES-MIDI DU FAUNE/PETROUCHKA

2009年12月31日 −ガルニエ宮
NOUVEL AN AU PALAIS GARNIER
『三角帽子/薔薇の精/牧神の午後/ペトルーシュカ』
(マシーン/フォーキン/ニジンスキー)
MASSINE/FOKINE/NIJINSKI
31 decembre 2009
PALAIS GARNIER
LE TRICORNE/LE SPECTRE DE LA ROSE/LE APRES-MIDI DU+92UN FAUNE/PETROUCHKA

2009年12月31日 −バスティーユ
NOUVEL AN L'OPERA BASTILLE
『くるみ割り人形』 (ヌレエフ)
RUDOLF NOUREEV
31 decembre 2009
OPERA BASTILLE

2010年1月5日〜9日 −ガルニエ宮
ベジャール・バレエ・ローザンヌ *招聘公演
『SONATE À TROIS/DIALOGUE DE L'OMBRE DOUBLE/WEBERN OPUS V/LE MARTEAU SANS MAÎTRE』
BEJART BALLET LAUSANNE
MAURICE BEJART
du 05 au 09 jan 2010
PALAIS GARNIER
SONATE À TROIS/DIALOGUE DE L'OMBRE DOUBLE/WEBERN OPUS V/LE MARTEAU SANS MAÎTRE

2010年2月2日〜3月4日 −ガルニエ宮
『椿姫』 (ノイマイヤー)
LA DAME AUX CAMELIAS
JOHN NEUMEIER
du 02 fèv au 04 mar 2010
PALAIS GARNIER

2010年3月18日〜4月11日 −バスティーユ
『シッダールタ』 (プレルジョカージュ)
SIDDHARTA
ANGELIN PRELJOCAJ
du 18 mar au 11 avr 2010
OPÉRA BASTILLE

2010年4月21日〜5月8日 −ガルニエ宮
「オマージュ・ア・ジェローム・ロビンズ」
『EN SOL/TRIADE/IN THE NIGHT/THE CONCERT』
(ロビンズ/ミルピエ)
HOMMAGE U+C0 JEROME ROBBINS
JEROME ROBBINS/BENJAMIN MILLPIED
du 21 avr au 08 mai 2010
PALAIS GARNIER
EN SOL/TRIADE/IN THE NIGHT/THE CONCERT

2010年5月17日〜6月2日 −ガルニエ宮
『ラ・バヤデール』 (ヌレエフ)
LA BAYADERE
RUDOLF NOUREEV
du 17 mai au 02 juin 2010
PALAIS GARNIER

2010年6月11日〜7月15日 −バスティーユ
『KAGUYAHIME (かぐや姫)』 (キリアン)
KAGUYAHIME
JIRI KILIAN
du 11 juin au 15 jui 2010
OPERA BASTILLE

2010年6月26日〜7月13日 −ガルニエ宮
『ドガの踊り子』 (パトリス・バール)
LA PETITE DANSEUSE DE DOGAS
PARTICE BART
du 26 juin au 13 jui 2010
PALAIS GARNIER

パリ・オペラ座バレエ学校
L'ÉCOLE DE DANSE
2009年12月13日〜23日 −ガルニエ宮
デモンストレーション
DÉMONSTRATIONS DE L'ÉCOLE DE DANSE
du 13 au 23 decembre 2009
PALAIS GARNIER

2010年4月8日〜13日 −ガルニエ宮
バレエ学校公演
『SUITE DE DANSES/PIU+C8GE DE LUMIERE/SEPT DANSES GRECQUES』
(Ivan Clustine/John Taras/Maurice Bejart)
SPECTACLE DE L'ECOLE DE DANSE
IVAN CLUSTINE/JOHN TARAS/MAURICE B9JART
du 08 au 13 avril 2010
SUITE DE DANSES/PIU+C8GE DE LUMIERE/SEPT DANSES GRECQUES

イマイチですよね。「ラ・バヤデール」くらいかな、観たいのは。
バレエリュスプログラムは、演目がちょっと地味なんですよね。「三角帽子」「ペトルーシュカ」は観たいんですけど。


あと4月16日からの「オネーギン」にキャスト変更があるようです。

レンスキー: マチュー・ガニオ降板→フロリアン・マニュネ

タチアナ: レティシア・プジョル降板→ドロテ・ジルベール

オルガ: ミュリエル・ジュスペルギ降板→カロリーヌ・バンス

グレーミン侯爵: ヴァンサン・コルディエがキャスト・イン

マチュー・ガニオの怪我が長引いているようで心配です。さらに長引いているのが、レティシア・プジョル。早く良くなってほしいです。

マニュエル・ルグリのオフィシャルサイトによると、引退公演のパートナーはクレールマリ・オスタだそうです。
Onegin" (John Cranko) (dates à déterminer plus le 15 Mai)
avec Claire Marie Osta

うわ〜最悪ですね。彼女のマルグリットは史上最悪の醜悪で下品なマルグリットだったので、知的で奥手なタチアーナなんか無理だと思うんですよね。

2009/03/24

アリーナ・コジョカルのオフィシャルサイトと、東京バレエ団「くるみ割り人形」客演予定

帰国してみたら、ちょっと不在だっただけで浦島太郎状態で、世界バレエフェスティバルの全幕プロの出演者などが発表されていたんですね。うちにNBSからの祭典会員宛の申込書も来ていました。

みなさん、詳細はご存知でしょうから、またその件については改めて書くとして。全幕プロの「眠れる森の美女」はアリーナ・コジョカルとヨハン・コボーで、マラーホフ版!なのですね。(そして、ダニール・シムキンは予想通り、マリーヤ・コチェトコワとの「ドン・キホーテ」共演でした)

そのアリーナ・コジョカルは怪我でずっと舞台に出演できない状態が続いていましたが、このほどオフィシャルサイトがオープンしていました。

http://www.alinacojocaru.com/

で、予定表のところ
http://www.alinacojocaru.com/page3.htm
に、今後の出演予定が出ています。


DECEMBER 2009
4th - Nutcracker - Nagoya - Tokyo Ballet (Steven McRae)

NOVEMBER 2009
20/21/22nd - Nutcracker - Tokyo - Tokyo Ballet (Steven McRae)

AUGUST 2009
1/2/3/4/8/9/10/11/13th - Gala's - World Ballet Festival, Tokyo (Kobborg)
15th - Sleeping Beauty - Tokyo Ballet - World Ballet Festival, Tokyo (Kobborg)

JULY 2009
(Royal Ballet Tour tba.)
21/22/23/25/26th - Johan Kobborg Gala's - Denmark/Sweden

JUNE 2009
7th - Diaghilev Gala - London (Federico Bonelli)
9/12/16th - Jewels (Diamonds) - Royal Ballet (Rupert Pennefather)
(Royal Ballet Tour tba.)

MAY 2009
19th - Les Sylphides - Royal Ballet (Kobborg)
(tba) - 22/23/24th - Gala's - Hong Kong
29th - Les Sylphides - Royal Ballet (Kobborg)

APRIL 2009
18(tba)/22nd - Giselle - Royal Ballet (Kobborg)


4月18日の「ジゼル」でめでたく復帰の予定です。嬉しいですね。もちろん、世界バレエフェスティバルの予定も入っています。

そして、びっくりのニュースは、東京バレエ団の「くるみ割り人形」への客演。スティーヴン・マックレーとの共演です。「くるみ割り人形」がゲストつき公演だとは思いませんでした。久しぶりのベジャール版ではないほうの「くるみ」ですね。

ご無沙汰してすみません、ドイツに行ってました

しばらくblogを放置してしまい、ご心配をおかけして申し訳ありません。出かける前に出発報告をしようと思ったのにバタバタしてしまって、書きそびれました。

連休を利用してドイツ、エッセンでのドイツダンス賞のガラとシュツットガルト・バレエの眠りを見に行ってきました。

ドイツダンス賞は今年はダンサーはマリイン・ラドメーカー、振付家はチューリッヒ・バレエの芸術監督Heinz Spoerli が受賞。しかし踊る予定だったマリインが怪我で踊らず、代わりにHeinz Spoerli 振付の「ペールギュント」始め、彼の出演映像をたくさん上映。それからチューリッヒ・バレエによるパフォーマンスが繰り広げられました。Sporeliの振付は典型的なネオクラシックで、一つ一つは面白いのですがさすがに一晩全部それだとちょっと飽きます。最後の作品だけ指揮がシュツットガルト劇場のジェームズ・タグルだったのですが、フィリップ・グラスの曲で演奏が素晴らしかったです。作品もよかった。

客席最前列には、シュツットガルト・バレエの芸術監督リード・アンダーソン、振付家のクリスチャン・スプック(プレゼンターも兼ねた)、それからドイツ・ラインオペラ劇場の芸術監督とか関係者がずらり。その中で(相変わらずの金髪キラキラ王子マリインの隣に)人一倍背がすらりと高く、超かっこいい人がいると思ったら、シュツットガルト・バレエのエヴァン・マッキーでした。あれ、明日のマチネはシュツットガルトで眠りの王子を踊るはずなのに、と思ったら怪我降板だったそうです。エヴァンくんの王子が一番の目当てだったのに(涙)。それほどひどい怪我ではなく、四月一日のリード・アンダーソン還暦記念ガラでは復帰の予定とのこと。

マリインは復帰はまだ未定だけど一ヶ月以内には、だそうです。

とにかくスピーチがやたら多く全部ドイツ語だったので理解できなかったのですが、4時間半と長かったです。マリインの貴重な映像始め、日本ではまず観られないチューリッヒ・バレエが観られたのはよかったです。詳しくはまた後ほど書きます。

エッセンの有名なアールト・シアターがまた素晴らしく美しい劇場でした。

シュツットガルトの方は、エヴァンに加えてソワレのマリア・アイシュバルトも怪我で降板。マチネはアリシア・アマトリアンとフィリップ・バランキエビッチ、ソワレはアンナ・オサチェンコとフリーデマン・フォーゲルでした。もうひとつの目当てだったジェイソン・レイリーのカラボスが観られたのがよかったです。来日では観られなかったので。彼は驚くべきショーマンシップの持ち主ですよね。もちろん、フォーゲルの王子もとても王子らしくて甘くてよかったのですが、カーテンコールでも一番人気はジェイソンでした。彼は前日にイタリアでシルヴィア・アッツオーニ&フレンズに出演していたのに微塵も疲れを見せず、妖艶で魅力的なカラボスでした。

なお、ソワレのみジェームズ・タグルさんの指揮で、音が全然違いました。エッセンからシュツットガルトは超特急ICEで最低3時間かかるので、午前中にでも移動されたんでしょう。

慌ただしいドイツ三日間の弾丸遠征でしたが楽しかったです。詳しくはまた後ほど!

2009/03/19

東京バレエ団45周年ガラのNBS WEBチケットキャンペーン

NBS WEBチケットサービスから以下の案内がありました

以下引用です。

NBS WEBチケットサービスのスタートを記念して、東京バレエ団創立45周年記念<スペシャル・プロ>をNBS WEBチケットでご購入いただいた方の中から抽選で、<スペシャル・プロ>「エチュード」にゲスト出演する“フリーデマン・フォーゲル,レオニード・サラファーノフを囲む会”にご招待いたします。ぜひこの機会にNBS WEBチケットでご購入ください。

<キャンペーン期間>
3/20(金)10:00〜4/4(土)18:00

<キャンペーン内容>
上記期間中に東京バレエ団創立45周年記念<スペシャル・プロ>(4/18,19)のS〜C席チケットをNBSWEBチケットでご購入いただいた方の中から、抽選で100名様(※)を“フリーデマン・フォーゲル,レオニード・サラファーノフを囲む会”にご招待。

期間中にご購入いただいた方すべてが対象となりますので、あらためてイベントへのお申込みをしていただく必要はございません。
※別途開催しております「バレエの祭典特別鑑賞会」会員の方に向けてのキャンペーンと合わせて100名の方を抽選の上ご招待させていただきます。

<抽選結果発表>
当選された方にのみ、4/10(金)に登録されているメールアドレスに、参加方法等をご連絡いたします。

NBS ホームページ http://www.nbs.or.jp/

****
詳しくはNBS WEBチケットサイトをご覧下さい。祭典会員対象のキャンペーンも別途あるそうです。


なお、WEBの方を見たら、来年一月の東京バレエ団「ラ・シルフィード」にサラファーノフは客演するんですね。

フォーゲルと、サラファーノフが、NBSが現在イチ押しで売りだし中の若手スターになるんですね。

マシュー・ボーンの「ドリアン・グレイ」再演キャスト

7月にサドラーズ・ウェルズで再演される「ドリアン・グレイ」のキャストが発表されました。
かなりのサプライズがあります。

カリスマ的でセクシーなファッション写真家バジルをジェイソン・パイパーが踊ります。

http://www.new-adventures.net/news.php?id=47

RICHARD WINSOR (Dorian Gray), MICHELA MEAZZA (Lady H), CHRISTOPHER MARNEY (Cyril Vane), JARED HAGEMAN (Doppelganger), ASHLEY BAIN (Edward Black) as well as JOE WALKLING and CHLOE WILKINSON, all return to play their created roles.

Joining the production are...

JASON PIPER (as Basil Hallward) who scored a personal triumph as The Swan in Matthew Bourne's SWAN LAKE in 2005

DOMINIC NORTH who has recently completed an International tour playing the title role in Matthew Bourne's EDWARD SCISSORHANDS. DORIAN GRAY will be his 5th show with New Adventures.

The tour will also see the following Debuts in leading roles -
Jared Hageman as Dorian Gray
Christopher Marney as Basil Hallward
Dominic North as Cyril Vane

Matthew Bourne's Dorian Gray
Sadler's Wells Theatre
7 Jul 2009 - 19 Jul 2009

http://www.sadlerswells.com/standalonevideo.php?video=1847321795,%201885474000&show=1752&more=1

うわ~ジェイソン・パイパーが復活するんですね。びっくりデス!

19日のパリ・オペラ座「ル・パルク」ストのためにキャンセル

19日のパリ・オペラ座「ル・パルク」(ルグリとオーレリ出演)は、ストのためにキャンセルになったそうです…

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/actu/telegrammes/telegrammes_details.php?lang=fr&news_id=201&CNSACTION=SELECT_NEWS

日本からも観に行っている人がいると思うので、言葉もありません。

マリインスキー国際フェスティバルのヴィシニョーワ「Beauty in Motion」

現在開催中のマリインスキー国際フェスティバル。16日には、ディアナ・ヴィシニョーワのトリプル・ビル「Beauty in Motion」が上演されました。昨年、アメリカ、オレンジカウンティのOCPACで初演され、NYのシティセンターでも上演されたプログラムです。

この写真が、
http://www.afpbb.com/article/entertainment/entertainment-others/2583284/3927182
で紹介されていました。「F.L.O.W. (For Love of Women)」という作品です。以前もこの作品の別の写真を見て、その奇抜さに驚いたのですが、こちらの写真は幻想的で大胆かつキレイですね。AFPBBに登録すれば、写真をフルスクリーンで見ることができます。

オレンジカウンティで上演された時の写真スライドショーもなんだかすごいです。
http://www.ocregister.com/photos/vishneva-ballet-review-1980458-costa-mesa

米国での公演では、イーゴリ・コールプが参加していたのですが、今回のマリインスキーフェスティバルには、コールプの名前は影も形もありません。草刈民代さんのサイトには「エスプリ」のリハーサルの様子で登場していましたが。

「月に憑かれたピエロ」は、コールプのパートをイスロム・バイムラードフが踊っています。また、「THREE POINT TURN」でデズモンド・リチャードソンが踊っていたパートは、アレクサンドル・セルゲイエフが踊ったようですね。

Monday, March 16, 2009
DIANA VISHNEVA: BEAUTY IN MOTION
Mariinsky Theater

PIERROT LUNAIRE
Music by Arnold Shönberg
Choreography by Alexei Ratmansky; Assistant of choreographer - Elvira Tarasova
NEW designs (since the US tour) by Tatyana Chernova
Performed by Diana Vishneva, Islom Baimuradov, Mikhail Lobukhin, Alexander Sergeyev

F.L.O.W. (For Love of Women)
ballet in three parts
Choreography and Direction by Moses Pendleton
Performed by Diana Vishneva, Yekaterina Ivannikova, Yana Selina

THREE POINT TURN
Music by David Rozenblatt
Choreography by Dwight Rhoden
Performed by Diana Vishneva/Alexander Sergeev (in red costumes)
Irina Golub/Anton Pimonov (green)
Yana Selina/Mikhail Lobukhin (blue)

翌17日は、キューバ国立バレエのヴィエングゼイ・ヴァルデスをゲストに迎え、サラファーノフがバジルを踊った「ドン・キホーテ」でした。ヴィエングゼイ・ヴァルデスの長いバランスやトリプルを入れたフェッテなどのスーパーテクニックはここでも大喝采で迎えられたようですね。そしてもちろん、サラファーノフのテクニックも冴えていたようです。

Don Quixote
Grand ballet in three acts, six scenes with a prologue
Libretto by Marius Petipa after Cervantes
Choreography by Alexander Gorsky after Petipa
Gypsy and Oriental dances by Nina Anisimova
Fandango by Fyodor Lopukhov

Don Quixote Vladimir Ponomarev
Sancho Panza Stanislav Burov
Lorenzo Nikolai Naumov
Kitri Viengsay Valdes
Basil Leonid Sarafanov
Gamache Soslan Kulaev
Espada Konstantin Zverev
Street Dancer Yekaterina Kondaurova
Flower-sellers Nadezhda Gonchar Yana Selina
Lady Dryad Tatiana Tkachenko
Amour Valeria Martynyuk
Mercedes Elena Bazhenova
Tavern Owner Alexander Efremov
Gypsy Dance Alina Sokolova Islom Baimuradov
Oriental Dance Yulia Smirnova
Fandango Ji Yeon Ryu Karen Ioanissyan
Variation Anastasia Nikitina

なぜか、キャスト表ではアリーナ・ソーモワが踊ることになっていたドリアードの女王は、タチアーナ・トカチェンコが踊っていたようですね。また、ドリアードたちの一人と結婚式のアントレに、あのペルミ・バレエ学校のドキュメンタリーに出ていたオクサーナ・スコリクが出演しており、とてもエレガントで目を惹いたようです。きっと今年の来日公演でも観られるんでしょうね。

ところで、ヴィエングゼイ・ヴァルデスといえば、キューバ国立バレエでのパートナーであり、やはり素晴らしいテクニックとエレガンスの持ち主であるロメル・フロメタに気になるニュースがあります。ダンソマニ日本版に載っていたのですが、キューバ発の情報によると、どうやら彼はアンヘル・コレーラ率いるコレーラ・バレエに入団したようです。ただし、まだコレーラ・バレエには彼の移籍について何も書いていないのですが。この二人は素晴らしいパートナーシップを築いているので、離れ離れになってしまったら残念ですよね。

ご参考
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=2544&start=60

2009/03/18

ロンドンはロイヤル・バレエ、ABTと「白鳥の湖」祭り

イギリスのThe Timesにこんな興味深い記事が載っていました。

Are we overdosing on Swan Lake?
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/stage/dance/article5903093.ece

overdoseとは、過剰摂取という意味。そう、4月のロンドンは、ロイヤル・バレエとABTの「白鳥の湖」が完全に日程が重なってしまうという事態がおきてしまったのです。そして8月には、マリインスキー・バレエのROHでのロンドン公演「白鳥の湖」、クリスマスにはサドラーズ・ウェルズでマシュー・ボーンの「白鳥の湖」も予定されています。さらに、ノーザン・バレエ・シアターも英国ツアーで「白鳥の湖」を上演中です。

実にコヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラハウスにて、ロイヤルバレエは931回もこの作品を上演しているとのことです。

マリインスキーの招聘元インプレサリオであるLilian Hochhauser氏は、「近年上演回数が激増している作品ですが、『白鳥の湖』だけは特別です。もちろん、ABT公演がなければさらに良かったのですが、チケットの売れ行きを見ると、私たちのロシア版の需要は大きいと感じています」と述べています。

ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」は、カンパニーの今シーズンの上演回数の5分の1もの上演があるそうで、アンソニー・ダウエルによる伝統的な上演はカンパニーに多くの利益をもたらしているとのことです。「白鳥の湖」があるから、ロイヤル・バレエは冒険を伴う現代作品が上演できるとのこと。
「我々は、コロシアム劇場でABTが同じ作品を同時期に上演すると聞いて軽く失望しました」とロイヤルの管理部門の責任者は語ります。「幸いなことに、チケットの売れ行きは良好です」一番高いチケットは、110ポンドもするというのに。

そして競争の割を食ったのが、なかなかロンドンでの公演を行わないABTでした。結果的に、招聘元であるサドラーズ・ウェルズは、1枚分のチケットの値段で2枚買うことができるプロモーションを行うことを強いられました。ABTの「白鳥の湖」の一番高いチケットは95ポンドで、10公演が予定されています。
http://www.sadlerswells.com/show/American-Ballet-Theatre-Coliseum

ABTの芸術監督、ケヴィン・マッケンジーは、残念がっています。「同じ時期にわれわれとロイヤル・バレエが『白鳥の湖」を同時期に上演すると聞いてガッカリしましたよ。もしそうなることを知っていたら、別の作品を上演していました。経済がこんなに悪くなっていなければ、人々は両方観てくれただろうけど、今はそれが難しい」

「白鳥の湖」は、この100年間、様々な解釈がされてきた作品でした。ゲイのジークフリード王子、気の狂った王子、女性が演じるロットバルト、フロイト的な解釈、ナチスの隠喩、そしてハッピーエンド。マリインスキーが今年の夏上演するのは、ソ連時代に好まれたハッピーエンド版です。そして、マッケンジー版の特徴は、ロットバルトを二人のダンサーが演じることです。

「自分の『白鳥の湖』を振付けた時、私は自分が王子を演じていたときの疑問に答えようと思ったんです。ロットバルトは何者で、どうやってオデットに魔法をかけたのか。私の答えは、彼は自在に形を変える超自然的な存在で、永遠にずっと存在していたと。そのために、好色な野獣とエレガントな王子の二つの姿が必要となったので、ロットバルト役を二人のダンサーに振り分けて、説明するためにプロローグを設けたのです」

ABTの『白鳥の湖』は観客にとても好評で、ABTにとって必要だった古典的な支柱を提供しました。「国を代表するようなバレエカンパニーならどこでも、「白鳥の湖」を上演しなくてはなりません。なぜならば、この作品こそが古典バレエの定義そのものだからです。すべての基準となるものであり、上演し続けなければなりません。」

ロンドン公演でオデット/オディールを2回踊るバレリーナのジリアン・マーフィにとっては、マッケンジー版は普遍的に魅力があるものと感じられるとのことです。「これは、単に歴史的な伝統ではありません。この作品が現代の人々に語りかけるのでなければ、上演する意味はありませんし、実際、この版は現代の観客にとって魅力的なものです。善と悪との戦いについて語り、そして真実の愛が裏切りを乗り越えることを教えてくれますし、私たちを別の世界へと連れて行ってくれるのです」

ジリアン・マーフィこそが、ABTへとイギリスの観客を呼び寄せるスターだとマッケンジーは語ります。「イギリスの観客はロイヤルとマリインスキーについてはよく知っていますが、われわれのことはよく知られていません。アメリカのスタイルは、ラインをエネルギッシュに表現することです。われわれには、イギリス人のような伝統やロシアじんのような壮大さがあるわけではありません。マリインスキーのような極められたスタイルを持っているわけではありません。その代わり、それらを超越した多様さがあります」

ABTのロンドン公演は、3月25日から4月4日まで、コロシアムで行われます。

『白鳥の湖』の巨大な力は続いています。クリスマスシーズンには、マシュー・ボーンの挑発的なユーモアと力強い同性愛の「白鳥の湖」がサドラーズ・ウェルズに帰ってきます。2010年には、バーミンガム・ロイヤル・バレエが、カンパニーの20周年を記念してピーター・ライト版を復活させます。そしてENBは、カンパニーの歴史の中でもっとも売り上げを記録している演目であるデレク・ディーン版『白鳥の湖』の、6度目のロイヤル・アルバート・ホールでの公演を行う予定です。

19世紀末に初演された時には、失敗作の烙印を押された『白鳥の湖』ですが、現代においてこれほどまでに上演されているとは、チャイコフスキーも草葉の陰で驚いていることでしょう。

*****
上演されるバレエ作品の多くが『白鳥の湖』なのは、日本でも同じこと。いや、もっとひどいかもしれません。マリインスキーの来日公演はここのところ毎回『白鳥の湖』ですし、去年はボリショイ・バレエ、ABTの来日公演が『白鳥の湖』でした。言うまでもなく、東京バレエ団や新国立劇場、K-Balletなどの国内バレエ団や、毎年来日するレニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)も、必ずといっていいほど毎年『白鳥の湖』を上演しています。名作には違いありませんが、たまには他の作品も観たいって思います。『白鳥の湖』は、間違いなくチケットが売れる安全牌なのでしょうが。

2009/03/17

パリ・オペラ座「椿姫」(ルテステュ主演)/ロイヤル・バレエ「白鳥の湖」(ヌニェス主演)DVD発売

ダンソマニ日本版様からのありがたい情報です。いつもありがとうございます!

今週末にNHK BShiでの放送が予定されている『椿姫』(ジョン・ノイマイヤー振付)がリリースされます

発売予定日は、2009年5月1日。 Opus Arteからで欧州向けですが、このレーベルからリリースされる作品の最近の仕様に倣い、All Formats、All Regions のようです。 2枚組。

Chopin- La Dame aux Camelias
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=285

Marguerite Gautier: Agnes Letestu
Armand Duval: Stephane Bullion
Monsieur Duval: Michael Denard
Prudence Duvernoy: Dorothee Gilbert
Manon Lescaut: Delphine Moussin
Des Grieux: Jose Martinez
Olympia: Eve Grinsztajn
Gaston Rieux: Karl Paquette
Le Duc: Laurent Novis
Nanine: Beatrice Martel
Le Comte de N.: Simon Valastro

The Paris Opera Ballet
Orchestra of The Opera national de Paris
Conductor: Michael Schmidtsdorff
Stage Director: John Neumeier

ハイビジョンを観られない方にもうれしいお知らせですね!先日のハンブルク・バレエでの来日公演と比較するのも一興かと。

Chopin - La Dame aux camelias (Paris Opera Ballet)
同時にブルーレイディスクも出るようです。
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=286

追記:Opus Arteのサイトを見ていたら、もう一つリリース情報を見つけました。
9月発売とだいぶ先ですが、マリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレス主演のロイヤル・バレエ「白鳥の湖」です。

Tchaikovsky - Swan Lake (The Royal Ballet)
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=290

Odette/Odile: Marianela Nunez
Prince Siegfried: Thiago Soares
Choreographers: Marius Petipa & Lev Ivanov
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
Stage Director: Anthony Dowell

CAT NO: OA1015D
FORMAT: All Formats
REGIONS: All Regions
PICTURE FORMAT: 16:9
RELEASED: 01/09/2009
NO OF DISCS: 1

こちらはアンソニー・ダウエル振付版ですね。

マリインスキー国際フェスティバル「イワンと仔馬」THE LITTLE HUMPBACKED HORSE

マリインスキー国際フェスティバルのオープニングを飾ったアレクセイ・ラトマンスキーの新作「イワンと仔馬」(Little Humpbacked Horse=以前は「せむしの仔馬」で知られていました)のレポートが、ジャパン・アーツのバレエ舞踊ブログに載っていました。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/115740081.html

ラトマンスキーの作品と言えば、去年のボリショイの来日公演で上演された「明るい小川」がとても楽しかったのですが、こちらの「イワンと仔馬」もとても面白い作品のようです。海外のバレエフォーラムでの評を読んでも、大変好評のようですね。特に初日の王女を演じたテリョーシキナは素晴らしかったようで、今まで彼女は可愛い役というのはあまり踊ってこなかったわけですが、この作品ではとても愛らしかったようです。イワン役は、二日目のサラファーノフのほうがキャラクターに合っていたとか。

客席には、この作品の作曲者シチェドリンと、奥様のマイヤ・プリセツカヤもいたようですね。プリセツカヤは、かつての「せむしの仔馬」の初演キャストでした。(こちらは、DVDが出ています。私は、ワシリエフ主演の「スパルタクス」のDVDの特典映像でちょこっとだけプリセツカヤのヴァリエーションが紹介しているのを観ただけです)

ロシアのTV局のサイトにリハーサルの映像がアップされています。
http://news.ntv.ru/152931/

ジャパンアーツのレポートでは、仔馬役のペトロフはワガノワ・バレエ学校を一年前に卒業したばかりのダンサーだと紹介してくれています。また、エイフマン・バレエから移籍した注目のダンサー、ユーリ・スメカロフが皇帝のお付き役として抜群の存在感を放っていた、と読む者の期待に応えてくれたレポートで嬉しい限りです。

このブログの一つ前のエントリでは、リハーサルの様子もレポートしてくれていて、これもとても面白いですね。
ラトマンスキー氏は、この「イワンと仔馬」の物語を、「これは少年の冒険物語!言ってみればロシアのピカチュウ物語だね!楽しいものになるよ」と話していました。
ピカチューですか!(笑)

youtubeに早速動画がアップされているのも観ましたが、初日のテリョーシキナと二日目のソーモワのを見比べると、テリョーシキナのアカデミックな踊りの素晴らしさが際立ちますね。ソーモワは相変わらず脚を高く上げすぎるふにゃふにゃの踊りで、観ていてちょっと気持ち悪くなってしまいます。(youtube動画はリンクは張りませんので、興味のある方は検索してください)来日公演では、ぜひテリョーシキナ主演で上演して欲しいものです。

追記:ジャパンアーツのブログに、「イワンと仔馬」の写真がまた追加されていました。
http://ja-ballet.seesaa.net/article/115802765.html

2009/03/16

山岸涼子「牧神の午後」とサーシャの「椿姫」

山岸涼子「牧神の午後」とサーシャの「椿姫」

本当はこの週末に福岡での「椿姫」の感想を書こうと思っていて、そのために今日は予定もいれず蒲田にちょっと買い物に出かけたくらいで気合を入れていた。その上、ようやくデュマ・フィスの「椿姫」を読み始め、さらに、ずいぶん前に観たきりだったマリシア・ハイデ主演の「椿姫」のDVDを見直した。昨日はロイヤル・バレエの「マノン」の放映も観たし(タマラ・ロホの天然ファム・ファタルは凄い)、週末は掃除だ洗濯だといろいろと用事がたまっている一応兼業主婦なので、結局福岡の「椿姫」の感想は書けず。次の連休でちょっと数日間不在にしてしまうので、なんとかそれまでには書きたいのですが…。

*******

「椿姫」の舞台の感想を書く上で、ちょっとセレンディピティを感じたことがあった。昨日のバレエの帰り、ゆうぽうとの近くの本屋で山岸涼子の「牧神の午後」を見つけたので買ってきたのだ。出ていたことは知っていたけど、内容は知らなかったのだ。牧神に扮したニジンスキーの美しい表紙絵に魅せられて購入。

ヴァツラフ・ニジンスキーを描いた「牧神の午後」、バランシンの4番目の妻だったマリア・トールチーフを描いた「黒鳥ブラックスワン」という実在のバレエダンサーを描いた2つの作品。それから、山岸涼子さん自身が大人バレエ教室で発表会に出ることになったときのことを描いた「瀕死の発表会」、さらには2007年のローザンヌコンクールを観に行った時の珍道中記が載っている。

ニジンスキーの生涯については、「ニジンスキー神の道化」といった書物、ジョルジュ・デ・ラ・ペーニャが主演した映画「ニジンスキー」、さらにジョン・ノイマイヤーが振付けた「ニジンスキー」も観ているので大体のことはわかっている。この作品は、振付家のミハイル・フォーキンの目を通したニジンスキーの、バレエリュスへの登場から発狂するまでの姿を追っている。身近にいた第三者が語るという手法はわかりやすいけれども、ほとんどのエピソードは有名な話ばかりで、エピソードにはそれほど新味はない。

ニジンスキーが非常に繊細かつエキセントリックな人間であったことはもちろん知られているけど、この作品の中では、ニジンスキーは特に変わった人として描かれている。極度に内気で人と接するのが苦手。特にハンサムなわけでもなければ、背が高いわけでもない。そんな彼が、(最近になって復元された)「アルミードの館」に主演した時、跳躍した頂点で舞台から消えたため、まるで飛んでいってしまったのではないかと観客に思われ、大きな熱狂を呼ぶ。(あれ、これって「バラの精」のエピソードではなかったのかしら)舞台上で、空中三回転半を飛んでしまう。(フィギュアスケートでは可能あっても、バレエで本当にトゥールザンレールの3回点半なんて、そんなことが可能なのか?)一躍時代の寵児となったニジンスキーだが、彼自身はどんな凄いことを自分がやってしまったのか、まったく気がついてもいなければ意識もしていない。39度の高熱を出した状態で、熱が出ているという意識もなく神業のようなテクニックを披露している。彼には自衛本能というのが存在しないようなのだ。しかし彼はいつも役柄に憑依し、恍惚の妖しい笑みを浮かべている。「シェヘラザード」の黄金の奴隷を踊るときには、まばゆい黄金の煙が立ち昇っていた。その光がまばゆいほど、逆に彼には常に影がつきまとっている。彼は現実を習得できず、日常を生きていくのも困難だった。

そしてこの作品の肝となる言葉が登場する。「翼を持った者には、腕がない」。ダンサーとしてのニジンスキーは天才だったけど、その翼を奪われてしまったら、もう生きてはいけないのだ。金持ちのグルーピー、ロモラと結婚してしまったニジンスキーはディギレフの怒りを買い、バレエ・リュスを解雇され、さらにバレエ・リュスの作品を踊ることも禁じられてしまう。ニジンスキーは翼をもがれ、ついに闇が彼を捉え、1918年サンモリッツのスブレッタ・ホテルで「神との結婚」を宣言したニジンスキーは再び踊ることはなく、精神病院の中で余生を過ごした。

ところで、ハンブルク・バレエのアレクサンドル・リアブコはもちろん、ニジンスキーではない。実際の彼がどういう人格なのかはわからないけど、インタビューなどを読んでみても、ごく真面目だけど常識的で賢い男性だ。おまけにシルヴィア・アッツオーニというこれまた才能に溢れるバレリーナの妻がいる。だけど、時々、サーシャはニジンスキーに似ているのではないかと思うことがある。実際、彼はノイマイヤーの「ニジンスキー」でタイトルロールを演じて、ニジンスキーそのものが憑依しているのではないかと思わせる、鮮烈で限界を知らない、狂気の漲った踊りを見せてくれた。「眠れる森の美女」のデジレ役でも、終盤に、今までに観たことがない超高速のマネージュを見せてくれた。このままでは彼は舞台の上で擦り切れてしまうのではないか、という凄まじさだった。

今回の「椿姫」のアルマンで見せたサーシャの演技も、まさにアルマンが彼の上に降臨しているかのようだった。実際にはやや小柄で特別なハンサムではないサーシャが、舞台の上では熱烈にマルグリットを愛し、激しすぎる熱情をぶつけて燃え尽きそうな美しい青年に変身している。その上、彼のアルマンは限界を知らない。手加減というものが一切存在しなくて、自分の激情がもたらす動きを、まったく歯止めなく切れ味鋭く表現してる。演技というものは普通は細かい計算をして行うものだと思っていたのに、彼のパッションはとどまるところを知らない。リミッターが振り切れた状態なのだ。特に顕著だったのが、2幕の手紙を読んだ後のソロと、3幕の黒のパ・ド・ドゥ、そしてマルグリットに手紙と札束を渡すところ(あのゆがみきった笑顔の下の苦悩!)。肉体的にも、精神的にも、もう彼は限界を超えて完全に振り切れている。かといって、それが過剰なものとじゃ感じられない。ただただ、あまりにも強い感情の具現化として観客の胸に突き刺さるのだ。

サーシャには、翼も腕もあるのではないか。彼自身、自分がどのように凄いダンサーではあるのかまったく自覚していないはずだ。だけど、他にはないとんでもない才能の持ち主であり、役を憑依させながら素晴らしい踊りも見せるもできる人なのだ。それでいて、ニジンスキーとは違って、舞台を降りれば(おそらくは)普通の真面目で好感度の高い青年。神は彼に二つの贈り物を与えたのだと思う。

*******
話をこの本に戻すと、「黒鳥ブラックスワン」のマリア・トールチェフの話も面白かった。バランシンというのがとんでもない男で、10台の若い娘を次々と妻にしたことでも有名だ。21歳と若かったマリアも彼と結婚するが、バレエのために子供を持つことをあきらめ、しかしさらに若いお気に入りの娘が出現して彼の愛情は届かなくなる。バランシンはタナキル・ル・クラークに心を移すのだった。マリアとの離婚後バランシンはタナキルと結婚するものの、タナキルはポリオにかかり、27歳で下半身が麻痺して踊れなくなるという悲劇に見舞われる。インディアンの血を引くマリアは、自分の心のダークサイドに恐れおののく。
『女達が彼を捨てるのではない。
彼のためには無用になったことを思い知らされた女が
いたたまれなくなるのです』
とマリアは独白する。実際、踊れなくなったタナキルとバランシンは離婚するが、バランシンはその後スザンヌ・ファレルに惹かれたものの結婚しなかった。

*******
大人バレエを今習っている者としては、「瀕死の発表会」は思い当たる節があるようなエピソードがたくさんあって笑えるし、2007年のローザンヌコンクールの観戦記もとても面白い。「Ballet Studio拝見」は首藤康之さんが教えるスタジオの体験レッスンの話。バレエ好きにはお勧めの一冊。

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2009/03/14

11月Kings of DanceがNYシティー・センターに帰って来る!

いちぞーさんのBeyond The Spotlightで教えていただきましたが、ニコライ・ツィスカリーゼ率いる男性スターダンサープロジェクト、Kings of Danceが新たなメンバーを加え、NYのシティー・センターに帰ってきます。

このプロジェクトは、昨年11月にはロシアでのツアーも行っていたのですよね。

メンバーは、オリジナルメンバー(他にアンヘル・コレーラ、イーサン・スティーフェル、ヨハン・コボーでした)で残っているのはニコライ・ツィスカリーゼだけ。昨年のツアーでデヴィッド・ホールバーグ、ホセ・カレーニョ(ABT)、ホアキン・デ・ルース(NYCB)に加え、マルセロ・ゴメス(ABT)、デニス・マトヴィエンコ(マリインスキー・バレエ)、ギヨーム・コテ(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)が加わるとのことです。

プロモーターArdaniのサイト
http://www.ardani.com/projects-kings.php

City Center
http://www.nycitycenter.org/tickets/productionNew.aspx?performanceNumber=4337#programs

Nov 6 - 8, 2009 New York City Center
The three-act performance will include choreography by Frederick Ashton, José Limón, Nacho Duato, Roland Petit, Anton Dolin, Boris Eifman, and Christopher Wheeldon

NY公演の後は、ロシア、ウクライナ、ラトヴィア、リトアニア、エストニア、モルドヴァ、ベラルーシをツアーして回るとのことです。日本に来てくれるなんてことはないのでしょうか?コンテンポラリー作品ばかりだから難しいのかしら?


3/14 「白鳥の湖(若手公演)<Stars of Tomorrow>」東京バレエ団

東京バレエ団創立45周年記念公演III
若手特別公演<Stars of Tomorrow>
「白鳥の湖」(全4幕)/ゆうぽうとホール

【配役】
オデット:渡辺理恵
オディール:川島麻実子
ジークフリート王子:後藤晴雄
王妃:日比マリア
悪魔ロットバルト:柄本弾
道化:中川リョウ

【第1幕】
家庭教師:横内国弘
パ・ド・トロワ:森志織-福田ゆかり-宮本祐宜
ワルツ(ソリスト):乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子、吉川留衣、矢島まい

【第2幕/第4幕】
四羽の白鳥:佐伯知香、村上美香、吉川留衣、岸本夏未
三羽の白鳥:西村真由美、乾友子、奈良春夏

【第3幕】
司会者:永田雄大
チャルダッシュ
(第1ソリスト):西村真由美-松下裕次
(第2ソリスト):森志織、福田ゆかり、高橋竜太、氷室友
ナポリ(ソリスト): 佐伯知香-中川リョウ
マズルカ(ソリスト):田中結子、山本亜弓、中島周、野辺誠治
花嫁候補たち:高村順子、乾友子、吉川留衣、阪井麻美、大塚玲衣、小川ふみ
スペイン: 高木綾、奈良春夏、木村和夫、横内国弘

指揮:井田勝大
演奏:東京ユニバーサルフィルハーモニー管弦楽団


直前にジークフリート役の柄本武尊さんが降板してどうなることかと思った若手公演。
しかし蓋を開けてみると、今まで舞台で存在にすら気がつかなかったオデット役の渡辺理恵さんが素晴らしかったのにびっくり。

渡辺さんはプロポーションがとても良い上、ラインが美しい。理想的と言ってもいい、素晴らしい脚を持っているし、腕の使い方も背中の使い方も柔らかく繊細で丁寧、気品に溢れて実に美しかった。深窓のお姫様のような、大人しそうな顔立ちだけどそれだけに、儚く悲劇的な白鳥が似合っていた。二幕終わりの方は慣れないせいか息切れ感、いっぱいいっぱいになってしまったところはあったものの、デビューとしては大成功と言える。いや、この出来なら現在このバレエ団でオデットを踊っているプリンシパル約二名よりずっと良いかも。早くオディール役も覚えて、全幕で主演できる機会を与えて欲しいと思った。

オディールの川島さんは華やかな美人なので、渡辺さんのオデットと同一人物には見えなかった。押しが強く舞台度胸もあるのだけど、腕が細すぎて骨が目立ち、脚は膝が出ているのでアティチュードがあまり美しくないのが難点。キャラクターとしてはオディール向きで、踊りも大きくてよかったけど。グラン・フェッテは途中から苦しそうで32回までは行けなかったけど、フィニッシュをうまく処理していたので様にはなっていた。デビューと考えれば合格点。

問題は後藤晴雄さんで、しばらく古典で見ていなかったけどこんなに下手だったっけ?一言でいえば雑で美しくない。アントルラッセすれば、アンドォールしてないから汚い跳躍になるし、着地も決まらないし。とにかく締まりが無さ過ぎ。サポートだけはうまくいっていたけど、これだったら武尊さんが見たかったよ。

ロットバルトの柄本弾さんは、まだ19歳ということで、長身なのだけどまだ子供体型。しかし踊りのほうはなかなか良かったと思う。3幕では、あご髭をつけて貫禄を出していたし演技も達者だった。胸にはもちろん白鳥のアップリケ(笑)。道化の中川リョウさん、可愛かった!回転技がとても良くて、1幕でのグランピルエットではとてもたくさん、最後までキレイに回っていて大きな拍手をもらっていた。彼は溌剌としていて、とても愛嬌があるのがいい。思わず応援したくなる。

一方ベテラン勢に目を転じると、んもースペインの木村さんの素敵なことといったら!改めて惚れ直した次第。なんて美しい脚なのだろう。踊りのほうはキレキレで鋭くしなやかで、見得の切り方も完璧。王子が騙された時の高笑いも悪~くてで楽しそうで。まじやばいってくらい木村さんが素敵過ぎてどうしようかと思った。あまりにも木村さんに目が吸い寄せられて残り三人のスペインに目がなかなか行かなかったのだけど、高木さん、奈良さんの二人も邪悪さに溢れていてカッコよかった。

ナポリの佐伯さんはやっぱり可愛いし、チャルダッシュの西村さん、マズルカの中島さんは貫禄が違っていて目を惹く。西村さんといえば、大きな白鳥の時の西村さんは際立って美しく、詩情溢れながらも凛としていて素敵だった。西村さんは今まであまりキャラクターを踊るという印象もなかったのだけど、チャルダッシュもアクセントが効いていて、すごく良かった。大きな白鳥を踊る西村さんを観るたび、彼女のオデットが観たいって強く願う。若手に挑戦させるのもいいと思うけど、このクラスのダンサーの主演は絶対にあるべきだと思う。そうでないと、東京バレ団に主役を踊れる人がいなくなってしまうよ。

コール・ドは相変わらず揃ってはいるのだけど、名物とでも言うべき?軍隊のマーチのような大きな足音は何とかして欲しいと思う。また毎回ここの「白鳥の湖」を観るたびに思うのは、2幕のコール・ドの振付に違和感があるので改訂して欲しいということ。主役二人の周りを取り囲むようにいるコール・ドがとても邪魔だし、群舞の組み立てもヘンだし。もはや、この古色蒼然としているゴールスキー版を採用しているのは、歴史的意義以外の何もないのではないだろうか。

新人2人のお披露目としては成功した公演だったのではないだろうか。特に渡辺さんは逸材だと思った。それに加えてあまりにも素敵な木村さん、美しい西村さんが観られたので、観に行ってよかったと思う。これが寄付会員の招待で観られたことにも感謝。

マリインスキー・バレエ「サンクトペテルブルク白夜祭」2008 Mariinsky Ballet White Nights Festival

やっと観られた「白夜祭」の録画の感想を書く前にちょっと気がついたこと。

マリインスキーのダンサーのリストを見ていたら、イワン・コズロフの名前がやっと正式にセカンド・ソリストのところに出現していました。これで晴れて本当に団員になったんですね~。良かった。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/second_soloists/dancers4/kozlov/
Ivan Kozlov
Repertoire at the Mariinsky Theatre:
Swan Lake (Siegfried);
Raymonda (Jean de Brienne);
Schéhérazade (The Golden Slave);
La Valse.

あまり嬉しくない発見としては、アナスタシア・マトヴィエンコはマリインスキーのファースト・ソリストとして名前が出現していたことがありました。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/first_soloists/dancers1/matvienko/
まだプロフィールは書いていないので、慌てて付け足したって感じでしょうか。

それから、デニス・マトヴィエンコの名前もプリンシパルのところにあります。彼がプリンシパルというのは勿論順当なことだと思います。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/premery/denis_matvienko/

***
サンクトペテルブルク白夜祭 2008 Mariinsky Ballet White Nights Festival
ワレリー・ゲルギエフ指揮 Conductor – Valery Gergiev バレエ「火の鳥」「結婚」「春の祭典」
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/without/all_ballet/lesnoces_printemps1_firebird/

放送日:3月7日(土) 22時06分 ~ 23時59分
- 国際共同制作: マリインスキー劇場 / ベル・エア・メディア / アルテ・フランス / NHK -
[ 収録: 2008年6月, サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場 ]

うちのDVDレコーダーの調子が悪くて、この日は福岡からの最終便で帰って来たものだから録画ができているかドキドキだったのだけど、なんとか無事に録画できていました。途中からでも観たいと思って羽田からタクシー飛ばして帰宅したら、「結婚」が始まったところで、そこで地震速報のテロップが入っていたのでガッカリ。でも、この「結婚」ひとつとってもすごく良くて、とくに音が素晴らしいな~と思って途中からでも見られて良かった。エンドクレジットにBel Air Mediaとあったので、これは確実にDVDが出ると一安心。やっぱりこのあたりのバレエ・リュスの作品は本当に大好き。

「火の鳥」 The Firebird   ( ストラヴィンスキー作曲 )

台本 / 振付 : ミハイル・フォーキン
改訂振付 : イザベル・フォーキン
  〃 : アンドリス・リエパ
美術 : アレクサンドル・ゴロヴィン
 〃 : レオン・バクスト
 〃 : ミハイル・フォーキン
火の鳥:エカテリーナ・コンダウーロワ Yekaterina Kondaurova
王女:マリアンナ・パブロワ
イワン王子:イリヤ・クズネツォフ Ilya Kuznetsov
カッチェイ王:ウラディーミル・ポノマレフ Vladimir Ponomarev

フォーキンの「火の鳥」は生の舞台は観たことがないのだけど、「Kirov Celebrates Nijinsky」のDVDでディアナ・ヴィシニョーワ、ロイヤル・バレエの「The Firebird」のDVDでリアン・ベンジャミン、そしてニーナ・アナニアシヴィリとアンドリアス・リエパの「Return of the Firebird」のDVDでも観ている。やっぱり最新の収録でハイビジョンで観ると映像がとても美しい。

火の鳥役のエカテリーナ・コンダウーロワは、背が高く抜群のプロポーションに、シャープな美貌と燃えるような赤い髪、注目のバレリーナ。オデット/オディールデビューも最近済ませ、ツアーなどでもミルタ役や街の踊り子、それにバランシン作品などでかなり活躍しているのに、未だセカンド・ソリストなのが謎。このように容姿に恵まれていると、火の鳥役では存在感があってぴったり。メイクもよく似合うし、鳥らしい腕の動かし方が美しい。きっと彼女のオデットも美しいだろう。

イワン役は、長身のカーチャに合わせてやはり長身のイリヤ・クズネツォフで、よくサポートをしていた。彼はキャラクター系が多い人で、ロットバルトやアブデラクマンなどを踊っていると舞台上ではなかなか素顔がうかがい知れないのだけど、この作品ではハンサムな素顔が見られる。色鮮やかな衣装に金髪がよく映える。イワン役は普通の王子ではなく、ファンタジー作品の主人公なので、彼の持つやんちゃさがよく活きている。特に怪物の卵が入った箱を出してきて、卵を割るぞ~というときの楽しそうな表情が良かった。魔王カッチェイ王はマリインスキーの誇る超ベテランキャラクターのウラディーミル・ポノマレフで、彼のエキセントリックな演技が素晴らしい。彼はなんと1964年にワガノワを卒業しているので、60歳を過ぎているはずなのだけど、よく身体が動くこと。

フォーキンの「火の鳥」は後半は魑魅魍魎というか怪物たちがたくさん出てきて、まるでウルトラマンのような怪獣モノの特撮番組を見ているみたいな気分になってくるのがまた面白い。怪物たちの激しい群舞を踊っているダンサーたちも楽しそうで。(かの有名な映画スタジオ、モスフィルムで撮影した、ニーナ主演の「火の鳥」のほうは、完全に怪獣映画というか、実際に特撮を駆使していて凄いことになっていたけど)一度は生で観てみたいって思ったのに、来日公演での「フォーキン・プロ」がなくなってしまって本当に残念なこと。


「春の祭典」 Le Sacre du printemps  ( ストラヴィンスキー作曲 )

台本 : イーゴリ・ストラヴィンスキー
 〃 : ニコライ・レーリヒ
美術 : ニコライ・レーリヒ
原振付 : ワツラフ・ニジンスキー
振付復元 : ミリセント・ホドソン

バレエ : マリインスキー劇場バレエ団
管弦楽 : マリインスキー劇場管弦楽団
指 揮 : ワレリー・ゲルギエフ

生贄の娘:アレクサンドラ・イオシフィディ Alexandra Iosifidi
賢人:ウラディーミル・ポノマレフ Vladimir Ponomarev
長老:エレナ・パジェーノワ Elena Bazhenova

ニジンスキー版の「春の祭典」は、兵庫県芸術文化センターの開場記念公演で観ていた。いけにえの乙女役は平山素子さんで、群舞もすべて日本人。賢人はかの薄井憲二氏だった。古代ロシアを舞台にした、土着的な印象の強いこの作品は、長身で手足が長いロシア人よりも、短躯のアジア人の体型の方が似合っているような気がしてしまう。実際の舞台を観たときには3階席から観ていたので、群舞の面白さを感じることができたのだけど、この映像はクローズアップが多すぎて、全体の雰囲気が掴みにくい。でも、作品全体をDVD用にきちんと撮影したのは今回が初めてだと思うので貴重な映像。(ジョフリー・バレエの復元ドキュメンタリーつきのPBSでの放映とか、パリ・オペラ座の「春の祭典」の様々な振付を収録したドキュメンタリーはあったけど、市販されていないし)

長老役のエレーナ・バジェーノワは本当はエキゾチックでものすごく色っぽい美人なのに、今回は不思議なメイクに背中を曲げてぴょんぴょん跳ねる老婆の役。ただスカートの裾から出ている脚がきれいなのだ。地面に口づけをする賢人は、さっきの「火の鳥」で魔王カッチェイ王も演じていたウラディーミル・ポノマレフ。超一流のキャラクターダンサーがこれらの役を踊ると、すごく舞台が引き締まる。

そして生贄の娘のアレクサンドラ・イオシフィディ。背がすらりと高くて、瞳がとても大きい。転んでしまって生贄に選ばれてしまって、恐怖のためにかなり長いこと動けずに立ちすくんでいるときの目の演技が凄い。見開いた黒目が片側に寄りながら、時折上に動き、そして目を閉じる。動けない役だけど、その中で死ぬほどの恐怖の表現を見事に体現しているなと。しかも最後のほうでは、100回以上も、あの複雑なリズムに乗りながら内股のまま飛び跳ねた上、絶命するというのだから難役である。彼女は身体がとてもしなやかなので、脚を内股にして、首をかしげてぴょこぴょこ跳ねているのにどこかエレガントなところが残っている。女性の群舞も、クラシックの基礎を脱構築したような踊りで、内股で足をフレックスにしてシソンヌを何回も何回も跳ぶんだけど、背中の柔らかさ、後ろ脚が高く上がるところがキレイなのが面白い。

やっぱりこの作品の独特の引き込まれるような熱狂的なトランス感覚とか、原始的な恐ろしさとかは、もっと引いて群舞を映した映像でないと感じられないような気がした。うーんもったいない。今年はバレエ・リュス100周年ということで、ハンブルク・バレエやジョフリー・バレエはじめ世界のあちこちでこのニジンスキー版「春の祭典」が踊られる。でも日本にいたら観られないのだよね。


「結婚」Les Noces   ( ストラヴィンスキー作曲 )

台本 : イーゴリ・ストラヴィンスキー
美術 : ナターリャ・ゴンチャロワ
振付 : ブロニスラヴァ・ニジンスカ

花嫁:アンナ・シソエワ Anna Sysoeva
花婿:セルゲイ・ポポフ Sergei Popov
花嫁の母:エレナ・パジェーノワ Elena Bazhenova
花嫁の父:ロマン・スクリプキン Roman Skripkin
花婿の母:ワレリア・カルピーナ
花婿の父:ピョートル・スタシュナス Pyotr Stasiunas

実は今回の放映で一番楽しみだったのが「結婚」だった。4人の歌手と4台のピアノ、そして打楽器で構成されている摩訶不思議なストラヴィンスキーのスコアが大好き。そしてニジンスカの振付は、100年近くたった今も古びていなくて超モダン。揃いの白いシャツに茶色のジャンパースカートというまるで女学校の制服のような女性たちの衣装がとてもお洒落。花嫁を囲む女性たちの雰囲気がとても密やかで妖しく美しい。長い三つ編みを持ったり、顔を重ねたり。振付も、6番でのポアントや、腕を不思議に振り回すところが面白い。とても儀式的で土俗的な農村の結婚式のはずなのに、斬新に感じられる。結婚を祝う儀式のはずなのに、花嫁も花婿も少しも嬉しそうではなくて、ほとんど無表情。形式的な抱擁やキス。そして奥の扉が開き、ベッドが待っているという結末。ここでは結婚が喜びではなく、女性が因習と家に縛られ、労働力として迎えられるということを意味している儀式なのだ。

この作品も、パリ・オペラ座の「ディアギレフの夕べ」のビデオ、そしてロイヤル・バレエの「火の鳥」とカップリングされたDVDが出ている。今回の映像は、何よりも演奏と歌が素晴らしい。新しい収録/録音だから音質も良いし、演奏も見事なものだ。オペラ座の映像ではカデル・ベラルビとエリザベット・プラテル、ロイヤルの映像ではゼナイダ・ヤノウフスキー&デヴィッド・ピッカリングと美男美女の持ち役と決まっているけど、この作品、花嫁と花婿はあまり踊らないのがかえって面白い。主役のアンナ・シソエワは収録時はコール・ド、現在はプリンシパル・キャラクター・アーティスト、セルゲイ・ポポフはコリフェ(彼は結構活躍している)と若手でそれほど有名ではないけど、この作品に相応しい美男美女だ。特にセルゲイ・ポポフは長身で金髪でここでは王子様のよう。

ちょっと残念なのが、群舞が意外と揃っていなかったこと。この作品こそは、儀式らしさを出すために群舞がきれいに揃っていないとならないと思うのだ。振付が古典とはちょっと違うし音楽も変わっているので難しいだろうなと思いつつ。面白いのが、男性ダンサーたちの振付も、ドゥミポアントが多用されていて、踵をほとんど地面につけないでジャンプしていること。群舞と言えども相当テクニックがないと踊れない作品だと思う。

いずれにしても、素晴らしい音質と画質に演奏、見目麗しいダンサーたちのパフォーマンスをこんなにキレイに捉えてくれてありがとう、と感謝。テレビの前でとてもワクワクしてしまった。

実は「結婚」は東京バレエ団のレパートリーに入っている。
http://www.thetokyoballet.com/repertory/detail.php?id=18
1998年、“ディアギレフ:バレエ・リュスの20世紀”と題された、<東京の夏>音楽祭への参加公演《バレエ・リュスの輝き》で、これを日本初演したとのことだ。多分それ以来上演されていないと思うのだけど、ぜひ一度これを東京バレエ団でまた上演して欲しいって思う。来日公演では到底望めない演目だろうし。


ちょっとずつ文句をつけてはいるけれど、ディアギレフ×ストラヴィンスキーによるバレエ・リュス作品のオリジナリティ、総合芸術としての完成度、素晴らしさに酔いしれた。もっとこれらの作品の上演を実際に目にできる機会があればいいのだけど。せめて早くDVDが出ることを願う。

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********
追記:エイフマン・バレエに所属していて、ミハイロフスキー劇場(レニングラード国立バレエ)の「スパルタクス」にもタイトルロールで客演していたユーリ・スメカロフはマリインスキーにセカンド・ソリストとして移籍していました。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/second_soloists/dancers4/yuri_smekalov

ついでに、ファルフ・ルジマトフの奥様で「奇才コルプの世界」に出演したり、先日行われたミハイロフスキーの新振付「海賊」でもオダリスクの一人として出演していたヴィクトリア・クテポワはコリフェに昇格していました。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/coryphees/coryphees_woman/kutepova/

2009/03/13

2009年7月 ロンドンでの「パリ・オペラ座ガラ」Paris Opera Ballet Gala in London

先ほどのバレエ・リュス関係公演を調べていたら、ロンドンのコロシアムで行われる、パリ・オペラ座のダンサーによる公演の情報に行き当たりました。

Paris Opera Ballet Gala
Jul 21, 7:00pm

出演:Aurélia Bellet, Stéphane Bullion, Mathilde Froustey, Josua Hoffalt, Agnès Letestu, Florian Magnenet, Hervé Moreau, Stéphane Phavorin and Simone Valastro.

演目
Swan Lake - adage de l'acte IV - danse des quatre petits cygnes (Petipa/Nureyev),
Tchaikovsky pas de deux (Balanchine),
Don Quixote pas de deux (Petipa),
Spartacus (Grigorovich),
Romeo & Juliet (Nureyev),
The Lady of the Camellias Black pas de deux (Neumeier),
me2 (Murez),
Approximate Sonata, Slingerland, Limb's Theorem (Forsythe),
Les Bourgeois (Van Cauwenbergh)
Final classique virtuose: quatre en deux parties (Zeummes).

http://www.eno.org/whats-on/whats-on.php?id=1347&season=forthcoming

このメンバーからすると、アニエス・ルテステュがプロデュースしている公演のようですね。かなり豪華な出演者です。

******
オペラ座関係ということで無理やり関連付けて。

ニコラ・ル=リッシュの写真集が去年発売されたのですが、すごく人気があったみたいで、ガルニエの売店では売り切れ、入荷は来年になってからって言われてしまいました。その写真集を撮影した写真家のアニー・ドワノーさんのブログです。

http://www.nicolasleriche-lelivre.com/

現在上演中の「マーラー交響曲3番」のリハーサル風景、そして初日の写真を見ることができます。そのほかにもニコラの写真がいっぱい。

でも、私はリハーサル中のカール・パケットの写真が素敵♪と思ってしまったのでした。

ちなみに、このサイトでのニコラの写真集からの写真は、インターネット上に限り著作権フリーとのことです。
Thumbcouverture1finale

Nicolas Le RicheNicolas Le Riche
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バレエ・リュス100周年記念公演の追加 Diaghilev Ballet Russe Centenary Celebration 2009,

先日紹介したシャンゼリゼ劇場とハンブルク・バレエのほかにも、バレエ・リュス100周年を記念した公演がたくさん行われます。他にもたくさんあると思うのですが、見つけたところからご紹介。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)
English National Ballet, Sadler's Wells, London
Ballets Russes
Les Sylphides 「レ・シルフィード」
Apollo 「アポロ」
The Dying Swan 「瀕死の白鳥」
Schéhérazade  「シェヘラザード」
The Rite of Spring (chor Kenneth MacMillan) 「春の祭典」(マクミラン版)
L'Après-midi d'un faune (chor David Dawson) 「牧神の午後」
Le Spectre de la Rose 「薔薇の精」
June 16 - 20, 2009

オランダ国立バレエ
Het Nationale Ballet, Amsterdam
100 Years of Les Ballets Russes
Les Sylphides 「レ・シルフィード」
Scheherazade (chor Krzysztof Pastor)  「シェヘラザード」
Le fils prodigue 「放蕩息子」
June 19 - 27, 2009

パリ・オペラ座バレエ
Ballet de l'Opéra de Paris
Soirée Ballets Russes
上演作品未定
Dec 12 - 31, 2009

ボストン・バレエ
Boston Ballet
The Prodigal Son 「放蕩息子」
MUSIC: Sergei Prokofiev
CHOREOGRAPHY: George Balanchine
Afternoon of a Faun 「牧神の午後」
MUSIC: Claude Debussy
CHOREOGRAPHY: Vaslav Nijinsky
Le Spectre de la Rose 「薔薇の精」
MUSIC: Carl Maria von Weber
CHOREOGRAPHY: Michel Fokine
Le Sacre du Printemps
MUSIC: Igor Stravinsky
CHOREOGRAPHY: Jorma Elo (World Premiere)  「春の祭典」(ヨルマ・エロ版、新作)
14 - 17 May 2009

ミュンヘン・バレエ
BAVARIAN STATE BALLET MUNICH
Sunday, 10 May 2009
“100 Years Ballets Russes”
Shéhérazade - Mikhail Fokine reconstructed Isabelle Fokine 「シェヘラザード」
Les Biches - Bronislava Nijinska 「レ・ビッシュ(牝鹿)」
Once Upon An Ever After-Terence Kohler

ローマ歌劇場バレエ
Ballet OF ROME OPERA
Les Sylphides -Michel Fokine 「レ・シルフィード」
Les Biches - Bronislava Nijinska / Howard Sayette 「レ・ビッシュ(牝鹿)」
Cléopâtre - Michel Fokine reconstruction Viatcheslav Khomyakov 「クレオパトラ」
Le Tricorne- Léonide Massine staged by Susanne Della Pietra 「三角帽子」
The Firebird - Michel Fokine staged Nicolay Androsov 「火の鳥」
Le Carnaval-musica di Robert Schumann
Coreografia Michel Fokine ricostruita da Odoardo Maria Bordoni「カルナヴァル」
Petruška-「ペトルーシュカ」
musica di Igor Stravinskij Coreografia Michel Fokine ripresa da Nicolay Androsov
Jeux-「遊び」
musica di Claude Debussy Coreografia da Vaslav Nijinskij ricostruzione di Millicent Hodson
Le sacre du printemps-「春の祭典」(ニジンスキー版)
musica di Igor Stravinskij Coreografia Vaslav Nijinskij ricostruzione di Millicent Hodson
Parade-「パラード」
musica di Erik Satie Coreografia Léonide Massine riproposta da Susanne Della Pietra
Pulcinella -「プルチネルラ」
musica di Igor Stravinskij Coreografia Léonide Massine riproposta da Susanne Della Pietra
Le train bleu- 「青列車」
musica di Darius Milhaud Coreografia Bronislava Nijinska ricostruita da Aleth Francillon
07 April 2009 to 11、17 April 2009 to 22、28 April to 03 May
http://en.operaroma.it/stagione/cartellone_2009/les_ballets_russes_1

モンテカルロ・バレエ
LES BALLET DE MONTE CARLO
December 2009
Le Sacre du Printemps 「春の祭典」

ジョフリー・バレエ
JOFFREY BALLET
February 18 to March 1, 2009
Hand of Fate
Cotillon Pas de deux-after Balanchine by Millicent Hodson and Kenneth Archer.
Rite of Spring-Nijinsky reconstruction by Millicent Hodson and Kenneth Archer「春の祭典」(ニジンスキー版)
ほか

Royal Opera House London
"Tribute to Diaghilev"ガラ
http://www.roh.org.uk/whatson/production.aspx?pid=9639
http://www.ensembleproductions.co.uk/events2009.html
7 June 2009
Ensemble Productions presents a special performance celebrating the centenary of the Ballets Russes and its famous creator Sergey Diaghilev. Russian ballet stars and artists of The Royal Ballet, accompanied by the Orchestra of English National Ballet.

Conductor
Valeriy Ovsyanikov

Guest artists include:
Mathilde Froustey、Dmitri Gudanov、Mathias Heymann
Ilya Kuznetsov、Ulyana Lopatkina、Irma Nioradze
Yevgenia Obraztsova、Farukh Ruzimatov、Vladimir Shklyarov
Viktoria Tereshkina、Igor Zelensky
artists of The Royal Ballet

2009/03/12

NBAバレエ団「ゴールデン・バレエ・コースター ガラ」にエフゲーニャ・オブラスツォーワ出演

以前にもお知らせしたNBAバレエ団の「ゴールデン・ガラ」ですが、ダンソマニ日本版様経由で、嬉しい情報が入りました。

マリインスキー・バレエのエフゲーニャ・オブラスツォーワが出演することになったとのことです。去年のNBAバレエ団で彼女の「ドン・キホーテ」の客演を観ましたが、本当に可愛らしくて、しかも素晴らしかったですよね。キトリ役がまだ2回目とは思えないほどでした。


http://www.nbaballet.org/performance/index.html

第9回ゴールデン・バレエ・コースター ガラ
日 時: 2009年7月26日(日)開演 18:00 / 7月27日(月)開演 18:00
会 場: ゆうぽうとホール
チケット料金: SS席:12000円 / S席:10000円 / A席:9000円 / 学生席:8000円

(出演予定):
アディリアス・アルメイダ & ジョセフ・ガッティ (アンヘル・コレーラ・バレエ)
クリスティン・タランティエフ & アレクセイ・タランティエフ (モルダビアン国立劇場バレエ団)
アシュリー・ボーダー & ホアキン・デ・ルース (NYCB)
オクサナ・クチュルク & ロマン・ミハリョフ (ボルドー・バレエ)
ミュリエル・ジュスペルギ & カール・パケット (パリ・オペラ座バレエ)
アレクセイ・コリャーギン (ボリショイ・バレエ)
久保紘一 & シャロン・ウェナー (コロラド・バレエ)
エフゲニヤ・オブラスツォーワ (マリンスキー・バレエ) & ヤロスラフ・サレンコ (NBAバレエ団)
原嶋里会 & 秋元康臣 (NBAバレエ団)

7月26日の作品:
ドン・キホーテ
黒鳥
アザーダンス(ジェロム・ロビンス振付)
バランシンのソナチネ
ジゼル
ドンファン
サタネラ
スターズ・アンド・ストライプス

7月27日の作品:
バッハのフーガ
眠れる森の美女
葉は色褪せて
ドン・キホーテ
アザーダンス
海賊
ジゼル
コッペリア
サタネラ

バレエ団のサイトもリニューアルされて、とても観やすくなっています。楽しみですね~。

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パリ・オペラ座「マーラー交響曲第3番」3e Symphonie de Mahler (J. Neumeier)

2009年3月13日~4月11日に、パリ・オペラ座で 『マーラー交響曲第3番』 (ジョン・ノイマイヤー振付)が上演されます。

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/saison/contenus/index.php?lang=fr&CNSACTION=SELECT_CONTENT&event_id=2&content_id=435  

パリ・オペラ座ではこの作品は初演です。ハンブルク・バレエの日本ツアーを途中で抜けてきたジョン・ノイマイヤーが、振付指導のためにオペラ座に来ていたようです。
3月4日には、ノイマイヤー氏を迎えての "Casse-croûte"もあったそうです。

ジェラール・マノニ氏によるノイマイヤーのインタビューが載っていました。
http://www.altamusica.com/entretiens/document.php?action=MoreDocument&DocRef=3992&DossierRef=3599

インタビューの中で、ノイマイヤーは、この作品は振付家としてだけでなく、自分の人生の中でも非常に重要な位置を占めていると語っています。そもそもは、ジョン・クランコが急死した時に、彼の追悼のために何かを作って欲しいと依頼され、マーラーの交響曲3番の第4楽章が相応しいと考えたところから始まったそうです。交響曲全体を聴いた時に、この作品を創りたいという願いが生まれたとのことです。この作品はストーリーはなく、音楽から呼び起こされた感情を基に創っているそうで、まだ彼が振付家としての仕事を始めたばかりの頃で、大変苦労したそうです。(1975年7月初演)

この作品は、実際に第4楽章がクランコの追悼式にて踊られ、マリシア・ハイデ、リチャード・クラガン、エゴン・マドセンというシュツットガルト・バレエの3人のスターのために創られました。作品の解説にも、クランコと彼のカンパニーに捧ぐ、とあります。ノイマイヤーは、これらの3人のダンサーが、偉大な振付家であり芸術監督であったジョン・クランコを突然失い、死について思いめぐらし、そしてダンス自体を捨てようとも考えたいけれども、再び力を合わせて作品を踊り続けるということを想像して創ったとのこと。

作品全体を通じて、カンパニーそのものが軸となるべきであり、特に主役というものは決めないことにした、しかし第4楽章だけは、3人のソリストを置くことにして、彼らにカンパニーを象徴させることにし、作品の中でも特別な瞬間としています。

オペラ座サイトでの作品解説はこちら
http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/actu/affiche/affiche_details.php?news_id=321&CNSACTION=SELECT_NEWS

****
ところで、パリ・オペラ座弦楽団には、大島莉紗さんという日本人のヴァイオリニストの方がいて、ブログ「ヴァイオリニスト大島莉紗~パリ・オペラ座からの便り~」(大変面白いです)でこのマーラー交響曲第3番のリハーサルについて書かれています。
http://lisaoshima.exblog.jp/9450403/

バレエ公演の歌手は無名の人や若い人が多いのに、今回はオペラにもよく出演する有名人が歌うそうで、オペラ座としても力を入れているのかもしれないとのことです。そして練習はすべてノイマイヤー氏がついて、微に入り細に入り指導しています。長大なこの曲、通常でも1時間40分ですが、楽章間の踊りを合わせると2時間弱で休憩なし。特に1楽章は40分近くあるそうで、男性ソリストは踊りっぱなしで体力的にも大変厳しそうとのことです'(その中で、さすがにニコラ・ル=リッシュは涼しい顔で踊っていたようですね)。マーラーの曲の中でもオーケストラの編成が大きいのだそうですね。

ちなみに、最近発売されたドキュメンタリーDVD"ジョン・ノイマイヤーの世界 バレエの未来そして愛"では、ハンブルク・バレエの「マーラー交響曲第3番」の映像を少し観ることができます。

http://www.fairynet.co.jp/SHOP/4560219321779.html

2009/03/11

シャンゼリゼ劇場のバレエ・リュス100周年公演/ハンブルク・バレエのバレエ・リュス公演

2009年は、バレエ・リュスが誕生してちょうど百年ということで、世界中で公演や展覧会が開催されています。

残念ながら、わが日本では関連イベントは非常に少なくて、先日のNBAバレエ団の「レ・ビッシュ(牝鹿)」の日本初演などのバレエ・リュスガラと、夏にさいたま芸術劇場で開かれる展覧会、京都精華大学での展覧会くらいしかありません。マリインスキー・バレエの来日公演での「フォーキン・プロ」が「オールスターガラ」に変更になってしまう体たらくですから。

さて、パリのシャンゼリゼ劇場では、6月19日から21日まで、バレエリュス記念公演"Les Saisons Russes"が開かれます。

http://www.lessaisonsrusses.fr/

出演は、ボリショイ・バレエのニコライ・ツィスカリーゼ、イルゼ・リエパ、マリインスキー・バレエのイルマ・ニオラーゼとイリヤ・クズネツォフ、そしてクレムリン・バレエのダンサーたち。

上記サイトのLa bande announceをクリックすると、上演演目の映像を少し観ることができます。この映像を観ると、とってもワクワクします。

今回上演されるのは、
「シェヘラザード」(フォーキン振付)
「青神」(フォーキン振付、ウェイン・イーグリング再振付、スクリャービン音楽(法悦の詩)、ジャン・コクトー台本)
「Thamar」(Jurius Smorighinas 振付)
「ボレロ」(ニジンスカ振付、ラヴェル音楽)
です。

チケットとプログラム内容はこちらで
http://www.theatrechampselysees.fr/saison-detail.php?t=3&s=148

ニコライ・ツィスカリーゼの「青神」のポスターがとても鮮やかで素敵ですね。

Shéhérazade (représentations des 20 et 21 juin 2009)
Chorégraphie Andris Liepa d'après Michel Fokine
Musique Nicolas Rimski-Korsakov

Le dieu bleu (représentation du 19 juin 2009)
Chorégraphie Wayne Eagling d'après Michel Fokine
Nouvelle version sur Le poème de l’extase Scriabine
Livret de Jean Cocteau

Thamar (représentations des 19, 20 et 21 juin 2009)
Chorégraphie Jurius Smorighinas
Musique Mily Balakirev
Livret d'après la nouvelle Tamara de Lermontov

Le Boléro (représentations des 19, 20 et 21 juin 2009)
Chorégraphie de Bronislava Nijinska
Musique Maurice Ravel

********
なお、ハンブルク・バレエもバレエ・リュス100年を記念して、様々な作品を上演します。
http://www.hamburgballett.de/e/spielplan.htm

中でも注目はやはりニジンスキー版(ミリセント・ホドソン復元)の「春の祭典」カンパニー初演でしょう。(この間NHKで放映された、マリインスキー・バレエの「白夜祭」で観ることができましたね)

http://www.hamburgballett.de/e/rep/sacre_nij.htm

6月28日にニジンスキー版「春の祭典」はカンパニー初演されますが、まだキャストは決まっていないようです。6月28日、30日、7月11日はこの「春の祭典」のほか、「アルミードの館(ノイマイヤー新作)」「放蕩息子(バランシン振付)」の上演もあります。
Le Pavillon d'Armide/The Prodigal Son/Le Sacre du Printemps


また、5月19日にはバレエ・リュス100周年記念しての「ニジンスキー」(ノイマイヤー振付)の上演があります。
http://www.hamburgballett.de/e/rep/nijinsky.htm

2009/03/10

NHKハイビジョン 4月はバレエ特集/シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ 日本公演再放送

NHKのハイビジョンでバレエ番組をたくさん放映してくれているのは、以前にもお知らせした通りなのですが、4月もバレエ番組がたくさん放映されます。
すべて再放送ですが、「ピンク・フロイド・バレエ」は久しぶりの放映なのではないかしら。

BS20周年関連企画 バレエ特集
2009年 4月13日(月)~16日(木) 23:00 BS ハイビジョン
http://www.nhk.or.jp/bsclassic/special/index.html
(右上の「BS20周年 バレエ特集」をクリックしてください)

2009年 4月13日 (月) 23:00 ~
ボリショイ・バレエ
「スパルタクス」

カルロス・アコスタ、ニーナ・カプツォーワ、アレクサンドル・ヴォスチコフ、マリア・アラシュ
振 付 : ユーリ・グリゴローヴィチ
[ 収録: 2008年1月19日, 22日  フランス パリ・オペラ座 ]

2009年 4月14日 (火) 23:00 ~
英国ロイヤル・バレエ
「マノン」

タマラ・ロホ、カルロス・アコスタ、ホセ・マルタン
振 付 :ケネス・マクミラン
[ 収録: 2008年11月1日ほか ロイヤル・オペラ・ハウス ]

2009年 4月15日 (水) 23:00 ~
パリ・オペラ座バレエ
「ジュエルズ」

「エメラルド」    ( ガブリエル・フォーレ )
クレールマリ・オスタ、カデール・ベラルビ、レティシア・プジョル、マチュー・ガニオ、エレオノラ・アバニャート、ノルウェン・ダニエル、エマニュエル・ティボー
「ルビー」     ( イーゴリ・ストラヴィンスキー )
オーレリ・デュポン、アレッシオ・カルボネ、マリ・アニエス・ジロ
「ダイヤモンド」   ( ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー )
アニエス・ルテステュ、ジャン・ギョーム・バール、イザベル・シアラヴォラ、エミリー・コゼット
振 付 : ジョージ・バランシン
[ 収録: 2007年5月, フランス パリ・オペラ座 ]

2009年 4月16日 (木) 23:00 ~
牧阿佐美バレエ団
「ピンク・フロイド・バレエ」

マリ・アニエス・ジロ、草刈 民代、菊池 研、逸見 智彦、上野 水香
演出・振付:ローラン・プティ
音 楽 :ピンク・フロイド
[ 収録: 2004年2月8日, NHKホール ]

******

あと、先日NHK教育の「芸術劇場」で放映された、天才グスターボ・ドゥダメル指揮、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ 日本公演が、NHKハイビジョンで再放送されます。しかも、このオーケストラを生み出した「エルシステマ」のドキュメンタリーつきで。必見です!

http://www.nhk.or.jp/bsclassic/hvwth/index.html

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ 日本公演の放映は私も観たのですが、ものすごく熱くて楽しい演奏でした。特にアンコールのバーンスタンは凄かったです。このコンサート、観に行きたかったなあ。大反響を呼んだためすぐの再放送になったのではないかと思います。

2009年 4月4日(土) 23:30 ~ 翌 03:50 案内: 堀内 修 (音楽評論家)
クラシック・ドキュメンタリー
「エル・システマ」

クラシック・ドキュメンタリー「エル・システマ」を ドイツ・ユーロアーツ社との国際共同制作で制作・放送する。
「エル・システマ」とは、ベネズエラ・ボリバル共和国の元文化国務大臣、 ホセ・アントニオ・アブレウ博士が立ち上げた音楽教育システムで、 現在、ベネズエラでは25万人におよぶ若者たちがこのシステムによりクラシック音楽の演奏を行っている。 治安悪化が著しく凶悪犯罪の増加が問題となっているベネズエラ。 首都カラカスだけでも500万人以上が貧困地域に暮らし、その半数はこどもたちであるという。 貧困・社会からの遮断・成功の見込めない未来が構造的循環を作り上げている。
1975年、アブレウ博士は貧困地域のこどもたちを路上生活からすくうために、 社会活動とクラシック音楽を結びつけることを始めた。 「演奏技術の習得」ではなく、「共同で演奏を行う」ことを第一義として演奏を開始した。 活動開始から30年以上を経、システムは国立オーケストラ「シモン・ボリバル・ユースオーケストラ」を生み出し、 今をときめく名指揮者グスターボ・ドゥダメル、ベルリン・フィル最年少コントラバス奏者エディクソン・ルイスを 生んだ。そして、アブレウ博士の構想は、30年間にこのシステムの出身者からは犯罪者がほとんど出ていない、 という現実に結実している。
ドキュメンタリーでは3人の青年に密着。カラカスで最も危険な地域とされるバリオに立つ音楽学校での 彼らの日常を通して、「エル・システマ」が彼らの生活をどう変えたのか、 クラシック音楽が社会になにをもたらすのかを描いていく。
尚、日本国内の放送用にはNHK独自取材による素材を追加し、NHKバージョンを制作する。
制作: ユーロアーツ / NHK

グスターボ・ドゥダメル指揮
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ 日本公演

1. バレエ音楽 「ダフニスとクロエ」 組曲2番 ( ラヴェル作曲 )
2. パカイリグアの聖なる十字架   ( カステジャーノス作曲 )
3. 交響曲 第5番 ホ短調 作品64 ( チャイコフスキー作曲 )

管弦楽 : シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ
指 揮 : グスターボ・ドゥダメル

[ 収録: 2008年12月17日, 東京芸術劇場 ]

ニーナ・アナニアシヴィリの来日/グルジア国立バレエ来日情報

ジャパン・アーツのバレエ・舞踊ブログで、夫君であるグルジア外務大臣グリゴル・ヴァシャッゼ氏に同伴して来日したニーナ・アナニアシヴィリについての記事がありました。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/115425608.html

忙しい日程を縫って、ニーナは日本とグルジアの文化交流の一環として新国立劇場バレエ研修所を訪問。4月から予科生としてレッスンに励む女の子たちを対象にレッスンを行なったとのことです。

今年新しくできた新国立劇場の予科は、7名、11歳~16歳の女の子たちなんですね。一人一人に丁寧に教える様子の写真もあって、ニーナの素敵な人柄がうかがえます。

2010年には「グルジア国立バレエ」を率いて再び来日!
なんとこの年は、ニーナ日本デビュー20周年なんだそうです。

★ニーナ・アナニアシヴィリ & グルジア国立バレエ
来日期間:2010年2月~3月
東京公演会場:東京文化会館、ゆうぽうと簡易保険ホール
演目:「ロミオとジュリエット」、「ジゼル」 
(両演目とも、共演:アンドレイ・ウヴァーロフ)

しかも、このブログのエントリでは、ニーナのABTでのファイナルシーズンのスケジュールまで載せているという親切さ。実にMETシーズンでは10回も踊るのですね。日本から観に行く人もたくさんいるのではないかと思います。

http://www.abt.org/

[出演スケジュール]

5月18日(月)オープニング・ガラ

5月20日(水)バランシン&チャイコフスキー・ガラ「Mozartiana」(共演:アンヘル・コレーラ)

5月22日(金)バランシン&チャイコフスキー・ガラ「Mozartiana」(共演:アンヘル・コレーラ)

5月27日(水)「海賊」(共演:マルセロ・ゴメス)

5月30日(土)「海賊」(共演:マルセロ・ゴメス)

6月8日(月)「ジゼル」(共演:マルセロ・ゴメス)

6月12日(金)「ジゼル」(共演:ホセ・カレーニョ)

6月16日(火)「ラ・シルフィード」(共演:マクシム・ベロセルコフスキー)

6月18日(木)「ラ・シルフィード」(共演:マクシム・ベロセルコフスキー)

6月27日(土)「白鳥の湖」(共演:アンヘル・コレーラ)

*********

びわ湖ホールのブログで、同ホールの2009年度公演スケジュール速報が掲載されていました。

http://biwablo.up.seesaa.net/image/2009A5ABA5ECA5F3A5C0A1BC.pdf (PDFです)

バレエ/ダンス関係では、

11月28日(土) マリインスキー・バレエ 『眠れる森の美女』

12月 5日(土) ローザス“z e i t u n g” (中ホール)

12月 5日(土),6(日)キエフ・バレエ 『白鳥の湖』『くるみ割り人形』

2月28日(日) ニーナ・アナニアシヴィリ&グルジア国立バレエ『ロミオ&ジュリエット』

が予定されています。

2009/03/09

ハンブルク・バレエ日本ツアー終了/2010年夏エトワールガラ

ハンブルク・バレエの日本公演は3月7日の福岡の「椿姫」で終了しました。

ハンブルク・バレエのツアーブログに、ツアー中、両作品で大きな役についているにもかかわらず、公演や日本についてエントリをアップしてくださったシルヴィア・アッツオーニとカーステン・ユングの二人は、特にありがとうって言いたいと思います。二人のお嬢さんと離れていて寂しかったというカーステン、横浜での「椿姫」でマルグリット・デビューだったシルヴィア。(カーステンも、「椿姫」でのアルマンの父は初役だったそうです)ツアーの最後の報告をアップしています。3月8日に帰途につき、シルヴィアはサーシャ(アレクサンドル・リアブコ)とヴェトナムにバカンスに出かけるとか。

http://www.hamburgballett-blog.de/hamburg_ballett/2009/03/vier-wochen-in-japan-eine-bilanz.html

シルヴィアとチャゴ・ボアディンとの「椿姫」の黒のパ・ド・ドゥ写真が臨場感があって、美しいですね。(そして、このブログのトップに現れているのは、オットー・ブベニチェクの「シェヘラザード」の黄金の奴隷ですね。セクシーです)

そして、シルヴィアの書くところによれば、2010年夏にまた「エトワール・ガラ」があり、パリ・オペラ座のダンサーたちと参加するとのこと。2008年夏のエトワール・ガラが大きな成功を収めたため、地方公演が行われる可能性も大のようです。まだ一年ちょっと先ではありますが、楽しみですね!

ニコライ・ツィスカリーゼのインタビュー

先日放映されたバレエ・ボーイズによるドキュメンタリー番組「ストリクトリー・ボリショイ」で、強烈な印象を残したニコライ・ツィスカリーゼ。英語で読める最近のインタビューがありましたので、紹介します。ちゃんと訳す時間がないので、本当にざっとした紹介。

'Art is dead – but ballet lives on’
http://www.russiatoday.com/Art_and_Fun/2009-03-05/_Art_is_dead___but_ballet_lives_on_.html

このインタビューは動画で見ることができます。(英語で吹き替えられています)

グルジアのトリビシのバレエ学校では、ずば抜けた才能を持っていたニコライ・ツィスカリーゼ。しかし、意外にもここまでの道は平坦ではなかったようです。そもそも、ロシアとグルジアの関係が良好ではないということもあります。モスクワ舞踊アカデミーに合格したのは、3度目の挑戦でした。そしてバレエ学校を卒業する時も、ボリショイに入団する卒業生のリストには入っていませんでした。しかし、当時のボリショイの芸術監督だったユーリ・グリゴローヴィチが入団試験に現れ、「あのグルジア人が素晴らしいので、採用しなさい」ということで入団できることになりました。グリゴローヴィチは、ツィスカリーゼの名前を発音できなかったのです。

しかしながら、長くまっすぐな脚、柔軟な関節や筋肉を持って素質に恵まれていた彼は、常に羨望にさらされ、周囲は何とかして彼の欠点を見つけようと重箱の隅をつついていて、それが彼の悩みだったようです。

常にベストでありたいと考えるツィスカリーゼは、自分が出演したすべての舞台を録画し、終わった後に見返して、ミスを見つけて修正するようにしているとのこと。教師がどこを指摘するのか事前に確認することで、どのように直せばいいのかが判るとのことです。どのような批判も受け付けないように、「敵」の観点から自分を見るようにしているそうです。

舞台に上がってしまえば、集中してしまうので、舞台の準備をしている時よりはずっと楽だとか。最初のうちはプレッシャーもあったけど、子供時代からのトレーニングが自信の源となって、ボタンひとつですぐに踊ることができてしまう。ストレスにももう慣れてしまい、劇場がたとえ突然崩壊しても気がつかないだろう、と彼は語ります。

興味深いのが、彼のバレエに対する見解。彼に言わせると、現代においては芸術は危機に瀕しているとのことです。その理由は、インターネット、現代のテクノロジー、録音と録画の技術、そしてあっという間に情報が世界中を駆け回るから。芸術はいまやすぐに盗むことができるから、もはや死んでいるのではないかと。

録音技術の進化により、口パクで歌を聴かされてももはや気がつかれない。歌手になるのには、良い声を持っている必要もなくなった。テクノロジーによって毒されていないのは、バレエだけ。バレエとサーカスだけが本物を生で上演できる。他はすべて嘘になりつつあり、芸術は死んだ、と彼は言います。

そして新しいバレエ作品がなかなか作られないことについても語っています。それは、やはりアイディアが盗まれることが多いから、ということです。すでに存在する作品を元にアイディアを練る振付家たちがいるから。反面、現代においては素晴らしいダンサーたちがいる。人間の肉体は、20世紀半ばには考えられなかったレベルにまで発達している。しかし、さらにそれを発達させるためには、何か新しい作品が必要であると彼は感じています。

ダンサーを辞めたときのことを考えると心配ですか、と聞かれて彼はこう答えています。

「いえ、私は長いことボリショイで教師として教えてきたし、リハーサルも教えています。テレビでのキャリアも築かれつつあります。年を取ったダンサーが若い王子の役を演じていることほど最悪なことはありません」

まだ引退するほどの年齢でもないし、大スターであり、大成功を収めた今、これからしていきたいことは?

「まだやりたいことはたくさんあります。新しい役や、面白くて新しいバレエを踊りたいです。自分や同僚に火をつけてくれるようなアイディアが欲しい。今劇場で失われている創造性をもっと見たい」

負けん気の強いツィスカリーゼが、大怪我をしたときのエピソードも印象的です。二度とまっすぐに歩けなくなるのではないかという膝の怪我をしたとき。同僚たちが、「彼はもう踊れないし、もう終わったね。彼の代わりになってやる」と話すのを聞いて、心の中の火に油が注がれるのを感じたそうです。「そんなことはさせない。僕はあんたの葬式で踊ってやる」と。そして、彼は驚異的な回復を見せたそうです。

「トップにい続けることは本当に困難なこと。誰もが頂点を目指して上り続け、自分を引き摺り下ろそうとするから、反撃しなければならない。その上、自分で転げ落ちてしまうのはたやすい。頂点は本当に小さくて、一人でしかそこにいられないから」


言葉の端々から、彼のユニークさ、頭のよさ、そして完全主義者的なところが伝わってきます。なかなか日本で彼の舞台を観る機会はないのですが、ぜひまた観たいものです。特に「Kings of the Dance」はぜひ日本でも実現させて欲しい企画です。

2009/03/08

ハンブルク・バレエ「椿姫」福岡公演から帰ってきました

さすがに福岡日帰りはハードでした。とはいっても、前回の名古屋日帰りと違ってマチネとソワレではなくマチネのみだったからまだ楽でした。今回の福岡行き、遠征仲間も何人かいて、とっても楽しかったです。思いがけない嬉しいハプニングあり、終わった後に友達に連れて行ってもらったお店が、とても素敵で美味しかったし。もちろん、公演が素晴らしかったことは言うまでもありません。感想はまた改めて書きますが、主演の二人は本当に物語を生きているって思いました。いつまでも彼らを見ていたいって思わされました。

これでハンブルク・バレエの来日公演も終わりかと思うと、寂しいですね。前回来たのが2004年ということで、次は2014年くらいでしょうか?たしかノイマイヤーの任期も2014年までだったと思いますが。5年後というのは長いし、今回来たダンサーでも、その間に引退してしまう人もいるんではないかと考えてしまいます。またハンブルクに観に行かなくてはなりませんね。しかしそれはいつのことになることやら。先立つものがないことには…。貯金に励み、会社を首にならないようにしっかり働き、家のこともちゃんとやらなくては、と改めて思ったりして。

で、福岡サンパレスの会場に行って、傑作だったのがロビーに飾ってあったこのお花。

P1020957s

ちゃんと椿で作っているんですね。真ん中の真っ赤なポスターも美しいですよね。誰がこんなアイディアを考えたんでしょうか?日本最終公演だったので、最後は紙吹雪と紙テープも降って来ました。

早起きをして流石に眠いので寝ます。帰宅してNHKハイビジョンで放映されていたマリインスキー・バレエの白夜祭を観ていたのですが、大好きな「結婚」の途中に地震速報のテロップが入ったのにガッカリしました。NHKはこれがあるから…。そういえば東京バレエ団のコジョカルとルグリの「ジゼル」の時だったかな、そのときもテロップが入ったような。早く再放送してくださいね。

***

ちなみに、3月21日には、イタリアのLegnagoで、シルヴィア・アッツォーニ&フレンズ公演があります。

http://www.balletto.net/agenda.php?pagina=dettaglio&giornomeseanno=21-Marzo-2009&cheagenda=1

出演は、シルヴィアのほか、アレクサンドル・リアブコ、カーステン・ユング、カトリーヌ・デュモン(以上ハンブルク・バレエ)、ジェイソン・レイリー(シュツットガルト・バレエ)、バンジャミン・ペッシュ(パリ・オペラ座バレエ)そしてNatasa Novotna と Alessandro Nappaです。ペッシュはティエリー・マランダンの「牧神の午後」(ティッシュが登場するやつですね)を踊るし、サーシャとジェイソンの「マイ・ウェイ」があったり、ジェイソンとシルヴィアの「オテロ」があったりと魅力的なプログラムです。

2009/03/07

レニングラード国立バレエ&キエフ・バレエ他チケット発売開始

光藍社さんが3/7(土)より、下記公演のWeb先行予約を受付とのことです~。
http://www.koransha.com/news_performance/news/090305senkou_yoyaku.html

<バレエ>
キエフ・バレエ
ルジマトフ&レニングラード国立バレエのソリスト
華麗なるクラシックバレエ・ハイライト
キエフ・クラシック・バレエ「白雪姫」
親子で楽しむ夏休みバレエまつり


キエフ・バレエ「眠りの森の美女」「白鳥の湖」「くるみ割り人形」
http://www.koransha.com/ballet/kiev_ballet2009/index.html

眠りの森の美女 白鳥の湖 くるみ割り人形

芸術監督:ヴィクトル・ヤレメンコ
指揮:ヴォロディミル・コジュハル 他
演奏:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

出演予定
<来日予定ソリスト>
エレーナ・フィリピエワ
ナタリヤ・マツァーク
ナタリヤ・ラゼーブニコワ
テチヤナ・ロゾワ
セルギイ・シドルスキー
コスチャンチン・ポジャルニツキーほか


ルジマトフ&レニングラード国立バレエのソリスト
http://www.koransha.com/ballet/ruzileni09summer/index.html

出演予定 ファルフ・ルジマトフ 西島千博

オクサーナ・シェスタコワ
イリーナ・コシェレワ
ミハイル・シヴァコフ
ドミトリー・シャドルーヒン
ミハイル・ヴェンシコフ  (レニングラード国立バレエ)

リムスキー=コルサコフ記念サンクトペテルブルグ・
コンセルヴァトワール・バレエ

予定演目
「シェヘラザード」よりアダージョ(ルジマトフ出演)
「阿修羅」(ルジマトフ出演)
「海賊」より(西島千博出演)
「眠りの森の美女」
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
「ディアナとアクティオン」より   ほか


華麗なるクラシックバレエ・ハイライト
http://www.koransha.com/ballet/leni09summer/index.html

出演予定 オクサーナ・シェスタコワ イリーナ・コシェレワ ミハイル・シヴァコフ ドミトリー・シャドルーヒン ミハイル・ヴェンシコフ  (レニングラード国立バレエ)

リムスキー=コルサコフ記念サンクトペテルブルグ・
コンセルヴァトワール・バレエ

チャイコフスキー3大バレエのハイライトを上演!
「白鳥の湖」よりグラン・アダージョ
「眠りの森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ
「くるみ割り人形」よりグラン・パ・ド・ドゥ
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
「ディアナとアクティオン」より  ほか


キエフ・クラシック・バレエ「白雪姫」
http://www.koransha.com/ballet/kiev_classic_bal2009/index.html


親子で楽しむ夏休みバレエまつり
http://www.koransha.com/ballet/oyakoballet2009/index.html

予定ソリスト ナタリア・クラピーヴィナ(モスクワ音楽劇場バレエ) ゲオルギー・スミレフスキー(モスクワ音楽劇場バレエ) ほか モスクワ・クラシック・バレエのソリストたち

※出演者は、公演日により異なります。
予定プログラム
「シンデレラ」よりハイライト
 シンデレラと王子の踊り
 世界各国の踊り、フィナーレ ほか
「眠りの森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ
「白鳥の湖」より4羽の白鳥
「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ ほか

***

明日ハンブルク・バレエの福岡公演に日帰りで行くため朝が早いので、寝なくてはなりません。日程まで書く余裕がないので、リンク先にてご覧ください。
Webで発表して翌日からチケット発売とはまたあわただしいですよね。光藍社さんからのDMが早く来ないかしら。

特にキエフ・バレエの公演は絶対に観に行きたいです。前回の公演も素晴らしかったし、そして新潟チャリティガラの奈良公演でもとても素敵だったフィリピエワやシドルスキー、さらにコールプのガラで観たとても美しいナタリア・マツァークが出るのですもの。しかも自前オーケストラつきでお値段がとてもリーズナブルです。会場がオーチャードや国際フォーラムAとよくないのが残念ですが。

ハンブルク・バレエといえば、今回来日しなかったロイド・リギンスと、2007年シーズンに引退してしまったニウレカ・モレドのお子さんが3月3日に生まれたそうですね。ハンブルク・バレエのブログに記事が載っていて、カーステンとシルヴィアからのお祝いの言葉が書いてありました。

http://www.hamburgballett-blog.de/hamburg_ballett/2009/03/a-new-star-is-born.html
明日のサーシャとジョエルの「椿姫」が楽しみです。

2009/03/06

第9回 マリインスキー国際バレエフェスティバル 詳細アップデート IX International Ballet Festival MARIINSKY (追記あり)

2009年3月14~22日
マリインスキー劇場
芸術監督 - ワレリー・ゲルギエフ

公式ページ: http://www.mariinsky.ru/en/playbill/festivale/fest226/ix_international_ballet_festival_mariinsky/

キャストが二転三転したマリインスキー・フェスティバルですが、ようやくキャストがほぼ確定しました。とは言っても、例年ふたを開けてみないと結果がわからないわけですが…。

「せむしの仔馬」のイヴァン役が初演キャスト予定されていたウラジーミル・シクリャーロフが降板してミハイル・ロブーヒンに。「ドン・キホーテ」にゲスト出演予定のアシュレー・ボーダー(NYCB)が降板して、キューバ国立バレエのヴィエングゼイ・ヴァルデスに。そして発表はされていなかったものの、当初マチュー・ガニオが客演予定の「白鳥の湖」は、ベルリン国立バレエのミハイル・カニスキンが出演することになりました。

それからすでに発表されているように「ラ・バヤデール」はイーゴリ・ゼレンスキーとポリーナ・セミオノワが出演するのですが、ガムザッティ役は、早速移籍してきたアナスタシア・マトヴィエンコがキャスティングされています…。

ガラ公演の内容も発表されました。
「フー・ケアーズ?」にイーゴリ・ゼレンスキーとノヴォシビルスク・バレエのダンサーたち。その後のディヴェルティスマン集(演目は不明)には、ウラジーミル・マラーホフ、アンヘル・コレーラ。マルセロ・ゴメスも出演するというからすごいですね。マリインスキーからも、ヴィシニョーワ、ロパートキナが出演します。その次の「テーマとヴァリエーション」がシクリャーロフとソーモワなので思いっきりこけますが。

3月14日(土) 18:00
『せむしの仔馬』The Little Humpbacked Horse  初演
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/14/1_1800/
音楽: ロディオン・シチェドリン
振付: アレクセイ・ラトマンスキー
音楽監督: ワレリー・ゲルギエフ
Ivan the Fool – Mikhail Lobukhin
Tsar-Maiden – Viktoria Tereshkina
Little Humpbacked Horse – Ilya Petrov
Tsar – Andrei Ivanov
Conductor: Valery Gergiev

3月15日(日) 19:00
『せむしの仔馬』 The Little Humpbacked Horse
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/15/1_1900/
Ivanushka – Leonid Sarafanov
Tsar-Maiden – Alina Somova
Little Humpbacked Horse – Alexander Kulikov
Tsar – Roman Skripkin
Conductor: Valery Gergiev

3月16日(月) 19:00
『Diana Vishneva: Beauty in motion』
DIANA VISHNEVA: BEAUTY IN MOTION premiere
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/16/1_1900/

Co-production of the Mariinsky Theatre (Russia), the Orange County Performing Arts Center and Ardani Artists Management (USA)
Project Concept and Realisation – Sergei Danilian

PIERROT LUNAIRE  (月に憑かれたピエロ)
one act ballet
Music by Arnold Shönberg
Choreography by Alexei Ratmansky
Assistant of choreographer – Elvira Tarasova
Set design and costumes by Tatyana Chernova
Assistant of set and costume designer – Olga Alexandrova
Conductor – Mikhail Tatarnikov
Performed by Diana Vishneva, Islom Baimuradov, Mikhail Lobukhin, Alexander Sergeyev

F.L.O.W. (For Love of Women)
ballet in three parts
Music: 'nanO' from the album 'ozOne', 'Space Weaver' from the album 'Silver Tree', 'The Moola Mantra'
Choreography and Direction by Moses Pendleton
Props design by Michael Curry
Costume design by Phoeby Katz
Performed by Diana Vishneva, Yekaterina Ivannikova, Yana Selina

THREE POINT TURN
one act ballet
Music by David Rozenblatt
Choreography by Dwight Rhoden
Costume design by Isabel Rubio
Lighting design by Antonio Marques
Performed by Diana Vishneva, Irina Golub, Yana Selina, Mikhail Lobukhin, Anton Pimonov, Alexander Sergeyev

3月17日(火) 19:00
『ドン・キホーテ』
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/17/1_1900/?year=2009&month=3
音楽: ルドヴィク・ミンクス
振付: アレクサンドル・ゴールスキー (1902)
Kitri – Viengsay Valdes (Ballet Nacional de Cuba)
Basil – Leonid Sarafanov
Gamash – Soslan Kulaev
Espada – Konstantin Zverev
Street danser – Yekaterina Kondaurova
Flwer-sellers – Nadezhda Gonchar, Yana Selina
Lady Dryad – Alina Somova


3月18日(水) 19:00
『白鳥の湖』
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/18/1_1900/
音楽: ピョートル・チャイコフスキー
振付: マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ (1895)
改訂: コンスタンチン・セルゲイエフ (1950)
Odette-Odile – Viktoria Tereshkina
Siegfried – Mikhail Kaniskin (Staatsballett Berlin)
The Prince’s friends – Irina Golub, Nadezhda Gonchar, Maxim Zyuzin
Joker – Andrei Ivanov
Rothbart – Ilya Kuznetsov


3月19日(木) 19:00
ウリヤーナ・ロパートキナ・ガラ
詳細未定

3月20日(金) 19:00
『ラ・バヤデール』
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/20/1_1900/
音楽: ルドヴィク・ミンクス
振付: マリウス・プティパ (1877)
改訂: ウラジーミル・ポノマレフ、ワフタング・チャブキアーニ (1941)
Nikia – Polina Semionova (Staatsballett Berlin)
Solor – Igor Zelensky
Gamsatti – Anastasia Matvienko
Minor god – Alexei Timofeyev
Shadows – Irina Golub, Nadezhda Gonchar, Daria Vasnetsova

3月21日(土) 19:00
『ジゼル』
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/21/1_1900/
音楽: アドルフ・アダン
振付: ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパ
Giselle – Diana Vishneva
Count Albert – Marcelo Gomes (American Ballet Theatre)
Hans – Ilya Kuznetsov
Mirtha – Yekaterina Kondaurova
Classical duet – Valeria Martynyuk, Filipp Stepin


3月22日(日) 19:00
ガラ・コンサート
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/22/1_1900/

I. WHO CARES?
Music by George Gershvin
Choreography by George Balanchine
Lighting designer – Igor Yakushev
Conductor – Alexander Novikov
Performed by Igor Zelensky, Elena Lytkina, Natalia Yershova, Anna Zharova and artists of the Novosibirsk State Opera and Ballet Theatre


II. DIVERTISSEMENT
Choreographic miniatures, scenes and pas de deux from the classical ballets
Conductor – Mikhail Agrest

Performed by Ulyana Lopatkina, Diana Vishneva, Viktoria Tereshkina, Yevgenia Obraztsova, Angel Corella, Marcelo Gomes, Vladimir Malakhov, Leonid Sarafanov, Ivan Kozlov


III. THEME AND VARIATIONS
A classical ballet
Music by Pyotr Tchaikovsky
Choreography by George Balanchine (1947)
Staging by Francia Russel
Costumes by Galina Solovieva
Lighting design by Vladimir Lukasevich
Conductor – Mikhail Agrest
Performed by Alina Somova, Vladimir Shklyarov and artists of the Mariinsky Ballet

3/8追記
ロパートキナ・ガラのプログラムが一部決まりました。
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/playbill/2009/3/19/1_1900/

I. Diamonds
Music: Pyotr Tchaikovsky from Symphony No. 3 in D Major, 1875 (first movement omitted)
Staging: Karin von Aroldingen, Sarah Leland, Elyse Borne and Sean Lavery
Scenery: Peter Harvey (1967)
Costumes: Karinska (1967)
Recreations of costumes supervised: Holly Hines
Original lighting: Ronald Bates
Lighting: Perry Silvey

Performed by Ulyana Lopatkina, Danila Korsuntsev

II. Divertissement

III. Schéhérazade

choreographic drama in one act
Music: Nikolai Rimsky-Korsakov
Choreography: Michel Fokine (1910)
Scenario: Léon Bakst and Michel Fokine after Arabian Nights fairytales
Reconstruction: Isabelle Fokine, Andris Liepa
Set and costume design: Anna Nezhnaya, Anatoly Nezhny after original sketches: Léon Bakst

うわ~素晴らしいキャスティングです。ロパートキナとダニーラ・コルスンツェフの「ダイアモンド」、そしてロパートキナとボリショイのドミトリー・グダーノフの「シェヘラザード」!これは最高ですね~。超超観たい!です。ジャパン・アーツ様、ぜひロパートキナ主演の「シェヘラザード」をオールスターガラの最後に持ってきてください、お願いします。

Performed by Ulyana Lopatkina, Dmitry Gudanov (Bolshoi Theatre)

2009/03/05

「ヌレエフとの密なる時」Temps lies avec Noureev ローラン・プティ

版元の新風舎が倒産したので、手に入れるのが大変かな、と思っていた本だったのですが、なぜか普通にとある大き目の書店の芸術書コーナーに売っていました。

かの振付家ローラン・プティが、1959年に偶然ウィーンでルドルフ・ヌレエフに出会ってから、1993年の彼の死までの30年以上にわたる友情を自ら綴った本。まるで詩か小説を書いているかのような独特の文体。100ページほどで版型も小さい本なのですが、あっという間に読めて、ものすごく面白かったです。これは30年間のプティとヌレエフの深く激しい愛憎を綴ったと言ってもいいほどで、ヌレエフという人間がいかに強烈で、天才的で荒馬のように激しく、嵐のような人生を駆け抜けて行ったかがよくわかります。彼と直に接して友情(ほとんど愛情)を保ち、そして彼の魅力に強くひきつけられていた人でないと書けない文章だと思いました。

1970年代には年間250回も舞台に立ち、750時間も踊っていたという驚異的なヌレエフの肉体。しかし、その裏には凄まじい筋肉の疲労がありました。ニューヨークのメトロポリタンオペラハウスで「ノートルダム・ド・パリ」を踊ったときのプティとヌレエフの衝突、「若者と死」のエピソード。ヌレエフのワイルドな私生活。ヌレエフとマーゴ・フォンテーヌとのこと。病に冒されながらも、凄まじい治療に耐えながらも最後まで踊ることを切望し、戦い抜いた死までの日々。なかなか衝撃的な記述もあるし、魂のぶつかり合いも赤裸々なまでに記してあります。気難しくエキセントリックだけど、同時に愛すべき人物であったヌレエフの人物像、そしてそんなヌレエフとぶつかり合いながらも惹き付けられ、魅せられて長年にわたって友情を結んだプティという人の魅力も伝わってきます。

絶版にはなっていますが、アマゾンのマーケットプレイスなどで安く入手可能なので、興味のある方はぜひ。他のヌレエフの伝記なども読みたくなってきました。

これを読んでからだと、4月の草刈民代プロデュースの「エスプリ」公演なんかも、違った見え方がするんじゃないかと気がしてきます。正直言って、私はそれほどプティの作品を今まで観ていていないので、それまでに映像などでちょっと予習した方がいいのかしら。

ヌレエフとの密なる時ヌレエフとの密なる時
Roland Petit 新倉 真由美

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追記:コメントでshioさんに教えていただきましたが、ローラン・プティの公式サイトができました。動画や写真もふんだんに載っています。ジジ・ジャンメールとプティ本人のほか、ミハイル・バリシニコフ、アルティナイ・アスィルムラートワ、ドミニク・カルフーニ、マッシモ・ムッル、ルシア・ラカッラらの動画が見られます。

http://www.roland-petit.fr/


マニュエル・ルグリの世界バレエフェスティバル出演演目

マニュエル・ルグリのオフィシャルサイトで、出演予定が更新されていて、世界バレエフェスティバルでの出演演目が出ていました。

http://www.manuel-legris.com/actualite.html

Japon Tokyo : "World Ballet Festival" avec Aurélie Dupont :オーレリー・デュポンと

le 1, 2, 3 et 4 Août 2009 : Programme A
"La dame aux Camélias" acte 1 (j Neumeier) 「椿姫」1幕

le 8, 9, 10 et 11 Août : Programme B
"Bella Figura" (Jiry Kylian) 「ベラ・フィギュラ」

le 13 Août : Gala ガラ
"Sonatine" (George Balanchine) 「ソナチネ」
"The Picture Of..." (Patrick de Bana) 「The Picture Of...」

le 16 et 17 Août : Hommage à Maurice Béjart  ベジャールへのオマージュ
"Le chant du compagnon Errant" avec Laurent Hilaire ローラン・イレールと「さすらう若者の歌」

8月13日にガラがあるんですね、やっぱり。また入手困難になることでしょうね~。今回も無事に買えるのでしょうか。そしてイレールさんが、ベジャール・プロのために来日するんですね。

その前に7月24,25日にスペインのNerja というところで、ルグリはグループ公演を行うようです。エレオノーラ・アッバニャート、リュドミラ・パリエロ、グレゴリー・ドミニャック、ファビアン・レヴィヨン、そしてパトリック・ド・バナらと。


追記;オネーギンの予定キャストが、オペラ座のオフィシャルにも出ました。日ごとキャストはまだです。

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/saison/ballets/ballets_details.php?lang=fr&event_id=74&CNSACTION=SELECT_EVENT

初日の4月16日、18日、ルグリのアデューが予定されている5月15日がソールドアウトになっています。

FIGARO JAPON 2009 3/20号 No.383 アニエス・ルテステュのインタビュー

今日発売されたFIGARO JAPON 2009 3/20号の特集は、「女は年を取るほど美しい」

http://madamefigarojapon.hankyu-com.co.jp/con/

イザベル・ユペール、ジェーン・バーキン、 ジュリエット・ビノシュ、サンドリーヌ・ボネール、 イネス・ドゥ・ラ・フレサンジュといった錚々たる女性たちの中で、アニエス・ルテステュのインタビューも2ページを使って掲載されています。

アニエスは今38歳なのですが、定年が42歳なので、あと4年しかオペラ座で踊ることができないというのにちょっと驚いてしまいました。先日の「ライモンダ」でも、あんなに長くて踊りの多い役柄なのに、強靭なテクニックの中に優雅さを湛えていて、まだまだ踊り盛りという印象が強かったものですから。

「若い時より疲れを感じたと思う?それが逆なのよ。若い頃から踊っているので、身体に踊りが刷り込まれていて、稽古が少なくても簡単にそれを取り出せるの。8年前に「ライモンダ」を初めて踊ったとき、苦痛そのものだった記憶がある作品なのに、今回はずっと簡単に感じられたの。私だけでなく、オーレリー・デュポンも同じことを言っていたわ」

エトワールとしてだけでなく、最近は衣装デザイナーとしても活躍しているアニエス、次は野外オペラ「リゴレット」の衣装を手がけるそうです。最近はガラ公演のオーガナイズもしているということで、そういえばありましたね。42歳の定年後も、ますます美しく生き生きと活動している姿が想像できます。

何かをもたらした出会いは、と聞かれたら「椿姫」でのジョン・ノイマイヤーだそうです。

少女時代から今に至るアニエスの写真が何枚か載っていますが、13歳でオペラ座学校に入学した頃の彼女は本当に可愛らしい美少女ですね。でも今の面影があります。

*****
この号の、上記を含む女性たちのインタビューはどれもとても面白く読むことができました。特に印象的だったのは、最近、自閉症の妹についてのドキュメンタリー映画「彼女の名は、サビーヌ」を初監督した女優のサンドリーヌ・ボネール。「仕立て屋の恋」から「沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇」「嘘の心」など、毎回すごい演技を見せている彼女に、そのような人生の側面があったとは。それから52歳の今も輝くばかりに美しいイネス・ド・フレサンジュ、来週アクラム・カーンと舞台「in-i(イン・アイ)」で来日するジュリエット・ビノシュ、最近はミャンマーなどの人権問題にも取り組んでいるジェーン・バーキン、表紙も飾っている大女優のイザベル・ユペール。ユペールは一度映画の仕事であったことがあるのですが、大物なのにとても感じがよくて素敵な人だったのを覚えています。

それからとても小さなスペースですが、「舞台」のコーナーで、ベルリン国立バレエの「カラヴァッジオ」の紹介記事が写真一枚と共に掲載されていました。ベルリン国立劇場で、4月16日、19日、25日に上演されるようです。

次号のFIGAROは、また隔号連載の「パリ・オペラ座バレエ物語」が掲載される号ですが、「日常のパリを歩く」ということで一号まるごとパリ特集です。

madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2009年 3/20号 [雑誌]madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2009年 3/20号 [雑誌]

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新国立劇場「Ballet the Chic―バランシン/サープ/ドゥアト―」のキャスト

新国立劇場「Ballet the Chic―バランシン/サープ/ドゥアト―」のキャストがやっと出ました。ゲスト出演の日もあるのに発表が遅いですね~。中村誠さんが久々に出るのがちょっと嬉しいです。
私は日曜日のチケットを持っているんですが、マイレンが出ないから彼が出る日を買い足さなくでは!


ジョージ・バランシンの『セレナーデ』〈再演〉
トワイラ・サープの『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』〈新制作(日本初演)〉
ナチョ・ドゥアト『ポル・ヴォス・ムエロ』〈再演〉
井口裕之『空間の鳥』

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000085_2_ballet.html#cast

<セレナーデ> 寺島ひろみ、厚木三杏、堀口 純(26日・28日昼・29日) 西山裕子、寺島まゆみ、寺田亜沙子(27日、28日夜)

森田健太郎、中村 誠(26日・28日昼・29日)
マイレン・トレウバエフ、冨川祐樹(27日、28日夜)

ほか 新国立劇場バレエ団

<空間の鳥>
真忠久美子(26日・28日昼・29日)
前田新奈(27日、28日夜)  

貝川鐵夫、江本 拓、八幡顕光、高木裕次、佐々木淳史、末松大輔、アンダーシュ・ハンマル、泊 陽平、清水裕三郎、野崎哲也、原 健太、三船元維

<ポル・ヴォス・ムエロ>
湯川麻美子、遠藤睦子、西川貴子、本島美和、丸尾孝子
高橋有里/小野絢子(交替出演)

吉本泰久、貝川鐵夫、陳 秀介、冨川祐樹
山本隆之/芳賀 望(交替出演)
古川和則/末松大輔(交替出演)

<プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ>
デニス・マトヴィエンコ(26日・28日昼・29日)
福田圭吾 (27日、28日夜)

ほか 新国立劇場バレエ団

◆演目は上記の順で公演されます。

2009年3月4日現在

福田圭吾さんは大抜擢ですね!

東京バレエ団「白鳥の湖」若手特別公演 キャスト変更

3月14日に予定されている東京バレエ団「白鳥の湖」若手特別公演<Stars of Tomorrow>ですが、キャストが変更になってしまったようです。

http://www.thetokyoballet.com/news/

3月14日(土)の若手特別公演<Stars of Tomorrow>においてジークフリート王子役に抜擢した柄本武尊は、リハーサルの過程で本役を演じるには時期尚早との判断から、このたびは降板させ、次回に期待することにしました。このため、オデット役、オディール役を演じる新人ふたりとのパートナーシップの関係から、今回は代わって経験豊富な後藤晴雄がジークフリートを演じます。何卒、ご了承のほどお願い申し上げます。

公演のサイトはこちら
http://www.nbs.or.jp/stages/0903_swanlake/sot.html

そ、そうですか…。
一応NBS賛助会員なので、この公演は招待券を頂いて、観に行く予定なのです。うーん、柄本武尊さんがとても気の毒です。主演させて大丈夫だと思ったから、キャスティングしたんでしょうに、そんなに簡単に降板させていいのでしょうか。最新のダンスマガジンでも、共演する渡辺理恵さんと川島麻実子さんとともに、インタビューに登場していたのに、直前になってそのような理由で降板になってしまうとは残念です。そこまで指導できなかった教師陣や上層部は責任重大ですよね。最後まで責任持って、舞台に上げられる状態に鍛得なければならなかったと思うのです。柄本武尊さんはこれにめげることなく、次のチャンスをつかんで欲しいなと思います。せっかく長身で容姿に恵まれているし、文字通り次代のスターになれる素材のはずですから。応援したいですよね。

代役は後藤晴雄さんですか。個人的には木村さんが良かったな…。まだ木村ジークフリートを観たことがないんです。木村さんと言えばチーム・スペインだったので。

追記:オフィシャルにキャストが出ました。

「白鳥の湖」<Stars of Tomorrow>(若手特別公演)

オデット:渡辺理恵
オディール:川島麻実子
ジークフリート王子:後藤晴雄
ロットバルト:柄本弾
道化:中川リョウ
パ・ド・トロワ:森志織、福田ゆかり、宮本祐宜

四羽の白鳥: 佐伯知香、吉川留衣、村上美香、岸本夏未
三羽の白鳥: 西村真由美、乾友子、奈良春夏
チャルダッシュ 西村真由美 松下裕次
ナポリ: 佐伯知香 中川リョウ
マズルカ: 田中結子、山本亜弓、中島周、野辺誠治
スペイン: 高木綾、奈良春夏、木村和夫、横内国弘

木村さんのスペインが見られるのが嬉しいです。しかし、柄本武尊さんはロットバルト役も降板するんですね。残念です。

2009/03/04

3~4月テレビ放映情報の追加

NHK BS-Hi のハイビジョン クラシック館 のバレエ放映予定が追加されていました。残念ながら全部再放送です。DVD化されていないのは東京バレエ団の「ジゼル」だけですね。

http://www.nhk.or.jp/bsclassic/hvkan/index.html

2009年 3月8日(日) 08:00 ~ 09:31
ボリショイ・バレエ団公演
バレエ「ボルト」
  ( ショスターコヴィチ )

アナスタシア・ヤツェンコ
アンドレイ・メルクリエフ
デニス・サビン
イワタ・モリヒロ
ボリショイ・バレエ団 ほか


2009年 3月15日(日) 08:00 ~ 09:40
東京バレエ団 公演
バレエ「ジゼル」 
  ( アドルフ・アダン作曲 )

アリーナ・コジョカル 〔英国ロイヤルバレエ団プリンシパル〕
マニュエル・ルグリ 〔パリオペラ座バレエ団エトワール〕
木村 和夫
井脇 幸江
東京バレエ団 ほか

2009年 3月22日(日) 08:00 ~ 08:54
パリ・オペラ座 公演
バレエ 「カルメン」

振付 : ローラン・プティ
出演 : ニコラ・ル・リッシュ
〃 : クレールマリ・オスタ
パリ・オペラ座バレエ団

以前にお知らせしたNHK BS-Hi ハイビジョン ウイークエンド シアターの方も再掲します。こっちは、貴重な初出映像がたくさんあって嬉しいですね。
http://www.nhk.or.jp/bsclassic/hvwth/index.html

2009年 3月7日(土) 22:00 ~ 翌 02:00 案内: 佐々木 涼子
サンクトペテルブルク白夜祭 2008
ワレリー・ゲルギエフ指揮 バレエ「火の鳥」「結婚」「春の祭典」

3月7日(土) 22時06分00秒 ~ 23時59分00秒 [ 1時間53分00秒 ]

「火の鳥」   ( ストラヴィンスキー作曲 )
「結婚」   ( ストラヴィンスキー作曲 )
「春の祭典」   ( ストラヴィンスキー作曲 )

バレエ : マリインスキー劇場バレエ団
管弦楽 : マリインスキー劇場管弦楽団
指 揮 : ワレリー・ゲルギエフ

[ 収録: 2008年6月, サンクトペテルブルク・マリインスキー劇場 ]
- 国際共同制作: マリインスキー劇場 / ベル・エア・メディア / アルテ・フランス / NHK -


ベスト・オブ・モーリス・ベジャール ~ 愛、それはダンス ~

3月8日(日) 00時00分30秒 ~ 01時32分30秒 [1時間32分00秒]

バレエ : モーリス・ベジャール・バレエ団
照明 : クレマン・ケロル
衣装 : アンリ・ダヴィラ
振付 : モーリス・ベジャール
[ 収録: 2005年5月31日,6月1日  パレ・デ・スポール (フランス・パリ) ]


クラシック 名曲への道
ロシア文化の精華  サンクトペテルブルク 2

3月8日(日) 01時32分30秒 ~ 01時59分30秒 [0時間27分00秒]
ヨーロッパの都市をめぐり、その都市にゆかりの深い音楽家とその音楽を紹介する番組。
番組のホスト / プレゼンターは イギリスの俳優サイモン・キャロー。
出 演:
サイモン・キャロー
ニキ・ヴァシラキス
[ 制作:Pty Ltd ]


2009年 3月14日(土) 22:00 ~ 翌 02:00 案内: 佐々木 涼子

英国ロイヤル・バレエ
バレエ「マノン」

マノン : タマラ・ロホ
デ・グリュー : カルロス・アコスタ
レスコー : ホセ・マルタン
振付 : ケネス・マクミラン
指 揮 : マーティン・イェーツ
音楽(編曲) : レイトン・ルーカス

[ 収録: 2008年11月1日ほか, ロイヤル・オペラ・ハウス ]
- 制作: NHK / ROH / OpusArte -

新国立劇場公演
バレエ「ラ・バヤデール」

ニキヤ : スヴェトラーナ・ザハロワ
ソロル : デニス・マトヴィエンコ
ガムザッティ : 湯川 麻美子
大僧正 : ゲンナーディ・イリイン ほ か

[ 収録: 2008年5月20日,24日  新国立劇場 オペラ劇場(オペラハウス) ]


2009年 3月21日(土) 22:30 ~ 翌 03:00 案内: 佐々木 涼子
モナコ公国モンテカルロ・バレエ団
バレエ「ル・ソンジュ (夢 Le Songe)」

管弦楽 : モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
指 揮 : ニコラ・ブロッショ
振付・演出 : ジャン・クリストフ・マイヨー
美術 : エルネスト・ピニョン=エルネスト
衣装 : フィリップ・ギヨテル
照明 : ドミニク・ドゥリョ

[ 収録: 2008年10月上旬, グリマルディ・フォーラム (モナコ) ]
- 制作: Europe Image / NHK -

パリ・オペラ座
バレエ「椿姫」

振付 : ジョン・ノイマイヤー
[ 収録: 2008年7月2,5日  パリ・オペラ座 ]

2009年 3月28日(土) 23:30 ~ 翌 03:30
2月歌舞伎座公演から

※) 演目未定

※放映時間等は、恐れ入りますが、必ずオフィシャルサイトもしくは新聞等の番組案内、EPG等でご確認ください。

まだDVDレコーダー(多分ブルーレイにします)の新しいのが買えていなくて、録画予約が失敗することが多く、危うく日曜夜の「ストリクトリー・ボリショイ」も録画しそびれました。時間が遅かったので、まだ最初の方しか観られていません。うちはチャンネル権を大魔王が握っているもので…。

*******

クラシカ・ジャパンの3月の番組案内を見ていたら、4月の予定としてプレルジョカージュの「受胎告知」の放映が予定されると書いてありました。これは凄く楽しみかも!

それから、サイトのほうを見ていたら、
http://www.classica-jp.com/lineup/index.html
4月の特集は「スターダンサー、ロベルト・ボッレ」として、「チャイコフスキー・ガラ」他の放映があるのと(みんなDVD化済みですが)、クラシカ・ラウンジでインタビューなどが流れるそうです。

4月5日(日)#51 スターダンサー、ロベルト・ボッレ
ボッレとラカッラが主演した2008年10月ジョン・ノイマイヤー『椿姫』(ミラノ・スカラ座バレエ)の模様とボッレ独占インタビュー、さらにほとんど見ることができないリハーサル風景など、ミラノで収録した日本初映像は必見。

これも超楽しみですね~。世界バレエフェスティバルに残念ながらロベルトが出ないので、これで少し渇きを癒すことができればと思います…。

2009/03/03

『エスプリ』追加キャスト(タマラ・ロホ出演)、ロイヤル・バレエのキャスト変更他いろいろと

ほみさんのBallet一色のエントリで、草刈民代プロデュース「エスプリ」の追加キャストと追加演目について教えていただきました(ありがとうございます!)

≪予定出演者≫
全日程:草刈民代、ルイジ・ボニーノ、マッシモ・ムッル、リエンツ・チャン、イーゴリ・コールプ
4月2日~8日:ワン・チーミン、リー・チュン
4月11日~19日:田中祐子
4月21日~24日:タマラ・ロホ

追加の演目については、リンク先の「Ballet一色」さまにてご覧ください。

タマラ・ロホが追加出演とは、これまたびっくりです。新国立劇場での「コッペリア」の前にこちらに出演なのですね。ロイヤルはけが人が多くて、人手不足なのに光藍社さんががんばったのか、草刈さんが頑張ったのか、はたまたローラン・プティのご威光か。バレエフェスを入れると、タマラは今年3回も日本に来ることになります。

*****

そのロイヤル・バレエですが、シーズン直前に骨折をしてしまったサラ・ラムが5月1日に「ジゼル」デビューする予定だったのですが完治せず、代役としてジゼルを踊るのはローレン・カスバートソン。彼女もジゼルデビューとなります。実はその公演のチケットを持っているんですよね。

また、すでに話題になっていてご存知の方も多いかと思いますが、3月23日、26日のロイヤル・バレエ「白鳥の湖」はロベルタ・マルケスに代わり、マリインスキー・バレエからエカテリーナ・オスモルキナが客演します。これも、アリーナ・コジョカルの欠場に起因するキャスト変更です。アリーナは今のところ、「ジゼル」では復帰する予定のようですが、心配ですよね。バレエフェスのほうも無事に出演してほしいものです。

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今日の毎日新聞の夕刊に、モンテカルロ・バレエの小池ミモザさんのインタビューが載っていました。
模様:日本舞踊の繊細さ、バレエに--小池ミモザさん
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20090302dde007070071000c.html

去年膝を怪我して5週間も外に出られなかったのですね。それからまた復帰できて嬉しい限りです。先日のモンテカルロ・バレエの来日公演で小池さんを観られなかったのが残念です。

実は私は2月のモンテカルロ・バレエの「ラ・ベル」を観に行ったのですが、日曜日のマチネに行ったところ、思いっきりセカンドキャストでベルニス・コピエテルスも、小池ミモザさんも観ることができませんでした。オーロラ役のバレリーナがプロポーションがあまりにもよくなくて、オーロラの登場シーンまではとても面白かったのに、そこでガッカリしてしまって途中から観る気がうせてしまったのです。映像ではこの作品を前に全部観ていて、ベルニスの完璧なプロポーションと神々しい美しさにうっとりして楽しめたのに。したがってここに感想を書いていなかったのです。
ハンブルク・バレエの『人魚姫』初日に、客席で小池さんはじめモンテカルロ・バレエご一行を見かけたのですが、さすがに小池さんはすらりと背が高くて日本人離れしたプロポーション、きれいで目立っていました。

世界バレエフェスティバルにベルニス・コピエテルスが出てくれるのがとても嬉しいです。

そして、同じ毎日新聞の夕刊に、三浦雅士氏によるハンブルク・バレエの「人魚姫」評が載っていました。三浦氏による評なので、中身は読まなくても見当がつくような。

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新国立劇場の寺島ひろみさんが、中川鋭之助賞(まだリンク先には、寺島さんのことは書いてありません)を受賞されたそうです。寺島ひろみ・まゆみ公式サイトにお知らせが載っていました。
http://www.t-twins.net/message/index.html
今日の東京新聞にインタビューが載っていたようです。おめでとうございます!ますますのご活躍をお祈りします。

2009/03/02

2/22マチネ ハンブルク・バレエ「人魚姫」 

ジョン・ノイマイヤー芸術監督就任35周年記念
ジョン・ノイマイヤー/ハンブルク・バレエHamburg Ballett『人魚姫』Die kleine Meerjungfrau (全2幕)
2009年2月22日 13時開演 愛知県芸術劇場

演出・振付・舞台装置・照明・衣装:ジョン・ノイマイヤー
音楽:レーラ・アウエルバッハ
指揮:サイモン・ヒューウェット 演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ヴァイオリン:アントン・バラコフスキー
テルミン:カロリーナ・エイク

詩人:イヴァン・ウルバン
人魚姫/詩人の創造物:エレーヌ・ブシェ
エドヴァート/王子:カーステン:ユング
ヘンリエッテ/王女:カロリーナ・アギュエロ
海の魔法使い:アミリカー・モレット・ゴンザレス

愛知県芸術劇場の5階席は初めて。今までずっと「人魚姫」は1階前方で観てきたのだけど、高いところから見ると、立体的に舞台が見えるので色々と発見があって面白かった。主役だけでなく、群舞の方も見ることができるし。ただしこの劇場の5階1列目は手すりが邪魔で非常に観づらい。高い位置なので手すりがないと危険なのは理解できるんだけど。

<1幕>
エレーヌ・ブシェの人魚姫は、最初に観た2月15日の時とはかなり演技が変化していたのが、興味深かった。視線や首の使い方が独特。最初に観たときには、シルヴィア・アッツオーニのあまりにも強烈な演技を観たばかりということもあって、シルヴィアよりかなり人間っぽい印象があった。ところが、今回、エレーヌはだいぶ演技プランを変えてきたようだ。大きな目を見開き、ちょっと首をかしげる様子が、人間離れしていて妖しい。振り向く時も、身体の位置は変えないで顔だけ向いていたり、本当に海の中で泳いでいる生き物のようだった。シルヴィアの人魚姫、が、どこを見ているのかわからない青く澄んだ瞳が印象的で、まるで妖精のように見えていたのとは対照的。。

エレーヌの黒い瞳、詩人が海に落ちたことで眠りから醒めた瞬間から、強い瞳の力が目に飛び込んでくる。海の中で泳いでいる時も、自信に満ちていて、好奇心に溢れていて、意思的なイメージで美しい姫だった。ゴルフボールを海に落として自分も溺れてしまった王子の姿を見かけ、意識のはっきりしていない彼と戯れる時のイタズラっぽい表情が、女らしく色っぽい。初めて恋を知る少女のようであり、とても無邪気そうなのに。

高い位置から見ると、人魚姫が魔法の影たちにどのようにリフトされているのかが良くわかって面白い。人魚姫の袴が、低いところから見るより、布の面積が長くて大きく、影たちがそれを大きく広げつつリフトしているのがわかって、実は本当に大変なことをやっているんだというのがわかった。照明の使い方もよくわかる。1階から観たときにはよく見えなかった、人魚姫の姉妹たちや海のクリーチャーたちの動きもしっかりと見えた。この作品、特に1幕は、このようにちょっと高いところから観たほうが、海の波打つ感じ、立体感、水の重力の重さもわかって良いのではないだろうか。

人魚姫が人間になりたいと願い、そしてその願いをかなえようと海の魔法使いが悪代官のごとく人魚姫を床でごろごろ転がして尾ひれを剥ぎ取り、そして魔法の影たちで寄ってたかって、鱗の描いてあるボディスーツも脱がすところはやっぱりとても暴力的に思えた。その痛みに泣き叫ぶ人魚姫。さっきまで人魚姫がまとっていた尾ひれを、海の魔法使いは自分の腰の回りに巻きつけている。海の魔法使いはマッチョで、すごくエロティックな存在だと思う。そして、ここは、異論もあるだろうけど人魚姫が女になったことを暗示している場面に思える。

さて、人魚姫は、王子に愛されたいと思い、人間になれば王子に愛されると思った。詩人も、エドヴァードに愛されたいと願っている。詩人は、もし自分が女性に生まれていれば、王子に愛されたのかもしれないと思っていたはずだ。ところが、結末は非常に残酷だ。人魚姫が脚を手に入れて人間の女性になっても、本物の人間ではないから、王子は人魚姫のことは可愛いペットみたいだと思っても、人間の女性として愛することはなかった。人間になった人魚姫は、海の中で自由に泳ぎ回っていた時の自信に満ちた美しさは失われ、異形の存在である。そうして、同性愛者であった詩人=アンデルセンは、男性である自分がどんなにエドヴァードを愛したとしても、エドヴァードは彼を愛することはないことを知った。同性愛者というのも、ヘテロセクシャルの人の一部からは、人魚姫と同様の異形の存在に見えてしまうのだから。

裸同然の状態で陸に打ち上げられ、指が10本あるわ、と喜び王子に出会えたのもつかの間。歩こうとすると激痛が走る人魚姫は、コートを着せられ車椅子に乗せられて身を縮こまらせ、まるで頭のおかしい子のような扱いを受けさせられてしまう。さらに水兵の服を着せられて何も判らず喜んでいると、水兵たちに嘲笑される始末。海の中での人魚姫が堂々としていて姫らしく、とても美しかっただけに、このくだりは何回観ても辛い。

やっぱりノイマイヤーは残酷だ。でも、その残酷さの中に愛があり救済があるところが、ノイマイヤーなんだと思う。


<2幕>
あんなにも着たがっていた女学生の灰色の服を着てポアントを履き、狭い小部屋に閉じ込められた人魚姫。地味な服と、人魚姫の独特のメイクが不釣合いでちょっと異様な感じ。高貴な姫らしい化粧と、女学生の服がミスマッチなのだ。狭い狭い小部屋で長い手脚をもてあましている人魚姫。閉所恐怖症の彼女は、狭さに息がつまりそうになって激しくもがき天井を叩く。海の中で夢見た地上の生活がこんなにも苦しみに満ちたものだったとは。ここでの彼女の踊りは「ニジンスキー」でショスタコーヴィチの11番「1905年」に合わせて激しく苦悶するニジンスキーを髣髴させるものだ。そして、この場面では、人魚姫に影のように寄り添っていた詩人の姿がない。それだけに、人魚姫のよるべなさ、孤独と苦悩が浮かび上がってくる。

王子と王女の結婚式。
純白の挙式場。美しく着飾った長身の招待客たちがまず入ってくる。シンプルでモダンなドレスをまとった女性たちは、まるでモデルのようにゴージャスだ。ついで水兵たちが踊り、しずしずと新郎新婦が入ってくる。王女の長い長いヴェールを、おそろいのフューシャピンクのドレスにボブの髪型のブライドメイドたちが持っている。ブライドメイドたちに小柄なダンサーたちをそろえた中で、一人エレーヌの人魚姫だけが背が高くて猫背気味、ポアントの足元が覚つかず、落ち着かない様子。ふらふらと列を抜け出して王子に話しかけようとして、ブライドメイドの一人に引き戻される。他のブライドメイドたちと同じドレスを着ているのに、一人、ドレスのサイズが合っていない感じで不恰好だ。かわいそうに、この子は少し頭がおかしいのよ、とちょっと憐れみのこもった眼差しが注がれている。でも、人魚姫は、ただただ恋する一人の女性なのだ。エレーヌが演じた人魚姫は、一途に盲目的に王子に恋する女、という表現で一貫している。花嫁のヴェールの中で動き回り、さらに苦しみと悲しみのあまり、会場で倒れて苦悶に身体をゆがめ、参列者たちに起こされたり。このあたりでようやく詩人が出現する。

王子に海の底でのできごとを思い出させようと、貝殻を王子の耳に当てる人魚姫。耳を澄ませて一瞬思い出しそうになった王子。だけど、結局気がつかなくて貝殻を王女に渡してしまい、さらに王女はそこらへんに貝殻を置いて二人でその場を出て行ってしまう。

人魚姫の姉妹たちの踊り。髪の色が赤だったり青だったりで、パンキッシュなツンツンヘア。人魚姫の姉たちは、人魚姫を海に帰してあげるために海の魔女のところに行き、長く美しい髪の毛と引き換えにナイフを手に入れるというのが原作の話。あの髪型は、髪を切ったことを象徴しているのかな?ミニスカートのような青いチュチュ。タータンチェックのベスト。パンクっぽくてカッコいいし、この役を演じているダンサーの多くが、背が高く、跳躍も高く、速い音楽に乗せてダイナミックな踊りを見せていて、胸がすくようだった。

スーツを着て、人魚姫の青い脚ひれを巻きつけた海の魔法使いが、魔法の影たちを連れて登場する。ナイフで、王子の水兵帽を刺して見せて、王子を刺せば海に返してやるといって。人魚姫がナイフを受け取るのをためらうと、海の魔法使いはまるで誘惑するかのように、四方八方から、さあ、といってナイフを押し付ける。ここのあたりの海の魔法使いのしつこさが怖い。

海の魔法使いは、人魚姫に、彼女の青い背びれ(青い袴)を見せる。これを再び身に着けて、海の底に帰りたいだろう、と。人魚姫は、海に還れるのね、と少し喜び、背びれを手にする。しかし、背びれを解いていくと、先ほどのナイフが登場する。このシーンもなんと残酷な場面なのだろう。王子は王女と結婚してしまい、人魚姫はこの苦しみと痛みに満ちた地上の生活を続けるか、さもなくば王子を刺して再び海に還るか。選択の余地はなく、人魚姫はナイフを手にする。

招待客たち、そして王女がいなくなり、残されたのは王子と人魚姫。詩人の姿もない。詩人から引き離された人魚姫は、それだけ無防備に見える。結婚祝いに贈られたゴルフクラブで、ゴルフを楽しむ王子。そこへナイフを向けようとしてやっぱり刺せず、思わず落としてしまう人魚姫。ナイフを拾い上げた王子は、まさかこのかわいそうな娘が自分を刺そうとしていたなんて夢にも思っていない。彼の無邪気であまりにも善良、中身のなさそうだけど優しい微笑を見ると、人魚姫の死ぬほどの辛い気持ちが余計に伝わってくる。彼はナイフを持って、フェンシングのまねをしたり、自分を刺す真似をして狂言自殺を図ったり。おどけて踊る王子と、その振りを真似して微笑みながら繰り返す人魚姫。このとき、少しだけ人魚姫は幸福を感じていたに違いない。

横になった王子に、心臓マッサージのジェスチャーをしてみる。さっき貝殻を耳に当てた時のように、王子が少し海の底でのできごとを思い出しているかのように目を閉じている。キスをしようと二人の顔が近づいたときに、王子は「なーんちゃって」と得意の鼻をつまんでアッパーカットのポーズを取り、軽く、まるで妹にするように人魚姫のおでこにキスをする。王子は、恐ろしく鈍感なのだけど、人魚姫のことは可愛いとは思っているようだ。だけど、彼女が自分に恋愛感情を抱くなんて、そんな可能性を一パーセントも考えていないかのようだ。いや、もしかしたら気がついているのかもしれないけど、照れ隠してごまかすためにそんな振りをしているのかもしれない。しかし、だとしたら、あそこまで根っからの純粋な微笑みができるものだろうか。多分、あの王子にはそんなことはできないと思う。本当に彼女の気持ちには気がついていなかったのだ。そして、また爽やかに笑いながら走り去ってしまう。そして、そのときの人魚姫の驚き、ついで絶望の表情。エレーヌの人魚姫は、地上に上がってからも姫としてのプライドを保っていた。誇り高い彼女が、今度こそは徹底的に打ちのめされてしまった。そんな風に彼女が深く深く傷ついたなんて、彼は少しも思わなかったに違いない。

「人魚姫」は自己犠牲の物語だという。人魚姫は、愛する王子のところに行くために、海の中の平和で自由な生活を捨て、姉妹たちを捨て、尾ひれを捨て、さらに声も捨てる。しかもこの舞台の中では、美しさすら捨てているかのようだ。しかし、恋愛というのは片方が尽くして、自分を犠牲にしたとしても、尽くされる側がまったく気がつかないということもあるし、相手が、そんな風に尽くされてもかえって迷惑だと思うことだってある。相手からすれば、そうしてくれって自分から頼んだわけでもないんだし、勝手にそれら大切なものを捨てたからといって、それがどうした、ということだってある。(この王子はそんなふうに冷たい人ではないと思うけど)自分が良かれと思ってやったことが、必ずしも相手の利益になっていないことだってある。愛って、かくのごとく一方通行のことで終わってしまうのが、実際のところすごく多いのだ。

「人魚姫」の場合には、人魚姫が王子を助けるという、命の恩人だったということがあった。でも、たとえ人魚姫が声を持っていたとしても、王子たちと同じ言葉が話せたとしても、私があなたを助けてあげたの、って王子に言えただろうか?多分言えなかったんじゃないのかなって思う。人と人の心が通じ合うのは、かくのごとく難しい。だからこそ、本当に通じ合えた時のしあわせが大きい。

人魚姫は、たくさんの犠牲を払ったこと、そして今までの苦しみ、痛みが何にもならなかったということに絶望する。彼女のしたすべてのことは、王子にとっては何の喜びももたらさなかったということに。王子に何を捧げても彼に通じることはないと感じた人魚姫は、その想いに終止符を打つべく、まずはポアントを脱ぎ捨てる。ポアントを脱いだときの、エレーヌの甲の高さに驚かされる。ついで、ひきちぎるかのようにドレスを脱ぎ、キャミソール一枚に。地上に上がってきた時とほぼ同じ姿になって、小部屋で横たわる。小部屋の奥の扉から、コートを着た詩人が、本を抱えて入ってくる。人魚姫の守護天使のような詩人は彼女に気がつくと、コートを脱いで優しく人魚姫にかけてあげ、ついで彼女の痛みを癒すように、包み込むように覆いかぶさる。

天井が横たわった二人の上に降りてきて、一瞬姿が見えなくなったかと思ったら、二人は立ち上がっている。床がどんどん高くなる。人魚姫も、陸に上がった時の猫背ではなく、きれいにすっと立っている。凛とした表情のエレーヌが美しい。ゆっくりと大きく腕を動かし、向かい合い、腰を少し落とし、踊る二人。満天の星空。床にも星が光っている。星屑が降って来る。最後には二人は重なって正面を見据えている。二人は空気の精になって、愛する人を永遠に見守り続けるのだろうか。そう、詩人の愛したエドヴァードと、王子は同じ姿をしていた。詩人のエドヴァードへの愛は、そのまま人魚姫の王子への愛に託されていた。二つの愛が昇華して、語り継がれる人魚姫の物語として永遠の命を得た瞬間がここにあった。物語の誕生の裏には、こんなにも痛ましい魂の震えがあったのだ。

2009/03/01

第12回世界バレエフェスティバル出演者、日程決定

第12回世界バレエフェスティバル出演者がNBSのサイトに出ていました。
代わり映えしませんね~。

http://www.nbs.or.jp/main/stages/wbf.html

マリア・コチェトコワ、ダニール・シムキンらの新鋭、びっくりのザハロワ出演、それからベルニス・コピエルテスの出演が嬉しいところかな。あとはヌニェス&ソアレスのペアとか、エレーヌ・ブシェとティアゴ・ボァディンとか。ロベルト・ボッレは(噂どおり)結局でないんですね。

エレーヌ・ブシェ (ハンブルク・バレエ)
Hélène Bouchet

アリーナ・コジョカル (英国ロイヤル・バレエ団)
Alina Cojocaru

ベルニス・コピエテルス (モナコ公国モンテカルロ・バレエ)
Bernice Coppieters

ルシンダ・ダン (オーストラリア・バレエ団)
Lucinda Dunn

オレリー・デュポン (パリ・オペラ座バレエ団)
Aurélie Dupont

マリア・アイシュヴァルト (シュツットガルト・バレエ団)
Maria Eichwald

シルヴィ・ギエム
Sylvie Guillem

マリア・コチェトコワ (サンフランシスコ・バレエ)
Maria Kochetkova

ナターリヤ・オシポワ(ボリショイ・バレエ)
Natalia Osipova

アニエス・ルテステュ (パリ・オペラ座バレエ団)
Agnès Letestu

マリアネラ・ヌニェス (英国ロイヤル・バレエ団)
Marianela Nuñez

シオマラ・レイエス (アメリカン・バレエ・シアター)
Xiomara Reyes

タマラ・ロホ (英国ロイヤル・バレエ団)
Tamara Rojo

エリザベット・ロス (モーリス・ベジャール・バレエ団)
Elisabet Ros

ヤーナ・サレンコ (ベルリン国立バレエ団)
Iana Salenko

ポリーナ・セミオノワ (ベルリン国立バレエ団)
Polina Semionova

上野水香 (東京バレエ団)
Mizuka Ueno

ディアナ・ヴィシニョーワ (マリインスキー・バレエ)
Diana Vishneva

スヴェトラーナ・ザハロワ (ボリショイ・バレエ)
Svetlana Zakharova

フィリップ・バランキエヴィッチ (シュツットガルト・バレエ団)
Filip Barankiewicz

フェデリコ・ボネッリ (英国ロイヤル・バレエ団)
Federico Bonelli

ティアゴ・ボァディン (ハンブルク・バレエ)
Thiago Bordin

ホセ・カレーニョ (アメリカン・バレエ・シアター)
José Carreňo

ロバート・カラン (オーストラリア・バレエ団)
Robert Curran

マチュー・ガニオ (パリ・オペラ座バレエ団)
Mathieu Ganio

ヨハン・コボー (英国ロイヤル・バレエ団)
Johan Kobborg

ズデネク・コンヴァリーナ (ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)
Zdenek Konvalina

マニュエル・ルグリ (パリ・オペラ座バレエ団)
Manuel Legris

ニコラ・ル・リッシュ (パリ・オペラ座バレエ団)
Nicolas Le Riche

デヴィッド・マッカテリ(英国ロイヤル・バレエ団)
David Makhateli

ウラジーミル・マラーホフ (ベルリン国立バレエ団)
Vladimir Malakhov

ジョゼ・マルティネス (パリ・オペラ座バレエ団)
José Martinez

ジル・ロマン (モーリス・ベジャール・バレエ団)
Gil Roman

レオニード・サラファーノフ (マリインスキー・バレエ)
Leonid Sarafanov

ダニール・シムキン (アメリカン・バレエ・シアター)
Daniil Simkin

ティアゴ・ソアレス (英国ロイヤル・バレエ団)
Thiago Soares

アンドレイ・ウヴァーロフ (ボリショイ・バレエ)
Andrei Uvarov

フリーデマン・フォーゲル (シュツットガルト・バレエ団)
Friedemann Vogel

■第12回世界バレエフェスティバル 公演日程
<Aプロ>
8月1日(土)
8月2日(日)
8月3日(月)
8月4日(火)

<Bプロ>
8月8日(土)
8月9日(日)
8月10日(月)
8月11日(火)

<全幕特別プロ>
「ドン・キホーテ」 7月29日(水)
「白鳥の湖」 8月6日(木)
「眠れる森の美女」 8月15日(土)
<オマージュ・ア・ベジャール> 8月16日(日)、17日(月)

ところで、サンフランシスコ・バレエのマリア・コチェトコワについては、知らない方も多いと思いますが、当ブログでは何回か取り上げています。
http://www.mariakochetkova.com/
ここでは、マリアはブログをかなりこまめにアップしています。

ボリショイ・バレエ学校からローザンヌ・バレエコンクールに出場し、スカラシップを得て(ヴァルナ・コンクールでも賞を取っています)、ロイヤル・バレエのapprentice(見習い)へ。しかし小柄なあまりロイヤル・バレエには正式入団できず、ENBを経て現在はサンフランシスコ・バレエのプリンシパルです。小さくてとても可愛らしいダンサーです。
いくつかのガラで、今回のバレエフェスにも出演するダニール・シムキンと共演しているので、シムキンくんとペアを組む可能性もありそうです。ABTから出演するシオマラ・レイエスも小柄なので、シムキン君と組めそうですね。

マリア・コチェトコワは、サンフランシスコ・バレエの「くるみ割り人形」のDVDでグラン・パ・ド・ドゥ(通常金平糖の精が踊るところ)を踊っていますが、これがとても気品があって愛らしく素晴らしいです~。
また、NBCのSuperstars of Danceという世界各国の各ジャンルのダンサーが自国を代表して競う番組で、ロシア代表として出場して優勝しました。

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これはリージョンオールなので安心して買うことができます。ヤンヤン・タンが雪の女王で出ていますし、いいプロダクションで、お勧めです。

『ベンジャミン・バトン -数奇な人生-The Curious Case of Benjamin Button』

『The Curious Case of Benjamin Button』

公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/benjaminbutton/
米公式サイト http://www.benjaminbutton.com/
http://www.imdb.com/title/tt0421715/

監督 デヴィッド・フィンチャー
原作 F・スコット・フィッツジェラルド
音楽 アレクサンドル・デスプラ
脚本 エリック・ロス

ベンジャミン・バトン:ブラッド・ピット
デイジー:ケイト・ブランシェット
ミスター・ガトー:イライアス・コーティーズ
クイニー:タラジ・P・ヘンソン
トーマス・バトン:ジェイソン・フレミング
キャロライン:ジュリア・オーモンド
エリザベス・アボット:ティルダ・スウィントン
マイク船長:ジャレッド・ハリス

F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を映画化。80代の老人の姿で生まれ、歳をとるごとに若返っていき、0歳で生涯を終えたベンジャミン・バトンの奇妙な人生を描く。

「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」というタイトルだけど、年を取るごとに少しずつ若くなっていくという宿命以外は、ベンジャミンの人生はそこまで数奇なものではない。彼の人格というか中身は、実は穏やかな普通の人であり、だからこそこの設定が生きてくるのかな、と思う。

映画は比較的淡々と進んでいくが、デヴィッド・フィンチャーの演出の腕が冴え渡る場面がいくつかあって、ワクワクした。まずは一番最初の時計職人ミスター・ガトーのエピソード。1918年、第一次世界大戦の終結時。盲目だが大変腕の良いミスター・ガトーが、新築されたニューオーリンズの駅舎の時計の製作を依頼され、心血を注いで作り上げた。落成式にはルーズヴェルト大統領も出席。だが、見事な時計の針は、逆に時間を刻むのだった。第一次世界大戦に出征した一人息子が戦死したため、時間を逆戻りさせて欲しいという彼の思いがこめられていたのだ。息子の出征のシーンがここで逆再生される。この逆刻み時計は最後にもう一度登場する。人生は先に進んでいくけど前に戻ることはできないというテーマを上手く象徴させている。後で登場する、デイジーが交通事故に遭う時の、「あの時、そうしなかったなら」という別ヴァージョンをいくつも切り替えながら登場させるところも唸った。事故に関係した人々一人一人の動きを、語り手であるベンジャミンが知る由もなかったというのに、いくつかの偶然が重なって事故は起きてしまった。そして時計の針を戻すことは、もうできない。その時に交錯する人々の運命を、めくるめくカットつなぎで見せていく編集の妙に、クラクラと陶酔した。悲劇的なシーンなのに。

出産で命を落とした母親から生まれたベンジャミンの姿を見て、慌てて彼を連れて逃げ出す父の姿が強烈。皺くちゃの老人の姿の赤ちゃんをなかなか見せないところもうまい。老人ホームを運営する夫婦に引き取られたベンジャミンが、教会に連れて行かれて怪しげな神父に促されて車椅子から立ち上がるところも強烈。強烈といえば、老人ホームの住民たちもとても個性的で、中でも7回も雷に打たれたことをことあるたびに自慢する老人が面白かった。そのたびに、毎回異なるモノクロームの映像で雷に打たれる様子が登場するところがなんとも可笑しい。オペラ歌手だった老婦人、ピアノを教えてくれた老婦人…。

老人ホームで育ったベンジャミンは、幼い時から何回も人の死を目撃する。老人ホームで親しんできた愛すべきお年寄りたちの死。だから、彼は外見だけでなく中身も普通の子供よりも大人びていたし、死に親しんできたのだ。"アーティスト"であった男気あふれる「船長」と戦争に行って彼らの死を目撃する。その後も、何回となく親しい人たちの死に出会う。自分の姿だけはどんどん若くなっていくのに。死という避けられない運命を知ったからこそ、ベンジャミンは自分に課せられた数奇な運命を受け入れて、淡々と生きてきたのだと感じた。

彼が5歳の時に出会う運命の女性デイジー。老人の姿をしていた彼を、子供だと直感して仲良くしてくれた青い目の美少女のことを、ベンジャミンはどこにいても忘れることはなかった。10歳の子供から美しく成長して行き、そして少しずつ年を重ねて老いて行くデイジーに対して、老人から少しずつ若々しくなり、青年へと戻っていき最後には赤ん坊になってしまうベンジャミン。二人の年齢はほんの短い間だけ一致し、そしてその間、二人は夢のような甘い生活を送る。「このときの姿を覚えていよう」と二人で鏡に向かったシーンが時の儚さを感じさせて、とても切なかった。さらに切ないのが、ベンジャミンと別れ、別の男性と結婚してすでに初老の域に達していたデイジーと、時分の花というべき美しく若い青年になったベンジャミンがベッドを共にするところ。服を着るデイジーの背中が年老いて見えていたのが、すごく胸に痛かった。

交通事故に遭い、バレリーナという美を極める職業を断念したデイジーは、人一倍美しさや若さに固執している。自身が年を取っていくのにベンジャミンが若返っていくため、さらに年老いていく自分に引け目を感じて行ってそれが哀しかった。それでも人生は進んでいくし、生きていかなければならない。後戻りはできない。予期せぬ運命によって、思い通りに人生はいかないけれども、そんな中で偶然のかけがえのない出会いがある。人は生まれて成長して、年老いて死んでいくし、ほとんどの人間は名を残すこともなく死んでしまうけど、そんな一人一人にも人生があるのだと、しみじみと思うのだった。

タトゥーを刻んだアーティストだった船長。ダンサーだったデイジー。ドーバー海峡を泳ぎきった、ベンジャミンのロシアでの恋人エリザベス。雷に打たれた老人。時計を製作したミスター・ガトー。大きな母の愛で包んでくれたクイニー。彼らを走馬灯のように見せ、そしてハリケーンのカトリーナに襲われて水没していく時計を写して終わるのが見事だった。

予告編でバレエのシーンがあったので気になっていたのだけど、実際かなりバレエのシーンが登場する。デイジーはオーディションを受けて、スクール・オブ・アメリカン・バレエに入学する。晴れてNYでバレリーナとなった彼女がベンジャミンと食事するシーンで、一方的にバレエに対する情熱をまくし立てるシーンがある。「バランシンが、私は完璧なラインを持っているとほめてくれたわ」と。踊っている作品もネオクラシックなので、NYCBに入団したということなのだと思う(劇場は、現在「オペラ座の怪人」が上演されているマジェスティック劇場だったけど)。夜の靄がかかる中、デイジーが靴を脱いで踊る逆光線の幻想的なシーンが夢のように美しい。ダンスはもちろん吹き替えられていると思うけど、ケイト・ブランシェットはスリムで顔が小さいので、バレリーナ役というのも納得できる。「バレエ・リュスの振付家が来ているの」と言ったり、「ボリショイで初めて踊ったアメリカ人バレリーナ」だったり、そして交通事故に遭ってしまうパリでは、オペラ座に出演するという設定だった。ストレッチやバーレッスンをするところも出てくる。またバレリーナを断念した後も、デイジーはバレエ教室を始める。髪をシニヨンにしてバレエミストレスをやっている姿もとても絵になる。ケイト・ブランシェットは少しずつ年老いていくけれども、年を取っていってもやっぱりとても美しくて魅惑的だ。

それから、ベンジャミンが老人ホームで上品だけど孤独な婦人にピアノを教えてもらって弾く曲が、マクミラン振付「エリート・シンコペーションズ」でもお馴染みのスコット・ジョプリンの「23 Bethena」。彼が晩年認知症になり、子供の姿でピアノをたどたどしく弾くのもこの曲。この曲がテーマ曲としてうまく機能しているのが、なんだか嬉しかった。

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