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« 本日WOWOW放映「Go Ape」 | トップページ | 3/29 新国立劇場「Ballet the Chic」 »

2009/03/29

3/28 ソワレ 新国立劇場バレエ団「Ballet the Chic」

2008/2009 Season Ballet
BALLET THE CHIC ―BALANCHINE, THARP, DUATO―

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000085_ballet.html

ジョージ・バランシンの『セレナーデ』 George Balanchine's Serenade
西山裕子、寺島まゆみ、寺田亜沙子、マイレン・トレウバエフ、冨川祐樹 ほか新国立劇場バレエ団
【指 揮】渡邊一正(セレナーデ)
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団(セレナーデ)

井口裕之『空間の鳥』
前田新奈
貝川鐵夫、江本 拓、八幡顕光、高木裕次、佐々木淳史、末松大輔、アンダーシュ・ハンマル、泊 陽平、
清水裕三郎、野崎哲也、原 健太、三船元維

ナチョ・ドゥアト『ポル・ヴォス・ムエロ』Nacho Duato's "Por Vos Muero"
湯川麻美子、遠藤睦子、西川貴子、本島美和、丸尾孝子、高橋有里
吉本泰久、貝川鐵夫、陳 秀介、冨川祐樹、山本隆之、古川和則

トワイラ・サープの『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』〈新制作〉Twyla Tharp's "Push Comes to Shove",
福田圭吾、小野絢子、湯川麻美子、さいとう美帆、中村 誠

大和雅美、難波美保、井倉真未、伊東真央、細田千晶、堀岡美香、成田遥、今村美由紀
西山裕子
楠元郁子、北原亜希、今井奈穂、大湊由美、川口藍、金田洋子、中田実里、若生愛
西川貴子、丸尾孝子、千歳美香子、酒井麻子
マイレン・トレウバエフ、陳秀介、八幡顕光、古川和則

「セレナーデ」「ポル・ヴォス・ムエロ」の二つの作品は、ワシントンでの公演でも踊られており、よく練られていて非常に良い出来上がりだったと思う。登録ダンサーの井口さんによる新作は、たしかに概視感があるというか、どこかで観たような感じがなくもないけれども、男性群舞主体と新国立劇場には珍しい作品だったし、これが初めての作品だったとしたら、なかなか良いのではないかな、と思った。

問題は新制作の「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」で、やはりどうしても古臭い。トワイラ・サープは現役の振付家であり、毎年のように新作も発表しているのだから、もっと新しい作品を取り上げれば良かったのに。たとえば、ABTはじめボリショイやアンヘル・コレーラ・バレエでも上演されている「イン・ジ・アッパー・ルーム」などはたくさんのダンサーが出るしいいと思うんだけど。


ジョージ・バランシンの『セレナーデ』
女性コール・ドの美しさに定評がある新国立劇場にはぴったりの作品。以前にも10周年オペラパレスガラで観たのだけど、そのときよりもずっと磨かれていて、美しかった。幕が上がると、足を6番のポジションに、右手を高く上げて整列した女性コール・ドたち。彼女たちの足が1番に開く瞬間が見事に揃っている。プロポーションも美しく、本場のNYCBにも劣っていないんじゃないかと思うほど。

一人転んでしまうダンサーを踊った西山さんは、このプロットレスな作品の中にもドラマ性があった。そして彼女をサポートするマイレン、サポートは上手いし、たった一度見せた、捌けるところでの跳躍はふわりと残像を残すような軌跡を描いていて、やっぱり素敵。一方、とにかく跳躍の多いロシアン・ガールを踊った寺島まゆみさんは、高くて軽やかな跳躍、溌剌としているなかでも気品があって良い。寺田さんも、アラベスクをゆっくりと見せたときにラインがキレイだわ、と思った。ドラマティックな幕切れも、揃っていて美しかった。実は「セレナーデ」って何回も観たことがある割には途中で飽きることがあったのだけど、今回は全然飽きなくて最後まで楽しめた。

井口裕之『空間の鳥』
「セレナーデ」が終わった後、休憩なしで上演されたこの作品。ホリゾントに赤い線のような布が垂直に降りており、赤い袴を穿いて上半身裸の12人の男性ダンサーたちが群舞を見せる。重心を低く置いており、新国立劇場には珍しい、もろコンテンポラリー風味の作品。赤い袴というと、どうしてもベジャールの「舞楽」を思い出させるし、キリアンっぽいところもある。でも男性ばかりで力強い動きを見せてくれたのが、とても新鮮で個人的には非常に楽しませてくれた。

一人の女性が登場する。青と銀色のユニタードを着た前田新奈さん。長身ですらりとしており、ちょっと般若入っているメイクでとてもカッコいい。強い存在感と目力で、まるで女神のようだ。そして群舞の中からうずくまるように転がった状態で一人抜け出た貝川さんと、二人で踊る。上からどさっと白い幕が落ちてきたり、空間の使い方が上手い。それから、音楽はグレツキーの「ハープシコード協奏曲」だそうだけど、この音楽がまた現代音楽なのだけど良かった。古典では振るわない貝川さんも、この作品では強さがあって良かった。

朝日新聞に井口さんのインタビューが載っていた。
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200903260238.html

ナチョ・ドゥアト『ポル・ヴォス・ムエロ』
これといったストーリーがない作品であるにもかかわらず、不思議な体温とドラマ性を持っているのがナチョ・ドゥアト。そして衣装と音楽のセンスの良さといったら、たまらないほど。古楽を使い、バロック的だけど同時に斬新、官能的な衣装。特に女性のコルセットとたっぷりとしたスカートに使われた深いグリーンやブルーが美しくて。仮面の使い方もとても想像力を刺激させるもので、いい。(ところで、前回観たときのことは、もはやうろ覚えなのだけど、前回は火のついたランプなどを使っていなかったっけ?)仄暗い照明から、蝋燭の炎のように浮かび上がってくる控えめなエロス、回廊を思わせるシンプルながらも物語性を感じさせる舞台装置、温かみのある音楽、そして合間に入るスペイン語の朗読。

ダンサーたちも本当にのびのびと踊っていて、ナチョ独特の舞踊言語が身体の中にしみこんでいるようだった。古典では観る気がしない本島さんも、この作品では健闘しているから不思議。それから古川和則さん。すっかり新国立劇場に溶け込んでいるけれども、やはりベジャール作品などを踊ってきたからか、特に動きが自然で生き生きしていて、すごく良かった。でもやっぱりこの作品でとどめを刺すのは湯川さん。ドラマティックだし大人の女の色香を感じさせてくれて、湿り気のある中世ヨーロッパへと連れて行ってくれるようだった。日本人が踊っているのを忘れてしまうほど。最後、湯川さんと貝川さんが舞台の奥でポーズを取っている姿は、一枚の宗教画のようで、息を呑むほど美しかった。この回踊ったダンサーたちの平均年齢はかなり高いと思うのだけど、大人が踊っているからこそ出せる滋味や味わい、"生"の息遣いが感じられた。新国立劇場が踊る「ポル・ヴォス・ムエロ」だったら、何回観てもいいかも!


トワイラ・サープの『プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ』
最初の3作品を観終わった時には、とても満足度が高かったのに、残念ながらここでテンションが急低下。最初に主役がソロを見せて、そこで一気に観客のハートを掴まなくてはならない。主役の福田圭吾さんは、コール・ドの所属ながらデニス・マトヴィエンコとのダブルキャストなので、劇場の期待度が高いのがわかる。その上、前日までの公演を観た友達たちから、福田さんはすごくいい、マトヴィエンコなんかよりずっといいって聞かされていた。期待が大きすぎたのだろう。たしかに上手いとは思う。だけど、いかんせんものすごく小柄だ。このバレエ団の身長制限に良く引っかからなかったな、と思うほど小さい。しかも、同じく小柄でテクニシャンの八幡さんのほうが、現時点では明らかに上手いのではと思ってしまった(八幡さんはソリストだけど)。小さいゆえ、一つ一つの動きが映えないのだ。

やっぱりこの作品は、ミハイル・バリシニコフの印象があまりにも強いから、ちょっとテクニックがあるだけではどうにもならない。華やかさとユーモア、洒脱なところがないときつい。若い福田さんにはちょっと荷が重かった様子。小野絢子さんはとっても可愛らしくて、すごく柔らかく、しかも速いステップを軽々とこなして音楽性が素晴らしい。彼女は間違いなく、この劇場の将来を背負って立つスターになることだろう。おちゃめなユーモアもしっかりと表現できている。そして「ポル・ヴォス・ムエロ」に引き続き湯川さんはここでも魅力的だった。大人の女性の匂い立つような魅惑。古典以外では湯川さんは最強だろう。後半は中村誠さんとさいとう美帆さんが加わった。中村さんは相変わらず腕の動きや背中が非常に柔らかくて、女性にも負けないほど。美しいダンサーだと思う。彼が「ライモンダ」に出なかったことが本当に残念。それから群舞も登場して、その中にはマイレンも!マイレンの登場場面は少しだったけど、でもその少しでも見られたのが嬉しい。

この作品、生真面目な新国立劇場のカラーに合っているとは言いがたいし、センスはちょっと古いし、なんでレパートリー入りしたのか、ちょっと疑問。カーテンコールの反応も必ずしも良くなかった。プログラムを見たら、振付指導はエレイン・クドウとのこと。懐かしい名前を見てしまった。相変わらずとても美しい。初日に行けば、カーテンコールでも見られたのだろうか。

最初の3つの作品だけで十分満足したので、順番的にも、「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」を最後に持っていって観客のテンションを下げさせたのはちょっと失敗だったのでは?同じトワイラ・サープでも、もっと新しい作品にしたほうが良かったのではと思う。

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バレエ公演感想2009」カテゴリの記事

コメント

これ観に行きたいと思ってて、すっかり忘れてた…。今週だったのか。
ナチョはいいよね〜。「ポル ヴォス ムエロ」も素敵な作品で大好き。前回よりも踊りが慣れてきて良かったでしょうね。
「プッシュ〜」はミーシャの映像と、生では昔パリオペ来日時にパトリック・デュポンで観たけど彼のキャラに合ってて楽しかった作品だけど、新国立のダンサーだと面白みに欠けるのかしら…。

今日(29日)観て来ました。
サープ作品はあのキリアン「シンフォニィ・イン・D」を陳腐にしたような…、ゴメンナサイ(?_?)

昨日のソワレに行きました。
新国立の女性ダンンサーは身長もあるし、一人一人の個性もしっかり出ているので、魅せられます。中でも湯川さん、いつ見てもしっとりと大人っぽくて素敵!
作品では井口さんのものが一番印象に残りました。新作だから新鮮に感じたのかな?(笑)男性陣が思いっきり弾けられる作品は貴重だし、ダンスを見に行って香りを感じるのもおもしろかった。
いろいろ見れて楽しい夜でした。

土曜の夜を見ました。「セレナーデ」はやはりコール・ドが良かったですね。一番、日本人向けの作品だなあと。「空間の鳥」は男性陣が見られて良かったけれど、日本人ダンサーの体格は、ちょっと細すぎですね。個人的には「ポル・ヴォス・ムエロ」が一番だったかなと。シェイクスピアの芝居を英語で見るのが好きなもので、ちょうど時代も重なるし。「プッシュ・カムズ・トゥ・ジョヴ」はテクニック的にはこなしていても、演技面が空振りで、滅茶苦茶でした。コミカルな作品のはずなのに、ちっとも面白くない。あれではサープ作品を上演する意義はなかったですね。

ENBのマノンはロンドン・プレミアを見ました。フリーデマン・フォーゲルは見られませんでしたが、2階席最前列センターに招待されたレディー・マクミランのお姿を拝んできました。今のロイヤル・バレエにはあそこまでチケット代を出す魅力はないと思いますが、その点、ENBにはお値打ち感があります。

マクミランといえば、今日はミュージカル「回転木馬」を見てきたのですが、大幅カットの短縮版でバレエの振付も面白くなかったです。いつかマクミラン振付版をまた見たいものです。

さとみっち~、こんばんは。

誘えばよかったね!「ポル・ヴォス・ムエロ」良かったです!新国立も中劇場だし、チケットも高くなかったのでこの作品でもう十分満足です。
そう、「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」はミーシャのイメージが強い上に熊川哲也も踊っているし。パトリック・デュポンのは観ていないけど、彼も強烈なキャラクターを持っているから、ちょっとやそっとのダンサーでは難しいような。そして、面白みに欠けたというのも当たっていると思う!

おおやま雅ひこさん、こんばんは。

そういうわけで、私は今日も観に行きましたよ。そうですね、たしかに「シンフォニー・イン・D」に通じる部分はあるかもですね。「シンフォニー・イン・D」は笑えたけど、「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」は笑えなかったのが違いかしら。

クロードさん、こんばんは。
昨日の夜いらしていたんですね!お会いしたかったです~。
4作品、それぞれまったく違うテイストだったのが面白かったですね。以前は湯川さんの良さが理解できなかったのですが、見ていくうちにどんどん彼女の素晴らしい表現力と大人の魅力に惹き付けられて来ました!井口さんの作品も面白かったですよね。日本のバレエ団で、男性を中心に振付けられた作品って珍しいと思うし、若手の振付家/ダンサーによる新作が観られて、儲けものだと思いました。

24601さん、こんばんは。
昨日観に来た方が多かったんですね!「ポル・ヴォス・ムエロ」が作品的に一番良かったというのは同感です。昨日観られて一番良かったな、と思ったのがこれです。そう、中世ヨーロッパの雰囲気が良く出ているし、ストーリーがあるわけではないのに物語性が感じられるのですよね。
シェイクスピア劇は私も好きで(もともと演劇をやっていたことがあって)、バービカン・シアターにRSCを観に行ったことはあります。シェイクスピア劇はヒアリングが結構大変なのですが。

ENBの「マノン」は本当に貴重な体験ですね!確かにロイヤルはチケット代が高いです。私はGWに「ジゼル」を取っていますが、けが人の関係でキャスト変更が続いていて。マクミラン未亡人も観にいらしていたのですね。最近ENBはかなり意欲的なプログラムをやっているので、私も観に行きたいと思います。最近なかなか「マノン」全幕を観る機会がなくて。

「回転木馬」は三木雄馬さんなどバレエダンサーがかなり出ていますが、踊りはいまひとつなのですね。

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