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« ABTの北米ツアーのキャスト | トップページ | 3月25日~4月4日 ABTロンドン公演のキャスト »

2009/02/07

パリ・オペラ座「シンデレラ」DVD CENDRILLON/Cinderella

185分(本編123分+特典映像62分)、2枚組
字幕:フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語・英語

〔出演〕
シンデレラ:アニエス・ルテステュ Agnes Letestu
映画スター:ジョゼ・マルティネズ Jose Martinez
継母: ステファン・ファヴォラン Stephane Phavorin
シンデレラの姉妹:レティシア・ピュジョル、ステファニー・ロンベール Laetitia Pujol - Stephanie Romberg
プロデューサー:ウィルフリード・ロモリ Wilfried Romoli
ダンス教師:クリストフ・デュケンヌ Christophe Duquenne
LE METTEUR EN SCENE Richard Wilk
LE PERE Cyril Fleury
L'ASSISTANT Fabien Roques
LE PRINTEMPS FEMME Melanie Hurel 春:メラニー・ユレル
COUPLE FEMMES Marie-Solene Boulet - Laura Hecquet
COUPLE HOMMES Julien Meyzindi - Florian Magnenet
L'ETE FEMME Dorothee Gilbert 夏:ドロテ・ジルベール
COUPLE FEMMES Aurelia Bellet - Laurence Laffon
COUPLE HOMMES Bruno Bouche - Axel Ibot
L'AUTOMNE FEMME Nolwenn Daniel 秋:ノルウェン・ダニエル
COUPLE FEMMES Fanny Fiat - Muriel Zusperreguy
COUPLE HOMMES Mathias Heymann - Gil Isoart
L'HIVER FEMME Emilie Cozette 冬:エミリー・コゼット
COUPLE FEMMES Laure Muret - Geraldine Wiart
COUPLE HOMMES Bertrand Belem - Mallory Gaudion

振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
演奏:コーエン・ケッセルス指揮  パリ・オペラ・オーケストラ
美術:ペトリカ・イオネスコ
衣装:森 英恵
照明:グイード・レヴィ
収録:2008年4月、パリ・オペラ座 ガルニエ宮

ヌレエフ版の「シンデレラ」といえば、シルヴィ・ギエムがシンデレラを踊り、映画スターにシャルル・ジュド、義理の姉にモニク・ルディエールとイザベル・ゲラン、プロデューサーはヌレエフ本人という豪華なキャストのビデオ(1987年収録)が出ていたのだけど、実は私はそれを観てあまり面白いと思わなかった。ギエムが苦手というのが最大の理由で、こっちの新しい収録を見て、改めて、やっぱりギエムが好みではないからあの映像は楽しめなかったのだと思った。こちらの「シンデレラ」は、面白いんだもの。映画スターはジュドの方が素敵だけど。


背が高く、どこから見ても超美人でクールなアニエス・ルテステュがシンデレラ役を演じるというのは、意外な感じもしたけれども、ハリウッドを舞台にしたこの作品なら納得できる。特典映像に「Cinderella Goes to Hollywood」というインタビューを中心にしたドキュメンタリーがある。この中で、芸術監督のルフェーブルが、アニエスは美人だけど、ちょっと不幸な感じがするところが、シンデレラ向きだと語っていたけどそれは当たっていた。「誰もシンデレラになんかなりたくないでしょう、継母と義理の姉妹にいじめられて、一日家事をしていなくちゃならないなんて」。やっぱりアニエスは、シンデレラの灰かぶり衣装を着ていても美しくてエレガントなんだけど、不幸の影が漂っている。とともに、芯の強さも感じられ、幸福を自分の手でつかもうという意志が見られる。ハリウッドに行ってからの輝くばかりの華やかさと優雅さは、さすがトップエトワール。ヌレエフ版の「シンデレラ」は、アシュトン版と違って、シンデレラが2幕(ここでは、映画の撮影スタジオ)で登場する時には、ポアントではなく、キラキラ光るダンス用のハイヒール。パパラッチに囲まれ、彼らを踏みつけて登場した彼女が、映画スターと踊るのは、ボールルームダンスのワルツで、これがまたエレガント。かと思うと、チャップリンの衣装を着て楽しげなタップダンスなどを見せてみたり。ポアントの上にタップシューズを重ね履きするのだから大変だと思うけど、彼女のようなスタイル良しだから、チャップリンの格好も似合うのかな、と。アニエスの意外な芸達者ぶりがたっぷりと味わえる。

でも、この作品で最高なのは、ユーモアたっぷりの義理の姉たち、ステファニー・ロンベールとレティシア・プジョルと、継母役のステファン・ファヴォラン。特に、ファヴォランの継母は凄い!ほとんどのシーンでポアントを履きっぱなしで、よく見ないと女性が踊っているかのようなのだ。ポアントを履いて踊るテクニックは男性としては天下一品、アティチュードで回るピルエットも見事なもの。ユーモアたっぷりで色っぽくて芸達者。しかも、図々しくも撮影現場では映画スターに迫ってみせたり、映画スターが靴の持ち主を探している時には、この母親もどさくさに紛れて、シンデレラの靴を履こうとしたりするのだから。ポアントを脱いだら、男性の大きな足が出現するのだから映画スターも困っちゃう!

ステファニー・ロンベールとレティシア・プジョルの義理の姉たちは、アシュトン版の可愛い姉たちよりも意地悪で暴力的で図々しいのだけど、女性がこの役を演じているだけあって、キュートさや色っぽさもあって生き生きとしている。その上、技術的にはすごく大変そう!クリストフ・デュケンヌ演じるダンス教師に教わってバレエのレッスンを受けるところなど、わざと下手に踊らなくてはならないところもあるけど、あくまでも、本当は上手なんだけど下手に踊っているという風に踊らなくちゃいけないし。背が高くて押しの強いロンベール、小柄でお茶目なプジョルの凸凹コンビの組み合わせもいい。さらに、この作品では、映画スターがシンデレラを求めて、スペイン、中国そしてロシアを旅するエピソードもあり、ロンベールがスパニッシュ、プジョルがチャイナドレスで中国の踊り、さらにファヴォランがロシアのコサックダンスとキャラクターダンスを踊るという趣向がすごく楽しい。ホントにこの3人は踊りも演技も弾けていて、素晴らしいバイプレイヤー振りを見せてくれている。

ジョゼの映画スターは、義理の姉たちや継母に困らされている演技が楽しい。例によって鬼のようなヌレエフ振付のヴァリエーションも、彼だから安心して見ていられる。カブリオールにフェッテアラベスクを組み合わせていたり、方向転換が多かったり、ランベルセが入ったと思ったら、最後はクペ・ジュッテ・アン・トゥールナンで、並大抵のダンサーでは踊れるものではないだろう。彼の脚の長さや美しさには惚れ惚れするのだけど、ちょっと残念なのが、衣装がジョッパーズのように腿の部分が太いので、脚のラインが十分堪能できないこと。1930年代を舞台にしているとはいえ、86年の作品なので、ちょっと時代性が出てしまったのだろうか。

四季の精がメラニー・ユレル、ドロテ・ジルベール、ノルウェン・ダニエル、エミリー・コゼットとなかなか豪華で、その中でもエミリー・コゼットはこういうクールな役が似合うなと思った。彼女は、シンデレラ役でエトワールに任命されたのだけど、ちょうどこの作品が収録された頃だったはず。デュケンヌのダンス教師も、テクニックが冴えていて、ちょっとユーモラスでなかなか良い。ロモリのプロデューサー役も、すごくよく似合っている。ヌレエフ版では、プロデューサーが仙女の役目を果たしているのが一つのポイント。

ヴェールを使った、ふたりきりのラストシーンがとても美しくて、余韻が残る。

特典映像「Cinderella Goes to Hollywood」は、本編の抜粋とインタビューで構成されているけど、このインタビューが面白い。セットをデザインしたペトリカ・イオネスコのインタビューでは、ヌレエフが彼にこの作品のデザインを依頼した経緯がすごく興味深い。彼は、バレエの「シンデレラ」は観たことがなくて、バレエのセットを作ることには興味がないと言ったところ、逆にヌレエフが興味を示したという。2週間寝ないで作ったデザイン画を見てヌレエフは最初激怒したのだけど、後にそのデザインが彼にこの「シンデレラ」という作品のインスピレーションをもたらして、ハリウッドを舞台にした物語になった。

ヌレエフは映画が大好きで、実際、ルドルフ・ヴァレンチノ役を映画の中で演じたことがあった。この「シンデレラ」にも、チャップリンが登場したり、チャップリンの「キッド」がモチーフになっているところがあったり、ラストシーンは「雨に唄えば」のシド・シャリシーにオマージュを捧げているとのこと。アニエス・ルテステュがヌレエフの思い出を語ったり(彼が、彼女をコール・ドの中から見出した話)、ロモリが、ヌレエフが演じていたプロデューサーの役を演じることについて語ったり、ファヴォランがポアントで踊ることの大変さについて話したり、面白い話がたくさん聞ける。

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バレエのDVD・ビデオ」カテゴリの記事

コメント

naomiさんこんばんわhappy01
ヌレエフ版のシンデレラは面白い設定ですよね!
DVDを買おうか悩み中です(^-^;
私が観た時はシンデレラがルテルテュで、映画スターがジャンギーョム、継母がマルティネズ、姉がアヴェルティとプジョルでした♪
マルティネズは背が高いうえに、ポワントだったので凄い迫力でした!ポワントワークも素晴らしかったです(゚0゚)
ルテステュも儚げな雰囲気がシンデレラにぴったりでした~
ゴリラの巨大なぬいぐるみには驚きました!
ヴェールの場面は本当に素敵でしたね~
映画へのオマージュが込められていたとは初めて知りましたsign03

こんばんわ。
「シンデレラ」は映像でしか見たことがなくって、ジュドの映画スターが素敵〜!というだけの印象が強かったのですが、旧版の継母よりも数倍凄そうなフォヴォランの継母にとっても興味がわきました。やっぱり買っちゃいそうです。(Kumiさんのご覧になったバールの映画スターも素敵そうジョゼの継母もホント凄そう…ごらんになれて羨ましいです…)

ヌレエフ主演の「ヴァレンチノ」に若き日のダウエル卿がニジンスキーとしてヴァレンチノのヌレエフとタキシードでタンゴを踊る数分がありますが、とっても妖しくて素敵なんですよね…また見たくなりました。

シンデレラは観たことありませんが、すごく興味をそそられる評と文章でいつか観てみたいと思わせる楽しいものでした(私、最近もドゥアト他を観ているのですが。プロコフィエフの音楽、コンサートやCDで聴くのは好きですが振付家を金縛りにしているようでアレルギーが…)。ありがとうございます!

kumiさん、こんにちは。

パリで「シンデレラ」をご覧になったのですね!私はまだ舞台では見ていないんですよ。しかもジャン=ギーの映画スター!彼のような純粋キラキラ王子様は、今オペラ座でもっとも不足していますよね。エルヴェが完全復活すればいいのだけど。ホント、早くの引退が惜しまれますよね。ジョゼの義理の母もそのうまさには定評がありますよね。たしか去年はマッツ・エックの「ベルナルダの家」でもポアントを履いていたとか(うろ覚えですが)。カリン・アヴェルティも引退してしまったし、舞台で見ることは本当にすごいチャンスですよね。
映像版だと、映像であることを生かして、ゴリラのシーンなどはモノクロを使って映画っぽく処理しているんですよ。

クロッカスさん、こんにちは。
そうなんです~ビデオ版は、ジュドさんの甘い王子様ばかりが印象に残って(ルディエールの義理の姉もすごかったですが)。ファヴォランはやはり背が高くて顔が小さくプロポーションがいいので女の人っぽいんですけど、演技が濃くて笑えましたよ。友達は、ラ・フィユ・マル・ガルデでもシモーヌ役で彼を観たそうで、それもまた爆笑だったようです。私はフォヴォランは「白鳥の湖」のロットバルトでしか見ていないんですが、彼のロットバルトもすごく良かったです。

ヴァレンチノ、ビデオで以前ダウエルと踊るシーンだけど観たのですが、もう一度見直したいです。

おおやまさん、こんにちは。

プロコフィエフの音楽って独特で癖がありますよね。うちの家人(クラシックオタク)はあまり好きではなく、ニューヨークでABTのロミオとジュリエット、フェリとコレーラ出演のを見せたのですが音楽が感心しないと言ってました。ABT専属オーケストラの演奏が下手というのもありますが。

シンデレラも、シンデレラの物語が持つイメージとはちょっと違って不協和音が多くちょっと不気味で奇妙で怖い感じですよね。ヌレエフ版はこの音楽を使ってかなりキッチュな世界とハリウッドを結び付けていて、そういう点では面白いです。振付作品としては必ずしも評価は高くないみたいですが。

こんばんわ(*^-^)
私が観たのは4年前でうる憶えの場面も多々あるので、DVDを買ってみようかと思います!
舞台とはまた違った印象かもしれませんね(モノクロ処理してある箇所は是非観てみたいです~)
たまたまキャンセル待ちでとれた日に行ったんですが、本当にラッキーでした♪
ジャンギョームがあんなに早く引退してしまうなんで(。>0<。)
ジュドの映画スター観たかったな~

kumiさん、こんにちは。
このDVD、オペラ座ファンなら買って損はないと思いますよ!キャストも良いしすごく楽しかったです。
映画処理をしているのはかなりコミカルな感じで面白かったです。ジャン=ギョーム、アニエス、そしてジョゼというキャストで観られたのは本当にラッキーでしたね。
ジュドさんは本当に甘い王子様でしたよね。彼が活躍していた時期はバレエを観ていなかったので、リアルタイムで観られなくて残念です。

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