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« 12/28 パリ・オペラ座「ライモンダ」2幕 | トップページ | ミラノ・スカラ座オペラ来日公演の概要/ロベルト・ボッレがABTのロサンゼルス公演に出演 »

2009/01/20

12/28 パリ・オペラ座「ライモンダ」3幕 POB Raymonda Act3

「ライモンダ」の物語のクライマックスであるジャン・ド・ブリエンヌとアブデラムの決闘が終わってしまったので、3幕は大団円。ディヴェルティスマンとして、ライモンダとジャンの婚礼を祝う、華やかな踊りが延々と繰り広げられる。ドラマの要素は何もないけれども、その分、グラズノフの東洋的できらめくメロディに乗せた、ゴージャスな歴史絵巻がとめどなく展開するのだ。

P1020486s

幕が下りたままの時の冒頭の音楽の、重厚でドラマティック、華麗で広がりのある旋律の美しいこと。幕が開くと、暖色系の仄暗い舞台が幻想的。キャンドルが灯され、そのキャンドルを乗せたシャンデリアが上昇。このシーンを見ただけで、もう大感動。奥のテーブルでは晩餐が開かれていて歓談する人々。そのテーブルから、チャルダッシュのダンサーたちが奥に歩いて行く。そしてチャルダッシュの音楽が始まる。

LA COMTESSE Béatrice Martel
LE ROI Emmanuel Hoff

GRAND PAS CLASSIQUE
Marie-Solene Boulet, Sarah Kora Dayanova, Laura Hequet, Fanny Gorse
Joshua Hoffalt Florian Magnenet, Julien Meyzindi, Gregory Dominiak

Mathilde Froustey, Charline Giezendanner,Juliane Mathis, Pauline Verdusen
Gil Isoart, Alistar Madin, Marc Moreau, Fabien Revillion

VARIATION
HENRIETTE (Aurélia Bellet)

PAS DE QUATRE Gil Isoart Alistar Madin, Marc Moreau, Fabien Revillion

TRIO
CLEMENCE (Eve Grinsztajn) et Sarah Kora Dayanova, Marie-Solene Boulet


チャルダッシュは、右側にいる女性ダンサーたちがパートナーの男性の方へ首を傾けて甘い雰囲気を作っている。そして全員が大きくアクセントを取るようにバットマン。チャルダッシュのソリストは、ドリス伯爵夫人のベアトリス・マルテルとハンガリー王エマニュエル・オフ。ベアトリス・マルテルの艶やかな美しさが目を惹く。

グラン・パ・クラシックは4組のダンサーが入場し、続けてもう4組。この中にベランジェとベルナール役のジョシュア・オファルトとフロリアン・マニュネが入っているところがもうヌレエフ版の鬼、って感じ。先ほどスペインやサラセンのソロを踊っていたローラ・エケ、ジュリアン・メザンディ、シャルリーヌ・ジザンダネ、マルク・モローも加わっている。踊れるダンサーに役はたくさん回ってくるものだなって思う。

そして主役ペアの入場。アダージオの後、哀愁のハンガリアンメロディで、男性ダンサーが一斉に女性ダンサーを高くリフトする。このあたりは、他の版の「ライモンダ」とほぼ同じ。その中でも、8人の女性ダンサーが並び、男性ダンサーにサポートされながら一斉にパンシェするところは、壮観だ。
(参考:オペラ座サイトのこの写真

アンリエットのソロは、オーレリア・ベレによるもの。前日のメラニー・ユレルが良かったので、それと比較すると普通だった。男性ダンサー4人によるパ・ド・カトル。ここでもジル・イゾアールがベテランの意地を発揮していた。スーパー・バレエレッスンに出ていたファビアン・レヴィヨン、本当に大活躍のマルク・モロー、そしてちょっとだけフロリアン・マニュネに似ているアリスター・マダンと、よくもまあこれだけ見目麗しく、しかもこの鬼のような振付を毎日のようにきちんと踊っている男子を揃えたものだと思う。トリオでは、やっぱりサラ・コラ・ダヤノヴァの美しさが目に付く。

ジャン・ド・ブリエンヌのソロ。最初のピルエットで、ヴォルチコフは今までの汚名挽回、と最初の4番からのアティチュードでのピルエットの後、6回位回ったすごく速いピルエットを見せた。それからカブリオール2回、トゥールザンレールを入れたジュッテ、そしてイタリアンフェッテのようなフェッテアラベスクの跳躍を2回、ピルエット、後方へのカブリオール2回、アティチュードでのアンドゥダンのピルエットを2回、ソ・ド・バスク、トゥール・ザン・レールを入れたマネージュといった、これまたウルトラ高難度の振付。ヴォルチコフ最大の問題はパートナーリングだったので、ここは一応ちゃんと踊っていた。だって天下のボリショイの新プリンシパルだものね。でも振付をこなすので精一杯という感じ。前日のジョゼがあまりにも素晴らしすぎたし。ただ、ヴォルチコフはプロポーションは素晴らしいし脚のラインもきれいなので、観た感じは貴公子らしい。

ライモンダのヴァリエーション。ここでのマーシャはまた完璧。腕を上げて頭のところに手を置くハンガリアンのポーズの決まっていること!パ・ドブレはあくまで繊細で滑らか、床の上を滑るよう。上体の引き上げ方としなやかな上半身。ロシア流なので手は打ち鳴らさないため、腕の使いかたもオペラ座流とは全然違っていて、まろやかで柔らかだ。アラベスクでポーズを取るところのフォルムの美しさ。堂々とした気品はまさに姫。最後だけ、オペラ座方式に敬意を表したのか手を打ち鳴らした。このときのブラボーの嵐の凄まじさといったら!(某動画サイトにこの日のヴァリエーションがアップされているので、興味のある方は検索してみてください) やはりロシアン・バレリーナのポール・ド・ブラの美しさは絶品だけど、その中でもマーシャはもう格別。震えがとまらないほどだった。

コーダでは洪水のように華やかなダンスが舞台上に溢れる。特に、パ・ド・カトルの4人の男性ダンサーたちが一斉にアントルシャ・シスやバットマンシソンヌ、カブリオールをするという、舞台も終わりの終わりだというのに信じがたいほどハードな振付が詰め込まれているのには驚愕!(しかも、ばっちりと揃って決まっているのには心からブラボー)。キメのあとも、さらに終わりがないかのように続く饗宴。そして永遠の時につながっていくような、長い長い舞台がついに終わった。本当にマリーヤ・アレクサンドロワは世界最高のバレリーナであると実感した公演だった。だが、忘れがたい魅力を放ったアブデラムのステファン・ビュリヨンにも、マーシャと同じくらいの大きな拍手がカーテンコールで贈られていた。エトワールになる日もそう遠くないかもしれない。

また、果てしなくハードな振付で全編ほぼ出ずっぱりのジョシュア・オファルトとフロリアン・マニュネは素晴らしかった。若さに溢れていて、愛嬌もあり、観ていて本当に気持ちが良い。二人とも良いのだけど、特にオファルトの跳躍がふわっとしていて素晴らしかった!さらにはグラン・パ・クラシックの群舞ダンサーたちまで、全体的なレベルはきわめて高かったといえる。欲を言えば、やっぱりアンリエットとクレマンスが弱いのがこの日のキャストだった。女性ソリストのレベルの向上がオペラ座の大きな課題と思える。アンリエット&クレマンス役の二人よりも、シャルリーヌ・ジザンダネ、ローラ・エケ、サラ・コラ・ダヤノヴァ、マチルド・フルステといったダンサーたちの方がはるかに魅力的に思えてしまった。

いずれにしても、全編ダンスの洪水、豪華絢爛な華麗な歴史絵巻の魅力をたっぷりと味わった3時間半だった。グラズノフの傑作スコアを見事に奏でた、コロンヌ管弦楽団による演奏も極上のものだった。

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