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« バレリーナへの道Vol.75 | トップページ | ボリショイ・バレエ「ドン・キホーテ」12/3、4のキャスト »

2008/12/01

シュツットガルト・バレエ「オネーギン」祭り終了、覚書その1(まだ全然途中)

3日間のシュツットガルト・バレエ「オネーギン」鑑賞が終了しました。前回の来日の時も、マニュエル・ルグリ主演の「オネーギン」を観ていて、あの時もとても感動したので、3日分のチケットを買っていたわけですが、今回はそれ以上に個々のダンサーの魅力、カンパニーの魅力を感じることができて良かったです。

3キャストとも、それぞれ異なった個性、魅力があったので、比較するのはもしかして正しくないかもしれないのですが、粗末な頭のせいで混乱しないように、覚書として書いてみます。個人的な感想ですので~。

Stuttgarter Ballett
Onegin (Gastspiel Tokyo, Japan)
Ballett in drei Akten von John Cranko nach Alexander Puschkin

11/28
オネーギン: イリ・イェリネク
レンスキー: フリーデマン・フォーゲル
ラーリナ夫人: メリンダ・ウィサム
タチヤーナ: アリシア・アマトリアン
オリガ: カーチャ・ヴュンシュ
乳母: ルドミラ・ボガード
グレーミン公爵: ダミアーノ・ペテネッラ
Onegin (Gastspiel Tokyo, Japan)
Onegin Jiri Jelinek
Lenski Friedemann Vogel
Tatjana Alicia Amatriain
Olga Katja Wünsche
Gremin Damiano Pettenella

11/29
オネーギン:ジェイソン・レイリー
レンスキー:マリイン・ラドメイカー
ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
タチヤーナ:スー・ジン・カン
オリガ:アンナ・オサチェンコ
乳母:ルドミラ・ボガード
グレーミン公爵:ダミアーノ・ペテネッラ
Onegin (Gastspiel Tokyo, Japan)
Onegin Jason Reilly
Lenski Marijn Rademaker
Tatjana Sue Jin Kang
Olga Anna Osadcenko
Gremin Damiano Pettenella

11/30
オネーギン:フィリップ・バランキエヴィッチ
レンスキー:アレクサンドル・ザイツェフ
ラーリナ夫人:メリンダ・ウィサム
タチヤーナ:マリア・アイシュヴァルト
オリガ:エリザベス・メイソン
乳母:ルドミラ・ボガード
グレーミン公爵:ジェイソン・レイリー
Onegin (Gastspiel Tokyo, Japan)
Onegin Filip Barankiewicz
Lenski Alexander Zaitsev
Tatjana Maria Eichwald
Olga Elizabeth Mason
Gremin Jason Reilly

11/28 イェリネク/アマトリアン/フォーゲル 
イリ・イェリネクのオネーギンが一番、本来のオネーギン像に近いのかな、と思いました。そして彼が一番自然に、この役そのものになっていると思いました。プライドのとても高い、都会的でスマート、少し斜に構えた男なのだけど、その裏に弱さを隠し持っており、弱さがあるがゆえに虚勢を張っているオネーギン。本来は善良な人間なのに、ついつい自分を実際よりもいい男に見せたくて、田舎の人々を小ばかにして、タチヤーナを小娘だと残酷にも退けてしまう。だから決闘事件を経て成熟した大人の女性になったタチヤーナを見て、自分の取り逃がしたものの大きさに愕然とする。ここで彼は初めて、貴婦人の彼女に恋をします。3幕でのイリは、メイクはそれほど変えていないのに、往年の輝きをすっかり失ってしまって、人生に疲れ果てた男に成り果てていました。舞踏会場でも、かつてはあんなにスマートだった男が、なぜか一人みすぼらしく時代に取り残されてしまった存在として浮いている。そんな彼が、プライドも何もかもかなぐり捨てて、タチヤーナの足元に身を投げ出して取りすがるものだから、一層憐れさが際立ってしまい、タチヤーナよりも彼に心の底からシンパシーを感じました。

イリ・イェリネクは、インタビューで、「『オネーギンこそが人生の恋人だった』と心の中で思いながら後の人生を生き抜くのは…僕の考えではタチヤーナはバカだとしか思えない。ここで過ちを犯した人間がいるとしたら、それはオネーギンではなくタチヤーナ」と語っています。その解釈がものすごくよくわかるのです。確かにラストでは、彼は輝きを失った初老の男になってしまっているけれども、ここまで深く想われたら、女としてはどのような選択を取るのが正しいのか、強く激しく拒絶してしまうのは、ある意味、最も強かった愛をあきらめてしまうということになるのではと考えてしまいます。1幕の鏡のパ・ド・ドゥでのイリは、男らしくも甘く、悪魔的なまでに魅惑的な恋人であり、去り際にタチヤーナに向けた笑顔が誘いかけるかのようで、たまらない魅力を放っていました。それは、タチヤーナの幼い幻想/妄想の中の恋人の姿ではあったけれども、同時に、虚飾を捨て去った本来のオネーギンの姿でもあったように思えたのです。

テクニックについても、イリは素晴らしかったです。今回、オネーギンを演じた3人のダンサーはみなそれぞれ、技術も表現力も非常に優れていて、甲乙つけがたかったのです。イリは跳躍がとても高くて、ふわっと舞い上がるかのようだったし、3幕の手紙のパ・ド・ドゥで見せたジュッテ・アントルラッセは突き刺さるかのように鋭くて、人生最初で最後の恋愛に賭けた彼の真摯な想いを象徴させていたかのようでした。2幕の決闘シーンの前に見せた3つ連続のピルエットはスピードも嵐のようでしたし、軸もぶれていませんでした(それは、ジェイソンもバランキエヴィッチもそうだったのですが)。イリは脚がほっそりとしていて背が高いので、オネーギンの黒い衣装の似合うこと、似合うこと。

それに対するアリシア・アマトリアンのタチヤーナ。非常にほっそりと華奢で繊細、どこか病的な印象すら与えるアリシア。タチヤーナは多分設定としては10代後半ということなのだろうけど、それよりも若く見えるくらい幼い。本ばかり読んでいて、夢見がちで引きこもっているような娘。たしかに、これでは到底、大人の色男であるオネーギンが相手にするわけはない。夢に出てきた素敵な男性が目の前に現れたから、少女の妄想は暴走する。鏡のパ・ド・ドゥでのアリシアは、その柔軟すぎるほどの肢体を奔放に動かして、夢心地の陶酔感をほとばしらせる。そんな彼女を、思う存分ワイルドに振り回すイリのオネーギンのデーモニッシュなまでの魅力。アリシアは、リフトされている時のポーズが非常に美しく、このパ・ド・ドゥは、彼女の息遣い、おののき、高揚感で満たされていて、寝室なのに、上気した頬の薔薇色に空間が染まっていくかのようでした。そして先走ったタチヤーナの想いが飛び散ると共に、終始彼女をリードし続けたオネーギンはついに彼女を置いてきぼりにして、悪魔のように魅惑的な微笑みを残して走り去っていきます。だけど、置いて行かれた方のタチヤーナは、それがゆえにさらにオネーギンの魅力に呆然としてしまうのです。


まだまだ続きます。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、お久しぶり。「オネーギン」のレポートありがとうございます。イリのインタヴューを読んで、ものすごく見たくてたまらなかったので、嬉しかったです。「オネーギン」の作品はとても好きなのですが、オネーギンにはまったく共感できず、「なんて酷い男なの!!」といつも憤っていたので、イリの解釈はとても新鮮でした。見られなかったのが本当に残念です。
どういうわけか、「オネーギン」の3幕を見るといつも「マジソン郡の橋」を思い出してしまいます。車のドアに手をかけて恋人のもとに走ろうかどうしようか迷いながら、ついに今の生活を選ぶフランチェスカとタチアーナの姿がダブって見えてしまいます。

明日からのボリショイ祭りには私も「無理やり」予定を空けて参戦です~。会場でお目にかかれるといいですね。

maddieさん、こんにちは
オネーギン観られなくて残念でしたね。でも好評だったので三年に一回と言わず再来年になるかもって話です。

とにかくもう男性ダンサーの皆様が麗しいし、アイシュバルトやスージンがすごかった!スージンはもう41らしいので、あと何回見られるかですよね。

ボリショイ祭、平日は6時半始まりなのがきついですが、白鳥二回行かない他は東京制覇です(笑)やはりマーシャが楽しみですね。

naomiさん、こんにちは。以前にあなたの感想が楽しみなので、「オネーギン」はぜひとも3回観て下さいね~ってお願いした者です。
さすがに興味深いレビューありがとうごさいます。今は、ボリショイ祭りでお忙しくて、ーまだまだ続くーの先は、ホントまだまだなので残念ですが、オネーギンの一人に、このブログの話をしたんですね、彼が、あなたのレビューを読みたいーと言うので、これまでのを英訳して渡すつもりです。よろしいですか?
彼は、「賞賛も何もいらない。ただ、僕のオネーギンが日本の観客をがっかりさせなかったのなら、それだけで満足だ」と言ってます。

naomi様
続きを待っております(笑)
大阪の「オネーギン」素晴らしかったですよ。席がかなり前方だったので、主役二人の息遣いがすごく聞こえてくるのですが、特にアリシアの息遣いが激しくて、風邪で鼻が詰まっていて呼吸が出来ないのかと思ったほど。naomi様の言われるようにちょっと「病的」というか、若いときのミア・ファローみたいで、「蒲柳の質」っていうんでしょうか、そういう感じで、悲しげで、でも切迫した感じを与えるんですよね。アリシアはモダンの時はあんなにスパッとしてるのに、違いに驚きました。私が思わず涙したのは「鏡のPDD」で、その病的な彼女が薔薇色に頬を染めて喜びを踊るところが、結末を知ってるだけに哀れで哀れで。イリも最後まで本当に素晴らしかった!今オネーギンで見たいのは彼かルグリですかね。最後のカーテンコールは二人とも放心状態のように見えましたよ。本当に素晴らしいバレエ団ですよね。また来日して欲しいです。

ゆいーちかさん、こんばんは。

本当に3キャスト鑑賞を薦めて下さってありがとうございます!

ボリショイ祭りの最中ですが、早いところ書き上げたくてうずうずしているところです。本当にシュツットガルトのオネーギンは素晴らしかったです。まだ抜けきらなくて困ったものです。3人とも素晴らしいオネーギンでしたが、一番印象に残ったのはイリでした。
とにかく、3人とも、大満足です!これだけ演劇的に深みのあるバレエって他にないのではないでしょうか。
もちろん、英訳の件はOKです!私もたまにしか更新しない英語ブログを持っているので、英語でも書きたいんですけど、その余裕があるかどうか。よろしくお伝えください。
NBSのサイトに載っているオネーギンのダイジェスト映像も近いうちに削除されるようなので、今日はそれを繰り返し観ていました。

sandyさん、こんばんは。

大阪公演ご覧になったのですね!平日でなかったら私も観に行きたかったです。今回私も3回とも比較的前の方で観ることができました。3回のうちでは、楽日のマリア・アイシュヴァルトとフィリッピ・バランキエヴィッチのときが、一番舞台から遠い席だったのに、一番息遣いが荒く聞こえてきましたね。
そうそう!アリシアがミア・ファロー似という表現はぴったりです。あの鏡のパ・ド・ドゥは夢見がちな少女の憧れが炸裂したシーンで、彼女の人生の中でも最も情熱的な瞬間だったかと思うと本当に切ないです(しかも、それは現実ではなくて夢)
本当に、どの主演者も役に入り込んで最後まで抜けきっていませんでしたね。イリとアリシアはカーテンコールの幕が開いたときに熱く抱擁していたのが印象的でした。

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