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« 12/3 ボリショイ・バレエ「ドン・キホーテ」初日/2009年マリインスキー・バレエ来日公演 | トップページ | Newsweek日本版にボリショイ・バレエの舞台裏写真 »

2008/12/05

12/4 ボリショイ・バレエ「ドン・キホーテ」

昨日とは同じバレエ団の舞台なのが信じられないくらいの、いい意味でも、悪い意味でもとんでもない公演。楽しかったからいいけど!

オーシポワとワシーリエフがすごいというのは様々な映像や、海外で見てきた人などから聞いて織り込み済みだったけれども、実際に全幕を目にしてしまうと驚愕するばかり。

オーシポワは登場の時のジュッテから、ものすごくバネが効いた跳躍で、頭と足先がくっついてしまうほど大きく反る。ゴムマリのよう。そしてワシーリエフも、登場の時から、空中でパッと真横に180度開脚して、しかもひねりを加えたジュッテ。彼には翼が生えているんじゃないかと思うほど。二人とも、いちいち跳躍が高くて、小柄なこともあってさらに高く跳んでいるように見える。

ここでもう、観客がヒートアップ。初日に引き続いて、招待客が多かったので、招待の人がいなければもっと盛り上がったんじゃないかと思う。それに乗せられて、オーケストラもノリノリに。

1幕のキトリの友達二人とバジルのパドトロワ。ワシーリエフは、フィニッシュでは、トゥール・ザン・レールプラスアンレールのコンビネーションを2回、そしてトゥールザンレールで一旦着地したあと、フィギュアのコンビネーションのジャンプのようにプレパレーションなしで2回連続アンレール。

オシポワのカスタネットのソロも、脚をバシッと6時の位置まで上げたかと思うと、それから本当に高く跳ぶこと。のけぞること。やったわ!という喜びが感じられて、気持ちいいといえばそう。コーダのピケの時の、パッセの脚の位置も脚の付け根辺りと高い。

1幕の片手リフトをするところでは、2回目のリフトで、ワシーリエフはオーシポワを持ち上げたまま、ルルベだけでなく、アラベスクまで見せてしまうし、ふらつかず、歩かないでサポートができていた。

2幕の酒場での狂言自殺シーンは、先に二人で打ち合わせてから行う。このあたりの演技は、若い二人らしくてなかなか微笑ましかった。オーシポワの胸をモミモミしてけっこうエッチなワシーリエフ。でも二人とも童顔だから、子供二人がじゃれているみたい(実際、ワシーリエフはまだ19歳)。

ワシーリエフのここでのピルエット、アラ・スゴンドで始まって、途中でアティチュードデリエールに。彼のピルエットは、ホセ・カレーニョのように途中で惰性でくるくる回って、ゆるやかにストップする。必要以上に回転して斜めになることがないのはえらい。多くても8回転くらいにとどめている。(以前、イワンはインタビューで12,3回は当たり前に回れると言っていたような気がした)

ワシーリエフがピルエットした後、オーシポワが勢いよく飛び込むところ、映像ではもっと勢いをつけて飛び込んでいたようなのを観たと思うけど、今日も十分勢いがあって、腕が地面につきそうだった。ふらつかないでしっかりと受け止めるワシーリエフ。

夢のシーンでのドルシネアのオーシポワは、残念ながら姫には見えなかった。キトリの時にはちょっと子豚ちゃんな顔が愛嬌があって可愛いけど、お姫様にはつらい。しかも、ドリアードに長身スリム美女のネッリちゃんが入っていたり、ドリアードの女王のシプリーナもほっそりとした美人だし、コールドもみんなプロポーションが良いので、小柄で体操出身らしく太ももが太く肩もがっちりしているオーシポワは見劣りする。コーダのグランジュッテは、さすがにものすごく高く、空中で静止して見えるほどで飛距離もあるけど、その分足音がしてしまうし。それから、上半身がバレエ的でなくて力が入っているのだ。キトリのときよりは、柔らかく優雅に動こうとしているけど、やっぱりキトリの地が時々出てきてしまう。オシーポワのテクニックは申し分ないのだけど、昨日のアレクサンドロワはちゃんと姫だったし、足音なんかまったくさせていなかったと思い返す。

3幕のグラン・パ・ド・ドゥ。オーシポワのヴァリエーションは、昨日のマーシャもそうだったけどエシャッペではなくてパッセを繰り返すもの。やっぱり今日も演奏がものすごく早かったけど、音には合わせていた。でも、なんかバレエじゃない感じ。このときのハープの音が、真珠の粒を弾いているみたいで、とても美しかった。

ワシーリエフは、またここで例の惰性で回るピルエット。そして空中開脚ジャンプ。身体を斜めに倒しての2回転半のトゥールザンレールを2回。(3回目もやろうとしたけどやめて、膝で着地していた)とにかくいちいち跳躍が信じられないほど高い。マネージュは、グラン・ジュッテ・アン・トゥールナンの間に、アティチュードで空中半回転するのだけど、そのときにふわっと浮かび上がって、まるで翼が生えているかのよう。

とにかく、これだけスーパーなテクニックを持っている男性は、世界に5人くらいしかいないのではないかしら。(思い浮かぶのは、サラファーノフ、キューバ国立のロメル・フロメタ、ABTのエルマン・コルネホ、ダニール・シムキンあたり) バレエじゃない、と言われたらそうかもしれないけど、ワシーリエフはまだ10代で若いから、表現力などはこれから磨いていけそう。彼には、確かに観るものを幸せにする陽の魅力がある。公称175センチよりも背は低く見えるし、プロポーションもがっちりしていて見栄えはしないが、ルックスは愛嬌があってとても魅力的だ。

オーシポワのフェッテがすごかった。時々手を腰に当てながら、前半は全部ダブル、後半に移るときにトリプルを入れてシングル、ダブルの繰り返し、最後は4回転。音楽が速いので、フェッテも当然すごく速い。そして軸がずれたり、移動することがないのがすごい。まだまだ追加で32回くらい余裕で回れそうだった。

******

というわけで、とにかくこの二人の世界びっくり人間ショーのような技合戦を見せられた「ドン・キホーテ」で、物語性は希薄。あまり全幕バレエを観た気がしない。同じ超絶技巧でも、キューバ国立バレエの「ドン・キホーテ」のDVDの二人は、エレガンスを持ち合わせていて、ちゃんとカンパニーに溶け込んでいるのに。

別の意味ですごかったのが、シュプレフスキーのエスパーダ。前日のメルクリーエフがいかに素晴らしかったかがよくわかった。立っていると本当に美貌で長身でカッコいいのだけど、踊りに切れがなく、やや猫背気味で、背中が硬い。アンドゥオールできていないことも。致命的なのが、音楽性がなく、常に他のトレアドールよりワンテンポ遅れた動き。でも、女たちが奪い合うほどの、セクシーでいい男ではあるのだけど。

ドリアードの女王、シプリーナは、ゆったりと大きな動きで優雅で美しかった。オーシポワと並ぶと、オーシポワが引き立て役になってしまう。キューピッドは昨日と同じアナスタシア・スタシケーヴィチで、脚が長くて、ちょっと大人っぽい美人。第一ヴァリエーションが昨日と同じクリサノワで、彼女のヴァリエーションも素晴らしかった。さすがに主役を踊るだけのことはある。第2ヴァリエーションはネッリ・コバヒーゼ。腕がとても美しく、優雅で音楽的な動き。フィニッシュで若干ぐらついたけど、あの美しさの前では問題なし。

ドン・キホーテ、サンチョ・パンサ、ロレンツォ、そしてガマーシュは前日と同じキャスト。彼らは本当に演技が細かくて芸達者で面白い。特にガマーシュのデニス・サーヴィン、昨日よりもさらにクネクネと怪しい人になっている。ハンサムなのにバカ殿メイクで、ヒール靴から覗く脚がほっそりときれい。。主役が真ん中で踊っているときにもガマーシュらはしっかりと演技をしていて、どこを見ていいのか迷うほど。街の人々一人一人に至るまで、みんな演技をしているのが楽しさを倍増させている。ジプシーの群舞、トレアドール、ボレロ、ファンダンゴに至るまで、コールドは質が非常に高い。

その質の高いメンバーの中で、主役二人(そしてエスパーダ)はいささか浮いて見えた。でも、オーシポワにしても、ワシーリエフにしても、若いし技術や身体能力は人並みはずれているので、今後どのように変化していくかは楽しみ。会場であった知人が、ワシーリエフの「スパルタクス」を見たそうなのだけど、それはそれは素晴らしかったそうだ。日本でも、次回公演には「スパルタクス」を持ってきてくれないかしら。また2,3年後の来日になるでしょうから、きっとワシーリエフ、さらに才能を開花させていることだろう。

バランスが欠けているところが目に付いた公演ではあったけど、世にも珍しい凄いものが観られたということで、やっぱり楽しかった!

キトリ/ドゥルシネア : ナターリヤ・オーシポワ
バジル (床屋) : イワン・ワシーリエフ
ドン・キホーテ (さすらいの騎士) : アレクセイ・ロパレーヴィチ
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの剣持ち) : アレクサンドル・ペトゥホーフ
ガマーシュ (金持ちの貴族) : デニス・サーヴィン
フアニータ (キトリの友人) : ヴィクトリア・オーシポワ
ピッキリア (キトリの友人) : オリガ・ステブレツォーワ
エスパーダ (闘牛士) : アルテム・シュピレフスキー
ルチア (街の踊り子) : アナスタシア・メシコーワ
メルセデス (踊り子) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
ロレンソ (キトリの父) : イーゴリ・シマチェフ
ロレンソの妻 (キトリの母) : アナスタシア・ヴィノクール
公爵 : アレクサンドル・ファジェーチェフ
公爵夫人 : エカテリーナ・バルィキナ
居酒屋の主人 : イワン・プラーズニコフ
森の精の女王 : エカテリーナ・シプーリナ
3人の森の精 : ユーリヤ・グレベンシチコワ,ネッリ・コバヒーゼ
          オリガ・マルチェンコワ
4人の森の精 : アレーシャ・ボイコ,スヴェトラーナ・パヴロワ
          チナラ・アリザデ,スヴェトラーナ・グネードワ
キューピッド : アナスタシア・スタシケーヴィチ
スペインの踊り : クリスチーナ・カラショーワ
           アンナ・バルコワ,エカテリーナ・バルィキナ
ジプシーの踊り : アンナ・アントロポーワ
ボレロ : アンナ・バルコワ,アントン・サーヴィチェフ
グラン・パの第1ヴァリエーション : エカテリーナ・クリサノワ
グラン・パの第2ヴァリエーション : ネッリ・コバヒーゼ

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