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2008/11/09

キューバ国立バレエの現在

BBCのサイトで、キューバ国立バレエの今についての興味深い記事がありました。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/7715781.stm

カストロのキューバ革命50周年でもあると共に、アリシア・アロンソがキューバ国立バレエ(の前身)を設立してからちょうど60年になります。

カリフォルニアからわざわざキューバ国際フェスティバルを観に来たバレエ愛好家のグループの一人、クララ・ユーストは、キューバ国立バレエは世界でも1,2を争うほどのレベルの高さであると語ります。「彼らは完璧なトレーニングを受けており、信じがたいほどの音楽性の高さと長い伝統があります。彼らはとにかく素晴らしくて、観る喜びを感じさせてくれます」

この記事では、プリンシパルで、ABTのホセ・カレーニョの弟であるジョエル・カレーニョのインタビューがあります。ホセに似ていますが、もっと色白で白人っぽい彼は、日本にもゲストで出演したことがありますよね。

「誰もが、タクシーの運転手ですら、クラシック・バレエ、バレエ団、そしてダンサーたちのことをよく知っています」「ステージに上がると、人々の温かさに、素晴らしい気持ちになります。誰もが自分のことを知っていて、自分が踊るのを観たがっていますから」

今では、海外からもキューバにバレエを学びに来るダンサーがいるほどだ。たとえばデンマーク・ロイヤル・バレエのプリンシパル、トーマス・ルンはここでのトレーニングは厳しく、肉体をよく使うものだと表現しました。

「彼らの回転技術は本当に驚くべきもので、空中で大技をやる方法も熟知しています。私はデンマークの伝統を学んでいて、そこではそういった技術はあまり重視されていなかったので、ここで学んだことはとても役に立ちました」

シーズンの初日には、アリシア・アロンソは舞台の上に二人の男性ダンサーによって導かれながら、一番長くて大きなスタンディング・オベーションを受けました。そして、大統領ラウル・カストロの隣の客席に座りました。フィデル・カストロ、ラウル・カストロ、そしてアリシアの三人によって、キューバでバレエが栄えることになったのです。

バレエ団の長年の教師であるロイパ・アラウホによると、「フィデルとアリシアは最初からお互いをよく理解していました。バレエ団が設立された頃、フィデル・カストロはキューバを国として発展させることに力を注ぎ、文化はその中でも大きな役割を果たすと考えていました」

アリシアも革命の熱心な支持者であり、アメリカで名声を得ていたにもかかわらず、バチスタ前政権が追放された時に彼女はキューバに戻ってきました。

ロイパ・アラウホは、革命後に農場や工場でバレエ公演を行い、古典バレエの語彙や技術を説明したことをよく覚えています。だからこそ、キューバの観客はバレエについてよく知っているのだと彼女は考えています。

「最初からフィデルはアリシアに、彼はキューバのバレエを全面的に支援し、とにかくよいカンパニーにして欲しいと伝えていました。それが今に至るまで私たちの目標です」

共産主義国家であるキューバは、旧ソ連と文化的な交流があり、バレエへの興味がそれゆえ強められました。かつてのソヴィエトのシステムのように、権力はダンサーたちの選抜を真剣に考えています。才能のある子供は、特別な学校で無料の教育を受け、バレエシューズにいたるまですべて国費で賄われます。

キューバ国立バレエ学校では、設備は充実はしていません。教師たちは伴奏用の音楽をテープやMP3のプレイヤーで持参します。しかしカルロス・アコスタやカレーニョ兄弟など、優れたダンサーがここから巣立っていきました。

キューバでは、画家や音楽家、そしてバレエダンサーなどの芸術家は自由に西側に行くことができます。ただし、野球選手などのスポーツ選手はこの限りではありません。スポーツ選手は海外でプロ選手となることは禁じられ、アマチュアでいなくてはなりません。

バレエダンサーになることで、名声を得ることができるという事実により、多くの男の子たちがダンスを学びたいと考えるようになって来ました。国立バレエ学校では、300人の生徒の3分の1近くは男子生徒です。「男の子たちは競争心が強いのです。彼らは、回りの空間を独占し、女の子たちの前で強く見せたいと考えています。だから、彼らはバレリーナと踊ると、強くてエレガントに見えたいと思い、美しいカップルとなります。」と教師は言います。

キューバはマッチョな国かもしれませんが、バレエはそれだけ高い地位にあり、他の国のように男子がバレエダンサーになりたいと思うことに対しての抑圧もありません。キューバ国立バレエには才能のあるバレリーナがたくさんいますが、21世紀におけるキューバのバレエの特徴は、男性ダンサーたちにあるといえるでしょう、とこの記事は締めくくっています。

****
ちょうど10月28日から11月6日まで、第21回キューバ国際バレエフェスティバルが開催されていました。
ゲストとしては、カルロス・アコスタ、デンマーク国立バレエのトーマス・ルンほか、ベルリン国立バレエのロナウド・ザフコヴィッチ、ボリショイ・バレエのニーナ・カプツォーワ、そしてスペインのフラメンコのカンパニー(クリスティーナ・オヨス、マリア・パヘスなど)、アルゼンチンのテアトル・コロンのダンサーらが出演していました。

アリシア・アロンソが復刻した「眠れる森の美女」についての記事があります。主演は、あの超絶技巧ペア、ヴィエングゼイ・ヴァルデスとロメル・フロメタ。浅黒い肌に白いカツラはちょっとミスマッチですね。
http://www.granma.cu/ingles/2008/octubre/juev30/ballet.html

ところで、この記事では、舞台を観ていたラウル・カストロが首相となっていますが、フィデルの代わりにラウルが首相と書かれていたのは今回が初めてだそうです。

ダンサーには自由に海外にいける特権があるというものの、それでも亡命するダンサーは後を絶たないということはちょっと考えさせられますね。しかし、先日マイケル・ムーアの映画「シッコ」を観たところ、貧しい国ではあっても医療費は無料で医療そのものも充実しており、無保険者が多くて医療をまともに受けられない人の多いアメリカと比較して天国であるかのように見えました。人の価値観は人それぞれですね、と本題からずれたお話です。

いずれにしても、キューバ国立バレエの「ドン・キホーテ」のDVDを観ると、特に男性ダンサーのレベルの高さには驚愕せずにはいられないでしょう。

追記:ロシアのRussia Today紙にも紹介記事がありました。
http://www.russiatoday.com/entertainment/news/33018

それによると、キューバ国立バレエでは、ここ数年間で40人ものダンサーが、海外ツアー中に亡命したそうです。カルロス・アコスタのギャラは一晩1万ドル(100万円)しますが、キューバ国立バレエのダンサーの月給は100ドル。バレエ団のダンサーにとって、踊ることは仕事ではなくて名誉であるとのこと。毎年、キューバ国立バレエ学校からは500人も卒業生が出るのに、バレエ団の団員数は100人と競争は激しいということだそうです。

「海外からは何回もオファーを受けたけど、キューバでのバレエの伝統こそが自分のものだと思うから、残っているわ。キューバには家族もいるし、私の国だから」とヴィエングゼイ・ヴァルデスは語っています。

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