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« 11/22 シアターアイスショー「眠れる森の美女」THE IMPERIAL ICE STARS | トップページ | バレリーナへの道「海外で活躍するダンサー」「新潟県中越沖地震チャリティ」特集 »

2008/11/24

11/23 スペイン国立ダンスカンパニー「ロミオとジュリエット」ナチョ・ドゥアト アフタートーク

やはりこの連休のスケジュールはあまりにも無謀だったようで、見事に風邪を引いてしまいました。風邪薬を飲むと眠くなってきてしまうし。その上、やっぱり彩の国さいたま芸術劇場は遠い!

でも、その遠い中を観に行った甲斐がありました、スペイン国立ダンスカンパニー「ロミオとジュリエット」。

http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2008/d1122.html
(作品の動画もちょっと見られます)

プロコフィエフの音楽がもつエモーションを最大に生かした、音符の戯れのようなよどみなく流麗な動き。顔の表情ではなく、身体全体の動きで演技を見せる振付。一人一人のキャラクターの息遣いが伝わってきて、生き生きとしており、"生"を感じさせます。中でもジュリエットが、子供ではなく、自分の意思を持った自由奔放で強い女性として描かれているのが印象的でした。キャピュレット夫人も、ティボルトの死に際して長くエモーショナルなソロを踊ります。シンプルながらもエレガントでスタイリッシュなセットも効果的だったし、衣装のデザインの洗練された美しさもさすがです。ロミオが自ら幕を開いたところ、真っ黒な墓所に黒い旗がはためている、という場面転換にはぞくぞくしました。そして下手に佇むロミオの表情がみるみる青ざめて慟哭する様子の切なさ…。二人の死の表現も、今までにないものでした。ここでの死は悲劇ではなく、愛の成就として描かれているのでは、と思いました。

バルコニーのシーンでは、ロミオとジュリエットは二人で一緒にマントをかぶるかのようにはためかせて疾走します。去り際にジュリエットがロミオに向ける視線。別れを扉の向こうで行って、観客には見せないことによって、想像力を駆使させるテクニック。マクミラン版を中心に「ロミオとジュリエット」は数え切れないくらい観たけど、涙を流させてくれたのは、フェリと、このナチョ版だけ。

多くのダンス/バレエファンが思ったことでしょうが、上演スケジュールがシュツットガルト・バレエの「眠れる森の美女」や新国立劇場の「アラジン」、らさにはシアターアイスショーの「眠れる森の美女」にも重なっている。ついでにジャンルは違うけど個人的には映画祭の東京フィルメックスとも重なっていたりして。
興行元が違うと、スケジュール調整が難しいのでしょうが、公演がないときには何もなくて、ある時には重なりまくり、というのは何とかならないでしょうか。可能だったらもっともっとリピートして観たい作品です。ナチョ・ドゥアト自身は、物語バレエより抽象的な作品を作るのが好きということなので、今後観る機会はなくなってしまうかもしれません。

本当は本編「ロミオとジュリエット」の感想を書きたいところなのですが、風邪のために大事をとって(明日はシュツットガルト・バレエの「眠れる森の美女」だし)、終演後に行われたナチョ・ドゥアトのトークショーについて書いて見たいと思います。
予想に反して、ナチョは英語でトークを行っていました。そして、やっぱりナチョはめちゃめちゃセクシーでカッコいいです。

「ロミオとジュリエット」を振付けたきっかけについて。

物語バレエを作ったのは、これが初めてで、おそらくは最後です。私の他の作品はアブストラクトな作品で、アイディアがあって、それを観客に伝えたいから創ったというものです。「ロミオとジュリエット」は10年前の作品ですが、自分がこの種の物語バレエを作れることを見せたかったのです。観客や批評家たちも、私がこのような作品を作ることができるか知りたがっていたようでしたし。そしてやってみたら、うまくいきました。ストーリーが美しいですし、音楽はゴージャスです。バレエ音楽の中でも「ロミオとジュリエット」は最も美しい作品だと思います。まず音楽があったので、音楽に惹かれ、そして物語にも力があると思いました。この物語は、二人の登場人物についてではなく、普遍的な愛を描いたものです。愛の力で憎しみに打ち勝つというところに惹かれました。

二人が初めて出会うシーンはパ・ド・ドゥで表現しました。二人の恋というよりは、愛とは何かということを表現してみました。若者二人のカップルという描き方をしたくなかったのです。たとえばティボルトは血に飢えており、マキューシオは哲学的なキャラクターです。シェイクスピアは愛だけではなく憎しみも描こうとしていました。愛に対しての憎しみを描き、憎しみに対して愛が勝利するという物語なのです。

通常バレエでは、ジュリエットは幼い少女として描かれており、キャピュレット夫人はずっと年を取っていて、乳母は太っているという設定になっていることが多いのです。しかし私は、ジュリエットは15歳だとしたら彼女の母は30代なのでまだまだ踊れる年齢ですし、ジュリエットの父もまだ動けて踊れるわけです。古典バレエでは、これらのキャラクターはステロタイプとして描かれていますが、たとえば私には実際に乳母がいましたが、若くて魅力的な女性でした。この作品では、誰もがパ・ド・ドゥを踊りますし、グループにも見せ場があります。主人公以外の他のキャラクターもとても興味深いし、素晴らしいダンサーが揃っているのに踊らないのはもったいないと思いました。ジュリエットのキャラクターは、ゼフィレリの映画「ロミオとジュリエット」でオリビア・ハッセーが演じたジュリエットにインスピレーションを得ています。

この作品は、まず音楽があり気でした。すごく好きな音楽ですし、プロコフィエフの書いたスコアを見ると、すべての楽章に指示があるので、忠実に従うようにしました。他の「ロミオとジュリエット」の作品では、音楽をきったり入れ替えたりしていることが多いのですが、それは逆効果だと思います。また、ジュリエットがヘロイン中毒だったり、ティボルトとマキューシオが同性愛者で愛し合っているといった設定で描いているという作品もありますが、私には理解できません。私の作品では、振付はコンテンポラリーですが、シェイクスピアの物語とプロコフィエフの音楽をそのまま忠実に再現をしています。

バルコニーのパ・ド・ドゥはできるだけシンプルなものにしました。小さな窓が一つあるだけのセットにして。このシーンでは、一度も二人はキスをしていません。パ・ド・ドゥを通してキスのときの感情を表現しようとしたのです。ベッドシーンもそうです。そこで起きたことを、ダンス全体として表現しました。キスを表現するのに実際にキスをしてしまったら、ダンスとしての意味がありません。

今まであなたは様々な振付家に学んで来られましたが、彼らから何を得ましたか?

イリ・キリアンは私の芸術の父のような存在です。また、ベジャールやアルヴィン・エイリーらと仕事をしてきて、何らかのものは学んできました。しかし、振付と言うのは非常に個人的なものであり、振付を教えるということはできません。見て学ぶものです。ダンサーを見たり、仕事に集中している様子を見ることによって、振付を学びます。それは個人的なものであって、人に教えるものではありません。

舞台装置について

ロミオとジュリエットの舞台装置については、海外のツアーに持って行くということもあり、予算の関係もあってとてもシンプルにしました。セットを考案してくれた人は、ツアーに連れて行って、アイディアを出し合いました。箱を使ったセットがあるのは、劇中劇のように見せるためです。

日本に来て、どのようなインスピレーションを得ましたか?

私は俳句についてのバレエを5年前に創りました。いつか日本に持って行きたいと思います。日本に来るのは今回が4回目になります。日本の演劇や書道も好きです。日本は、スペイン人にとって魅惑的なカルチャーを持っているのですが、共通なものもあります。日本人が興味をもっているものには、スペイン人も惹かれることが多いのです。ただスペイン人は、感情を表に出すのに対して、日本人は内に秘めているというところが違います。私が作品を作るのは、地球上で起こっていることを伝えたいためです。
(俳句をテーマに新作を作っている)ジンガロのバルダンスとは、一緒に仕事をする計画があります。私も馬が好きなのですから。

一度作った作品を、時代に合わせて変えていくということはありますか

私はできるだけ変えていかないようにしています。作品を作って失敗したと思ったときには、次の作品に生かすようにしています。「ロミオとジュリエット」はとても特異な位置を占めている作品であり、とてもクラシカルな作品です。私の心が今近いのは、より抽象的な作品です。次の作品はエロティズムについての作品です。私のカンパニーには、エロティックなダンサーがたくさんいますから。
しかし、私は世界を見て、周りの人を見て感じることを観客と共有したいと思っています。スペインでもテロがあったときには、テロについての作品を作りましたし、拷問についての作品も作り、ハイチにおける政治状況についての作品も作っています。私のもう一つのカンパニーでは、子供と戦争についての作品を作っています。自分が世界に対して感じていることを表現する、複数のプロジェクトを同時に進めています。しかし、これらの作品すべてにおいて、愛と死についてというテーマが共通しています。

「ロミオとジュリエット」に出演するとしたらどの役が良いですか?

年齢的にはジュリエットの祖父ですが(笑)、私はこの作品で踊るべき役はないと思います。もともとダンサーだったわけですから、踊らないということはつらいことです。しかしながら、カンパニーが私の作品を踊ってくれているところを見て、私も一緒にステップを踏んでいますし、見ているときには、私は全部のキャラクターになっているのです。

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コメント

はじめまして
ogawamaさんのところからたどっておじゃましました。
ナチョのトーク内容が再現されていることに驚き!すごいです。 
おかげで記憶が呼び起こされました。
ナチョ、セクシーでしたぁ。膝から下と、手を見つめていました。

marcoさん、はじめまして。

トークショーの模様、正確ではないところがあるかもしれませんが、備忘録としてお役に立てれば…。本当にナチョさんは色っぽくてカッコよくて素敵でしたね!確かに手もきれいな方でしたね。また彼が踊るところを観たいです。
彼が出演した映画「靴に恋して」ももう一回観たいですね。

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