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2008/10/22

新国立劇場会報ジ・アトレと「ムツェンスク郡のマクベス夫人」

新国立劇場のクラブ・ジ・アトレ会員にはなっているものの、オペラはあまり観ないので、毎月送られてくる会報誌「ジ・アトレ」はあまりきちんと読んでいない。ほとんどの場合、オペラにページが割かれていてバレエの話はあまり載っていないから。あげくのはてにどこかに置いてしまって、チケットの発売日を忘れるという体たらくで…。オペラを聴くのはもちろん嫌いではないのだけど、オペラを実際に観に行く時間とお金がなくて。

ところで、ジ・アトレの最新号の特集はオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」だ。これは今シーズンでも、バレエのどの作品よりも楽しみにしていたのだ。ショスタコーヴィチによるこの作品は、日本人キャストによる初演こそ昨年行われたけれども、新国立劇場で上演されるのは初めて。しかも、DVDでこのオペラを観たら、音楽も強烈だし、とっても面白いのだ。

http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000059_3_opera.html

この「ムツェンスク郡のマクベス夫人」は、スターリンによる批判で有名な作品である。1936年1月、スターリンがオペラを観劇に訪れていたが、内容に激怒して途中で退席。その2日後の「プラウダ」紙に「音楽のかわりに荒唐無稽」と題した無署名の批評が掲載されて事態は急変し、作曲者の生命にも危険を及ぼしかねない事件となった(プラウダ批判)。以後20年以上にわたり、事実上の上演禁止となってしまった。(以上Wikipediaより引用)

ジ・アトレの岡部真一郎さんによる解説によると、ショスタコーヴィチは「マクベス夫人」を「ラインの黄金」に譬え、現代の女性をテーマトした四部作を書くという広大な構想を持っていたとのことだけど、結局この構想は幻となってしまった。ショスタコーヴィチは他にオペラを2作品しか書いておらず、そのうちの一作は未完である。

ストーリー自体、かなり強烈な作品なのだ。

1860年代のロシアで、裕福な商人イズマイロフ家に嫁いだ女性カテリーナ。彼女は夫のジノーヴィーとの結婚生活に満たされておらず、舅のボリスに厭味を言われる日々。新しい使用人セルゲイが、女中を手篭めにするところを見て、カテリーナは彼に関心を持ち、ついに彼と関係を持ってしまう。ジノーヴィーの不在中、嫁にやましい気持ちを抱いている好色なボリスに、カテリーナは毒をもって殺してしまう。さらに、ボリスの死を帰宅した夫に問い詰められ、彼女は夫をセルゲイに殺させる。
カテリーナとセルゲイが結婚するが、農民がジノーヴィーの死体を見つけ、警察を呼ぶ。婚礼の宴の最中に、カテリーナとセルゲイが逮捕される。そして二人はシベリアの流刑地へと送られる。セルゲイは、若い女囚のソニェートカに色目を使う。囚人仲間に嘲笑われたカテリーナは、絶望の果てにソニェートカを橋の上から突き落とし、自分も身を投げて溺死する。

ショスタコーヴィチは、美しく賢く自立心のあった女性カテリーナが、封建的な農村で自由を奪われたために犯罪に手を染める姿を描いた。しかもショスタコーヴィチは、犠牲者としてのブルジョワ妻としてカテリーナを同情的に描き、労働者であるセルゲイを悪役としたため、それが共産主義体制への批判と受け止められたと考えられている。

1幕のセルゲイたちが女中を手篭めにするところや、カテリーナとセルゲイが関係を持つところの音楽、特に打楽器の連打が高潮して爆発するという、まさに性行為を思わせる露骨ともいえるものであって、だからこそスターリンが激怒したのではないかという説がある。

私もまだ実演は観たことがなくて、今まで観たのは、DVDで発売されている、ヤンソンス指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ演奏のものだけ。これは2006年の収録で、洗練されていながらも、作品の原始的なインパクトを強めている演出。カテリーナを演じるエヴァ=マリア・ウェストブロックがマリリン・モンローのような金髪に現代風の衣装を着て、ハイヒールを大量に並べたガラスの檻のような部屋に住んでいるというセットが効果的だ。そして、コンセルトヘボウの演奏がものすごい。とにかくドラマティックで猥雑で面白い作品なので、実際に舞台で観られるのがとても楽しみ。

それから、この作品の改訂版「カテリーナ・イズマイロヴァ」の映画版のDVDもある。こちらも、ロストロポーヴィチの音源を用いた名演。

新国立劇場の今回の上演は、ロイヤル・オペラハウスの製作によるリチャード・ジョーンズのプロダクション。イギリス的な諧謔もあるというのでますます楽しみ。ジ・アトレには寝取られ夫のジノーヴィを演じる内山信吾さんのインタビューが載っている。内山さんは音大を出た後実家に帰って10年ほど家業で現場監督をしていたという異色の経歴の持ち主。経営者の息子で、現場で使用人を使うという感覚はよく理解できるとのこと。メーンキャストでは唯一の日本人で、ロシア語オペラに挑むというのは大変そうだけど、それだけに面白そうな気がする。

しかし上演時期が来年のゴールデンウィークなので、私は最終日にしか見にいけないのだ。これがちょっと残念。

2009年5/1(金)~5/10(日) ムツェンスク郡のマクベス夫人 
会員郵送受付は11月5日締め切り
会員販売:2009.1/4(日)~13(火)
一般発売日:2009.1/17(土)

****
なお、ジ・アトレのバレエ関連記事としては、まず、まもなく初演される「アラジン」。先日のデヴィッド・ビントレーの「アラジン」のトークショーの内容について。それから、ダンサーがここに注目して欲しいということで注目ポイントを取り上げています。湯川麻美子さんと中村誠さんのコメントがとても長くて、二人の気合の入り方がよくわかります。
「アラジン」2008年11月15(土)~22(土)

それから、これももう郵送受付(11月5日締め切り)となるガラ「バレエ・ザ・シック」の紹介。3月末のチケットをもう決めなくちゃいけないんですね。(他劇場の公演でも、もう4月末の作品まで先行は始まっていますが)。新国立劇場では初演となるトワイラ・サープの「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」が楽しみですね。トワイラが振付指導をするのか、それとも、最近彼女の代わりにサープ作品を指導することが多いキース・ロバーツ(元ABT、「ムーヴィン・アウト」)が指導するのか、どちらなんでしょうね。
「Ballet the Chic ―バランシン/サープ/ドゥアト―」
2009年3/26(木)~29(日)
会員販売:12/14(日)~2009.1/8(木)
一般発売日:2009.1/12(月)

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コメント

ロストロポーヴィチの指揮の「ムツェンスク~」ですと、、、だいぶ昔の、ベルリンフィルのジルベスターコンサートでの演奏も良かったですよ~。

おロシア人さん、こんばんは。

いよいよ今週末からGPSですね~!
さて、ベルリンフィルのジルベスターコンサートで、ロストロポーヴィチの指揮の「ムツェンスク~」があったんですか!それは知りませんでした。ありがとうございます!(そもそも、ショスタコーヴィチを聴くようになったのは家人の影響なので、付け焼刃程度の知識しかないんです)それはぜひ聴いてみたいですね。家人は一度晩年のロストロポーヴィチが演奏したショスタコーヴィチを海外で生で聴いたそうで、それはそれは素晴らしかったそうです。

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