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2008/10/05

ジョン・エヴァレット・ミレイ展

大好きなミレイの回顧展がBunkamuraザ・ミュージアムで開催されるということで、絶対に観に行かなくちゃと思っていた。ようやく観に行けて良かった!先月のロンドン行きでテート・ブリテンに行ったものの、もちろん「オフィーリア」と「マリアナ」は無かったわけで。土曜日の夜に行ったのだけど、遅い時間の割には人は入っていた。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/08_jemillais/index.html

1枚目に展示されていた、ミレイ10歳の時の「ギリシア戦士の胸像」のチョーク画で、彼の光と影を捉える才能のすごさに驚く。初期の作品からして、ドラマを描く早熟な視線を感じさせる。「オフィーリア」は、彼がまだ23歳の時の作品だったというので驚きだ。この絵の吸引力はやはり尋常ではない。テート・ブリテンでもっとも絵葉書が売れている作品なのだそうだ。オフィーリアの周囲に点在する花々は、「ハムレット」の中の彼女の台詞の中に登場するものであり、一つ一つに花言葉があって、オフィーリアの運命を象徴している。植物学の講義に使われたほど正確に描かれているそうだ。まだ血の気がほんのりと残る、白く柔らかそうな肌、半開きの口、そして少し閉じられた目。殉教者のように広げられた手。オフィーリアが流れていった深い森と川の深さが感じられる。モデルのエリザベス・シダル(のちのロセッティ夫人)を実際に浴槽に入れて描いたため、彼女がひどい風邪を引いてしまったそうだ。

ミレイは家族をモデルに描いた作品も多く、特に娘たちをモデルにした作品は微笑ましい。5歳の長女エフィーをモデルにした「初めての説教」と「二度目の説教」の表情の違いが愛らしくも面白い。初めての説教では緊張してきりっとした顔をした女の子が、二度目ではスヤスヤ。

「どうかご慈悲を!1572年のサン・バルテルミの虐殺」「しゃべってくれ!」などのドラマを感じさせる作品の冴えはさすがだ。登場人物たちの心情や、動きが手に取るようにわかる。

「安息の谷間 疲れし者の安らぎの場」の墓場に佇む若い尼僧の崇高な表情と黄昏時の空の色、水平線がかもし出す生と死と美のハーモニーも印象的。

「ベラスケスの思い出」の金髪の少女の沈んだ表情と鮮やかなスペイン風の衣装、暗い背景の作り上げる雰囲気には、ひきつけられてやまない。フランシス・ベーコンといい、ベラスケスが後世の画家のインスピレーションの果てしない泉であったことを思い知らされる。ミレイは、少女をモデルにした作品を多く描いているけど、一部を除いてどの少女も、表情が大人びていて、内面の思慮を感じさせる。表情を捉える達人だったに違いない。

人気作家となったミレイは、多くの上流階級の人々の肖像画を描いているが、「ハントリー公爵夫人」はオーレリー・デュポンを思わせる、華やかながら凛とした美しい女性だ。これらの作品群はどれも、流行のファッションを取り入れていて、美しいながらも、その背景に何があるのか、思わず詮索したくなってしまう。

そして最後の風景画がどれも素晴らしい。「露にぬれたハリエニシダ」の、木立の中で朝露がキラキラ光る様子と、乱反射するあめ色の光、秋を思わせる色合い。中央に漂い天に抜けていく光に思わず吸い込まれそうだ。風景画のイメージがあまり無いミレイだけど、「オフィーリア」に描かれていた森のディテールを思うに、自然を描くのも卓越した力を感じさせる。

Bunkamuraザ・ミュージアムでのミレイ展は10/26まで。

テート・ブリテンの「オフィーリア」特設サイトも面白いです。
http://www.tate.org.uk/ophelia/

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文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

ミレイ展、行かれたのですね。
私もミレイの絵ってとても好きで、週末になると文化村に
行かなきゃ!と思い出すのについあの渋谷の混雑を思って
足が遠のいて…。26日までなのでしたか!
絶対に見に行かなきゃですねっ。

えりさん、こんばんは。
そうなんですよ~私なんか会社が渋谷なので、余計休日には渋谷に行きたくないって思っちゃうんですが、やっぱりどうしても観に行きたかったし、新宿方面に用事があったついでに行きました。観に行って本当に良かったです!

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