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2008/10/20

東京国際映画祭 「行け行け!インド」

何年か前まで、まだ渋谷で開催されていた頃には東京国際映画祭は毎回20本とか観ていた。なのに、六本木に移ったとたん、チケットも取りにくくなり、交通の便も悪くなってしまったこともあって、足が遠のいてしまった。東京ファンタスティック映画祭も、東急文化会館がなくなってしまい、終わってしまったし。近年では、毎年1,2本しか観に行かない体たらく。今年は唯一、このインド映画を観に行くことにした。インド映画は、滅多に劇場公開されないので、こういう機会でもないと観られない。運良くぴあのプレオーダーに当たった。

六本木ヒルズに到着する前に、乃木坂から国立新美術館を通り抜けて(時間がなかったので、ピカソ展はまた次の機会にすることに)行ったのだけど、久しぶりに来た六本木ヒルズは、いつもと違う方向からすると位置関係が全然わからなくて迷ってしまった。森美術館で現在やっている「アネット・メサジェ:聖と俗の使者たち」がとても面白そうなので、来週あたり行きたいなと思う。

「行け行け!インド」Chakde! India. 2007年
監督:シミト・アミーン
出演:シャー・ルク・カーン、サーガリカー・ガートゲー、シルパー・シュクラ
ボリウッドの若大将シャー・ルク・カーンが女子ホッケーの鬼コーチに扮して弱小代表チームを熱血指導する、インド製スポ根映画の決定版! 
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=103
http://www.imdb.com/title/tt0871510/

インド映画界でも長くトップスターの地位を保っているシャー・ルク・カーンの主演作。ただし、インド娯楽映画にしては珍しく、踊りのシーンがない。女子ホッケー界を舞台にした正統派スポ根映画なので、確かに踊りはそぐわないかもしれない。ただ、音楽はいかにもボリウッド的だったので、インド映画を観た、という気持ちにはなった。

踊りのシーンがなくても安心して楽しめて、わかりやすく、笑って泣ける映画を作れるところがボリウッドの底力だと思う。しかも、その中にスポーツとナショナリズムの関係、インドにおける女性の地位確立、民族や宗教といった問題をきちんと取り入れているところが何気にすごい。

主人公カビールは、男子ホッケーのインド代表チームの主将だった。彼は世界選手権の決勝戦、因縁のパキスタン戦でPKを外してしまい、チームは負けてしまう。試合終了後、敵の選手と握手を交わしているところを、「わざと負けたのでは」という濡れ衣を着させられ、彼はホッケー界を追放されてしまう。パキスタンに対するインドの強烈な敵対心をここでは描いている。

7年後、弱小の女子ホッケー代表チームにはなり手がなかったところ、沈黙を破ってカビールが現れる。男子ホッケーチームはオリンピックで8回も金メダルに輝いているのに、女がスポーツを、それもミニスカートで走り回るホッケーなんて、という目で見られているのだ。女なんて炊事や洗濯をしていればいい、という意識をスポーツ推進委員すら思っている。インド中から代表選手たちが集められる。インドは多民族、多言語国家であることが現れていて面白い。みんな、最初は自分たちは州の代表であり、インドという国の代表という意識を全然持っていない。出身地の違う者、言葉や宗教の違う者、そのほか女同士の嫉妬などもあってチームはなかなかまとまらない。特にベテラン選手たちに反発されながら、カビールは女子選手にここまでやるか、というくらい厳しく指導する。彼の檄が印象的だ。「州のためでも、家族のためでもなく、インドのために戦え。それでも余裕があれば、自分のために戦え」と。そして、彼女たちを団結させるために、あえて敵役、嫌われ役を引き受ける。

保守的な部分も残っているインドで、ホッケーという激しいスポーツに取り組んでいる彼女たちなので、みんなものすごく気が強い。FWの二人の選手は、球を手にするとパスをしないで、そのままゴールに突入しようとする。ベテランの選手は、FWに配置されなかったことに腐って反抗する。そんな時に、無謀にもカビールは男子代表と戦うことを提案し、善戦する。そしてついにオーストラリアでの世界選手権出場へ。初戦は惨敗したものの、次から破竹の連勝で決勝戦まで勝ち進んだ彼女たち。さて、初戦で惨敗した相手オーストラリアと再び戦う決勝戦は?

ホッケーのチームのため登場人物も多いけど、一人一人がキャラクターが立っていて、それぞれ色々なバックグラウンドや個性を持っているので、面白く観ることができた。インドの国技であるクリケットのスター選手が婚約者の、美人FWや、嫁ぎ先の反対を押し切って参加したゴールキーパー、男の子のようなFW、すぐに怒りを爆発させてキレる選手などなど…。彼女たちの中に、インドの女性たちが抱えている問題点もあぶりだされてきている。インドのために戦え、と言われていても、実際には彼女たちは自分たちのために戦っているのだ。

とはいっても、あくまでも娯楽映画なので、実際にスポーツを観戦しているかのように、ワクワク冷や冷やしながら楽しむことができる爽やかな作品だ。ホッケーの試合のスピード感もよく伝わっている。そして、シャー・ルク・カーンという大スターが、かつて売国奴とレッテルを貼られた鬼コーチのカビールに扮しているというのが大きい。彼がつらい過去を乗り越えるために、嫌われ役を引き受け、再び立ち上がるまでの姿は感動を呼ぶ。

こういう映画を観ると、インドでは伊達に年間800本も映画を作っていないな、と思う。インドでも大ヒットを記録したという。そしてなかなか日本では映画館で観られないインド映画を上映してくれる映画祭って貴重だな、と思う。大きなスクリーンで、迫力ある試合のシーンが楽しめるのは格別だ。

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