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2008/10/19

10/18小林紀子バレエシアター「ザ・レイクス・プログレス」

小林紀子バレエシアター「ザ・レイクス・プログレス」
2008年10月18日18:00 ゆうぽうと

ゲストの出演が最後まで発表されず、しかもこのカンパニーには未だWebサイトがないために宣伝も足りていなかったようで、空席がやや目立ってしまった公演だった。せっかく非常にユニークで良い内容の公演なのに、もったいない。

指揮:フィリップ・エリス
演奏:東京ニューフィルファーモニック管弦楽団

「バレエの情景」
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
高橋怜子 中村誠

中尾充宏、冨川祐樹
澤田展生、富川直樹
ストラヴィンスキーの不協和音に乗せた、アブストラクトな作品。黒と白の幾何学的な模様の上着に白タイツの男性、女性は白いチュチュに、黒い髪飾り。この髪飾りが黒くて大きいために、日本人女性の髪の色とまじってしまって、頭が大きく見えちゃったのが難。一番前の列の真ん中で観ていたら、指揮者の頭はかぶるし、フォーメーションの妙を楽しめなかったのが残念。主役の二人は非常に良かった。中村さんは五番に綺麗に入る足、しなやかな動き。高橋さんは、小柄だけどバランスがとても良い身体で、のびやかに踊りつつも単調になりがちな作品にスパイスを加えていた。

「ザ・レイクス・プログレス」
振付:ニネット・ド・ヴァロワ
音楽:ギャビン・ゴードン

レイク:後藤和雄
仕立て屋:井口裕之
旗手:佐々木淳史
ブラヴォ:冨川祐樹
ダンシングマスター:横関雄一郎
フェンシングマスター:澤田展生
ホルン奏者:冨川直樹
裏切られた少女:萱島みゆき
少女の母親:高畑きずな
ロープに取り憑かれた男:中尾充宏

18世紀イギリスを代表する画家、ホガースの連作をヒントにしたバレエ作品。もともとは、教訓話だったという。
昨年ヨハン・コボーをゲストに迎えて好評だった作品の再演。主役ペアが一新された。前回公演では「ロープに取り憑かれた男」を熱演した後藤和雄さんが、主役の放蕩児レイクを演じた。コボーのレイクが凄かっただけに、大変だろうなと思ったけど、和雄さんの演技はまたコボーとは違った、ちょっと軽薄で少し頭が弱そうだけど憎めない人物。いかにも金持ちのボンボン然としている。彼にダンスを教えるダンシング・マスターの横関雄一郎さんは白塗りも18世紀風の衣装も似合い、軽やかな脚捌きがとてもきれいだった。裏切られた少女の萱島みゆきさんは、前回の島添さんの儚げで薄幸な感じよりは、健気な少女というイメージ。メイドのような衣装がよく似合っていて、透明感があった。
売春宿での乱痴気騒ぎでの、街の娼婦たちの大胆でセクシー、はじけた演技は、なかなか日本では観られないもの。そして賭博で相続した全財産を失ってしまったレイクの、呆然と失神する時のトホホな表情が独特のもので、凄いオリジナリティがあって良かった。
圧巻はやはり最後の精神病院で、ロープに取り憑かれた男を始め、ヴァイオリニストや教皇(だと思い込んでいる男)、航海士などが半裸でそれぞれに狂った様子を見せている。あの王子様的な中村誠さんまでもが半裸にハゲヅラで狂って見せているから凄い。まさにMadhouseそのもの。この精神病院に放り込まれた、狂ってやせ衰えたレイク、その倒れっぷりが見事。そして、それぞれ動き回る狂人たちの中で一人、片隅に座り込んで虚空を見つめている。そこへ少女がやってくる。レイクは全然少女に気がつかないけど、少女の必死の呼びかけで立ち上がる。ようやく彼女へと手を差し伸べようとした時に、レイクはばったりと事切れる。
やっぱりこの作品はとても面白い。音楽が非常に美しく物悲しいのに、放蕩息子のレイクが転落していく様子が淡々と、どこか可笑しく嗜虐的に描かれている。そのユーモラスなトーンを、後藤和雄さんは見事に表現していたと思った。

「パキータ」
島添亮子
アレッサンドロ・マカーリオ

高橋怜子
大森結城
高畑きずな
大和雅美

小林紀子バレエシアターの「パキータ」は、オレンジのシフォンが天幕としても使われている舞台装置、そしてそれに合わせた淡いオレンジのチュチュが非常に美しい。舞台装置と衣装はピーター・ファーマーによるもの。3年ほど前にも上演された時に観に行ったけど、ソリストのレベルも上がっており、相当踊りこんでいるように思えた。コール・ドもよく揃っている。ヴァリエーションは4つ。高橋怜子さんのイタリアン・フェッテ、長身で美しい大森結城さん、ダイナミックなジュッテが見事な高畑きずなさん、安定感抜群な大和雅美さんと、このバレエ団の実力者がそれぞれの魅力を発揮していた。
この中では一段と小柄な島添さん。でも、看板バレリーナだけあって、真ん中に相応しい華があった。音の捉え方が良くて、腕の動かし方がすっきりとしていてとても優美だ。コーダでのフェッテは、途中で失敗するかな、とみせてちゃんと32回きれいに回った。パートナーのアレッサンドロ・マカーリオは、甘いラテン系ハンサムで、王子役にぴったり。ゲスト出演が直前に決まったようで、なかなか合わせる時間もなかっただろうに、パートナーシップにはまったく問題がなくてサポートも上手だった。

小林紀子バレエシアターには男性の団員が二人しかいないので、どうしてもゲスト頼りになってしまうけれども、新国立劇場がダンサーを一度に3人までしか出せなくなってしまって苦労しているところがあると思う。でも、ロイヤル・バレエなどイギリス人脈をうまく使って、このバレエ団にしか出せない個性は、毎回観ていてとても好ましい。引き続き期待したい。そして、ホームページを早く作ってね。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

鑑賞ありがとうございました。
「バレエの情景」は5年ぶりぐらいの再演で、主役の女性は吉田都さんが踊られました。(男性はゲスト)今回のように日本人で踊れるのはなかなか素晴らしいと思います。
「レイクス・・」は前回と主役が代わりましたが、ストーリーが分かっているので、より面白さを感じました。後藤さんのレイクは熱演でしたね。
「パキータ」は、最後に華やかさを加えてようですが、島添さんは小柄ですがやはり華があると思います。
各ヴァリエーションのダンサーも踊りこんだ様子で安定していて良かったです。

4月も是非お越しくださいね。

くみさん、こんばんは。
そう、前回の「バレエの情景」は都さんが出られていたのですよね。残念ながら見逃してしまったのですが。今回、男性ダンサーのレベルも高くて見ごたえがありました。
後藤さんのレイクス~もすごく良かったです。最初の若々しさから、途中の情けない演技、そして最後の狂気までの変化も素晴らしかったです。
島添さんは、とても気品があって、真ん中を踊る存在感がしっかりとありますよね。演技力もあるし、本当にいいダンサーだと思います。「眠り」も楽しみですね!

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