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2008/10/13

サンクトペテルブルク・バレエ・シアター「白鳥の湖」DVD

日本では現在入手しづらいサンクトペテルブルク・バレエ・シアター(タッチキン・バレエ)の「白鳥の湖」のDVDが、ロイヤル・オペラ・ハウスの売店に売っていたので買ってきた。ちょうどポンド安になっていたので、お値段的にもお得だったと思う。

サンクトペテルブルク・バレエ・シアターは今年の3月に来日公演が予定されていたのに、看板プリマのイリーナ・コレスニコヴァが妊娠したため、中止になってしまった。しかし、けっこう直前まで踊っていたし、しかも5月ごろにはもう踊っていたので、本当にそうだったの?とちょっと思ってしまった。
http://www.irinakolesnikova.com/intro/

オデット / オディール:イリーナ・コレスニコヴァ(Irina Kolesnikova)
ジークフリート王子:Dmitry Akulinin
ロットバルト:ディムチク・サイケーエフ(Dimchik Saykeev)
道化:ドミトリー・シェフツォフ(Dmitry Shevtsov)
パ・ド・トロワ:Andrey Yakhnuk、Olga Ovchinnikova、Sabina Yapparova

振付は、マリインスキーのセルゲイエフ版とほぼ同じ。道化が出てきて、3幕では黒い白鳥たちが出てくるヴァージョン。

王子のDimchik Saykeevは長身で長い脚、プロポーションがよく容姿も悪くない。端正でおっとりとした王子様。テクニシャンというわけではないけど、白鳥の王子にはそれほどテクニックも必要ないので、これくらいあれば十分かと思われる。サポートは上手だし。

キャストを見れば判るように、アンドレイ・ヤフーニクとサビーナ・ヤパーロワは最近ミハイロフスキー劇場に移籍し、主演でも踊っている二人。ヤフーニクはプロポーションも容姿もいいのだけど、着地が全然5番に入らないので、どうなんでしょう…この間のミハイロフスキー劇場の「華麗なるクラシック・バレエ・ハイライト」にも出ていたけど、特に印象にも残らなかった。多分来年1月のミハイロフスキー劇場のツアーで観られることでしょう。ミハイロフスキーの他の男性陣と比較すれば、容姿には華があるので、出番も多いのではないかと。ヤパーロワもプロポーションは良いけど、可もなく不可もなし。時々膝が下がる?

そしてコレスニコヴァの白鳥。とにかく、表現が濃厚で胸焼けしそうなほど。遠景でもかなり表情を作っているし、溜めを効かせたりと大仰でアクセントのある動き。時々クローズアップになっていると、あまりにも顔芸がすごいのにびっくりしてしまうほど。オデットの時ですら、かなり妖艶なイメージで、かつ悲壮感も漂わせており、少々やりすぎ感がある。オフィシャルサイトを見たら、現在の彼女の教師は、かつてのマリインスキーのスター、リューボフィ・クナコワだそう。たしかに、脚が高く上がるし、背中が柔らかく、技術的にはかなりレベルは高いし、もちろんプロポーションも美しいし、顔立ちも華やかな美女で表情が映える。でもオデットはもう少し抑え目の表現の方が私の好みである。

その点、オディールはさすがにハマり役で、悪女らしい不敵なな表情や押し出しの強い踊りが光っていた。フェッテは音楽のテンポが変わる時にダブルをひとつ入れた以外は全部シングルだけど、腕を2番ポジションに大きく広げての回転で難易度を上げていた。騙されたと王子が気がついた時の高笑いも、本当に嬉しそうで、これくらい悪い女を前面に出したオディールはあまりいないかもしれないけど、いい、と思った。

ロットバルトは、踊りに関してはそれほど上手いわけではないのだけど(やっぱり膝が落ちる)、演技がコレスニコヴァとタメを張るくらい濃厚で表現力があり、4幕などは思わずロットバルトに釘付け。明らかにロットバルトはオデットのことを愛していて、4幕はロットバルトと王子が、お互いの愛を賭けて戦っているのがオリジナルな感じで面白かった。しかもどう考えてもロットバルトの方が愛が強そうだし。ロットバルト、顔はすごいメイクだけど、上半身の使い方も演劇的で大きくて、カッコよかったと思う。なんで王子が勝つのか、意味がわからないほどだ。

コール・ドは24人で人数的にはちょっと物足りない。しかし、プロポーションは皆揃っていて美しいし、レベルは高いと思った。プロポーションがみんな美しい分、日本のバレエ団のコール・ドよりはずっと良い。2幕の民族舞踊は、決して悪くないけど、マリインスキーやボリショイを観ていると物足りないかな。衣装などお金がかかっている感じで豪華だし、もちろんソリストにはテクニックもあるのだけど、最終的には「見せ方」の問題だと思った。

カメラワークはあまり良くない。特に、2幕の黒鳥のパ・ド・ドゥのアダージオがずっと遠景なのはいただけなかった。その割りに、時々無駄なクローズアップがあるし。演奏もときどき?と思うことがあった。

コレスニコヴァの華やかさやロットバルトとのドラマでとても楽しめたDVDだったのだけど、これを観終わった後、ロパートキナ主演のマリインスキーの「白鳥の湖」DVDをすぐに再見してしまった。技術的には大きな差はないけど、やっぱり全体的な面白さはマリインスキーの方が上なのは、長年の伝統が息づいているからだろうか。特に2幕の民族舞踊はマリインスキーが見ごたえがあったなと。

ロイヤル・オペラ・ハウスのオンラインショップで購入可能。同じ主演キャストによる「ジゼル」も発売中。
http://www.rohshop.org/acatalog/info-2380.html

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