ダンスマガジン2008年12月号
巻頭速報は東京バレエ団の「ジゼル」。誰とはあえて言いませんが、ジゼル役の人の写真がおばけみたいであまりにも怖くて、夢に出てきそうです。あと、思ったのが、バレリーナにとって歯並びは命だな、と。日本のバレエダンサーでは歯並びの悪い方が多いのですが、やはり御伽噺の主人公だったり姫だったり妖精だったりするわけですから、歯くらいはきれいにしようよ、と思ってしまいます。白い衣装なども多いので、ホワイトニングもして欲しいですよね。今回私はマラーホフのアルブレヒトは観られなかったのですが、写真を見るとやっぱり彼のアルブレヒトはすごく美しいですね。
ルグリさんのインタビューは、毎回面白いのですが、今回はハンブルク・バレエでラコットの「ラ・シルフィード」を指導した話が出てきます。彼が全幕バレエを指導をするのは今回初めてなのだそうです。12月のガラでサーシャとシルヴィアが「ラ・シルフィード」を踊るのは、そういうわけなのですね。エリザベット・プラテルも一緒に指導に来たそうです。オフでも本当に忙しいルグリさんですね。1幕の狂乱の場でのアルブレヒトの、ジゼルへの態度が以前より優しくなったのでは、という指摘に対しては、やはり彼もジゼルを愛していたのだと思いたい、と語っています。
パリ・オペラ座の「ロビンスへのオマージュ」の速報が掲載されています。ジェラール・マノニ氏は、NYCBやミルピエの振付についてはすごく辛口ですね。
いつになく気合が入っているのが、「椿姫」の特集。ヒロインを踊ったバレリーナたちへのインタビューがたくさん掲載されています。ルシア・ラカッラ、ジョエル・ブーローニュ、スヴェトラーナ・ザハロワ、そしてタマラ・ロホ、アンナ・ポルカルポヴァ。さらに、パリ・オペラ座の「椿姫」で主演したアニエス・ルテステュ、オーレリー・デュポン、クレールマリ・オスタ、デルフィーヌ・ムッサン、エレオノーラ・アッバニャートにも。また、ここが素晴らしいと思うのですが、すでに引退をしているけれども、マルグリットを演じたことで強い印象を残したアレッサンドラ・フェリ、ヘザー・ユルゲンセン、ジジ・ハイヤットにもインタビューをしています。フェリは引退した今でも、マルグリットを踊りたいと思うことがあるそうです。ノイマイヤーからは、他の役は引退してもマルグリットだけは踊り続けて欲しい、と言われたそうで、世界中でそう思っている人はたくさんいるでしょうね。
アレクサンダー・リアブコと三浦雅士氏の対談も面白かったです。彼がキエフからハンブルクに行った経緯。サーシャは、キエフにいた頃から、自分とニジンスキーが何か自分に近いものがあると感じていたそうで、ノイマイヤーも同じように感じていたそうです。そして、彼がバレエ団で初めて踊った重要な役が、(「真夏~」のパックや「椿姫」のデ・グリューはあったにしても)「ニジンスキー」のタイトルロールだったとのこと。本当に特別な役のようですね。私も、ハンブルクで彼のニジンスキーを観たときの、キャラクターの憑依の仕方と純粋な狂気に驚愕と衝撃を覚えました。サーシャはまだ、「幻想 白鳥の湖のように」のルートヴィヒ2世を全幕で演じたことがないのですね。いつか、彼が演じるのを観てみたいと思います。その前に、来年の来日公演の「椿姫」が楽しみですね。
シュツッガルト・バレエの来日前の特集では、フォーゲルやバランキエビッチより日本での知名度が低いジェイソン・レイリーとマリイン・ラドマーカーのインタビューが載っていました。マリインは、ドゥミ・ソリストだったときに、初めて「椿姫」のアルマン役をスージン・カンと踊った時に、飛び級でプリンシパルに任命されたのだそうです。また去年のニジンスキー・ガラでは「ヴェニスに死す」のタッジオ役を踊り、ノイマイヤーとの縁があるようですね。彼が言うには、マリシア・ハイデ版の「眠れる森の美女」は、世界で一番の「眠り」なのだそうです。私は、マリインが主演する「眠り」を観る予定なので、ますます楽しみになってきました。
マシュー・ボーンの「ドリアン・グレイ」の速報ということでレビューが載っているのですが、評者が明らかに内容を取り違えているようです。シリルがドッペルゲンガーではないのですが…。シリルがレディHといい仲になったのを嫉妬して彼を殺してしまう、というのではないです。違う作品を観ていたのでしょうか?写真は、宣伝にも使われていたビル・クーパーの写真で、すごくかっこいいです。
あとは、新国立劇場の小野絢子さんが、「アラジン」のプリンセスの衣装を着けた可憐な姿で登場していたり、首藤康之さんが「踊る男たち」刊行記念で著者の新藤弘子さんと対談してたり。新潟県中越沖地震チャリティガラのレポートが、1ページモノクロですが、新潟公演の批評で、フィリピエワのスタイリッシュな「カルメン」の写真が載っているのがちょっと嬉しかったです。
いずれにしても、「椿姫」特集がとにかく充実していて読み応えがありました。
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