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« 9/1新潟県中越沖地震チャリティー バレエガラコンサート (後半)まだ途中 | トップページ | ABTのプリンシパル・リストにロベルト・ボッレ »

2008/09/07

新国立劇場「アラジン」 デビッド・ビントレートークショー

新国立劇場「アラジン」初演に先立ち、振付家で次期芸術監督のビントレーのトークショーが開催されました。ビントレーの他牧阿佐美芸術監督と、本島美和、八幡顕光、小野絢子、湯川麻美子、吉本泰久、中村誠の主演ダンサーも登場。一時間ほどトークが繰り広げられました。

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「アラジン」を全幕作品にしようと思った理由は?

ビントレー:ちょうど作曲家のカール・デイビスと「シラノ」というバレエを作っていました。数年前、彼は2000年に初演されたスコティッシュ・バレエのための作品「アラジン」を作った。作品は成功しませんでした。スコティッシュ・バレエは大変な時期であり、ダンサーの人数も足りなかった。何より振付家が作品に相応しくなかった。そして作品はスコティッシュ・バレエのレパートリーから消えました。
しかしカールは自分の曲に誇りを持っており、70歳の誕生日を記念して、自分のために、曲をオーケストラに演奏させて録音し発売しました。彼は私にCDをプレゼントしてくれたが、私はまったく関心がなく聴いていなかったのです。
ある日ツアーでマンチェスターに向かって運転している間CDを聴いてみようとかけてみました。曲を聴いているうちにどんどん興奮して運転の速度も速くなりました。マンチェスターに着いたらすぐにカールに電話しました。カールは「わかるよ」と言いました。私はこの曲と恋に落ちました。子供時代の記憶、「アラビアン・ナイト」やペルシャ、魔法などのイマジネーションが喚起されていたことが思い出されました。

世界初演で日本の新国立劇場を選んだ理由は?

ビントレー:初演作品を海外のカンパニーで上演するのは、シュツットガルト・バレエでの「エドワード2世」に続く二度目です。カールの「アラジン」のスコアをとても気に入ったので新作を作りたいと思ったけど、「シラノ」でカールと仕事をしたばかりだったので、すぐにやろうとは思わなかった。その後「カルミナ・ブラーナ」で新国立劇場と仕事をする機会があって、またここで仕事をしたいと思った。

全幕作品を作るのは本当に大変です。お金もかかりますし、時間も2~3年かかりますし、自分の国を離れて外国で作るというのは、大変なプレッシャーです。新国立劇場と「カルミナ・ブラーナ」で仕事をして、とてもよかったので、大変ではあってもなおやりたいと思いました。ダンサーも良かったですし、劇場もサポートしてくれました。今週、衣装デザイナーがここに来ていたけれども、衣装も素晴らしい衣装ができました。衣装合わせはダンサーにとっては退屈な仕事なのに、誰も文句を言いませんでした。このレベルのサポートを得られることはそうそうありません。もう2度と行きたくないと思う劇場もあります。ここでは、万全のサポートが得られると確信しました。

全3幕、休憩込み3時間弱のこの作品での見所はどこですか?

ビントレー:3時間全部が魅力的です。「アラジン」はとても有名な物語ですが、イギリスでは中国の物語として有名です。クリスマスの時に演じられるパントマイムとして有名ですから。日本では、アラビアの物語として知られていますが、「アラビアン・ナイト」の本では、一番大きな都市は中国にあるものです。しかしその中で描写されている街はアラビア的です。宮殿にいる王様は皇帝ではなくスルタンですし、お姫様の名前もアラビア風の「バードラ・アルブドゥール」という名前で、"満月の中の満月"という意味です。日本でのアラビアの印象があるので、アラビアに舞台を設けました。カールのスコアには、明らかに中国風という音があります。2つのハイライトは、中国風のライオンダンスとドラゴンダンスです。今週末までには振付を、フィナーレを残して全部終えます。フィナーレにはドラゴンが登場しますが、まだドラゴンはこちらに向かっている途中なのです。そうだ、見所としては、ランプの精のジーンが見所です。空飛ぶじゅうたんが登場し、本当に空を飛びます。

どんなイメージの衣装や舞台美術ですか?

ビントレー:デザインは、デザイン画とはだいぶ変わっています。宝石の洞窟は、もっと安上がりになっています(笑)。イスラムの建築物、トルコ風呂や、ヴィクトリア時代前後の画家の絵もたくさん観てイメージを膨らませました。

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3組のキャストの魅力を教えてください。

ビントレー:バレエを作るときは、いつも、まずダンサーを目の前に立ってもらって、一緒に創っていきます。自分の頭の中で作った役の中に押し込めるということはありません。アラジンのキャスティングをするときには、プリンセス役も一緒に決めなければなりませんでした。カップルとしてちょうど上手くいくということを見なければなりません。アラジンは出ずっぱりの役であり、技術、エネルギー、演技、特にコミカルな演技ができなければなりません。このコミカルな演技が難しいのです。また、パートナーリングが上手でなければなりません。少なくとも3つの大きなパ・ド・ドゥがあるからです。ゲストを迎えないで作品を作ることは初めてです。3組ともバレエ団の中から見つけることができたのはラッキーでした。

まったく同じような3人を選ぼうとは思いませんでした。3人の体型も違いますし、アラジンを選んだ時、すぐにプリンセスも同じようになると思いました。この2つの役を作り上げていく過程は興味深かったです。違ったルックスを持った3組を主役にしてバレエを作るのは初めてで、私もエキサイティングだったと思うので、ぜひ3組のチケットを買って欲しいと思います(笑)

ジーンは30フィートの巨人を皆は思い浮かべると思いますが、そんな大きな人は新国立劇場にはいませんし無理です。スコティッシュ・バレエではジーン役は創らなくて、特殊効果で創り上げましたが、どうしても踊るランプの精を創りたいと思いました。極端なことをやってみようと思いました。山本さんが背の高いダンサーなので、ジーンは小さなダンサーにして、吉本さんになりました。ジーンはものすごくすばやく動き回る役です。八幡さんが小さいので、彼の時には背の高い中村さんを選びました。

アラジンとプリンセスの関係は、キャストごとにまったく違います。ひとつひとつの関係を創り上げていきました。とても面白かったです。湯川さんのことは、「カルミナ・ブラーナ」で踊ってくれてよく知っているし、振付家と踊るということについての才能と経験を持っている人です。彼女の存在は、他のプリンセス役の、より経験の少ない2人にとってもとても良かったと思います。私は、ダンサーに、もっと自分を出して、内面を出すことを要求しています。他の二人がそれを学んでいけばいいと思うし、もっともっと自分を前に出すことをやって欲しいと思います。

山本さん、本島さんがパ・ド・ドゥの振付をやっているときには、小野さんと八幡さんが彼らの後ろで練習をしていました。経験の浅い二人が見て学んでいるところを見て、とても面白いと思いました。

吉本さんには、時速100マイルだ、速く、速くと言い続けていましたし、誠さんにはものすごく速いステップを与えましたが、まだそれは見ていません。

宝石の洞窟の中では、ディベルティスマンのシーンがあります。いろいろな種類の宝石がそれぞれ踊ります。プリンセス役ですが、踊るサファイヤの役をも湯川さんに与えました。サファイアのイメージは海であり、ボッティチェルリのヴィーナスのように、海から生まれるものです。彼女には、その役が相応しいと思いました。彼女の振付が一番最初にできました。中村誠さんには、エメラルドの踊りを振付け、音楽の一部をここに付け加えました。最初は女二人と男一人の踊りにするつもりでしたがそれはやめました。エメラルドはエキゾチックでインドから来たというイメージ、蛇のイメージがありました。中村さんの持つしなやかさ、エキゾチックさがぴったりと思ったのです。この作品は壮大な作品で、たくさんのダンスがあります。カンパニーの人たちと創り上げるのは楽しかったです。

権力と富、そして愛という対極にあるものというのが主軸に貫かれていますね。

はい、金持ちと貧乏な人という二つの世界の対立を描いていますが、しかし最終的にはいい人たちなので幸せになるという結末です。


ここでダンサーたちの紹介とコメントがありました。

本島美和
とても光栄なことでした。リハーサルの中でビントレーさんから何が出てくるのか楽しみにしています。彼の世界観を表現できるよう、頑張ります。

八幡顕光
世界初演で、初の主役ということで、この場にいるのがとても嬉しいです。どういう風にステージで仕上がっていくのか、ドキドキワクワクしています。一番若いペアなので、エネルギッシュな踊りを見せて行きたいです。

小野絢子
とてもピュアに、フレッシュに演じたいと思います。皆さんにお願いがあります。ビントレーマジックの舞台なので、瞬きの回数はできるだけ少なくしてくださいね。

湯川麻美子
ビントレーさんの作品にはほれ込んでいます。10代のプリンセス役というのは初めてなので、今までのイメージを打ち破って、引き出しから出して、新しい湯川麻美子を見せたいと思います。

吉本泰久
こんなにしゃべっているビントレーさんを見るのは初めてです。今回トークショーを聞いて、なぜ自分がジーン役なのかがわかりました。ビントレーさんは自分の世界観を持っていて、それに沿いながら、どうやって見せるか、自分で演じて見せる人手、すべて速い、スイッチが早い人ですが、あまりしゃべらない方なのです。舞台の夜、観客の皆さんには、アラジンとプリンセスとともに幸せな夜をすごして欲しいです。

中村誠
昔カレー屋さんでアルバイトしていたんですよね(笑)。初演なので、イメージが白紙なので、まったく新しいものを作ることができ、まったく新しい表現方法です。キャストによってまったく違う舞台を観ていただけると思います。3時間弱の舞台の中で、どれほどいろいろな人との出会い、ダンサーたちとビントレーさんの出会い、スタッフの出会い、膨大な時間を凝縮しているのか。それらを背負って舞台に立てるダンサーという仕事を誇りに思います。感動など大切なものを伝えたいと思います。

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コメント

naomiさん、すごい、すご~~い。記者発表のその場にいるよりこれを読んだ方が分かるかも、というくらいです。こんなにすぐに内容をレポしてくださってありがとうございます。大変な手間ですよね。

新国立バレエがこのような新制作をするって素晴らしいことですね。世界に誇りたいです。日本人ダンサーの皆さんを生かした良い舞台になるといいなぁ。見には行けないと思うけど、naomiさんのレポ、また楽しみにしていていいですか(笑)?

naomiさん
詳細のレポ有難うございます!
斜め前で膨大なメモを熱心に取られている姿
を拝見して、自分のは早々に放棄しました(笑)
さすがですね!読み応えたっぷりで、昨日の
様子がしっかりと蘇って来ました!
コピーして保存したいくらいです!

ダンサーさん達の発言、後半3人の方達は離れ
しているというか、発言が面白くてでもちゃんと
自分の踊りたい事や伝えたいことを仰っていて
さすがだなと思いました。
中村さんのインド的エメラルドの衣装は腕に
蛇が這っているイメージだったそうです。

女性の皆さんは中国を意識した私服も素敵でしたね。
でもインパクト強かったのはやはり吉本さんのあのぶっといネクタイと、中村さんの左耳に燦然と輝いて揺れているピアスだったかも^^;

amicaさん、こんばんは。

いやはや、メモを取るときは結構必死になっていましたが、一度メモを取ってしまえば、文章にするのはかなり楽でした。以前、映画スターとかの記者会見に行っては記事を書く仕事をしていたので、割と慣れているんです。それより、ものすごい速さで翻訳していく通訳さんってすごいなあ、って思いました。私は日本語が苦手なので、英語では理解できても、それを上手く日本語に置き換えられないんですよ。あはは。

この作品は、本当に面白そうです。相当手間をかけて作りこんでいるようだし、エンターテインメント性もすごくありそうですよね。とりあえず2回は観に行く予定です。

えりさん、こんばんは。

いや~必死にメモを取っている情けない姿を見られちゃったんですね(^-^;

ビントレーさんのお話も面白かったですが、作品に対する意気込みを語るダンサーの皆さんも、短いコメントで、とても深い内容をしゃべっているものだから、すごいな~って思いました。さすがは芸術家であるみなさんだな、って。特にベテラン~中堅の3人は面白かったですね。吉本さんの衣装はちょっとインパクトがあったし、中村さんのピアスもいつもより大きかったですね。

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