7/5ソワレ 英国ロイヤル・バレエ団「シルヴィア」
度重なるキャスト変更でちょっとテンション落ち気味。しかも、さすがに木曜日の朝に帰国して仕事行ってルジマトフ、金曜日は与野本町のさいたま芸術劇場まで出かけていったので、疲労困憊。会場までたどり着けるのか心配になるほど。でもまあ、短い作品だったし、セットは豪華だし音楽はきれいだし、思ったより楽しめたんじゃないかと思う。
降板したゼナイダ・ヤノウスキーの代役は、これが初役で、来日前にプリンシパルに昇進したばかりのローレン・カスバートソン。前回の「シンデレラ」では四季の精の一人で出ていたというが記憶になく、BBCで放映された「白鳥の湖」マスタークラスで、ルパート・ペネファーザーとダウエル&シブレーに指導されていたけど、どうにももっさりしていてあまり印象がよくなかった。
今回は、初めての役ということもあって相当緊張していたのだと思う。1幕はかなり不安定で、一度はバランスを崩しポアントから落ちてしまったし、いっぱいいっぱいになってしまって、体力ももたなくなっているんじゃないかと思うほどへろへろになっていた。でも、2幕からはかなり持ち直したように、リラックスしてきたように思える。ちょっと雑なところが見受けられていたけど、アシュトンの細かいステップはやっぱりすごく難しいんだろうな。3幕のピチカートも、やや苦戦。手脚は長くプロポーションも比較的いい方で、のびやかな印象があるのは良い。華はまだなく派手さもないけど、おっとりとした可愛らしい顔をしている。全体的に鷹揚な感じで、シルヴィアのような強い女性が向いているかは疑問のところもあるけど、一生懸命踊っていたし、笑顔は絶やさなかったので、印象は悪くない。ロイヤルが、ダーシーに続くイギリス人スターとして育てて行こうとしているのは良くわかったし、素材としてはなかなか。ひょっとしたら、将来はスターになるのかもしれないな、と思った。おっとりとしてお嬢さんっぽいローレンは、オーロラの方が役柄としては合っていそうというか、素敵なオーロラを見せてくれそうなので、これから彼女で「眠り」を観る人は期待してもいいかも。
マッカテリは、以前からぼろくそ言われているダンサーなのだけど、私は案外嫌いじゃないというか、保護者モードで観てしまうダンサー。今回はちょっと生え際注意報?額にソリが入っていた(苦笑)。でも、この人はプロポーションは本当にいい。背が高くて脚が長くてきれい。それだけで相当得をしているなあ。テクニックは確かに弱いと思うんだけど、サポートは上手い方だと思うし、「シルヴィア」ではアミンタはそんなに活躍しないので、これくらい容姿がよければ問題ないんじゃないかと。
でもDVDはダーシーとロベルト・ボッレという大スターの超美男美女だったんだよね。どうしてもこのキラキラした二人の幻影を求めてしまう私。あーあ、なんで今回この二人はいないんだろう。
オリオン役はギャリー・エイヴィスということで、実は一番期待していたんだけど、思っていたほど濃い演技ではなかった。でも、この人はすごくキレのある踊りをしていて、見せ方も心得ていてやっぱりかっこいいし、主役3人の中では一番スターらしい(当たり前か)。カーテンコールでは、派手なジャンプを見せてくれたし!
エロスのジョシュア・トゥイファは、すごくハンサムでかわいいし、筋肉質のナイスな身体をしているんだけど、ちょっと重そう。3幕では、かなり難しそうなソロがあるんだけど、全然跳べていなかった。でも、エロスは1幕ではほとんど彫像状態(しかも、前は葉っぱ一枚。きゃ~)で動かないままずっとポーズしているんで、大変な役だと思うし、彫刻のような肉体の持ち主じゃないとだめなんで、そういう意味では合っているのでは。(DVDのマーティン・ハーヴェイも筋肉がすごかったけど、彼はテクニックもあったと思う)
シルヴィアのお付きの中には、チェ・ユフィ(崔 由姫)さんや小林ひかるさん。ユフィちゃんはやっぱりすごく可愛い。3幕の方には出ていなかった。小林さんは、踊りのほうはとても綺麗だし、かわいらしいのだけど歯の矯正をして欲しい。それから、村人の中に平野亮一さんも出ていた。長身で容姿は外国人にまったく引けを取らない。
ディアナのマーラ・ガレアッツィはちょっとしか出番がないのに、ものすごい存在感。女神としての威厳があってかっこ良かった。エンディミディオン役の人が美形~。誰なんだろう。
でも、一番美味しい役は、山羊の二人でしょう。振付も衣装も可愛い!そして二人とも、細かいパを踊りこなしていて、とても上手い!こういうキャラクターダンスはロイヤルのお家芸。(j女性の方、ユフィちゃんに似ていると思ったらやっぱりそうだった!)なんだかんだいって、上演時間が短い割には、スター不在の割には、ゴージャス感があって、楽しめた舞台であった。明日は、評判の良いマリアネラ・ヌニェスと、若手美形のルパート・ペネファーザー、DVDでの好演が光っていたティアゴ・ソアレスなのでそれも楽しみ。
シルヴィア(ディアナのニンフ): ローレン・カスバートソン
アミンタ(羊飼い): デヴィッド・マッカテリ
オリオン(邪悪な狩人): ギャリー・エイヴィス
エロス(愛の神): ジョシュア・トゥイファ
ディアナ(狩り、純潔の女神): マーラ・ガレアッツィ ラウラ・モレーラ
第1幕
シルヴィアのお付き:
崔 由姫、ヘレン・クロウフォード、フランチェスカ・フィルピ、ヴィクトリア・ヒューイット クリステン・マクナリー、
小林ひかる、ローラ・マカロッチ、イザベル・マクミーカン ララ・ターク、サマンサ・レイン
水の精、木の精、森の精、
牧神、農民: 英国ロイヤル・バレエ団
第2幕
オリオンの女官: ヘレン・クロウフォード、サマンサ・レイン
奴隷: エルンスト・マイズナー、ジョナサン・ワトキンス
第3幕
山羊: ベサニー・キーティング 崔由姫、ミハイル・ストイコ
シルヴィアのお付き: 崔 由姫、ヘレン・クロウフォード、
フランチェスカ・フィルピ、ヴィクトリア・ヒューイット、
小林 ひかる、ローラ・マカロッチ、サマンサ・レイン、ララ・ターク
ケレスとイアセイオン: イザベル・マクミーカン セリーヌ・デュアナ、エルンスト・マイズナー
ペルセフォネとプルート: カロリン・ダプロット、ヨハネス・ステパネク
テレプシコーラとアポロ: シンディ・ジョーダン、ブライアン・マロニー
ミューズ、春の使い、夏の使い
ラッパ手、シルヴィアのお付: 英国ロイヤル・バレエ団
追記:
→変更後のキャスト(メールでご指摘してくださった方、ありがとうございました!)
ディアナ:マーラ・ガレアッツィ→ラウラ・モレーラ
第1幕
シルヴィアのお付き:
ヴィクトリア・ヒューイット→クリステン・マクナリー
イザベル・マクミーカン→ララ・ターク
第3幕
山羊:
ベザニー・キーティング→チェ・ユフィ
シルヴィアのお付き:チェ・ユフィとヴィクトリア・ヒューイットの出演は無し
ケレスとイアセイオン:イザベル・マクカーミン→セリーヌ・デュアナ
指揮: グラハム・ボンド
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
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ユフィちゃん、ほんとにかわいい♪
華もあるし!
遠目でメイクの顔、あの美しいヤンヤン・タンに似てるような。。
投稿: ずず | 2008/07/06 21:26
ずずさん、こんばんは。
そうそう、ユフィちゃんって可愛いですよね、ホントに。ファーストアーティストなのに、年末のくるみ割り人形で一日金平糖の精を踊るんですよね、ロイヤルで。すごいです。メイクした顔も本当に綺麗で、たしかにヤンヤン・タンに似ているかもしれません。また近いうちに観る機会があればいいなあ(^^)
投稿: naomi | 2008/07/07 23:03