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« AERAにマチュー・ガニオのインタビュー | トップページ | マニュエル・ルグリの予定 »

2008/07/28

ABT祭も大阪「海賊」で終了

昨日の大阪での海賊で、ABT祭が終了しました。ホセ・カレーニョが足の甲の炎症で降板し、アリを踊ったのがエルマン・コルネホだったのですが、彼が素晴らしかったです。日本でのアリは三回目でしたがベストパフォーマンス。気品ある佇まい、小柄ながらも鍛え上げられた厚い上半身。柔らかく高く、高速回転のトゥールザンレール、カブリオール、そしてピルエット11回転など超絶技巧を披露しながらも決してやり過ぎ感がないのは、ホセ譲りのエレガンスの賜物。不調をまったく感じさせない渾身のパフォーマンスでした。これからガラやゲストなどでも観たいダンサーです。現代のニジンスキーという人がいるとしたら、彼が一番近い存在なのでは?ニジンスキーも小柄な人だったと言います。

ニーナがABTで日本で踊るのはこの日が最後。全盛期のテクニックはないけれど、ヴェールをめくられて登場するシーンだけでその大輪の花のような華やかな魅力が伝わってきます。腕や脚をより長くきれいに見せる方法は心得ているし、一つ一つのポジショニングが美しい。かわいらしさ、ユーモアのセンスを見せたと思ったら洞窟でのパドドゥでは、しっとりと香り立つ色香と幸福感を漂わせ、魅力的でした。明るく華やかな愛らしさは、45歳となった今も健在。テクニカルな役は難しくなってくるでしょうが、ジゼルやジュリエットのような役はまだ10年くらいは踊れそう。フェッテはすべてシングルだったものの、きっちり32回回りました。何よりもニーナは、人柄の温かさが感じられ、観る者を幸せにしてくれる稀有なバレリーナ。

マルセロに関してはもう好き過ぎてまともな感想が書けそうにありません。何年か彼のファンをやってきて、毎年メトに、時にはシティセンターにも通いましたが、ついに花開いたと思いました。こんなにも素晴らしい、ワイルドさとノーブルさ、パッションと甘さ、少年らしさと成熟、セクシーさを兼ね備えた表現の豊かなダンサーがいただろうかと。ニーナへと寄せる限りない愛とリスペクトは、ジュリーへのとはまた別のもの。ニーナと舞台に立てる幸せを噛み締めているようで胸が熱くなりました。上昇してしばらく下りてこない高く柔らかいジュッテ、安定したサポート、男らしさの中の茶目っ気。二幕ヴァリエーションの後で見せた、東京とはまた別のガッツポーズと、浮き浮きと跳びはねながら走り去っていく姿が可愛かったこと!

ランケデム役ゲンナジーはまたまた、ヴァリエーションでファイブフォーティ三回プラス一回で観客の度肝を抜きました。彼のランケデムは演技が細かくて楽しいです。バービーさんのパシャの演技も、凄くユーモラスで大阪人にもウケていました。サシャのビルバント、前日のびわ湖での「ラビット・アンド・ローグ」であれほど動き回ったとは思えない元気さと切れ味で好演でした。いろんな意味でしんみりしましたが。今のABTは男性ダンサー、特にソリストに関しては相当の充実度を誇っているんだなあと改めて思いました。秋からはダニール・シムキン君も加わるし。

最後に最高のパフォーマンスが見られてよかったです。残念ながら「ニーナありがとう」という垂れ幕や紙吹雪はなかったけど、再び、ニーナのダイナミックな後ろ向きフィッシュダイブが見られました。何回も繰り返されたカーテンコールで、エルマンも主役と同じ位の拍手をもらっていたのも嬉しかったです。

最後にみんなにお礼を言いたかったのに、フェスティバルホールで転んで足の甲を怪我してしまいました。誰も一目も見られなかったし、当分ポアントが履けません。でも、ABTの皆様、素敵な夏をありがとう!

指揮/オームズビー・ウィルキンス オペラハウス管弦楽団

コンラッド/マルセロ・ゴメス
ビルバント/サシャ・ラデツキー
アリ/エルマン・コルネホ
ランケデム/ゲンナジー・サヴェリエフ
メドーラ/ニーナ・アナニアシヴィリ
ギュリナーラ/ミスティ・コープランド
セイード・パシャ/ヴィクダー・バービー
海賊の女/サラワニー・タナタニット
オダリスク/マリア・リチェット、クリスティ・ブーン、ヴェロニカ・パールト
フォルバン/サラワニー・タナタニット、サッシャ・ラデツキー

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ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事

コメント

あ~。何やらまた、最高の「海賊」だった様子。うらやましいなぁ~~~。マルセロ、私だって見たかったです。くすん。

せめてnaomiさんの愛あふれるレポが読めて良かった。足、大丈夫ですか?ホセと一緒ですね。くれぐれもお大事に。

ABT祭お疲れ様でした!
今回はニーナもいたし、サヴァリエフの超絶技巧も見られたりと3年前よりは評判良かったんじゃないでしょうか。私もなんだかんだ言いながら楽しかったです。2週間くらい前までは頭がスケート・モードだったんですが、今はすっかりバレエ・モードです♪

足大丈夫ですか?帰ってくるのが大変だったでしょうね。お大事になさってください。
naomiさんポアント履いてるんですね~。スゴイですね!子供の頃も習ってたんでしたっけ?


amicaさん、こんばんは。
そう、マルセロのコンラッドの日が、東京でのニーナ出演日だったのでチケットがすぐに売り切れてしまい、残念でしたよね。
なので、amicaさん、ぜひ来年はMETに行きましょう!ロビーも出演するよう、ナムーと祈りましょうね。
足は、普通に歩けるけどバレエはしばらくはだめかもって感じです。きっとホセ様よりは軽症です。足より、実はちょっとだけ傷心です。

プリマローズさん、こんばんは。

アンヘルくんが来られなかったのは本当に残念でしたが、きっと彼は近いうちにコレーラバレエで来てくれますよね、きっと。
でも、彼がいなくても、楽しかったですよね。世間的にもなかなか評判は良かったので、また3年に一回と言わずに来て欲しいなって思います。
私も、凄く熱心ではないですがフィギュアスケートも好きなのですが、夏はバレエモードになっちゃいます。

確かに、痛む足で大阪から帰ったのはちょっと大変で、タクシーばかり乗ってしまって貧乏に拍車がかかりました。
ポアントは、ほんのちょっとだけです。立ったりエシャッペやシュスーをするぐらいで、踊るところまではいっていません。子供の時には少しはやっていましたが、親の転勤でポアントを履く前にやめちゃったんですよね。イギリスなので、11歳くらいまでポアントは履かせてくれなかったのです。

 naomiさんも大阪へいらしたんですね。「海賊」よかったですね。私もマルセロとニーナにとても感動しました。

 次回はニーナはもういないのですが、またぜひマルセロの踊りをみたいと思います。

こんばんは♪ sakuraでございます。

エルマン、そんなに好調?だったのですかっつ!
観たかったです~~~><

またの来日を願うばかりです・・・。

(naomiさまはポアント履いていらっしゃるのですか!
御足お大事になさって下さい><)

ではでは・・・。早く良くなりますよーに^人^

sakura

ともりーなさん、こんばんは。
はい、最初は行く予定ではなかったんですが、いつのまにかマルセロが出ることになったのでチケットを譲ってもらったんです。
高い交通費をかけても、観に行ってよかったです~♪
マルセロはこれからも観る機会がたくさんあるといいな~。ニーナもグルジア国立バレエで来てくれますしね。

sakuraさん、こんばんは。

そうなんですよ~エルマンはやっぱり凄いダンサーだって思いました!韓国ではバジルの全幕を踊るんですよね。彼の初バジルは観られたんですが、それはもう3年前なので、今の彼のバジルが観たかったです。まだ若いから、きっと次の来日でも活躍してくれると思いますが。

ポアントはホント、超初心者って感じです。足は強いほうなんですが、引き上げをもっとがんばらなくちゃって感じです。sakuraさんもバレエは踊られていますか?自分で踊るのも楽しいですよね。

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