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2008/07/21

7/20ソワレ ABT「海賊」

開演前にはケヴィン・マッケンジー、ジュリー・ケントそしてマルセロ・ゴメスのプレトークがありました。でも告知が行き届いていなかったみたいで客席はまばら。お話はほとんど「白鳥の湖」についてでした。また別途書きます。


考えてみたら、そもそもマルセロ目当てで取ったチケットだったのに、キャスト変更でいつの間にかデヴィッド・ホールバーグがコンラッドになっていた。デヴィッドも好きだからいいんだけど。

2005年のMETシーズンに「海賊」を観に行った。その時は、イーサンが怪我が多い年で、この「海賊」のアリ1回と、アマンダ・マッケローの引退公演「ジゼル」のアルブレヒトくらいしか出演していなかったと思う。そして、私が観たとき、イーサンはかなり太っていて髪が伸び、なんだか不思議なアリだった。

しかしイーサン、今回は、「ラビット・アンド・ローグ」で好調ぶりを見せた通り、この「海賊」でも踊りは絶好調の模様。1幕の飛び込んでくるところから高いジャンプを見せてくれた。パ・ド・トロワのヴァリエーションでは、ホセ・カレーニョやエルマン・コルネホはやらなかったグラン・テカールを入れていたし、最後のピルエット・ア・ラ・スゴンドでは、3回ほど空中での回転を入れるという技まで入れている。キメポーズの背中ののけぞりぶりといい、けれんみたっぷりで、これには場内も盛り上がった!奴隷というよりはご主人様のコンラッドよりも偉そうな感じがしたのだけど、そういうのも面白くていいかも(笑)。とにかく、彼の復活ぶりは嬉しい限り。

デヴィッドくんは、1幕でバンダナで金髪を覆ってしまうと魅力半減なのね。2幕でバンダナを取ってさらさらの金髪が現れるとやっぱり美青年。美形なんだけど、彼はどこか暗い影を背負っている感じがするのでヒーロー役よりも、王子向きなのだろうし、水曜日に踊る予定のロットバルトも似合っているのかもしれない。身体の方は、脚線美はそのままに、たくましくなったし男っぽさは増したと思う。踊りも、しなやかでエレガントな着地、ふわりとした大きな跳躍と技術的にもめきめき力をつけてきていると思う。ボッカが引退し、マラーホフが出演しなくなり、ホセももう40歳、アンヘルだってスペインのコレーラ・バレエで忙しくなってきている。中堅のマキシムやイーサンが怪我が多い、となると、マルセロ、デヴィッド、エルマンの3人がこれからのABTを引っ張っていかなければならないのだ。デヴィッドのような長身王子様タイプは世界的に見ても貴重なので、ものすごーく期待しているし、順調に成長しているようで安心。
洞窟でのパ・ド・ドゥでの甘い雰囲気の出し方はまだまだ、やはりちょっとダークな印象が強い彼。だけど、反面、ビルバントの反乱の時に見せた厳しい表情や、メドーラが拉致された時の怒りは非常に強くて、負の感情を出すのは得意なのだというのが判った。いつか彼には、「スパルタクス」のクラッススを演じて欲しいなって思う。きっとはまるはず。サポートは、もう少しがんばりましょう。洞窟のパ・ド・ドゥで片腕で逆立ちになったメドーラをリフトするところは省略していた。

パロマ・ヘレーラもとっても調子が良かったと思う。難しいバリエーションをこともなげにやすやすとこなしてしまうところが凄い。フェッテもくるくるくる~と2回に1回ダブルを入れながらきれいに回り、非常に安定していた。パロマはとても可愛いのだけど、少女っぽい部分がまだ残っているので、メドーラのような大人の女性を演じる時の色香が足りない気がする(と終演後友達と話した)。ジュリエットやジゼルのようなけなげな少女を演じるのには彼女の個性はぴったりなのだけど。

この公演の大金星はエルマン・コルネホ。膝の不調を抱えながらマチネはホセの代役でアリを踊り、ソワレはランケデムを踊ってしまうなんて凄い。最初のヴァリエーションでのトゥールザンレールに続き、ピルエット・ア・ラ・スゴンドで少しずつ前に進み出て、それから4回連続プレパレーションなしのトゥールザンレール。ジャンプも相変わらず猫のように軽やかでしなやか。マネージュは、体を大きく倒したクペ・ジュテ・アン・トゥールナン。小さな身体で高く跳ぶ!奴隷商人の小賢しさがよく出た演技も楽しかった。1幕しか踊りのシーンがないのがもったいない。

ギュリナーラのシオマラ・レイエスは可愛い~。手脚は長くないけど、軽やかできびきび踊っていて本当に愛らしいし、ギュリナーラのちゃっかりした部分も出ていた。音楽性もとても良いし!オダリスクのトロワでは、3番目に踊ったレナータ・パヴァムがピケで5回転というのを見せて大拍手。ビルバントのカルロス・ロペスはいかにも海賊という感じの野蛮さと、キレのあるワイルドな踊りでカッコよかった。

19日の公演があまりにも奇跡的なまでに凄かったから、そこまでの大盛り上がりはなかったにしても、やっぱり、ものすごく楽しい公演だった。

指揮 : オームズビー・ウイルキンス
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

コンラッド (海賊の首領) : デイヴィッド・ホールバーグ
ビルバント (コンラッドの友人) : カルロス・ロペス
アリ (コンラッドの奴隷) : イーサン・スティーフェル
ランケデム (市場の元締め) : エルマン・コルネホ
メドーラ (ギリシャの娘) : パロマ・ヘレーラ
ギュリナーラ (パシャの奴隷) : シオマラ・レイエス
セイード・パシャ (コス島の総督) : ヴィクター・バービー
海賊の女 : カリン・エリス=ウェンツ
オダリスク : シモーン・メスマー,クリスティ・ブーン,レナータ・パヴァム

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ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは!sakuraで御座います。
大変ご無沙汰致しております。
2006年11月24日に<ABT 白鳥の湖>にお邪魔させて頂いて、それ以来様々なお勉強をさせて頂きにHPを拝見させて戴いておりました。

今夏は待ちに待ったABTの来日。
勿論、前もって判った日エルマン出演日はチケット確保し、初日のガラ、20日のソワレと見に行って参りました。
ランケデムは本当に素晴らしかったです!
堪能させて頂きました><!
(急な代役には、事情により見逃すことに・・・涙涙・・・><。アリ見たかったです・・・。)

こちらでエルマンの活躍振りを拝見するに付けどんどん素晴らしいダンサーになっていらっしゃるご様子・・・まったくもって嬉しいの一言です。

<白鳥>のベンノで出演されないかな・・・と密かに思っているのですが・・・。

25日の<白鳥>が今夏ABTの見納めになります。
めいっぱい堪能したいと思います。

naomiさまにとりまして良い夏となりますようお祈り申し上げます。
また、お邪魔させて下さい。

sakura

sakuraさん、こんにちは。
ご覧頂きありがとうございます!
ホント、エルマンは素晴らしいダンサーですね!私はまだ見ていないのですが、ABT本国公演では、「眠り」の王子や「ジゼル」のアルブレヒトも踊っているということで、いつかそれらを観る機会があればいいなって思います。

ランケデムは本当に素晴らしかったですよね!私も彼は本当に大好きなダンサーの一人です。

sakuraさんにとっても、今年は素敵な夏になりますように!またお越しになるのをお待ちしています。

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