BlogPeople


2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« アンヘル・コレーラのABT来日公演降板/ABT関連追記 | トップページ | ABT「オールスターガラ」初日雑感&マリインスキー、ニーナ来日予定 »

2008/07/18

7/13マチネ ロイヤル・バレエ「眠れる森の美女」

DVDで発売されたアリーナ・コジョカル主演のこのプロダクションは、BBCで放映された時の映像を流し見はしていたんだけど、実際の舞台で観るのは初めて。映像で見たときは、アリーナの可憐さと、濃い4人の王子ばかりが印象に残っていて、なんだか地味なプロダクションだと思ったのだけど、実際の舞台で観ると面白かった!そもそも、私は「眠り」は、新国立劇場でザハロワ主演で観たときに、なんて退屈で子供っぽくてダラダラしてつまらないんだろうと思ったし、東京バレエ団のプロダクションも冴えないので、あんまり最近は観ていなかった。オーストラリア・バレエの、スタントン・ウェルチによる熱帯っぽいプロダクションはユニークで面白かったけど。

さて、ロイヤル・バレエのプロダクションは、復元版ということで、映像で見ると古典的な感じで地味なのだけど、ピーター・ファーマーによる装置は重厚で凝っており、また衣装はパステルカラーを使っていて美しい。特に貴族や国王、お妃、そして4人の王子の衣装が、テキスタイルの高級感も含めて素晴らしい。

非常に演劇的な演出で、バレエというより舞台を観ているような気がしてしまうほどだ。マイムが多用されているし、特にあまり踊らない役のダンサーたちの演技が、まるで台詞が聞こえてくるかのようだ。前回の来日公演「マノン」でのマダム役も印象的だったエリザベス・マクゴリアンは長身で美貌、その中に母の優しさ、寛容さがにじみ出ている。国王のクリストファー・サウンダースもとても品がよいのだけど、カタラビュットをいじめたりと、ちょっと陰険なところもあって面白い。カタラビュットは、「シルヴィア」ではエロス役だった美形のジョシュア・トゥイファ。若くてハンサムなのに、カツラをむしりとられたりする気の毒な役にキャスティングされちゃって。美形なだけにかえって憐れな感じ。


<プロローグ>
プロローグでは、オーロラの誕生を祝ってリラと五人の精、それぞれのお付きの騎士が踊る。精たちのソロは結構バタバタした振り付け。特に歌鳥の精は忙しそうな振り付けでダンサーは大変そう。その中で、ユフィさんのたおやかで、柔らかくニュアンスのある踊りが目を引く。リラの精のお付きの平野亮一さんが長身でなかなかかっこいい。

ロイヤル得意のカブリモノ、ネズミたちが飛び込んで来て、カラボスが入場。派手なおばさんという風情なんだけど、高笑いする様子といい、身振り手振りが芝居がかっていて面白い。招待者のリストにカラボスの名前が載ってないのはカタラビュットのせいだと王様が言ったおかげで、哀れカタラビュットはカツラをむしられただけでなく、残り少ない髪までむしられてしまう。
オーロラの赤ちゃん人形が口をポカンと開けていてなんだかホラーな感じ。

<一幕>
一幕はオーロラの16歳の誕生日。サラ・ラムはまるで少女漫画から抜け出て来たような美しい容姿。背はあまり高くないけど、輝く金髪に白い肌、大きな瞳、華奢な体型。絵に描いたような初々しくキラキラしたお姫様だ。ものすごいテクニックがあるわけではないけど、難しいヴァリエーションもローズアダージオも難無く踊り終わった。ローズアダージオはバランスの時間がやや短かったけど、アティチュードの曲線がとても美しい。細すぎるくらい細くて、とにかく綺麗だし絵になる!それに対して四人の王子の濃ゆいこと。マーティン・ハーヴェイやトーマス・ホワイトヘッド、ヨハネス・ステパネクとハンサムを取り揃えているけど、みんな髭つきだし、もったいぶった演技で笑える。もちろん一番濃いのは、唯一髭のないフランス王子のギャリー・エイヴィスで、他の王子たちを仕切ること!

オーロラの友人たちの踊りは笑っちゃうくらい揃っていない。一人音楽性のよさでユフィさんが際立っている。カラボスが変装して登場し、糸巻きの針で指を刺してしまったオーロラが眠りにつく。四人な王子たちがやる気満々で刀を持ってカラボスを追いかけていくのがまたすごい。そういえば肝心のリラの存在感が薄い。リラはあまり踊るところがなくてマイムが多い。マイムはもちろんすごく上手いわけだけど。

<2幕>
打って変わって、森の中の狩場。さっきのカタラビュットと同じようなカツラをかぶった、偽カタラビュットみたいなおつきを連れた伯爵夫人ご一行。赤い上着を着ているのが王子だと認識するのにしばらくかかってしまう。この衣装は地味で、ひと目で王子だとわからないのでちょっと難ありなのでは?それに、サモドゥーロフ(スラーヴァ)は、優雅なしぐさはともかく容姿があまり王子っぽくないというか、ちょっと貫禄がつきすぎた感じ。憐れな偽カタラビュットは目隠しをされていて鬼ごっこをしているけど、スラーヴァ王子は所在なげで憂い顔。貴族たちとちょっと踊る。さすがに、ここでのスラーヴァの何気ない踊りは気品があって王子そのもの。

一行がいなくなって独りになり、物思いに沈んでいる王子。、まるで「白鳥の湖」の王子が踊るような、ゆっくりとした憂いのソロ。スラーヴァは身体がちょっと重そうだけど、きれいに入る五番、伸びたつま先、アンドゥオールなどは実に美しくて、基本に忠実かつアカデミックな踊り。そこへリラが現れ、「あなたの見る夢はこんな夢ですか」と眠るオーロラの幻影を見せてくれる。「なんて美しいんだ」という王子のマイムも優雅そのもの。そして、今度はチュチュ姿のオーロラの幻影が登場する。オーロラを追いかけても、なかなか追いつけない。王子の手をすり抜けていくようにオーロラが行ってしまおうとする。華奢で儚いサラは、幻影にぴったり。やっと王子は追いついて、オーロラをサポートし、オーロラはピルエットをする。しかし、幻影は幻影で、過ぎ去ってしまう。王子は「オーロラと結婚したい」というマイムをすると、船が現れ、リラと王子が船に乗ると、深い深い森の中へと二人は進んでいく。

やっとたどり着いた眠るオーロラの城の門には、カラボスの手下のねずみどもが。リラがねずみ、そしてカラボスを追い払って、二人はオーロラの元へ。眠るオーロラを前にして、王子はちょっと躊躇するけどオーロラにくちづけると、魔法が解けて、オーロラが目覚める。ところで、私はこの日は左サイドの席だったので、オーロラのベッドの上の鏡の仕掛けに気づかなくて、いつカラボスが退治されたのかが全然わからなかった。私の席の位置からだと、鏡が見えなかったのだ。残念!

<三幕>
休憩なしで3幕に突入。キャラクターダンスが比較的多いのが特徴。通常は宝石の精の踊りのところが、フロレスタンと姉妹たちという役名のパ・ド・トロワになっている。フロレスタンと国王ってどういう関係なのかしら?マーティン・ハーヴェイの立派な太ももは、エロス役だから目立ったのであって、白タイツを穿くと案外目立たない。彼はいいダンサーだと思う。国王とお妃すら歩いて入場するのに、唯一輿に担がれてちょっと高慢な感じの白い猫は、首をかしげて、招き猫のような手つきをしてしなを作る様子がとてもセクシー。長靴をはいた猫を演じるのはリカルド・セルヴェラなのに、マスクを着用しているのでかわいらしい顔が見えなくて残念。でも跳躍がとってもきれい。青い鳥は蔵健太さん。長身でプロポーションがよく、軽やかに跳躍していてなかなかお見事。ブリゼの角度もきっちりとついていて、ラインが美しい。そこらへんのイギリス人などよりよほど見栄えがするのだ。メイクはちょっとパンクな感じ。そして、彼女を目当てでこの日のチケットを取った、チェ・ユフィさんのフロリナ姫は、繊細で愛らしく、森を通り抜ける風のように軽やかで素敵だった。絶やさない微笑みも可愛らしいし、人を惹きつける魅力と輝きを持っている。赤頭巾ちゃんと狼などを見ると、やっぱりロイヤルのダンサーは演技が達者だなって思う。赤頭巾ちゃんのちょっとわざとらしい怯えた表情がとにかく鬼のようにキュートだし、全身着ぐるみなのによく動いてダイナミックな狼に捉えられて、足をばたばたさせるところも、お約束通りで笑える。

そしてグラン・パ・ド・ドゥ。フィッシュダイブ3連発はスムーズに決まる。美しいサラ・ラムはお姫様姿が本当に似合っていて、控えめながらもキラキラしている。サモドゥーロフのヴァリエーションは、やや重めながらも丁寧で、非常に上品で正確。包容力のある大人の王子という風格。コーダでのサラの身体の倒し方は、背中の柔らかさを感じさせるもの。その後に、ヴァリエーションを踊らなかったシンデレラと王子(王子はトーマス・ホワイトヘッド)や、人食い鬼なども交えてのコーダ、そしてアポテオーズ。最後のポーズのサラのアラベスクのラインがとてもきれい。というわけで、大満足で終わった「眠り」1回目だった。指揮者がよかったのか、オーケストラの演奏もなかなか良くて、聞き応えたっぷり。

国王フロレスタン24世: クリストファー・サウンダーズ
お妃: エリザベス・マクゴリアン
オーロラ姫: サラ・ラム
フロリムント王子: ヴァチェスラフ・サモドゥーロフ
式典長/カタラビュット: ジョシュア・トゥイファ
カラボス: ジリアン・レヴィ
リラの精: ローラ・マカロッチ

―プロローグ―
澄んだ泉の精: 崔 由姫
お付きの騎士: トーマス・ホワイトヘッド
魔法の庭の精: ローレン・カスバートソン
お付きの騎士: フェルナンド・モンターニョ
森の草地の精: ベサニー・キーティング
お付きの騎士: 蔵 健太
歌鳥の精: カロリン・ダプロット
お付きの騎士: セルゲイ・ポルニン
黄金のつる草の精: サマンサ・レイン
お付きの騎士: エルンスト・マイズナー
リラの精のお付きの騎士: 平野 亮一
妖精のお付きたち、貴族、伝令官、カラボスの手下: 英国ロイヤル・バレエ団

―第1幕―
フランスの王子: ギャリー・エイヴィス
スペインの王子: マーティン・ハーヴェイ
インドの王子: ヨハネス・ステパネク
ロシアの王子: トーマス・ホワイトヘッド
オーロラ姫の友人: 崔 由姫、リャーン・コープ、
セリーサ・デュアナ、カロリン・ダプロット、
エリザベス・ハロッド、エマ・マグワイヤー、
ヘレン・クロウフォード、ロマニー・パジャク
編み物をする女たち、ガーランド、ワルツ、貴族: 英国ロイヤル・バレエ団

―第2幕―
伯爵夫人: イザベル・マクミーカン
王子の側近: ジョナサン・ハウエルズ
王子の随員、狩りの一行、妖精たち: 英国ロイヤル・バレエ団

―第3幕―
フロレスタンと姉妹たち: マーティン・ハーヴェイ、ベサニー・キーティング
ヘレン・クロウフォード
長靴を履いた猫と白い猫: リカルド・セルヴェラ、イオーナ・ルーツ
フロリナ王女と青い鳥: 崔 由姫、蔵 健太
赤ずきんと狼: エマ・マグワイヤー、ヨハネス・ステパネク
グラン・パ・ド・ドゥ: サラ・ラム、ヴァチェスラフ・サモドゥーロフ
おとぎ話の主人公たち、妖精のお付きたち、小姓たち: 英国ロイヤル・バレエ団

協力: 東京バレエ学校
指揮: ワレリー・オブシャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

« アンヘル・コレーラのABT来日公演降板/ABT関連追記 | トップページ | ABT「オールスターガラ」初日雑感&マリインスキー、ニーナ来日予定 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« アンヘル・コレーラのABT来日公演降板/ABT関連追記 | トップページ | ABT「オールスターガラ」初日雑感&マリインスキー、ニーナ来日予定 »