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« マニュエル・ルグリの予定 | トップページ | 残念なお知らせ二つ(ドロテ&アレッシオ降板、マーティン・ハーヴェイ退団)/追記あり »

2008/07/28

パリ旅行記その3 マリー・アントワネット展

パリ三日目は、いつも必ず寄るオペラ座通りのPAULで朝食。バレエダンサーの絵のついた鏡が可愛い。

今日は友達と別行動で、私はグラン・パレで開催中のマリー・アントワネット展へ。ところがちょうど最終日で、ものすごい列が。結局炎天下の元、一時間半も並ぶ羽目に。アメリカの独立記念日前ということもあり、アメリカ人観光客が多い。たまたま後ろに並んでいたアメリカ人の夫婦の奥様と話をした。彼女はアメリカのチャールストンにある大学で、美術史を教えているという。ひとしきり、ギュスターブ・モローや印象派の中のジャポニズムの話で盛り上がる。オペラやバレエもよく見るようで、ルグリのことも知っていた。イタリアでスポレート・フェスティバルという芸術祭があるのだけど、そのアメリカでの開催のスタッフもしており、オペラの招聘をしている。さらに彼女は大学のビジネススクールでも生徒をオペラに連れていくことや、歌手に特別講義してもらうことを授業でやっているという。将来経営者となるには、オペラなどの教養が必須になるという考えからだそう。また生徒が経営者として成功したらパトロンになってもらえるからという考えもある。おかげで一時間半、面白い話を聞けた。

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マリー・アントワネット展は非常に面白かった。彼女が生まれた時から処刑された時までの足跡を丹念に追っている。オーストリアでの少女時代は教養としてバレエを踊ったりハープを弾いていた。バレエを踊る愛らしい絵があった。フランスに嫁いだ時、新しい皇太子妃の顔を知らしめるため、無数の肖像画が描かれた。肖像画がパブリシティの役割を果たし、享楽的な生活が批判された時には、子供たちと連れ立った優しい母親としての姿を、そして知性の欠如が囁かれた時には本を開いて微笑む姿が描かれた。しかし、やがてどんな肖像画が公開されても、些細な口実でマリーは批判に晒されるようになる。

彼女は美的センスには非常に優れていたようで、ヴェルサイユ宮殿やプチトリアノン宮殿の調度品の素晴らしいこと!別荘の室内が再現されたり、ドレスのテキスタイルの一部も見られて贅沢な展示。オリエンタルスタイルやカントリーなど、様々な意匠を取り入れた家具は、当時の最先端を行く斬新で優れたデザインのものばかり。そして陶磁器や置物なども、贅を尽くしただけでなく、どれも高い美意識を感じさせる。肖像画の彼女が纏うドレスも、質感、繊細さ、モチーフみな美の極致。

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しかしフランス革命により彼女が投獄され、断頭台の露と消えるまでを物語る展示品は、それまでの華やかな調度品とあまりにも対照的で、残酷なほど。国王夫妻を揶揄した風刺画の数々。幽閉先の塔で着せられた粗末な木綿の服は下着のようにしか見えないし、鏡や椅子なども、牢屋にしかありえないようなもの。陰欝な塔のデッサンも。ギロチンが待つコンコルド広場に引き立てられる様子の絵画では、毅然とした美しい姿の彼女。しかし最後の展示品は、これまた処刑される直前の彼女を虚仮にした有名な風刺画のスケッチだった。

しかしながら、幽閉されてから斬首されるまでの二年間に、贅沢三昧で国民の困窮も知らなかった我が儘な王妃が、受難の聖女へと変貌し、永遠に記憶される存在となったというのが、この展覧会を通して理解できた。

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グラン・パレから灼熱のシャンゼリゼまで歩き、バーゲンを見て回るけど気に入った服は見つからず、ただ大好きなアガタでテリアをモチーフにしたシルバーのネックレスを半額で購入。それから、FNACでキューバ国立バレエのドン・キホーテのDVDとアンナ・ネトブレコのアリア集「duets」が安かったので買う。さらに歩いてオランジュリー美術館へ。

月曜日は、オルセー美術館が休館ということで、オランジュリー美術館も入場制限するという混雑振りだったけど、30分ほど並んだらなんとか入場できた。実際に入場してみるとそれほど混んでいない。実はここに行くのは初めて。何年か前にパリに行ったときには改装休業中だった。それほど大きくない美術館だけど、モネの「睡蓮」連作が8作品もあり、4作品ずつ、楕円形の展示室に円環のように展示されているため、部屋の中央にいると睡蓮と水の織り成す光と闇とめくるめく色彩の世界に浸ることができる。夜に予定があるのであまりゆっくりはできなかったけど、ここでボーっとすごすことができたら素敵だろうなと思った。

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また、ピカソ、ルノワール、ローランサン、マティスなどのキュビズムから印象派の有名な作品もたくさん揃っている。面白かったのはローランサンで、ニジンスカが振付けた「牝鹿」の元になったと思われる作品(「牝鹿」の美術はローランサンによるもの)や、ダンサーたちを描いた作品、ココ・シャネルの肖像などが素敵だった。

部屋に戻って着替えた後、ガルニエの前で日本からルグリを観に来た友達と待ち合わせてお茶。そのお友達(とそのお友達)は、パリに来る前にリヨンで、ルグリ、イレール、そしてギエムが東京バレエ団に客演した公演を観て来たという。猛暑のパリよりもさらに暑いリヨンで、野外公演ならではの様々なハプニングがあったようだけど、夜空の下で行われた公演は感動的だったようだ。ギエムの「ボレロ」が終わった時には、熱狂した観客が座布団を投げたという!とても面白い感想を聞くことができて楽しかった。

そして、夜はルグリとデルフィーヌ・ムッサンの「椿姫」。これが、ルテステュ&ボッレの公演とはまったく違うけど、それはそれは素晴らしく心を揺り動かす公演だった。デルフィーヌ・ムッサンは、登場した時には少々皺が目立って見えて一瞬引いたけど、踊っているうちにみるみる若く美しく、つややかで女らしくなっていって、高級娼婦らしい薫り高い気品と凛とした部分、そして母性的な優しさを感じさせ、しかも感情移入できる生身の人物像になっていった。彼女を輝かせることができるのが、ルグリの凄いところだと思う。そのルグリの演技の若々しさにも驚愕。この日は、前から7列目の上手寄りで、結構舞台に近かったのに、彼が若く美しく、そして純粋で可愛らしいところもある若者に見えていたのだ。詳しい感想はまた改めて書きたい。この二人のパートナーシップも最高だったし、見た感じの釣り合いも取れていた。とにかく、濃密で美しく、完成度が高くて、宝石のように磨かれた舞台を観たという感動で胸が満たされた。茫然自失になって胸の鼓動が止まらず、現実に戻れなかったのはルテステュ&ボッレの方だったけど。

終演後、たまたま真っ赤なドレスに身を包みながらもスクーターで飛ばして帰途につくデルフィーヌを見てしまって驚いちゃった(笑)

そして、またまた、ロベルトファン&モローファンの方と、同行の友達の4人で、深夜までカフェでバレエ談義に花が咲いた。楽しかった!

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コメント

naomiさま
帰国後のロイヤルやABT等の熱いレポート、楽しく読ませて頂いています。フランス、楽しかったですね〜。オランジュリーのモネの展示室は本当に安らげますね。今度はジヴェルニーにも足を運んでみたいものです。
エトワール・ガラのキャストも発表されましたが、私は今更見やすい席もないだろう(最近Bunkamuraのバレエ公演が増えてますね、座席選びに悩むので今まで敬遠してきたけど、コールプもやるし、もはや避けられません)と、悩んだあげくあきらめてしまいました。リヨンまでいったのに近場の渋谷にいかないなんてモグリのルグリ・ファンですね。領子さんとの「ジゼル」は行こうと思っています。実は東京バレエ団の「ジゼル」は素晴らしいと思いつつ、ちょっと飽きてもいるのですが、あ〜こんなこと言っちゃいけませんね。
それでは、足をお大事に、渋谷からの熱いレポート、お待ちしています!

クロードさん、こんばんは。
その節はお世話になりました!いろいろと楽しいお話を聞かせていただきありがとうございます。メールしようと思いつつ失礼しちゃってごめんなさい。

オランジュリー、駆け足になっちゃったけど、どれもこれも素晴らしい絵ばかりだったし、時間さえあればゆっくり見られそうだったのでまた行きたいです。

実は翌日、ギャラリーラファイエットの前で斎藤友佳理さんを見かけたんですよ~。

オーチャードホールってホント見づらくていやですね。私のお気に入りは2階のバルコニー席です。やや距離はありますが、見やすいです。でもやっぱり人気ある席みたいですが。遠くても良いなら、3階の1番後ろがマシな席です。ル・パルクはそこで観ました。

小出さんとのジゼルも、何とかチケットが取れたようです。でもSの割には端っこでしたが…。

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