シド・チャリシー死去
「雨に唄えば」などで知られる米女優、ダンサーのシド・チャリシーさんが17日、心不全のためロサンゼルスの病院で亡くなりました。享年86歳。正式な読み方は「シド・チャリース」だそうです。
http://www.msnbc.msn.com/id/25216724/
シド・チャリシーが、もともとはバレリーナだったのは結構有名な話だったようで、鈴木晶氏のダンスマガジンでの連載「バレリーナの肖像」でも、2007年1月号で彼女を取り上げています。記事には、彼女のトレードマークだった美しい脚や、華やかな美貌を余すことなく伝える写真もたくさん載っています。最近、この連載が単行本化され、他のバレリーナたちのエピソードも読み応えたっぷり、雰囲気のある素敵な写真も数多く載っているので、お勧めの一冊です。
テキサス出身の彼女は、14歳の時にバジル大佐のバレエ・リュス・ド・モンテカルロに参加し、コール・ド・バレエの一員として踊った後、父が亡くなったためアメリカに戻り、それからブロニスラヴァ・ニジンスカに師事してバレエ・リュス・ド・モンテカルロに復帰。15歳でバレエ教師のニコ・チャリースと結婚し、それから映画界に誘われて何本かに出演。本格的な映画デビューとなった1946年の「ジークフリート・フォーリーズ」で注目されます。この映画は、大学生の時に、今はシネスイッチ銀座になった「銀座文化」という映画館での特集上映で観ました。モノクロ作品ですが、フレッド・アステアが主演した、ものすごく華やかなミュージカルです。
「バレリーナの肖像」によると、その頃彼女は、クラーク・ゲイブルや、作家のシドニー・シェルダン、そして「アヴィエイター」でレオナルド・ディカプリオが演じた大富豪ハワード・ヒューズらと浮名を流したそうで。しかしその後人気絶頂の歌手トニー・マーティンと結婚し、彼女が亡くなるまで結婚生活は続いたそうです。
なんといっても有名なのが「雨に唄えば」です。この映画では最後の劇中ミュージカルでジーン・ケリーと踊っていますが、緑色のドレスを着た彼女の素晴らしい脚線美に目が釘付けになります。どの写真を見ても、惚れ惚れするほどの美脚で、500万ドルの保険が掛けられたというのも納得です。身長も167センチと当時にしては長身だったようです。加えてたぐいまれな美貌と、しっかりとしたバレエのテクニック。アステアとは「バンドワゴン」でも共演し、そしてグレタ・ガルボの「ニノチカ」のリメイク「絹の靴下」にも主演。ここれの彼女も本当にくらくらするほど美しいとしか言いようがありません。1962年には、美脚好きといえばこの人、のローラン・プティ「ブラック・タイツ」に出演。MGMミュージカルが下火となるとともに、映画界からは遠ざかり、しかしながら80代までテレビ他で精力的に活動を続けていたようで、1992年には念願のブロードウェイミュージカルにも出演。晩年までその美貌を保っていたようです。
2000年には、長年のダンス界への貢献に対し、第一回ニジンスキー賞を受賞、モナコのカロリーヌ王女から賞を受け取りました。2006年には、アメリカ合衆国における文化勲章、National Medal of the Arts and Humanitiesを受賞しました。(下のリンクにある写真は、ブッシュ大統領夫妻から勲章を受け取ったシド・シャリシー)
http://www.nea.gov/news/news06/medals/Charisse.html
週末には、美しい脚と美貌そしてダンスを偲び、家にある「雨に唄えば」のDVDを観ようかな、と思います。ご冥福をお祈りします。
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